(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049445
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】覆工用アーチ板
(51)【国際特許分類】
E21D 11/18 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
E21D11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155663
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】501047173
【氏名又は名称】株式会社ライテク
(71)【出願人】
【識別番号】508112852
【氏名又は名称】株式会社トーエス
(71)【出願人】
【識別番号】512077273
【氏名又は名称】株式会社T.クリエーションセンター
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 豊
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BB02
2D155FB01
2D155GC06
2D155HA00
2D155JA00
2D155KB04
2D155LA16
(57)【要約】
【課題】薄型化が可能な覆工用アーチ板を提供する。
【解決手段】アーチ形トンネル1の周方向に複数に分割され、アーチ形トンネル1の内面1Nに据え付けられる覆工用アーチ板11である。鋼製でアーチ形の内面板12と、この内面板12と間隔を置いて配置した鋼製でアーチ形の外面板13と、これら内面板12と外面板13の間に充填したセメント系充填材14とを備えるから、鋼製の内面板12と外面板13の二重板構造に、セメント系充填材14を充填することにより、従来に比べて薄肉で強度を確保することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ形トンネルの周方向に複数に分割され、アーチ形トンネルの内面に据え付けられる覆工用アーチ板において、鋼製でアーチ形の内面板と、この内面板と間隔を置いて配置した鋼製でアーチ形の外面板と、これら内面板と外面板の間に充填したセメント系充填材とを備えることを特徴とする覆工用アーチ板。
【請求項2】
アーチ形トンネルの周方向に複数に分割され、アーチ形トンネルの内面に据え付けられる覆工用アーチ板において、周方向両側の周縁枠部とトンネル長さ方向両側のアーチ形縁枠部とを有する鋼製のアーチ形枠体と、このアーチ形枠体の内面側に一体に設けられたセメント系アーチ板本体とを備えることを特徴とする覆工用アーチ板。
【請求項3】
前記内面板と外面板の前記周方向両側の縁部に鋼製の縁板を設け、前記内面板と外面板のトンネル長さ方向両側の縁部に鋼製のアーチ形縁板を設けたことを特徴とする請求項1記載の覆工用アーチ板。
【請求項4】
前記アーチ形枠体にアンカー手段を設け、このアンカー手段を前記セメント系アーチ板本体に埋設固定したことを特徴とする請求項2記載の覆工用アーチ板。
【請求項5】
前記周方向に隣り合う前記アーチ板の前記周方向の縁部に、前記周方向に隣り合うアーチ板同士を連結する連結構造を設けたことを特徴とする請求項3記載の覆工用アーチ板。
【請求項6】
前記セメント系アーチ板本体が短繊維強化モルタルからなることを特徴とする請求項2又は4記載の覆工用アーチ板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーチ形トンネルの周方向に複数に分割され、アーチ形トンネルの内面に据え付けられる覆工用アーチ板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものに関連して、覆工すべきトンネルの内側面に防水シートを取付けた上で、現場打ちコンクリートにより側壁を構築し、コンクリート製の覆工版(アーチ板に相当)を左右二枚を一組として組付枠上に載せて上端部で接合して相互間を連結部材で連結一体化し、側壁上に支持固定し、トンネルと覆工版とのとの間隙に裏込め材料を充填して一体化させるトンネル覆工工法(例えば特許文献1)や、トンネル外に設置した組立架台において複数の円弧型のPC覆工板(アーチ板に相当)を前後左右に接合一体化して複数スパン分のアーチ型組立覆工板を組立て、門形フレームを備えた運搬据付機によりPC覆工板を覆工部に据付けるための工法(例えば特許文献2)や、既設トンネルの老朽化した上半アーチの既設覆工を改修するために用いられるプレキャストコンクリート製のアーチ形状のライニング部材(アーチ板に相当)(例えば特許文献3)などがある。
【0003】
上記従来技術の覆工では、コンクリート製のアーチ板を用いるため、強度を得るために所定の厚さが必要となる。そして、厚いアーチ板を用いると、重量が重くなる上に、既設のトンネル断面が狭められるため、車両建築限界ギリギリの既設の狭いトンネルでは使用できないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-292790号公報
【特許文献2】特開平8-210099号公報
【特許文献3】特開2004-44364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、薄型化が可能な覆工用アーチ板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、アーチ形トンネルの周方向に複数に分割され、アーチ形トンネルの内面に据え付けられる覆工用アーチ板において、鋼製でアーチ形の内面板と、この内面板と間隔を置いて配置した鋼製でアーチ形の外面板と、これら内面板と外面板の間に充填したセメント系充填材とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、アーチ形トンネルの周方向に複数に分割され、アーチ形トンネルの内面に据え付けられる覆工用アーチ板において、周方向両側の周縁枠部とトンネル長さ方向両側のアーチ形縁枠部とを有する鋼製のアーチ形枠体と、このアーチ形枠体の内面側に一体に設けられたセメント系アーチ板本体とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記内面板と外面板の前記周方向両側の縁部に鋼製の縁板を設け、前記内面板と外面板のトンネル長さ方向両側の縁部に鋼製のアーチ形縁板を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記アーチ形枠体にアンカー手段を設け、このアンカー手段を前記セメント系アーチ板本体に埋設固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記周方向に隣り合う前記アーチ板の前記周方向の縁部に、前記周方向に隣り合うアーチ板同士を連結する連結構造を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記セメント系アーチ板本体が短繊維強化モルタルからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、鋼製の内面板と外面板の二重板構造に、セメント系充填材を充填することにより、従来に比べて薄肉で強度的に優れたアーチ板が得られる。
【0013】
請求項2の構成によれば、セメント系アーチ板本体を鋼製の枠体により補強することにより、従来に比べて薄肉で強度的に優れたアーチ板が得られる。
【0014】
請求項3の構成によれば、外表面が鋼製からなるため、硬化したセメント系充填材が露出せず、セメント系充填材が剥離することもない。
【0015】
請求項4の構成によれば、アンカー手段により枠体とセメント系アーチ板本体とが一体化されたアーチ板が得られる。
【0016】
請求項5の構成によれば、連結構造により周方向に隣り合うアーチ板を連結することができる。
【0017】
請求項6の構成によれば、強度的に優れたアーチ板本体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1を示すトンネルの補修構造の断面図である。
【
図2】同上、一部を切り欠いたアーチ板の斜視図である。
【
図3】同上、アーチ板を示し、
図3(A)は平面図、
図3(B)は
図3(A)のA-A線断面図である。
【
図5】同上、周方向の補強連結構造を示し、
図5(A)は平面図、
図5(B)は正面図である。
【
図6】同上、周方向の補強連結構造の要部の平面図である。
【
図7】本発明の実施例2を示すアーチ形形状の側面図である。
【
図8】本発明の実施例3を示すトンネルの補修構造の断面図である。
【
図11】同上、周方向両側の縁部の拡大断面図である。
【
図12】同上、トンネル長さ方向両側の縁部の拡大断面図である。
【
図13】同上、連結状態を示すトンネル長さ方向両側の縁部の拡大断面図である。
【0019】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0020】
図1~
図7は本発明の実施例1を示す。
図1は補修後の既設のアーチ形トンネル1を示し、このトンネル1の下部には路面2が設けられ、そのトンネル1の左右内側面下端には、高さの低い既設側壁3,3が現場打ちコンクリートなどにより形成されている。
【0021】
アーチ形トンネル1の補修構造において、前記既設側壁3,3の内側には現場打ちコンクリートなどにより側壁4,4が形成され、これら左右の側壁4,4間に複数の覆工用アーチ板11,11,11,11が配置され、これら覆工用アーチ板11,11,11,11は左右の側壁4,4により支持されている。
【0022】
この例ではアーチ板11は、トンネル1のアーチ部を四分割した同一形状を有し、トンネル1の内面1Nと間隔を置いて配置されている。また、既設のトンネル1の内面1Nには、必要に応じて防水加工たる防水シート5が設けられている。尚、トンネル1のアーチ形の内面1Nは半円状をなす。
【0023】
前記覆工用アーチ板11は、アーチ形トンネル1の周方向に複数に分割され、アーチ形トンネル1の内面1Nに据え付けられる。また、前記アーチ板11は、鋼製でアーチ形の内面板12と、この内面板12と間隔を置いて配置された鋼製でアーチ形の外面板13と、これら内面板12と外面板13の間に充填して固化したセメント系充填材14とを備える。尚、アーチ板11,11,11,11を組み立てた半円アーチ形構造6の内径は3m以上であり、これに対して、アーチ板11の厚さは80mm以下、この例では60mm以下であり、内面板12と外面板13の厚さは6mm以下、この例では4mm以下の3.2mmである。
【0024】
前記アーチ板11の内面板12と外面板13は鋼板からなり、それら内面板12と外面板13の間には、これらの間隔を保持する保持材たる直線状のコ字形鋼15,15,15が複数設けられている。この鋼製のコ字形鋼(チャンネル鋼)15は、トンネル1の長さ方向に配置されており、アーチ板11の厚さ方向の中央板部16と、この中央板部16の両端で該中央板部16と交差方向に設けた外板部17,17とを一体に有し、前記中央板部16には、複数の透孔16Tが穿設されている。
【0025】
また、
図2~
図4に示すように、前記コ字形鋼15は、アーチ板11における周方向両側の縁部11S,11Sと、これら縁部11S,11Sの中央位置とに配置され、それぞれ前記両端の外板部17,17の外面を前記内面板12の内面と外面板13の内面に溶接などにより固定している。尚、前記縁部11S,11Sにおいては、前記中央板部16の外面が外側に位置するように配置されており、縁部11S,11Sにおいて、内面板12と外面板13の端部の開口を、前記コ字形鋼15の中央板部16により塞いでいる。そして、前記縁部11S,11Sの前記中央板部16が、縁板である。また、中央の前記コ字形鋼15の中央板部16は、両側の前記縁部11S,11Sの中央に位置する。
【0026】
また、前記内面板12と外面板13のトンネル長さ方向両側の縁部11N,11Nに、鋼製のアーチ形縁板21を設け、これらアーチ形縁板21は、前記内面板12と外面板13の端部に溶着などにより固定されており、縁部11N,11Nにおいて、内面板12と外面板13の端部の開口を、前記アーチ形縁板21により塞いでいる。さらに、前記両側のアーチ形縁板21,21の間の位置で、前記内面板12と外面板13との間には、これらの間隔とアーチ形を保持するアーチ形保持材22が間隔を置いて複数(2つ)設けられている。
【0027】
前記アーチ形保持材22は鋼製であって、一対のアーチ形保持板23,23Aからなり、このアーチ形保持板23,23Aの端部には、前記コ字形鋼15内に嵌る幅狭部24が形成されている。この場合、一方のアーチ形保持板23は、その両端に幅狭部24,24が形成され、他方のアーチ形保持板23Aには、その一端に幅狭部24が形成されている。また、アーチ形保持板23,23Aには空気抜き孔25が設けられている。
【0028】
そして、一方のアーチ形保持板23は、両端の幅狭部24,24をコ字形鋼15,15に挿入した状態で固定され、他方のアーチ形保持板23Aは、一端の幅狭部24をコ字形鋼15内に挿入すると共に、他端を中央板部16に当接した状態で固定され、コ字形鋼15,15間において、アーチ形保持板23,23Aにより内面板12と外面板13の間隔を保持することができる。
【0029】
周方向に隣り合う前記アーチ板11,11の前記周方向の縁部11S,11Sに、前記周方向に隣り合うアーチ板11,11同士を連結する連結構造31を備える。この連結構造31は、
図2などに示すように、前記縁部11S側で前記アーチ板11の外面板13に平面略U字形の開口部32を設け、この開口部32は前記中央板部16の透孔16Tに対応して形成されており、その開口部32と前記内面板12との間には、アーチ板11の厚さに対応した帯板を、開口部32と同一形状に略U字状に屈曲したU字状枠部33を設け、このU字状枠部33により開口部32側への前記セメント系充填材14の侵入を防止している。
【0030】
そして、周方向に隣り合うアーチ板11の縁部11S,11Sの中央板部16,16同士を突き合せ、それらの透孔16T,16Tに、連結部材たるボルト34を挿通し、このボルト34にナット34Nを螺合することにより前記連結構造31を構成している。
【0031】
また、前記連結構造31には、周方向に隣り合う前記アーチ板11,11の連結強度を高める補強連結構造35を設けることができる。この補強連結構造35としては、アーチ板11の縁部11S側で外面板13に、トンネル長さ方向に間隔を置いて一対の連結部材36,36を設け、周方向に隣り合うアーチ板11,11は、対をなす連結部材36,36をトンネル1の長さ方向にずらして配置している。即ち、
図5の平面図において、上から1番目と3番目の連結部材36,36が左側のアーチ板11に固定され、上から2番目と4番目の連結部材36,36が右側のアーチ板11に固定されている。
【0032】
前記連結部材36は、山形鋼などからなり、前記外面板13にボルトなどの固定手段38や溶着などにより固定した固定部36Aと、外面板13から外側に立ち上がる立上り部36Bとを一体に備え、この立上り部36Bには、連結杆37を挿通する挿通部36Tが穿設されている。尚、連結杆37としては、鋼製の螺子棒などが例示される。尚、挿通部36Tは、前記周方向に長い長孔でもよい。
【0033】
そして、周方向に隣り合うアーチ板11,11を突き合わせると、各挿通部36T,36T,36T,36Tがトンネル長さ方向に並び、それら挿通部36T,36T,36T,36Tに連結杆37を挿通し、この連結杆37の両端部にナット37N,37Nを螺合することにより補強連結構造35を構成している。
【0034】
前記アーチ板11は内部を含んで内外面に防錆処理が施され、この防錆処理としては、塗装処理やメッキ処理などが例示される。
【0035】
前記アーチ板11を防錆処理した後、前記内面板12,外面板13,周方向両端の縁部11S,11S及び長さ方向の縁部11N,11Nの間に、モルタルなどの前記セメント系充填材14が充填される。この場合、アーチ板11の内部は、中央のコ字形鋼15とアーチ形保持材22により仕切られているが、コ字形鋼15には透孔16Tが穿設されていると共に、アーチ形保持材22には空気抜き孔25が穿設されているため、アーチ板11の内部全体に充填材14を充填することができる。尚、上述したように前記開口部32側には、前記U字状枠部33により充填材14は充填されない。
【0036】
施工においては、4枚のアーチ板11,11,11,11の隣り合う縁部11S,11S同士を突き合わせ、連結構造31と補強連結構造35により連結して前記アーチ形構造6を形成し、トンネル1の内面1Nと所定の間隔を置いて、両側の側壁4,4により連結したアーチ板11,11,11,11を支持する。また、同様にして、トンネル1の長さ方向に隣り合うアーチ形構造6を形成し、トンネル1の長さ方向に隣り合うアーチ形構造6,6を長さ方向連結構造(図示せず)により連結し、トンネル1の全長にアーチ板11を据え付ける。
【0037】
この後、アーチ板11に設けた充填孔(図示せず)からアーチ板11の内面1Nとの間に裏込め材41(固結剤)を充填し、この裏込め材41によりアーチ形構造6とトンネル1とを一体化する。
【0038】
このようにして構築した補修構造においては、内面板12と外面板13との間にセメント系充填材14を充填した合成構造により、内面板12と外面板13が薄くても、従来のPC板に比べてアーチ板11の薄型化が可能となり、補修後もトンネル1の内部空間を確保することができる。
【0039】
また、アーチ板11は、内面板12,外面板13及び縁部11S,11S,11N,11Nが防錆処理を施した鋼製で表面全体が覆われているため、コンクリートのように剥離や白華が発生することが無い。
【0040】
このように本実施例では、請求項1に対応して、アーチ形トンネル1の周方向に複数に分割され、アーチ形トンネル1の内面1Nに据え付けられる覆工用アーチ板11において、鋼製でアーチ形の内面板12と、この内面板12と間隔を置いて配置した鋼製でアーチ形の外面板13と、これら内面板12と外面板13の間に充填したセメント系充填材14とを備えるから、鋼製の内面板12と外面板13の二重板構造に、セメント系充填材14を充填することにより、従来に比べて薄肉で強度を確保することができる。
【0041】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、内面板12と外面板13の周方向両側の縁部11S,11Sに鋼製の縁板たる中央板部16,16を設け、内面板12と外面板13のトンネル1の長さ方向両側の縁部11N,11Nに鋼製のアーチ形縁板21,21を設けたから、外表面が鋼製からなるため、硬化したセメント系充填材14が露出せず、セメント系充填材14が剥離することもない。
【0042】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、前記周方向に隣り合うアーチ板11,11の周方向の縁部11S,11Sに、周方向に隣り合うアーチ板11,11同士を連結する連結構造31を設けたから、連結構造31により周方向に隣り合うアーチ板11,11を連結することができる。
【0043】
また、実施例上の効果として、周方向両側の縁部11Sの縁板が、コ字形鋼15の中央板部16であるから、コ字形鋼15により縁部11Sの強度を確保することができる。さらに、アーチ形保持板23,23Aの端部には、コ字形鋼15内に嵌る幅狭部24が形成されているから、コ字形鋼15内に幅狭部24を挿入した状態でアーチ形保持板23,23Aを固定し、これらアーチ形保持板23,23Aにより内面板12と外面板13のアーチ間隔を保持することができる。また、連結構造31には、開口部32への充填材14の侵入を防止する侵入防止部材たるU字状枠部33を設けたから、充填材14の充填後に、ボルト34・ナット34Nによる連結が可能となる。さらに、連結構造31には、周方向に隣り合うアーチ板11,11の連結強度を高める補強連結構造35を設けたから、連結強度が向上する。
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。また、この例では、応力が集中するアーチ形構造6の頂部のみに補強連結構造35を設けることにより、他の箇所での連結作業を比較的簡易に行うことができる。