(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049580
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
G11C 8/10 20060101AFI20220322BHJP
G11C 8/12 20060101ALI20220322BHJP
G11C 13/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
G11C8/10
G11C8/12
G11C13/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155849
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】川澄 篤
(57)【要約】
【課題】信号の転送に伴う消費エネルギーを低減する構成を備える半導体記憶装置及び半導体記憶装置の駆動方法を提供すること。
【解決手段】本実施形態に係る半導体記憶装置は、第1の電圧を供給される第1の領域と、第1の電圧より大きな第2の電圧を供給される第2の領域と、第1の領域に設けられ信号を入力し当該信号に対応するワンホット信号を出力するプリデコーダと、第1の領域に設けられ、プリデコーダに電気的に接続され、ワンホット信号を供給される第1の配線と、第2の領域に設けられる第2の配線と、第1の領域に設けられ第1の電圧及び第2の電圧を供給され第1の領域の第1の配線から第2の領域の第2の配線にワンホット信号を転送するレベルシフタと、第2の領域に設けられ転送されたワンホット信号に基づき動作するメモリセルアレイと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧を供給される第1の領域と、
前記第1の電圧より大きな第2の電圧を供給される第2の領域と、
前記第1の領域に設けられ、信号を入力し当該信号に対応するワンホット信号を出力するプリデコーダと、
前記第1の領域に設けられ、前記プリデコーダに電気的に接続され、前記ワンホット信号を供給される第1の配線と、
前記第2の領域に設けられる第2の配線と、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給され、前記第1の領域の前記第1の配線から、前記第2の領域の前記第2の配線に、前記ワンホット信号を転送するレベルシフタと、
前記第2の領域に設けられ、前記転送されたワンホット信号に基づき動作するメモリセルアレイと、
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1の領域に設けられ、前記第1の配線と前記レベルシフタとの間に電気的に接続され、前記第1の電圧で動作する第1の回路部と、
前記第2の領域に設けられ、前記レベルシフタと前記メモリセルアレイとの間に電気的に接続され、前記第2の電圧で動作する第2の回路部と、
を備え、
前記第1の回路部は、前記ワンホット信号を入力し第1の演算結果を含む第1の信号を出力し、
前記レベルシフタは、前記第1の信号を入力し、第2の信号を出力し、
前記第2の回路部は、前記第2の信号を入力し、前記転送されたワンホット信号である第2の演算結果を含む第3の信号を出力し、
前記メモリセルアレイは、前記第3の信号に基づき動作する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1の回路部は、第1のDFFと前記第1のDFFに電気的に接続された第1のXOR回路とを備え、
前記第1のDFFは、前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を入力し、第4の信号を出力し、
前記第1のXOR回路は、前記ワンホット信号及び前記第4の信号を入力し、前記第1の演算結果を生成し、前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を出力する、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1のXOR回路は、
前記ワンホット信号の値が前記第4の信号の値と異なると、前記第1の電圧のレベルの前記第1の演算結果を生成し、前記第1の電圧のレベルの前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を出力し、
前記ワンホット信号の値が前記第4の信号の値と同じであると、前記第1の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第1の演算結果を生成し、前記第1の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を出力する、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2の回路部は、第2のDFFと前記第2のDFFに電気的に接続された第2のXOR回路とを備え、
前記第2のDFFは、前記第2の信号を入力し、前記第2の信号の値を保存し、第5の信号を出力し、
前記第2のXOR回路は、前記第5の信号及び前記第2の信号を入力し、前記第2の演算結果を生成し、前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2のXOR回路は、
前記第2の信号の値が前記第5の信号の値と異なると、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力し、
前記第2の信号の値が前記第5の信号の値と同じであると、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2の回路部は、遅延回路と前記遅延回路に電気的に接続された第2のXOR回路とを備え、
前記遅延回路は、前記第2の信号を入力し、入力した前記第2の信号より遅延した第6の信号を出力し、
前記第2のXOR回路は、前記第2の信号及び前記第6の信号を入力し、前記第2の信号の値及び前記第6の信号の値を用いて前記第2の演算結果を生成し、前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2のXOR回路は、
前記第2の信号の値が前記第6の信号の値と異なると、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力し、
前記第2の信号の値が前記第6の信号の値と同じであると、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記ワンホット信号は、NRZワンホット信号である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
第1の電圧を供給される第1の領域と、前記第1の電圧より大きな第2の電圧を供給される第2の領域と、前記第1の領域に設けられるプリデコーダと、前記第1の領域に設けられ前記プリデコーダに電気的に接続される第1の配線と、前記第2の領域に設けられる第2の配線と、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給されるレベルシフタと、前記第2の領域に設けられるメモリセルアレイと、を備える半導体記憶装置の駆動方法であって、
前記プリデコーダに信号を入力し、当該信号に対応するワンホット信号を前記プリデコーダから出力し、
前記レベルシフタに前記ワンホット信号を供給し、前記第1の領域の前記第1の配線から前記第2の領域の前記第2の配線に前記ワンホット信号を転送し、
前記メモリセルアレイに、前記転送されたワンホット信号に基づく信号を供給し、前記メモリセルアレイを動作すること、
を含む半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項11】
前記半導体記憶装置は、
前記第1の領域に設けられ、前記第1の配線と前記レベルシフタとの間に電気的に接続され、前記第1の電圧で動作する第1の回路部と、
前記第2の領域に設けられ、前記レベルシフタと前記メモリセルアレイとの間に電気的に接続され、前記第2の電圧で動作する第2の回路部と、を備え、
前記第1の回路部に前記ワンホット信号を入力し、前記第1の回路部から第1の演算結果を含む第1の信号を出力し、
前記レベルシフタに前記第1の信号を入力し、前記レベルシフタから第2の信号を出力し、
前記第2の回路部に前記第2の信号を入力し、前記第2の回路部から前記転送されたワンホット信号である第2の演算結果を含む第3の信号を出力し、
前記第3の信号に基づき前記メモリセルアレイを動作する、
請求項10に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項12】
前記第1の回路部は、第1のDFFと前記第1のDFFに電気的に接続された第1のXOR回路とを備え、
前記第1のDFFに前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を入力し、前記第1のDFFから第4の信号を出力し、
前記第1のXOR回路に前記ワンホット信号及び前記第4の信号を入力し、前記ワンホット信号の値及び前記第4の信号の値を用いて前記第1の演算結果を生成し、前記第1のXOR回路から前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を出力する、
請求項11に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項13】
前記第1のXOR回路は、
前記ワンホット信号の値が前記第4の信号の値と異なると、前記第1の電圧のレベルの前記第1の演算結果を生成し、前記第1の電圧のレベルの前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を出力し、
前記ワンホット信号の値が前記第4の信号の値と同じであると、前記第1の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第1の演算結果を生成し、前記第1の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第1の演算結果を含む前記第1の信号を出力する、
請求項12に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項14】
前記第2の回路部は、第2のDFFと前記第2のDFFに電気的に接続された第2のXOR回路とを備え、
前記第2のDFFに前記第2の信号を入力し、前記第2の信号の値を保存し、前記第2のDFFから第5の信号を出力し、
前記第2のXOR回路に前記第5の信号及び前記第2の信号を入力すると、前記第5の信号の値及び前記第2の信号の値を用いて前記第2の演算結果を生成し、前記第2のXOR回路から前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項11に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項15】
前記第2のXOR回路は、
前記第2の信号の値が前記第5の信号の値と異なると、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力し、
前記第2の信号の値が前記第5の信号の値と同じであると、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項14に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項16】
前記第2の回路部は、遅延回路と前記遅延回路に電気的に接続された第2のXOR回路とを備え、
前記遅延回路に前記第2の信号を入力し、
入力した前記第2の信号より遅延した第6の信号を前記遅延回路から出力し、
前記第2のXOR回路に前記第2の信号及び前記第6の信号を入力し、前記第2の信号及び前記第6の信号を用いて前記第2の演算結果を生成し、
前記第2のXOR回路から前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項11に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項17】
前記第2のXOR回路は、
前記第2の信号の値が前記第6の信号の値と異なると、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力し、
前記第2の信号の値が前記第6の信号の値と同じであると、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を生成し、前記第2の電圧のレベルより低い電圧のレベルの前記第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する、
請求項16に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項18】
前記ワンホット信号は、NRZワンホット信号である、請求項10に記載の半導体記憶装置の駆動方法。
【請求項19】
第1の電圧を供給される第1の領域と、
前記第1の電圧より大きな第2の電圧を供給される第2の領域と、
前記第1の領域に設けられ、第1信号部分と第2信号部分を含む信号の前記第1信号部分を入力し当該第1信号部分に対応するワンホット信号を出力するプリデコーダと、
前記第1の領域に設けられ、前記プリデコーダに電気的に接続され、前記ワンホット信号を供給される第1の配線と、
前記第2の領域に設けられる第2の配線と、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給され、前記第1の領域の前記第1の配線から、前記第2の領域の前記第2の配線に、前記ワンホット信号を転送する第1のレベルシフタと、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給され、前記第2信号部分の電圧のレベルを前記第1の電圧のレベルから前記第2の電圧のレベルにシフトし、前記第2信号部分のレベルシフト信号を生成する第2のレベルシフタと、
前記第2の領域に設けられ、前記転送されたワンホット信号に基づき動作する第1のメモリセルアレイと、
前記第2の領域に設けられ、前記第2信号部分のレベルシフト信号に基づき動作する第2のメモリセルアレイと、
を備える半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は半導体記憶装置及び半導体記憶装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置は、例えば、メモリセルアレイと、メモリセルアレイを駆動するための信号を転送するプリデコーダとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6227792号公報
【特許文献2】特開2003-143242号明細書
【特許文献3】米国特許第9245625号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、信号の転送に伴う消費エネルギーを低減する構成を備える半導体記憶装置及び半導体記憶装置の駆動方法を提供する。また、本実施形態は、装置の面積の増大を抑制する構成を備える半導体記憶装置及び半導体記憶装置の駆動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、第1の電圧を供給される第1の領域と、前記第1の電圧より大きな第2の電圧を供給される第2の領域と、前記第1の領域に設けられ、信号を入力し当該信号に対応するワンホット信号を出力するプリデコーダと、前記第1の領域に設けられ、前記プリデコーダに電気的に接続され、前記ワンホット信号を供給される第1の配線と、前記第2の領域に設けられる第2の配線と、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給され、前記第1の領域の前記第1の配線から、前記第2の領域の前記第2の配線に、前記ワンホット信号を転送するレベルシフタと、前記第2の領域に設けられ、前記転送されたワンホット信号に基づき動作するメモリセルアレイと、を備える。
【0006】
本実施形態に係る半導体記憶装置の駆動方法は、第1の電圧を供給される第1の領域と、前記第1の電圧より大きな第2の電圧を供給される第2の領域と、前記第1の領域に設けられるプリデコーダと、前記第1の領域に設けられ前記プリデコーダに電気的に接続される第1の配線と、前記第2の領域に設けられる第2の配線と、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給されるレベルシフタと、前記第2の領域に設けられるメモリセルアレイと、を備える半導体記憶装置の駆動方法であって、前記プリデコーダに信号を入力し、当該信号に対応するワンホット信号を前記プリデコーダから出力し、前記レベルシフタに前記ワンホット信号を供給し、前記第1の領域の前記第1の配線から前記第2の領域の前記第2の配線に前記ワンホット信号を転送し、前記メモリセルアレイに、前記転送されたワンホット信号に基づく信号を供給し、前記メモリセルアレイを動作する。
【0007】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、第1の電圧を供給される第1の領域と、前記第1の電圧より大きな第2の電圧を供給される第2の領域と、前記第1の領域に設けられ、第1信号部分と第2信号部分を含む信号の前記第1信号部分を入力し当該第1信号部分に対応するワンホット信号を出力するプリデコーダと、前記第1の領域に設けられ、前記プリデコーダに電気的に接続され、前記ワンホット信号を供給される第1の配線と、前記第2の領域に設けられる第2の配線と、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給され、前記第1の領域の前記第1の配線から、前記第2の領域の前記第2の配線に、前記ワンホット信号を転送する第1のレベルシフタと、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を供給され、前記第2信号部分の電圧のレベルを前記第1の電圧のレベルから前記第2の電圧のレベルにシフトし、前記第2信号部分のレベルシフト信号を生成する第2のレベルシフタと、前記第2の領域に設けられ、前記転送されたワンホット信号に基づき動作する第1のメモリセルアレイと、前記第2の領域に設けられ、前記第2信号部分のレベルシフト信号に基づき動作する第2のメモリセルアレイと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係るプリデコーダから第2の回路部の構成を示すブロック図であ る。
【
図4】一実施形態に係るプリデコーダの構成を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係るプリデコーダの回路図である。
【
図6】一実施形態に係る半導体記憶装置におけるワンホット信号を説明するための図である。
【
図7】データ遷移の期待値を説明するための図である。
【
図8】一実施形態に係る半導体記憶装置におけるタイミングチャートを示す図である。
【
図9】一実施形態に係る第1の回路部及び第2の回路部の真理値表を示す図である。
【
図10】一実施形態に係るプリデコーダから第2の回路部の構成を示すブロック図である。
【
図11】一実施形態に係るプリデコーダから第2の回路部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、共通する参照符号を有する複数の構成要素を区別する場合、当該共通する参照符号に添え字を付して区別する。なお、複数の構成要素について特に区別を要さない場合、当該複数の構成要素には、共通する参照符号のみが付され、添え字は付さない。以下に示す各実施形態は、一実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。一実施形態の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定されない。一実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲に対して、種々の変更を加えたものであってもよい。
【0010】
<1.第1実施形態>
<1-1.半導体記憶装置100の全体構成>
図1及び
図2は、半導体記憶装置100の基本的な全体構成を示すブロック図の一例である。本実施形態に係る半導体記憶装置100の構成は、
図1及び
図2に示される構成に限定されない。
【0011】
図1に示すように、半導体記憶装置100は、周辺部24、コア部26、第1の電源線30、及び第2の電源線32を備える。周辺部24は、I/Oバッファ1、制御回路2、プリデコーダ3、第1の回路部4、レベルシフタ5を含む。コア部26は、第2の回路部6、及び不揮発性メモリ部10を含む。不揮発性メモリ部10は、データ読み出し/書き込み回路12、カラムデコーダ14、ロウデコーダ16、及びメモリセルアレイ18を含む。不揮発性メモリ部10は、例えば、複数の不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp、pは正の自然数)を含む。
図1では、各ブロック間の信号の転送の一部が矢印線により示されているが、各ブロック間の信号の転送は、
図1に示された例に限定されない。
【0012】
第1の電源電圧VDDLが第1の電源線30に供給される。第1の電源線30は、周辺部24に、第1の電源電圧VDDLを供給する。第2の電源電圧VDDHが第2の電源線32に供給される。第2の電源線32は、レベルシフタ5及びコア部26に、第2の電源電圧VDDHを供給する。第2の電源電圧VDDHは、第1の電源電圧VDDLよりも大きい。第1の電源電圧VDDL、第2の電源電圧VDDHは、例えば、外部の電源回路から半導体記憶装置100に供給される。
【0013】
I/Oバッファ1は、外部コントローラ(図示は省略)から各信号を入力(受信)すること、及び、外部コントローラに各信号を出力(送信)することを制御する。各信号は、例えばデータDAT、アドレスADD、及びコマンドCMDを含む。より具体的には、I/Oバッファ1は、外部コントローラから受信したデータDATをデータ書き込み/読み出し回路12に送信し、外部コントローラから受信したアドレスADD及びコマンドCMDを制御回路に送信する。なお、外部コントローラの動作電圧は、周辺部24の動作電圧と同等、または、周辺部24の動作電圧以下である。本実施形態において、各信号の入力、受信、出力、送信のそれぞれ、または、各信号の入力、受信、出力、送信はまとめて、各信号の転送と呼ばれることもある。
【0014】
制御回路2は、受信したアドレスADD及びコマンドCMDに応じて、プリデコーダ3、不揮発性メモリ部10を制御する。例えば、制御回路2は、アドレスADD及びコマンドCMDを一時的に保存するレジスタを備えてもよい。制御回路2は、動作モードを指示するコマンドCMDをデコードし、デコードされたコマンドに基づく信号を、データ読み出し/書き込み回路12、カラムデコーダ14、及びロウデコーダ16に転送する。また、制御回路2は、デコードされたコマンドに応じて、アドレスADDに含まれるnビット(nは正の自然数)のアドレス信号a<n>をプリデコーダ3に転送する。デコードされたコマンドに基づく信号は、例えば、不揮発性メモリ部10にデータの書き込みを指示する信号、不揮発性メモリ部10からデータの読み出しを指示する信号である。本実施形態において、制御回路2は、コントローラと呼ばれることもある。
【0015】
プリデコーダ3は、制御回路2からアドレス信号a<n>を入力し、アドレス信号a<n>に応じてプリデコードされた信号(プリデコード信号)A<2n>を生成し、第1の回路部4にプリデコード信号A<2n>を出力する。本実施形態において、プリデコード信号は、ワンホット信号と呼ばれることもある。プリデコーダ3は、配線50に電気的に接続され、配線50にプリデコード信号A<2n>を供給する。配線50はプリデコード信号A<2n>を供給されるバスラインである。本実施形態において、配線50は第1の配線と呼ばれることもある。
【0016】
詳細は後述するが、プリデコード信号A<2n>は、ワンホット信号である。ワンホット信号とはプリデコード信号A<2n>のうち1つの信号のみが論理値“1”となる信号である。すなわち、プリデコード信号A<2n>のうち1つの信号のみが変化する信号である。例えば、アドレスが1ビット変化すると、ある1つの信号の立上がりまたは立下りが変化する。したがって、本実施形態に係るデコード信号の転送は、アドレスが1ビット変化する毎に信号の立上がり及び立下りが変化し信号線を充放電する構成と比較して、信号線の充放電に要するエネルギーを低減し、信号の転送に伴う消費エネルギーを抑制することができる。
【0017】
詳細は後述するが、第1の回路部4は、プリデコーダ3からプリデコード信号A<2n>を入力し、ワンホット信号AL<2n>を生成し、ワンホット信号AL<2n>をレベルシフタ5に出力する。第1の回路部4は、プリデコーダ3、レベルシフタ5、配線50及び配線60に電気的に接続され、配線60にワンホット信号AL<2n>を供給する。配線60はワンホット信号AL<2n>を供給されるバスラインである。
【0018】
詳細は後述するが、レベルシフタ5は、第1の回路部4からワンホット信号AL<2n>を入力し、ワンホット信号AH<2n>を生成し、ワンホット信号AH<2n>を第2の回路部6に出力する。レベルシフタ5は、第1の回路部4、第2の回路部6、配線60及び配線70に電気的に接続され、配線70にワンホット信号AH<2n>を供給する。配線70はワンホット信号AH<2n>を供給されるバスラインである。本実施形態において、配線70は第2の配線と呼ばれることもある。
【0019】
詳細は後述するが、第2の回路部6は、プリデコード信号AH<2n>を入力し、デコード信号を生成し、デコード信号を出力する。第2の回路部6は、レベルシフタ5、カラムデコーダ14、ロウデコーダ16、及び配線70に電気的に接続され、第2の回路部6とカラムデコーダ14及びロウデコーダ16を電気的に接続する配線は、デコード信号を供給されるバスラインである。
【0020】
メモリセルアレイ18は、ロウ方向及びロウ方向と交差するカラム方向にマトリクス状に設けられた複数の不揮発性メモリ素子(図示は省略)を含む。本実施形態に係る不揮発性メモリ部10は、データ読み出し/書き込み回路12、カラムデコーダ14、及びロウデコーダ16に入力されたコマンドに基づく信号、及び、カラムデコーダ14、及びロウデコーダ16に入力されたデコード信号に応じて、複数の不揮発性メモリ素子のうち少なくとも1つの不揮発性メモリ素子が選択され、選択された不揮発性メモリ素子にデータを書き込む、または、選択された不揮発性メモリ素子からデータを読み出す。本実施形態に係る半導体記憶装置100は、例えば、相変化型メモリ(PRAM(Phase Change RAM)、または、PCM(Phase Change Memory))、抵抗変化型メモリ(ReRAM(Resistive Random Access Memory))などの不揮発性メモリである。不揮発性メモリ素子は、例えば、相変化型メモリ、または、抵抗変化型メモリ素子である。
【0021】
上記のように、半導体記憶装置100は、周辺部24(第1の領域)と、コア部26(第2の領域)と、プリデコーダ3と、配線50(第1の配線)と、配線70(第2の配線)と、レベルシフタと、メモリセルアレイと、を備える。周辺部24は第1の電源電圧VDDL(第1の電圧)を供給される。コア部26は第1の電源電圧VDDLより大きな第2の電源電圧VDDH(第2の電圧)を供給される。プリデコーダ3は、周辺部24に設けられ、複数のアドレス信号を入力し、入力された複数のアドレス信号のうち1つのアドレス信号が変化するプリデコード信号(ワンホット信号)を出力する。配線50は、周辺部24に設けられ、プリデコーダ3に電気的に接続され、当該ワンホット信号を供給される。配線70はコア部26に設けられる。レベルシフタは、周辺部24に設けられ、第1の電源電圧VDDL及び第2の電源電圧VDDHを供給され、配線50から配線70に当該ワンホット信号を転送する。メモリセルアレイは、コア部26に設けられ、転送された当該ワンホット信号に基づき動作する。
【0022】
図2に示す半導体記憶装置100の構成は、
図1に示す半導体記憶装置100の構成に対して、I/Oバッファ1、及び制御回路2を省略し、データ読み出し/書き込み回路12、カラムデコーダ14及びロウデコーダ16をまとめてファイナルデコーダ11とし、第2の回路部6及び不揮発性メモリ部10に含まれる複数の不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)を配線70に対して、枝分かれするように配置した構成である。本実施形態において、周辺部24は、第1の電源電圧VDDL(
図1)を供給され、第1の電源電圧VDDLを用いて動作することから、LV(Low Voltage)領域と呼ばれ、コア部26は、第2の電源電圧VDDH(
図2)を供給され、第2の電源電圧VDDHを用いて動作することから、HV(High Voltage)領域と呼ばれる。
【0023】
例えば、半導体記憶装置において、プリデコード信号を供給する配線の末端近傍(例えば、不揮発性メモリ部の直前)にレベルシフタを設けると、レベルシフタの面積オーバヘッドが大きくなる。また、例えば、半導体記憶装置において、不揮発性メモリ部の動作電圧が大きいと、プリデコード信号を不揮発性メモリ部に転送するための配線が長くなるため、プリデコード信号をレベルシフタを介して不揮発性メモリ部に転送すると、半導体記憶装置の消費電力が増大する。一方、本実施形態に係る半導体記憶装置100の構成は、レベルシフタ5をLV領域(周辺部24)に備え、プリデコード信号をワンホット信号とし、レベルシフタ5を介してワンホット信号をLV領域からHV領域(コア領域)に転送することができる。その結果、半導体記憶装置100を用いることで、レベルシフタ5の面積オーバヘッドを抑制することができ、また、半導体記憶装置の消費電力を抑制することができる。すなわち、半導体記憶装置100を用いることで、信号の転送に伴う消費エネルギーを抑制したワンホット信号を、異なる電源で動作する領域にわたり転送することができるため、レベルシフタ5の面積オーバヘッド、及び、半導体記憶装置100の消費電力の両方を抑制することができる。
【0024】
<1-2.プリデコーダ3から第2の回路部6の構成>
図3は、本実施形態に係る半導体記憶装置100に含まれるプリデコーダ3から第2の回路部6の構成を示すブロック図である。
図4は、本実施形態に係るプリデコーダ3の構成を示すブロック図である。
図5(A)及び
図5(B)は、本実施形態に係るプリデコーダの一例を示す回路図である。
図6(A)、
図6(B)及び
図6(C)は、本実施形態に係る半導体記憶装置100におけるワンホット信号を説明するための図である。
図7は、データ遷移の期待値を説明するための図である。本実施形態に係る半導体記憶装置100の構成は、
図3から
図7までに示される構成に限定されない。
図1及び
図2と同一、又は類似する構成の説明は省略されることがある。
【0025】
図3に示すように、プリデコーダ3は、例えば、制御回路2からnビットのアドレス信号a<n-1:0>を入力端子INに入力し、nビットのアドレス信号a<n-1:0>に応じてプリデコードされた信号(プリデコード信号)A<0>、・・・A<q>、・・・A<r>、・・・A<s>、・・・A<2
n-1>を生成し、出力端子OUT0、・・・OUTq、・・・OUTr、・・・OUTs、・・・OUT2
n-1から第1の回路部4に、プリデコード信号A<0>、・・・A<q>、・・・A<r>、・・・A<s>、・・・A<2
n-1>を出力する。数値qは0<q<rである正の自然数であり、数値rはq<r<sである正の自然数であり、数値sはr<s<2
n-1である正の自然数である。プリデコーダ3の出力端子OUTのそれぞれは、
図1及び
図2を用いて説明した第1の回路部4から不揮発性メモリBLKに電気的に接続する。
【0026】
第1の回路部4は、第1のDFF(D-フリップフロップ)42及び第1のDFF42に電気的に接続された第1のXOR回路44を含む。第1のDFF42は、入力端子d、入力端子f、及び出力端子eを有する。第1のXOR回路44は、入力端子a、入力端子c、及び出力端子bを有する。入力端子dは配線40に電気的に接続し、入力端子fは出力端子bに電気的に接続し、出力端子eは入力端子cに電気的に接続し、入力端子aはプリデコーダ3(例えば、出力端子OUT0に電気的に接続された配線50)に電気的に接続し、出力端子bは配線60に電気的に接続する。第1の回路部4は、プリデコーダ3(配線50)とレベルシフタ5(配線60)の間に設けられ、プリデコーダ3(配線50)とレベルシフタ5(配線60)に電気的に接続される。
【0027】
レベルシフタ5は、プリデコード信号A<0>(AL<0>)に基づく信号を入力し、ワンホット信号AH<0>を生成及び出力し、プリデコード信号A<q>(AL<q>)に基づく信号を入力し、ワンホット信号AH<q>を生成及び出力し、プリデコード信号A<r>(AL<r>)に基づく信号を入力し、ワンホット信号AH<r>を生成及び出力し、プリデコード信号A<s>(AL<s>)に基づく信号を入力し、ワンホット信号AH<s>を生成及び出力し、プリデコード信号A<2n-1>(AL<2n-1>)に基づく信号を入力し、ワンホット信号AH<2n-1>を生成及び出力する。配線70は、寄生容量76を含む。
【0028】
第2の回路部6は、複数の第2のDFF72及び複数の第2のDFF72の各々に電気的に接続された第2のXOR回路74を含む。第2のDFF72の各々は、入力端子δ、入力端子ε、及び出力端子ζを有する。第2のXOR回路74の各々は、入力端子α、入力端子β、及び出力端子γを有する。入力端子δは配線80に電気的に接続し、入力端子εはレベルシフタ5、配線70及び入力端子αに電気的に接続し、出力端子ζは入力端子βに電気的に接続し、出力端子γは不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)に電気的に接続する。第2の回路部6は、レベルシフタ5(配線70)と不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)の間に設けられ、レベルシフタ5(配線70)と不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)に接続される。
【0029】
配線40は、例えば、低電圧の電圧レベルのクロック信号LVCLK(
図8)を供給される。配線80は、例えば、低電圧の電圧レベルよりも大きな電圧レベル(高電圧の電圧レベル)のクロック信号HVCLK(
図8)を供給される。クロック信号LVCLK及びクロック信号HVCLKは、例えば、外部コントローラ(図示は省略)から半導体記憶装置100に供給されてもよく、半導体記憶装置100の内部に設けられるPLLなどのクロック発生回路から、各回路部に供給してもよい。
【0030】
図4に示すように、プリデコーダ3は、例えば、30(n=30)ビットのアドレス信号を入力し、192本のプリデコード信号A<191:0>を出力する。プリデコーダ3は、例えば、6セットの5入力AND202(202A~202F)を有する。1セットの5入力AND202(例えば、202A)は、
図5(A)及び
図5(B)に示すような構成を有する。1セットの5入力AND202は、30(n=30)ビットのアドレス信号の5ビットを入力し、32本のプリデコード信号A<31:0>を出力する。
【0031】
図5(A)に示すように、1セットの5入力AND202(例えば、202A)は、32個の5入力ANDを有する。
図5(B)に示すように、5セットのインバータ203は、アドレス信号(a<0>、b<0>、c<0>、d<0>、e<0>)の各々を入力し、アドレス信号の反転信号(a<1>、b<1>、c<1>、d<1>、e<1>)を出力する。32個の5入力ANDは、5ビットのアドレス信号(a<0>、b<0>、c<0>、d<0>、e<0>)の論理値と5ビットのアドレス信号の反転信号(a<1>、b<1>、c<1>、d<1>、e<1>)の論理値が互いに異なる全ての組み合わせ(2
5=32)で入力するように構成される。例えば、5ビットのアドレス信号a<0>、b<0>、c<0>、d<0>、及びe<0>が入力される5入力ANDの出力はプリデコード信号A<0>であり、5ビットのアドレス信号a<1>、b<0>、c<0>、d<0>、及びe<0>が入力される5入力ANDの出力はプリデコード信号A<1>であり、5ビットのアドレス信号a<0>、b<1>、c<0>、d<0>、及びe<0>が入力される5入力ANDの出力はプリデコード信号A<2>であり、5ビットのアドレス信号a<1>、b<1>、c<0>、d<0>、及びe<0>が入力される5入力ANDの出力はプリデコード信号A<3>であり、以降同様に、5ビットのアドレス信号a<0>、b<1>、c<1>、d<1>、及びe<1>が入力される5入力ANDの出力はプリデコード信号A<30>であり、5ビットのアドレス信号a<1>、b<1>、c<1>、d<1>、及びe<1>が入力される5入力ANDの出力はプリデコード信号A<31>である。本実施形態に係るプリデコーダ3は、1セットの5入力AND202を構成する32個の5入力ANDのうち、何れか1つのみが論理値“1”を出力するワンホット信号を出力する。例えば、アドレス信号a<0>、b<0>、c<0>、d<0>、及びe<0>が全て論理値“1”であると、1セットの5入力AND202Aのアドレス信号a<0>、b<0>、c<0>、d<0>、及びe<0>が入力される5入力ANDのみが論理値“1”を出力する。すなわち、プリデコード信号A<31:0>のうち、プリデコード信号A<0>のみが論理値“1”となる信号であり、残りの31本のプリデコード信号A<31:1>は論理値“0”となる信号である。
【0032】
本実施形態に係る半導体記憶装置100は、例えば、6セットの5入力AND202(202A~202F)のうち、5入力AND202Aで生成されたプリデコード信号(ワンホット信号)に基づく信号を、不揮発性メモリBLK1のロウデコーダ16に供給し、5入力AND202Bで生成されたプリデコード信号(ワンホット信号)に基づく信号を、不揮発性メモリBLK1のカラムデコーダ14に供給する。その結果、本実施形態に係る半導体記憶装置100は、5入力AND202Aで生成されたプリデコード信号(ワンホット信号)に基づく信号、及び5入力AND202Bで生成されたプリデコード信号(ワンホット信号)に基づく信号を用いて選択されたメモリセルアレイ18内の不揮発性メモリ素子にデータを書き込むこと、または、当該不揮発性メモリ素子からデータを読み出すことができる。
【0033】
本実施形態に係る半導体記憶装置100は、
図5(A)及び
図5(B)を有するプリデコーダ3を用いることで、周辺部24(LV領域)でワンホット信号を生成することができる。
【0034】
図6(A)に示すように、ある装置において、例えば、nビットのランダムデータa<0>~a<n-1>を転送する。
図6(A)の矢印に示すように、ランダムデータa<n-1>において、データ遷移は、論理値“0”から論理値“1”、または、論理値“1”から論理値“0”への何れかである。よって、nビットのランダムデータの転送では、データ遷移期待値は1つのデータ転送当たり平均n/2回である。
図7では、横軸はデータのビット幅(ビット数)であり、縦軸はデータ遷移期待値である。
図7は、nビットのランダムデータ転送を“エンコード無し”で示し、例えば、4ビットのランダムデータ転送では、データ遷移期待値は2回である。ただし、ランダムデータのビット数が大きくなるにつれ、データ遷移期待値も大きくなる。
【0035】
図6(B)に示すように、ある装置において、例えば、nビットのランダムデータをワンホット信号A*<0>~A*<2
n-1>に変換し転送する。
図6(B)の矢印に示すように、ワンホット信号において、データ遷移は、論理値“0”から論理値“1”、及び、論理値“1”から論理値“0”の2回である。また、
図6(B)の矢印に示すように、例えば、ワンホット信号A*<0>の立下りとワンホット信号A*<k>の立上がりが同時に起こる可能性がある。
図7では、ワンホット信号の転送を“ワンホット”で示し、例えば、2ビットのランダムデータ転送では、データ遷移期待値は2回である。ワンホット信号は、例えば、RZ(Return to Zero)ワンホットである。
【0036】
一方、本実施形態に係る半導体記憶装置100では、
図6(C)の矢印に示すように、nビットのランダムデータをワンホット信号A*<0>~A*<2
n-1>に変換し、1ビットのみを論理値“1”にし転送する。
図7では、本実施形態に係る半導体記憶装置100のデータ転送を“NRZ(Non Return to Zero)ワンホット”で示し、例えば、5ビットのランダムデータ転送では、データ遷移期待値は1回である。なお、本実施形態に係る半導体記憶装置100では、nビットのランダムデータはnビットのアドレス信号である。
【0037】
本実施形態に係る半導体記憶装置100では、ワンホット信号(NRZワンホット信号)を用いるため、レベルシフタ5から第2の回路部6までの距離が長く、寄生容量76が大きな場合であっても、信号の転送に伴う消費エネルギーを抑制することができる。なお、本実施形態に係る半導体記憶装置100では、RZワンホット信号のプリデコード信号を生成する構成であってもよい。
【0038】
<1-3.本実施形態に係る半導体記憶装置100の動作の例>
図8は、本実施形態に係る半導体記憶装置100におけるタイミングチャートを示す図である。
図9は、本実施形態に係る第1の回路部4及び第2の回路部6の真理値表を示す図である。本実施形態に係る半導体記憶装置100におけるタイミングチャート及び真理値表は、
図8及び
図9に示される構成に限定されない。
図1から
図7と同一、又は類似する構成の説明は省略されることがある。
【0039】
図3及び
図8を用いて半導体記憶装置100の動作を説明する。
図8に示すように、例えば、第1のDFF42の入力端子dは、配線40から低電圧の電圧レベルのクロック信号LVCLKを供給される。例えば、第1のDFF回路42の入力端子fは、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の信号を入力される。第1のDFF回路42の入力端子fは、例えば、クロック信号LVCLKの立上りのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、当該第1の信号の論理値を取り込み、第1のDFF回路42は、取り込んだ第1の信号の論理値を保存する。続いて、第1のDFF回路42は、クロック信号LVCLKの次のサイクルの立上りのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“0”を含む第4の信号を、出力端子eに出力する。このとき、第1のDFF回路42の入力端子fは、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の信号を取り込み、第1のDFF回路42は、取り込んだ当該第1の信号の論理値を保存する。
図8に示すクロックのタイミングは一例であって、ここで示すタイミングに限定されない。例えば、立下りをエッジトリガとしてもよく、クロックのパルス幅が非周期的であってもよい。また、
図8ではトリガとなる信号の一例してクロックを用いる例を示すが、トリガとなる信号はクロックに限定されない。
【0040】
例えば、第1のXOR回路44の入力端子aは、プリデコーダ3の出力端子OUTから、例えば、プリデコード信号(ワンホット信号)A<0>を入力される。プリデコード信号(ワンホット信号)A<0>は、例えば、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“0”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“0”を含む。また、第1のXOR回路44の入力端子cは、入力端子eから第4の信号を入力する。その結果、第1のXOR回路44は、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の演算結果を生成し、第1の演算結果を含む第1の信号を、出力端子bに出力する。出力端子bは配線60に電気的に接続されており、配線60は第1の演算結果を含む第1の信号を供給される。
【0041】
続いて、レベルシフタ5は、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の演算結果を含む第1の信号を入力し、配線70及び配線70に電気的に接続された第2の回路部6の入力端子εに、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の演算結果をレベルシフトされた第2の信号を出力する。例えば、レベルシフタ5は、第1の電源電圧VDDLの電圧レベルである第1の信号を入力し、第2の電源電圧VDDHの電圧レベルである第2の信号を出力する。レベルシフタ5は、例えば、論理値“1”を第1の電源電圧VDDLの電圧レベルから第2の電源電圧VDDHの電圧レベルにシフトし、論理値“0”をレベルシフトしない構成を有してもよく、例えば、論理値“0”を第1の電源電圧VDDLの電圧レベルから第2の電源電圧VDDHの電圧レベルにシフトし、論理値“1”をレベルシフトしない構成を有してもよく、論理値“1”を第1の電源電圧VDDLの電圧レベルよりも低い電圧レベルにシフトし、論理値“0”を第1の電源電圧VDDLの電圧レベルよりも低い電圧レベルから第2の電源電圧VDDHの電圧レベルにシフトする構成を有してもよい。第1の電源電圧VDDLの電圧レベルよりも低い電圧レベルは、例えば、低電圧電源VSSである。
【0042】
続いて、第2のDFF72の入力端子δは、配線80から高電圧の電圧レベルのクロック信号HVCLKを供給される。第2のDFF回路72の入力端子εは、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の演算結果をレベルシフトされた第2の信号を入力される。第2のDFF回路72の入力端子εは、例えば、クロック信号HVCLKの立上りのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、当該第2の信号の論理値を取り込み、第2のDFF回路72は、取り込んだ当該第2の信号の論理値を保存する。続いて、第2のDFF回路72は、クロック信号HVCLKの次のサイクルの立上りのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“0”を含む第5の信号を、出力端子ζに出力する。このとき、第2のDFF回路72の入力端子εは、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”を含む第2の信号を取り込み、第2のDFF回路72は、取り込んだ当該第2の信号の論理値を保存する。
【0043】
例えば、第2のXOR回路74の入力端子αは、レベルシフタ5から、当該第2の信号を入力する。第2のXOR回路74の入力端子βは、第2のDFF72の出力端子ζから第5の信号を入力する。その結果、第2のXOR回路74は、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“0”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“0”を含む第2の演算結果を生成し、第2の演算結果を含む第3の信号を、出力端子γに出力する。出力端子γは不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)に電気的に接続されており、不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)は第2の演算結果を含む第3の信号を供給される。
【0044】
例えば、
図8において第2のサイクルに着目する。
図8の矢印で示すように、第1のDFF42の入力端子dに入力されたクロック信号LVCLKの立上がりのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第1のDFF42は、入力端子fから第1のサイクルの論理値“0”を取り込み保存し、第2のサイクルで出力端子eに論理値“0”を含む第4の信号を出力する。第2のサイクルで、第1のXOR回路44は、入力端子aに論理値“1”を入力し、入力端子cに論理値“0”を入力し、第1の演算結果である論理値“1”を生成し、第1の演算結果である論理値“1”を含む第1の信号を、出力端子b及び入力端子fに出力する。第2のサイクルで、レベルシフタ5は、第1の演算結果である論理値“1”を含む第1の信号を入力され、第1の演算結果である論理値“1”をレベルシフトした第2の信号を配線70及び配線70に電気的に接続された第2の回路部6の入力端子εに出力する。
図8の矢印で示すように、第2のDFF72の入力端子δに入力されたクロック信号HVCLKの立上がりのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第2のDFF72は、入力端子αから第1のサイクルの論理値“0”を取り込み保存し、第2のサイクルで出力端子ζに論理値“0”を含む第5の信号を出力する。第2のサイクルで、第2のXOR回路74は、入力端子αに論理値“1”を含む第2の信号を入力し、出力端子ζに電気的に接続された入力端子βに論理値“0”を含む第5の信号を入力し、論理値“1”及び論理値“0”を用いて、第2の演算結果である論理値“1”を生成し、第2の演算結果である論理値“1”を含む第3の信号を、出力端子γに出力する。
【0045】
同様にして、第2のサイクルに続く第3のサイクルに着目する。第1のDFF42の入力端子dに入力されたクロック信号LVCLKの立上がりのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第1のDFF42は、入力端子fから第2のサイクルの論理値“1”を取り込み保存し、第3のサイクルで出力端子eに論理値“1”を含む第4の信号を出力する。第3のサイクルで、第1のXOR回路44は、入力端子aに論理値“0”を入力し、入力端子cに論理値“1”を入力し、第1の演算結果である論理値“1”を生成し、第1の演算結果である論理値“1”を含む第1の信号を、出力端子b及び入力端子fに出力する。第3のサイクルで、レベルシフタ5は、第1の演算結果である論理値“1”を含む第1の信号を入力され、第1の演算結果である論理値“1”をレベルシフトした第2の信号を配線70及び配線70に電気的に接続された第2の回路部6の入力端子εに出力する。第2のDFF72の入力端子δに入力されたクロック信号HVCLKの立上がりのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第2のDFF72は、入力端子αから第2のサイクルの論理値“1”を取り込み保存し、第3のサイクルで出力端子ζに論理値“1”を含む第5の信号を出力する。第3のサイクルで、第2のXOR回路74は、入力端子αに論理値“1”を含む第2の信号を入力し、出力端子ζに電気的に接続された入力端子βに論理値“1”を含む第5の信号を入力し、2つの論理値“1”を用いて、第2の演算結果である論理値“0”を生成し、第2の演算結果である論理値“0”を含む第3の信号を、出力端子γに出力する。
【0046】
さらに、同様にして、第3のサイクルに続く第4のサイクルに着目する。第1のDFF42の入力端子dに入力されたクロック信号LVCLKの立上がりのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第1のDFF42は、入力端子fから第3のサイクルの論理値“1”を取り込み保存し、第5のサイクルで出力端子eに論理値“1”を含む第4の信号を出力する。第4のサイクルで、第1のXOR回路44は、入力端子aに論理値“1”を入力し、入力端子cに論理値“1”を入力し、第1の演算結果である論理値“0”を生成し、第1の演算結果である論理値“0”を含む第1の信号を、出力端子b及び入力端子fに出力する。第4のサイクルで、レベルシフタ5は、第1の演算結果である論理値“0”を含む第1の信号を入力され、第1の演算結果である論理値“0”をレベルシフトした第2の信号を配線70及び配線70に電気的に接続された第2の回路部6の入力端子εに出力する。第2のDFF72の入力端子δに入力されたクロック信号HVCLKの立上がりのエッジをトリガ(エッジトリガ)として、第2のDFF72は、入力端子αから第3のサイクルの論理値“1”を取り込み保存し、第4のサイクルで出力端子ζに論理値“1”を含む第5の信号を出力する。第4のサイクルで、第2のXOR回路74は、入力端子αに論理値“0”を含む第2の信号を入力し、出力端子ζに電気的に接続された入力端子βに論理値“1”を含む第5の信号を入力し、論理値“0”及び論理値“1”を用いて、第2の演算結果である論理値“1”を生成し、第2の演算結果である論理値“1”を含む第3の信号を、出力端子γに出力する。
【0047】
上記をまとめると、第1のXOR回路44の真理値表は
図9(A)示す真理値表となり、第2のXOR回路74の真理値表は
図9(B)に示す真理値表となる。
【0048】
第1のXOR回路44の
図9(A)に示すように、入力端子aに論理値“0”を含む信号が入力される場合は、例えば、プリデコード非選択(ワンホット信号が論理値“0”を含む信号である場合)とし、入力端子aに論理値“1”を含む信号が入力される場合は、例えば、プリデコード選択(ワンホット信号が論理値“1”を含む信号である場合)とする。入力端子cは、1つ前のサイクルの論理値(前サイクルデータ)が入力される。入力端子aに論理値“0”を含む信号が入力され、かつ、入力端子cに1つ前のサイクルの論理値“0”(前サイクルデータ=“0”)を含む信号が入力される場合は、出力端子bには、第1の演算結果である論理値“0”を含む第1の信号が出力される。入力端子aに論理値“0”を含む信号が入力され、かつ、入力端子cに1つ前のサイクルの論理値“1”(前サイクルデータ=“1”)を含む信号が入力される場合は、出力端子bには、第1の演算結果である論理値“1”を含む第1の信号が出力される。入力端子aに論理値“1”を含む信号が入力され、かつ、入力端子cに1つ前のサイクルの論理値“0”(前サイクルデータ=“0”)を含む信号が入力される場合は、出力端子bには、第1の演算結果である論理値“1”を含む第1の信号が出力される。入力端子aに論理値“1”を含む信号が入力され、かつ、入力端子cに1つ前のサイクルの論理値“1”(前サイクルデータ=“1”)を含む信号が入力される場合は、出力端子bには、第1の演算結果である論理値“0”を含む第1の信号が出力される。
【0049】
第2のXOR回路74の
図9(B)に示すように、入力端子αに論理値“0”を含む信号が入力される場合は、例えば、現在のサイクルの論理値が1つ前のサイクルの論理値から変わっていない場合(前サイクルデータ不変の場合)とし、入力端子aに論理値“1”を含む信号が入力される場合は、例えば、現在のサイクルの論理値が1つ前のサイクルの論理値から変わった場合(前サイクルデータ変化の場合)とする。入力端子βは、2つ前のサイクルの論理値と1つ前のサイクルの論理値との比較の結果(2サイクル前のデータ不変、または、2サイクル前のデータ変化)が入力される。入力端子αに論理値“0”を含む信号が入力され、かつ、入力端子βに論理値“0”(2サイクル前のデータ不変)を含む信号が入力される場合は、出力端子γには、第2の演算結果である論理値“0”を含む第3の信号が出力される。入力端子αに論理値“0”を含む信号が入力され、かつ、入力端子βに論理値“1”(2サイクル前のデータ変化)を含む信号が入力される場合は、出力端子γには、第2の演算結果である論理値“1”を含む第3の信号が出力される。入力端子αに論理値“1”を含む信号が入力され、かつ、入力端子βに論理値“0”(2サイクル前のデータ不変)を含む信号が入力される場合は、出力端子γには、第2の演算結果である論理値“1”を含む第3の信号が出力される。入力端子αに論理値“1”を含む信号が入力され、かつ、入力端子βに論理値“1”(2サイクル前のデータ変化)を含む信号が入力される場合は、出力端子γには、第2の演算結果である論理値“0”を含む第3の信号が出力される。
【0050】
本実施形態に係る半導体記憶装置100は、第1の回路部4を用いて、プリデコーダ3で生成したプリデコード信号(ワンホット信号)に含まれる論理値(現在のサイクルの論理値)と、1つ前のサイクルで保存したプリデコード信号(ワンホット信号)に含まれる論理値(1つ前のサイクルの論理値(前サイクルデータ)、第4の信号に含まれる論理値)とを比較する。本実施形態に係る半導体記憶装置100は、比較した結果、現在のサイクルの論理値が1つ前のサイクルの論理値と異なる場合、第1のXOR回路44から第1の電源電圧VDDLの電圧レベルの論理値“1”を含む第1の信号を出力する。また、本実施形態に係る半導体記憶装置100は、比較した結果、現在のサイクルの論理値が1つ前のサイクルの論理値と同じ場合、第1のXOR回路44から第1の電源電圧VDDLより低い電圧レベルの論理値“0”を含む第1の信号を出力する。
【0051】
本実施形態に係る半導体記憶装置100は、第2の回路部6を用いて、2つ前のサイクルの論理値と1つ前のサイクルの論理値との比較の結果が、1つ前のサイクルの論理値と現在のサイクルの論理値との比較の結果と異なる場合、第2のXOR回路74から第2の電源電圧VDDHの電圧レベルの論理値“1”を含む第3の信号を出力する。また、本実施形態に係る半導体記憶装置100は、2つ前のサイクルの論理値と1つ前のサイクルの論理値との比較の結果が、1つ前のサイクルの論理値と現在のサイクルの論理値との比較の結果と同じ場合、第2のXOR回路74から第2の電源電圧VDDHより低い電圧レベルの論理値“0”を含む第3の信号を出力する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る半導体記憶装置100は、第1のXOR回路44と第2のXOR回路74とを用いて排他的論理和を2回実行し、第2の電源電圧VDDHの電圧レベルの論理値“1”を含む第3の信号は、論理値“1”を含むプリデコード信号(ワンホット信号)とし、第2の電源電圧VDDHより低い電圧レベルの論理値“0”を含む第3の信号は、論理値“1”を含まない残りのプリデコード信号(ワンホット信号)とすることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る半導体記憶装置100は、論理値が変化した信号のみを用いてプリデコード信号(ワンホット信号)の変化を把握することができるため、各アドレス信号の立上り及び信号の立下りを常に把握する必要が無い。その結果、本実施形態に係る半導体記憶装置100を用いることで、信号の転送に伴う消費エネルギーを抑制することができる。
【0054】
上記のように、半導体記憶装置100は、第1の回路部4と、第2の回路部6と、を備える。第1の回路部4は、周辺部24(第1の領域)に設けられ、配線50(第1の配線)とレベルシフタ5との間に電気的に接続され、第1の電源電圧VDDL(第1の電圧)で動作する。また、第1の回路部4は、プリデコード信号(ワンホット信号)の論理値(第1の値)を入力し論理値“0”または”論理値”1“(第1の演算結果)を含む第1の信号を出力する。レベルシフタ5は、当該第1の信号を入力し、第2の信号を出力する。当該第2の信号は、第1の信号の論理値の経時変化に応じて時系列的に第2の値と第3の値を含む。当該第2の値、第3の値はそれぞれ論理値“0”または”論理値”1“である。第2の回路部6は、コア部26(第2の領域)に設けられ、レベルシフタ5とメモリセルアレイ18との間に電気的に接続され、第2の電源電圧VDDH(第2の電圧)で動作する。また、第2の回路部6は、当該第2の信号を入力し、転送されたワンホット信号(論理値(第2の演算結果)を含む第3の信号)を出力する。メモリセルアレイ18は、当該第3の信号に基づく信号を入力され、動作する。
【0055】
また、第1の回路部4は、第1のDFF42と、第1のDFFに電気的に接続された第1のXOR回路44とを備える。第1のDFF42は、当該第1の信号を入力し、論理値(第4の値)を含む第4の信号を出力する。第1のXOR回路44は、当該ワンホット信号及び当該第4の信号を入力し、論理値(第1の値)及び論理値(第4の値)を用いて、第1の演算結果を生成し、第1の演算結果を含む第1の信号を出力する。
【0056】
また、第1のXOR回路44は、論理値(第1の値)が論理値(第4の値)と異なると、第1の電源電圧VDDLのレベルの第1の演算結果を生成し、第1の電源電圧VDDLの電圧のレベルの第1の演算結果を含む第1の信号を出力する。第1のXOR回路44は、論理値(第1の値)が論理値(第4の値)と同じであると、第1の電源電圧VDDLのレベルより低い電圧のレベルの第1の演算結果を生成し、第1の電源電圧VDDLの電圧のレベルより低い電圧のレベルの第1の演算結果を含む第1の信号を出力する。
【0057】
また、第2の回路部6は、第2のDFF72と第2のDFF72に電気的に接続された第2のXOR回路74とを備える。第2のDFF72は、論理値(第2の値)を含む第2の信号を入力し、当該第2の値を保存し、論理値(第3の値)を含む第2の信号を入力すると論理値(第2の値)を含む第5の信号を出力する。第2のXOR回路74は、第5の信号及び第2の信号を入力し、論理値(第2の値)及び第3の値を用いて第2の演算結果を生成し、第2の演算結果を含む第3の信号を出力する。
【0058】
また、第2のXOR回路74は、論理値(第2の値)が論理値(第3の値)と異なると、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルの第2の演算結果を生成し、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルの第2の演算結果を含む第3の信号を出力する。第2のXOR回路74は、論理値(第2の値)が論理値(第3の値)と同じであると、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルより低い電圧のレベルの第2の演算結果を生成し、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルより低い電圧のレベルの第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する。
【0059】
<2.第2実施形態>
図10は、第2実施形態に係るプリデコーダ3から第2の回路部6の構成を示すブロック図である。第2実施形態では、第2の回路部6の構成が、第1実施形態に係る第2の回路部6の構成と異なる。それ以外の構成は、第1実施形態と同様であるから、ここでの説明は省略する。第2実施形態に係るプリデコーダ3から第2の回路部6の構成は、
図10に示される構成に限定されない。
図1から
図9と同一、又は類似する構成の説明は省略されることがある。
【0060】
図10に示すように、第2の回路部6は、複数の遅延回路68及び複数の遅延回路68の各々に電気的に接続された第2のXOR回路74を含む。複数の遅延回路68の各々は、入力端子ε、及び出力端子ζを有する。第2のXOR回路74の各々は、入力端子α、入力端子β、及び出力端子γを有する。入力端子αは入力端子ε、レベルシフタ5、及び配線70に電気的に接続し、出力端子ζは入力端子βに電気的に接続し、出力端子γは不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)に電気的に接続する。第2の回路部6は、レベルシフタ5(配線70)と不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)の間に設けられ、レベルシフタ5(配線70)と不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)に電気的に接続される。
【0061】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、
図8と同様のタイミングチャート及び
図9と同様の真理値表を用いることができる。ただし、第2実施形態では、入力端子δはなく、第2実施形態の第2の回路部6には、クロック信号HVCLKは不要である。
【0062】
第2実施形態では、レベルシフタ5は、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の演算結果を含む第1の信号を入力し、配線70及び配線70に電気的に接続された第2の回路部6の入力端子α及び入力端子εに、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の演算結果をレベルシフトされた第2の信号を出力する。例えば、レベルシフタ5は、第1の電源電圧VDDLの電圧レベルである第1の信号を入力し、第2の電源電圧VDDHの電圧レベルである第2の信号を出力する。
【0063】
遅延回路68の入力端子εは、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“1”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”を含む第1の演算結果をレベルシフトされた第2の信号を入力される。遅延回路68は、当該第2の信号の論理値を取り込み、当該第2の信号より遅延した当該第2の信号の論理値を含む第6の信号を出力端子ζに出力する。このとき、遅延回路68は、例えば、当該第2の信号よりサイクル1つ分(クロック1周期分)遅延した当該第6の信号を出力端子ζに出力する。
【0064】
第2のXOR回路74の入力端子αは、レベルシフタ5から、当該第2の信号を入力する。第2のXOR回路74の入力端子βは、第2のDFF72の出力端子ζから当該第6の信号を入力する。その結果、第2のXOR回路74は、第7のサイクル、第6のサイクル、第5のサイクル、第4のサイクル、第3のサイクル、第2のサイクル、第1のサイクルのそれぞれのサイクルに対して、論理値“0”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“1”、論理値“0”、論理値“1”、論理値“0”を含む第2の演算結果を生成し、第2の演算結果を含む第3の信号を、出力端子γに出力する。出力端子γは不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)に電気的に接続されており、不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp)は第2の演算結果を含む第3の信号を供給される。
【0065】
第2実施形態に係る半導体記憶装置100は、第2の回路部6に遅延回路68を用いるため、クロックなどのトリガとなる信号を用いなくてもよい。よって、第2実施形態に係る半導体記憶装置100では、第2の回路部6に遅延回路68を用いることで、回路構成を簡略化することができる。また、第2実施形態に係る半導体記憶装置100を用いる場合も、第1実施形態を用いる場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
上記のように、第2の回路部6は、遅延回路68と遅延回路68に電気的に接続された第2のXOR回路74とを備える。遅延回路68は、論理値(第2の値)を含む第2の信号を入力し、入力した第2の信号より遅延した論理値(第2の値)を含む第6の信号を出力する。第2のXOR回路74は、第6の信号及び第2の信号を入力する。第2のXOR回路74に第6の信号が入力されるタイミングでは、第2のXOR回路74に入力される第2の信号は論理値(第3の値)を含む。第2のXOR回路74は論理値(第2の値)及び論理値(第3の値)を用いて第2の演算結果を生成し、第2の演算結果を含む第3の信号を出力する。
【0067】
また、第2のXOR回路74は、論理値(第2の値)が論理値(第3の値)と異なると、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルの第2の演算結果を生成し、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルの第2の演算結果を含む第3の信号を出力する。第2のXOR回路74は、論理値(第2の値)が論理値(第3の値)と同じであると、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルより低い電圧のレベルの第2の演算結果を生成し、第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルより低い電圧のレベルの第2の演算結果を含む前記第3の信号を出力する。
【0068】
<3.第3実施形態>
図11は、第3実施形態に係るプリデコーダ3から第2の回路部6の構成を示すブロック図である。第3実施形態に係る半導体記憶装置では、複数のアドレス信号の全部ではなく複数のアドレス信号の一部(第1信号部分)をワンホット信号にする点が、第1実施形態及び第2実施形態に係る半導体記憶装置と異なる。それ以外の構成は、第1実施形態または第2実施形態と同様であるから、ここでの説明は省略する。第3実施形態に係るプリデコーダ3から第2の回路部6の構成は、
図11に示される構成に限定されない。
図1から
図10と同一、又は類似する構成の説明は省略されることがある。
【0069】
図11に示すように、第3実施形態に係る半導体記憶装置は、制御回路2からnビットのアドレス信号a<n-1:0>を入力する。プリデコーダ3は、入力されたnビットのアドレス信号a<n-1:0>のうち、第1信号部分としてn-kビットのアドレス信号a<n-1-k:0>を入力する。プリデコーダ3から不揮発性メモリBLK(BLK1~BLKp-1)の構成及び動作方法は、実施形態1と同様であるから、ここでの説明は省略される。数値kは0<k<nである正の自然数である。
【0070】
複数のレベルシフタ5Bは、第2信号部分として残りのkビットのアドレス信号a<n-1:n-k>を入力する。レベルシフタ5Bは、kビットのアドレス信号a<n-1:n-k>を入力し、レベルシフトしたkビットのアドレス信号aH<n-1:n-k>を生成する。また、複数のレベルシフタ5Bは、レベルシフトしたkビットのアドレス信号aH<n-1:n-k>を、配線86及び配線86に電気的に接続された不揮発性メモリBLK(例えば、BLKp)に供給する。配線86はkビットのアドレス信号aH<n-1:n-k>を供給されるバスラインである。本実施形態において、配線86は第2の配線と呼ばれることもある。
【0071】
配線86は不揮発性メモリBLKに含まれるカラムデコーダ14及びロウデコーダ16に電気的に接続される。よって、レベルシフトしたkビットのアドレス信号aH<n-1-k:k>はカラムデコーダ14及びロウデコーダ16に出力される。
【0072】
例えば、数値nは30、数値kは4とすると、30ビットのアドレス信号のうち26ビットがプリデコーダ3に入力され、4ビットのアドレス信号がレベルシフタ5Bに入力される。
【0073】
26ビットのアドレス信号をプリデコーダ3を用いてワンホット信号にし、不揮発性メモリBLKに転送し、残りの4ビットのアドレス信号をプリデコーダ3を用いずに不揮発性メモリBLKに転送する。
図7に示すように、例えば、4ビットの場合、“ワンホット信号(RZワンホット信号)”の遷移期待値は、“nビットのランダムデータ転送(エンコード無し)”の遷移期待値と同等である。
【0074】
第3実施形態に係る半導体記憶装置は、大容量のビット数のアドレス信号をワンホット信号で転送し、小容量のビット数のアドレス信号をワンホット信号に変換することなく転送することができる。小容量の不揮発性メモリBLKは配線の引き回しも少なく、アドレス信号の転送エネルギーも比較的少ない。第3実施形態に係る半導体記憶装置は、大容量の不揮発性メモリBLKに対するワンホット信号転送と、小容量の不揮発性メモリBLKに対するデータ転送とを実行することができる。その結果、第3実施形態に係る半導体記憶装置を用いることで、大容量のメモリBLKと小容量の不揮発性メモリBLKのそれぞれに適したアドレス転送を適用することができる。また、第3実施形態に係る半導体記憶装置100を用いる場合も、第1実施形態を用いる場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
上記のように、半導体記憶装置100は、周辺部24(第1の領域)と、コア部26(第2の領域)と、プリデコーダ3と、配線50(第1の配線)と、配線70(第2の配線)と、第1のレベルシフタと、第2のレベルシフタと、第1のメモリセルアレイと、第2のメモリセルアレイと、を備える。周辺部24は第1の電源電圧VDDL(第1の電圧)を供給される。コア部26は第1の電源電圧VDDLより大きな第2の電源電圧VDDH(第2の電圧)を供給される。プリデコーダ3は、周辺部24に設けられ、複数のアドレス信号の一部を入力し、前記複数のアドレス信号の前記一部のうち1つのアドレス信号が変化するプリデコード信号(ワンホット信号)を出力する。配線50は、周辺部24に設けられ、プリデコーダ3に電気的に接続され、当該ワンホット信号を供給される。配線70はコア部26に設けられる。第1のレベルシフタは、周辺部24に設けられ、第1の電源電圧VDDL及び第2の電源電圧VDDHを供給され、配線50から配線70に当該ワンホット信号を転送する。第2のレベルシフタは、周辺部24に設けられ、第1の電源電圧VDDL及び第2の電源電圧VDDHを供給され、複数のアドレス信号の前記一部以外のアドレス信号の電圧のレベルを第1の電源電圧VDDLの電圧のレベルから第2の電源電圧VDDHの電圧のレベルにシフトし、複数のアドレス信号の前記一部以外のアドレス信号のレベルシフト信号を生成する。第1のメモリセルアレイは、コア部26に設けられ、転送された当該ワンホット信号に基づき動作する。第2のメモリセルアレイは、コア部26に設けられ、複数のアドレス信号の前記一部以外のアドレス信号のレベルシフト信号に基づき動作する。
【0076】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0077】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0078】
1:I/Oバッファ、2:制御回路、3:プリデコーダ、4:第1の回路部、5:レベルシフタ、5B:レベルシフタ、6:第2の回路部、10:不揮発性メモリ部、11:ファイナルデコーダ、12:データ読み出し/書き込み回路、14:カラムデコーダ、16:ロウデコーダ、18:メモリセルアレイ、24:周辺部、26:コア部、30:第1の電源線、32:第2の電源線、40:配線、42:第1のDFF回路、44:第1のXOR回路、50:配線、60:配線、68:遅延回路、70:配線、72:第2のDFF回路、74:第2のXOR回路、76:寄生容量、80:配線、86:配線、100:半導体記憶装置、203:インバータ、202、202A、202B、202C、202D、202E、202F:5入力AND、BLK、BLK1、BLK2,BLK3、BLK4、BLKp-1、BLKp:不揮発性メモリ