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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049655
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】車両衝突エネルギー吸収システム
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20220322BHJP
   B60K 1/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B62D25/20 C
B62D25/20 D ZAB
B60K1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117886
(22)【出願日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119041
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 丞 ミン
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203BA17
3D203BB08
3D203BB16
3D203BB18
3D203BB20
3D203BB22
3D203BB35
3D203BC35
3D203CA23
3D203CA29
3D203CA38
3D203CB19
3D203DA22
3D203DB05
3D203DB07
3D235AA02
3D235BB08
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD12
3D235DD35
3D235EE13
3D235EE32
3D235FF03
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF12
3D235FF14
3D235HH22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両衝突時にフロントサブフレームが電池組立体と衝突するのを防止することができ、衝突エネルギーの分散および吸収を極大化することができる車両衝突エネルギー吸収システムを提供する。
【解決手段】車両衝突エネルギー吸収システムは、ダッシュパネル2と、ダッシュパネルの前側に延びた1対のフロントサイドメンバ3と、1対のフロントサイドメンバの下方に配置されたフロントサブフレーム10と、フロントサブフレームに取り付けられた電気モータと、を含むことができる。電気モータの前方端はフロントサブフレームにピボット可能に連結され、電気モータの後方端は前記ダッシュパネルにピボット可能に連結されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルと、
前記ダッシュパネルの前側に延びた1対のフロントサイドメンバと、
前記1対のフロントサイドメンバの下方に配置されたフロントサブフレームと、
前記フロントサブフレームに取り付けられた電気モータと、を含み、
前記電気モータの前方端は前記フロントサブフレームにピボット可能に連結され、前記電気モータの後方端は前記ダッシュパネルにピボット可能に連結される、ことを特徴とする車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項2】
前記電気モータの後方端は、リアピボット連結部を介して前記ダッシュパネルにピボット可能に連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項3】
前記リアピボット連結部は、前記電気モータの後方端から前記ダッシュパネルに向かって突出したリアピボットアームと、前記ダッシュパネルから前記電気モータに向かって突出したピボットブラケットと、前記リアピボットアームおよび前記ピボットブラケットを貫通するリアピボットピンと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項4】
前記ピボットブラケットは、車両の上部に向かう上部壁と、前記上部壁の両側端から車両の下方に向かって延びた1対の側壁と、前記上部壁と対向する下段開口と、を含み、
前記リアピボットピンは、前記1対の側壁および前記リアピボットアームを貫通する、ことを特徴とする請求項3に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項5】
前記ダッシュパネルの下部に付着された横方向補強部材をさらに含み、
前記横方向補強部材は車両の幅方向に沿って延びる、ことを特徴とする請求項3に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項6】
前記リアピボット連結部は、前記横方向補強部材のセンタに整列する、ことを特徴とする請求項5に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項7】
前記横方向補強部材から車両の後方に向かって延びた縦方向補強部材をさらに含み、
前記縦方向補強部材は車両の長さ方向に沿って延び、前記縦方向補強部材はフロアパネルの上面に付着される、ことを特徴とする請求項5に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項8】
前記フロアパネルの上面に付着されたフロントクロスメンバをさらに含み、
前記フロントクロスメンバは前記横方向補強部材の後側に位置する、ことを特徴とする請求項7に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項9】
前記縦方向補強部材の前方端は前記横方向補強部材のセンタに結合され、前記縦方向補強部材の後方端は前記フロントクロスメンバのセンタに結合される、ことを特徴とする請求項8に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【請求項10】
前記電気モータの前方端は、1対のフロントピボット連結部を介して前記フロントサブフレームのフロントクロスメンバにピボット可能に連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両衝突エネルギー吸収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両衝突エネルギー吸収システムに係り、より詳しくは、車両衝突時に電池組立体を保護すると共に衝突エネルギーを吸収することができる車両衝突エネルギー吸収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境破壊および石油資源の枯渇に対する危機認識が高まるにつれて、環境に優しい自動車として電気自動車(Electric Vehicle)に対する研究開発が浮び上がっている。電気自動車としては、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、BEV(Battery Electric Vehicle)、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)などが挙げられる。
【0003】
電気自動車は、車両のフロントコンパートメントに位置した電気モータと、車両のフロアに取り付けられた電池組立体と、を含む。電気モータは、車両の前輪を駆動するように構成され、電池組立体は、電気モータおよびその他の電装部品に電気を供給するように構成される。電池組立体は、一つ以上の電池セル(または電池モジュール)と、一つ以上の電池セルと関わる電装品と、電池セルおよび電装品が取り付けられる電池ケースと、電池ケースの上部をカバーするカバーと、を含む。
【0004】
電気自動車の電池組立体は、外部の小さな衝撃により冷却ラインから冷却水が漏れるか、または電池セル間の干渉などによる火災発生などが起こる可能性が高く、そのため、電池組立体を車両衝突時にも安全に保護するための電池保護法規が制定されている。ここで、内燃機関車両は、衝突エネルギーの吸収のみを考慮するが、電気自動車は、衝突エネルギーの吸収だけでなく、電池保護法規に従った電池組立体の保護も共に考慮しなければならない。
【0005】
電気自動車の航続距離の増大のために、電池組立体の容量が増加し、それにより電池組立体のサイズが増加するにつれて、電池組立体が車両の前方に向かって突出し得るため、車両の設計時に電池組立体の保護項目をより重大に考慮する必要がある。
【0006】
従来の電気自動車は、電気モータがシャシ(chassis)とフロントサブフレームとの間に剛体的に取り付けられる(rigidly mounted)ことで、車両衝突時に電気モータおよびフロントサブフレームは剛体として作用し(serve as rigid body)、それによりフロントサブフレームのエネルギー吸収量が顕著に減少し、それによりフロントサブフレームが電池組立体の前方端を打撃する可能性が非常に高くなって電池組立体を安全に保護できないという短所があった。
【0007】
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を増進するために作成されたものであって、該技術が属する分野における通常の知識を有する者に周知の従来技術ではない事項を含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開第2010-091096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のようなことを考慮して導き出されたものであり、車両衝突時にフロントサブフレームおよび/または電気モータが車両の下部に向かって回転することを誘導することによってフロントサブフレームが電池組立体と衝突するのを防止することができ、衝突エネルギーの分散および吸収を極大化することができる車両衝突エネルギー吸収システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような目的を達成するための本発明の実施形態に係る車両衝突エネルギー吸収システムは、ダッシュパネルと、前記ダッシュパネルの前側に延びた1対のフロントサイドメンバと、前記1対のフロントサイドメンバの下方に配置されたフロントサブフレームと、前記フロントサブフレームに取り付けられた電気モータと、を含むことができる。前記電気モータの前方端は前記フロントサブフレームにピボット可能に連結され、前記電気モータの後方端は前記ダッシュパネルにピボット可能に連結されることができる。
【0011】
前記電気モータの後方端はリアピボット連結部を介して前記ダッシュパネルにピボット可能に連結されることができる。
前記リアピボット連結部は、前記電気モータの後方端から前記ダッシュパネルに向かって突出したリアピボットアームと、前記ダッシュパネルから前記電気モータに向かって突出したピボットブラケットと、前記リアピボットアームおよび前記ピボットブラケットを貫通するリアピボットピンと、を含むことができる。
【0012】
前記ピボットブラケットは、車両の上部に向かう上部壁と、前記上部壁の両側端から車両の下方に向かって延びた1対の側壁と、前記上部壁と対向する下段開口と、を含むことができる。前記リアピボットピンは、前記1対の側壁および前記リアピボットアームを貫通することができる。
【0013】
前記ダッシュパネルの下部に付着された横方向補強部材をさらに含み、前記横方向補強部材は車両の幅方向に沿って延びることができる。
前記リアピボット連結部は、前記横方向補強部材のセンタに整列することができる。
【0014】
前記横方向補強部材から車両の後方に向かって延びた縦方向補強部材をさらに含み、前記縦方向補強部材は車両の長さ方向に沿って延び、前記縦方向補強部材はフロアパネルの上面に付着されることができる。
前記フロアパネルの上面に付着されたフロントクロスメンバをさらに含み、前記フロントクロスメンバは前記横方向補強部材の後側に位置することができる。
【0015】
前記縦方向補強部材の前方端は前記横方向補強部材のセンタに結合され、前記縦方向補強部材の後方端は前記フロントクロスメンバのセンタに結合されることができる。
前記電気モータの前方端は、1対のフロントピボット連結部を介して前記フロントサブフレームのフロントクロスメンバにピボット可能に連結されることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、車両衝突時にフロントサブフレームおよび/または、電気モータが車両の下部に向かって回転することを誘導することによってフロントサブフレームが電池組立体と衝突するのを防止することができ、衝突エネルギーの分散および吸収を極大化することができる。特に、フロントサブフレームが電池組立体に衝突するのを確実に避けることができるため、電池安全性および乗客保護などを向上させることができ、電池組立体の容量を従来に比べて相対的に増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るダッシュパネルの前側に位置した構造を示した図面である。
図2】本発明の実施形態に係るダッシュパネルの後側に位置した構造を示した図面である。
図3図1のA-A線に沿って示した断面図である。
図4】車両衝突時にサブフレームおよび電気モータが回転することを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付する際、同一の構成要素に対しては他の図面上に表示されても可能な限り同一の符号を付するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態を説明するにおいて、関連した公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0019】
本発明の実施形態の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されることはない。また、別に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで用いる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るダッシュパネル2の前側に位置した構造を示す。ダッシュパネル2はフロントコンパートメントおよび乗客室を区画するように構成されることができ、電気モータ、変速機、熱交換機などがフロントコンパートメントに配置されることができる。
【0021】
図1を参照すると、カウルパネル1がダッシュパネル2の上段に取り付けられることができ、1対のフロントピラ4がダッシュパネル2の両側端に取り付けられることができる。1対のフロントサイドメンバ3がダッシュパネル2の前側に延びることができ、1対のフロントサイドメンバ3が車両の幅方向に沿って離隔することができ、各フロントサイドメンバ3は車両の長さ方向に沿って延びることができる。各フロントサイドメンバ3は、ダッシュパネル2の下部を貫通することができる。1対のフェンダエプロンメンバ5が車両の幅方向に沿って離隔することができ、1対のフェンダエプロンメンバ5は各フロントピラ4からそれに該当するフロントサイドメンバ3の前方端まで延びることができる。フロントバンパビーム7の両端が1対のクラッシュボックス8を介して1対のバンパビームマウンティングブラケット6に取り付けられることができ、各フェンダエプロンメンバ5の前方端およびフロントサイドメンバ3の前方端が溶接、締結具などにより、それに該当するバンパビームマウンティングブラケット6に取り付けられることができる。
【0022】
図1および図3を参照すると、フロントサブフレーム10が1対のフロントサイドメンバ3の下方に配置されることができる。フロントサブフレーム10は、1対の縦方向メンバ11(longitudianl member)と、1対の縦方向メンバ11の前方部を連結するフロントクロスメンバ12と、1対の縦方向メンバ11の後方部を連結するリアクロスメンバ13と、1対の縦方向メンバ11から個別的に延びた1対のフロント延長部14と、を含むことができる。各縦方向メンバ11は車両の長さ方向に沿って延びることができ、各縦方向メンバ11はそれに該当するフロントサイドメンバ3の下方に位置することができる。フロントクロスメンバ12およびリアクロスメンバ13は車両の幅方向に沿って延びることができ、各フロント延長部14は各縦方向メンバ11から車両の前方に向かって延びることができる。フロントサブフレーム10は、1対の縦方向メンバ11に個別的に連結された1対のロアコントロールアーム15を含むことができる。
【0023】
図3を参照すると、1対のサブフレームマウンティングブラケット9が1対のバンパビームマウンティングブラケット6に個別的に付着されることができる。各フロントサイドメンバ3は、車両の後方に向かって延びたリア延長部3aを有することができ、リア延長部3aは、各フロントサイドメンバ3の後方端から車両の後方に向かって曲がることができる。リア延長部3aは、各フロントサイドメンバ3およびそれに該当するサイドシル(図示せず)を連結するトルクボックス(torque box)であることができる。
【0024】
図1および図3を参照すると、フロントサブフレーム10は、1対のサブフレームマウンティングブラケット9に取り付けられた1対のフロント取付部51と、1対のフロントサイドメンバ3の中間部に個別的に取り付けられた1対の中間取付部52と、1対のフロントサイドメンバ3のリア延長部3aに個別的に取り付けられた1対のリア取付部53と、を含むことができる。
【0025】
図1、3を参照すると、電気モータ70がフロントサブフレーム10に取り付けられることができ、電気モータ70の前方端はフロントサブフレーム10にピボット可能に連結されることができ、電気モータ70の後方端はダッシュパネル2にピボット可能に連結されることができる。
【0026】
一実施形態によると、電気モータ70の前方端は、一つ以上のフロントピボット連結部21、22を介してフロントサブフレーム10に連結されることができる。具体的な実施形態によると、電気モータ70の前方端は、第1フロントピボット連結部21および第2フロントピボット連結部22を介してフロントサブフレーム10のフロントクロスメンバ12にピボット可能に連結されることができ、第1フロントピボット連結部21および第2フロントピボット連結部22は、車両の幅方向に沿って離隔することができる。図1に例示されたように、第1フロントピボット連結部21は車両の左側に隣接することができ、第2フロントピボット連結部22は車両の右側に隣接することができる。
【0027】
第1フロントピボット連結部21は、電気モータ70の前方端からフロントサブフレーム10のフロントクロスメンバ12に向かって突出した第1フロントピボットアーム31と、フロントサブフレーム10のフロントクロスメンバ12から上向きに突出した1対の第1フロントピボットラグ32と、第1フロントピボットアーム31および1対の第1フロントピボットラグ32を貫通する第1フロントピボットピン33と、を含むことができる。第1フロントピボットアーム31が1対の第1フロントピボットラグ32の間に収容され、第1フロントピボットピン33が1対の第1フロントピボットラグ32および第1フロントピボットアーム31を貫通することができる。
【0028】
第2フロントピボット連結部22は、フロントサブフレーム10のフロントクロスメンバ12から電気モータ70に向かって突出した第2フロントピボットアーム35と、電気モータ70の前方端から下向きに突出した1対の第2フロントピボットラグ36と、第2フロントピボットアーム35および1対の第2フロントピボットラグ36を貫通する第2フロントピボットピン37と、を含むことができる。第2フロントピボットアーム35が1対の第2フロントピボットラグ36の間に収容され、第2フロントピボットピン37が1対の第2フロントピボットラグ36および第2フロントピボットアーム35を貫通することができる。
【0029】
車両の正面衝突の発生時、図4のように、第1フロントピボットラグ32が第1フロントピボットピン33の周りに回転すると同時に第2フロントピボットアーム35が第2フロントピボットピン37の周りに回転することにより、フロントサブフレーム10は、車両の下部に向かって回転することができる(図4の矢印R1方向を参照)。
【0030】
一実施形態によると、電気モータ70の後方端は、リアピボット連結部23を介してダッシュパネル2にピボット可能に連結されることができる。具体的な実施形態によると、リアピボット連結部23は、電気モータ70の後方端からダッシュパネル2に向かって突出したリアピボットアーム41と、ダッシュパネル2から電気モータ70に向かって突出したピボットブラケット42と、リアピボットアーム41およびピボットブラケット42を貫通するリアピボットピン43と、を含むことができる。ピボットブラケット42は、車両の上部に向かう上部壁42aと、上部壁42aの両側端から車両の下方に向かって延びた1対の側壁42bと、上部壁42aと対向する下段開口42cと、を含むことができる。下段開口42cは、車両の下方に向かって開放されることができる。リアピボットアーム41はピボットブラケット42の上部壁42aと1対の側壁42bとの間に収容され、リアピボットピン43は1対の側壁42bおよびリアピボットアーム41を貫通することができ、リアピボット連結部23はダッシュパネル2のセンタに配置されることができ、特にリアピボット連結部23は車両のセンタラインX上に配置されることができる。
【0031】
車両の正面衝突の発生時、図4のように、リアピボットアーム41がリアピボットピン43の周りに回転する際、リアピボットアーム41は、ピボットブラケット42の下段開口42cを介して車両の下部に向かって回転することができ、それにより、電気モータ70は、リアピボット連結部23のリアピボットピン43を介して車両の下部に向かって回転することができる(図4の矢印R2方向を参照)。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係るダッシュパネル2の後側に位置した構造を示す。ダッシュパネル2の下段にはフロアパネル61が連結されることができ、1対のサイドシルインナ62がフロアパネル61の両側端に結合されることができ、各サイドシルインナ62は車両の長さ方向に沿って延びることができる。
【0033】
横方向補強部材64がダッシュパネル2の下部に付着されることができ、横方向補強部材64はフロアパネル61の前方端と隣接することができる。リアピボット連結部23は、横方向補強部材64のセンタに整列することができる。横方向補強部材64は車両の幅方向に沿って延びることができ、横方向補強部材64の各端部が締結具、溶接などにより、それに該当する各フロントピラ4に個別的に結合されることにより、横方向補強部材64は車両の幅方向に沿って1対のフロントピラ4を連結することができる。そこで、横方向補強部材64は、車両の幅方向に沿って荷重を伝達するロードパスの役割をすることができる。
【0034】
横方向補強部材64はダッシュパネル2に向かって開放されたチャンネル形状の断面を有することができ、横方向補強部材64が締結具、溶接などにより、ダッシュパネル2の前方面または後方面に結合されることにより、横方向補強部材64は閉断面を形成することができる。一例によると、横方向補強部材64は、図2のように、ダッシュパネル2の後方面に結合されることができる。他の例によると、横方向補強部材64は、ダッシュパネル2の前方面に結合されることができる。
【0035】
縦方向補強部材65は横方向補強部材64から車両の後方に向かって延びることができ、縦方向補強部材65は車両の長さ方向に沿って延びることができる。そこで、縦方向補強部材65は、荷重を車両の長さ方向に沿って伝達するロードパスの役割をすることができる。
【0036】
縦方向補強部材65は、フロアパネル61に向かって開放されたチャンネル形状またはトンネル形状の断面を有することができる。縦方向補強部材65が締結具、溶接などにより、フロアパネル61の上面に結合されることにより、縦方向補強部材65およびフロアパネル61は閉断面を形成することができる。フロントクロスメンバ63は締結具、溶接などによりフロアパネル61の上面に付着されることができ、フロントクロスメンバ63は横方向補強部材64の後側に位置することができる。フロントクロスメンバ63は車両の幅方向に沿って延びることができ、フロントクロスメンバ63はフロアパネル61の前方端に隣接することができる。フロントクロスメンバ63の各端部が締結具、溶接などにより、それに該当するサイドシルインナ62に結合されることにより、フロントクロスメンバ63は1対のサイドシルインナ62を車両の幅方向に沿って連結することができる。また、シートクロスメンバ67がフロントクロスメンバ63の後側に位置することができ、車両シートが取付ブラケットを介してシートクロスメンバ67に取り付けられることができる。シートクロスメンバ67は、1対のサイドシルインナ62を車両の幅方向に沿って連結することができる。
【0037】
縦方向補強部材65の前方端は横方向補強部材64のセンタに結合されることができ、縦方向補強部材65の後方端はフロントクロスメンバ63のセンタに結合されることができる。縦方向補強部材65が車両の長さ方向に沿ってピボットブラケット42に整列することにより、縦方向補強部材65およびリアピボット連結部23は車両の長さ方向に沿って整列することができる。特に、縦方向補強部材65およびリアピボット連結部23は、車両の縦方向センタラインX(central longitudinal axis)に沿って整列および延長することができる。
【0038】
車両の正面衝突の発生時、荷重がフロントサイドメンバ3およびフロントサブフレーム10に伝達され、フロントサブフレーム10の前方部が変形することにより、フロントサブフレーム10は第1および第2フロントピボット連結部21、22を介して車両の下部に向かって回転することができ(図4の矢印R1方向を参照)、それによりフロントサブフレーム10のリア取付部53が車体のフロントサイドメンバ3の後方延長部3aから完全に離脱することができる。また、荷重が電気モータ70に伝達される際、電気モータ70はリアピボット連結部23を介して車両の下部に向かって回転することができ(図4の矢印R2方向を参照)、そのため、フロントサブフレーム10は完全に車両の下方へ離脱することができ、それにより、フロントサブフレーム10が電池組立体66と衝突することを回避することができる。また、電気モータ70に伝達される荷重は、リアピボット連結部23を介して、縦方向補強部材65および横方向補強部材64を介して伝達されることで衝突エネルギーを吸収することができる。
【0039】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能である。
【0040】
したがって、本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は後述の請求範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 カウルパネル
2 ダッシュパネル
3 フロントサイドメンバ
4 フロントピラ
5 フェンダエプロンメンバ
6 バンパビームマウンティングブラケット
7 フロントバンパビーム
8 クラッシュボックス
10 フロントサブフレーム
11 縦方向メンバ
12 フロントクロスメンバ
13 リアクロスメンバ
14 フロント延長部
15 ロアコントロールアーム
21 第1フロントピボット連結部
22 第2フロントピボット連結部
23 リアピボット連結部
31 第1フロントピボットアーム
32 第1フロントピボットラグ
33 第1フロントピボットピン
35 第2フロントピボットアーム
36 第2フロントピボットラグ
37 第2フロントピボットピン
41 リアピボットアーム
42 ピボットブラケット
43 リアピボットピン
61 フロアパネル
62 サイドシルインナ
63 フロントクロスメンバ
64 横方向補強部材
65 縦方向補強部材
70 電気モータ


図1
図2
図3
図4