(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049437
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20220322BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20220322BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20220322BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20220322BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20220322BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/105
H05B47/16
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155650
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA01
3K273PA02
3K273PA09
3K273QA29
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA12
3K273RA13
3K273RA15
3K273RA17
3K273SA17
3K273SA36
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA15
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA24
3K273UA25
(57)【要約】
【課題】照明光の調節が制限された照明システムを提供することを課題とする。
【解決手段】実施形態に係る照明システムは、照明光を出射する照明器具と、照明装置の調光率ないし色温度に関する制御情報を含む制御基準信号を照明器具へ送信するコントローラと、を具備する。照明器具は、制御基準信号に基づく許容範囲内において照明光が調節される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出射する照明器具と;
前記照明装置の調光率ないし色温度に関する制御情報を含む制御基準信号を前記照明器具へ送信するコントローラと;
を具備し、
前記照明器具は、前記制御基準信号に基づく許容範囲内において前記照明光が調節される、照明システム。
【請求項2】
前記制御基準信号は一日を複数に分割した時間ごとに設定されている、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記照明器具は、操作端末から前記制御変更信号の受信を待つ待機状態において、前記操作端末から制御変更信号を受信した後、所定の制御可能期間が経過するまでの間は、前記操作端末からの制御変更信号を受け付け、前記制御可能期間が経過した後は、所定の制御不能期間が経過するまでの間は前記操作端末からの制御変更信号を受け付けず、前記制御不能期間が経過した後に再び前記待機状態に戻ることを特徴とする請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記操作端末は、前記制御変更信号をビーコンとして送信する、請求項1~3のいずれか1つに記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の照明器具と、無線によって照明器具の制御をおこなえる操作端末とを有する照明システムが知られている。このような照明システムにおいて、使用者のすべてが操作端末を有することは、各使用者の周辺の照明状況に応じて、照明光の調節たとえば調光や調色を好みに応じておこなえるため、便利なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、操作端末を操作する使用者の感覚の個人差のために、照明光の過度な調光や調色がおこなわれてしまうことがある。また、悪意を持った使用者によって、照明光の過度な調光や調色がおこなわれることも懸念される。安定な照明の提供のために、照明光の調光や調色が適度に制限されることが望まれる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、照明光の調節が制限された照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る照明システムは、照明光を出射する照明器具と、照明装置の調光率ないし色温度に関する制御情報を含む制御基準信号を照明器具へ送信するコントローラと、を具備する。照明器具は、制御基準信号に基づく許容範囲内において照明光が調節される。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によると、照明光の調節が制限された照明システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る照明システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたコントローラの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された記憶部に記憶された制御情報リストの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された各操作端末の機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、スマートフォンである操作端末の操作画面を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示された各照明器具の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、
図1に示された照明器具が待機状態において制御変更信号を受信したときの制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る照明システムは、照明光を出射する照明器具と、照明装置の調光率ないし色温度に関する制御情報を含む制御基準信号を照明器具へ送信するコントローラと、を具備する。照明器具は、制御基準信号に基づく許容範囲内において照明光が調節される。
【0010】
[実施形態]
図1を参照して、実施形態に係る照明システム100の全体構成を説明する。
【0011】
実施形態に係る照明システム100は、一つのコントローラ10と、複数の照明器具20と、を具備する。照明器具20は、1つないし複数の操作端末30から送信される信号に基づいて、照明態様が変更される。
【0012】
コントローラ10は、照明器具20の制御の基準情報である制御基準信号Scを無線もしくは有線で送信する。各照明器具20は、照明光を出射する。各照明器具20は、制御基準信号Scを受信し、受信した制御基準信号Scに基づいて調節された照明光を発する。照明光の調節は、調光(光量調節)または調色(色調節)またはそれら両方を含む。なお、コントローラ10は、照明器具20と同じ空間(部屋)に配設されても良いし、異なる空間(部屋)に配設されても良い。また、コントローラ10はクラウド上に存在していても良い。
【0013】
操作端末30は、照明システム100の使用者によって、照明器具20の照明光の調節値(調光率や色温度)の変更のために操作される。各操作端末30は、照明器具20の制御の変更情報である制御変更信号Stを無線で送信する。各照明器具20は、制御変更信号Stを受信し、受信した制御変更信号Stに基づいて、照明光の調節値を変更する。
【0014】
次に
図2を参照して、
図1に示されたコントローラ10について説明する。
【0015】
図2に示されるように、コントローラ10は、送信部11と、制御部12と、記憶部13とを備える。記憶部13は、スケジュール情報リスト70(
図3参照)を記憶している。制御部12は、定期的に、記憶部13から記憶されたスケジュール情報リスト70から必要な制御情報を読み出し、読み出した制御情報を送信部11に供給する。送信部11は、制御部12から供給される制御情報に対応する制御基準信号Scを送信する。
【0016】
次に
図3を参照して、
図2に示されたコントローラ10の記憶部13に記憶されたスケジュール情報リスト70について説明する。
【0017】
図3に示されるように、スケジュール情報リスト70は、時刻リスト部71と、制御内容リスト部72と、個別制御可能範囲リスト部73を有する。
【0018】
時刻リスト部71は、1日を適当な時間もしくは分もしくは秒に分けた複数の時間帯の情報を有する。この複数の時間帯は、それぞれ後述する制御内容もしくは個別制御可能範囲が異なる時間帯を表す。たとえば、時刻リスト部71は、24時間を8つに分けた8つの時間帯の情報を有する。なお、1日は均等な間隔で分けられても良いし、
図3に示すように不均等な間隔で分けられても良い。例えば、人の活動が少ない夜間は間隔が広くなるように分け、人の活動が多い日中は間隔が狭くなるように分けられても良い。また、照明システム100を使用する場所に応じて時間帯の分け方を変更しても良い。
【0019】
制御内容リスト部72は、時刻リスト部71の時間帯にそれぞれ対応した調光率情報と色温度情報を有する。制御内容リスト部72の調光率情報と色温度情報は、それぞれの時間帯における照明器具20の調光率の基準設定値と色温度の基準設定値である。
【0020】
個別制御可能範囲リスト部73は、時刻リスト部71の時間帯にそれぞれ対応した調光率情報と色温度情報を有する。個別制御可能範囲リスト部73の調光率情報と色温度情報は、それぞれの時間帯における調光率の変更許容幅値と色温度の変更許容幅値である。
【0021】
次に
図4を参照して、
図1に示された操作端末30について説明する。
図4は、操作端末30の機能ブロック図である。
【0022】
図4に示されるように、操作端末30は、送信部31と、制御部32と、入力部33とを備える。入力部33は、使用者U(
図1参照)から照明光の調節値の変更の指示の入力を受け付ける。制御部32は、入力部33に入力された情報に対応する変更情報を生成し、生成した変更情報を送信部31に供給する。送信部31は、制御部32から供給される変更情報に対応する制御変更信号Stを送信する。
【0023】
変更情報は、調光率の現在値に対する変更値の情報と、色温度の現在値に対する変更値の情報である。つまり、制御変更信号Stは、調光率の現在値に対する変更値と、色温度の現在値に対する変更値を含んでいる。
【0024】
たとえば、操作端末30は、使用者の各自が所有しているスマートフォンである。また、操作端末30としてのスマートフォンは、ビーコンの制御変更信号Stを送信する。あるいは、操作端末30は、専用のリモコンであり、赤外線の制御変更信号Stを送信する。
【0025】
ビーコンの信号は、赤外線の信号と比較して、指向性は低いが、到達距離は長い。また、ビーコンによる通信は、接続認証作業を必要とせず、受信側の存在に関係なく、送信側が一方的に信号を送信する。
【0026】
このため、操作端末30がスマートフォンである場合、操作端末30が送信したビーコンの制御変更信号Stが、制御対象である照明器具20(
図1参照)とは別の照明器具、たとえば、別のフロアの照明器具に受信され、その照明器具が誤動作することが懸念される。
【0027】
そのような誤動作を避けるため、たとえば、照明器具(制御対象の照明器具20と制御対象外の照明器具を含む)が、受信した制御変更信号Stの強度をしきい値と比較し、制御変更信号Stの強度がしきい値よりも低い場合には、動作しない構成とするとよい。
【0028】
あるいは、制御変更信号Stが操作端末30の位置情報たとえばフロア情報を含み、操作端末30の位置情報に基づいて、照明器具が操作端末30を識別する構成とするとよい。
【0029】
次に
図5を参照して、操作端末30がスマートフォンである例について説明する。
【0030】
図5に示されるように、操作端末30は、例えばインストールされたアプリによって、表示画面に照明操作画面35を表示する。照明操作画面35は、調光率の変更用のボタンアイコン36a,36bと、色温度の変更用のボタンアイコン37a,37bを有している。ボタンアイコン36aは、調光率を上げる(照明を明るくする)ためのアイコンであり、ボタンアイコン36bは、調光率を下げる(照明を暗くする)ためのアイコンである。ボタンアイコン37aは、色温度を上げるためのアイコンであり、ボタンアイコン37bは、色温度を下げるためのアイコンである。
【0031】
操作端末30であるスマートフォンの表示画面はタッチパネルであり、ボタンアイコン36a,36b,37a,37bのタッチ操作を検出することにより、調光率と色温度の変更の指示を感知する。この操作端末30では、タッチパネルとアプリが入力部33(
図4参照)を構成しており、ボタンアイコン36a,36b,37a,37bのタッチ操作によって、調光率と色温度の変更の指示が入力される。
【0032】
図4において、制御部32は、ボタンアイコン36a,36b,37a,37bのひとつの一回のタッチ操作に対応した所定の変更値を示す変更情報を生成する。送信部31は、制御部32によって生成された変更情報に対応する制御変更信号Stを送信する。
【0033】
操作端末30が、使用者の各自が所有しているスマートフォンである場合、使用者の人数分の専用のリモコンを用意する必要がない。
【0034】
ここでは、操作端末30がスマートフォンである例について説明したが、これに限らず、操作端末30は、タブレットPCやスマートウォッチなど、無線通信機能を有する他の機器であってもよい。
【0035】
次に
図6を参照して、
図1に示された照明器具20について説明する。
【0036】
図6に示されるように、照明器具20は、受信部21と、制御部22と、発光部23と、記憶部24とを備える。
【0037】
発光部23は、LEDや蛍光灯や白熱電球等の光源を有し、照明光を出射する。発光部23の駆動は、制御部22によって制御される。
【0038】
受信部21は、コントローラ10が送信する制御基準信号Scと操作端末30が送信する制御変更信号Stを受信する。受信部21は、受信した制御基準信号Scと制御変更信号Stを制御部22に供給する。
【0039】
制御部22は、受信部21から供給される制御基準信号Scと制御変更信号Stに基づいて発光部23の駆動を制御することにより、発光部23が出射する照明光の調節をおこなう。具体的には、制御部22は、調光すなわち照明光の調光率の調節と、調色すなわち照明光の色温度の調節をおこなう。
【0040】
次に、照明システム100における制御について説明する。照明システム100は、照明システム100の始動の指示がコントローラ10に入力されて始動される。照明システム100はまた、照明システム100の停止の指示がコントローラ10に入力されて停止される。
【0041】
始動の指示がコントローラ10に入力されると、コントローラ10の制御部12は、記憶部13から記憶されたスケジュール情報リスト70の時刻リスト部71から、そのときの時刻が含まれる時間帯を検出する。次に、制御部12は、スケジュール情報リスト70の制御内容リスト部72から、その時間帯に対応する調光率の基準設定値と色温度の基準設定値を読み出す。また制御部12は、スケジュール情報リスト70の個別制御可能範囲リスト部73から、その時間帯に対応する調光率の許容幅値と色温度の許容幅値を読み出す。制御部12は、これらの制御情報すなわち調光率と色温度の基準設定値と許容幅値の情報を送信部11に供給する。送信部11は、これらの制御情報に対応する制御基準信号Scを、照明器具20の始動指示信号として送信する。
【0042】
その後、コントローラ10は、時間帯が切り替わる度に、次の制御基準信号Scを送信する。詳しくは、現在時刻が次の時間帯の開始時刻になったとき、制御部12が、その次の時間帯に対応した調光率と色温度の基準設定値と許容幅値の情報をスケジュール情報リスト70から読み出し、送信部11が、これらの制御情報に対応する制御基準信号Scを送信する。このスケジュール情報リスト70のスケジュールに則って、照明器具20の制御・調整が制限される。
【0043】
以下、照明器具20における制御について説明する。照明器具20において、信号を受信する機能ブロックは正確には受信部21であるが、以下の説明では、簡略的に、照明器具20が信号を受信すると称する。
【0044】
まず、照明器具20の始動時における制御について説明する。始動前、照明器具20は、コントローラ10から送信される始動指示信号である制御基準信号Scの受信を待つ待機状態にある。
【0045】
照明器具20が制御基準信号Scを受信すると、制御部22は、制御基準信号Scに含まれる調光率と色温度の基準設定値と許容幅値を記憶部24に記憶させる。
【0046】
制御部22はまた、調光率と色温度の基準設定値を、調光率と色温度の現在設定値として、記憶部24に記憶させる。制御部22はさらに、発光部23を駆動するとともに、調光率と色温度の現在設定値に従って発光部23を制御する。
【0047】
この時点では、現在設定値は基準設定値と等しい。しかし、現在設定値は、調光率と色温度が変更されたときに変更される。
【0048】
その後、照明器具20は、信号の受信を待つ待機状態になる。ここで、受信の対象の信号は、操作端末30から送信される制御変更信号Stと、時間帯の切り替わり時にコントローラ10から送信される次の制御基準信号Scを含む。
【0049】
付言すると、受信の対象の信号はさらに、照明システム100の停止の指示をコントローラ10が受けたときに、コントローラ10から送信される照明器具20の停止指示信号も含む。停止指示信号を照明器具20が受信すると、制御部22は、発光部23の駆動を停止するとともに、記憶部24に記憶情報を消去させる。その結果、照明システム100は停止される。
【0050】
次に、待機状態にある照明器具20が、操作端末30から送信された制御変更信号Stを受信したときの制御について説明する。
【0051】
制御変更信号Stに含まれる変更値は、調光率と色温度のいずれかのものであるが、以下の説明では、便宜上、調光率と色温度の変更値と称する。また、これに合わせて処理される基準設定値と許容幅値等も、調光率と色温度のいずれかのものであるが、便宜上、調光率と色温度の基準設定値と許容幅値等と称する。
【0052】
照明器具20が制御変更信号Stを受信すると、制御部22は、記憶部24に記憶されている調光率と色温度の基準設定値と許容幅値から、調光率と色温度の許容範囲を算出する。
【0053】
たとえば、今現在の時間帯が9:00~11:00であれば、調光率の許容範囲は、80±20[%]すなわち60[%]~100[%]となり、色温度の許容範囲は、6000±300[K]すなわち5700[K]~6300[K]となる。
【0054】
必要であれば、制御部22は、算出した調光率と色温度の許容範囲を記憶部24に記憶させる。調光率と色温度の許容範囲は、照明器具20が制御基準信号Scを受信した時点で算出しておき、記憶部24に記憶させておいてもよい。
【0055】
制御部22はまた、記憶部24に記憶されている調光率と色温度の現在設定値と、制御変更信号Stに含まれる調光率と色温度の変更値から、調光率と色温度の暫定設定値を算出する。
【0056】
必要であれば、制御部22は、調光率と色温度の変更値と暫定設定値を記憶部24に記憶させる。なお、調光率と色温度の変更値は、時間帯の切り替わり時の制御の手法によっては必要となる。これについては、後述する。
【0057】
さらに制御部22は、算出した調光率と色温度の暫定設定値を、調光率と色温度の許容範囲と比較する。
【0058】
調光率と色温度の暫定設定値が、調光率と色温度の許容範囲内であれば、制御部22は、記憶部24に記憶されている調光率と色温度の現在設定値を、調光率と色温度の暫定設定値で更新し、更新後の調光率と色温度の現在設定値に従って発光部23を制御する。
【0059】
調光率と色温度の暫定設定値が、調光率と色温度の許容範囲外であれば、制御部22は、記憶部24に記憶されている調光率と色温度の現在設定値を更新せず、これまでの調光率と色温度の現在設定値に従って発光部23を制御する。これにより、調光率と色温度の過度な変更の指示が操作端末30に入力された場合であっても、安定な照明が維持される。
【0060】
たとえば、前述した今現在の時間帯が9:00~11:00である場合において、暗くする操作すなわち調光率を下げる操作がおこなわれたとき、調光率の暫定設定値が、60[%]以上の値である間は、照明光は調光されるが、調光率の暫定設定値が、60[%]未満の値となったときには、照明光はもはや調光されない。あるいは、色温度を上げる操作がおこなわれたとき、色温度の暫定設定値が、6300[K]以下の値である間は、照明光は調色されるが、色温度の暫定設定値が、6300[K]を超える値となったときには、照明光はもはや調色されない。
【0061】
次に
図7を参照して、制御変更信号Stを受信した後における照明器具20の時間経過に伴う制御について説明する。
図7は、待機状態にある照明器具20が制御変更信号Stを受信した後の制御を示す図である。
【0062】
図7に示されるように、待機状態にある照明器具20が、時刻t0において、いずれかの操作端末30から送信された制御変更信号Stを受信したものとする。照明器具20が制御変更信号Stを受信すると、制御部22は、上述した調光率と色温度の変更の処理をおこなう。また、制御部22は、時刻t0よりも制御可能期間だけ未来の時刻t1と、時刻t1よりも制御不能期間だけ未来の時刻t2を設定する。
【0063】
制御可能期間と制御不能期間は、予め設定された期間である。たとえば、制御可能期間と制御不能期間は、それぞれ、1分間と5分間である。ここに述べた数値は単なる例示であって、実際の数値は、これに限定されるものではなく、使用環境等を考慮して適切に設定されてよい。
【0064】
制御可能期間すなわち時刻t0から時刻t1までの間は、制御部22は、制御変更信号Stを受け付ける。すなわち、照明器具20が制御変更信号Stを新たに受信すれば、制御部22は、新たに受信した制御変更信号Stに基づいて、上述した調光率と色温度の変更の処理をおこなう。
【0065】
制御可能期間の経過後の制御不能期間すなわち時刻t1から時刻t2までの間は、制御部22は、制御変更信号Stを受け付けない。すなわち、照明器具20が制御変更信号Stを新たに受信しても、制御部22は、上述した調光率と色温度の変更の処理をおこなわない。
【0066】
制御不能期間の経過後すなわち時刻t2の後は、照明器具20は、再び、操作端末30から送信される制御変更信号Stと、コントローラ10から送信される次の制御基準信号Scと、照明器具20の停止指示信号の受信を待つ待機状態になる。
【0067】
このような制御によって、照明光の調光率と色温度の頻繁な変更が制限される。すなわち、照明光の頻繁な調節が制限される。これは、悪意を持った使用者による照明光の不要な調光や調色の繰り返しを抑制する。これにより、本実施形態の照明システム100においては、安定な照明が提供される。
【0068】
続いて、時間帯の切り替わり時における制御について説明する。詳しくは、照明器具20が制御基準信号Scを新たに受信したときにおける制御部22の制御について説明する。
【0069】
ここでは、4つの制御例について説明する。また、具体例として、調光率の基準設定値と変更許容幅値がそれぞれ80[%]と±20[%]である時間帯から、調光率の基準設定値と変更許容幅値がそれぞれ50[%]と±10[%]である時間帯に切り替わった例をあげて説明する。
【0070】
(制御例1)
制御例1では、現在設定値を維持する。この制御例では、記憶部24は、調光率と色温度の変更値を記憶している必要はない。
【0071】
制御部22は、次の制御変更信号Stに備えて、記憶部24に記憶されている調光率と色温度の基準設定値と許容幅値を新たに受信した制御基準信号Scに従って更新する。しかし、制御部22は、記憶部24に記憶されている調光率と色温度の現在設定値は変更しない。
【0072】
この場合、時間帯は切り替わったが、照明光の調光率と色温度は、時間帯の切り替わり直前の状態のままである。さらに、いずれかの操作端末30から送信された制御変更信号Stを受信するまでは、照明光の調光率と色温度は、そのまま維持される。
【0073】
前述の具体例では、調光率の基準設定値と変更許容幅値は、それぞれ、80[%]と±20[%]から、50[%]と±10[%]に変更されるが、調光率の現在設定値は変更されない。たとえば、時間帯の切り替わり直前の調光率が70[%]であったとする。この場合、切り替わり後の時間帯における調光率の許容範囲は40[%]~60[%]であり、70[%]の調光率は許容範囲を逸脱するが、照明光の調光率は、70[%]に維持される。
【0074】
(制御例2)
制御例2では、基準設定値は更新するが、変更値は維持する。この制御例では、記憶部24は、調光率と色温度の変更値を記憶している。
【0075】
制御部22は、制御例1と同様に、次の制御変更信号Stに備えて、調光率と色温度の基準設定値と許容幅値を更新する。制御部22は、更新後の調光率と色温度の基準設定値と、調光率と色温度の変更値とに基づいて、調光率と色温度の現在設定値を変更する。
【0076】
この場合、調光率と色温度の基準設定値と許容幅値は更新される。更新後の基準設定値に対して、調光率と色温度の変更値が適用される。つまり、照明光の調光率と色温度は、基準設定値の更新に伴って変更される。
【0077】
前述の具体例において、時間帯の切り替わり直前の調光率の変更値が-20[%]であったとする。時間帯の切り替わりにより、調光率の基準設定値と変更許容幅値は、それぞれ、50[%]と±10[%]に更新される。切り替わり後の時間帯における調光率の基準設定値である50[%]と、時間帯の切り替わり直前の調光率の変更値である-20[%]とから、調光率の現在設定値は、50[%]-20[%]=30[%]に変更される。30[%]の現在設定値は、更新後の許容範囲すなわち40[%]~60[%]を逸脱するが、照明光の調光率は、基準設定値の更新に伴って、30[%]に調節される。
【0078】
(制御例3)
制御例3では、基準設定値と許容幅値を更新するとともに、更新に応じて必要であれば現在設定値を変更する。この制御例では、記憶部24は、調光率と色温度の変更値を記憶している必要はない。
【0079】
制御部22は、制御例1と同様に、次の制御変更信号Stに備えて、調光率と色温度の基準設定値と許容幅値を更新する。制御部22はまた、更新後の調光率と色温度の基準設定値と許容幅値に基づいて、調光率と色温度の許容範囲を算出する。さらに制御部22は、調光率と色温度の現在設定値を、算出した調光率と色温度の許容範囲と比較する。
【0080】
調光率と色温度の現在設定値が、調光率と色温度の許容範囲外であれば、制御部22は、調光率と色温度の現在設定値を、現在設定値に近い許容範囲の境界値に変更する。
【0081】
調光率と色温度の現在設定値が、調光率と色温度の許容範囲内であれば、制御部22は、調光率と色温度の現在設定値を変更せず、そのまま維持する。
【0082】
この場合、調光率と色温度の基準設定値と許容幅値は更新される。基準設定値と許容幅値の更新に応じて必要であれば、現在設定値が変更される。すなわち、更新後の基準設定値と許容幅値に基づく許容範囲に対して、現在設定値は、許容範囲内であれば維持され、許容範囲外であれば変更される。
【0083】
前述の具体例において、時間帯の切り替わり直前の調光率の現在設定値が70[%]であったとする。時間帯の切り替わりにより、調光率の基準設定値と変更許容幅値は、それぞれ、50[%]と±10[%]に更新される。調光率の許容範囲は、40[%]~60[%]と算出される。70[%]の調光率の現在設定値は、許容範囲を逸脱するため、現在設定値に近い許容範囲の上限値である60[%]に変更される。したがって、照明光の調光率は、60[%]に調節される。
【0084】
(制御例4)
制御例4では、新たな基準設定値と許容幅値に従う。この制御例では、記憶部24は、調光率と色温度の変更値を記憶している必要はない。
【0085】
制御部22は、制御例1と同様に、次の制御変更信号Stに備えて、調光率と色温度の基準設定値と許容幅値を更新する。制御部22はまた、調光率と色温度の現在設定値を、更新後の調光率と色温度の基準設定値で更新する。
【0086】
この場合、照明光の調光率と色温度は、更新後の基準設定値と許容幅値に従って決定される。すなわち、過去におこなわれた変更は、切り替え後の時間帯における照明光の調光率と色温度に反映されない。
【0087】
前述の具体例では、時間帯の切り替わり直前の調光率の現在設定値に関係なく、時間帯の切り替わりにより、調光率の現在設定値は、更新後の基準設定値に従って、50[%]に設定される。したがって、照明光の調光率は、50[%]に調節される。
【0088】
本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
たとえば、上述した実施形態では、コントローラ10がスケジュール情報リスト70に基づいてスケジュール制御をおこなう場合について説明したが、これに限らず、コントローラ10が、使用規模に応じたグループ制御や、使用環境に応じたシーン制御をおこなう場合に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…コントローラ、11…送信部、12…制御部、13…記憶部、20…照明器具、21…受信部、22…制御部、23…発光部、24…記憶部、30…操作端末、31…送信部、32…制御部、33…入力部、35…照明操作画面、36a…ボタンアイコン、36b…ボタンアイコン、37a…ボタンアイコン、37b…ボタンアイコン、70…スケジュール情報リスト、71…時刻リスト部、72…制御内容リスト部、73…個別制御可能範囲リスト部、100…照明システム。