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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049560
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20220322BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20220322BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/655
B60J5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155813
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 岳彦
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA06
2E052BA07
2E052CA06
2E052EA09
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052LA02
(57)【要約】
【課題】低コスト化及び軽量化が可能なドアの開扉を制御する制御装置を提供する。
【解決手段】車両に設けられる、ユーザの動作に応じてアクチュエータ6により開扉動作が行われるドアの開扉を制御する制御装置1は、車両に近接するユーザと共に1組の電極対を構成し、車両における路面側の車両下部において、1つのドアに対して1つ設けられる電極10と、電極10における静電容量を検出する静電容量検出部20と、所定時間内における静電容量の変化を示す変化情報に基づいて、所定時間における静電容量の変化がユーザの動作によるドアの開扉動作の要求指示に応じた変化であるか否かを判定する容量変化判定部30と、容量変化判定部30により静電容量の変化が要求指示に応じた変化であると判定された場合に、ドアの開扉動作指示を行う指示部40と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる、ユーザの動作に応じてアクチュエータにより開扉動作が行われるドアの開扉を制御する制御装置であって、
前記車両に近接する前記ユーザと共に1組の電極対を構成し、前記車両における路面側の車両下部において、1つの前記ドアに対して1つ設けられる電極と、
前記電極における静電容量を検出する静電容量検出部と、
所定時間内における前記静電容量の変化を示す変化情報に基づいて、前記所定時間における前記静電容量の変化が前記ユーザの前記動作による前記ドアの前記開扉動作の要求指示に応じた変化であるか否かを判定する容量変化判定部と、
前記容量変化判定部により前記静電容量の変化が前記要求指示に応じた変化であると判定された場合に、前記ドアの開扉動作指示を行う指示部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記変化情報が前記ユーザの前記要求指示に応じた変化であるか否かを判定するために用いられる基準情報を予め記憶しておく記憶部を更に備え、
前記容量変化判定部は、前記静電容量検出部により検出された前記静電容量に基づく前記変化情報を、前記基準情報と比較して判定する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記基準情報は、前記所定時間内における、前記静電容量が予め設定された判定閾値を超える回数、及び、前記静電容量が前記判定閾値を超えている時間的変化により規定される請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記車両に搭載されるカメラで撮像された撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
前記撮像画像に含まれる人が前記要求指示を行う意図があるユーザであるか否かを前記撮像画像に基づいて判定する画像判定部と、を更に備え、
前記容量変化判定部は、前記画像判定部により前記撮像画像に含まれる前記人が前記要求指示を行う意図があるユーザであると判定され、且つ、判定後、所定時間内に前記変化情報が入力された場合に、前記要求指示に応じた静電容量の変化であるか否かを判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記電極は、平面視における前記車両の外縁部よりも内側であって、且つ、前記電極と前記路面との距離が、前記車両下部の最下端と前記路面との距離よりも長くなるように設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる、ユーザの動作に応じてアクチュエータにより開扉動作が行われるドアの開扉を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータにより車両のドアを開閉させる技術が利用されてきた。このような技術として、例えば下記に出典を示す特許文献1に記載にものがある。
【0003】
特許文献1には、車両用ドア開閉装置が記載されている。この車両用ドア開閉装置は、第1電極と第2電極と容量変化検出部とを有する静電センサを備えている。第1電極及び第2電極の静電容量は人間等の導電体が近接した際に、第1電極と導電体との間の距離、及び、第2電極と導電体との間の距離に応じて変化するように構成されている。容量変化検出部は、第1電極の静電容量の変化に基づき車両ドアへの導電体の近接を検出し、第1電極及び第2電極の双方における静電容量の変化に基づき車両ドアの開閉指示を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-15089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1に記載の技術は、第1電極の静電容量の変化に基づき車両ドアへの近接を検出し、第1電極及び第2電極の双方における静電容量の変化に基づき車両ドアの開閉指示を検出することから、1つの車両ドアにおける人の近接と開閉指示とを検出するにあたり、2つの電極(第1電極及び第2電極)が必要となる。2つの電極があるのは小動物や降雨等の誤作動を防ぐためである。このため、低コスト化及び軽量化の観点から改良の余地がある。
【0006】
そこで、低コスト化及び軽量化が可能であり、低スペース化及び搭載し易くした、ドアの開扉を制御する制御装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置の特徴構成は、車両に設けられる、ユーザの動作に応じてアクチュエータにより開扉動作が行われるドアの開扉を制御する制御装置であって、1つのセンサを構成する電極(例えば、前記車両に近接する前記ユーザと共に1組の電極対を構成し、前記車両における路面側の車両下部において、1つの前記ドアに対して1つ設けられる電極)と、前記電極における静電容量を検出する静電容量検出部と、所定時間内における前記静電容量の変化を示す変化情報に基づいて、前記所定時間における前記静電容量の変化が前記ユーザの前記動作による前記ドアの前記開扉動作の要求指示に応じた変化であるか否かを判定する容量変化判定部と、前記容量変化判定部により前記静電容量の変化が前記要求指示に応じた変化であると判定された場合に、前記ドアの開扉動作指示を行う指示部と、を備えている点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、車両における、ユーザが操作可能な範囲に設けられた電極に対して、ユーザが非接触でドアの開扉動作の要求指示を行うことで、当該ドアの開扉動作指示を行うことができる。また、1つのドアに対して、1つの電極が設けられて構成されるので、電極に係る構成を簡素化でき、低コスト化及び軽量化が可能であり、低スペース化(搭載し易さ)を促進することが可能である。
【0009】
また、前記制御装置は、前記変化情報が前記ユーザの前記要求指示に応じた変化であるか否かを判定するために用いられる基準情報を予め記憶しておく記憶部を更に備え、前記容量変化判定部は、前記静電容量検出部により検出された前記静電容量に基づく前記変化情報を、前記基準情報と比較して判定すると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、静電容量の検出結果を基準情報と比較することで、ユーザによる開扉動作の要求指示があったか否かを適切に判定することが可能となる。また、予めユーザの動作に応じた基準情報を記憶しておくことで、より適切に判定することが可能となる。
【0011】
また、前記基準情報は、前記所定時間内における、前記静電容量が予め設定された判定閾値を超える回数、及び、前記静電容量が前記判定閾値を超えている時間的変化により規定されると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、ユーザによる開扉動作の要求指示を、ユーザによる所定の動作の回数や、動作するときの体が動く速度、電極に対する体(手や足等の身体)が接近する際の形態、電極から体が離間する際の形態を複雑にして、ユーザによる要求指示の認証性(ユーザによる要求指示であるか否かの判定精度)を高めることが可能となる。
【0013】
また、前記制御装置は、前記車両に搭載されるカメラで撮像された撮像画像を取得する撮像画像取得部と、前記撮像画像に含まれる人が前記要求指示を行う意図があるユーザであるか否かを前記撮像画像に基づいて判定する画像判定部と、を更に備え、前記容量変化判定部は、前記画像判定部により前記撮像画像に含まれる前記人が前記要求指示を行う意図があるユーザであると判定され、且つ、判定後、所定時間内に前記変化情報が入力された場合に、前記要求指示に応じた静電容量の変化であるか否かを判定すると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、例えばユーザの顔や体(手足等)が車両側を向いていることや、立っていることを検知した後、静電容量による判定を行うようにすることができる。したがって、ユーザによる開扉動作の要求指示の有無を推定し、より適切に判定することが可能となる。また、例えば開扉動作の要求指示を行う意図があるユーザ以外に係る静電容量変化の判定を行うことを防止できるので、不要な演算処理の実行を抑制できる。
【0015】
また、前記電極は、平面視における前記車両の外縁部よりも内側であって、且つ、前記電極と前記路面との距離が、前記車両下部の最下端と前記路面との距離よりも長くなるように設けられていると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、車両の路面側に電極を搭載し、当該電極が設けられる部位と車両の外縁部との間に、車両の一部が突出するような構造体を形成することができる。このため、当該車両の一部が突出するような構造体により、車両の上方や側方から流れてくる水が電極に達しないようにできる。したがって、このような水による誤検知の発生を抑制することが可能となる。また、車両の上方から側面を伝って流れてくる水に起因した静電容量の変化を低減できるので、ユーザによる動作と区別し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】制御装置により開扉動作指示を行うことが可能なドアを有する車両の平面図である。
図2】制御装置の開扉動作指示により開扉されたドアを示す図である。
図3】本実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
図4】従来の電極の配置例を示す図である。
図5】電極の配置例を示す図である。
図6】電極の配置例を示す図である。
図7】ユーザによる開扉動作の要求指示を示す図である。
図8】ユーザによる開扉動作の要求指示を示す図である。
図9】ユーザによる開扉動作の要求指示を示す図である。
図10】ユーザによる開扉動作の要求指示を示す図である。
図11】ユーザによる開扉動作の要求指示を示す図である。
図12】ユーザによる開扉動作の要求指示を示す図である。
図13】容量変化判定部による判定例を示す図である。
図14】撮像画像の一例を示す図である。
図15】撮像画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る制御装置は、車両に設けられる、ユーザの動作に応じてアクチュエータにより開扉動作が行われるドアの開扉を制御することができるように構成される。以下、本実施形態の制御装置1について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る制御装置1により開扉が制御されるドア3を有する車両2の平面図である。具体的には、制御装置1は、例えば車両2の左側方のスライドドア3L、車両2の右側方のスライドドア3R、車両2のバックドア3Bの開扉を制御する。これらのドア3は、ユーザ4(図2参照)の動作に応じてアクチュエータ6(図3参照)により開扉動作が行われる。すなわち、ドア3は、ユーザ4の動作により開扉指示が行われ、開扉される。図2には、車両2の左側方のスライドドア3Lが開扉された状態の様子が示される。
【0020】
図3は、本実施形態に係る制御装置1の構成を模式的に示したブロック図である。図3に示されるように、制御装置1は、電極10、静電容量検出部20、容量変化判定部30、指示部40、記憶部50、撮像画像取得部60、画像判定部70を備えて構成され、各機能部は、ドア3の開扉の制御に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0021】
図2に示されるように、電極10は、車両2に近接するユーザ4と共に1組の電極対を構成し、車両2における路面R側の車両下部において、1つのドア3に対して1つ設けられる。「車両2に近接するユーザ4」とは、車両2のドア3を開扉する意図を有する人である。「ユーザ4と共に1組の電極対を構成する」とは、ユーザ4の体の一部と電極10とで1組の電極対を構成することを意味する。「車両2における路面R側の車両下部」とは、車両2における、路面Rに近い部位が相当する。「1つのドア3に対して1つ設けられる」とは、1つのドア3毎に1つの電極10が設けられることを意味する。したがって、電極10は、車両2のドア3を開扉する意図を有する人と共に、当該人の体の一部と電極10とで1組の電極対を構成し、車両2における、路面Rに近い部位において、1つのドア3毎に1つの電極10が設けられる。
【0022】
本実施形態では、電極10は、平面視における車両2の外縁部2Eよりも内側であって、且つ、電極10と路面Rとの距離が、車両下部の最下端2Lと路面Rとの距離よりも長くなるように設けられている。「車両下部の最下端2L」とは、ユーザ4が、車両2の外縁部2Eからドア3の開扉動作の要求指示に係る動作を行うことが可能な位置までの範囲における最下端2Lである。このような電極10の配置形態の一例が図5図6に示される。また、図4には従来の配置形態の一例が示される。なお、図4図6にあっては、車両2の左側方のスライドドア3Lの開扉指示を行う電極10について示している。図5及び図6に示されるように、電極10は、平面視における車両2の外縁部2Eよりも内側、すなわち、開扉指示の受け付け対象となるドア3(図5図6にあってはスライドドア3L)よりも車幅方向の中央側であって、且つ、電極10と路面Rとの距離が、車両下部の最下端2Lと路面Rとの距離よりも長くなるように、すなわち、電極10よりも路面Rに近い側に車両2の一部が存在するように設けられる。換言すると、図5及び図6に示されるように、電極10が設けられる部位と、車両2の外縁部2Eとの間に、少なくとも電極10よりも路面R側に突出する部位が設けれている。このような構成により、図4に示される従来例では、車両2の外縁部2Eを伝って降雨時や洗車時における水が電極10又は電極10の近傍に達するような構造となっていたが、図5及び図6に示されるように、当該水が電極10及び電極10の近傍に達することを防止できる。したがって、外縁部2Eを伝う水による誤動作(誤った指示の受け付け)を抑制することが可能となる。
【0023】
図3に戻り、静電容量検出部20は、電極10における静電容量を検出する。「電極10における静電容量」とは、上述したユーザ4と共に1組の電極対を構成する電極10における静電容量であり、具体的には、ユーザ4と電極10との間における静電容量が相当する。したがって、静電容量検出部20は、ユーザ4と電極10との間における静電容量を検出する。静電容量検出部20により検出された静電容量の検出結果は、後述する容量変化判定部30に伝達される。
【0024】
容量変化判定部30は、所定時間内における静電容量の変化を示す変化情報に基づいて、所定時間における静電容量の変化がユーザ4の動作によるドア3の開扉動作の要求指示に応じた変化であるか否かを判定する。上述したように、容量変化判定部30には、静電容量検出部20から静電容量の検出結果が伝達される。「所定時間内における静電容量の変化」とは、予め設定された時間(例えば数秒以内)における、静電容量検出部20により検出された静電容量の変化が相当する。本実施形態では、このような静電容量の変化を示す情報は、変化情報として扱われる。「ユーザ4の動作によるドア3の開扉動作の要求指示」とは、ユーザ4がドア3を開扉したいという意図をもって行った所定の動作による要求指示である。したがって、容量変化判定部30は、予め設定された時間における、静電容量検出部20により検出された静電容量の変化を示す変化情報に基づいて、当該静電容量の変化が、ユーザ4がドア3を開扉したいという意図をもって行った所定の動作による要求指示に応じた変化であるか否かを判定する。
【0025】
図7図12には、ユーザ4による開扉動作の要求指示の例が示される。図7の例では、電極10に対してユーザ4が足4Aを近づける操作を続けて2回行う。すなわち、電極10に足4Aを近づけ(#71)、その後、一旦、足4Aを電極10から遠ざける(#72)。その後、改めて足4Aを電極10に近づける(#73)。このような一連の操作を一定時間内に行うことで、偶然による物体の接近と区別することが可能となる。
【0026】
図8の例では、電極10に対してユーザ4が足4Aを近づけ、一旦停止後(例えば数秒間)、元の位置に足4Aを戻す一連の操作を行う。すなわち、電極10に足4Aを近づけ(#81)、その状態で、数秒間、足4Aを静止させる(#82)。その後、足4Aを電極10から遠ざける(#83)。
【0027】
図9の例では、電極10に対してユーザ4が足4Aを近づけ、その状態で足4Aを横に振り、その後、元の位置に足4Aを戻す一連の操作を行う。すなわち、電極10に足4Aを近づけ(#91)、その状態で、数秒間、足4Aを車両2の前後方向(車長方向)に沿って横に振る(#92)。その後、足4Aを電極10から遠ざける(#93)。このように、一連の操作に停止や不規則な動きを入れることで、誤動作と切り分けることが可能となる。
【0028】
図10の例では、電極10に対してユーザ4が足4Aを近づける速度と、電極10からユーザ4が足4Aを遠ざける速度とが極端に異なるように一連の操作を行う。すなわち、電極10に足4Aを速度V1で近づける(#101-#102)。その語、足4Aを速度V2で電極10から遠ざける(#103)。この時、V1<V2であると好適である。V2はV1よりも2倍以上大きいと良い。これは、一般的に、接近するときの速度よりも離間するときの速度の方が遅い場合が多いことから、ユーザ4の意図を明確に区別するために、接近するときの速度よりも離間するときの速度の方を速くすることによる。もちろん、V1>V2であっても良い。
【0029】
図11の例では、電極10に対して2段階でユーザ4が足4Aを近づける一連の操作を行う。すなわち、電極10に足4Aを近づけ(#111)、その状態で、一旦、足4Aの動きを停止させる(#112)。その後(数秒後)、その位置から、足4Aを更に電極10に近づける(#113)。
【0030】
図12の例では、電極10の近傍に一旦、ユーザ4が足4Aをずり足等で近づけ、その後、足4Aを電極10に接近させ、元の位置に戻す一連の操作を行う。すなわち、電極10の下方に足4Aをずり足等で近づけ(#121)、その状態から足4Aを電極10に近づける(#122)。その後、足4Aを電極10から遠ざける(#123)。このように、一旦足4Aを電極10の下方に近づけることで、更なる電極10への物体の接近前に、物体を検知することが可能となる。
【0031】
本実施形態では、容量変化判定部30が上述した判定を適切に行うことができるように、図3に示される記憶部50が設けられている。記憶部50には、変化情報がユーザ4の要求指示に応じた変化であるか否かを判定するために用いられる基準情報が予め記憶されている。基準情報は、ユーザ4により行われたドア3の開扉動作の要求指示に応じた静電容量の変化と同様の静電容量の変化を示す波形からなる情報であっても良いし、ユーザ4により行われたドア3の開扉動作の要求指示に応じた静電容量の変化における特徴量を規定する情報であっても良い。
【0032】
基準情報として、ユーザ4により行われたドア3の開扉動作の要求指示に応じた静電容量の変化と同様の静電容量の変化を示す波形からなる情報を用いる場合には、容量変化判定部30は、静電容量検出部20から静電容量の検出結果を、基準情報として用いる、ユーザ4により行われたドア3の開扉動作の要求指示に応じた静電容量の変化と同様の静電容量の変化を示す波形と比較して判定すると良い。
【0033】
また、基準情報として、ユーザ4により行われたドア3の開扉動作の要求指示に応じた静電容量の変化における特徴量を規定する情報を用いる場合には、基本情報は、所定時間内における、静電容量が予め設定された判定閾値を超える回数、及び、静電容量が判定閾値を超えている時間的変化により規定しておくと良い。「所定時間内における、静電容量が予め設定された判定閾値を超える回数」とは、上述した予め設定された時間(例えば数秒程度)において、静電容量検出部20から検出結果として伝達された静電容量の値が予め設定された判定閾値を超える回数である。例えば、この回数も、2回や3回など、要求指示に応じたユーザ4の動作により規定しておくと好適である。「静電容量が判定閾値を超えている時間的変化」とは、上述した予め設定された時間(例えば数秒程度)において、静電容量検出部20から検出結果として伝達された静電容量の値が予め設定された判定閾値を超えている時間である。また「時間的変化」には、静電容量の時間的な変化、すなわちユーザ4の速度、加速度、停止等に応じた静電容量の時間的な変化が含まれる。係る場合も、容量変化判定部30は、静電容量検出部20により検出された静電容量に基づく変化情報を、基準情報と比較して判定すると好適である。
【0034】
図13には、記憶部50に記憶された基準情報を用いた容量変化判定部30による判定例が示される。図13の(I)には、記憶部50に記憶された基準情報が示される。本例では、縦軸を静電容量とし、横軸を時間としている。ここでの判定基準は、所定時間T内に、静電容量が判定閾値C1を上回る回数(波形のピーク値が連続して判定閾値C1を上回る期間の回数を1回とする)、及び、静電容量が判定閾値C1を上回っている時間t1(波形のピーク値が連続して判定閾値C1を上回る波形における最初に判定閾値C1を上回る時間から最後に判定閾値C1を下回るまでの時間)が用いられる。容量変化判定部30が、静電容量検出部20から図13の(II)で示されるような静電容量の検出結果を取得した場合、容量変化判定部30は図13の(I)の基準情報と、取得した図13の(II)の検出結果とを比較して判定する。図13の(II)の検出結果において、所定時間T内における、静電容量が判定閾値C1を上回る回数は2回であり、静電容量が判定閾値C1を上回っている時間は、夫々t2である(ただし、t2>t1とする)。この場合、容量変化判定部30は静電容量検出部20から取得された図13の(II)で示される静電容量の検出結果で示される変化がユーザ4の動作によるドア3の開扉動作の指示に応じた変化であると判定する。なお、図13の例では判定結果として「OK」と記載している。
【0035】
一方、容量変化判定部30が、静電容量検出部20から図13の(III)で示されるような静電容量の検出結果を取得した場合、容量変化判定部30は図13の(I)の基準情報と、取得した図13の(III)の検出結果とを比較して判定する。図13の(III)の検出結果において、所定時間T内における、静電容量が判定閾値C1を上回る回数は1回である。この場合、容量変化判定部30は静電容量検出部20から取得された図13の(III)で示される静電容量の検出結果で示される変化がユーザ4の動作によるドア3の開扉動作の指示に応じた変化でないと判定する。なお、図13の例では判定結果として「NG」と記載している。
【0036】
なお、図示はしないが、所定時間T内に静電容量が判定閾値C1を上回る回数が3回以上の場合にも、容量変化判定部30はユーザ4の動作によるドア3の開扉動作の指示に応じた変化でないと判定するように構成しても良いし、静電容量が判定閾値C1を上回っている時間がt1よりも短い場合にも、容量変化判定部30はユーザ4の動作によるドア3の開扉動作の指示に応じた変化でないと判定するように構成しても良い。このような容量変化判定部30の判定結果は、後述する指示部40に伝達される。
【0037】
図3に戻り、指示部40は、容量変化判定部30により静電容量の変化が要求指示に応じた変化であると判定された場合に、ドア3の開扉動作指示を行う。容量変化判定部30により静電容量の変化が要求指示に応じた変化であると判定されたか否かは、容量変化判定部30から伝達される判定結果により特定可能である。ドア3の開扉動作指示は、ユーザ4により開扉指示があったドア3を開扉するようにアクチュエータ6を動作させる指示である。指示部40は、開扉動作指示によりアクチュエータ6を直接、動作するように構成することも可能であるし、開扉動作指示をアクチュエータ6の動作を制御するアクチュエータ制御ユニット7に伝達し、アクチュエータ制御ユニット7がアクチュエータ6を動作させてドア3を開扉させるように構成することも可能である。
【0038】
ここで、容量変化判定部30は静電容量検出部20により静電容量の検出結果が伝達される毎に判定を行うように構成しても良いが、まず、車両2の周囲の情景を撮像した撮像画像に基づいて、車両2の周囲の人がドア3の開扉の意図を有しているか否かを判定し(推定し)、その結果により、容量変化判定部30が判定するように構成することも可能である。
【0039】
係る場合、制御装置1は、撮像画像取得部60が車両2に搭載されるカメラ5で撮像された撮像画像を取得すると良い。カメラ5は、例えば車両2の周辺を監視するカメラ5と併用することが可能である。具体的には、図1に示されるような車両2の前部中央部に設けられるフロントカメラ5A、車両2の後部中央部に設けられるバックカメラ5B、車両2の左ドアミラーに設けられる左カメラ5C、車両2の右ドアミラーに設けられる右カメラ5Dを利用することが可能である。撮像画像取得部60は、このようなカメラ5から車両2の周囲の情景を撮像した撮像画像を取得する。
【0040】
図3に戻り、画像判定部70は、撮像画像に含まれる人が要求指示を行う意図があるユーザ4であるか否かを撮像画像に基づいて判定する。具体的には、画像判定部70は画像認識処理により、撮像画像に人が含まれるか否かを判定し(推定し)、撮像画像に人が含まれる場合に、当該人がドア3の開扉の要求指示を行う意図があるか否かを判定する。例えば、図14に示されるように、車両2の左ドアミラーに設けられている左カメラ5Cで撮像した場合に、撮像画像に含まれる人がスライドドア3L側を向いて立っている場合には、前記要求指示を行う意図がユーザ4であると判定すると良い。一方、図15に示されるように撮像画像に含まれる人がスライドドア3L側を向いていない場合や、スライドドア3Lの前でしゃがんでいる場合には、前記要求指示を行う意図がユーザ4でないと判定すると良い。このような画像判定部70による判定結果は容量変化判定部30に伝達される。
【0041】
図3に戻り、容量変化判定部30は、画像判定部70により撮像画像に含まれる人が要求指示を行う意図があるユーザ4であると判定され、且つ、判定後、所定時間内に変化情報が入力された場合に、要求指示に応じた静電容量の変化であるか否かを判定すると良い。すなわち、容量変化判定部30は、上述した画像判定部70から撮像画像に含まれる人が要求指示を行う意図がユーザ4であると判定された結果が伝達され、且つ、当該判定結果が伝達されてから、所定時間(例えば数秒)内に静電容量検出部20から静電容量の検出結果が伝達された場合に、当該静電容量の検出結果を用いて要求指示に応じた静電容量の変化であるか否かを判定すると良い。撮像画像に人が含まれると判定された場合には、容量変化判定部30は、当該人が含まれる撮像画像を撮像したカメラ5の撮像範囲側に設けられた電極10に基づく静電容量の検出結果を用いて判定すると良い。これにより、例えば車両2の周囲に犬や猫などが通った場合等のような容量変化判定部30による不要な判定処理を行うことを防止できる。また、車両2のドア3を開扉させる意図を有することなく近づいた人(例えば通行人や不審者)に対する判定処理を行うことも防止できる。
【0042】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、ドア3の開扉動作に係る要求指示を例に挙げて説明したが、ドア3の閉扉動作に係る要求指示に利用することも可能であるし、ドア3のロックの解錠や施錠の要求指示に利用することも可能である。
【0043】
上記実施形態では、記憶部50に、変化情報がユーザ4の要求指示に応じた変化であるか否かを判定するために用いられる基準情報が予め記憶されているとして説明したが、記憶部50に基準情報を記憶せずに、判定に利用する特徴量のみを容量変化判定部30が記憶しておくように構成することも可能である。
【0044】
上記実施形態では、基準情報は、所定時間T内における、静電容量が予め設定された判定閾値を超える回数、及び、静電容量が判定閾値を超えている時間的変化により規定されるとして説明したが、基準情報は、その他の特徴量で規定することも可能である。
【0045】
上記実施形態では、容量変化判定部30は、画像判定部70により撮像画像に含まれる人が要求指示を行う意図があるユーザ4であると判定され、且つ、判定後、所定時間内に変化情報が入力された場合に、要求指示に応じた静電容量の変化であるか否かを判定するとして説明したが、容量変化判定部30は撮像画像による判定結果を利用することなく要求指示に応じた静電容量の変化であるか否かを判定するように構成することも可能である。
【0046】
上記実施形態では、電極10は、平面視における車両2の外縁部2Eよりも内側であって、且つ、電極10と路面Rとの距離が、車両下部の最下端2Lと路面Rとの距離よりも長くなるように設けられているとして説明したが、電極10は、車両2の外縁部2Eに設けても良いし、電極10と路面Rとの距離が、車両下部の最下端2Lと路面Rとの距離よりも長くなるように設けられていなくても良い。
【0047】
上記実施形態では、ユーザ4の動作によりドア3の開扉動作の要求指示が行われるとして説明したが、ユーザ4が例えば車両2のキーを有しているときに開扉動作の要求指示を受け付けるように構成しても良い。
【0048】
本発明は、車両に設けられる、ユーザの動作に応じてアクチュエータにより開扉動作が行われるドアの開扉を制御する制御装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:制御装置
2:車両
2E:外縁部
2L:最下端
3:ドア
4:ユーザ
5:カメラ
6:アクチュエータ
10:電極
20:静電容量検出部
30:容量変化判定部
40:指示部
50:記憶部
60:撮像画像取得部
70:画像判定部
R:路面
図1
図2
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