(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049515
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ランプコントロールモジュール、車両用灯具、信号処理装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/00 20060101AFI20220322BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20220322BHJP
B60Q 1/28 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B60Q1/00 C
B60Q1/34 A
B60Q1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155751
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】宮下 雄一
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA25
3K339AA32
3K339AA33
3K339BA01
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3K339HA04
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3K339KA07
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3K339KA28
3K339LA06
3K339MA06
3K339MC41
3K339MC65
(57)【要約】
【課題】複数のランプを統合的に制御する。
【解決手段】車両用灯具200は、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプを備える。第1駆動回路330は、ターンシグナルランプである第1光源202を駆動する。第2駆動回路340は、デイタイムランニングランプとポジションランプで兼用される第2光源204を駆動する。信号処理装置400は、ソフトウェアプログラムを実行することにより、ターン同期信号TURN_SYNCと、第1点灯要求REQ_DRLおよび第2点灯要求REQ_POSと、にもとづいて、第1駆動回路330および第2駆動回路340と、を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプを備える車両用灯具に使用されるランプコントロールモジュールであって、
前記ターンシグナルランプである第1光源を駆動する第1駆動回路と、
前記デイタイムランニングランプと前記ポジションランプで兼用される第2光源を駆動する第2駆動回路と、
前記ターンシグナルランプの点滅を指示するターン同期信号を受信する入力インタフェース回路と、
前記デイタイムランニングランプの点消灯を指示する第1点灯要求と前記ポジションランプの点消灯を指示する第2点灯要求とを受信するバスインタフェース回路と、
ソフトウェアプログラムを実行することにより、前記ターン同期信号と、前記第1点灯要求および前記第2点灯要求と、にもとづいて、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路と、を制御する信号処理装置と、
を備えることを特徴とするランプコントロールモジュール。
【請求項2】
前記信号処理装置は、
前記ターン同期信号がパルス状である点滅指示状態において第1レベル、前記ターン同期信号のレベルが固定される消灯指示状態において第2レベルとなるターン点灯要求を生成し、
前記ターン点灯要求および前記ターン同期信号にもとづいて前記第1駆動回路を制御し、
前記ターン点灯要求、前記ターン同期信号、前記第1点灯要求、前記第2点灯要求にもとづいて、前記第2駆動回路を制御することを特徴とする請求項1に記載のランプコントロールモジュール。
【請求項3】
前記信号処理装置は、
前記ターン点灯要求、前記ターン同期信号、前記第1点灯要求、前記第2点灯要求を入力とし、前記第2光源の状態を出力とするテーブルを参照し、前記テーブルにもとづいて前記第2駆動回路を制御することを特徴とする請求項2に記載のランプコントロールモジュール。
【請求項4】
前記ソフトウェアプログラムとは独立した態様で、前記テーブルを格納するプログラマブルな不揮発性メモリをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のランプコントロールモジュール。
【請求項5】
前記第2駆動回路は、
(i)その出力電流がゼロの状態、
(ii)その出力電流が相対的に小さい状態、
(iii)その出力電流が相対的に大きい状態、
の3状態が指定可能であることを特徴とする請求項3または4に記載のランプコントロールモジュール。
【請求項6】
ターンシグナルランプである第1光源と、
デイタイムランニングランプとポジションランプで兼用される第2光源と、
前記第1光源および前記第2光源を駆動する請求項1から5のいずれかに記載のランプコントロールモジュールと、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項7】
ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプを備える車両用灯具に使用される信号処理装置であって、
前記ターンシグナルランプは第1光源を含み、前記デイタイムランニングランプと前記ポジションランプは第2光源を共有して構成され、
前記信号処理装置は、ソフトウェアプログラムを実行することにより、
ターン同期信号がパルス状である点滅指示状態において第1レベル、前記ターン同期信号のレベルが固定される消灯指示状態において第2レベルとなるターン点灯要求を生成する処理、
前記ターンシグナルランプの点滅を指示するターン同期信号にもとづいて、前記第1光源の状態を制御する処理、
前記ターン点灯要求、前記デイタイムランニングランプの点消灯を指示する第1点灯要求、前記ポジションランプの点消灯を指示する第2点灯要求とにもとづいて、前記第2光源の状態を制御する処理、
を実行し、
前記第2光源の状態を制御する処理は、前記ターン点灯要求、前記ターン同期信号、前記第1点灯要求、前記第2点灯要求を入力とし、前記第2光源の状態を出力とするテーブルにもとづいて実行されることを特徴とする信号処理装置。
【請求項8】
前記テーブルはプログラマブルな不揮発性メモリに格納されることを特徴とする請求項7に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記第2光源は、
(i)消灯状態、
(ii)相対的に暗い輝度で点灯する状態、
(iii)相対的に明るい輝度で点灯する状態、
の3状態が指定可能であることを特徴とする請求項7または8に記載の信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車などの車両に用いられる灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用灯具の高機能化が進められており、ヘッドランプには、ロービーム、ハイビーム、ターンシグナルランプ、ポジションランプ、デイタイムランニングランプなど、役割が異なる複数のランプが設けられ、車両からの制御信号に応じて、複数のランプの光源を適切な輝度で発光させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デイタイムランニングランプとポジションランプの光源を兼用する場合がある。この場合に、デイタイムランニングランプの点灯指示のみが与えられた場合、光源を明るく点灯させ、ポジションランプの点灯指示のみが与えられた場合、光源を明るく暗くさせればよい。ところが、デイタイムランニングランプとポジションランプの点灯指示が同時に与えられた場合、調停制御が必要となる。
【0005】
本開示はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、複数のランプを統合的に制御可能なランプコントロールモジュール、車両用灯具、信号処理装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプを備える車両用灯具に使用されるランプコントロールモジュールに関する。ランプコントロールモジュールは、ターンシグナルランプである第1光源を駆動する第1駆動回路と、デイタイムランニングランプとポジションランプで兼用される第2光源を駆動する第2駆動回路と、ターンシグナルランプの点滅を指示するターン同期信号を受信する入力インタフェース回路と、デイタイムランニングランプ(DRL)の点消灯を指示する第1点灯要求とポジションランプの点消灯を指示する第2点灯要求とを受信するバスインタフェース回路と、ソフトウェアプログラムを実行することにより、ターン同期信号と、第1点灯要求および第2点灯要求と、にもとづいて、第1駆動回路および第2駆動回路と、を制御する信号処理装置と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、信号処理装置である。この信号処理装置は、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプを備える車両用灯具に使用される。ターンシグナルランプは第1光源を含み、デイタイムランニングランプとポジションランプは第2光源を共有して構成される。信号処理装置は、ソフトウェアプログラムを実行することにより、以下の処理I~IIIを実行する。
処理I. ターン同期信号がパルス状である点滅指示状態において第1レベル、ターン同期信号のレベルが固定される消灯指示状態において第2レベルとなるターン点灯要求を生成する。
処理II.ターンシグナルランプの点滅を指示するターン同期信号にもとづいて、第1光源の状態を制御する。
処理III. ターン点灯要求、デイタイムランニングランプの点消灯を指示する第1点灯要求、ポジションランプの点消灯を指示する第2点灯要求とにもとづいて、第2光源の状態を制御する。
第2光源の状態を制御する処理IIIは、ターン点灯要求、ターン同期信号、第1点灯要求、第2点灯要求を入力とし、第2光源の状態を出力とするテーブルにもとづいて実行される。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のある態様によれば、複数のランプを統合的に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る灯具システムのブロック図である。
【
図3】DRLおよびポジションランプの調停処理に使用されるテーブルを説明する図である
【
図5】車両用灯具の具体的な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態または複数の実施形態を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係るランプコントロールモジュールは、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプを備える車両用灯具に使用される。ランプコントロールモジュールは、ターンシグナルランプである第1光源を駆動する第1駆動回路と、デイタイムランニングランプとポジションランプで兼用される第2光源を駆動する第2駆動回路と、ターンシグナルランプの点滅を指示するターン同期信号を受信する入力インタフェース回路と、デイタイムランニングランプの点消灯を指示する第1点灯要求とポジションランプの点消灯を指示する第2点灯要求とを受信するバスインタフェース回路と、ソフトウェアプログラムを実行することにより、ターン同期信号と、第1点灯要求および第2点灯要求と、にもとづいて、第1駆動回路および第2駆動回路と、を制御する信号処理装置と、を備える。
【0013】
この構成によれば、複数の光源の状態を、単一の信号処理装置より統合的にソフトウェア処理することにより、複数の点灯要求の状態に応じて、複数の光源を適切な状態で点灯させることができる。特に、デイタイムランニングランプとポジションランプの点灯指示が同時発生(競合)した際の、第2光源の点灯状態を、任意に設定することができる。
【0014】
信号処理装置は、ターン同期信号がパルス状である点滅指示状態において第1レベル、ターン同期信号のレベルが固定される消灯指示状態において第2レベルとなるターン点灯要求を生成してもよい。信号処理装置は、ターン点灯要求およびターン同期信号にもとづいて第1駆動回路を制御し、ターン点灯要求、ターン同期信号、第1点灯要求、第2点灯要求にもとづいて、第2駆動回路を制御してもよい。
【0015】
信号処理装置は、ターン点灯要求、ターン同期信号、第1点灯要求、第2点灯要求を入力とし、第2光源の状態を出力とするテーブルを参照し、テーブルにもとづいて第2駆動回路を制御してもよい。ソフトウェアプログラムは変更せずに、テーブルを変更することで、特定の国や地域に適合した仕様に変更することができる。これにより、ヘッドランプの開発期間およびコストを短縮、削減できる。
【0016】
ランプコントロールモジュールは、ソフトウェアプログラムとは独立した態様で、テーブルを格納するプログラマブルな不揮発性メモリをさらに備えてもよい。テーブルを書き換えるだけで、さまざまな国や地域に適合した仕様に変更することができる。なお、不揮発性メモリは、信号処理装置に内蔵されてもよいし、外付けであってもよい。
【0017】
第2駆動回路は、(i)その出力電流がゼロの状態、(ii)その出力電流が相対的に小さい状態、(iii)その出力電流が相対的に大きい状態、の3状態が指定可能であってもよい。
【0018】
一実施形態に係る信号処理装置は、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプを備える車両用灯具に使用される。ターンシグナルランプは第1光源を含み、デイタイムランニングランプとポジションランプは第2光源を共有して構成される。信号処理装置は、ソフトウェアプログラムを実行することにより、(i)ターン同期信号がパルス状である点滅指示状態において第1レベル、ターン同期信号のレベルが固定される消灯指示状態において第2レベルとなるターン点灯要求を生成する処理、(ii)ターンシグナルランプの点滅を指示するターン同期信号にもとづいて、第1光源の状態を制御する処理、(iii)ターン点灯要求、デイタイムランニングランプの点消灯を指示する第1点灯要求、ポジションランプの点消灯を指示する第2点灯要求とにもとづいて、第2光源の状態を制御する処理、を実行する。第2光源の状態を制御する処理(iii)は、ターン点灯要求、ターン同期信号のレベル、第1点灯要求、第2点灯要求を入力とし、第2光源の状態を出力とするテーブルにもとづいて実行される。
【0019】
この信号処理装置によれば、ソフトウェアプログラムは変更せずに、テーブルを変更することで、車両用灯具を、特定の国や地域に適合した仕様に変更することができる。これにより、ヘッドランプの開発期間およびコストを短縮、削減できる。
【0020】
テーブルはプログラマブルな不揮発性メモリに格納されてもよい。ソフトウェアプログラムを変更せずに、テーブルのみを書き換えることにより、車両用灯具を、さまざまな国や地域に適合した仕様に変更できる。
【0021】
第2光源は、(i)消灯状態、(ii)相対的に暗い輝度で点灯する状態、(iii)相対的に明るい輝度で点灯する状態、の3状態が指定可能であってもよい。
【0022】
(実施形態)
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0024】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0026】
図1は、実施形態に係る灯具システム100のブロック図である。灯具システム100は、車両110と、車両用灯具(ヘッドランプ)200とを備える。車両110には、車両側のECU(Electronic Control Unit)やバッテリ、各ランプのスイッチなどが含まれる。
【0027】
車両用灯具200は、ロービーム(Lo)、ハイビーム(Hi)、デイタイムランニングランプ(DRL)、ポジションランプ(POS)、ターンシグナルランプ(TURN)の機能を備える。
図1には、DRLとポジションランプ、ターンシグナルランプに関連する構成のみを示す。
【0028】
車両用灯具200は、第1光源202、第2光源204およびランプコントロールモジュール300を備える。第1光源202は、ターンシグナルランプとして用いられ、第2光源204は、DRLとポジションランプとで兼用される。第1光源202および第2光源204はそれぞれ、ひとつの半導体光源で、あるいは直列および/または並列に接続される複数の半導体光源で構成することができる。半導体光源としては、白色LED(発光ダイオード)や、レーザダイオード、有機EL(Electro Luminescence)素子などが例示される。
図1では、第1光源202および第2光源204はそれぞれ、複数のLEDを直列接続してなるLEDバー(LEDストリング)である。第1光源202および第2光源204を構成するLEDの個数は、必要とされる明るさや、意匠を考慮して定めればよく、特に限定されない。
【0029】
車両用灯具200には、車両110から電源ライン102を介して電源電圧+Bが供給される。また車両用灯具200には、車両110からジカ線104を介して、ターン同期信号TURN_SYNCが入力される。ターン同期信号TURN_SYNCは、ターンシグナルランプの点滅を指示する信号であり、ターンシグナルランプの点滅時には、ハイレベルとローレベルを所定の周期で交互に繰り返すパルス信号となり、ハイ区間が点灯、ロー区間が消灯に対応付けられる。ターンシグナルランプの非点滅状態(消灯状態)において、ターン同期信号TURN_SYNCはローに固定される。
【0030】
また車両用灯具200には、車両110から、DRLの点消灯を指示する第1点灯要求REQ_DRL、ポジションランプの点消灯を指示する第2点灯要求REQ_POSが、ビークルバス106を介して供給される。ビークルバスの種類は特に限定されず、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などを用いることができる。
【0031】
ランプコントロールモジュール300は、入力インタフェース回路310、バスインタフェース回路320、第1駆動回路330、第2駆動回路340、信号処理装置400を備える。
【0032】
入力インタフェース回路310は、ターン同期信号TURN_SYNCを受信する。入力インタフェース回路310は、単なるバッファであってもよく、ターン同期信号TURN_SYNCを整形する。
【0033】
バスインタフェース回路320は、ビークルバス106を介して、車両110と双方向通信可能なトランシーバである。バスインタフェース回路320が受信するデータには、第1点灯要求REQ_DRLおよび第2点灯要求REQ_POSが含まれる。
【0034】
第1駆動回路330は、第1光源202を駆動する。たとえば第1駆動回路330は、定電流出力を有し、第1光源202に、目標輝度に応じた駆動電流ILED1を供給する。ターン点滅中に、駆動電流ILED1は、ターン同期信号TURN_SYNCに応じた間欠的な電流となる。
【0035】
第2駆動回路340は、第2光源204を駆動する。たとえば第2駆動回路340は、定電流出力を有し、第2光源204に、目標輝度に応じた駆動電流ILED2を供給する。上述のように、第2光源204は、DRLとポジションランプを兼ねており、DRL点灯時には相対的に高輝度で発光し、ポジション点灯時には、相対的に低輝度で発光する。そのため、第2駆動回路340が生成する駆動電流ILED2は、第2光源204の点灯モードに応じて変化する。具体的には、DRL点灯時には、駆動電流ILED2は相対的に多くなり、ポジション点灯時には、駆動電流ILED2は相対的に少なくなる。
【0036】
信号処理装置400は、ソフトウェアプログラムを実行可能なプロセッサを含む。信号処理装置400は、マイクロコントローラやCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などで構成することができる。
【0037】
信号処理装置400は、ターン同期信号TURN_SYNCと、第1点灯要求REQ_DRLおよび第2点灯要求REQ_POSと、にもとづいて、第1駆動回路330および第2駆動回路340とを制御する。
【0038】
信号処理装置400は、ソフトウェアプログラムに応じて、以下の処理を実行する。
処理1. 信号処理装置400は、ターン同期信号TURN_SYNCにもとづいてターン点灯要求REC_TURNを生成する。ターン点灯要求REC_TURNは、ターン同期信号TURN_SYNCがパルス状である点滅指示状態において第1レベル(たとえばハイ)、ターン同期信号TURN_SYNCがローを維持する消灯指示状態において第2レベル(たとえばロー)となる。
【0039】
処理2. 信号処理装置400は、ターン点灯要求REC_TURNおよびターン同期信号TURN_SYNCにもとづいて第1制御信号CNT1を生成し、第1駆動回路330を制御する。具体的には、ターン点灯要求REC_TURNが第1レベルである期間、ターン同期信号TURN_SYNCと同期して、第1駆動回路330にパルス状の駆動電流ILED1を生成させる。
【0040】
処理3. 信号処理装置400は、ターン点灯要求REC_TURN、ターン同期信号TURN_SYNC、第1点灯要求REQ_DRL、第2点灯要求REQ_POSにもとづいて、第2制御信号CNT2を生成し、第2駆動回路340を制御する。具体的には、信号処理装置400は、第2駆動回路340が生成する駆動電流ILED2を制御する。
【0041】
図2は、信号処理装置400の機能ブロック図である。信号処理装置400は、ターン点滅判定部410、第1制御部420、第2制御部430、不揮発性メモリ440を備える。
【0042】
ターン点滅判定部410、第1制御部420、第2制御部430は、信号処理装置400のプロセッサがソフトウェアプログラムを実行することにより実現される機能を表しており、それぞれ、上述の処理1、処理2、処理3を実行する。
【0043】
なお、ターン点滅判定部410におけるターン点灯要求REC_TURNの生成処理は、信号処理装置400の外部において行ってもよい。
【0044】
第2制御部430による処理3は、テーブル442を参照して実行される。このテーブル442は、ターン点灯要求REC_TURN、ターン同期信号TURN_SYNC、第1点灯要求REQ_DRL、第2点灯要求REQ_POSを入力とし、第2光源204の状態を出力とする。
【0045】
テーブル442は、プログラマブルな不揮発性メモリ440に格納される。好ましくはテーブル442は、信号処理装置400が実行するソフトウェアプログラムとは切り離され、外部パラメータとして独立に変更可能とされる。不揮発性メモリ440は、信号処理装置400に内蔵されていてもよいし、外付けされていてもよい。好ましくは
【0046】
図3は、DRLおよびポジションランプの調停処理に使用されるテーブル442を説明する図である。入力状態(ターン点灯要求REC_TURN、ターン同期信号TURN_SYNC、第1点灯要求REQ_DRL、第2点灯要求REQ_POSの値の組み合わせ)は全部で12個存在する。したがって、テーブル442は、12個の入力状態に対応する12個の値VAL1~VAL12を含む。
【0047】
図4は、テーブルの設定例を示す図である。出力の値VALは、各入力状態における第2光源204の発光輝度に対応付けることができ、すなわち第2駆動回路340の出力電流I
LED2に対応付けることができる。この例において出力の値VALは3値(OFF,POS,DRL)で設定可能である。VAL=OFFのとき、第2光源204は消灯され、VAL=POSのとき第2光源204は相対的に低い輝度で発光し、VAL=DRLのとき第2光源204は相対的に高い輝度で発光する。
【0048】
値VALと駆動電流ILED2の関係に置き換えると、VAL=OFFのとき、ILED2=0Aであり、VAL=POSのとき、ILED2=I1であり、VAL=DRLのとき、ILED2=I2(>I1)とされる。なお、第2駆動回路340が第2光源204をPWM調光可能な場合、I1,I2は、駆動電流ILED2の平均値に対応付けられる。
【0049】
たとえばある光学系1(あるいは、ある機能)を備える車両用灯具200が、米国(US)で使用される場合、設定例1が設定され、同じ車両用灯具200が、米国以外で使用される場合、設定例2が設定される。また、別の光学系2(あるいは別の機能)を備える車両用灯具200が、米国(US)で使用される場合、設定例3が設定され、同じ車両用灯具200が、米国以外で使用される場合、設定例4が設定される。このようにテーブルの値を書き換えることで、異なる光学系、異なる国や地域に対応することが可能となる。
【0050】
以上が車両用灯具200の構成である。この車両用灯具200によれば、複数の光源の状態を、単一の信号処理装置より統合的にソフトウェア処理することにより、複数の点灯要求の状態に応じて、複数の光源を適切な状態で点灯させることができる。特に、DRLとポジションランプの点灯要求が同時発生(競合)した際において、第2光源204の点灯状態を任意に設定することができる。
【0051】
続いて、車両用灯具200のより具体的な構成例を説明する。
【0052】
図5は、車両用灯具200Aの具体的な構成例を示すブロック図である。車両用灯具200Aは、ランプコントロールモジュール300Aと、第1光源202~第5光源210を備える。上述のように、第1光源202はターンシグナルランプ用、第2光源204はDRL/ポジションランプ兼用である。第3光源206はロービーム用、第4光源208はハイビーム用、第5光源210はサイドマーカ用の光源である。
【0053】
車両用灯具200Aに与えられる電圧や信号について説明する。
+BLCM: バッテリ電源(12Vor24V)であり、車両用灯具200Aの主電源として使用される。
IG1: デジタル系に供給されるイグニッション電源
+VBU: バックアップ電源。+VBUは回路内でIG1とブリッジされ、デジタル系に供給される。マイクロコントローラには、このVBUにもとづく電源電圧が供給される。バックアップ電源VBUは、車両輸送中はイグニッションONしないかぎり、原則オフとされ、消費電力が抑制される。
CAN-H,CAN-L: ビークルバス
HL_BU: ヘッドランプバックアップ。CAN信号が途絶した場合でも、ロービームを制御するために、ジカ線を介して供給される。つまり、HL_BUとCAN信号のロービーム点灯信号の論理和で、ロービームがオンとなる。
TURN_SYNC:ターン同期信号
【0054】
電源回路302は、電圧VBUを受け、5V程度の電源電圧VDDを生成する。電源電圧VDDは、信号処理装置400やその他の回路に供給される。
【0055】
保護回路305は、逆接防止用のダイオードや、サージ対策用のツェナーダイオードなどを含み、主電源電圧+BLCMから、車両用灯具200Aを保護する。
【0056】
電源回路304は、昇圧型DC/DCコンバータであり、車両からの電源電圧+BLCMを昇圧し、たとえば40V程度の高電圧VHを発生する。
【0057】
サーミスタ220,222は、第3光源206および第2光源204の温度を監視するために設けられる。
【0058】
A/Dコンバータ306は、ランプコントロールモジュール300Aの複数のノードの電圧や電流、サーミスタの電圧を、デジタル信号に変換する。A/Dコンバータ306の出力ADC_OUTは、信号処理装置400に供給される。
【0059】
(ターンシグナルランプ)
第1駆動回路330は、定電流出力の降圧DC/DCコンバータ332を含み、駆動電流ILED1を生成する。降圧DC/DCコンバータ332には、制御信号CNT1として、イネーブル信号EN_BUCK1および調光信号CURRENT_PWM1が供給される。降圧DC/DCコンバータ332は、イネーブル信号EN_BUCK1がアサート(たとえばハイ)のときに動作状態となり、調光信号CURRENT_PWM1に応じた電流量の駆動電流ILED1を生成する。調光信号CURRENT_PWM1は、PWM信号であり、降圧DC/DCコンバータ332のコントローラICは、調光信号CURRENT_PWM1のデューティサイクルを検出し、デューティサイクルに応じて駆動電流ILED1の電流量を変化させる(アナログ調光)。上述のように第1光源202を点滅させるために、信号処理装置400は、ターン同期信号TURN_SYNCに応じて、イネーブル信号EN_BUCK1をスイッチングする。
【0060】
DC/DCコンバータ332は、フェイル情報や診断情報DC1_Diagを、信号処理装置400に送信する。
【0061】
(DRLおよびポジションランプ)
本実施形態において、第2光源204と第3光源206は直列に接続される。光源204,206は、共通の降圧DC/DCコンバータ342および2個のバイパススイッチ344,354により駆動される。第2光源204は、降圧DC/DCコンバータ342およびバイパススイッチ344の組み合わせである第2駆動回路340により駆動される。
【0062】
降圧DC/DCコンバータ342に供給されるイネーブル信号EN_BUCK2、調光信号CURRENT_PWM2と、バイパススイッチ344に供給されるPWM信号DRL_PWMが、上述の制御信号CNT2に対応する。
【0063】
降圧DC/DCコンバータ342は、イネーブル信号EN_BUCK2がアサート(たとえばハイ)のときに動作状態となり、調光信号CURRENT_PWM2に応じた電流量の駆動電流IDRVを生成する。調光信号CURRENT_PWM2は、PWM信号であり、降圧DC/DCコンバータ342のコントローラICは、調光信号CURRENT_PWM2のデューティサイクルに応じて駆動電流IDRVの電流量を変化させる(アナログ調光)。
【0064】
バイパススイッチ344のオン、オフは、PWM信号DRL_PWMによって制御される。バイパススイッチ344がオフの期間、駆動電流IDRVは、第2光源204に供給され、バイパススイッチ344がオンの期間、駆動電流IDRVは第2光源204には供給されない。信号処理装置400は、PWM信号DRL_PWMを変化させることにより、第2光源204に供給される駆動電流ILED2の平均値を変化させ、第2光源204の実効的な輝度を変化させることができる。
【0065】
たとえば信号処理装置400は、テーブルの値VALに応じて、PWM信号DRL_PWMのデューティサイクルを変化させることにより、第2光源204の輝度を変化させ、DRLとポジションランプの機能を切りかえる。
【0066】
(ロービーム)
降圧DC/DCコンバータ342とバイパススイッチ354の組み合わせは、第3光源206を駆動する第3駆動回路350と把握される。バイパススイッチ354は、Lo_PWM信号に応じて、オンオフが制御される。
【0067】
DC/DCコンバータ342は、フェイル情報や診断情報DC2_Diagを、信号処理装置400に送信する。
【0068】
(ハイビーム)
第4光源208を駆動する第4駆動回路360は、降圧DC/DCコンバータ362を含む。降圧DC/DCコンバータ362は、イネーブル信号EN_BUCK3がアサート(たとえばハイ)のときに動作状態となり、調光信号CURRENT_PWM4に応じた電流量の駆動電流ILED4を生成する。調光信号CURRENT_PWM4は、PWM信号であり、降圧DC/DCコンバータ362のコントローラICは、調光信号CURRENT_PWM4のデューティサイクルに応じて駆動電流ILED4の電流量を変化させる(アナログ調光)。
【0069】
ハイビームは、ADB(Adaptive Driving Beam)ランプであってもよい。この場合、ハイビーム用の第4光源208を構成する複数のLEDは、オン、オフを個別制御可能に構成すればよい。具体的には、LEDチップ毎に、バイパススイッチを設け、遮光領域に対応するLEDと並列なバイパススイッチをオンするように制御すればよい。
【0070】
(サイドマーカ)
第5駆動回路370は、制御信号IPD1_Onに応じてオン、オフが制御され、オン状態において、第5光源210に駆動電流ILED5を供給し、第5光源210を点灯させる。制御信号IPD1_Onは、PWM信号であり、そのデューティサイクルに応じて駆動電流ILED5はスイッチングされ、第5光源210の輝度が調節される。
【0071】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0072】
(変形例1)
実施形態では、DRL/POSの輝度を、三段階(ゼロ、低輝度、高輝度)で設定可能としたがその限りでなく、三段階以上で設定可能としてもよい。
【0073】
(変形例2)
図5の車両用灯具200Aにおいて、電源回路304を省略して、DC/DCコンバータ342,332,352を昇圧コンバータで構成してもよい。
【0074】
(変形例3)
また、第2光源204と第3光源206を共通のコンバータで駆動したがそれに限定されず、第2光源204と第3光源206を別々のコンバータによって駆動してもよい。
【0075】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0076】
100…灯具システム、102…電源ライン、104…ジカ線、106…ビークルバス、110…車両、200…車両用灯具、202…第1光源、204…第2光源、206…第3光源、208…第4光源、210…第5光源、300…ランプコントロールモジュール、302,304…電源回路、305…保護回路、306…A/Dコンバータ、310…入力インタフェース回路、320…バスインタフェース回路、330…第1駆動回路、340…第2駆動回路、350…第3駆動回路、360…第4駆動回路、370…第5駆動回路、400…信号処理装置、410…ターン点滅判定部、420…第1制御部、430…第2制御部、440…不揮発性メモリ、442…テーブル。