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特開2022-49735ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、およびポリスチレン系樹脂積層発泡容器
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  • 特開-ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、およびポリスチレン系樹脂積層発泡容器 図1
  • 特開-ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、およびポリスチレン系樹脂積層発泡容器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049735
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、およびポリスチレン系樹脂積層発泡容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20220323BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20220323BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B32B27/30 B
B32B5/18
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155922
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】青木 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 奏
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD02
3E086AD05
3E086AD06
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA16
3E086BB51
3E086BB55
3E086CA01
3E086DA08
4F100AH06A
4F100AH06B
4F100AK12A
4F100AK12B
4F100BA02
4F100DJ01A
4F100EH17
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100EJ98
4F100GB16
4F100JA13A
4F100JK06
4F100JK08A
4F100JK16A
4F100JK16B
4F100JL00
4F100JL01
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のブロッキング防止効果が発現でき、該成形における成形性と、該容器のトップシール性に優れた、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、および、該シートが成形されたポリスチレン系樹脂積層発泡容器を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、該ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、該ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量が、それぞれ、0.001質量%~0.040質量%である。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、
該ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、該ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量が、それぞれ、0.001質量%~0.040質量%である、
ポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
【請求項2】
前記ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層の密度が0.12g/cm~0.30g/cmである、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
【請求項3】
前記ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層を、110℃で2分間加熱した際の最大点伸長率が、MD方向およびTD方向のいずれにおいても70%~180%である、請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
【請求項4】
前記ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面、および、前記ポリスチレン系樹脂層の側の表面の、摩擦係数が、それぞれ、0.1~0.4である、請求項1から3までのいずれかに記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
【請求項5】
前記ポリスチレン系樹脂層の厚みが80μm~180μmである、請求項1から4までのいずれかに記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートが、前記ポリスチレン系樹脂層が内側となるように容器形状に成形された、ポリスチレン系樹脂積層発泡容器。
【請求項7】
容器内側フランジ面の、シリコーン油に由来するケイ素量が、0.001質量%~0.030質量%である、請求項6に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、およびポリスチレン系樹脂積層発泡容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器成形用の熱可塑性樹脂積層発泡シートは、押出機内に熱可塑性樹脂を発泡剤、気泡調整剤などと共に供給し、押出機内でこれらの材料を加熱溶融、混練し、所定温度に冷却した後、樹脂をダイからシート状に押出し、発泡させ、直後に冷却して作製される発泡シートの表面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層して製造される。また、この熱可塑性樹脂積層発泡シートを用いて容器を製造するには、ロール状に巻き取られた熱可塑性樹脂積層発泡シートを成形機の加熱ゾーンで一定温度に加熱した後、成形ゾーンで所望の容器形状に成形して製造される。
【0003】
このような熱可塑性樹脂積層発泡シートの中でも、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、カップ入り即席麺などの容器の材料として大量に使用されている。
【0004】
このような容器の外側面には印刷を施す場合が多く、この場合、成形して製造された容器は、多数重ねた状態で箱や袋に収納、保管し、印刷工程へと運ばれる。多数重ねた状態の容器は、圧縮によって容器同士が強く重なり合っている。したがって、高速且つスムーズに印刷工程に送り込むためには、多数重ねた状態で供給される容器を1個ずつスムーズに印刷工程に送り込む必要がある。この際、容器が重なり合ったまま印刷工程に送り込まれたり、容器が外れずに供給不良になったりするという、いわゆるブロッキングによるトラブルが起こり得る。このようなブロッキングによるトラブルは、製造設備全体に大きな影響を及ぼし、生産効率が悪化してしまう。
【0005】
このようなブロッキングによるトラブルを回避するため、熱可塑性樹脂積層発泡シートの片面または両面にシリコーン油などの付着防止剤を塗布することで、表面の滑り性を向上させてブロッキング防止効果を発現し、重なり合った容器を容易に分離可能とする方法が報告されている(特許文献1、2)。
【0006】
しかしながら、付着防止剤として使用されるシリコーン油には、内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)であるとされるノニルフェノールが混入している可能性があった。ノニルフェノールは、平成13年(2001年)8月に国の内分泌攪乱化学物質問題検討会において、内分泌攪乱作用が確認された。
【0007】
そこで、ノニルフェノールを含まない付着防止剤が用いられた、安全性に優れた容器成形用熱可塑性樹脂積層発泡シートが報告されている(特許文献3)。特許文献3で報告されている容器成形用熱可塑性樹脂積層発泡シートは安全性を確保しつつ、従来のシリコーン油を使用した場合と同等のブロッキング防止効果を得ることができるとされている。
【0008】
しかし、例えば、カップ入り焼きそばの容器の成形に使用されるシートについては、近年のハイサイクル成形によって、成形時に、底部の厚みを大きくするための樹脂の引き込みと容器外側のスタック留めの成形不良発生の抑制との両立が難しいという問題がある。また、シリコーン油の塗布量を上げることによって、成形時に容器のリップ部と底部の厚みのバランスは取りやすくなるものの、しかしながら、容器に食品を充填した後にトップシールする際に、シリコーン油によりシール性が阻害されるという問題がある。
【0009】
また、シートに多量のシリコーン油を塗布すると、製造したシートを巻き取る工程において、重なったシート同士の間でシリコーン油の不均一な転写が生じ、その結果、シリコーン油が不均一に塗布されたシートとなってしまい、成形も不均一になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7-108637号公報
【特許文献2】特開平9-141772号公報
【特許文献3】特開2005-132400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のブロッキング防止効果が発現でき、該成形における成形性と、該容器のトップシール性に優れた、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、および、該シートが成形されたポリスチレン系樹脂積層発泡容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、
ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、
該ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、該ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量が、それぞれ、0.001質量%~0.040質量%である。
【0013】
一つの実施形態としては、上記ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層の密度が0.12g/cm~0.30g/cmである。
【0014】
一つの実施形態としては、上記ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層を、110℃で2分間加熱した際の最大点伸長率が、MD方向およびTD方向のいずれにおいても70%~180%である。
【0015】
一つの実施形態としては、上記ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面、および、上記ポリスチレン系樹脂層の側の表面の、摩擦係数が、それぞれ、0.1~0.4である。
【0016】
一つの実施形態としては、上記ポリスチレン系樹脂層の厚みが80μm~180μmである。
【0017】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器は、上記ポリスチレン系樹脂積層発泡シートが、上記ポリスチレン系樹脂層が内側となるように容器形状に成形されたものである。
【0018】
一つの実施形態としては、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器は、容器内側フランジ面の、シリコーン油に由来するケイ素量が、0.001質量%~0.030質量%である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のブロッキング防止効果が発現でき、該成形における成形性と、該容器のトップシール性に優れた、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、および、該シートが成形されたポリスチレン系樹脂積層発泡容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの代表的な概略断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器の代表的な概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0022】
本明細書において「(メタ)アクリル」とある場合は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とある場合は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0023】
≪ポリスチレン系樹脂積層発泡シート≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートである。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、代表的には、ポリスチレン系樹脂発泡層の一方の面とポリスチレン系樹脂層の一方の面とが積層されて一体化したポリスチレン系樹脂積層発泡シートである。
【0024】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層は、代表的には、厚みが1mm以上のシート状であり、ポリスチレン系樹脂層は、代表的には、厚みが1mm未満のフィルム状である。
【0025】
図1は、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの代表的な概略断面図である。図1において、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シート100は、ポリスチレン系樹脂発泡層10とポリスチレン系樹脂層20とが積層されている。ポリスチレン系樹脂発泡層10の側の表面10aは、ポリスチレン系樹脂発泡層10のポリスチレン系樹脂層20とは反対側の面である。ポリスチレン系樹脂層20の側の表面20aは、ポリスチレン系樹脂層20のポリスチレン系樹脂発泡層10とは反対側の面である。
【0026】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの厚みは、目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採り得る。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの厚みは、各種目的を鑑みると、好ましくは0.5mm~4.0mmであり、より好ましくは1.0mm~3.5mmであり、さらに好ましくは1.2mm~3.0mmであり、特に好ましくは1.5mm~2.5mmである。
【0027】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量は、それぞれ、0.001質量%~0.040質量%である。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量を、それぞれ上記の限られた範囲内に調整することにより、従来に比べて、成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のブロッキング防止効果をより発現し得るとともに、該成形における成形性と該容器のトップシール性により優れたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供し得る。
【0028】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面(図1における10a)の、シリコーン油に由来するケイ素量は、好ましくは0.005質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.01質量%~0.3質量%であり、さらに好ましくは0.012質量%~0.25質量%であり、特に好ましくは0.015質量%~0.2質量%である。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面の、シリコーン油に由来するケイ素量を、上記範囲内に調整することにより、本発明の効果をより発現し得る。
【0029】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂層の側の表面(図1における20a)の、シリコーン油に由来するケイ素量は、好ましくは0質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0質量%~0.3質量%であり、さらに好ましくは0質量%~0.25質量%であり、特に好ましくは0質量%~0.2質量%である。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂層の側の表面の、シリコーン油に由来するケイ素量を、上記範囲内に調整することにより、本発明の効果をより発現し得る。
【0030】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、本発明の効果をより発現させ得る点で、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層の密度が、好ましくは0.12g/cm~0.30g/cmであり、より好ましくは0.14g/cm~0.28g/cmであり、さらに好ましくは0.15g/cm~0.27g/cmであり、特に好ましくは0.16g/cm~0.25g/cmである。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層の密度を、上記範囲内に調整することにより、近年のハイサイクル成形に供されても、成形時に、底部の厚みを大きくするための樹脂の引き込みと容器外側のスタック留めの成形不良発生の抑制との両立が達成し得るなど、成形性に優れたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供し得る。
【0031】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、本発明の効果をより発現させ得る点で、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層を、110℃で2分間加熱した際の最大点伸長率が、MD方向およびTD方向のいずれにおいても、好ましくは70%~180%であり、より好ましくは75%~170%であり、さらに好ましくは80%~160%であり、特に好ましくは85%~155%である。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層を、110℃で2分間加熱した際の最大点伸長率を、MD方向およびTD方向のいずれにおいても、上記範囲内に調整することにより、近年のハイサイクル成形に供されても、成形時に、底部の厚みを大きくするための樹脂の引き込みと容器外側のスタック留めの成形不良発生の抑制との両立が達成し得るなど、成形性に優れたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供し得る。
【0032】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、本発明の効果をより発現させ得る点で、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面、および、ポリスチレン系樹脂層の側の表面の、摩擦係数が、それぞれ、好ましくは0.1~0.4であり、より好ましくは0.11~0.35であり、さらに好ましくは0.12~0.30であり、特に好ましくは0.13~0.28である。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面、および、ポリスチレン系樹脂層の側の表面の、摩擦係数を、それぞれ、上記範囲内に調整することにより、近年のハイサイクル成形に供されても、成形時に、底部の厚みを大きくするための樹脂の引き込みと容器外側のスタック留めの成形不良発生の抑制との両立が達成し得るなど、成形性に優れたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供し得る。
【0033】
<ポリスチレン系樹脂発泡層>
ポリスチレン系樹脂発泡層は、代表的には、ポリスチレン系樹脂を発泡させて形成したものである。ポリスチレン系樹脂発泡層は、より具体的には、好ましくは、ポリスチレン系樹脂を、発泡剤、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤と共に押出機内で加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからシート状に押し出すと共に発泡させ、直ちに冷却して形成される。
【0034】
ポリスチレン系樹脂発泡層を形成するポリスチレン系樹脂(I)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリスチレン系樹脂を採用し得る。このようなポリスチレン系樹脂(I)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、t-ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体;上記スチレン系モノマーの共重合体;上記スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートなど)との共重合体;上記スチレン系モノマーと二官能性モノマー(例えば、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなど)との共重合体;などが挙げられる。スチレン系モノマーは、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系モノマーの全量に対するスチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
【0035】
ポリスチレン系樹脂(I)としては、例えば、ブタジエンやイソプレンをなどのゴム成分ブロックとスチレンブロックとを有するブロック共重合体、上記ゴム成分ブロックをスチレンからなる分子鎖にグラフトさせたグラフト共重合体などの、いわゆるハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン、HIPS)なども挙げられる。
【0036】
1つの実施形態においては、ポリスチレン系樹脂(I)は、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との複合樹脂であってもよい。複合樹脂におけるポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との含有比(ポリスチレン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂:質量比)は、好ましくは50/50~90/10であり、より好ましくは60/40~85/15である。ポリスチレン系樹脂の含有量が少なすぎると、発泡性および/または成形加工性が不十分になる場合がある。ポリスチレン系樹脂の含有量が多すぎると、耐衝撃性および/または柔軟性が不十分になる場合がある。
【0037】
ポリオレフィン系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なオレフィン系樹脂を採用し得る。ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。ポリオレフィン系樹脂としては、具体例には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂;などが挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂の中でも、好ましくは、エチレン-酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、およびこれらの混合物である。なお、低密度は、好ましくは0.91g/cm~0.94g/cmであり、より好ましくは0.91g/cm~0.93g/cmである。高密度は、好ましくは0.95g/cm~0.97g/cmであり、より好ましくは0.95g/cm~0.96g/cmである。中密度は、低密度と高密度との間の密度である。
【0038】
ポリスチレン系樹脂(I)は、リサイクル原料のポリスチレン系樹脂であってもよい。
【0039】
ポリスチレン系樹脂(I)は、耐衝撃性を高める等のために、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ(2,6-ジメチルフェニレン-1,4-エーテル)、ポリ(2,6-ジエチルフェニレン-1,4-エーテル)、ポリ(2,6-ジクロルフェニレン-1,4-エーテル)等のポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体ゴム(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIPS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体ゴム(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体などの、ポリスチレン系樹脂およびポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
【0040】
発泡剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡剤を採用し得る。このような発泡剤としては、例えば、プロパン、i-ブタン、n-ブタン、i-ペンタン、n-ペンタン、N、CO、N/CO、水、水と-OH、-COOH、-CN、-NH、-OSOH、-NH、CO、NH、-CONH、-COOR、-CHSOH、-SOH、-COONHなどの基を持つ化合物との混合物、これらの混合物、から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、発泡剤としては、好ましくは、i-ブタンおよびn-ブタンから選ばれる少なくとも1種である。発泡剤としては、有機系発泡剤を用いてもよい。有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボン酸アミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられる。
【0041】
ポリスチレン系樹脂発泡層の発泡倍率としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは1.5倍~20倍である。
【0042】
ポリスチレン系樹脂(I)には、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤(顔料も含み)、消臭剤、発泡核剤、造核剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を添加してもよい。添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0043】
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末;多価カルボン酸の酸性塩;多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応混合物;などが挙げられる。
【0044】
安定剤としては、例えば、カルシウム亜鉛系熱安定剤、スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤などが挙げられる。
【0045】
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セシウム系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0046】
酸化防止剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化セリウム/ジルコニア固溶体、水酸化セリウム、カーボン、カーボンナノチューブ、酸化チタン、フラーレンなどが挙げられる。
【0047】
着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤などが挙げられる。
【0048】
消臭剤としては、例えば、シリカ、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト焼成物などが挙げられる。
【0049】
ポリスチレン系樹脂発泡層の坪量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な坪量を採り得る。ポリスチレン系樹脂発泡層の坪量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは120g/m~400g/mであり、より好ましくは130g/m~350g/mであり、さらに好ましくは150g/m~300g/mであり、特に好ましくは180g/m~270g/mである。
【0050】
ポリスチレン系樹脂発泡層の平均気泡径は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な平均気泡径を採り得る。ポリスチレン系樹脂発泡層の平均気泡径は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは80μm~300μmであり、より好ましくは90μm~250μmであり、さらに好ましくは100μm~220μmであり、特に好ましくは110μm~200μmである。
【0051】
ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは、目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採り得る。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおけるポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは、各種目的を鑑みると、好ましくは1.0mm~3.0mmであり、より好ましくは1.15mm~2.5mmであり、さらに好ましくは1.3mm~2.3mmであり、特に好ましくは1.4mm~2.0mmである。
【0052】
<ポリスチレン系樹脂層>
ポリスチレン系樹脂層の厚みは、目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採り得る。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおけるポリスチレン系樹脂層の厚みは、各種目的を鑑みると、好ましくは80μm~180μmであり、より好ましくは90μm~170μmであり、さらに好ましくは100μm~160μmであり、特に好ましくは110μm~150μmである。すなわち、ポリスチレン樹脂層の厚みは、好ましくは、ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みよりも小さい。
【0053】
ポリスチレン系樹脂層は、代表的には、非発泡ポリスチレン系樹脂層である。
【0054】
ポリスチレン系樹脂層は、代表的には、ポリスチレン系樹脂から形成したものである。より具体的には、好ましくは、ポリスチレン系樹脂を、必要に応じて加えられる各種の添加剤と共に押出機内で加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからフィルム状に押し出して形成される。より具体的には、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造するにあたっては、好ましくは、後述するように、ポリスチレン系樹脂を、必要に応じて加えられる各種の添加剤と共に押出機内で加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからフィルム状に押し出したものを、ポリスチレン系樹脂発泡層の表面に積層する。
【0055】
ポリスチレン系樹脂層を形成するポリスチレン系樹脂(II)としては、前述のポリスチレン系樹脂発泡層を形成するポリスチレン系樹脂(I)を援用することができる。また、ポリスチレン系樹脂層を形成するポリスチレン系樹脂(II)としては、ポリスチレン系樹脂(I)(ハイインパクトポリスチレン以外)とハイインパクトポリスチレンとの混合物が挙げられる。ハイインパクトポリスチレンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なハイインパクトポリスチレンを採用し得る。このようなハイインパクトポリスチレンとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体がサラミ構造状に分散し、その粒径が0.3μm~10μmのものを含むものが挙げられる。さらに、ポリスチレン系樹脂層を形成するポリスチレン系樹脂(II)としては、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、エチレン・プロピレンランダムポリマー、エチレン・プロピレンブロックポリマー、エチレン・プロピレン-ブテン-ターポリマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸エステル共重合体(例えば、エチレン-メチルメタクリレート共重合体)、エチレン-不飽和カルボン酸金属塩共重合体(例えば、エチレン-アクリル酸マグネシウム(又は亜鉛)共重合体)、プロピレン-塩化ビニルコポリマー、プロピレン-ブテンコポリマー、プロピレン-無水マレイン酸コポリマー、プロピレン-オレフィン共重合体(プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体)ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば、無水マレイン酸)変性物、エチレン-プロピレンゴム、アタクチックポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらの混合物などが挙げられる。
【0056】
ポリスチレン系樹脂(II)には、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤(顔料も含み)、消臭剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を添加してもよい。添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0057】
≪ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造する方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造する方法は、本発明の効果をより発現し得る点で、代表的には、ポリスチレン系樹脂発泡層製造工程とポリスチレン系樹脂層製造・ラミネート工程と、シリコーン油添加工程と、巻取り工程と、を含む。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造する方法は、好ましくは、ポリスチレン系樹脂発泡層製造工程とポリスチレン系樹脂層製造・ラミネート工程と、シリコーン油添加工程と、巻取り工程と、をこの順に含む。
【0058】
ポリスチレン系樹脂発泡層製造工程においては、代表的には、ポリスチレン系樹脂(I)を、発泡剤、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤と共に押出機内で加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからシート状に押し出すと共に発泡させ、直ちに冷却する。これにより、シート状のポリスチレン系樹脂発泡層が製造される。発泡剤として発泡ガスを使用した場合は、製造後のポリスチレン系樹脂発泡層をしばらく放置し、このポリスチレン系樹脂発泡層中に残存する発泡ガスを空気置換する。
【0059】
ポリスチレン系樹脂層製造・ラミネート工程においては、代表的には、ポリスチレン系樹脂(II)を、必要に応じて加えられる各種の添加剤と共に押出機内で加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからフィルム状に押し出し、冷却しきらないうちに、ポリスチレン系樹脂発泡層の表面に積層し、該積層の際に、ポリスチレン系樹脂発泡層側に熱処理を行う。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層の積層体が得られる。
【0060】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、本発明の効果をより発現させ得る点で、上記積層の際の熱処理直後の温度を、好ましくは35℃~120℃に調整する。上記積層の際の熱処理直後の温度を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果をより発現させることができ、特に、ポリスチレン系樹脂発泡層の伸びが適度に良好なものとなり得る。上記積層の際の熱処理直後の温度が35℃未満の場合、ポリスチレン系樹脂発泡層の表面近傍側の密度が高くなり過ぎ、伸びの際に、ポリスチレン系樹脂発泡層の表面近傍側に対してポリスチレン系樹脂発泡層の残りの部分がうまく追随しないおそれがある。上記積層の際の熱処理直後の温度が120℃を超える場合、ポリスチレン系樹脂発泡層の表面近傍側の密度が下がってしまい、成形に耐えられないおそれがある。なお、上記積層の際の熱処理直後の温度を上記範囲内に調整することにより、特に、ポリスチレン系樹脂発泡層の伸びが適度に良好なものとなり得るが、さらに、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの両面に求められるケイ素量(ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、該ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量)を満足しないと、成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のブロッキング防止効果が発現できないおそれがあり、また、成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のトップシール性が発現できないおそれがある。
【0061】
シリコーン油添加工程においては、ポリスチレン系樹脂層製造・積層工程で得られたポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層の積層体において、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面とポリスチレン系樹脂層の側の表面の少なくとも一方に、シリコーン油を添加する。添加の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような添加の方法としては、例えば、塗布が挙げられる。この際、前述の通り、得られる本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量が、それぞれ、0.001質量%~0.040質量%となるように、シリコーン油の添加量を調整する。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量を、それぞれ上記の限られた範囲内に調整することにより、従来に比べて、成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のブロッキング防止効果をより発現し得るとともに、該成形における成形性と該容器のトップシール性により優れたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供し得る。
【0062】
シリコーン油としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン油を採用し得る。このようなシリコーン油の中でも、安全性に優れる点を勘案すると、ノニルフェノールを実質的に含まないシリコーン油が好ましい。
【0063】
巻取り工程においては、シリコーン油添加工程の後のシート、すなわち、シリコーン油を添加した後のシートを、ロール等の巻取り機器によって巻き取る。
【0064】
≪ポリスチレン系樹脂積層発泡容器≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器は、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートが、ポリスチレン系樹脂層が内側となるように容器形状に成形されたものである。
【0065】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器において、容器内側フランジ面の、シリコーン油に由来するケイ素量は、好ましくは0.001質量%~0.030質量%である。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器において、容器内側フランジ面の、シリコーン油に由来するケイ素量を、上記の限られた範囲内に調整することにより、従来に比べて、成形によって得られるポリスチレン系樹脂積層発泡容器のブロッキング防止効果をより発現し得るとともに、該容器のトップシール性がより優れ得る。
【0066】
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを用いて本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器を製造するには、ロール状に巻き取られた該ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形機の加熱ゾーンで一定温度に加熱した後、成形ゾーンで所望の容器形状に成形して製造される。この容器形状としては、例えば、丼形、コップ形、箱形、トレー形などの種々の形状とすることができる。
【実施例0067】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
【0068】
<平均気泡径>
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおける、ポリスチレン系樹脂発泡層の原反の平均気泡径は、以下のようにして求めた。
ポリスチレン系樹脂発泡層の原反の幅方向中央部からMD方向(押出方向)およびTD方向(ポリスチレン系樹脂発泡層の原反の表面において押出方向と直交する方向)に沿って、ポリスチレン系樹脂発泡層の原反の表面に垂直に切リ出した。
断面を走査型電子顕微鏡(SU1510、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、50倍に拡大して撮影した。このとき、顕微鏡画像は、横向きのA4用紙1枚に縦横2画像(合計4画像)並んだ状態で印刷した際に所定の倍率となるように撮影した。
具体的には、画像上に、MD、TDの各方向に平行する60mmの任意の直線及び各方向に直交する方向(VD方向)に60mmの直線を描き、MD方向に沿って切断した断面(MD断面)およびTD方向に沿って切断した断面(TD断面)のそれぞれに対し、2視野ずつ合計4視野の顕微鏡画像を撮影し、A4用紙に印刷した。MD断面の2つの画像のそれぞれにMD方向に平行な3本の任意の直線(長さ60mm)を描くと共に、TD断面の2つの画像のそれぞれにTD方向に平行な3本の任意の直線(長さ60mm)を描いた。また、MD断面の1つの画像とTD断面の1つの画像とにVD方向に平行な3本の直線(60mm)を描き、MD方向、TD方向、及び、VD方向に平行な60mmの任意の直線を各方向6本ずつ描いた。なお、任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合には、この気泡も数に加えた。MD方向、TD方向、VD方向の各方向の6本の任意の直線について数えた気泡数Dを算術平均し、各方向の気泡数とした。気泡数を数えた画像倍率とこの気泡数から気泡の平均弦長tを次式より算出した。
・平均弦長t(mm)=60/(気泡数×画像倍率)
画像倍率は画像上のスケールバーをデジマチックキャリパ(ミツトヨ社製)にて1/100mmまで計測し、次式により求めた。
・画像倍率=スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
次式により各方向における気泡径を算出した。
・気泡径D(mm)=t/0.616
さらに、それらの積の3乗根を平均気泡径とした。
・平均気泡径(mm)=(DMD×DTD×DVD)1/3
DMD:MD方向の気泡径(mm)。
DTD:TD方向の気泡径(mm)。
DVD:VD方向の気泡径(mm)。
【0069】
<ポリスチレン系樹脂発泡層の表層密度>
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおける、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスし、その表層の密度を測定した。
【0070】
<加熱引張試験>
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおける、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面から200μmの厚さをスライスした表層を、110℃で2分間加熱した際の、最大点伸長率および最大点荷重は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック-ポリエチレン-試験方法」に準拠して測定した。
具体的には、次の手順により測定した。
測定装置として、(株)島津製作所製の恒温槽「TCR2A型」が付帯された(株)島津製作所製の「オートグラフ AG-X plus 100kN」万能試験機を用い、万能試験機データ処理ソフトとして(株)島津製作所製の「TRAPEZIUM-X」を用いた。まず、ポリスチレン系樹脂発泡層の表層をスライサーにてスライスし、厚さ200μmの薄片を得た。得られた薄片をISO1798規定のType1形状に切り出し試験片とした。この際、ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向(MD方向)が試験片の長手方向になるものをMD方向試験片とし、ポリスチレン系樹脂発泡層のMD方向と直交する方向(TD方向)が試験片の長手方向になるものをTD方向試験片とした。MD方向試験片とTD方向試験片を、それぞれ、JIS K7100:1999に記載の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下に16時間以上おいて状態調整した。恒温槽を110℃雰囲気とし、状態調整後の試験片を恒温槽内の引張試験治具に20秒以内(恒温槽の扉を開けてから閉じるまで)で取り付け、2分間保持した後、直ちに引張り試験を引張速度500mm/分として開始し、最大点伸長率を測定した。試験片の数は、MD方向試験片およびTD方向試験片、それぞれ5個とし、その平均値を、それぞれ、MD方向最大点伸長率およびTD方向最大点伸長率とした。また、最大点伸長率を与えるときの荷重を、最大点荷重とし、最大点伸長率と同様の平均値として求めた。
【0071】
<表面粗さ>
ミツトヨ製のサーフテストSJ201を用いて、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートのポリスチレン系樹脂発泡層のMD方向、TD方向をそれぞれ幅方向N=5で表面粗さRaを測定し、平均値を求めた。
【0072】
<摩擦係数>
トリニティ―ラボ社製のhandy rub testerを用い、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの表面を2Nの負荷をかけて、幅方向に測定器を滑らせて測定した。
【0073】
<ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、シリコーン油に由来するケイ素量の測定>
(株)リガク製の「ZSX PrimusIV」蛍光X線測定装置を使って、下記条件にてSi-Καの強度測定を行い、オーダー分析法により、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおける、ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面と、ポリスチレン系樹脂層の側の表面との、Si(ケイ素)の含有元素量を求めた。試料作製方法は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートから40mm角の試験片を切り出し、装置専用の試料ケース(30mm径測定用)にセットして、測定試料とした。
<装置条件>
・測定径=30mmφ
・スピン=しない
・雰囲気=真空
・成分形態=金属
・残分=C
・試料フィルム=なし
・試料重量厚さ=設定する
<スキャン条件>
・Si-Κα
・管球=Rh(30kV-100mA)
・1次フィルタ=Be30
・アッテネータ=1/1
・スリット=S4
・分光結晶=PETH
・2θ=109.070deg(測定範囲=106~112deg)
・検出器=PC
・PHA=100~300
・ステップ=0.05deg
・時間=0.15sec
【0074】
<成形性>
(発泡容器の作成)
実施例および比較例で得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを用いて、図2に示すような発泡容器を作製した。
発泡容器は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートをそのポリスチレン系樹脂フィルムが内側となるように作製した。
発泡容器は角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmであった。
発泡容器の作製について、より詳しく説明する。
容発泡器の外形に対応する凹部を5×5=25個備えたキャビティ(凹型)と、容器の内形に対応する凸部を同数備えたプラグ(凸型)とを有するプレス成形装置に、各ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを連続的に供給しながら発泡容器の作製を行った。
成形条件としては、1ショット(=25個)の成形サイクルを10.0秒、キャビティ側のヒータの設定温度を270℃、プラグ側のヒータの設定温度を340℃とした。
また成形のタイミングは、キャビティとプラグとがほぼ同時にポリスチレン系樹脂積層発泡シートと接触して成形を開始するように設定した。
【0075】
(成形性の評価)
プレス成形装置の運転を開始した直後である1ショット目の25個の発泡容器と、成形を繰り返して型が十分に温まったと思われる30ショット目の25個の発泡容器について、それぞれ外観を観察した。そして、発泡容器にシワやナキ(外部割れ)などが見られないか等の外観の異常を観察した。
異常が見られなかったものを「○」、異常があったものを「×」として評価した。
【0076】
<ブロッキング性の評価>
上記の成形にて得られた発泡容器を互いに上下方向に嵌め合うことによって重ね合わせて23℃にて48時間に亘って養生した後、発泡容器同士を分離する際の抵抗を下記の基準に基づいて測定した。
○:発泡容器同士を簡単に抵抗なく分離させることができた。
×:発泡容器同士を分離させる際に抵抗があり分離が困難であった。
【0077】
<ポリスチレン系樹脂積層発泡容器内側フランジ面の、シリコーン油に由来するケイ素量の測定>
(株)リガク製の「ZSX PrimusIV」蛍光X線測定装置を使って、下記条件にてSi-Καの強度測定を行い、オーダー分析法により、ポリスチレン系樹脂積層発泡容器内側フランジ面の、シリコーン油に由来するSi(ケイ素)の含有元素量を求めた。試料作製方法は、ポリスチレン系樹脂積層発泡容器から10mm角の試験片を切り出し、装置専用の試料ケース(10mm径測定用)にセットして、測定試料とした。
<装置条件>
・測定径=10mmφ
・スピン=しない
・雰囲気=真空
・成分形態=金属
・残分=C
・試料フィルム=なし
・試料重量厚さ=設定する
<スキャン条件>
・Si-Κα
・管球=Rh(30kV-100mA)
・1次フィルタ=Be30
・アッテネータ=1/1
・スリット=S4
・分光結晶=PETH
・2θ=109.070deg(測定範囲=106~112deg)
・検出器=PC
・PHA=100~300
・ステップ=0.05deg
・時間=0.15sec
【0078】
<シール性の評価>
蓋材としてUACJ製箔社製ホットメルトアルミ複合フィルムをポリスチレン系樹脂積層発泡容器の口部にトップシール機(第一パック機工業社製、S-300HS-LC、半自動式カップシール機)によりシールし、シール性について評価した。
(シール条件)
・シール装置(トップシール機):第一パック機工業、S-300HS-LC、半自動式カップシール機
・シール温度:150℃
・シール時間:0.5秒
(評価)
〇:蓋材が容器の口に十分な強度をもってシールされて貼り付いていた。
×:蓋材の容器の口へのシール強度が十分でなかった。
【0079】
[実施例1]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が129μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.4質量部注入し、続いて、第二押出機にて、155℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が220g/m、厚み1.55mm、平均気泡径が129μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(1a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(1a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(1a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(1a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(1a)の表面の温度は59℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(1a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(1b)が積層した積層体(1c)を得た。
次に、積層体(1c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(1c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(1a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6343)を0.05cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(1)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(1)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表1に示した。
【0080】
[実施例2]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が150μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.6質量部注入し、続いて、第二押出機にて、153℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が220g/m、厚み1.80mm、平均気泡径が150μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(2a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(2a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み150μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(2a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(2a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(2a)の表面の温度は46℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(2a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(2b)が積層した積層体(2c)を得た。
次に、積層体(2c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(2c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(2a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6343)を0.08cc/mで吹き付け、積層体(2c)のポリスチレン系樹脂フィルム(2b)側の面にシリコーン油(信越シリコーン、KM9737A)を0.04cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(2)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(2)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表1に示した。
【0081】
[実施例3]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が174μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.3質量部注入し、続いて、第二押出機にて、154℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が220g/m、厚み1.55mm、平均気泡径が174μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(3a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(3a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み130μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(3a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(3a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(3a)の表面の温度は106℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(3a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(3b)が積層した積層体(3c)を得た。
次に、積層体(3c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(3c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(3a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.05cc/mで吹き付け、積層体(3c)のポリスチレン系樹脂フィルム(3b)側の面にシリコーン油(信越シリコーン、KM9784A)を0.01cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(3)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(3)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表1に示した。
【0082】
[実施例4]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が176μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.2質量部注入し、続いて、第二押出機にて、155℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が220g/m、厚み1.65mm、平均気泡径が176μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(4a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(4a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み140μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(4a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(4a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(4a)の表面の温度は105℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(4a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(4b)が積層した積層体(4c)を得た。
次に、積層体(4c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(4c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(4a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.05cc/mで吹き付け、積層体(4c)のポリスチレン系樹脂フィルム(4b)側の面にシリコーン油(信越シリコーン、KM9784A)を0.04cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(4)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(4)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表1に示した。
【0083】
[実施例5]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が178μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.4質量部注入し、続いて、第二押出機にて、155℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が220g/m、厚み1.60mm、平均気泡径が178μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(5a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(5a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(5a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(5a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(5a)の表面の温度は89℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(5a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(5b)が積層した積層体(5c)を得た。
次に、積層体(5c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(5c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(5a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.06cc/mで吹き付け、積層体(5c)のポリスチレン系樹脂フィルム(5b)側の面にシリコーン油(信越シリコーン、KM9745A)を0.02cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(5)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(5)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表2に示した。
【0084】
[実施例6]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が181μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.3質量部注入し、続いて、第二押出機にて、155℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が230g/m、厚み1.55mm、平均気泡径が181μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(6a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(6a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(6a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(6a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(6a)の表面の温度は87℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(6a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(6b)が積層した積層体(6c)を得た。
次に、積層体(6c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(6c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(6a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.12cc/mで吹き付け、積層体(6c)のポリスチレン系樹脂フィルム(6b)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.07cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(6)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(6)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表2に示した。
【0085】
[実施例7]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が158μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.0質量部注入し、続いて、第二押出機にて、159℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が250g/m、厚み1.55mm、平均気泡径が158μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(7a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(7a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(7a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(7a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(7a)の表面の温度は38℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(7a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(7b)が積層した積層体(7c)を得た。
次に、積層体(7c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(7c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(7a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.05cc/mで吹き付け、積層体(7c)のポリスチレン系樹脂フィルム(7b)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.04cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(7)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(7)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表2に示した。
【0086】
[実施例8]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が190μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.6質量部注入し、続いて、第二押出機にて、153℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が200g/m、厚み1.55mm、平均気泡径が190μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(8a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(8a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(8a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(8a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(8a)の表面の温度は117℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(8a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(8b)が積層した積層体(8c)を得た。
次に、積層体(8c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(8c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(8a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.03cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(8)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(8)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表2に示した。
【0087】
[比較例1]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が196μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.6質量部注入し、続いて、第二押出機にて、153℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が180g/m、厚み1.55mm、平均気泡径が196μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(C1a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C1a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(C1a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C1a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(C1a)の表面の温度は124℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C1a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(C1b)が積層した積層体(C1c)を得た。
次に、積層体(C1c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(C1c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(C1a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.15cc/mで吹き付け、積層体(C1c)のポリスチレン系樹脂フィルム(C1b)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.1cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C1)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C1)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表3に示した。
【0088】
[比較例2]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が148μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.1質量部注入し、続いて、第二押出機にて、158℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が260g/m、厚み1.55mm、平均気泡径が148μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(C2a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C2a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(C2a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C2a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(C2a)の表面の温度は30℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C2a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(C2b)が積層した積層体(C2c)を得た。
次に、積層体(C2c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(C2c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(C2a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6343)を0.02cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C2)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C2)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表3に示した。
【0089】
[比較例3]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が177μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.2質量部注入し、続いて、第二押出機にて、157℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が220g/m、厚み1.60mm、平均気泡径が177μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(C3a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C3a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(C3a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C3a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(C3a)の表面の温度は85℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C3a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(C3b)が積層した積層体(C3c)を得た。
次に、積層体(C3c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(C3c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(C3a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.02cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C3)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C3)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表3に示した。
【0090】
[比較例4]
ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径170mmの環状ダイが取付けられた製造装置を用いた。
ポリスチレン系樹脂(商品名「G9305」、PSジャパン社製)100質量部に対し、気泡調整剤としてタルクを平均気泡径が174μmになるように調整して添加し、第一押出機に供給した。第一押出機のシリンダー温度は最高設定温度を260℃とし、発泡剤としてブタンガスをポリスチレン系樹脂100質量部に対し、3.2質量部注入し、続いて、第二押出機にて、157℃に冷却した。発泡後の混合物を、直径170mm、スリットクリアランス0.6mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアーをかけて調整して冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、シート坪量が220g/m、厚み1.60mm、平均気泡径が174μmのポリスチレン系樹脂発泡シート(C4a)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C4a)を製造後14日間保管した。
ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-785N」、東洋スチレン社製):ポリスチレン樹脂(商品名「G0002」、PSジャパン社製)=70:30(質量比)になるように調整して準備し、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、厚み120μmとなるようにポリスチレン系樹脂発泡シート(C4a)の表面に積層し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C4a)の表面を熱ロールで熱処理してラミネートした。熱処理直後のスチレン系樹脂発泡シート(C4a)の表面の温度は85℃であった。これにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート(C4a)上にポリスチレン系樹脂フィルム(C4b)が積層した積層体(C4c)を得た。
次に、積層体(C4c)をロールに巻き取る直前に、シリコーン油が一定となるように塗布装置(ニッカ社製)を用いて、積層体(C4c)のポリスチレン系樹脂発泡シート(C4a)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.15cc/mで吹き付け、積層体(C4c)のポリスチレン系樹脂フィルム(C4b)側の面にシリコーン油(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSM6347)を0.15cc/mで吹き付け、その後、ロールに巻き取り、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂層とが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C4)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C4)を用い、図2に示すような、角形状をなし、口元が175mm×175mm、深さが65mmの容器を成形した。
結果を表3に示した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の実施形態による熱可塑性樹脂積層発泡シートは、カップ入り即席麺などの容器の材料として好適に利用し得る。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡容器は、カップ入り即席麺などの容器として好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0095】
100 ポリスチレン系樹脂積層発泡シート
10 ポリスチレン系樹脂発泡層
10a ポリスチレン系樹脂発泡層の側の表面
20 ポリスチレン系樹脂層
20a ポリスチレン系樹脂層の側の表面
1000 発泡容器
200 容器内側
300 容器外側
図1
図2