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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049475
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】非接触充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/50 20160101AFI20220322BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220322BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220322BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20220322BHJP
【FI】
H02J50/50
H02J50/12
H02J7/00 301D
H02J50/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155702
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100113011
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 秀和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義信
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503GB08
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】中継コイルを備える非接触充電システムであって、中継コイルを大型化することなく中継コイルの自己インダクタンスを増加させるとともに充電効率を向上することが可能な非接触充電システムを提供する。
【解決手段】この非接触充電システムは、給電される電力を送電する送電コイルと、送電コイルにより送電される電力を受電する受電コイルと、送電コイルと受電コイルの間に配置され送電コイルから受電コイルに送電される電力を中継する中継コイルとを備える。この非接触充電システムは、中継コイルの内径側のみにコアが挿入されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを電源と非接触で充電する非接触充電システムであって、
前記電源により給電される電力を送電する送電コイルと、
前記送電コイルにより送電される電力を受電する受電コイルと、
前記送電コイルと前記受電コイルの間に配置され、前記送電コイルから前記受電コイルに送電される電力を中継する中継コイルと、
を備え、
前記中継コイルの内径側のみにコアが挿入されている
ことを特徴とする非接触充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを電源と非接触で充電する非接触充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導方式や磁界共振方式による非接触充電システムでは、電源から給電される電力を送電する送電コイルと、送電コイルにより送電される電力を受電する受電コイルが備えられる。さらに送電コイルと受電コイルとの間に、送電コイルから受電コイルに送電される電力を中継する中継コイルを配置することで、送電距離の拡大や給電効率の向上、延いては送電コイルを含む送電装置及び受電コイルを含む受電装置の小型化、低コスト化ができることが知られている。
【0003】
特許文献1には、送電コイルと受電コイルとの間に、共振回路を構成する中継コイルを独立に配置した非接触充電システムが提案されている。この非接触充電システムでは、共振回路が共振することにより、中継コイルがコイル間に形成される磁路に対して励磁無効電力を供給する。これにより、共振回路を高電圧化することで、送電装置と受電装置の高電圧化を伴うことなく、大きな送電距離が実現可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-173503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中継コイルを備える非接触充電システムにおいて、送電装置及び受電装置が小型化により小さくなるにつれて、中継コイルの自己インダクタンスが減少し充電効率が低下する。これに対して、自己インダクタンスを増加させるために中継コイルの巻き数を増やすと、中継コイルが大型となり、延いてはコストが高くなるという課題がある。
【0006】
一方で中継コイルにコアを備えることで、中継コイルの巻き数を増やすことなく自己インダクタンスを増加させることができる。しかし、コアを備える形態によって、送電コイルと中継コイルの間の相互インダクタンス(以下「送電/中継間相互インダクタンス」とも称する。)又は中継コイルと受電コイルの間の相互インダクタンス(以下「中継/受電間相互インダクタンス」とも称する。)が減少し、各コイル間の結合係数の減少、延いては充電効率が低下するという課題がある。
【0007】
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたもので、中継コイルを大型化することなく、中継コイルの自己インダクタンスを増加させ、また充電効率を向上することが可能な非接触充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る非接触充電システムは、バッテリを電源と非接触で充電する非接触充電システムであって、送電コイルと、受電コイル、中継コイルを備える。
【0009】
送電コイルは、電源により給電される電力を送電する。受電コイルは、送電コイルにより送電される電力を受電する。中継コイルは、送電コイルと受電コイルの間に配置され、送電コイルから受電コイルに送電される電力を中継する。
【0010】
この非接触充電システムは、中継コイルの内径側のみにコアが挿入されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明者らは、中継コイルの内径側のみにコアを挿入することにより、送電/中継間相互インダクタンス及び中継/受電間相互インダクタンスの両方を増加させることができることを見出している。
【0012】
ゆえに、本発明により中継コイルの内径側のみにコアが挿入されることで、中継コイルの自己インダクタンスを増加するができるとともに、充電効率を向上することができる。さらに、中継コイルを大型化することなく中継コイルの自己インダクタンスを増加させることができるため、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る非接触充電システムの構成の概要を説明するための模式図である。
図2図1に示す非接触充電システムの回路構成を示す回路図である。
図3】中継コイルに中継コアを挿入する場合の複数の形態を示す概念図である。
図4】中継コアを備える形態による送電/中継間相互インダクタンスの比較を示す図である。
図5】中継コアを備える形態による中継/受電間相互インダクタンスの比較を示す図である。
図6】中継コアを備える形態によるコイル間効率の比較を示す図である。
図7】中継コイルの巻き数を増やして自己インダクタンスを増加させた場合と中継コアを中継コイルの内径側のみに挿入して自己インダクタンスを増加させた場合における、中継コイルL2の最外径の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数が特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造などは、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0015】
1.構成例
1-1.非接触充電システムの構成の概要
図1は、本実施の形態に係る非接触充電システム10の構成の概要を説明するための模式図である。非接触充電システム10は、送電装置100と、中継装置200と、受電装置300と、電源400と、バッテリ500とを含んでいる。
【0016】
送電装置100及び電源400は、典型的には、地面、路面、床面等に定置される。受電装置300及びバッテリ500は、典型的には、充電対象となる車両等の移動体に搭載されている。
【0017】
図1には、1つの受電装置300及びバッテリ500が示されているが、充電対象となる移動体が複数ある場合には、それぞれの移動体に図1に示す受電装置300及びバッテリ500が搭載される。
【0018】
送電装置100、中継装置200、及び受電装置300の各装置に含まれるコイルが互いに磁界共振することにより、受電装置300は、中継装置200を介して、送電装置100から非接触で電力を受電する。
【0019】
電源400は、送電装置100と接続し、送電装置100に電力を給電する。電源400は、例えば電圧100V、周波数50Hzの商用電源である。バッテリ500は、受電装置300と接続し、受電装置300から電力が充電される。バッテリ500は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池を含む再充電可能な直流電源である。
【0020】
送電装置100は、送電コイル部101と、ACDC変換部110と、インバータ部120とを備えている。
【0021】
ACDC変換部110は、電源400から供給される交流電力を整流及び変圧し、インバータ部120へ直流電力を出力する。
【0022】
インバータ部120は、ACDC変換部110から出力される直流電力を所定周波数の交流電力に変換し、送電コイル部101へ交流電力を出力する。インバータ部120は、出力する交流電力の周波数が、後述する受電コイル部301の共振周波数と一致するように直流電力を変換する。インバータ部120が出力する交流電力の周波数は、例えば、85kHz程度の高周波である。以下、インバータ部120が出力する交流電力の周波数(受電コイル部301の共振周波数)を「f」で表す。
【0023】
送電コイル部101は、後述するように、コイル(送電コイル)とコンデンサを含んでおり、共振回路を構成している。送電コイル部101は、共振周波数がfとなるように構成されている。送電コイルは、インバータ部120から共振周波数fで出力される電力によって、後述する中継コイルと磁界共振し、中継装置200に電力を送電する。
【0024】
中継装置200は、中継コイル部201と、中継コア202とを備えている。中継装置200は、送電装置100と受電装置300との間に配置される。
【0025】
中継コイル部201は、後述するように、コイル(中継コイル)とコンデンサを含んでおり、共振回路を構成している。中継コイル部201は、共振周波数がfとなるように構成されている。中継コイルは、送電コイルにより共振周波数fで送電される電力によって、送電コイル及び後述する受電コイルと磁界共振し、送電装置100から電力を受電して受電装置300に電力を送電する。つまり、中継コイルは、送電装置100から受電装置300に送電される電力を中継する。
【0026】
中継コア202は、図1に示すように、中継コイルの内径側のみに挿入されている。中継コア202により、漏れ磁束が低減され中継コイルの自己インダクタンスが増加する。また、後述するように、送電/中継間相互インダクタンス及び中継/受電間相互インダクタンスの両方を増加させることができる。
【0027】
受電装置300は、受電コイル部301と、整流部320とを備えている。
【0028】
受電コイル部301は、後述するように、コイル(受電コイル)とコンデンサを含んでおり、共振回路を構成している。受電コイルは、中継コイルにより共振周波数fで送電される電力によって、中継コイルと磁界共振し、中継装置200から電力を受電する。
【0029】
整流部320は、受電コイル部301が受電する電力を平滑化された直流電力に変換して出力する。整流部320から出力される直流電力がバッテリ500の充電電力となる。
【0030】
1-2.非接触充電システムの回路構成
図2は、本実施の形態に係る非接触充電システム10の回路構成を示す回路図である。図2に示される送電装置100、中継装置200、受電装置300、電源400、バッテリ500、送電コイル部101、ACDC変換部110、インバータ部120、中継コイル部201、受電コイル部301、整流部320は、それぞれ図1に図示するものと対応している。
【0031】
まず送電装置100の回路構成について説明する。送電装置100は、図2に示されるように、電源400が入力端子に接続され、ACDC変換部110と、インバータ部120と、送電コイル部101がそれぞれ縦続接続するように構成されている。
【0032】
ACDC変換部110は、例えばダイオード及びコンデンサを含んだ整流回路と、半導体スイッチング素子(IGBTやMOSFET等)を含んだ昇降圧回路により構成される。ACDC変換部110では、後述する制御回路140により半導体スイッチング素子が制御されることで、出力電圧、駆動、及び停止の制御が行われる。
【0033】
インバータ部120は、例えば複数の半導体スイッチング素子及び帰還ダイオードを含む単相フルブリッジ回路により構成される。インバータ部120では、後述する制御回路140によりパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)制御が行われることで、直流電力を共振周波数fの交流電力に変換する。また制御回路140は、インバータ部120の駆動及び停止の制御を行う。
【0034】
インバータ部120は、さらに後段にフィルタ回路を含むように構成されていても良い。フィルタ回路は、出力する交流電力の電磁ノイズを低減する。フィルタ回路は、例えばコンデンサとコイルにより構成されるローパスフィルタである。
【0035】
送電コイル部101は、送電コイルL1と、コンデンサC1による共振回路である。図2では、送電コイルL1とコンデンサC1を直列に接続する直列共振回路が示されているが、送電コイルL1とコンデンサC1を並列に接続する並列共振回路であっても良い。
【0036】
送電装置100には、いくつかのセンサが備えられている。センサ141は、電流センサで送電コイルL1に流れる電流を検出する。センサ142は、電流センサでACDC変換部110の出力電流を検出する。センサ143は、電圧センサでインバータ部120の入力電圧を検出する。
【0037】
ACDC変換部110と、インバータ部120と、送電装置100に備える各センサは、制御回路140と接続している。また制御回路140は、通信回路150と接続している。
【0038】
制御回路140は、送電装置100に備える各センサの検出値の情報と、通信回路150から取得する情報を入力とし、これらの情報に基づいてACDC変換部110及びインバータ部120に対する制御信号を生成し出力する。これにより、ACDC変換部110及びインバータ部120の出力電力を制御し、延いてはバッテリ500の充電電力を調整する。また制御回路140は、取得する各センサの検出値の情報及び制御信号の情報を通信回路150に出力する。
【0039】
制御回路140は、メモリと、プロセッサとを備えている。メモリはデータを一時的に記録するRAM(Random Access Memory)と、プロセッサで実行可能な制御プログラムや制御プログラムに関連する種々のデータを保存するROM(Read Only Memory)とを含んでいる。制御回路140が入力する情報は、メモリに記憶される。プロセッサは、制御プログラムやデータをメモリから読み出して実行し、読み出される情報に基づいて制御信号を生成する。
【0040】
通信回路150は、後述する通信回路250及び通信回路350と情報を互いに通信することができるように構成されている。通信回路150は、制御回路140から取得する情報を、通信回路250及び通信回路350へ出力し、通信回路250及び通信回路350から取得する情報を、制御回路140へ出力する。
【0041】
制御回路140及び通信回路150は、図2に示されるように、送電装置100に備えられる。あるいは、送電装置100の外部に備えられ、無線で入出力の通信を行うように構成されていても良い。
【0042】
次に中継装置200の回路構成について説明する。中継装置200は、図2に示されるように、中継コイル部201により構成されている。
【0043】
中継コイル部201は、中継コイルL2と、コンデンサC2による共振回路である。図2では、中継コイルL2とコンデンサC2を直列に接続する直列共振回路が示されているが、中継コイルL2とコンデンサC2を並列に接続する並列共振回路であっても良い。
【0044】
中継装置200には、センサ241が備えられている。センサ241は、電流センサで中継コイルL2に流れる電流を検出する。センサ241は、検出装置240と接続している。また検出装置240は、通信回路250と接続している。
【0045】
検出装置240は、センサ241の検出値の情報を通信回路250に出力する。通信回路250は、前述するように、通信回路150及び通信回路350と情報を互いに通信することができるように構成されている。通信回路250は、検出装置240から取得する情報を、通信回路150及び通信回路350へ出力し、通信回路150及び通信回路350から取得する情報を、検出装置240へ出力する。
【0046】
検出装置240及び通信回路250は、図2に示されるように、中継装置200に備えられる。あるいは、中継装置200の外部に備えられ、無線で入出力の通信を行うように構成されていても良い。
【0047】
次に受電装置300の回路構成について説明する。受電装置300は、図2に示されるように、出力端子にバッテリ500が接続され、受電コイル部301と、整流部320が縦続接続するように構成されている。
【0048】
受電コイル部301は、受電コイルL3と、コンデンサC3による共振回路である。図2では、受電コイルL3とコンデンサC3を直列に接続する直列共振回路が示されているが、受電コイルL3とコンデンサC3を並列に接続する並列共振回路であっても良い。
【0049】
整流部320は、例えば複数のダイオードによる単相全波整流回路と、平滑化コンデンサにより構成される。整流部320は、さらに前段にフィルタ回路を含むように構成されていても良い。フィルタ回路は、受電コイル部301が受電する電力の電磁ノイズを低減する。
【0050】
受電装置300には、いくつかのセンサが備えられている。センサ341は、電流センサで受電コイルL3に流れる電流を検出する。センサ342は、電流センサで整流部320の出力電流を検出する。センサ343は、電圧センサでバッテリ500の電圧を検出する。
【0051】
整流部320と、受電装置300に備える各センサは、制御回路340と接続している。また制御回路340は、通信回路350と接続している。
【0052】
制御回路340は、受電装置300に備える各センサの検出値の情報と、通信回路350から取得する情報を入力とし、これらの情報に基づいてバッテリ500の充電電力や、充電電力の指令値を算出し出力する。また制御回路340は、取得する各センサの検出値の情報及び算出した値を通信回路350に出力する。
【0053】
制御回路340の構成は、制御回路140と同等である。制御回路340が入力する情報はメモリに記憶され、プロセッサは、制御プログラムやデータをメモリから読み出して実行し、読み出される情報に基づいて充電電力や充電電力の指令値を算出する。
【0054】
通信回路350は、前述するように、通信回路150及び通信回路250と情報を互いに通信することができるように構成されている。通信回路350は、制御回路340から取得する情報を、通信回路150及び通信回路250へ出力し、通信回路150及び通信回路350から取得する情報を、制御回路340へ出力する。
【0055】
通信回路150、通信回路250、及び通信回路350の間で通信され、制御回路140、検出装置240、及び制御回路340の間で共有される情報は、送電装置100の各センサの検出値及び制御回路140の制御信号の情報と、センサ241の検出値の情報と、受電装置300の各センサの検出値及び制御回路340の出力の情報と、その他の非接触充電システム10の情報を含んでいる。
【0056】
その他の非接触充電システム10の情報とは、各装置の制御回路のメモリにあらかじめ記憶される非接触充電システム10の情報(各装置に含まれる回路素子のパラメータや、充電対象の情報等)、各装置の過電流、過電圧、故障等により充電が継続できないことを通知するエラー情報、又は各装置の通信回路が図示されていない情報伝達路を通して取得する非接触充電システム10の情報等である。
【0057】
2.効果
中継コイルL2に中継コア202を備えることで、中継コイルL2の自己インダクタンスを増加させることができる。一方で、中継コア202を備える形態によっては、送電/中継間相互インダクタンス及び中継/受電間相互インダクタンスが減少してしまい、充電効率が低下する。
【0058】
中継コア202を備える形態は、中継コア202を中継コイルL2のどの部分に挿入するかによって複数考えられる。図3に、中継コア202を備える複数の形態を示す。図3は、中継コイルL2のコイル面を上から覗く図である。
【0059】
図3に示されるように、中継コア202を備える形態として、(b)の中継コイルL2の内径側のみに中継コア202を挿入する、(c)の中継コイルL2の内径側及び外径側の両方に中継コア202を挿入する、(d)の中継コイルL2の外径側のみに中継コア202を挿入する、の3つが考えられる。本実施の形態に係る非接触充電システム10は、(b)の形態である。
【0060】
図4は、中継コア202を備える形態による送電/中継間相互インダクタンスの比較を示すグラフである。図5は、中継コア202を備える形態による中継/受電間相互インダクタンスの比較を示すグラフである。図4及び図5に示す送電/中継間相互インダクタンス及び中継/受電間相互インダクタンスは、相互インダクタンスが最も小さくなり充電効率が最も低下する条件における各形態での値を示している。つまり、非接触充電システム10が想定する環境の中で、送電装置100と受電装置300との間の距離及び水平方向のずれが最大となる条件である。
【0061】
図4及び図5に示されるように、(b)の形態では(a)の中継コア202を挿入しない場合と比べて、送電/中継間相互インダクタンス及び中継/受電間相互インダクタンスの両方を増加させることができる。一方で、(c)及び(d)の形態では、送電/中継間相互インダクタンスは増加しているが、中継/受電間相互インダクタンスが減少する。
【0062】
このように、本実施の形態に係る非接触充電システム10は、中継コイルL2の内径側のみに中継コア202を挿入することで、中継コイルL2の自己インダクタンスを増加させることができるとともに、送電/中継間相互インダクタンス及び中継/受電間相互インダクタンスの両方が増加する。これにより、さらに充電効率を向上することができる。
【0063】
図6は、中継コア202を備える形態によるコイル間効率の比較を示す図である。図6に示すように、(a)の中継コア202を挿入しない場合と比べて、(c)及び(d)の形態では中継/受電間相互インダクタンスが減少したことに伴いコイル間効率が低下しているのに対して、(b)の形態では相互インダクタンスが減少せずコイル間効率を向上することができることがわかる。
【0064】
また、中継コア202を挿入することにより自己インダクタンスを増加させるため、中継コイルL2の巻き数を増やして自己インダクタンスを増加させる場合と比べて、中継コイルを小型化することができる。これにより、より低コストで充電効率を向上することができる。
【0065】
図7は、中継コイルL2の巻き数を増やして自己インダクタンスを増加させた場合と中継コア202を中継コイルL2の内径側のみに挿入して自己インダクタンスを増加させた場合における、中継コイルL2の最外径の比較を示すグラフである。
【0066】
図7に示すように、中継コア202を挿入することにより自己インダクタンスを増加させることで、中継コイルL2の巻き数を増やす場合と比べて、中継コイルL2を小型化することができることがわかる。
【符号の説明】
【0067】
10 非接触充電システム,100 送電装置,101 送電コイル部,110 ACDC変換部,120 インバータ部,200 中継装置,201 中継コイル部,202 中継コア,300 受電装置,301 受電コイル部,320 整流部,400 電源,500 バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7