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特開2022-49467営業支援装置、プログラム、及び営業支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049467
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】営業支援装置、プログラム、及び営業支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220322BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
G06Q30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155688
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】519000353
【氏名又は名称】株式会社AIROBO
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 盛廣
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
5L049BB05
(57)【要約】
【課題】顧客営業活動に関する集積データを総合的に分析して、営業等を支援する。
【解決手段】一実施形態に係る営業支援装置は、少なくとも1つの商品を有する事業体の営業体における複数の顧客の各々について、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含む顧客データの入力を受け付け、事業体における複数の営業体の各々について、営業体動向及び営業体属性の少なくとも一方を含む営業体データの入力を受け付け、少なくとも1つの商品の各々について、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含む商品データの入力を受け付け、営業体における前記複数の顧客の取引履歴を少なくとも含む結果データの入力を受け付け、顧客データ、営業体データ、及び商品データを入力層に入力したときに結果データが出力層から出力される系における入力層及び出力層の関連性の分析結果に基づいて、営業体の営業活動に関する情報を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの商品を有する事業体における複数の顧客の各々について、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含む顧客データ、(b)前記事業体における複数の営業体の各々について、営業体動向及び営業体属性の少なくとも一方を含む営業体データ、(c)前記少なくとも1つの商品の各々について、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含む商品データ、及び(d)前記営業体における前記複数の顧客の取引履歴を少なくとも含む結果データの中から、目的変数の指定を受け付ける受け付け手段と、
前記複数の営業体の中から対象者を特定する特定手段と、
前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの相関分析の結果において前記指定された目的変数と、当該相関分析の結果において当該指定された目的変数との相関が相対的に高い特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力する出力手段と
を有する営業支援装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記特定説明変数に基づいて前記対象者を特定する
請求項1に記載の営業支援装置。
【請求項3】
前記特定説明変数が前記顧客データに含まれる変数であり、
前記特定手段は、前記複数の営業体のうち、前記特定説明変数の値が所定の条件を満たす顧客に対応する営業体を前記対象者として特定する
請求項2に記載の営業支援装置。
【請求項4】
前記提言が、前記所定の条件を満たす顧客を特定する情報を含む
請求項3に記載の営業支援装置。
【請求項5】
前記特定説明変数が前記営業体データに含まれる変数であり、
前記特定手段は、前記複数の営業体のうち、前記特定説明変数の値が所定の条件を満たす営業体を前記対象者として特定する
請求項2に記載の営業支援装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記特定説明変数の値が所定の基準よりも悪いという条件である
請求項5に記載の営業支援装置。
【請求項7】
前記特定説明変数は前記商品データに含まれる変数であり、
前記特定手段は、前記複数の営業体のうち、前記特定説明変数の値が所定の条件を満たす商品に対応する営業体を前記対象者として特定する
請求項2に記載の営業支援装置。
【請求項8】
前記提言が、前記所定の条件を満たす商品を特定する情報を含む
請求項7に記載の営業支援装置。
【請求項9】
前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの少なくとも一部を説明変数の候補データとし、前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの少なくとも一部を目的変数の候補データとし、前記説明変数及び前記目的変数に対して前記相関分析を行う分析手段を有する
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の営業支援装置。
【請求項10】
前記分析手段は、前記説明変数の候補データを入力層に、前記目的変数の候補データを出力層に、教師データとして与えて機械学習をさせた学習済モデルを用いて前記相関分析を行う
請求項9に記載の営業支援装置。
【請求項11】
前記特定手段は、前記複数の営業体のうち前記指定された目的変数の値が所定の条件を満たす営業体の中から、前記対象者を特定する
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の営業支援装置。
【請求項12】
前記目的変数が複数の前記商品のうち特定の商品を購入した実績に関する変数であり、
前記所定の条件は、前記特定の商品を購入した実績の無い顧客に対応する営業体という条件である
請求項11に記載の営業支援装置。
【請求項13】
前記目的変数が前記商品を販売した実績に関する変数であり、
前記所定の条件は、他の営業体との関係において前記実績が基準よりも悪い営業体という条件である
請求項11に記載の営業支援装置。
【請求項14】
前記営業体は、営業員を含み、
前記営業体データは、前記営業員の動向及び属性を示す
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の営業支援装置。
【請求項15】
前記営業体データは、前記営業員の日報を含む
請求項14に記載の営業支援装置。
【請求項16】
前記営業体データは、前記営業員と顧客との電話による通話履歴を含む
請求項14又は15に記載の営業支援装置。
【請求項17】
前記営業体データは、前記営業員の位置情報の履歴を含む
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の営業支援装置。
【請求項18】
前記営業体データは、前記営業員の人事評価に関する情報を含む
請求項14乃至17のいずれか一項に記載の営業支援装置。
【請求項19】
前記営業体データは、前記営業員が有する資格及びスキルの少なくとも一方を示す情報を含む
請求項18に記載の営業支援装置。
【請求項20】
前記事業体が金融機関であり、
前記顧客データが、前記金融機関における取引履歴及び預かり資産残高を含む
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の営業支援装置。
【請求項21】
コンピュータに、
(a)少なくとも1つの商品を有する事業体における複数の顧客の各々について、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含む顧客データ、(b)前記事業体における複数の営業体の各々について、営業体動向及び営業体属性の少なくとも一方を含む営業体データ、(c)前記少なくとも1つの商品の各々について、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含む商品データ、及び(d)前記営業体における前記複数の顧客の取引履歴を少なくとも含む結果データの中から、目的変数の指定を受け付けるステップと、
前記複数の営業体の中から対象者を特定するステップと、
前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの相関分析の結果において前記指定された目的変数と、当該相関分析の結果において当該指定された目的変数との相関が相対的に高い特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項22】
(a)少なくとも1つの商品を有する事業体における複数の顧客の各々について、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含む顧客データ、(b)前記事業体における複数の営業体の各々について、営業体動向及び営業体属性の少なくとも一方を含む営業体データ、(c)前記少なくとも1つの商品の各々について、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含む商品データ、及び(d)前記営業体における前記複数の顧客の取引履歴を少なくとも含む結果データの中から、目的変数の指定を受け付けるステップと、
前記複数の営業体の中から対象者を特定するステップと、
前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの相関分析の結果において前記指定された目的変数と、当該相関分析の結果において当該指定された目的変数との相関が相対的に高い特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力するステップと
を有する営業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等の営業体の営業を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
営業体の営業を支援する技術が知られている。例えば特許文献1には、金融機関における営業支援に関し、検索条件を入力すると顧客を抽出し、その顧客の所在地の地図を出力すること、及びその所在地の修正を受け付けることが記載されている。特許文献2には、金融機関の営業支援システムに関し、重要事項説明履歴を含む顧客属性と、営業日報とを対応づけて記憶することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5497852号
【特許文献2】特開2008-181553
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び特許文献2の技術では、顧客営業活動に関する集積データ(顧客データ、営業体データ、商品データ及び結果データ等)を総合的に分析して、営業等を支援することができなかった。
【0005】
これに対し本発明は、顧客営業活動に関する集積データを総合的に分析して、営業等を支援することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、(a)少なくとも1つの商品を有する事業体における複数の顧客の各々について、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含む顧客データ、(b)前記事業体における複数の営業体の各々について、営業体動向及び営業体属性の少なくとも一方を含む営業体データ、(c)前記少なくとも1つの商品の各々について、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含む商品データ、及び(d)前記営業体における前記複数の顧客の取引履歴を少なくとも含む結果データの中から、目的変数の指定を受け付ける受け付け手段と、前記複数の営業体の中から対象者を特定する特定手段と、前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの相関分析の結果において前記指定された目的変数と、当該相関分析の結果において当該指定された目的変数との相関が相対的に高い特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力する出力手段とを有する営業支援装置を提供する。
【0007】
前記特定手段は、前記特定説明変数に基づいて前記対象者を特定してもよい。
【0008】
前記特定説明変数が前記顧客データに含まれる変数であり、前記特定手段は、前記複数の営業体のうち、前記特定説明変数の値が所定の条件を満たす顧客に対応する営業体を前記対象者として特定してもよい。
【0009】
前記提言が、前記所定の条件を満たす顧客を特定する情報を含んでもよい。
【0010】
前記特定説明変数が前記営業体データに含まれる変数であり、前記特定手段は、前記複数の営業体のうち、前記特定説明変数の値が所定の条件を満たす営業体を前記対象者として特定してもよい。
【0011】
前記所定の条件は、前記特定説明変数の値が所定の基準よりも悪いという条件であってもよい。
【0012】
前記特定説明変数は前記商品データに含まれる変数であり、前記特定手段は、前記複数の営業体のうち、前記特定説明変数の値が所定の条件を満たす商品に対応する営業体を前記対象者として特定してもよい。
【0013】
前記提言が、前記所定の条件を満たす商品を特定する情報を含んでもよい。
【0014】
この営業支援装置は、前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの少なくとも一部を説明変数の候補データとし、前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの少なくとも一部を目的変数の候補データとし、前記説明変数及び前記目的変数に対して前記相関分析を行う分析手段を有してもよい。
【0015】
前記分析手段は、前記説明変数の候補データを入力層に、前記目的変数の候補データを出力層に、教師データとして与えて機械学習をさせた学習済モデルを用いて前記相関分析を行ってもよい。
【0016】
前記特定手段は、前記複数の営業体のうち前記指定された目的変数の値が所定の条件を満たす営業体の中から、前記対象者を特定してもよい。
【0017】
前記目的変数が複数の前記商品のうち特定の商品を購入した実績に関する変数であり、前記所定の条件は、前記特定の商品を購入した実績の無い顧客に対応する営業体という条件であってもよい。
【0018】
前記目的変数が前記商品を販売した実績に関する変数であり、前記所定の条件は、他の営業体との関係において前記実績が基準よりも悪い営業体という条件であってもよい。
【0019】
前記営業体は、営業員を含み、前記営業体データは、前記営業員の動向及び属性を示してもよい。
【0020】
前記営業体データは、前記営業員の日報を含んでもよい。
【0021】
前記営業体データは、前記営業員と顧客との電話による通話履歴を含んでもよい。
【0022】
前記営業体データは、前記営業員の位置情報の履歴を含んでもよい。
【0023】
前記営業体データは、前記営業員の人事評価に関する情報を含んでもよい。
【0024】
前記営業体データは、前記営業員が有する資格及びスキルの少なくとも一方を示す情報を含んでもよい。
【0025】
前記事業体が金融機関であり、前記顧客データが、前記金融機関における取引履歴及び預かり資産残高を含んでもよい。
【0026】
本開示の別の一態様は、コンピュータに、(a)少なくとも1つの商品を有する事業体における複数の顧客の各々について、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含む顧客データ、(b)前記事業体における複数の営業体の各々について、営業体動向及び営業体属性の少なくとも一方を含む営業体データ、(c)前記少なくとも1つの商品の各々について、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含む商品データ、及び(d)前記営業体における前記複数の顧客の取引履歴を少なくとも含む結果データの中から、目的変数の指定を受け付けるステップと、前記複数の営業体の中から対象者を特定するステップと、前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの相関分析の結果において前記指定された目的変数と、当該相関分析の結果において当該指定された目的変数との相関が相対的に高い特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【0027】
本開示の別の一態様は、(a)少なくとも1つの商品を有する事業体における複数の顧客の各々について、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含む顧客データ、(b)前記事業体における複数の営業体の各々について、営業体動向及び営業体属性の少なくとも一方を含む営業体データ、(c)前記少なくとも1つの商品の各々について、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含む商品データ、及び(d)前記営業体における前記複数の顧客の取引履歴を少なくとも含む結果データの中から、目的変数の指定を受け付けるステップと、前記複数の営業体の中から対象者を特定するステップと、前記顧客データ、前記営業体データ、前記商品データ、及び前記結果データの相関分析の結果において前記指定された目的変数と、当該相関分析の結果において当該指定された目的変数との相関が相対的に高い特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力するステップとを有する営業支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、顧客営業活動に関する集積データを総合的に分析して、営業等を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態に係る営業支援システム1の概要を示す図。
図2】営業支援システム1の機能構成を例示する図。
図3】分析手段112の詳細を例示する図。
図4】各種データと相関分析部との関係を示す図である。
図5】サーバ装置10のハードウェア構成を例示する図。
図6】クライアント装置20のハードウェア構成を例示する図。
図7A】営業支援システム1の一実施形態に係る動作を例示するフローチャート。
図7B】営業支援システム1の一実施形態に係る動作を例示するフローチャート。
図8】相関分析部1122における分析を例示する図。
図9】提言の出力画面を例示する図。
図10】提言の出力画面を例示する図。
【0030】
1.構成
図1は、一実施形態に係る営業支援システム1の概要を示す図である。営業支援システム1は、事業体において、営業体に対し営業を支援する情報を提供するためのシステムである。具体的には、営業支援システム1は、事業体の成果を向上させるための提言(又は提案ともいう)、より具体的には、営業体の営業活動を改善するための提言を営業体に対し出力する。例えば、銀行等の金融機関(事業体の一例。ここで事業体とは事業活動を行う主体をいい、具体的には企業、会社、組合、団体等をいう)の営業員(営業体の一例。ここで営業体とは事業体を構成する要素をいい、具体的には例えば企業の部署、支店、又は個々の営業員をいう)が顧客に金融商品の勧誘を行う際に用いられる、営業支援システムである。すなわち、営業支援システム1のユーザは、例えば、金融機関の営業員、及びこれらの営業員を管理する管理職である。この例において、営業支援システム1は、サーバ装置10、及びクライアント装置20を有する。これらのうち、クライアント装置20は、ユーザに使用される。図面を簡単にするため、図1では単一のクライアント装置20のみを図示しているが、営業支援システム1は複数のクライアント装置20を含んでもよい。サーバ装置10は、ユーザが利用するクライアント装置20とネットワーク3を介して接続される。
【0031】
図2は、営業支援システム1の機能構成を例示する図である。営業支援システム1は、受け付け手段131、特定手段132、記憶手段105、分析手段112、出力手段121、通信手段201、入力手段202、表示手段203、制御手段204、及び記憶手段205を有する。これらの機能要素のうち、受け付け手段131、特定手段132、記憶手段105、分析手段112、及び出力手段121は、サーバ装置10に実装される。通信手段201、入力手段202、表示手段203、制御手段204、及び記憶手段205は、クライアント装置20に実装される。
【0032】
受け付け手段131は、(a)顧客データ、(b)営業体データ、(c)商品データ、及び(d)結果データを含むデータ群の中から、目的変数の指定を受け付ける。以下、目的変数の複数の候補のうち、受け付け手段131により指定された変数を「指定目的変数」という。
【0033】
顧客データとは、顧客動向及び顧客属性の少なくとも一方を含むデータをいう。顧客動向とは、営業支援システム1のユーザである金融機関の事業に関係する顧客の動向をいい、例えば、取引履歴(例えば、顧客・山田太郎氏が〇月〇日に商品Aを購入、△月△日に商品Bを購入等、×月×日に口座に◇◇円を入金)等に関する情報を含む。顧客属性とは、顧客の属性をいい、例えば、顧客の年齢、性別、職業、居住地、家族構成、及び年収等に関する情報を含む。
【0034】
営業体データとは、営業員データ及び部支店データの少なくとも一方を含むデータをいう。営業員データとは、営業員動向及び営業員属性の少なくとも一方を含むデータをいう。営業員動向とは、業務に関する営業員の動向をいい、例えば、営業員の日報、顧客との電話による通話履歴(例えば、営業員・鈴木一郎が△月△日にQさんと電話等)、顧客との接触履歴(例えば、営業員・鈴木一郎が〇月〇日にPさん宅訪問)、特定期間(例えば、年間、月間、週間等)において営業員が顧客を訪問した回数(以下、単に「訪問回数」という)、及び営業員の位置情報の履歴のうち少なくとも一種を含む。営業員とは、事業体において営業職に従事する従業員をいう。営業員属性とは、業務に関する営業員の属性をいい、例えば、営業員の人事評価に関する情報、資格、スキル、職位、考課、職歴、年齢、及び性別等を含む。部支店データとは、部支店動向及び部支店属性の少なくとも一方を含むデータをいう。部支店とは、金融機関を構成する組織としての、部及び支店をいう。部支店動向とは、業務に関する部支店の動向をいい、例えば、部支店における営業員動向の集合を含む。部支店属性とは、業務に関する部支店の属性をいい、例えば、部支店における営業員の数、年齢分布、考課分布、及び所在地等を含む。
【0035】
営業員データのうち営業員動向は、例えば、営業員が日報として入力するデータの少なくとも一部が用いられる。すなわち、営業員動向のデータは、毎日、営業員により入力又は追加される。営業員属性は、例えば、営業員の属性に変化があったことを契機として入力又は変更される。具体的には、営業員がある資格を取得したこと、又は新たなスキルを身につけたこと等を契機として営業員属性が変更される。営業員属性には、その営業員が所属する部支店を特定する情報が含まれる。部支店データは、その部署又は支店が作られたことを契機として入力又は生成される。部支店データのうち部支店動向は、その部支店に所属する営業員の営業員動向の集合から得られる。部支店属性は、部支店の属性に変化があったことを契機として入力又は変更される。具体的には、支店が移転した場合に部支店属性が変更される。
【0036】
商品データとは、商品動向及び商品属性の少なくとも一方を含むデータをいう。商品動向とは、営業支援システム1のユーザである金融機関の事業に関係する商品の動向をいい、例えば、取引履歴(例えば、顧客Yが〇月〇日に商品Aを購入、顧客Zが△月△日に商品Bを購入等)を含む。商品属性とは、事業に関係する商品の属性をいい、例えば、商品の特徴、通貨、リスク、及び投資期間を含む。なお、ここでいう「商品」は役務すなわちサービスも含む概念である。
【0037】
結果データとは、金融機関の事業に関する結果を示すデータをいい、例えば、顧客状況、営業員状況、部支店状況、及び商品状況の少なくともいずれかを含むデータをいう。顧客状況とは、金融機関の事業に関する顧客の状況をいい、例えば、成約高、損益、回転率、取引高のランキング(又は推移)、現在までの取引額(以下「取引額」という)、現在までの取引回数(以下「取引回数」という)、取引履歴、預かり資産(又は保有金融資産)の額、及び潜在資産等の少なくともいずれかを含む。預かり資産とは、営業支援システム1のユーザである金融機関等が顧客から預託を受けた資産等をいう。潜在資産とは、預かり資産以外の顧客が保有する資産等をいう。営業員状況とは、金融機関の事業に関する営業員の状況をいい、例えば、売上高のランキング(又は推移)、営業成績の少なくともいずれかを含む。営業成績とは、商品販売額、預かり資産の額、手数料収入の収益額、資格試験の合否結果、接触行動履歴、カバー率、収入、及び顧客数等をいう。部支店状況とは、金融機関の事業に関する部支店の状況をいい、例えば、売上高のランキング(又は推移)、営業成績、接触行動履歴、カバー率、収入、顧客数の少なくともいずれかを含む。商品状況とは、金融機関の事業に関する商品の状況をいい、例えば、販売額のランキング(又は推移)、売上、預かり資産の額、保有顧客属性、及び損益の少なくともいずれかを含む。営業体の立場に立つと、結果データの少なくとも一部は、商品を販売した実績を示す変数であるといえる。顧客の立場に立つと、結果データの少なくとも一部は、商品を購入した実績を示す変数であるといえる。
【0038】
この例において、受け付け手段131は、入力手段101、入力手段102、入力手段103、及び入力手段104を含む。入力手段101(第1入力手段の一例)は、顧客データの入力を受け付ける。入力手段102(第2入力手段の一例)は、営業体データの入力を受け付ける。入力手段103(第3入力手段の一例)は、商品データの入力を受け付ける。入力手段104(第4入力手段の一例)は、結果データの入力を受け付ける。
【0039】
目的変数とは、ある数理モデルにおける従属変数であり、その値は、その数理モデルにおける独立変数の値に応じて決定される。本実施形態において、数理モデルは、顧客データ、営業体データ、商品データ、及び結果データの一部と別の一部との相関を示すモデルを含む。目的変数は、営業体への提言を生成する際に注目する変数をいう。また、この数理モデルにおける独立変数を説明変数という。
【0040】
記憶手段105は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。例えば、記憶手段105は、入力手段101、入力手段102、入力手段103、及び入力手段104を介して入力されたデータをデータベースに蓄積する。顧客データ、営業体データ、商品データ、及び結果データは、それぞれ、所定のイベントをトリガーとして、例えば各データが更新されたことをトリガーとして入力される。一例として、顧客データは、新規顧客が登録されたことを契機として入力される。顧客データ、営業体データ、商品データ、及び結果データは、それぞれ独立して入力される。すなわち、これら4種のデータは同時に入力されなくてもよい。また、これら4種のデータのうち少なくとも一種は、他のシステム(例えば、勘定系システムやCRM(Customer Relationship Management)システム)から入力されてもよい。
【0041】
分析手段112は、顧客データ、営業体データ、商品データ、及び結果データの少なくとも一部を説明変数の候補データとし、これらの少なくとも一部を目的変数の候補データとし、これらの候補データに数理モデル(又は機械学習モデル)を適用して相関分析を行う。この数理モデルは、分類モデル及び回帰モデルの少なくとも一方を含む。分析手段112は、説明変数となり得る項目(又は変数)全件と、目的変数となり得る項目(又は変数)全件について相関分析(例えば回帰分析)を行い、説明変数の候補を抽出する。このとき、分析手段112は、説明変数の候補全件と、自身以外の説明変数の候補全件との相関分析(例えば回帰分析)を行い、1つの目的変数の説明変数となる項目同士に相関が無いように説明変数を選択する。一例において、顧客データ、営業体データ、及び商品データが説明変数の候補データであり、結果データが目的変数の候補データである。相関分析とは、説明変数の候補と目的変数の候補との相関に関する分析をいう。一例において、分析手段112は、説明変数の候補データを入力層に、目的変数の候補データを出力層に、教師データとして与えて機械学習をさせた学習済モデルを用いて前記相関分析を行う。一例において、学習手段111が、この数理モデルに対して教師データを与え、分析手段112に学習をさせる。学習手段111は、所定のタイミングで、新たなデータとして顧客データ、営業体データ、及び商品データを入力層に、これらに対応する結果データを出力層に、教師データとしてそれぞれ与え、分析手段112に学習をさせる。
【0042】
図3は、分析手段112の詳細を例示する図である。分析手段112は、仮説データベース1121、相関分析部1122、支援情報データベース1123、及び支援情報生成部1124を備える。
【0043】
仮説データベース1121は、仮説データを記録する。仮説データとは、営業行動に関する仮説を記録したデータをいい、より具体的には、説明変数と目的変数との相関に関する仮説をいう。一例において仮説データは、「顧客と接触する回数が多い営業員は成績がよい。」というデータを含む。この例では、「顧客との接触回数」が説明変数であり、「営業員の成績」が目的変数である。別の例において、仮説データは、「商品Aを購入している顧客は年収が1000万円以上である。」というデータを含む。この例では、「顧客の年収」が説明変数であり、「商品Aの購入履歴」が目的変数である。仮説データは、例えば、営業支援システム1のユーザにより入力される。
【0044】
図4は、各種データと相関分析部との関係を示す図である。相関分析部1122は、与えられた教師データを使って学習し、説明変数の候補と目的変数の候補との相関を分析する。
【0045】
支援情報データベース1123は、営業支援のための情報を記録したデータベースであり、例えば、各種提言のテンプレート又は素案を記録する。支援情報生成部1124は、相関分析部1122による分析結果を用いて、支援情報データベース1123に記録された情報から適切な提言のテンプレート又は素案を選択し、これを加工する。
【0046】
特定手段132は、例えば特定説明変数に基づいて、複数の営業体の中から対象者を特定する。特定説明変数とは、説明変数の候補データに含まれる変数のうち、相関分析の結果において指定目的変数との相関が所定の条件を満たす(一例としては相対的に相関が高い)変数をいう。
【0047】
出力手段121は、対象者に対し、指定目的変数及び特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力する。この提言は、対象者の営業活動を改善するための提言である。
【0048】
クライアント装置20は、ユーザに対しUIを提供する装置(ユーザ端末)である。通信手段201は、サーバ装置10と通信を行う。サーバ装置10との間で通信されるデータは、クライアント装置20において入力された情報を示すもの、又は、ユーザからの指示を示すものが含まれる。入力手段202は、ユーザから新データ(顧客データ、営業体データ、商品データ、及び結果データのうち少なくとも1種を含む)の入力を受け付ける。表示手段203は、ユーザに対し情報を表示する。この例において、表示手段203が表示する情報には、サーバ装置10から送信された分析結果に基づいた、事業体又は営業体の営業活動に関する情報が含まれる。営業活動に関する情報は、例えば、営業員に対する提言、又は営業員の管理者及び営業体管理部門の少なくとも一方に対する提言を含む。営業体管理部門とは、全営業体の営業方針等を統括管理する部門のことをいう。記憶手段205は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。制御手段204は、他の機能要素を制御する。
【0049】
図5は、サーバ装置10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ装置10は、CPU(Central Processing Unit)151、メモリ152、ストレージ153、及び通信IF(Interface)154を有するコンピュータ装置である。CPU151は、プログラムを実行して各種演算を行い、サーバ装置10における他のハードウェア要素を制御する制御装置である。メモリ152は、CPU151がプログラムを実行する際にワークエリアとして機能する主記憶装置である。ストレージ153は、各種プログラム及びデータを記録する不揮発性の補助記憶装置である。通信IF154は、所定の通信規格(例えばイーサネット(登録商標))に従って他の装置と通信する通信装置である。
【0050】
この例において、ストレージ153は、コンピュータ装置を営業支援システム1におけるサーバ装置10として機能させるためのプログラム(以下、「サーバプログラム」という。)を記録する。CPU151がサーバプログラムを実行することにより、コンピュータ装置に図2の機能が実装される。CPU151がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ152及びストレージ153の少なくとも一方が記憶手段105の一例である。また、CPU151は、入力手段101、入力手段102、入力手段103、入力手段104、学習手段111、分析手段112、及び出力手段121の一例である。
【0051】
図6は、クライアント装置20のハードウェア構成を例示する図である。クライアント装置20は、CPU251、メモリ252、ストレージ253、通信IF254、表示装置255、及び入力装置256を有するコンピュータ装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末である。
【0052】
この例において、ストレージ253は、コンピュータ装置を営業支援システム1におけるクライアント装置20として機能させるためのプログラム(以下、「クライアントプログラム」という。)を記憶する。CPU251がクライアントプログラムを実行することにより、コンピュータ装置に図2の機能が実装される。CPU251がクライアントプログラムを実行している状態において、通信IF254が通信手段201の一例である。CPU251が入力手段202及び制御手段204の一例である。表示装置255が表示手段203の一例である。メモリ252及びストレージ253の少なくとも一方が記憶手段205の一例である。
【0053】
この例において、クライアントプログラムは、例えば汎用のウェブブラウザであり、クライアント装置20は、ウェブブラウザを介してサーバ装置10にアクセスする。サーバ装置10には、いわゆるウェブアプリの機能が実装されており、ウェブブラウザを介して、以下で説明する機能が提供される。
【0054】
2.動作
図7A及び図7Bは、営業支援システム1の一実施形態に係る動作を例示するフローチャートである。営業支援システム1の動作は、例えば準備段階(図7A)と使用段階(図7B)とに区分される。準備段階は、数理モデルのパラメータを調整する処理、例えば、数理モデルに対して教師データを与えて機械学習を行う処理を含む。使用段階は、この数理モデルを使用する処理、例えば、学習済モデルを用いて、指定目的変数及び特定説明変数との組み合わせに応じた提言を出力する処理を含む。
【0055】
図7Aに表すフローは、例えば、所定のイベントが発生したことを契機として開始される。ここでいう特定のイベントは、例えば、ユーザが営業支援システムにログインしたというイベントである。ここでいう「ユーザ」は、準備段階のユーザであり、これは次に説明する使用段階のユーザとは異なっていてもよい。一例において、準備段階のユーザは営業体である金融機関の管理部門の従業員であり、使用段階のユーザは金融機関の営業員又はその上司である。なお、以下において、入力手段101等の機能要素を処理の主体として記載するが、これは、サーバプログラム等のプログラムを実行しているCPU151等のハードウェア要素が、他のハードウェア要素と協働して処理を実行することを意味する。
【0056】
ステップS1において、入力手段101、入力手段102、入力手段103、及び入力手段104は、それぞれ各種データの入力を受け付ける。入力手段101、入力手段102、入力手段103、及び入力手段104を介して入力されたデータは、記憶手段105におけるデータベースに記録される。各種データは、独立に入力される。例えば、あるタイミングでは結果データのみが入力され、別のタイミングでは顧客データのみが入力される。一例において、各種データはそのデータが更新されたことを契機として入力される。例えば、顧客データは新規顧客が登録されたことを契機として入力される。
【0057】
ステップS2において、学習手段111は、分析手段112における数理モデルに教師データを与え、機械学習をさせる。この例において、入力手段101、入力手段102、入力手段103、及び入力手段104を介して入力されるデータがカテゴリーデータ(すなわち非数値データ。例えば顧客の職業)を含むため、全てのデータがカテゴリーデータに変換され、このカテゴリーデータが教師データとして数理モデルに与えられる。一例において、学習手段111は、顧客データ、営業体データ、商品データ、及び結果データに含まれる全ての変数を説明変数及び目的変数の候補とし、説明変数及び目的変数の全ての組み合わせについて機械学習を行う。ステップS2の学習は、所定のイベントを契機として実行される。学習の契機となるイベントは、例えば、新しいデータが入力されたこと、未学習のデータが所定の量まで蓄積されたこと、前回の学習を行ってから所定の期間が経過したこと、又はユーザから学習を開始する明示的な指示を受けたことである。
【0058】
なお学習手段111は、他の情報を参照して、説明変数の候補又は目的変数の候補を絞り込んでもよい。一例において、学習手段111は、仮説データベース1121に記録されている仮説を参照して説明変数及び目的変数の候補を絞り込む。具体的には、学習手段111は、仮説データベース1121において説明変数の候補及び目的変数の候補として記録されている変数のみをそれぞれ説明変数及び目的変数の候補として機械学習をさせてもよい。なお、相関分析部1122は、仮説データベース1121に記録されている仮説を修正してもよいし、新たな仮説を仮説データベース1121に書き込んでもよい。仮説の修正又は書き込みは、例えば、ユーザの指示に応じて行われる。
【0059】
図8は、相関分析部1122における分析を例示する図である。この例において、相関分析部1122は、仮説データベース1121に記録されている仮説に従って分析を行う。この例において、仮説データベース1121には以下の(a)~(d)の4つの仮説が記録されている。(a)顧客への訪問回数が多い営業員ほど成約件数が多い。(b)保有金融資産額の高い顧客ほど商品販売有の可能性が高い。(c)FP(ファイナンシャルプランナー)資格を保有している営業員は、FP資格を保有していない営業員と比較して投信販売額が多い。(d)顧客の職業に応じて商品販売額が異なる。以下これらの仮説を用いた解析の例を説明する。
【0060】
仮説aにおいて、「顧客への訪問回数」が説明変数であり、「成約件数」が目的変数である。これらはいずれも数値データであるので、分析手法としては回帰分析が用いられる。回帰分析により回帰モデルにおけるパラメータが決定される。パラメータを決定するところまでが準備段階の処理である。使用段階においてこのパラメータを設定した回帰モデルを使えば、訪問回数から成約件数を予測したり、逆に成約件数から、その成約件数を得るのに必要な訪問回数を予測したりすることができる。
【0061】
仮説bにおいて、「保有金融資産額」が説明変数であり、「商品販売有無」が目的変数である。「保有金融資産額」は数値データであるが、「商品販売有無」はカテゴリーデータである。したがって分析手法としては判別分析が用いられる。判別分析により判別モデルにおけるパラメータが決定される。このパラメータを設定した判別モデルを使えば、保有金融資産額から商品販売の有無(すなわち見込み)を予測したり、逆に、「商品販売有」となるにはどれくらいの保有金融資産額が必要かを予測したりすることができる。
【0062】
仮説cにおいて、「営業員のFP資格の有無」が説明変数であり、「投信販売額」が目的変数である。「営業員のFP資格の有無」はカテゴリーデータであり、「投信販売額」は数値データである。したがって分析手法としては数量化1類が用いられる。数量化1類分析により数量化1類モデルにおけるパラメータが決定される。このパラメータを設定した数量化1類モデルを使えば、営業員のFP資格の有無から投信販売額を予測したり、逆に、ある額の投信販売額を得るにはFP資格が必要か否かを予測したりすることができる。
【0063】
仮説dにおいて、「顧客の職業」が説明変数であり、「商品販売有無」が目的変数である。「顧客の職業」及び「商品販売有無」のいずれもカテゴリーデータである。したがって分析手法としては数量化2類が用いられる。数量化2類分析により数量化2類モデルにおけるパラメータが決定される。このパラメータを設定した数量化2類モデルを使えば、顧客の職種から商品販売の有無(すなわち見込み)を予測することができる。
【0064】
なお仮説a~dはいずれも、説明変数及び目的変数が単数である例として説明したが、説明変数及び目的変数の少なくとも一方が複数であってもよい。
【0065】
再び図7Aを参照する。ステップS3において、相関分析部1122は、学習済モデルを出力する。具体的には、相関分析部1122は、ステップS2において得られたモデルのパラメータを記憶手段105に記憶する。以上で準備段階は終了である。なお、準備段階の処理は、以下で説明する使用段階の処理が開始された後のタイミングで再度行われてもよい。
【0066】
図7Bは、使用段階における営業支援システム1の処理を例示するフローチャートである。図7Bの処理は、例えば、ユーザが営業支援システム1にログインしたことを契機として開始される。
【0067】
ステップS4において、受け付け手段131は、目的変数の指定を受け付ける。受け付け手段131は、クライアント装置20において目的変数の指定を受け付けるための画面を表示する。この画面は、例えば、目的変数の一覧を含む。ユーザは、この一覧の中から目的変数を指定する。受け付け手段131は、ユーザによる目的変数の指定を受け付ける。なお、処理の都度、ユーザから目的変数の指定を受け付ける代わりに、受け付け手段131は、事前に管理者(又は管理部門の従業員)から目的変数の指定を受け付けてもよい。あるいは、ユーザの指示によらず、営業支援システム1が所定のアルゴリズムに従って自動的に目的変数を指定してもよい。一例としては、営業支援システム1は、結果データに含まれる変数のうち、これまでに参照された頻度又はアクセスされた頻度が高いものから順に所定数の変数を、指定目的変数とする。この場合、営業支援システム1は、例えば、ユーザにより指定された、又は所定のアルゴリズムに従って決められた優先度に従って目的変数を指定する。
【0068】
ステップS5において、特定手段132は、複数の営業体の中から対象者を特定する。例えば、受け付け手段131が、クライアント装置20において対象者の特定を受け付けるための画面を表示する。この画面は、例えば、対象者の候補すなわち営業体の一覧を含む。ユーザは、この一覧の中から対象者を指定する。一例において、対象者はユーザ自身である。例えば、個々の営業員が営業支援システム1にアクセスし、アドバイスをもらう場合がこれに相当する。あるいは、ユーザと異なる者が対象者であってもよい。例えば、複数の営業員を管理する上司が営業支援システム1にアクセスし、部下の営業員に対するアドバイスをもらう場合がこれに相当する。受け付け手段131は、ユーザによる対象者の指定を受け付ける。特定手段132は、受け付け手段131が受け付けた情報に従って対象者を特定する。なお、処理の都度、ユーザから対象者の特定を受け付ける代わりに、受け付け手段131は、事前に管理者(又は管理部門の従業員)から対象者の特定を受け付けてもよい。
【0069】
あるいは、特定手段132は、ユーザの指示によらず、所定のアルゴリズムに従って自動的に対象者を特定してもよい。この場合、特定手段132は、例えば、ユーザにより特定された、又は所定のアルゴリズムに従って決められた優先度に従って対象者を特定する。一例において、特定手段132は、営業支援システム1にログインしているユーザ(営業員)自身又はその上司を対象者として特定する。別の例において、特定手段132は、特定説明変数に基づいて対象者を特定する。具体的には、特定手段132は、例えば以下の(ア)又は(イ)の営業体を対象者として特定する。
(ア)特定説明変数が顧客データに含まれる変数であり、特定説明変数の値が所定の条件を満たす顧客を担当顧客として有する営業体。
(イ)特定説明変数が営業体データに含まれる変数であり、特定説明変数が所定の条件を満たす営業体。
(ウ)特定説明変数が商品データに含まれる変数であり、特定説明変数の値が所定の条件を満たす商品を取り扱う営業体。
(エ)特定説明変数が商品データに含まれる変数であり、特定説明変数の値が所定の条件を満たす結果に対応する営業体。
【0070】
(ア)~(エ)の例において、特定説明変数は、準備段階の分析において指定目的変数との相関が基準よりも高いことが示されている変数である。所定の条件とは、指定目的変数の値が基準よりも悪い状態となる条件である。(ア)の一例として、特定説明変数は顧客動向/属性であり、所定の条件とは、特定説明変数の値が、指定目的変数(例えば預かり資産額)の値が悪い(例えば基準より低い)状態に相当する条件である。(イ)の一例として、特定説明変数は営業体動向/属性であり、所定の条件とは、特定説明変数の値が、指定目的変数(例えば預かり資産額)の値が悪い(例えば基準より低い)状態に相当する条件である。(ウ)の一例として、特定説明変数は特定の商品の属性であり、所定の条件とは指定目的変数(例えば部支店の預かり資産増加率)の値が悪い(例えば基準より低い)状態に相当する条件である。(エ)の一例として、特定説明変数が回転率であり、所定の条件とは指定目的変数(例えば預かり資産額)の値が悪い(例えば基準より低い)状態に相当する条件である。
【0071】
ステップS6において、支援情報生成部1124は、指定目的変数と特定説明変数との組み合わせに応じて提言を生成する。詳細には以下のとおりである。支援情報生成部1124は、相関分析部1122による分析結果に基づいて、支援情報データベース1123に記録された情報から適切なテンプレート又は素案を選択し、これを加工して、対象となる事項及び提言の分類について営業行動支援データを生成する。対象となる事項とは、入力されたデータのいずれか、すなわち、顧客、営業員、部支店、及び商品の少なくともいずれかを含む事項をいう。提言の分類とは、対象者に対する提言の文言の分類をいい、例えば、(1)顧客商品動向分析・支援(対象となる顧客に対して薦めるべき商品に関する情報)、(2)顧客接触状況分析・支援(営業員又は営業員の管理者及び営業体管理部門に対する提言)、(3)訪問接触効率・提言(営業員の営業活動の効率性を示す情報)、(d)顧客開拓促進・提言(対象となる商品を薦めるべき顧客に関する情報)、(5)コンプライアンス上の文言提言(営業員の営業活動に関する注意喚起)、及び(6)スキル等と実績との相関度・影響度(営業員に対して取得を薦める資格又はスキルに関する情報)に分類される。営業行動支援データとは、分析結果に基づいて選択、加工された提言に関する情報をいう。以下に支援情報生成部1124により出力される提言について、いくつか具体例を示す。以下の具体例は上記の仮説a~dとは別の例である。
【0072】
支援情報データベース1123において、各テンプレートは、目的変数と説明変数との組み合わせに対応付けられる。あるいは、各テンプレートは、提言の分類に対応付けられてもよい(提言の分類はそれぞれ目的変数と説明変数との組み合わせが異なっているので、間接的に目的変数と説明変数との組み合わせに対応付けられると言える)。
【0073】
(1)顧客商品動向分析・支援では、相関分析部1122は、準備段階において商品データ及び顧客データの組み合わせと結果データとの相関を分析する。支援情報生成部1124は、使用段階においてこの分析結果を用いた支援を行う。例えば、相関分析部1122は、顧客動向及び顧客属性を説明変数とし、特定の商品(例えば、商品状況で売上金額が最も高い商品)の売上を目的変数として相関分析を行う。この分析は、仮説cで例示した数量化1類の分析である。この分析により、この商品の売上との相関が高い顧客動向及び顧客属性(ここで「特定動向/属性」という)が明らかになる。対象者がユーザにより指定された場合、支援情報生成部1124は、その分析結果に基づいて、対象者が担当する顧客のうち、特定動向/属性を有しているがまだこの商品を購入していない顧客を、潜在顧客として抽出する。支援情報生成部1124は、適切な提言のテンプレート又は素案を選択し、これを加工して、具体的な営業行動支援データを生成する。例えば、営業行動支援データは、「(営業員)Xさん、最近、全店舗合計の売上1位の商品Aは、年齢〇〇以上、職業△△、商品Bを保有している顧客が購入しています。(営業員)Xさんの顧客の中では、Pさん、Qさん、Rさんに提案したらいかがですか?」といった内容を含む。
【0074】
この例において「適切な提言のテンプレート」とは、商品の売上(目的変数の一例)と顧客動向/属性(説明変数の一例)との組み合わせに対応するテンプレートである。このテンプレートは、例えば、「(対象者)さん、(商品属性)の(特定の商品)は、(顧客動向/属性)の顧客が購入しています。(営業員)さんの顧客の中では、(潜在顧客)さんに提案したらいかがですか?」という内容を含む。支援情報生成部1124は、このテンプレートに対し具体的な属性の値等を入力して提言の文言を生成する。
【0075】
この例において、特定手段132はユーザの指定に基づいて対象者を特定するのではなく、特定説明変数に基づいて自動的に対象者を特定してもよい。例えば、特定手段132は、特定動向/属性に相当する顧客動向及び/又は顧客属性を有しているが、まだその特定の商品を購入していない顧客を担当顧客として有する営業体を、対象者として特定する。この例において、特定動向/属性が特定説明変数の一例である。特定動向/属性に相当する顧客動向及び/又は顧客属性を有しているがまだその特定の商品を購入していない顧客を担当顧客として有する営業体が、対象者の一例である。
【0076】
(2)顧客接触状況分析・支援では、相関分析部1122は、準備段階において営業員データ(より具体的には営業員動向)と結果データとの相関を分析する。支援情報生成部1124は、使用段階においてこの分析結果を用いた支援を行う。例えば、相関分析部1122は、営業員動向を説明変数とし、営業成績(具体的には例えば預かり資産の額)を目的変数として相関分析を行う。この分析は、仮説cで例示した数量化1類の分析である。この分析により、営業成績との相関が高い営業員動向(ここで「特定動向」という)が明らかになる。支援情報生成部1124は、その分析結果に基づいて、特定動向に関する注意喚起を生成する。ここで、対象者がユーザにより指定された場合を想定する。例えば、相関分析部1122が、顧客との月間接触回数が特定動向であることを分析により明らかにした場合において、さらに、対象者について顧客との月間接触回数(特定動向の指標の一例)が、他の営業員(例えば営業成績が上位10%の営業員の、月間接触回数の最小値)との比較において劣っていることを発見したときは、支援情報生成部1124が、その分析結果に基づいて、適切な提言のテンプレート又は素案を選択し、これを加工して、具体的な営業行動支援データを生成する。例えば、営業行動支援データは、月間接触回数を営業成績が上位10%の営業員の平均回数まで増やす注意喚起をするための営業行動支援データを生成する。具体的には、営業行動支援データは、「(営業員)Xさんの顧客への月間接触回数が、営業成績上位の皆さんの平均○○回と比べて△△%低い□□回となっています。営業成績を上げるには月間接触回数を最低○○回は行ってください。」といった内容を含む。営業成績とは、預かり資産の額、手数料収入の収益額等をいう。
【0077】
この例において「適切な提言のテンプレート」とは、営業成績(目的変数の一例)と営業員動向(説明変数の一例)との組み合わせに対応するテンプレートである。このテンプレートは、例えば、「(対象者)さんの(営業員動向)が、(目的変数)上位の皆さんの平均○○回と比べて△△%低い□□回となっています。(目的変数)を上げるには(営業員動向)を最低○○回は行ってください。」というように、目的変数の値を改善するための内容を含む。支援情報生成部1124は、このテンプレートに対し具体的な属性の値等を入力して提言の文言を生成する。
【0078】
この例において、特定手段132はユーザの指定に基づいて対象者を特定するのではなく、特定説明変数に基づいて自動的に対象者を特定してもよい。例えば、特定手段132は、預かり資産の額との相関が高い営業員動向に相当する営業員動向を有する営業員を、対象者として特定する。この例において、預かり資産の額との相関が高い営業員動向が特定説明変数の一例である。預かり資産の額との相関が高い営業員動向に相当する営業員動向を有する営業員が、対象者の一例である。
【0079】
(3)訪問接触効率・提言では、相関分析部1122は、準備段階において部支店データと結果データとの相関を分析する。支援情報生成部1124は、使用段階においてこの分析結果を用いた支援を行う。例えば、相関分析部1122は、部支店動向及び部支店属性を説明変数とし、営業成績(具体的には例えば預かり資産の額)を目的変数として相関分析を行う。この分析は、仮説cで例示した数量化1類の分析である。この分析により、営業成績(すなわち預かり資産額)との相関が高い部支店動向及び部支店属性(ここで「特定動向/属性」という)が明らかになる。なお「部支店のグループ」に含まれる部支店は単一であってもよい。支援情報生成部1124は、その分析結果に基づいて、特定動向に関する注意喚起を生成する。ここで、対象者がユーザにより指定された場合を想定する。例えば、相関分析部1122が、顧客への接触回数が特定動向/属性であることを分析により明らかにした場合において、さらに、対象者である特定の部支店について顧客との接触率(特定動向/属性の指標の一例)が他の部支店(例えば営業成績が上位10%の部支店における接触率の最小値)との比較において劣っていることを発見したときは、支援情報生成部1124は、その分析結果に基づいて、適切な提言のテンプレート又は素案を選択し、これを加工して、具体的な営業行動支援データを生成する。例えば、営業行動支援データは、接触する顧客を再検討する注意喚起、又は取引額が高い顧客との接触回数を増やす注意喚起をするための営業行動支援データを生成する。例えば、営業行動支援データは、「(支店長)Yの支店では、大手顧客との接触率が他支店の平均○○%と比べて△△%と低くなっています。このままでは営業部門目標の達成に懸念がありますので、接触する顧客を再検討することをお勧めします。」といった内容、または、「(支店長)Yの支店では、大手顧客への接触率が他支店の平均○○%と比べて△△%と低くなっています。このままでは営業部門目標の達成に懸念がありますので、大手顧客C、大手顧客Dへの訪問を増やしてください。」といった内容を含む。大手顧客とは、現在までの取引額が高い顧客をいう。大手顧客との接触率とは、[大手顧客との接触回数/全顧客との接触回数]により算出される値をいう。営業部門目標とは、預かり資産における額の増大、手数料収入における収益額の増大等をいう。
【0080】
この例において「適切な提言のテンプレート」とは、営業成績(目的変数の一例)と部支店動向/属性(説明変数の一例)との組み合わせに対応するテンプレートである。このテンプレートは、例えば、「(対象者)では、(部支店動向)が他支店の平均○○%と比べて△△%と低くなっています。このままでは営業部門目標の達成に懸念がありますので、接触する顧客を再検討することをお勧めします。」というように、目的変数の値を改善するための内容を含む。支援情報生成部1124は、このテンプレートに対し具体的な属性の値等を入力して提言の文言を生成する。
【0081】
この例において、特定手段132はユーザの指定に基づいて対象者を特定するのではなく、特定説明変数に基づいて自動的に対象者を特定してもよい。例えば、特定手段132は、特定動向/属性に相当する部支店動向及び/又は部支店属性を有する部支店を、対象者として特定する。この例において、特定動向/属性が特定説明変数の一例である。特定動向/属性に相当する部支店動向及び/又は部支店属性を有する部支店が対象者の一例である。
【0082】
(4)顧客開拓促進・提言では、相関分析部1122は、準備段階において顧客データと結果データとの相関を分析する。支援情報生成部1124は、使用段階においてこの分析結果を用いた支援を行う。例えば、相関分析部1122は、顧客動向及び顧客属性を説明変数とし、預かり資産増加率を目的変数として相関分析を行う。この分析は仮説cで例示した数量化1類の分析である。この分析により、預かり資産増加率との相関が高い顧客動向及び顧客属性(ここで「特定動向/属性」という)が明らかになる。支援情報生成部1124は、その分析結果に基づいて、特定動向/属性を有するが現時点の預かり資産が基準より少ない顧客を、潜在顧客とし抽出する。ここで、対象者がユーザにより指定された場合を想定する。支援情報生成部1124は、対象者である営業員が担当する顧客の中から潜在顧客を抽出する。支援情報生成部1124は、適切な提言のテンプレート又は素案を選択し、これを加工して、具体的な営業行動支援データを生成する。例えば、営業行動支援データは、特定動向/属性を有する顧客を特定する情報を含む。具体的には、営業行動支援データは、「(営業員)Xさんの顧客の中では、Pさん、Qさん、Rさんは、これらの潜在資産の規模から見て大いに開拓の余地があります。そのため、これらの顧客に積極的に接触し、相続対策や金融商品を提案してください。」といった内容を含む。
【0083】
この例において「適切な提言のテンプレート」とは、預かり資産増加率(目的変数の一例)と顧客動向/属性(説明変数の一例)との組み合わせに対応するテンプレートである。このテンプレートは、例えば、「(対象者)さんの顧客の中では、(潜在顧客)さんは、これらの潜在資産の規模から見て大いに開拓の余地があります。そのため、これらの顧客に積極的に接触し、相続対策や金融商品を提案してください。」というように、目的変数の値を改善するための内容を含む。支援情報生成部1124は、このテンプレートに対し具体的な属性の値等を入力して提言の文言を生成する。
【0084】
この例において、特定手段132はユーザの指定に基づいて対象者を特定するのではなく、特定説明変数に基づいて自動的に対象者を特定してもよい。例えば、特定手段132は、特定動向/属性に相当する顧客動向及び顧客属性を有するが現時点での預かり資産が基準より少ない顧客を担当顧客として有する営業員を、対象者として特定する。この例において、特定動向/属性が特定説明変数の一例である。特定動向/属性に相当する顧客属性を有するが現時点での預かり資産が基準より少ない顧客を担当顧客として有する営業員が対象者の一例である。
【0085】
(5)コンプライアンス上の文言提言では、相関分析部1122は、準備段階において過去の(コンプライアンス上の)問題事例を教師データとして学習し、顧客動向/属性、営業体動向/属性、商品属性、及び結果データとの相関を分析する。支援情報生成部1124は、使用段階においてこの分析結果を用いた支援を行う。例えば、相関分析部1122は、顧客動向/属性、営業体動向/属性、商品属性、及び取引回数を説明変数とし、コンプライアンス上の問題の有無を目的変数として相関分析を行う。この分析は仮説dで例示した数量化2類の分析である。この分析により、顧客データ、営業体データ、商品データ、及び取引回数とコンプライアンス上の問題の有無との相関が明らかになる。ここで、対象者がユーザにより指定された場合を想定する。例えば、過去の問題事例として架空取引案件のデータが入力され、これを学習した結果、接触回数が少ないにもかかわらず取引額又は取引回数が多い顧客が存在した場合、架空取引の可能性があることが相関分析部1122の分析により明らかになった場合において、さらに、相関分析部1122が、この条件に当てはまる顧客データを発見したときは、支援情報生成部1124は、対象者、例えばこの顧客を担当する営業員を管理する管理職(又はそのさらに上位職)に対し、問題事例の可能性を提言するための営業行動支援データを生成する。例えば、営業行動支援データは、「(支店長)Yさん、担当者である(営業員)Xによる顧客への接触がほとんど行われていないにもかかわらず、頻繁に取引を行う顧客がいます。そのリストを表示しましたので、これら顧客の運用目的、運用の意思決定の仕方、または、損益について調査してください。」といった内容を含む。
【0086】
この例において「適切な提言のテンプレート」とは、コンプライアンス上の問題の有無(目的変数の一例)と顧客動向/属性、営業体動向/属性、商品属性、及び取引回数(説明変数の一例)との組み合わせに対応するテンプレートである。このテンプレートは、例えば、「(対象者)さん、(部下の営業員)による顧客への接触がほとんど行われていないにもかかわらず、頻繁に取引を行う顧客がいます。そのリストを表示しましたので、これら顧客の運用目的、運用の意思決定の仕方、または、損益について調査してください。」というように、目的変数の値を改善するための内容を含む。支援情報生成部1124は、このテンプレートに対し具体的な属性の値等を入力して提言の文言を生成する。
【0087】
この例において、特定手段132はユーザの指定に基づいて対象者を特定するのではなく、特定説明変数に基づいて自動的に対象者を特定してもよい。例えば、特定手段132は、コンプライアンス上の問題の有無との相関が高い顧客データ、営業体データ、商品データ、及び取引回数に相当する取引を行った営業員の上司を、対象者として特定する。この例において、コンプライアンス上の問題の有無との相関が高い顧客データ、営業体データ、商品データ、及び取引回数が特定説明変数の一例である。コンプライアンス上の問題の有無との相関が高い顧客データ、営業体データ、商品データ、及び取引回数に相当する取引を行った営業員が対象者の一例である。
【0088】
(6)スキル等と実績との相関度・影響度では、相関分析部1122は、準備段階において営業員データ(より具体的には営業員属性)と結果データとの相関を分析する。支援情報生成部1124は、使用段階においてこの分析結果を用いた支援を行う。例えば、相関分析部1122は、営業員の資格の有無及びスキルを説明変数とし、営業成績(例えば預かり資産の額)を目的変数として相関分析を行う。この分析は仮説dで例示した数量化1類の分析である。この分析により、営業員の資格及びスキルを分析して営業成績との相関が高い営業員属性(ここで「特定属性」という)を明らかにする。ここで、対象者がユーザにより指定された場合を想定する。そして、対象者の営業成績が、他の営業員(例えば同一職位の他の営業員)における営業成績の代表値(例えば平均値)と比べて低い場合において、その特定の営業員が特定属性を有していないときは、支援情報生成部1124は、その分析結果に基づいて、特定属性に関する提言するための営業行動支援データを生成する。例えば、営業支援データは、特定の資格又は特定のスキルを取得するための講座の受講等を勧める内容を含む。具体的には、営業支援データは、「(営業員)Xさんの営業活動について、○○スキルに改善の余地があると思われます。営業成績を上げるため、△△資格の取得を目指されたらどうですか。また、○○スキルに関する講座の受講もお勧めします。」といった内容を含む。
【0089】
この例において「適切な提言のテンプレート」とは、営業成績(目的変数の一例)と営業員属性(特に資格又はスキルの有無。説明変数の一例)との組み合わせに対応するテンプレートである。このテンプレートは、例えば、「(対象者)さんの営業活動について、(営業員属性)に改善の余地があると思われます。営業成績を上げるため、△△資格の取得を目指されたらどうですか。また、○○スキルに関する講座の受講もお勧めします。」というように、目的変数の値を改善するための内容を含む。支援情報生成部1124は、このテンプレートに対し具体的な属性の値等を入力して提言の文言を生成する。
【0090】
この例において、特定手段132はユーザの指定に基づいて対象者を特定するのではなく、特定説明変数に基づいて自動的に対象者を特定してもよい。例えば、特定手段132は、営業成績が基準より低く、かつ営業成績との相関が高い資格及びスキルを有さない営業員を対象者として特定する。この例において、営業成績との相関が高い資格及びスキルの有無が特定説明変数の一例である。営業成績が基準より低く、かつ営業成績との相関が高い資格及びスキルを有さない営業員が対象者の一例である。
【0091】
なお相関分析部1122が行う分析、及び支援情報生成部1124が生成する支援情報は、上記の例(1)~(6)に限定されない。例えば、相関分析部1122が仮説aの分析を行い、この分析結果に従って支援情報生成部1124が支援情報を生成してもよい。例えば、顧客への訪問回数と成約件数との相関が基準より高いことが分析により明らかになっている場合において、対象者である営業員が、他の営業員(例えば、営業成績が上位10%の営業員)と比較して顧客への訪問回数が少ない場合、支援情報生成部1124が生成する営業支援データは、例えば「(営業員)Xさん、顧客への訪問回数が少ないようです。月に○回を目標として積極的に顧客訪問してください。」といった内容を含む。あるいは、相関分析部1122が仮説bの分析を行い、この分析結果に従って支援情報生成部1124が支援情報を生成してもよい。例えば、ある商品Pの販売実績(すなわち販売の有無)と顧客の保有金融資産額との相関が基準より高いことが分析により明らかになっている場合において、対象者である営業員の顧客の中に、商品Pをまだ購入しておらずかつ保有金融資産額が基準よりも高い顧客がいる場合、支援情報生成部1124が生成する営業支援データは、「(営業員)Xさん、あなたの顧客の中でPさん、Qさん、Rさんに商品Pを勧めて下さい。いまこの顧客層に商品Pが売れています」といった内容を含む。なお、保有金融資産額の基準は、例えば、商品Pの購入確率が基準値を超える値である。
【0092】
相関分析部1122は、上記の例を含む複数の分析を全て行ってもよいし、これら複数の分析のうち一部のみを行ってもよい。
【0093】
再び図7Bを参照する。ステップS7において、出力手段121は、支援情報生成部1124から受け付けた営業行動支援データに関する情報を表示する画面を表示させるための表示データを、対象となるクライアント装置20に出力する。対象となるクライアント装置20は、サーバ装置10にアクセスしてきたクライアント装置、又は対象者が使用するクライアント装置20である。クライアント装置20は、サーバ装置10に対し、提言の出力要求を送信する。この出力要求は、対象となる事項及び提言の分類を特定する情報を含む。例えば、営業員がログインしているクライアント装置20から、営業員を対象とする、顧客商品動向分析についての提言の出力要求が送信される。どの分類の提言を要求するかは、例えばクライアント装置20のユーザにより指定される。あるいは、クライアント装置20のソフトウェアがお薦めの分類を選択し、これをユーザに通知してもよい。さらにあるいは、サーバ装置10がお薦めの分類を選択し、これをクライアント装置20に送信してもよい。
【0094】
あるいは、サーバ装置10は所定のイベントを契機として、クライアント装置20に対し提言を表示するための表示データを自発的に送信してもよい。表示データを送信する契機となるイベントは、例えば、サーバ装置10がクライアント装置20からログイン要求を受信したというイベントである。あるいは、この契機となるイベントは、前回、提言の表示データを出力してから所定の時間が経過したというイベントである。
【0095】
図9及び図10は、提言の出力画面を例示する図である。この画面は、(1)顧客商品動向分析・支援において出力される画面の一例である。この例の図9において、提言701は、「営業員Xさん、最近、全店舗合計の売上1位の商品Aは、年齢〇〇以上、職業△△、商品Bを保有している顧客が購入しています。」という提言を、この例の図10において、提言702は、「営業員Xさんの顧客の中では、山田太郎さん、鈴木一郎さんに提案したらいかがですか?」という提言を表すUIオブジェクトである。
【0096】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0097】
営業支援システム1において支援の対象となる事業体は金融機関に限定されない。例えば、自動車販売や化粧品販売等、金融機関以外の事業体に営業支援システム1が適用されてもよい。
【0098】
出力手段121により出力される提言は実施形態において例示したものに限定されない。実施形態においては、指定された目的変数の値が基準よりも悪いときに、その目的変数を改善するような提言をする例を説明した。しかし、出力手段121は、指定された目的変数の値が基準よりも良いときに、その状態を維持するような(又はそれまでの結果を褒めるような)提言を出力してもよい。
【0099】
相関分析部1122は、AI又は機械学習の技術を用いるものに限定されない。相関分析部1122は、顧客データ、営業体データ(営業員データ及び部支店データ)、及び商品データと、結果データとの相関を分析するものであればどのようなものでもよく、例えば、与えられた相関モデルに基づいてこれらの相関を分析するものであってもよい。この相関モデルは、プログラムに組み込まれていてもよいし、後からデータとして入力されてもよい。
【0100】
サーバ装置10及びクライアント装置20における機能の分担は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、クライアント装置20に専用のアプリケーションプログラムをインストールし、このアプリケーションプログラムにより、学習手段111、分析手段112、出力手段121等の機能がクライアント装置20に実装されてもよい。この例によれば、サーバ装置10にアクセスできないスタンドアローンの環境でも営業員の支援をすることができる。
【0101】
実施形態において説明したフロー(処理の順番)及びUI画面等はあくまで例示であり、本願発明はこれに限定されない。例えば、実施形態においては目的変数の指定をした後で対象者が特定される例を説明したが、この順序は入れ替えられてもよい。すなわち、対象者が特定された後で目的変数が指定されてもよい。また、実施形態においては目的変数の指定及び対象者の特定があった後で提言が生成される例を説明したが、提言が先に生成されてもよい。この場合、支援情報生成部1124は、まず目的変数と対象者との考えられる全ての組み合わせについて提言を生成する。提言が生成された後で、目的変数の指定及び対象者の特定が行われる。支援情報生成部1124は、既に生成された複数の提言の中から、指定された目的変数及び特定された対象者に対応する提言を選択する。
【0102】
サーバ装置10及びクライアント装置20のハードウェア構成はあくまで例示である。要求される機能を実装できるものであれば、サーバ装置10及びクライアント装置20はどのようなハードウェア構成を有していてもよい。
【0103】
CPU151又はCPU251等のプロセッサにより実行されるプログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の非一時的な記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…営業支援システム、3…ネットワーク、10…サーバ装置、20…クライアント装置、101…入力手段、102…入力手段、103…入力手段、104…入力手段、105…記憶手段、111…学習手段、112…分析手段、121…出力手段、131…受け付け手段、132…特定手段、151…CPU、152…メモリ、153…ストレージ、201…通信手段、202…入力手段、203…表示手段、204…制御手段、205…記憶手段、251…CPU、252…メモリ、253…ストレージ、255…表示装置、256…入力装置、701…提言、702…提言、1121…仮説データベース、1122…相関分析部、1123…支援情報データベース、1124…支援情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10