(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049485
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/065 20060101AFI20220322BHJP
H01L 27/11582 20170101ALI20220322BHJP
H01L 27/11556 20170101ALI20220322BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220322BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220322BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H01L25/08 E
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L27/04 E
H01L21/88 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155713
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】井戸 道雄
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033VV07
5F033VV16
5F038BE07
5F038CA10
5F038DF05
5F038EZ07
5F038EZ20
5F083EP01
5F083EP76
5F083GA10
5F083ZA28
5F083ZA29
5F101BA00
5F101BB01
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】半導体チップをより高集積化することができる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体記憶装置は、基板と、第1半導体チップと、第2半導体チップとを備える。第1半導体チップは、基板に接する第1面と、第1面の反対側の第2面と、第2面に設けられた第1パッドとを有する。第2半導体チップは、第2面に接する第3面と、第3面の反対側の第4面と、切り欠き部とを有する。切り欠き部は、第3面と第4面との間にある側面と第3面とが交差する角部に設けられる。切り欠き部は、第4面の上方から見て第1パッドの少なくとも一部と重なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1半導体チップと、第2半導体チップとを備え、
前記第1半導体チップは、前記基板に接する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第2面に設けられた第1パッドとを有し、
前記第2半導体チップは、前記第2面に接する第3面と、前記第3面の反対側の第4面と、切り欠き部とを有し、
前記切り欠き部は、
前記第3面と前記第4面との間にある側面と前記第3面とが交差する角部に設けられ、
前記第4面の上方から見て前記第1パッドの少なくとも一部と重なる、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1半導体チップの前記第1パッドは、前記基板から延在するワイヤと電気的に接続され、
前記ワイヤは、前記第2半導体チップの切り欠き面横を離間して設けられる、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記切り欠き部は、前記第3面の中心部側から外周部側にかけて、前記第3面に対する切り欠き深さが徐々に大きくなるように設けられる、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2半導体チップは、
前記第3面側に配置される半導体基板と、
前記第4面側に配置され、前記半導体基板上に設けられる半導体素子と、をさらに有し、
前記切り欠き部は、前記半導体基板に設けられる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記切り欠き部は、前記半導体素子から離れて設けられる、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2半導体チップは、前記第4面に第2パッドを有し、
前記第2パッドは、前記第4面の上方から見て、少なくとも一部が前記切り欠き部と重なるように配置される、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2半導体チップは、前記第4面に第2パッドを有し、
前記第2パッドは、前記第4面の上方から見て、少なくとも一部が前記第1パッドと重なるように配置される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2半導体チップは、前記第4面の上方から見て、中心位置が前記第1半導体チップの中心位置と一致するように配置される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2半導体チップの前記第3面は、接着層を介して前記第1半導体チップの前記第2面と接着される、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等のような半導体記憶装置では、複数のメモリチップが基板上に積層される。積層されるメモリチップと基板との間は、金属ワイヤでボンディングされる。また、半導体記憶装置では、メモリチップの高集積化が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2013/0168871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体チップをより高集積化することができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体記憶装置は、基板と、第1半導体チップと、第2半導体チップとを備える。第1半導体チップは、基板に接する第1面と、第1面の反対側の第2面と、第2面に設けられた第1パッドとを有する。第2半導体チップは、第2面に接する第3面と、第3面の反対側の第4面と、切り欠き部とを有する。切り欠き部は、第3面と第4面との間にある側面と第3面とが交差する角部に設けられる。切り欠き部は、第4面の上方から見て第1パッドの少なくとも一部と重なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一例を示す半導体記憶装置の断面図。
【
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一例を示す半導体記憶装置の拡大断面図。
【
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成の配置の一例を示す半導体記憶装置の平面図。
【
図4】第1実施形態に係る半導体ウェハの個片化方法の一例を示す断面図。
【
図5】第1実施形態に係る半導体チップの加工方法の一例を示す断面図。
【
図6】第1比較例に係る半導体記憶装置の構成の一例を示す半導体記憶装置の断面図。
【
図7】第2比較例に係る半導体記憶装置の構成の一例を示す半導体記憶装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。以下の実施形態において、基板の上下方向は、半導体チップが設けられる面を上とした場合の相対方向を示す。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同様の要素には同一の符号を付す。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成の一例を示す半導体記憶装置1の断面図である。半導体記憶装置1は、配線基板11と、接着層群30と、接着層40と、半導体チップ群CH1と、半導体チップCH2と、ワイヤ群W1と、ワイヤW2と、樹脂23と、金属バンプBとを備える。
【0009】
配線基板11は、例えば、プリント基板等の基板である。配線基板11は、シリコン基板であってもよい。配線基板11は、ワイヤ群W1およびワイヤW2を介してそれぞれ半導体チップ群CH1および半導体チップCH2と接続可能である。
【0010】
接着層群30には、複数の接着層が含まれる。接着層群30に含まれる接着層および接着層40は、例えば、フィルム状の樹脂(DAF、Die Attach Film)である。接着層群30および接着層40は、配線基板11の上方に設けられる。
図1に示す例では、接着層群30は、複数の接着層31、32、33を含む。
【0011】
半導体チップ群CH1は複数の半導体チップを重ね合わせて接着したものである。すなわち、半導体チップ群CH1は積層構造を持つ。半導体チップ群CH1の積層数は、メモリ容量に応じて設定される。半導体チップ群CH1は、接着層群30によって、配線基板11上に接着される。
【0012】
半導体チップCH2は、例えば、コントローラチップである。半導体チップCH2は、半導体チップ群CH1と電気的に接続されて半導体チップ群CH1の動作を制御する。半導体チップCH2は、例えば、
図1に示すように、半導体チップ群CH1に隣接して設けられ、接着層40によって配線基板11に接着される。また、半導体チップCH2は、例えば、半導体チップ群CH1の上方に設けられていてもよい。また、半導体チップCH2は、ワイヤW2と接続するためのパッドP2を有する。
【0013】
ワイヤ群W1は、配線基板11と半導体チップ群CH1とを電気的に接続する。ワイヤ群W1には、複数のワイヤが含まれる。ワイヤ群W1に含まれるワイヤの素材は、例えば、金、銀または銅等の導電性金属である。
【0014】
ワイヤW2は、配線基板11と半導体チップCH2とを電気的に接続する。ワイヤW2の素材は、例えば、金、銀または銅等の導電性金属である。
【0015】
樹脂23は、例えば、エポキシ樹脂である。樹脂23は、半導体チップ群CH1、半導体チップCH2、ワイヤ群W1およびワイヤW2を配線基板11の上面において封止する。これにより、樹脂23は、外部からの衝撃や外気から半導体チップ群CH1、半導体チップCH2、ワイヤ群W1およびワイヤW2を保護する。
【0016】
金属バンプBは、例えば、はんだボールである。金属バンプBは、半導体記憶装置1を外部の実装基板等(図示せず)に電気的に接続する。金属バンプBの素材は、はんだ等の導電性金属である。金属バンプBは、配線基板11の下面に設けられている。金属バンプBは、配線層L3に接続されている。
【0017】
次に、配線基板11の内部構成について説明する。配線基板11は、配線111と、樹脂層112、113とを有する。
【0018】
配線111は、配線基板11の上面の電極パッド(パッド114、115)と、配線基板11の下面の金属バンプBとを電気的に接続する。配線111の素材は、例えば、銅またはタングステン等の導電性金属である。配線111は、積層された複数の配線層L1、L2、L3を含む。複数の配線層L1、L2、L3の間は、樹脂層113によって絶縁されている。また、複数の配線層L1、L2、L3は、例えば、ビアホールにより、一部において電気的に接続されていてもよい。パッド114、115は、例えば、配線層L1の一部である。
【0019】
樹脂層112は、例えば、ソルダーレジスト等の絶縁材料である。樹脂層113は、例えば、プリプレグである。樹脂層113は、例えば、ガラスクロス等の繊維状補強材とエポキシ等の熱硬化性樹脂との複合材料である。樹脂層113は、樹脂層112よりも強度および剛性が高い。
【0020】
次に、半導体チップ群CH1の内部構成について説明する。例えば、
図1に示すように、半導体チップ群CH1は、複数の半導体チップCH11、CH12、CH13を含む。
【0021】
複数の半導体チップCH11、CH12、CH13は、例えば、メモリチップである。複数の半導体チップCH11、CH12、CH13は、例えば、NANDチップである。複数の半導体チップCH11、CH12、CH13は、例えば、同一の構造である。半導体チップCH11は接着層31を介して配線基板11上に接着される。半導体チップCH12は接着層32を介して半導体チップCH11上に接着される。半導体チップCH13は接着層33を介して半導体チップCH12上に接着される。複数の半導体チップCH11、CH12、CH13は、例えば、半導体素子を含む。半導体素子とは、例えば、メモリセルアレイまたはCMOS回路(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor circuit)である。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一例を示す半導体記憶装置1の拡大断面図である。
図2は、
図1の点線枠Dの拡大図でもある。尚、
図2では、樹脂23は省略されている。
【0023】
半導体チップCH11は、面F1と面F2とパッドP11とを有する。面F1は配線基板11側の面である。面F2は、面F1の反対側の面である。パッドP11は、半導体チップCH11の配線の一部である。パッドP11は、面F2上に設けられている。半導体チップCH11は、面F1側において、接着層31を介して配線基板11と接着されている。半導体チップCH11は、最下層のチップである。
【0024】
半導体チップCH12は、面F3と面F4とパッドP12と半導体基板とを有する。面F3は、配線基板11側の面である。面F4は、面F3の反対側の面である。パッドP12は、半導体チップCH12の配線の一部である。パッドP12は、面F4上に設けられている。また、
図2に示す例では、パッドP12は、面F4の上方から見て、パッドP12の一部がパッドP11と重なるように配置される。半導体基板は、例えば、シリコン基板である。半導体基板上に、半導体素子が設けられる。半導体基板は、半導体チップCH12の面F3側に配置されている。また、半導体チップCH12は、面F3側において、接着層32を介して半導体チップCH11の面F2と接着される。また、半導体チップCH12は、上方から見て、パッドP11の少なくとも一部と重なるように半導体チップCH11と接着される。半導体チップCH12は、上方から見て、中心位置が半導体チップCH11の中心位置と略一致するように配置される。半導体チップCH12は、半導体チップCH11の直上に配置される。
【0025】
半導体チップCH13は、面F5と面F6とパッドP13とを有する。面F5は、配線基板11側の面である。面F6は、面F5の反対側の面である。パッドP13は、半導体チップCH13の配線の一部である。パッドP13は、面F6上に設けられている。また、半導体チップCH13は、面F5側において、接着層33を介して半導体チップCH12の面F4と接着される。また、半導体チップCH13は、上方から見て、パッドP12の少なくとも一部と重なるように半導体チップCH12と接着される。半導体チップCH13は、上方から見て、中心位置が半導体チップCH12の中心位置と略一致するように配置される。半導体チップCH13は、半導体チップCH12の直上に配置される。
【0026】
このように、半導体チップCH12の上方には、半導体チップCH12と同一構成の半導体チップCH13が積層される。尚、半導体チップが4層以上積層される場合、半導体チップCH13の上方に、半導体チップCH12と同一構成の半導体チップが繰り返し積層されてもよい。
【0027】
次に、ワイヤ群W1の内部構成について説明する。
図2に示すように、ワイヤ群W1は、ワイヤW11、W12、W13を含む。ワイヤW11は、半導体チップCH11に設けられるパッドP11および配線基板11に設けられるパッド114と電気的に接続する。同様に、ワイヤW12は、半導体チップCH12に設けられるパッドP12およびパッド114と電気的に接続する。ワイヤW13は、半導体チップCH13に設けられるパッドP13およびパッド114と電気的に接続する。
【0028】
ワイヤW11は、例えば、パッドP11から上方に立ち上がるように設けられる。また、ワイヤW11は、頂点を形成するように、下方に延伸する。下方に延伸するワイヤW11は、
図1に示す配線基板11のパッド114と接続する。このように、半導体チップCH11のパッドP11は、配線基板11から延在するワイヤW11と電気的に接続される。
【0029】
次に、切り欠き部Cについて説明する。
【0030】
半導体チップCH12は、面F3の外周部に、切り欠き部Cを有する。面F3の外周部とは、面F3と面F4との間にある側面FSと、面F3とが交差する角部である。切り欠き部Cは、半導体チップCH12の側面FSの下部に設けられる凹部でもある。切り欠き部Cは、パッドP11と対向するように設けられる。
【0031】
また、より詳細には、切り欠き部Cは、ワイヤW11と半導体チップCH12の切り欠き面CFとが離間するように設けられる。切り欠き面CFとは、切り欠き部Cを形成することにより露出される半導体チップCH12の面である。切り欠き面CFは、ワイヤW11のうち、頂点を形成するように曲がった部分の横に位置する。切り欠き部Cにより、ワイヤW11を半導体チップCH12と接触させないようにすることができる。これにより、接触によるワイヤW11および半導体チップCH12の損傷を抑制することができる。この結果、半導体記憶装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0032】
また、より詳細には、切り欠き部Cは、面F3の中心部側から外周部側にかけて、切り欠き深さCDが徐々に大きくなるように設けられる。切り欠き深さCDとは、面F3に対する切り欠き部Cの深さである。
図2に示す例では、切り欠き部Cは、切り欠き面CFの面F3に対する傾斜角が略一定になるように設けられている。すなわち、切り欠き面CFは、傾斜角が略一定の平面である。
【0033】
また、切り欠き部Cは、半導体チップCH12の半導体基板に設けられる。切り欠き部Cは、半導体チップCH12内の半導体素子が設けられる領域よりも下方に設けられる。半導体チップCH12のうち最も薄い部分の厚さを示す距離Lは、半導体素子の厚さ以上であることが好ましい。距離Lには、必要に応じてマージンが加えられてもよい。これは、切り欠き部Cの形成により発生し得る半導体素子への損傷を抑制することができるためである。この結果、半導体チップCH12の動作の信頼性を向上させることができる。半導体素子の厚さは、例えば、約10μmである。
【0034】
また、或る半導体チップ内において、切り欠き部の略直上にパッドが設けられることが好ましい。
図2に示す例では、パッドP12は、面F4の上方から見て、パッドP12の一部が切り欠き部Cと重なるように配置される。パッドP12の周辺には、例えば、保護素子等が設けられる。
【0035】
また、例えば、半導体チップCH13にも、切り欠き部が設けられる。半導体チップCH13の切り欠き部の配置および形状等は、例えば、半導体チップCH12の切り欠き部Cと同一である。
【0036】
また、例えば、最下層の半導体チップCH11には、切り欠き部を設けない。これにより、半導体素子への損傷の観点から、半導体チップCH11の動作の信頼性の低下を抑制することができる。
【0037】
また、例えば、半導体チップ群CH1に含まれる全ての半導体チップに切り欠き部を設けてもよい。従って、全ての半導体チップに対して同じ製造プロセスを適用することができる。この結果、半導体記憶装置1の製造効率を向上させることできる。
【0038】
切り欠き部Cは、パッドP11の周辺において、約25μmの高さのスペースを得られるように設けられることが好ましい。ワイヤW11の径は、例えば、約15μmである。パッドP11からワイヤW11の頂点までの高さ、すなわち、ループの高さは、例えば、約10μmである。よって、ワイヤW11の径とループの高さとの和は約25μmである。また、切り欠き部Cは、切り欠き深さCDが約15μm程度になるように設けられることが好ましい。接着層32の厚さは、例えば、約10μmである。上記のスペースから接着層32の厚さを引いた高さは、約15μmである。尚、上記の数値は一例であり、半導体チップCH12、接着層32、パッドP11およびワイヤW11の寸法および形状等に応じて変更されてもよい。
【0039】
次に、配線基板11上における半導体チップCH13およびパッドP13の配置を説明する。
【0040】
図3は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成の配置の一例を示す半導体記憶装置1の平面図である。
図3は、半導体チップ群CH1を上方から見た図である。尚、
図3のA-A線は、断面図である
図1に対応する断面を示す。また、半導体チップCH11、CH12、CH13は重なるように設けられている。
【0041】
また、
図3に示すように、パッドP13は、半導体チップCH13の辺CHsに沿って複数個設けられる。辺CHsは、半導体チップCH13の辺の1つである。パッドP13は、
図3の紙面下方から、ワイヤW13を介して配線基板11上のパッド114と電気的に接続されている。
【0042】
次に、半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
【0043】
図4は、第1実施形態に係る半導体ウェハWの個片化方法の一例を示す断面図である。
図5は、第1実施形態に係る半導体チップCH12、CH13の加工方法の一例を示す断面図である。
【0044】
まず、ダイシングブレードDBで半導体ウェハWを切断する。これにより、半導体ウェハWは、例えば、半導体チップCH12および半導体チップCH13に個片化される。
【0045】
次に、加工用ブレードPBで、半導体チップCH11、CH12の辺CHsを加工する。加工用ブレードPBは、例えば、ダイシングブレードDBよりも厚く、先端がテーパー状になっている。これにより、半導体チップCH12における接着層32との接触面の外周部をテーパー状に加工することができる。同様に、半導体チップCH13における接着層33との接触面の外周部をテーパー状に加工することができる。その後、半導体チップCH12、CH13は、半導体チップCH11上に実装される。例えば、個片化された半導体チップCH12の設置と、ワイヤW12のボンディングと、半導体チップCH13の設置と、ワイヤW13のボンディングとを順番に行う。このようにして、半導体チップ群CH1を積層させる。
【0046】
尚、加工用ブレードPBによる加工は、ダイシングブレードDBによる半導体チップCH12、CH13の個片化前に行われてもよい。また、柔らかい接着層32、33の加工性を向上させるため、
図5における接着層32、33上に、例えば、加工用のあて板として機能するダミーウェハ等を加工前に設けてもよい。また、加工方法は上記の例に限定されない。例えば、半導体チップCH12、CH13の個片化および加工を同時に可能な形状のブレードが用いられてもよい。また、レーザにより半導体チップCH12、CH13の加工が行われもよい。
【0047】
以上のように、第1実施形態によれば、複数の半導体チップCH11、CH12、CH13をずらすことなく積層することができる。この結果、半導体記憶装置1内における各構成の配置の自由度を向上させることができる。また、積層方向と垂直な方向に、複数の半導体チップをより高集積化することができる。
【0048】
また、半導体チップCH12には、切り欠き部Cが設けられる。切り欠き部Cにより、半導体チップCH11と半導体チップCH12との間の空間を広げることができる。これにより、半導体チップCH12を、他の半導体チップCH11に対してずらすことなく、積層することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、半導体チップCH11、CH12、CH13間にインターポーザおよびスペーサ等が設けられない。半導体チップCH11、CH12間および半導体チップCH12、CH13間には、それぞれ接着層32、33だけしか設けられていない。これにより、積層方向に、半導体チップ群CH1を高集積化することができる。
【0050】
第1実施形態では、半導体チップCH11、CH12、CH13をずらすことなく配置することができる。従って、半導体チップ群CH1の片側からワイヤ群W1を半導体チップ群CH1に接続することができる。これにより、半導体チップCH11、CH12、CH13と半導体チップCH2との間の配線長のばらつきを抑制することができる。また、半導体チップCH11、CH12、CH13の電気的特性をより均一にすることができる。
【0051】
尚、半導体チップ群CH1は、必ずしも半導体チップ群CH1の片側からワイヤ群W1が接続される必要はない。例えば、積層の偶数段と奇数段とで、パッド群P1がそれぞれ反対側に配置されていてもよい。また、パッド群P1が1つの半導体チップの2つの辺に設けられていてもよい。これらの場合であっても、ワイヤ群W1が半導体チップ群CH1と接触しないように、切り欠き部が設けられる。
【0052】
複数の半導体チップをずらすことなく積層する他の方法として、複数の半導体チップ間に、インターポーザまたはスペーサ等をパッドと重ならないように設ける方法が知られている。しかし、この場合、積層数に応じて設けられるインターポーザまたはスペーサ等の厚さによって、高集積化が困難になってしまう。
【0053】
図6は、第1比較例に係る半導体記憶装置1aの構成の一例を示す半導体記憶装置1aの断面図である。
【0054】
一般に、ワイヤ群W1と接続されるパッド群P1上に半導体チップCH11、CH12、CH13が重ならないようにするため、
図6に示すように、半導体チップCH11、CH12、CH13を階段状にずらして積層する方法が知られている。しかし、この場合、積層数が増加するほど、最下層の半導体チップCH11と最上層の半導体チップCH13との間のずれ量Oが大きくなる。大きなずれ量Oによって、積層方向に垂直な方向に広いスペースが必要になってしまう。従って、半導体記憶装置1a内における各構成の配置の自由度が低下してしまう可能性がある。また、例えば、製品等によっては、より小さな筐体に高密度で半導体チップを配置することが求められる場合もある。この場合、ずれ量Oのためのスペースを確保することができず、製品設計が困難になってしまう可能性がある。
【0055】
図7は、第2比較例に係る半導体記憶装置1bの構成の一例を示す半導体記憶装置1bの断面図である。
【0056】
第1比較例で説明したずれ量Oが大きくなることを抑制する方法として、
図7に示すように、積層の途中から半導体チップCH14、CH15、CH16を半導体チップCH11、CH12、CH13のずれ方向とは逆方向にずらして積層することが知られている。尚、半導体チップCH14、CH15、CH16は、半導体チップ群CH1に含まれる。しかし、この場合、例えば、半導体チップCH14、CH15、CH16のパッドP14、P15、P16の位置を、半導体チップCH11、CH12、CH13のパッドP11、P12、P13とは反対側の位置にする必要がある。尚、パッドP14、P15、P16は、パッド群P1に含まれる。従って、
図7に示す例では、半導体チップ群CH1の左右からワイヤ群W1のボンディングが行われる。この場合、半導体チップCH11、CH12、CH13と半導体チップCH2との間の配線長は、半導体チップCH14、CH15、CH16と半導体チップCH2との間の配線長よりも大きくなってしまう。尚、実際に積層される半導体チップCH11~CH16は、例えば、積層方向の厚みが100μm以下である。一方、半導体チップCH11~CH16の幅は、例えば、数mmである。すなわち、配線長は、ワイヤ群W1の高さ方向の距離よりも配線111の距離に大きく影響を受ける。従って、半導体チップCH11~CH16毎における、半導体チップCH11~CH16と半導体チップCH2との間の配線長のばらつきが大きくなってしまう。この結果、半導体チップCH11~CH16毎の電気的特性のばらつきが大きくなってしまう可能性がある。
【0057】
また、切り欠き面CFの形状として、例えば、L字に曲がった形状も考えられる。すなわち、側面FSと面F3とが交差する角部に、矩形状に切り欠けが形成される。しかし、L字の角が応力の特異点になってしまう可能性がある。例えば、L字の角に対応する位置で、半導体チップCH12が折れやすくなってしまう場合がある。
【0058】
実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1 半導体記憶装置
1a 半導体記憶装置
1b 半導体記憶装置
11 配線基板
111 配線
112 樹脂層
113 樹脂層
114 パッド
115 パッド
23 樹脂
30 接着層群
31 接着層
32 接着層
33 接着層
40 接着層
B 金属バンプ
C 切り欠き部
CD 切り欠き深さ
CF 切り欠き面
CH1 半導体チップ群
CH11~CH16 半導体チップ
CH2 半導体チップ
CHs 辺
D 点線枠
DB ダイシングブレード
F1~F6 面
FS 側面
L 距離
L1 配線層
L2 配線層
L3 配線層
O ずれ量
P1 パッド群
P11~P16 パッド
P2 パッド
PB 加工用ブレード
W 半導体ウェハ
W1 ワイヤ群
W11 ワイヤ
W12 ワイヤ
W13 ワイヤ