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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049643
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ウエハ移送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220322BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H01L21/68 B
B65G49/07 G
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021043968
(22)【出願日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】109131896
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】506292169
【氏名又は名称】力成科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】張 震
(72)【発明者】
【氏名】謝 明修
(72)【発明者】
【氏名】呂 元戎
(72)【発明者】
【氏名】莫 居縁
(72)【発明者】
【氏名】張 富翔
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA07
5F131CA22
5F131CA23
5F131CA49
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB05
5F131DB22
5F131DB32
5F131DB36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】歪んだウエハを安定して移送できるウエハ移送装置を提供する。
【解決手段】第1のウエハ200を吸引及び移送するように適用されるウエハ移送装置100であって、アーム110と、支持キャリア120と、を備える。支持キャリアは、アームに接続される。支持キャリアは、支持キャリアの上面120aに露出する単一真空吸引口130を有する。支持キャリアは、第1のウエハの下の位置に移動するように適用される。単一真空吸引口は、第1のウエハの第1の中央領域を吸引し、第1のウエハを持ち上げて移送するように適用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウエハを吸引及び移送するように適用されるウエハ移送装置であって、
アームと、
前記アームに接続され、上面に露出する単一真空吸引口を備える支持キャリアと、
を備え、
前記支持キャリアは、前記第1のウエハの下の位置に移動するように適用され、
前記単一真空吸引口は、前記第1のウエハの第1の中央領域を吸引し、前記第1のウエハを持ち上げて移送するように適用される、
ウエハ移送装置。
【請求項2】
前記支持キャリアは、基板と、前記基板上に配置されるシールリングと、前記基板及び前記シールリングの上に変化可能に配置される第1の柔軟部材と、を備え、
前記基板は、第1の穴を備え、
前記シールリングは、前記第1の穴に整列する第2の穴を備え、
前記第1の柔軟部材は、前記第2の穴に整列する第3の穴を備え、
前記第1の穴、前記第2の穴、及び前記第3の穴は、共に単一真空吸引口を形成する、
請求項1のウエハ移送装置。
【請求項3】
前記第1のウエハの第1の周辺領域は、前記第1の中央領域よりも高く、湾曲形状を提供し、
前記第1の柔軟部材の厚さは、前記第1のウエハの前記第1の周辺領域及び前記第1の中央領域の間の高低差よりも大きい、
請求項2のウエハ移送装置。
【請求項4】
前記支持キャリアが前記第1のウエハを持ち上げる時、前記支持キャリアは、前記第1のウエハの前記第1の周辺領域及び前記第1の中央領域に接触し、
前記第1のウエハの前記第1の中央領域に対応する位置における前記第1の柔軟部材の変形量は、前記第1のウエハの前記第1の周辺領域に対応する位置における前記第1の柔軟部材の変形量よりも大きい、
請求項3のウエハ移送装置。
【請求項5】
第2のウエハを吸引及び移送するようにさらに適用され、
前記第2のウエハの第2の周辺領域は、前記第2のウエハの第2の中央領域よりも高く、湾曲形状を提供し、
前記第2のウエハの前記第2の周辺領域及び前記第2の中央領域の間の高低差は、前記第1のウエハの前記第1の周辺領域及び前記第1の中央領域の間の前記高低差よりも大きく、
前記支持キャリアは、前記第1の柔軟部材を置換するための第2の柔軟部材をさらに備え、
前記第2の柔軟部材の厚さは、前記第1の柔軟部材の厚さよりも大きく、前記第2のウエハの前記第2の周辺領域及び前記第2の中央領域の間の前記高低差よりも大きい、
請求項3のウエハ移送装置。
【請求項6】
前記シールリングは、前記基板上の前記第1の穴に対応する位置に配置され、
前記支持キャリアは、前記シールリングの横に配置される平坦部材をさらに備え、
前記平坦部材は、前記基板及び前記第1の柔軟部材の間に配置される、
請求項2乃至5のいずれかのウエハ移送装置。
【請求項7】
前記平坦部材は、前記シールリングの外側を囲み、前記シールリングと同じ高さを有する、請求項6のウエハ移送装置。
【請求項8】
前記平坦部材の材料は、耐熱ゴムを含む、請求項6のウエハ移送装置。
【請求項9】
前記平坦部材の硬度は、前記第1の柔軟部材の硬度よりも大きい、請求項6のウエハ移送装置。
【請求項10】
前記支持キャリアは、基部と、基部から延伸する少なくとも1つの支持アームを備え
前記単一真空吸引口は、前記基部を通って貫通し、
前記少なくとも1つの支持アームは、前記第1のウエハの前記第1の周辺領域を運搬するために適用され、
請求項3乃至9のウエハ移送装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの支持アームは、上面に真空吸引口を有さない、請求項10のウエハ移送装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの支持アームは、2つの支持アームを備え、
前記2つの支持アームと基部とは、U字形状を提供する、
請求項10のウエハ移送装置
【請求項13】
前記少なくとも1つの支持アームは、前記アームから離れる方向に延伸する、請求項10のウエハ移送装置
【請求項14】
前記第3の穴近傍の前記第1の柔軟部材の中央部分の厚さは、前記第3の穴遠方の前記第1の柔軟部材の周辺部分の厚さと同じである、請求項2乃至13のウエハ移送装置。
【請求項15】
前記第3の穴近傍の前記第1の柔軟部材の中央部分の厚さは、前記第3の穴遠方の前記第1の柔軟部材の周辺部分の厚さより小さい、請求項2乃至13のウエハ移送装置。
【請求項16】
前記第1の柔軟部材は、前記基板と直接接触する、請求項2乃至15のウエハ移送装置。
【請求項17】
前記第1の柔軟部材は、前記第3の穴の隣にあり、前記基板に対向する前記第1の柔軟部材の表面から窪んだノッチを備える、請求項2乃至16のウエハ移送装置。
【請求項18】
前記シールリングは、前記第1の柔軟部材のノッチ内に配置される、請求項17のウエハ移送装置。
【請求項19】
前記シールリングは、吸引ノズルである、請求項2乃至18のウエハ移送装置。
【請求項20】
前記第1の柔軟部材の材料は、アクリルフォームを備える、請求項2乃至19のウエハ移送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移送装置に関し、特に、ウエハ移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のウエハ移送工程において、ウエハは、移送装置に配置される複数の真空吸引ノズルにより、吸引され、移送される。しかしながら、現行のウエハ製造工程の進歩により、ウエハの厚さは徐々に薄くなっており、ウエハが歪みやすくなっている。歪んだウエハは、真空ノズルに接触できないことがあり、同時に、安定して吸引されることが難しく、運送の安定性に悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、歪んだウエハを安定して移送できるウエハ移送装置を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、第1のウエハを吸引及び移送するように適用されるウエハ移送装置を提供する。ウエハ移送装置は、アームと、支持キャリアと、を備える。支持キャリアは、アームに接続される。支持キャリアは、支持キャリアの上面に露出する単一真空吸引口を有する。支持キャリアは、第1のウエハの下の位置に移動するように適用される。単一真空吸引口は、第1のウエハの第1の中央領域を吸引し、第1のウエハを持ち上げて移送するように適用される。
【0005】
本開示の実施形態において、支持キャリアは、基板と、基板上に配置されるシールリングと、基板及びシールリングの上に変化可能に配置される第1の柔軟部材と、を備え、基板は、第1の穴を備え、シールリングは、第1の穴に整列する第2の穴を備え、第1の柔軟部材は、第2の穴に整列する第3の穴を備え、第1の穴、第2の穴、及び第3の穴は、共に単一真空吸引口を形成する。
【0006】
本開示の実施形態において、第1のウエハの第1の周辺領域は、第1の中央領域よりも高く、湾曲形状を提供し、第1の柔軟部材の厚さは、第1のウエハの第1の周辺領域及び第1の中央領域の間の高低差よりも大きい。
【0007】
本開示の実施形態において、支持キャリアが第1のウエハを持ち上げる時、支持キャリアは、第1のウエハの第1の周辺領域及び第1の中央領域に接触し、第1のウエハの第1の中央領域に対応する位置における第1の柔軟部材の変形量は、第1のウエハの第1の周辺領域に対応する位置における第1の柔軟部材の変形量よりも大きい。
【0008】
本開示の実施形態において、ウエハ移送装置は、また、第2のウエハを吸引及び移送するように適用される。第2のウエハの第2の周辺領域は、第2の中央領域よりも高く、湾曲形状を提供し、第2のウエハの第2の周辺領域及び第2の中央領域の間の高低差は、第1のウエハの第1の周辺領域及び第1の中央領域の間の高低差よりも大きく、支持キャリアは、さらに、第1の柔軟部材を置換するための第2の柔軟部材を備え、第2の柔軟部材の厚さは、第1の柔軟部材の厚さよりも大きく、第2のウエハの第2の周辺領域及び第2の中央領域の間の高低差よりも大きい。
【0009】
本開示の実施形態において、シールリングは、基板上の第1の穴に対応する位置に配置され、支持キャリアは、さらに、シールリングの横に配置される平坦部材を備え、平坦部材は、基板及び第1の柔軟部材の間に配置される。
【0010】
本開示の実施形態において、平坦部材は、シールリングの外側を囲み、シールリングと同じ高さを有する。
【0011】
本開示の実施形態において、平坦部材の材料は、耐熱ゴムを含む。
【0012】
本開示の実施形態において、平坦部材の硬度は、第1の柔軟部材の硬度よりも大きい。
【0013】
本開示の実施形態において、支持キャリアは、基部と、基部から延伸する少なくとも1つの支持アームを備え、単一真空吸引口は、基部を通って貫通し、少なくとも1つの支持アームは、第1のウエハの第1の周辺領域を運搬するために適用される。
【0014】
本開示の実施形態において、少なくとも1つの支持アームは、上面に真空吸引口を有さない。
【0015】
本開示の実施形態において、少なくとも1つの支持アームは、2つの支持アームを備え、2つの支持アームと基部とは、U字形状を提供する。
【0016】
本開示の実施形態において、少なくとも1つの支持アームは、アームから離れる方向に延伸する。
【0017】
本開示の実施形態において、第3の穴近傍の第1の柔軟部材の中央部分の厚さは、第3の穴遠方の第1の柔軟部材の周辺部分の厚さと同じである。
【0018】
本開示の実施形態において、第3の穴近傍の第1の柔軟部材の中央部分の厚さは、第3の穴遠方の第1の柔軟部材の周辺部分の厚さより小さい。
【0019】
本開示の実施形態において、第1の柔軟部材は、基板と直接接触する。
【0020】
本開示の実施形態において、第1の柔軟部材は、第3の穴の隣にあり、基板に対向する第1の柔軟部材の表面から窪んだノッチを備える。
【0021】
本開示の実施形態において、シールリングは、第1の柔軟部材のノッチ内に配置される。
【0022】
本開示の実施形態において、シールリングは、吸引ノズルである。
【0023】
本開示の実施形態において、第1の柔軟部材の材料は、アクリルフォームを備える。
【発明の効果】
【0024】
上記の説明に基づいて、本開示のウエハ移送装置の設計において、支持キャリアは、単一真空吸引口を有し、ウエハ移送装置が単一真空吸引口を使用して第1のウエハを吸引するため、ウエハ移送装置が第1のウエハを持ち上げて移送する工程の間、単一真空吸引口及び第1のウエハの間の真空度は良く維持され、それにより、ウエハ移送装置は、第1のウエハを安定して移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
付される図面は、本開示のさらなる理解のために提供され、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は、本開示の実施形態を示し、記述と共に、本開示の原理を説明するために供される。
【0026】
図1図1は、本開示の実施形態に係る、第1のウエハに適用されるウエハ移送装置の概略三次元図である。
【0027】
図2A図2Aは、第1のウエハに適用される図1のウエハ移送装置のA-A線に沿った概略断面図である。
【0028】
図2B図2Bは、第1のウエハを運搬する図2Aのウエハ移送装置の湾曲部分の概略図である。
【0029】
図3A図3Aは、本開示の実施形態に係る、第2のウエハに適用されるウエハ移送装置の概略断面図である。
【0030】
図3B図3Bは、第2のウエハを運搬する図3Aのウエハ移送装置の湾曲部分の概略図である。
【0031】
図4A図4Aは、本開示の別の実施形態に係る、第1のウエハに適用されるウエハ移送装置の概略断面図である。
【0032】
図4B図4Bは、第1のウエハを運搬する図4Aのウエハ移送装置の湾曲部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本開示の実施形態に係る、第1のウエハに適用されるウエハ移送装置の概略三次元図である。図2Aは、第1のウエハに適用される図1のウエハ移送装置のA-A線に沿った概略断面図である。図1及び2Aを参照すると、本実施形態のウエハ移送装置100は、第1のウエハ200を吸引及び移送するように適用される。なお、ウエハ移送装置100の構造をより明確に示すために、図1及び2Aにおける第1のウエハ200は、破線で示されることが理解される。さらに、図中のウエハ移送装置100及び第1のウエハ200のサイズ及び厚さの比例関係は、単に図式的なものである。
【0034】
図1を参照すると、本実施形態において、ウエハ移送装置100は、アーム110と、支持キャリア120と、を備える。支持キャリア120は、アーム110に接続される。支持キャリア120は、上面120aを有し、基部1201と、基部1201から延伸する1つの支持アーム1201と、を備える。単一真空吸引口130は、支持キャリア120の上面120aに露出し、支持キャリア120の基部1201を通って貫通する。少なくとも1つの支持アーム1202は、アーム101から離れる方向に延伸する。また、支持キャリア120の少なくとも1つの支持アーム1202は、2つの支持アーム1202を備え、2つの支持アーム1202と基部1201とは、U字形状を提供するが、本開示はこれに限定されない。
【0035】
本実施形態において、ウエハ移送装置100は、第1のウエハを吸引及び移送するように適用される。具体的には、ウエハ移送装置100が第1のウエハ200を移送する時、アーム110は、支持キャリア120を駆動して、第1のウエハ200の下の位置に移送させる。同時に、支持キャリア120上に提供される単一真空吸引口130は、第1のウエハ200の第1の中央領域210の下面を吸引するように適用され、また、支持キャリア120の少なくとも1つの支持アーム1202は、第1のウエハ200の第1の周辺領域220を運搬し、それにより、支持キャリア120は、第1のウエハ200を安定して持ち上げ、移送することができる。
【0036】
なお、ウエハの製造工程の間に、ウエハが歪む可能性があることが理解されるべきであり、例えば、ウエハの周辺領域が中央領域よりも高く、浅い皿形状となっていて、従来のウエハ移送装置の真空吸引ノズルでは同時に歪んだウエハに接触することができず、1つ又はいくつかの真空吸引ノズルのみが歪んだウエハ接触することになり、他の真空吸引ノズルと歪んだウエハとの間に隙間が存在することになる。この場合、真空機械の能力は固定されているため、直接接触していない真空吸引ノズルは空気を吸引し続けてしまい、これは、ウエハとウエハに直接接触している真空吸引ノズルとの間の真空度に悪影響を及ぼす。従って、従来のウエハ移送装置の真空吸引ノズルの一部が歪んだウエハに接触していたとしても、その歪んだウエハを安定して吸引及び移送することができない。
【0037】
上記の問題を回避するために、本実施形態のウエハ移送装置100の支持キャリア120は、単一真空吸引口130を1つだけ有する、すなわち、支持キャリア120の上面120aに露出する支持アーム1202には真空吸引口はない。このような設計によれば、ウエハ移送装置100は、単一真空吸引口130のみを通じて第1のウエハ200の第1の中央領域210を吸引し、そのため、単一真空吸引口130及び第1のウエハ200の間の真空度は、他の吸引ノズルもより影響されない。従って、歪んだ第1のウエハ200は、単一真空吸引口130に強く吸引され、ウエハ移送装置100は、歪んだ第1のウエハ200を安定して移送できる。支持キャリア120は、以下においてさらに説明される。
【0038】
図2Aを参照すると、本実施形態において、支持キャリア120は、基板122と、基板122上に配置されるシールリング124と、基板122及びシールリング124の上に変化可能に配置される第1の柔軟部材126と、を備える。シールリング124は、一般的な吸引ノズルであってよいが、本開示はこれに限定されない。
【0039】
本実施形態において、基板122は、第1の穴122aを備え、シールリング124は、第1の穴122aに整列する第2の穴124aを備え、第1の柔軟部材126は、第2の穴124aに整列する第3の穴126aを備え、第1の穴122a、第2の穴124a、及び第3の穴126aは、共に単一真空吸引口130を形成する。
【0040】
本実施形態において、支持キャリア120は、さらに、基板122及び第1の柔軟部材126の間に配置される平坦部材128を備える。平坦部材128は、第1の柔軟部材126が配置される平面を提供するように構成される。シールリング124は、基板122上の第1の穴122aに対応する位置に配置され、平坦部材128は、シールリング124の横に配置され、シールリング124の外側を囲み、平坦部材128及びシールリング124は、同じ高さを有する。本実施形態において、平坦部材128の材料は、耐熱ゴムを含み、それにより、平坦部材128は、ウエハの高温環境における工程において使用できるようになるが、平坦部材128の材料は、本開示に限定されない。
【0041】
本実施形態において、第1のウエハ200の第1の周辺領域220は、第1の中央領域210よりも高く、湾曲形状を提供する。第1のウエハ200をより安定して支持するために、具体的には、ウエハ移送装置100は、支持キャリア120の最上層上の第1の柔軟部材126を備えるように構成され、第1の柔軟部材126は、圧縮及び/又は屈曲してよい。第1の柔軟部材126は、例えば、アクリルフォームであるが、第1の柔軟部材126の材料は、これに限定されない。平坦部材128の硬度は、第1の柔軟部材126の硬度よりも大きい。
【0042】
図2Bは、第1のウエハを運搬する図2Aのウエハ移送装置の湾曲部分の概略図である。なお、ウエハ移送装置100の構造をより明確に図示するために第1のウエハが図2Bから省略され、破線は、第1のウエハ200を運搬する前の第1の柔軟部材126の非圧縮状態を示すことが理解される。
【0043】
図2A及び図2Bを参照すると、支持キャリア120が第1のウエハ200を持ち上げる時、第1のウエハ200の重量は、第1の柔軟部材126を変形させ得る。具体的には、第1の柔軟部材126は、第1のウエハ200の形状に応じて変形し得る。本実施形態において、第1の柔軟部材126の厚さH1は、第1のウエハ200の第1の周辺領域220及び第1の中央領域210の間の高低差Haよりも大きく、それにより、第1のウエハ200を運搬する際、第1の柔軟部材126は、第1のウエハ200の第1の周辺領域220及び第1の中央領域210に同時に接触する。
【0044】
本実施形態において、第1のウエハ200の第1の周辺領域220は第1の中央領域210よりも高いため、第1の柔軟部材126が第1のウエハ200を運搬する時、第1のウエハ200の第1の中央領域210に対応する位置における第1の柔軟部材126の変形量Sc1は、第1のウエハ200の第1の周辺領域220に対応する位置における第1の柔軟部材126の変形量So1よりも大きい。当然、変形量の関係はこれに限定されない。
【0045】
従って、本実施形態において、ウエハ移送装置100の単一真空吸引口130が第1のウエハ200の第1の中央領域210を吸引する時、ウエハ移送装置100の支持キャリア120上に配置される第1の柔軟部材126が第1のウエハ200の第1の中央領域210及び第1の周辺領域220を支持するため、ウエハ移送装置100は、単一真空吸引口130を介して第1のウエハ200を吸引するだけでなく、支持キャリア120の第1の柔軟部材126により第1のウエハ200に接触し、第1のウエハ200を支持し、それにより、歪んだ第1のウエハ200を、高温(HT)、室温(RT)、及び低温(LT)テスト(-10~150℃の温度範囲)用のウエハチャックに安定して移送する。
【0046】
図3Aは、本開示の実施形態に係る、第2のウエハに適用されるウエハ移送装置の概略断面図である。図3Aを参照すると、本実施形態にウエハ移送装置100は、また、第2のウエハ300を吸引及び移送するように適用される。なお、ウエハ移送装置の構造をより明確に図示するために、図3Aの第2のウエハ300は破線で示される。
【0047】
異なるバッチのウエハ製造工程において、歪み具合が異なるウエハが製造され得る。本実施形態のウエハ移送装置100は、歪み具合が異なる第2のウエハ300に応じて、第1の柔軟部材126が、異なる厚さを備える第2の柔軟部材127により置換されてよい(図3A)。これにより、本開示のウエハ移送装置100は、歪み具合が異なる第1のウエハ又第2のウエハを吸引及び移送してよく、これは以下において説明される。
【0048】
図3Aを参照すると、本実施形態において、支持キャリア120’は、基板122と、基板122と、基板122上に配置されるシールリング124と、基板122及びシールリング124の上に変化可能に配置される第2の柔軟部材127と、を備える。さらに、本実施形態において、基板122は、第1の穴122aを備え、シールリング124は、第1の穴124aに整列する第2の穴124aを備え、第2の柔軟部材127は、第2の穴124aに整列する第4の穴127aを備える。第1の穴122a、第2の穴124a、及び第4の穴127aは、共に単一真空吸引口130を形成する。
【0049】
本実施形態において、平坦部材128は、基板122及び第2の柔軟部材127の間に配置される。シールリング124は、基板122上の第1の穴122aに対応する位置に配置され、平坦部材128は、シールリング124の横に配置され、シールリング124の外側を囲み、平坦部材128及びシールリング124は、同じ高さを有する。本実施形態において、平坦部材128の材料は、耐熱コロイドを含むが、本開示はこれに限定されない。
【0050】
図3Bは、第2のウエハを運搬する図3Aのウエハ移送装置の湾曲部分の概略図である。なお、ウエハ移送装置100の構造をより明確に図示するために第2のウエハ300が図3Bから省略され、破線は、第2のウエハ300を運搬する前の第2の柔軟部材127の状態を示すことが理解される。
【0051】
図3A及び3Bを同時に参照すると、本実施形態において、第2のウエハ300の第2の周辺領域320は、第2の中央領域より高く、湾曲形状を提供し、第2の柔軟部材127の厚さH2は、第2のウエハ300の第2の周辺領域320及び第2の中央領域310の間の高低差Hbよりも大きい。
【0052】
図2Aから3Bを参照すると、図3Aの第2のウエハ300の歪み具合は、図2Aの第1のウエハ200の歪み具合よりも大きい。すなわち、図3Aの第2のウエハ300の第2の周辺領域320及び第2の中央領域310の間の高低差Hbは、図2Aの第1のウエハ200の第1の周辺領域220及び第1の中央領域210の間の高低差Haよりも大きい。従って、本実施形態において、より厚い第2の柔軟部材127が特に選ばれ、すなわち、図3Bの第2の柔軟部材127の厚さH2は、図2Bの第1の柔軟部材126の厚さH1より大きく、それにより、第2の柔軟部材127は、第2のウエハ300の形状に応じてより大きな圧縮力を提供する。
【0053】
従って、本実施形態において、第2の柔軟部材127が第2のウエハ300を持ち上げる時、第2のウエハ300の第2の中央領域310に対応する位置における第2の柔軟部材127の変形量Sc2は、第2のウエハ300の第2の周辺領域320に対応する位置における第2の柔軟部材127の変形量So2よりも大きく、支持キャリア120’の第2の柔軟部材127は、第2のウエハ300の第2の周辺領域320及び第2の中央領域310に接触し得る。
【0054】
すなわち、本実施形態において、ウエハ移送装置100は、第1のウエハ200及び第2のウエハ300の異なる歪み具合に応じて、第1の柔軟部材126が第2の柔軟部材127に置換されてよい。さらに、上記の調整可能な構造に基づいて、ウエハ移送装置100の単一真空吸引口130が第1のウエハ200の第1の中央領域210又は第2のウエハ300の第2の中央領域310を吸引する時、異なる厚さを有する第1の柔軟部材126及び第2の柔軟部材127が、歪み具合が異なる第1のウエハ200及び第2のウエハ300に接触し、第1のウエハ200及び第2のウエハ300を支持するためにそれぞれ使用されてよい。これにより、本開示のウエハ移送装置100は、歪み具体が異なる第1のウエハ及び第2のウエハを吸引及び移送してよい。
【0055】
なお、本実施形態において記載される要素の参照番号及び内容の一部は、以下の実施形態においても使用され、同一の参照番号は、同一又は同様の要素を表し、同じ技術的内容の説明は省略される。上記の実施形態は、省略した部分の説明として参照されてよく、その詳細な説明は、以下の実施形態では繰り返されない。
【0056】
図4Aは、本開示の別の実施形態に係る、第1のウエハに適用されるウエハ移送装置の概略断面図である。図2A及び図4Aを参照すると、本実施形態の支持キャリア120’’は、図2Aの支持キャリア120と同様であり、図2Aとの相違点について、図2Aでは、平坦部材128及びシールリング124が同じ高さにあるために第1の柔軟部材126全体が同じ厚さを有する。すなわち、第3の穴126a近傍の第1の柔軟部材126の中央部分の厚さは、第3の穴126a遠方の第1の柔軟部材126の周辺部分の厚さと同じである。図4Aの実施形態において、支持キャリア120’’は、平坦部材128を有さず、第1の柔軟部材126’は、支持キャリア120’’の基板122上に直接配置される。
【0057】
図4Aを参照すると、本実施形態において、第1の柔軟部材126’の形状は、図2Aの第1の柔軟部材126及び平坦部材128の形状の合計であり、第1の柔軟部材は、第3の穴126’の隣に、基板122に対向する第1の柔軟部材126’の表面から窪んでいるノッチ129が存在し、シールリング124は、第1の柔軟部材126’のノッチ129内に配置される。第3の穴126a’近傍の第1の柔軟部材126’の中央部分の厚さは、第3の穴126a’遠方の第1の柔軟部材126’の周辺部分の厚さより小さい。すなわち、本実施形態において、平坦部材128は省略されてよく、支持キャリア120’’は、第1の柔軟部材126’を使用して、平坦化及び変形効果を達成する。
【0058】
同様に、本実施形態において、基板122は、基板は、第1の穴122aを備え、シールリング124は、第1の穴122aに整列する第2の穴124aを備え、第1の柔軟部材126’は、第2の穴124aに整列する第3の穴126a’を備える。第1の穴122a、第2の穴124a、及び第3の穴126a’は、共に単一真空吸引口130を形成する。
【0059】
図4Bは、第1のウエハを運搬する図4Aのウエハ移送装置の湾曲部分の概略図である。なお、ウエハ移送装置100の構造をより明確に図示するために第1のウエハ200が図4Bから省略され、破線は、第1のウエハ200を運搬する前の第1の柔軟部材1256’の状態を示すことが理解される。
【0060】
図4A及び4Bを同時に参照すると、本実施形態において、
第1のウエハ200の第1の周辺領域220は、第1の中央領域210より高く、湾曲形状を提供し、第1の柔軟部材126’’の厚さH3は、第1のウエハ200の第1の周辺領域220及び第1の中央領域210の間の高低差Haよりも大きい。
【0061】
本実施形態において、第1の柔軟部材126’’が第1のウエハ200を持ち上げる時、支持キャリア120’’は、第1のウエハ200の第1の中央領域210及び第1の周辺領域220に接触し、第1のウエハ200の第1の中央領域210に対応する位置における第1の柔軟部材126’’の変形量Sc3は、第1のウエハ200の第1の周辺領域220に対応する位置における第1の柔軟部材126’’の変形量So3よりも大きい。
【0062】
従って、本実施形態において、ウエハ移送装置100の単一真空吸引口130が第1のウエハ200の第1の中央領域210を吸引する時、ウエハ移送装置100の支持キャリア120’’は、上に配置される第1の柔軟部材126’’が第1のウエハ200の第1の中央領域210に接触し、第1のウエハ200の第1の中央領域210を支持するため、ウエハ移送装置100は、歪んだ第1のウエハ200を安定して移送できる。
【0063】
要約すると、本開示のウエハ移送装置の設計において、支持キャリアは、単一真空吸引口と、第1の柔軟部材と、を有し、単一真空吸引口は、第1のウエハの第1の中央領域を吸引し、第1の柔軟部材の厚さは、歪んだ第1のウエハの第1の中央領域及び第1の周辺領域の間の高低差より大きく、それにより、単一真空吸引口が第1のウエハを吸引した時、第1の柔軟部材は、第1のウエハに接触し、第1のウエハを支持するため、歪んだ第1のウエハ200は安定して移送される。さらに、ウエハ移送装置において、歪み具合が異なる第1のウエハ及び第2のウエハに応じて、異なる厚さを有する第1の柔軟部材及び第2の柔軟部材が交換されてよく、それにより、歪み具合が異なる第1のウエハ及び第2のウエハを安定して吸着及び移送できる。従って、本開示のウエハ移送装置は、製造コストを安くするだけでなく、歪み具合が異なるウエハに広く適用できる。
【0064】
開示される実施形態に対して、発明の範囲及び精神から逸脱することなく様々な変形及び変更を行うことができる点、当業者にとって理解される。上記に鑑みて、本開示の変形例及び変更例は、以下の特許請求の範囲及びその同等の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示は、第1のウエハを安定して吸引及び移送できるウエハ移送装置に関する。
【符号の説明】
【0066】
100 ウエハ移送装置
110 アーム
120、120’、120’’ 支持キャリア
1201 基部
1202 支持アーム
120a 上面
122 基板
122a 第1の穴
124 シールリング
124a 第2の穴
126、126’ 第1の柔軟部材
126a、126a’ 第3の穴
127 第2の柔軟部材
127a 第4の穴
128 平坦部材
129 ノッチ
130 単一真空吸引口
200 第1のウエハ
210 第1の中央領域
220 第1の周辺領域
300 第2のウエハ
310 第2の中央領域
320 第2の周辺領域
H1、H2、H3 厚さ
Ha、Hb 高低差
Sc1、Sc2,Sc3,So1、So2、So3 変形量

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
【外国語明細書】