(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049751
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】流路開閉装置、流路自動開閉装置、及び流路開閉システム
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20220323BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20220323BHJP
F16K 31/128 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A01G25/00 501F
A01G25/00 501D
F16K31/04 Z
F16K31/128
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155952
(22)【出願日】2020-09-17
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】518420307
【氏名又は名称】株式会社アイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】猪又 琢夫
【テーマコード(参考)】
3H056
3H062
【Fターム(参考)】
3H056AA02
3H056BB32
3H056CA07
3H056CB03
3H056CC02
3H056CC12
3H056CD01
3H056CD06
3H056CE01
3H056GG05
3H062AA07
3H062BB21
3H062BB30
3H062CC01
3H062DD03
3H062HH03
3H062HH07
(57)【要約】
【課題】内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路開閉装置等を提供する。
【解決手段】本発明の流路開閉装置1は、第1回転軸を中心に出力軸111を回転可能なモータ11と、出力軸111の回転に応じて第2回転軸を中心に回転可能な回転バルブ12と、流路の一部を構成し、回転バルブ12の回転位置によって開状態又は閉状態になされる流路部分13と、使用の際に、モータ11、回転バルブ12及び流路部分13を閉じた空間の内部に収容可能な収容ケース14と、を有し、第1回転軸と第2回転軸とが同一の回転軸Rである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸を中心に出力軸を回転可能なモータと、
前記出力軸の回転に応じて第2回転軸を中心に回転可能な回転バルブと、
流路の一部を構成し、前記回転バルブの回転位置によって開状態又は閉状態になされる流路部分と、
使用の際に、前記モータ、前記回転バルブ及び前記流路部分を閉じた空間の内部に収容可能な収容ケースと、を有し、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とが同一である、流路開閉装置。
【請求項2】
前記収容ケースの容積が前記モータの容積と前記回転バルブの容積と前記流路部分の容積の和に対して300%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流路開閉装置と、
前記流路開閉装置とは別体に設けられ、水位を測定可能な水位測定装置と、
を備え、
前記水位測定装置は、
高さ1m以上の柱状箱体と、
前記柱状箱体の内部に収容され、重力方向の下方に設けられる水位測定センサと、
前記柱状箱体の内部に収容され、前記重力方向の上方に設けられる制御部と、
を有し、
前記流路開閉装置及び前記水位測定装置が電気的に接続され、
前記制御部は、前記水位測定センサによる測定結果に応じて、前記流路開閉装置に前記回転バルブの開閉状態を指令可能な開閉状態指令部を含む、流路自動開閉装置。
【請求項4】
前記流路開閉装置及び前記水位測定装置は、それぞれ駆動電源としての乾電池を有し、
前記制御部は、
前記水位測定センサによる測定結果を、低消費電力で長距離通信を行うことができる特定小電力無線通信により外部端末に送信可能な水位情報送信部と、
前記回転バルブの開閉を指令する開閉指令情報を前記特定小電力無線通信により外部端末から受信可能な開閉指令情報受信部と、
をさらに含み、
前記開閉状態指令部は、前記開閉指令情報に応じて前記流路開閉装置に前記回転バルブの開閉状態を指令可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
本流路を開閉可能な本流路給水栓と、
前記本流路から分岐する支流路の開閉が可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置と、
を備え、
前記本流路給水栓は、
入口流路と、
前記入口流路の出口から前記本流路に向けて構成され、前記入口流路から入る流体の一部を前記本流路に戻すことが可能な出口流路と、
前記入口流路と前記出口流路との間を開閉可能な止水弁と、
前記止水弁の略真上に設けられるダイヤフラムと、
を有し、
前記支流路は、前記入口流路から分岐され、前記流路開閉装置を介して前記ダイヤフラムの略真上に向けて設けられ、
前記止水弁は、前記支流路から流入した流体から前記ダイヤフラムが受ける力に応じて前記入口流路と前記出口流路との間を開閉可能であり、
前記ダイヤフラムの有効受圧面積が前記止水弁の有効受圧面積よりも大きい、流路開閉システム。
【請求項6】
前記止水弁及び前記ダイヤフラムが収容体に収容され、
前記流路開閉装置の底面の面積は、前記収容体の上面の面積よりも小さい、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路開閉装置、給水又は排水に係る開閉を遠隔操作にて実行可能な流路自動開閉装置、及び流路開閉システムに関する。なお、遠隔操作は、スマートフォンやタブレット端末等を用いて遠隔地からサーバーを介して水位データを計測しての開閉操作のほか、カレンダー機能を利用し、開閉を行う時期及び開閉を行わない時期を指定するプログラムによる開閉操作を含み得る。
【背景技術】
【0002】
ほ場、貯水池、屋外プールその他の屋外管理対象に関し、屋外管理対象に関する水位を所望の範囲内に保つ水位管理を行う要望がある。このような要望に関し、給水源から供給される水の流路を開閉する給水栓その他の流路開閉装置を屋外に設置し、この流路開閉装置を介して屋外管理対象に給水して、屋外管理対象の水位管理を行う手法がある。
【0003】
流路開閉装置を屋外に設置する場合には、風雨、増水、洪水その他の気象に関する現象によって、該装置が劣化及び/又は故障し得る。流路開閉装置が劣化及び/又は故障すると、該装置の管理者は、該装置の保守及び/又は修理等に労力を費やすことを求められ得る。流路開閉装置の保守及び/又は修理等に費やす労力に関し、該装置が大型であればあるほど、該装置の保守等を行う場合に該装置を移動させる労力が大きくなる。
【0004】
流路開閉装置の管理者は、水位を所望の範囲内に保つよう該装置を制御することに関しても、労力を費やすことを求められ得る。屋外管理対象の規模が大きい場合には、水位管理に用いる流路開閉装置の数が増え、該装置の管理者は、該装置の管理に多大な労力を費やすことを求められ得る。したがって、流路開閉装置の管理に関する労力を軽減する方法が求められている。
【0005】
流路開閉装置の管理に関する労力を軽減する方法に関し、弁座と弁体との間にシール部材を備えた弁機構と、弁座と弁体の相対位置を調整するアクチュエータと、アクチュエータを制御する給水制御部と、を備えて構成され、導水路を介して用水をほ場に導く給水栓であって、給水制御部は、たん水時にほ場水位が目標水位に達した後の弁座と弁体の相対位置を、落水時に止水する止水相対位置とは異なる保水相対位置に設定するように構成されている給水栓が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の発明によると、弁機構を構成するシール部材やアクチュエータの劣化を抑制し、ほ場水位に応じた給水を行う際の管理に関する労力を軽減し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、弁機構を構成するシール部材等の劣化の進行を抑えることに留まり、増水、洪水その他の気象に関する現象によって給水栓の一部又は全部が浸水された場合のアクチュエータの劣化及び/又は故障を抑制する点に改善の余地がある。また、給水栓の小型化に関しても、なお一層の改善の余地がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路開閉装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、使用の際に、モータ、回転バルブ及び流路部分を閉じた空間の内部に収容可能な収容ケースを設け、モータの回転軸と回転バルブの回転軸とを同一にすることで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、第1回転軸を中心に出力軸を回転可能なモータと、前記出力軸の回転に応じて第2回転軸を中心に回転可能な回転バルブと、流路の一部を構成し、前記回転バルブの回転位置によって開状態又は閉状態になされる流路部分と、使用の際に、前記モータ、前記回転バルブ及び前記流路部分を閉じた空間の内部に収容可能な収容ケースと、を有し、前記第1回転軸と前記第2回転軸とが同一である、流路開閉装置を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明によれば、モータによって回転バルブを回転させて回転位置を変更し、流路を開閉できる。これにより、水位を所望の範囲内に保つよう制御する労力を軽減できる。利用者が装置を使用する際に、モータ、回転バルブ及び流路部分が閉じた空間の内部に収容されるため、利用者は、内部への浸水に起因するモータ、回転バルブ及び流路部分の劣化及び/又は故障を防ぐことができる。
【0012】
回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブは、回転によって弁体を上下移動させるバルブ等より小型に構成可能であるため、流路開閉装置をそれらのバルブを用いた装置より小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力を軽減し得る。モータは、回転バルブの回転位置を変更する間にのみ駆動され、電力を消費する。すなわち、回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブを回転させるモータは、通電によって開状態又は閉状態を維持する電磁バルブ等と異なり、流路部分を開状態及び/又は閉状態に維持する間に電力を消費しない。したがって、電力消費に伴うモータの劣化及び/又は故障が軽減され得る。したがって、モータの劣化及び/又は故障に関する保守等の労力が軽減され得る。
【0013】
第1の特徴に係る発明では、モータの出力軸の回転軸(第1回転軸)と回転バルブの回転軸(第2回転軸)とが同一であり、これら第1及び第2の回転軸が異なる場合とは違い、第1の回転軸から第2の回転軸へ動力を伝達する機構を設ける必要がない。これにより、装置をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力を軽減し得る。
【0014】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路開閉装置を提供できる。
【0015】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記収容ケースの容積が前記モータの容積と前記回転バルブの容積と前記流路部分の容積の和に対して300%以下である、装置を提供する。
【0016】
第2の特徴に係る発明によれば、モータの容積と回転バルブの容積と流路部分の容積との和に対する収容ケースの容積の比率について、その上限を上述したように定めているため、流路開閉装置をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力を軽減できる。
【0017】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路開閉装置を提供できる。
【0018】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴又は第2の特徴に係る流路開閉装置と、前記流路開閉装置とは別体に設けられ、水位を測定可能な水位測定装置と、を備え、前記水位測定装置は、高さ1m以上の柱状箱体と、前記柱状箱体の内部に収容され、重力方向の下方に設けられる水位測定センサと、前記柱状箱体の内部に収容され、前記重力方向の上方に設けられる制御部と、を有し、前記流路開閉装置及び前記水位測定装置が電気的に接続され、前記制御部は、前記水位測定センサによる測定結果に応じて、前記流路開閉装置に前記回転バルブの開閉状態を指令可能な開閉状態指令部を含む、流路自動開閉装置を提供する。
【0019】
第3の特徴に係る発明によれば、装置の管理者は、回転バルブの開閉状態を逐一指令する労力を費やすことなく、水位の測定結果に応じて回転バルブを開閉できる。したがって、装置の管理者は、水位を所望の範囲内に保つよう装置を制御する管理に要する労力を軽減できる。第3の特徴に係る発明によれば、柱状箱体の重力方向の上方に制御部が収容されているため、流路開閉装置の内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぐだけでなく、水位測定装置の内部への浸水に起因する制御部の劣化及び/又は故障をも防げる。
【0020】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路自動開閉装置を提供できる。
【0021】
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、前記流路開閉装置及び前記水位測定装置は、それぞれ駆動電源としての乾電池を有し、前記制御部は、前記水位測定センサによる測定結果を、低消費電力で長距離通信を行うことができる特定小電力無線通信により外部端末に送信可能な水位情報送信部と、前記回転バルブの開閉を指令する開閉指令情報を前記特定小電力無線通信により外部端末から受信可能な開閉指令情報受信部と、をさらに含み、前記開閉状態指令部は、前記開閉指令情報に応じて前記流路開閉装置に前記回転バルブの開閉状態を指令可能である、装置を提供する。
【0022】
第4の特徴に係る発明によれば、流路自動開閉装置の管理者は、外部の装置で水位に関する測定結果を受信し、外部の装置から回転バルブの開閉状態を指令できる。特定小電力無線通信は、長距離通信を行うことができるため、外部の装置と流路自動開閉装置との間の距離が離れていても、管理者は、流路自動開閉装置の近くへ移動することなく、測定結果を受信し、開閉状態を指令できる。したがって、水位を所望の範囲内に保つよう装置を制御する管理に要する労力をより一層軽減できる。
【0023】
流路開閉装置に関し、モータは、回転バルブの回転位置を変更する間にのみ駆動され、電力を消費する。すなわち、回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブを回転させるモータは、通電によって開状態又は閉状態を維持する電磁バルブ等と異なり、流路部分を開状態及び/又は閉状態に維持する間に電力を消費しない。したがって、駆動電源に乾電池を用いて流路開閉装置をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0024】
水位測定装置に関し、特定小電力無線通信は、低消費電力であるため、乾電池を用いて駆動可能である。したがって、駆動電源に乾電池を用いて水位測定装置をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0025】
したがって、第4の特徴に係る発明によれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路自動開閉装置を提供できる。
【0026】
第5の特徴に係る発明は、本流路を開閉可能な本流路給水栓と、前記本流路から分岐する支流路の開閉が可能である、第1から第4の特徴のいずれかに係る装置と、を備え、前記本流路給水栓は、入口流路と、前記入口流路の出口から前記本流路に向けて構成され、前記入口流路から入る流体の一部を前記本流路に戻すことが可能な出口流路と、前記入口流路と前記出口流路との間を開閉可能な止水弁と、前記止水弁の略真上に設けられるダイヤフラムと、を有し、前記支流路は、前記入口流路から分岐され、前記流路開閉装置を介して前記ダイヤフラムの略真上に向けて設けられ、前記止水弁は、前記支流路から流入した流体から前記ダイヤフラムが受ける力に応じて前記入口流路と前記出口流路との間を開閉可能であり、前記ダイヤフラムの有効受圧面積が前記止水弁の有効受圧面積よりも大きい、流路開閉システムを提供する。
【0027】
第5の特徴に係る発明によれば、流路開閉装置が開状態である場合、ダイヤフラムは、ダイヤフラムの略真上に設けられた支流路から流入した流体からの力を加えられた状態となる。流路開閉装置が閉状態である場合、支流路からダイヤフラムへ流体が流入しないため、ダイヤフラムは、支流路から流入した流体からの力を加えられていない状態となる。したがって、流路開閉装置の開閉によって、ダイヤフラムが受ける力が変化する。これにより、本流路の入口流路と出口流路との間を開閉できる。ダイヤフラムの有効受圧面積が止水弁の有効受圧面積よりも大きいため、止水弁に本流路を流れる流体からの力が加えられていても、ダイヤフラムに加えられる流体からのより大きな力によって、本流路の入口流路と出口流路との間を開閉できる。したがって、支流路を本流路より小型に構成し、本流路を開閉する場合に要するモータの出力より小さい出力のモータで支流路を開閉するようシステムを構成し得る。出力が小さい小型のモータで本流路を開閉できるため、流路開閉装置をより一層小型化し得る。
【0028】
したがって、第5の特徴に係る発明によれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能なシステムを提供できる。
【0029】
第6の特徴に係る発明は、第5の特徴に係る発明であって、前記止水弁及び前記ダイヤフラムが収容体に収容され、前記流路開閉装置の底面の面積は、前記収容体の上面の面積よりも小さい、システムを提供する。
【0030】
第6の特徴に係る発明によれば、モータその他の流路開閉装置を構成する部材だけでなく、止水弁及びダイヤフラムに関しても、内部への浸水に起因する劣化及び/又は故障を防ぎ得る。したがって、劣化及び/又は故障に関する保守及び/又は修理等のシステムの管理に要する労力を軽減し得る。また、流路開閉装置を収容体の上面に設置し、システムを小型化し得る。したがって、システムの保守等を行う場合にシステムを移動させる労力を軽減し、システムの管理に要する労力を軽減し得る。
【0031】
したがって、第6の特徴に係る発明によれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能なシステムを提供できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路開閉装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る流路開閉装置1を水平方向から見た場合における流路開閉装置1の内部構造を説明する概略模式図である。
【
図2】
図2は、流路部分13が開状態である流路開閉装置1のA-A断面を示す概略模式図である。
【
図3】
図3は、流路部分13が閉状態である流路開閉装置1のA-A断面を示す概略模式図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る流路自動開閉装置Aのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、流路自動開閉装置Aを水平方向から見た場合における流路自動開閉装置Aの内部構造を説明する概略模式図である。
【
図6】
図6は、水位測定装置2が実行する水位制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る流路開閉システムSを水平方向から見た場合における流路開閉システムSの内部構造のうち、流路部分が閉状態の状態を説明する概略模式図である。
【
図8】
図8は、
図7と同様の内部構造であって、流路部分が開状態の状態を説明する概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0035】
<<第1実施形態>> 内部への浸水に起因するモータの故障等を防ぐ流路開閉装置1
まず、
図1~
図3を参照しながら、第1実施形態に係る流路開閉装置1について説明する。
【0036】
図1は、第1実施形態に係る流路開閉装置1に関し、流路開閉装置1を水平方向から見た場合における流路開閉装置1の内部構造を説明する概略模式図である。
【0037】
<流路開閉装置1>
流路開閉装置1(以下、開閉装置1とも称する。)は、少なくとも、モータ11と、回転バルブ12と、流路部分13と、収容ケース14とを含んで構成される。必須の態様ではないが、開閉装置1は、モータ11の出力軸111の回転位置を制御する制御部とモータ11とを電気的に接続する配線Wを含んでもよい。配線Wを含むことにより、制御部を用いて出力軸111の回転位置を制御できる。また、配線Wを介して、開閉装置1の外部に設けられたモータ11の駆動電源とモータ11とを接続できる。配線Wを含まない場合、開閉装置1は、モータ11の駆動電源として用いられる乾電池(図示せず)を含むことが好ましい。乾電池を含むことにより、開閉装置1の外部にモータ11の駆動電源を設けて、この駆動電源とモータ11とを電気的に接続することなく、モータ11を駆動できる。
【0038】
〔モータ11〕
モータ11は、第1回転軸を中心に出力軸111を回転可能に構成されたモータである。モータ11の種類は、特に限定されず、例えば、サーボモータ、DCモータ(直流電動機)その他のモータでよい。モータ11を備えることにより、出力軸111を介して回転バルブ12を回転させることができる。
【0039】
モータ11は、中でも、出力軸111の回転位置を制御信号に応じて制御可能なサーボ機構を備えたサーボモータであることが好ましい。モータ11がサーボモータであることにより、出力軸111の回転位置と回転バルブ12の回転位置とを制御信号を用いて制御できる。モータ11が出力軸111の回転位置を制御応じて制御可能なサーボモータである場合、モータ11は、配線Wを介して制御信号を受信可能であることが好ましい。配線Wを介して制御信号を受信可能であることにより、出力軸111の回転位置を制御可能に構成された制御部とモータ11とを配線Wを介して電気的に接続して、出力軸111の回転位置を制御できる。モータ11は、Bluetoothその他の無線通信規格に準じた無線通信を介して制御信号を受信可能であってもよい。モータ11が無線通信を介して制御信号を受信可能であることにより、管理者は、流路開閉装置1から離れた場所から流路開閉装置1の開閉状態を制御できる。
【0040】
図1に示す例のように、流路開閉装置1の略上方にモータ11を設置することが好ましい。流路開閉装置1の略上方にモータ11を設置することにより、流路開閉装置1の一部が浸水した場合にモータ11が浸水する可能性を減らし得る。これにより、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ得る。
【0041】
[出力軸111]
出力軸111は、モータ11の動作に応じて第1回転軸を中心に回転し、第2回転軸を中心に回転バルブ12を回転可能に構成されたモータ11の出力軸である。出力軸111を備えることにより、モータ11の動作に応じて回転バルブ12を回転させることができる。
図1に示す例では、モータ11の下方に回転軸Rを中心に回転する出力軸111が設けられている。出力軸111は、回転バルブ12に接続され、回転軸Rを中心に回転バルブ12を回転させるように構成されている。
【0042】
必須の態様ではないが、出力軸111は、回転バルブ12に着脱可能に取り付けられ、使用の際に出力軸111の回転に応じて回転バルブ12を回転可能な回転伝達部を備えることが好ましい。回転バルブ12に着脱可能に取り付けられる回転伝達部を備えることにより、流路開閉装置1からモータ11のみを取り外してモータ11の保守及び/又は修理を行い得る。したがって、流路開閉装置1の管理者は、流路開閉装置1の管理に要する労力を軽減し得る。
【0043】
〔回転バルブ12〕
回転バルブ12は、出力軸111の回転に応じて第2回転軸を中心に回転可能に構成され、回転バルブ12の回転位置によって流路部分13を開状態又は閉状態にするバルブ(弁)である。ここで、第2回転軸は、第1回転軸と同一の回転軸Rである。
【0044】
回転バルブ12を備えることにより、モータ11によって回転バルブ12を回転させて回転位置を変更し、流路部分13を開閉できる。これにより、水位を所望の範囲内に保つよう制御する労力を軽減できる。モータ11の出力軸111の回転軸(第1回転軸)と回転バルブの回転軸(第2回転軸)とが同一の回転軸Rであるため、これら第1及び第2の回転軸が異なる場合とは違い、第1の回転軸から第2の回転軸へ動力を伝達する機構を設ける必要がない。これにより、流路開閉装置1をより一層小型に構成し、開閉装置1の保守等を行う場合に開閉装置1を移動させる労力を軽減し得る。
【0045】
回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブ12は、回転によって弁体を上下移動させるバルブ等より小型に構成可能であるため、流路開閉装置1をそれらのバルブを用いた装置より小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力を軽減し得る。モータ11は、回転バルブ12の回転位置を変更する間にのみ駆動され、電力を消費する。すなわち、回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブ12を回転させるモータ11は、通電によって開状態又は閉状態を維持する電磁バルブ等と異なり、流路部分13を開状態及び/又は閉状態に維持する間に電力を消費しない。したがって、電力消費に伴うモータ11の劣化及び/又は故障が軽減され得る。したがって、モータ11の劣化及び/又は故障に関する保守等の労力が軽減され得る。
【0046】
回転バルブ12は、出力軸111の回転に応じて第1回転軸と同一の回転軸Rである第2回転軸を中心に回転可能に構成され、回転バルブ12の回転位置によって流路部分13を開状態又は閉状態にする回転バルブであれば特に限定されず、例えば、ボールバルブ、バタフライバルブ、ラムダポートバルブその他の回転バルブでよい。回転バルブ12は、中でも、出力軸111の回転に応じて回転する弁棒121と連結された球状の弁体122を有し、弁体122を支える弁座(符号なし)と弁体122との間に柔軟性を有する密閉部材(図示せず)を備えるボールバルブであることが好ましい。回転バルブ12が密閉部材を備えるボールバルブであることにより、流路部分13を閉状態にした場合の回転バルブ12からの流体の漏れを軽減できる。
【0047】
図1に示す例のように、流路開閉装置1の略下方に回転軸Rを中心に回転する回転バルブ12を設置することが好ましい。流路開閉装置1の略下方に回転バルブ12を設置することにより、回転バルブ12から流体が漏れた場合にモータ11が浸水する可能性を減らし得る。これにより、内部への浸水に起因するモータ11の劣化及び/又は故障を防ぎ得る。
【0048】
〔流路部分13〕
流路部分13は、回転バルブ12の回転位置によって開状態又は閉状態になされ、開状態の場合に流体を通過可能に流入口131と流出口132とを接続する流路である。流路部分13は、回転バルブ12の回転位置によって開状態又は閉状態になされる流路であれば特に限定されず、管、パイプ、ホースその他の従来技術の流路でよい。流路部分13の材質は、特に限定されず、金属、樹脂、ゴムその他の流路に用いられる材質でよい。
【0049】
流路部分13を備えることにより、流入口131を給水栓、用水路、水道管その他の給水源と接続し、流出口132を介して屋外管理対象に流体を供給できる。あるいは、流入口131を屋外管理対象に関する排水口、排水路、排水管、排水溝等と接続し、流出口132を介して屋外管理対象から流体を排出させることができる。流体の供給及び/又は流体の排出により、屋外管理対象の水位を制御し得る。
【0050】
〔収容ケース14〕
収容ケース14は、利用者が開閉装置1を使用する際に、モータ11、回転バルブ12及び流路部分13を閉じた空間の内部に収容する。利用者が開閉装置1を使用する際に、モータ11、回転バルブ12及び流路部分13が閉じた空間の内部に収容されるため、利用者は、内部への浸水に起因するモータ11、回転バルブ12及び流路部分13の劣化及び/又は故障を防ぐことができる。
【0051】
収容ケース14は、利用者が開閉装置1を使用する際に、モータ11、回転バルブ12及び流路部分13を閉じた空間の内部に収容可能なケースであれば特に限定されず、樹脂製ケース、金属製ケースその他の従来技術のケースでよい。
【0052】
収容ケース14は、収容ケース14に着脱可能に取り付けられたケース蓋部141を有することが好ましい。ケース蓋部141を有することにより、ケース蓋部141を取り外して、モータ11、回転バルブ12及び/又は流路部分13を保守及び/又は修理し得る。
【0053】
収容ケース14の容積は、モータ11の容積と回転バルブ12の容積と流路部分13の容積との和に対して300%以下であることが好ましく、200%以下であることがさらに好ましく、150%以下であることが最も好ましい。モータ11の容積と回転バルブ12の容積と流路部分13の容積との和に対する収容ケース14の容積の比率について、その上限を上述したように定めているため、流路開閉装置1をより一層小型に構成し、開閉装置1の保守等を行う場合に開閉装置1を移動させる労力を軽減できる。
【0054】
収容ケース14の容積は、モータ11の容積と回転バルブ12の容積と流路部分13の容積との和に対して100%以上であることが好ましく、120%以上であることがさらに好ましく、130%以上であることが最も好ましい。モータ11の容積と回転バルブ12の容積と流路部分13の容積との和に対する収容ケース14の容積の比率について、その下限を上述したように定めているため、収容ケース14内部に空間を確保できる。これにより、保守及び/又は修理の際に、保守及び/又は修理を行う者が収容ケース14に収容されたモータ11、回転バルブ12及び/又は流路部分13に関する作業を行うことが容易となり得る。
【0055】
<第1実施形態に係る流路開閉装置1の使用例>
図2及び
図3を参照しながら、第1実施形態における流路開閉装置1の使用例を説明する。この使用例では、モータ11は、モータ11の回転位置を制御可能な制御部(図示せず)と配線Wを介して電気的に接続されており、回転バルブ12は、球状の弁体122を有するボールバルブである。利用者は、第1実施形態における流路開閉装置1を用いて、屋外管理対象に関する水位を最低水位以上かつ最高水位以下に保つよう、水位を管理する。
【0056】
〔屋外管理対象への設置〕
利用者は、水その他の流体を屋外管理対象に供給可能な位置に流路開閉装置1を設置する。
【0057】
〔給水源への取付け〕
利用者は、流路開閉装置1の流入口131を、水その他の流体を屋外管理対象に供給する給水源(図示せず)に取り付ける。給水源は、流路開閉装置1を介して屋外管理対象に流体を供給可能であれば特に限定されず、給水栓、用水路、水道管その他の給水源でよい。なお、ここでは流路開閉装置1を給水源に取り付ける場合について説明するが、これに限られるものでなく、流路開閉装置1を排水源に取り付けてもよい。
【0058】
〔モータ11を介した流路の開閉〕
利用者は、屋外管理対象の水位に応じてモータ11を回転させ、屋外管理対象の水位を最低水位以上かつ最高水位以下に維持するよう、流路を開閉する。
【0059】
[水位が最低水位未満である場合]
水位が最低水位未満である場合、利用者は、制御部を介してモータ11を回転させ、回転軸Rを中心に回転する出力軸111を介して回転軸Rを中心に回転バルブ12を回転させ、流路部分13を開状態にする。流入口131を介して給水源から供給される水その他の流体は、開状態の流路部分13を通過し、流出口132から屋外管理対象に供給される。利用者は、回転バルブ12を自ら回転させることなく、屋外管理対象に流体を供給できる。そして、水位が最低水位以上に保たれる。
【0060】
図2は、流路部分13が開状態である流路開閉装置1のA-A断面(
図1参照)を示す概略模式図である。モータ11の回転に応じて回転した回転バルブ12の弁体122は、流入口131と流出口132との間に流体が通行可能な流路を形成し、流路部分13を流体が通行可能な開状態にしている。これにより、屋外管理対象に流体が供給され、水位が最低水位以上に保たれる。
【0061】
[水位が最高水位を超えている場合]
水位が最高水位を超えている場合、利用者は、制御部を介してモータ11を回転させ、回転軸Rを中心に回転する出力軸111を介して回転軸Rを中心に回転バルブ12を回転させ、流路部分13を閉状態にする。流入口131を介して給水源から供給される水その他の流体は、閉状態の流路部分13を通過せず、屋外管理対象への流体の供給が止まる。利用者は、回転バルブ12を自ら回転させることなく、屋外管理対象への流体の供給を止めることができる。そして、水位が最高水位以下に保たれる。
【0062】
図3は、流路部分13が閉状態である流路開閉装置1のA-A断面(
図1参照)を示す概略模式図である。
図2に示した流路部分13を開状態とする回転バルブ12の弁体122と異なり、モータ11の回転に応じて回転した回転バルブ12の弁体122は、流入口131と流出口132との間を閉じ、流路部分13を流体が通行できない閉状態にしている。これにより、屋外管理対象に流体が供給されなくなり、水位が最高水位以下に保たれる。
【0063】
[水位が最低水位以上かつ最高水位以下である場合]
利用者は、モータ11を回転させず、回転バルブ12の回転位置を変化させない。回転位置によって流路部分13を開状態又は閉状態にする回転バルブ12を用いるため、回転バルブ12の回転位置を変化させない場合に、モータ11が回転し、電力を消費することがない。
【0064】
第1実施形態の流路開閉装置1によれば、モータ11によって回転バルブ12を回転させて回転位置を変更し、流路を開閉できる。これにより、水位を所望の範囲内に保つよう制御する労力を軽減できる。利用者が装置を使用する際に、モータ11、回転バルブ12及び流路部分13が閉じた空間の内部に収容されるため、利用者は、内部への浸水に起因するモータ11、回転バルブ12及び流路部分13の劣化及び/又は故障を防ぐことができる。
【0065】
回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブ12は、回転によって弁体を上下移動させるバルブ等より小型に構成可能であるため、流路開閉装置1をそれらのバルブを用いた装置より小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力を軽減し得る。モータ11は、回転バルブ12の回転位置を変更する間にのみ駆動され、電力を消費する。すなわち、回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブ12を回転させるモータ11は、通電によって開状態又は閉状態を維持する電磁バルブ等と異なり、流路部分13を開状態及び/又は閉状態に維持する間に電力を消費しない。したがって、電力消費に伴うモータ11の劣化及び/又は故障が軽減され得る。したがって、モータ11の劣化及び/又は故障に関する保守等の労力が軽減され得る。
【0066】
第1実施形態の流路開閉装置1では、モータ11の出力軸111の回転軸(第1回転軸)と回転バルブ12の回転軸(第2回転軸)とが同一であり、これら第1及び第2の回転軸が異なる場合とは違い、第1の回転軸から第2の回転軸へ動力を伝達する機構を設ける必要がない。これにより、装置をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力を軽減し得る。
【0067】
<<第2実施形態>> 所望の範囲内に水位を維持する流路自動開閉装置A
第2実施形態の流路自動開閉装置Aは、水位の測定結果に応じて回転バルブ12の開閉状態を制御し、屋外管理対象に関する水位を所望の範囲内に維持する。
図4及び
図5を参照しながら、第2実施形態に係る流路自動開閉装置Aについて説明する。
【0068】
図4は、第2実施形態の流路自動開閉装置Aを含む流路開閉システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5は、流路自動開閉装置Aを水平方向から見た場合における流路自動開閉装置Aの内部構造を説明する概略模式図である。
【0069】
<流路開閉システムS>
流路開閉システムSは、少なくとも、流路自動開閉装置Aを含んで構成される。必須の態様ではないが、流路開閉システムSは、外部端末Cと、流路自動開閉装置A及び外部端末Cを通信可能に接続するネットワークNとを含んで構成されることが好ましい。これにより、外部端末Cに水位の測定結果を送信すること及び/又は外部端末Cから回転バルブ12の開閉を指令する開閉指令情報を受信することができる。必須の態様ではないが、流路開閉システムSは、給水源と接続され、流路自動開閉装置Aを介して屋外管理対象に水その他の流体を供給する本流路3を含むことが好ましい。
【0070】
〔流路自動開閉装置A〕
流路自動開閉装置A(以下、自動開閉装置Aとも称する)は、少なくとも、流路開閉装置1と、水位測定装置2とを含んで構成される。
【0071】
[流路開閉装置1]
第2実施形態の流路開閉装置1は、第1実施形態の流路開閉装置1と同じであり、少なくとも、モータ11と、回転バルブ12と、流路部分13と、収容ケース14とを含んで構成される。
【0072】
第2実施形態の流路開閉装置1は、流路開閉装置1と水位測定装置2とを電気的に接続する配線Wを含むことが好ましい。配線Wを含むことにより、流路開閉装置1と水位測定装置2とを電気的に接続できる。これにより、水位測定装置2は、配線Wを介して流路開閉装置1のモータ11を制御できる。
【0073】
第2実施形態のモータ11は、水位測定装置2から受信した制御信号に応じて出力軸111の回転位置を制御可能であるモータであることが好ましい。モータ11が水位測定装置2から受信した制御信号に応じて出力軸111の回転位置を制御可能であるモータであることにより、水位測定装置2は、配線Wを介してモータ11へ制御信号を送信し、モータ11の回転位置を制御できる。流路開閉装置1が配線Wを含む場合、モータ11は、配線Wを介して水位測定装置2から受信した制御信号に応じて出力軸111の回転位置を制御可能であるモータであることが好ましい。モータ11が配線Wを介して水位測定装置2から受信した制御信号に応じて出力軸111の回転位置を制御可能であるモータであることにより、流路開閉装置1は、制御信号を受信する無線受信設備等を含むことなく、水位測定装置2から受信した制御信号に応じて出力軸111の回転位置を制御できる。
【0074】
[水位測定装置2]
水位測定装置2は、少なくとも、高さ1m以上の柱状箱体21と、柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の下方に設けられる水位測定センサ22と、柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の上方に設けられる制御部23、記憶部24、通信部25、信号部26及び電源部(図示せず)を含んで構成される。
【0075】
水位測定装置2は、流路開閉装置1と別体に構成されていてもよく、流路開閉装置1と一体に構成されていてもよいが、流路開閉装置1と別体に構成されることが好ましい。水位測定装置2が流路開閉装置1と別体に構成されることにより、利用者は、流路開閉装置1又は水位測定装置2のいずれかに関する保守及び/又は修理が必要となった場合に、これらの装置のうち保守及び/又は修理を必要とする装置のみを移動させて保守及び/又は修理し得る。したがって、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0076】
(柱状箱体21)
柱状箱体21は、水位測定センサ22、制御部23、記憶部24、通信部25及び信号部26を収容可能に構成される。
【0077】
柱状箱体21の形状は、柱状であれば特に限定されず、円筒状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0078】
柱状箱体21の材質は、特に限定されず、樹脂、金属、ゴム、セラミックその他の従来技術の材質でよい。柱状箱体21の材質は、中でも、樹脂であることが好ましい。柱状箱体21の材質が樹脂であることにより、柱状箱体21を軽量に構成できる。これにより、保守及び/又は修理の場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0079】
柱状箱体21の高さの下限は、1m以上であり、1.2m以上であることが好ましく、1.4m以上であることがより好ましい。柱状箱体21の高さの下限を上述のように定めることにより、重力方向の上方に設けられる制御部23、記憶部24、通信部25、信号部26及び電源部について、水位測定装置の内部への浸水に起因する劣化及び/又は故障をより一層防げる。
【0080】
柱状箱体21の高さの上限は、特に限定されるものでないが、3m以下であることが好ましく、2.5m以下であることがより好ましく、2m以下であることがさらに好ましい。柱状箱体21の高さの上限を上述のように定めることにより、保守及び/又は修理の場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0081】
必須の態様ではないが、柱状箱体21は、互いに着脱可能な複数の部材によって構成されることが好ましい。例えば、
図5に記載のように、柱状箱体21は、重力方向上方の本体に相当する筒状の第1筒状部材211と、下方の本体に相当する筒状の第2筒状部材212と、第1筒状部材211の上端に対して着脱可能な箱体蓋部213と、第1筒状部材211又は第2筒状部材212の内部空間に取り付け可能であり、柱状箱体21の内部空間を上側空間21Aと下側空間21Bとに画定可能な仕切り部214と、第1筒状部材211の下端に対して取り付け可能であり、柱状箱体21を支持する土台部215を有することが好ましい。
【0082】
柱状箱体21が第1筒状部材211と第2筒状部材212とを互いに装着可能に構成されることで、管理者は、装置の保守等を行う場合に第1筒状部材211又は第2筒状部材212のいずれか一方のみを取り外して移動させることができる。これにより、保守及び/又は修理の場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0083】
柱状箱体21が箱体蓋部213を備えることで、使用の際に、雨その他の気象現象により、柱状箱体21の内部空間に雨水が浸水し、内部空間に収容される制御部23、記憶部24、通信部25、及び/又は信号部26等の部材が劣化及び/又は故障することを防ぐことができる。また、これらの部材の保守及び/又は修理を容易に行い得る。
【0084】
柱状箱体21が仕切り部214を備えることで、柱状箱体21の内部空間を上側空間21Aと下側空間21Bとに画定することができ、制御部23、記憶部24、通信部25及び信号部26を上側空間21Aに配置することができる。制御部23、記憶部24、通信部25及び信号部26は、できるだけ上方に配置されることが好ましいため、仕切り部214の位置は、制御部23、記憶部24、通信部25及び信号部26を上側空間21Aに配置可能な範囲内で、第1筒状部材211の上方に相当する位置に配置することが好ましい。制御部23と、記憶部24と、通信部25と、信号部26とは、重力方向に対して仕切り部214の略上方に配置されることにより、水位測定装置2の一部が浸水した場合に制御部23、記憶部24、通信部25、及び/又は信号部26が浸水して劣化及び/又は故障する可能性を減らし得る。
【0085】
柱状箱体21が土台部215を備えることで、柱状箱体21を地面その他の場所に固定できる。また、土台部215は、第2筒状部材212の下端と着脱可能に構成されることが好ましい。これにより、保守及び/又は修理の場合に柱状箱体21のみを取り外して移動させることができる。これにより、保守及び/又は修理の場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0086】
(水位測定センサ22)
水位測定センサ22は、屋外管理対象に関する水位を測定するセンサである。水位測定センサ22は、屋外管理対象に関する水位を測定するセンサであれば特に限定されず、電波式水位計、超音波式水位計、光波式水位計その他の非接触式水位センサ、及び/又は、フロート式水位計、デジタル式水位計、静電容量式水位計その他の接触式水位センサ等によって例示される従来技術の各種の水位センサでよい。水位測定センサ22は、中でも、静電容量式水位計であることが好ましい。水位測定センサ22が可動部を持たない静電容量式水位計であることにより、可動部の劣化及び/又は故障に起因する水位測定センサ22の劣化及び/又は故障を防げる。したがって、水位測定センサ22に関する保守及び/又は修理に関する労力を軽減できる。
【0087】
水位測定センサ22は、柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の下方に設けられることが好ましい。水位測定センサ22が柱状箱体21の内部に収容されることにより、風その他の気象現象が水位の測定結果に与える影響を軽減し得る。水位測定センサ22が重力方向の下方に設けられることにより、測定対象である水と水位測定センサ22との距離を小さくし、距離による測定結果の誤差を軽減し得る。
【0088】
(制御部23)
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0089】
制御部23は、所定のプログラムを読み込み、必要に応じて記憶部24、通信部25、水位測定センサ22、及び/又は信号部26と協働することで、水位測定装置2におけるソフトウェア構成の要素である、開閉状態指令部231等を実現する。
【0090】
制御部23は、柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の上方に設けられることが好ましい。制御部23が柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の上方に設けられているため、流路開閉装置1の内部への浸水に起因するモータ11の劣化及び/又は故障を防ぐだけでなく、水位測定装置2の内部への浸水に起因する制御部23の劣化及び/又は故障をも防げる。
【0091】
(記憶部24)
記憶部24は、データやファイルが記憶される装置であって、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等による、データのストレージ部を有する。記憶部24は、ネットワークを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0092】
記憶部24には、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、回転バルブ12が開状態であるか否かを格納する開状態フラグ、屋外管理対象に関する最低水位、屋外管理対象に関する最高水位等が記憶されている。開状態フラグが記憶されていることにより、自動開閉装置Aは、回転バルブ12の開閉状態に応じて回転バルブ12を制御できる。最低水位及び最高水位が記憶されていることにより、自動開閉装置Aは、最低水位と最高水位によって定義される所望の範囲内に水位を維持できる。
【0093】
記憶部24は、柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の上方に設けられることが好ましい。記憶部24が柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の上方に設けられているため、流路開閉装置1の内部への浸水に起因するモータ11の劣化及び/又は故障を防ぐだけでなく、水位測定装置2の内部への浸水に起因する記憶部24の劣化及び/又は故障をも防げる。
【0094】
(通信部25)
通信部25は、水位測定センサ22による測定結果を外部端末Cに送信可能であり、回転バルブ12の開閉を指令する開閉指令情報を外部端末Cから受信可能であるデバイス、例えば、特定小電力無線局用の無線設備、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth規格に準拠したデバイス、イーサネット規格に対応したネットワークカード、USB規格に準拠した汎用バス等のバス、RS-232C規格ポートなどのシリアルポート、IEEE 1284準拠のインタフェースなどのパラレルポート、シリアルATA規格に準拠したコネクタ等を有する。通信部25を有することにより、外部端末Cで水位に関する測定結果を受信し、外部端末Cから回転バルブ12の開閉状態を指令できる。
【0095】
中でも、通信部25は、特定小電力無線局用の無線設備を含むことが好ましい。通信部25が長距離通信を行うことができる特定小電力無線局用の無線設備を含むことにより、外部端末Cと流路自動開閉装置Aとの間の距離が離れていても、管理者は、流路自動開閉装置Aの近くへ移動することなく、測定結果を受信し、開閉状態を指令できる。したがって、水位を所望の範囲内に保つよう装置を制御する管理に要する労力をより一層軽減できる。通信部25が低消費電力である特定小電力無線局用の無線設備を含むことにより、乾電池を用いて通信部25を駆動可能である。したがって、駆動電源に乾電池を用いて水位測定装置2をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0096】
通信部25は、柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の上方に設けられることが好ましい。通信部25が柱状箱体21の内部に収容され、重力方向の上方に設けられているため、流路開閉装置1の内部への浸水に起因するモータ11の劣化及び/又は故障を防ぐだけでなく、水位測定装置2の内部への浸水に起因する通信部25の劣化及び/又は故障をも防げる。
【0097】
(信号部26)
信号部26は、モータ11の回転位置を制御する制御信号をモータ11に送信し、モータ11の回転位置を制御する。信号部26は、モータ11の回転位置を制御する制御信号をモータ11に送信可能であれば特に限定されず、サーボアンプその他のモータ11の回転位置を制御する制御信号をモータ11に送信する従来技術の信号部でよい。信号部26は、配線Wを介してモータ11に制御信号を送信してもよく、Bluetooth規格その他の無線通信規格に準じた無線通信を用いてモータ11に制御信号を送信してもよい。信号部26がモータ11の回転位置を制御する制御信号をモータ11に送信可能であることにより、水位測定装置2は、制御信号を介してモータ11の回転位置を制御できる。
【0098】
制御信号は、モータ11の回転位置を制御する制御信号であれば特に限定されず、所定時間内に送信されたパルス数によってモータ11の回転位置を制御する制御信号、パルス長によってモータ11の回転位置を制御する制御信号その他のモータ11の回転位置を制御する従来技術の制御信号でよい。制御信号は、モータ11の出力軸111を回転バルブ12が開状態となる位置に回転させ、流路部分13を開状態にする開状態位置信号と、モータ11の出力軸111を回転バルブ12が閉状態となる位置に回転させ、流路部分13を閉状態にする閉状態位置信号とを含む。
【0099】
必須の態様ではないが、信号部26は、配線Wを介してモータ11を駆動する電力をモータ11に供給可能に構成されていてもよい。信号部26が配線Wを介してモータ11を駆動する電力をモータ11に供給可能に構成されることにより、モータ11を駆動する駆動電源を含まない、より小型の流路開閉装置1を構成できる。これにより、保守及び/又は修理の場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0100】
(電源部)
電源部は、水位測定装置2の内部に収容される電子部品、例えば、水位測定センサ22と、制御部23と、記憶部24と、通信部25と、信号部26とを駆動する駆動電源である。電源部の種類は、特に限定されず、乾電池、太陽電池、商用電源を用いる電源装置その他の従来技術の駆動電源でよい。中でも、電源部は、乾電池であることが好ましい。電源部が乾電池であることにより、太陽電池その他の発電設備及び/又は商用電源を用いる電源装置等を用いて電源部を構成した場合より電源部を小型化でき、保守及び/又は修理に要する労力を軽減し得る。
【0101】
〔本流路3〕
本流路3は、給水源及び/又は屋外管理対象と接続され、流路開閉装置1に水その他の流体を供給する流路であれば特に限定されず、給水栓の本流路又は支流路、用水路、水道管、排水路、排水管、排水溝その他の従来技術の各種の流路でよい。本流路3は、流路開閉装置1の流入口と接続可能に構成された第1本流路31と、流路開閉装置1の流出口と接続可能に構成された第2本流路32とを含むことが好ましい。第1本流路31及び第2本流路32を含む本流路3を含むことにより、流路開閉装置1及び流路自動開閉装置Aによって屋外管理対象の水位を制御できる。
【0102】
〔ネットワークN〕
ネットワークNは、水位測定装置2と外部端末Cとを通信可能に接続する。ネットワークNの種類は、水位測定装置2と外部端末Cとを通行可能に接続するネットワークであれば特に限定されず、例えば、特定小電力無線局を用いた無線ネットワーク、Wi-Fiネットワーク、Bluetooth規格に準拠した無線ネットワーク、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)に準拠したバスネットワーク、シリアルATA規格に準拠したバスネットワーク、あるいはこれらを含むネットワークを複数組み合わせたネットワーク等が挙げられる。ネットワークNは、中でも、特定小電力無線局を用いた無線ネットワークを含むことが好ましい。ネットワークNが長距離通信を行うことができる特定小電力無線局を用いた無線ネットワークを含むことにより、外部端末Cと流路自動開閉装置Aとの間の距離が離れていても、管理者は、流路自動開閉装置Aの近くへ移動することなく、測定結果を受信し、開閉状態を指令できる。したがって、水位を所望の範囲内に保つよう装置を制御する管理に要する労力をより一層軽減できる。
【0103】
〔外部端末C〕
外部端末Cは、ネットワークNを介して水位測定装置2から水位の測定結果を受信可能、かつ、ネットワークNを介して水位測定装置2に回転バルブ12の開閉を指令する開閉指令情報を送信可能に構成された端末であれば特に限定されず、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の従来技術の各種端末でよい。外部端末Cは、中でも、携帯が容易であるスマートフォンであることが好ましい。外部端末Cがスマートフォンであることにより、管理者は、外部端末Cを移動させることに費やす労力を軽減し得る。
【0104】
〔水位測定装置2で実行される水位制御処理のメインフローチャート〕
図6は、水位測定装置2が実行する水位制御処理の一例を示すフローチャートである。以下では、
図6を参照しながら、水位測定装置2が行う水位制御処理の好ましい手順について説明する。
【0105】
[ステップS1:水位の測定結果を取得]
制御部23は、記憶部24及び水位測定センサ22と協働して開閉状態指令部231を実行し、水位測定センサ22が測定した水位の測定結果を取得する(ステップS1)。制御部23は、処理をステップS2に移す。水位の測定結果を取得することにより、水位の測定結果に基づいた水位制御処理を行える。
【0106】
必須の態様ではないが、制御部23は、記憶部24及び通信部25と協働して水位情報送信部(図示せず)を実行し、水位測定センサ22による測定結果を、外部端末Cに送信してもよい。
【0107】
必須の態様ではないが、制御部23は、記憶部24、通信部25及び信号部26と協働して開閉指令情報受信部(図示せず)を実行して、外部端末Cから回転バルブ12の開閉を指令する開閉指令情報を受信し、受信した開閉指令情報に応じて開状態位置信号又は閉状態位置信号をモータ11に送信してもよい。制御部23が水位情報送信部及び開閉指令情報受信部を実行することにより、流路自動開閉装置Aの管理者は、外部端末Cで水位に関する測定結果を受信し、外部端末Cから回転バルブ12の開閉状態を指令できる。
【0108】
制御部23が水位情報送信部及び開閉指令情報受信部を実行する場合、通信部25は、特定小電力無線局用の無線設備を含むことが好ましい。特定小電力無線通信は、長距離通信を行うことができるため、外部端末Cと流路自動開閉装置Aとの間の距離が離れていても、管理者は、流路自動開閉装置Aの近くへ移動することなく、測定結果を受信し、開閉状態を指令できる。したがって、水位を所望の範囲内に保つよう装置を制御する管理に要する労力をより一層軽減できる。
【0109】
[ステップS2:水位が最低水位未満であるか否かを判定]
制御部23は、記憶部24と協働して開閉状態指令部231を実行し、ステップS1で取得された水位の測定結果が記憶部24に記憶された最低水位未満であるか否かを判定する(ステップS2)。水位の測定結果が最低水位未満であれば、制御部23は、処理をステップS3に移す。水位の測定結果が最低水位未満でないならば、制御部23は、処理をステップS5に移す。水位の測定結果が最低水位未満であるか否かを判定することにより、水位の測定結果が最低水位未満である場合に回転バルブ12を開状態にするようモータ11を制御できる。
【0110】
[ステップS3:回転バルブが開状態であるか否かを判定]
制御部23は、記憶部24と協働して開閉状態指令部231を実行し、回転バルブ12が開状態であるか否かを判定する(ステップS3)。回転バルブ12が開状態であれば、制御部23は、処理をステップS5に移す。回転バルブ12が開状態でないならば、制御部23は、処理をステップS4に移す。回転バルブ12が開状態であるか否かを判定することにより、回転バルブ12が開状態である場合に、モータ11に開状態位置信号を繰り返し送信することを防げる。
【0111】
[ステップS4:モータに開状態位置信号を送信]
制御部23は、記憶部24及び信号部26と協働して開閉状態指令部231を実行し、モータ11に開状態位置信号を送信する(ステップS4)。制御部23は、処理をステップS5に移す。モータ11に開状態位置信号を送信することにより、モータ11の出力軸を回転バルブ12が開状態となる位置に回転させ、流路部分13を開状態にし、屋外管理対象に水その他の流体を供給できる。
【0112】
[ステップS5:水位が最高水位を超えている否かを判定]
制御部23は、記憶部24と協働して開閉状態指令部231を実行し、ステップS1で取得された水位の測定結果が記憶部24に記憶された最高水位を超えている否かを判定する(ステップS5)。水位の測定結果が最高水位を超えているのであれば、制御部23は、処理をステップS6に移す。水位の測定結果が最高水位を超えていないならば、制御部23は、処理をステップS8に移す。水位の測定結果が最高水位を超えているか否かを判定することにより、水位の測定結果が最高水位を超えている場合に回転バルブ12を閉状態にするようモータ11を制御できる。
【0113】
[ステップS6:回転バルブが閉状態であるか否かを判定]
制御部23は、記憶部24と協働して開閉状態指令部231を実行し、回転バルブ12が閉状態であるか否かを判定する(ステップS6)。回転バルブ12が閉状態であれば、制御部23は、処理をステップS8に移す。回転バルブ12が閉状態でないならば、制御部23は、処理をステップS7に移す。回転バルブ12が閉状態であるか否かを判定することにより、回転バルブ12が閉状態である場合に、モータ11に閉状態位置信号を繰り返し送信することを防げる。
【0114】
[ステップS7:モータに閉状態位置信号を送信]
制御部23は、記憶部24及び信号部26と協働して開閉状態指令部231を実行し、モータ11に閉状態位置信号を送信する(ステップS7)。制御部23は、処理をステップS8に移す。モータ11に閉状態位置信号を送信することにより、モータ11の出力軸を回転バルブ12が閉状態となる位置に回転させ、流路部分13を閉状態にし、屋外管理対象への水その他の流体の供給を停止できる。
【0115】
[ステップS8:所定時間待機]
制御部23は、記憶部24と協働して開閉状態指令部231を実行し、所定時間待機する(ステップS8)。制御部23は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS8の処理を繰り返す。所定時間待機することにより、制御部23の消費電力を軽減できる。
【0116】
<第2実施形態に係る流路自動開閉装置Aの使用例>
図5に戻り、第2実施形態における流路自動開閉装置Aの使用例を説明する。この使用例では、モータ11は、モータ11の回転位置を制御可能な制御部23と配線Wを介して電気的に接続されており、回転バルブ12は、球状の弁体122を有するボールバルブである。また、この使用例では、流路自動開閉装置Aは、ネットワークNを介して外部端末Cと通信可能に構成され、制御部23は、記憶部24及び通信部25と協働して、水位情報送信部及び開閉指令情報受信部を実行するよう構成されている。
【0117】
〔屋外管理対象への設置〕
利用者は、水その他の流体を屋外管理対象に供給可能な位置に流路開閉装置1を設置し、屋外管理対象の水位を測定可能な位置に水位測定装置2を設置する。
図5に示す例では、水Lを有する屋外管理対象に水を供給可能な位置に流路開閉装置1と水位測定装置2とが設置されている。
【0118】
〔給水源への取付け〕
利用者は、流路開閉装置1の流入口131を、流体を供給する給水源に取り付ける。
図2に示す例では、給水源と接続された本流路3の第1本流路31に流路開閉装置1の流入口131を取付け、屋外管理対象に水その他の流体を供給可能な第2本流路32に流出口132を取り付けている。
【0119】
〔水位の測定〕
制御部23は、開閉状態指令部231を実行し、水位測定センサ22が測定した水位の測定結果を取得する。制御部23は、水位情報送信部を実行し、水位の測定結果を外部端末Cへ送信する。
【0120】
[(A):水位が最低水位未満であり、かつ、回転バルブ12が開状態でない場合]
水位が最低水位未満であり、かつ、回転バルブ12が開状態でない場合、制御部23は、開閉状態指令部231を実行し、信号部26を介してモータ11を回転させ、出力軸を介して回転バルブ12を回転させ、流路部分13を開状態にする。流入口を介して給水源から供給される水その他の流体は、開状態の流路部分13を通過し、流出口から第2本流路32に戻され、屋外管理対象に供給される。利用者は、水位を自ら測定することなく、また、回転バルブ12を自ら回転させることなく、屋外管理対象に流体を供給できる。そして、水位が最低水位以上に保たれる。
【0121】
[(B):水位が最高水位を超えており、かつ、回転バルブ12が閉状態でない場合]
水位が最高水位を超えており、かつ、回転バルブ12が閉状態でない場合、制御部23は、開閉状態指令部231を実行し、信号部26を介してモータ11を回転させ、出力軸を介して回転バルブ12を回転させ、流路部分13を閉状態にする。流入口を介して給水源から供給される水その他の流体は、閉状態の流路部分13を通過せず、屋外管理対象への流体の供給が止まる。利用者は、水位を自ら測定することなく、また、回転バルブ12を自ら回転させることなく、屋外管理対象への流体の供給を止めることができる。そして、水位が最高水位以下に保たれる。
【0122】
[(C):(A)(B)のいずれにも該当しない場合]
上述の(A)(B)のいずれにも該当しない場合、制御部23は、モータ11を回転させる制御信号を送信しない。すなわち、水位が最低水位以上最高水位以下である場合、又は、回転バルブ12の開閉状態が適切に設定されている場合のいずれかの場合、すなわち回転バルブ12の開閉が必要でない場合に、モータ11が回転することがない。回転バルブ12の開閉状態を変更しない場合にモータ11が電力を消費しないため、駆動電源に乾電池を用いて流路開閉装置1及び/又は水位測定装置2をより一層小型に構成できる。したがって、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0123】
〔開閉指令情報の送信〕
管理者は、回転バルブ12の開閉を指令する開閉指令情報を外部端末Cから流路自動開閉装置Aへ送信する。制御部23は、開閉指令情報受信部を実行し、外部端末Cから開閉指令情報を受信し、受信した開閉指令情報に応じてモータ11の回転位置を変更し、回転バルブ12を回転させて、流路部分13を開閉する。
【0124】
流路自動開閉装置Aの管理者は、回転バルブ12の開閉状態を逐一指令する労力を費やすことなく、水位の測定結果に応じて回転バルブ12を開閉できる。したがって、該装置の管理者は、水位を所望の範囲内に保つよう該装置を制御する管理に要する労力を軽減できる。第2実施形態の流路自動開閉装置Aによれば、柱状箱体21の重力方向の上方に制御部23が収容されているため、流路開閉装置1の内部への浸水に起因するモータ11の劣化及び/又は故障を防ぐだけでなく、水位測定装置2の内部への浸水に起因する制御部23の劣化及び/又は故障をも防げる。
【0125】
したがって、第2実施形態の流路自動開閉装置Aによれば、内部への浸水に起因するモータ11の劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路自動開閉装置Aを提供できる。
【0126】
第2実施形態の流路自動開閉装置Aによれば、流路自動開閉装置Aの管理者は、外部端末Cで水位に関する測定結果を受信し、外部端末Cから回転バルブ12の開閉状態を指令できる。通信部25が特定小電力無線を用いる場合、特定小電力無線通信は、長距離通信を行うことができるため、外部端末Cと流路自動開閉装置Aとの間の距離が離れていても、管理者は、流路自動開閉装置Aの近くへ移動することなく、測定結果を受信し、開閉状態を指令できる。したがって、水位を所望の範囲内に保つよう装置を制御する管理に要する労力をより一層軽減できる。
【0127】
流路開閉装置1に関し、モータ11は、回転バルブ12の回転位置を変更する間にのみ駆動され、電力を消費する。すなわち、回転位置によって流路を開閉可能な回転バルブ12を回転させるモータ11は、通電によって開状態又は閉状態を維持する電磁バルブ等と異なり、流路部分13を開状態及び/又は閉状態に維持する間に電力を消費しない。したがって、駆動電源に乾電池を用いて流路開閉装置1をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0128】
水位測定装置2に関し、通信部25が特定小電力無線を用いる場合、特定小電力無線通信は、低消費電力であるため、乾電池を用いて駆動可能である。したがって、駆動電源に乾電池を用いて水位測定装置2をより一層小型に構成し、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0129】
したがって、第2実施形態の流路自動開閉装置Aによれば、内部への浸水に起因するモータ11の劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能な流路自動開閉装置Aを提供できる。
【0130】
なお、第2実施形態では、給水又は排水に係る開閉を遠隔操作にて実行可能な流路自動開閉装置Aについて説明している。遠隔操作は、スマートフォンやタブレット端末等を用いて遠隔地からサーバーを介して水位データを計測しての開閉操作のほか、カレンダー機能を利用し、開閉を行う時期及び開閉を行わない時期を指定するプログラムによる開閉操作も含み得る。
【0131】
<<第3実施形態>> 流路開閉装置1の小型化を可能とする流路開閉システムS
第3実施形態の流路開閉システムSは、本流路3が本流路3から分岐する支流路を備え、この支流路が本流路3を直接開閉可能なバルブより小型の回転バルブによって開閉可能であり、この支流路を開閉可能であるよう流路開閉装置1を含む装置を構成することで、流路開閉装置1の小型化を可能とする。
【0132】
図7及び
図8は、第3実施形態に係る流路開閉システムSを水平方向から見た場合における流路開閉システムSの内部構造を説明する概略模式図である。特に、
図7は、流路部分が閉状態である場合の概略模式図であり、
図8は、流路部分が開状態である場合の概略模式図である。以下、
図7及び
図8を用いて、第3実施形態の流路開閉システムSを説明する。
【0133】
<流路開閉システムS>
第3実施形態の流路開閉システムSは、少なくとも、流路開閉装置1、本流路3、及び本流路給水栓4を含んで構成される。必須の態様ではないが、第3実施形態の流路開閉システムSは、流路開閉装置1を有する流路自動開閉装置Aを含んで構成されてもよい。流路開閉システムSが流路開閉装置1を有する流路自動開閉装置Aを含んで構成されることにより、管理者は、水位を所望の範囲内に保つよう流路開閉装置1を制御する管理に要する労力を軽減できる。以下、流路開閉システムSは、流路開閉装置1を有する流路自動開閉装置Aを含んで構成されているものとして説明する。
【0134】
〔流路自動開閉装置A〕
第3実施形態の流路自動開閉装置Aは、第2実施形態の流路自動開閉装置Aと同様の構成を有する。
【0135】
[流路開閉装置1]
第3実施形態の流路開閉装置1は、第1実施形態の流路開閉装置1と同様の構成を有する。モータ、回転バルブ及び流路部分によって給水源から供給される水その他の流体の流路(本流路3)を直接開閉する第1実施形態の流路開閉装置1と異なり、第3実施形態の流路開閉装置1が含むモータ、回転バルブ及び/又は流路部分は、後述する支流路を開閉可能であればよい。これにより、支流路が本流路3より小型であれば、本流路3を直接開閉する流路開閉装置1より小型の流路開閉装置1を構成できる。
【0136】
[水位測定装置2]
第3実施形態の水位測定装置2は、第2実施形態の水位測定装置2と同様のハードウェア構成を有する。第3実施形態の水位測定装置2のソフトウェア構成に関し、第2実施形態の水位測定装置2は、水位が最低水位未満である場合に回転バルブを開状態にし、水位が最高水位を超えている場合に回転バルブを閉状態にするよう流路開閉装置1を制御したが、第3実施形態の水位測定装置2は、水位が最低水位未満である場合に回転バルブを閉状態にし、水位が最高水位を超えている場合に回転バルブを開状態にするよう流路開閉装置1を制御する。
【0137】
〔本流路3〕
第3実施形態の本流路3は、給水源及び/又は屋外管理対象と接続され、流路開閉装置1に水その他の流体を供給する流路であれば特に限定されず、給水栓の本流路、用水路、水道管、排水路、排水管、排水溝その他の従来技術の各種の流路でよい。本流路3は、入口流路41と接続可能に構成された第1本流路31と、出口流路42と接続可能に構成された第2本流路32を含むことが好ましい。第1本流路31及び第2本流路32を含む本流路3を含むことにより、流路開閉装置1によって屋外管理対象の水位を制御できる。
【0138】
〔本流路給水栓4〕
本流路給水栓4は、本流路3を開閉可能な給水栓であり、少なくとも、本流路3から供給される水その他の流体が入る入口流路41、本流路3に水その他の流体を戻す出口流路42、入口流路41と出口流路42との間に設けられた開口部43、開口部43を開閉可能な止水弁44、本流路3から分岐する支流路45、止水弁44の略真上に設けられ、水その他の流体が支流路45から流入する圧力室46、圧力室46の略下方かつ止水弁44の略真上に設けられ、支流路45から流入する水その他の流体からの力を受けるダイヤフラム47、を含んで構成される。
【0139】
[入口流路41]
入口流路41は、本流路3から供給される水その他の流体が入る流路であれば特に限定されず、従来技術の各種の流路でよい。入口流路41は、開口部43を介して出口流路42と接続されている。入口流路41に入った流体の一部は、支流路45へ供給される。入口流路41を含むことにより、本流路3から供給される水その他の流体を本流路給水栓4に入れることができる。
【0140】
図7に示す例では、入口流路41は、本流路3から供給される水その他の流体が入るよう、本流路3の第1本流路31と接続されている。
【0141】
[出口流路42]
出口流路42は、開口部43を介して入口流路41と接続され、本流路3に水その他の流体を戻す流路であれば特に限定されず、従来技術の各種の流路でよい。出口流路42は、開口部43を介して入口流路41と接続されている。出口流路42を含むことにより、本流路3に水その他の流体を戻すことができる。
【0142】
図7に示す例では、出口流路42は、開口部43を介して入口流路41と接続され、第2本流路32に水その他の流体を戻すよう構成されている。
【0143】
[開口部43]
開口部43は、入口流路41と出口流路42との間に設けられ、入口流路41から供給される水その他の流体を出口流路42に供給する開口部であり、止水弁44によって開閉可能に構成されている。開口部43を含むことにより、入口流路41から供給される水その他の流体を出口流路42に供給できる。
【0144】
開口部43は、入口流路41の略真上にあることが好ましい。開口部43が入口流路41の略真上にあることにより、止水弁44は、ダイヤフラム47を介して加えられる力だけでなく、止水弁44の重さによっても開口部43を閉じることができる。
【0145】
図7に示す例では、開口部43は、入口流路41の略真上に構成され、止水弁44によって出口流路42との間を閉じられている。
【0146】
[止水弁44]
止水弁44は、開口部43を開閉可能な弁である。止水弁44は、ダイヤフラム47からの力に応じて開口部43を開閉可能な弁であれば特に限定されず、従来技術の各種の弁でよい。止水弁44は、開口部43を開閉可能な止水弁体441、開口部43に設けられ、止水弁体441を受け止める止水弁座442、止水弁体441及びダイヤフラム47と接続され、ダイヤフラム47に加えられた力を止水弁体441に伝える止水弁軸443を含むことが好ましい。止水弁44を含むことにより、本流路給水栓4は、本流路3を開閉できる。
【0147】
図7に示す例では、止水弁44は、開口部43を開閉可能な止水弁体441、開口部43に設けられ、止水弁体441を受け止める止水弁座442、止水弁体441及びダイヤフラム47と接続され、ダイヤフラム47に加えられた力を止水弁体441に伝える止水弁軸443を含み、開口部43を閉じている。
【0148】
[支流路45]
支流路45は、本流路3から分岐し、流路開閉装置1によって開閉可能な支流路である。支流路45は、本流路3から分岐し、流路開閉装置1によって開閉可能な支流路であれば特に限定されず、従来技術の各種の流路でよい。支流路45は、流路開閉装置1が開状態の場合に、圧力室46及びダイヤフラム47の略真上に水その他の流体を供給するよう構成される。支流路45を含むことにより、圧力室46に水その他の流体を供給し、ダイヤフラム47に水その他の流体からの力を加えられる。
【0149】
支流路45の断面積は、本流路3の断面積より小さいことが好ましい。より詳細には、本流路3の断面積に対する支流路45の断面積の比率は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが最も好ましい。本流路3の断面積に対する支流路45の断面積の比率について、その上限を上述のように定めることにより、本流路3を開閉する場合に要するモータの出力より小さい出力のモータで支流路45を開閉するよう流路開閉システムSを構成し得る。出力が小さい小型のモータで本流路3を開閉できるため、流路開閉装置1をより一層小型化し得る。
【0150】
本流路3の断面積に対する支流路45の断面積の比率は、1%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、5%以上であることが最も好ましい。本流路3の断面積に対する支流路45の断面積の比率について、その下限を上述のように定めることにより、ダイヤフラム47を介して止水弁44を開閉するために十分な量の流体を圧力室46に供給できる。
【0151】
図7に示す例では、支流路45は、入口流路41及び支流路入口451を介して本流路3から分岐し、流入口接続部452を介して流路開閉装置1に水その他の流体を供給し、流出口接続部453を介して流路開閉装置1から水その他の流体を供給され、圧力室46及びダイヤフラム47の略真上に配置された支流路出口454から水その他の流体を供給するよう構成されている。
【0152】
[圧力室46]
圧力室46は、止水弁44の略真上に設けられ、水その他の流体が支流路45から流入するよう構成された容器である。圧力室46は、支流路45から流入する水その他の流体を貯留し、貯留された流体からの力をダイヤフラム47に加えるよう構成されている。圧力室46は、止水弁44の略真上に設けられ、支流路45から流入した水その他の流体を貯留し、貯留された流体からの力をダイヤフラム47に加えるよう構成された容器であれば特に限定されず、従来技術の各種の容器でよい。圧力室46を含むことにより、支流路45から流入した流体を貯留し、貯留された流体からの力をダイヤフラム47に加えられる。
【0153】
図7に示す例では、圧力室46は、入口流路41、開口部43、止水弁44の略真上に構成され、支流路出口454を介して支流路45から水その他の流体が流入するよう構成されている。
【0154】
[ダイヤフラム47]
ダイヤフラム47は、止水弁44の略真上に設けられ、支流路45から流入する水その他の流体から力を受けるように構成されたダイヤフラム(隔膜)である。ダイヤフラム47は、支流路45から流入し、圧力室46に貯留された流体から受ける力を止水弁44に伝えるよう構成されている。ダイヤフラム47の有効受圧面積は、止水弁44の有効受圧面積よりも大きいよう構成されている。ダイヤフラム47を含むことにより、支流路45から流入した流体が圧力室46に貯留された流体から受ける力に応じて止水弁44を開閉できる。ダイヤフラム47の材質は、特に限定されず、ダイヤフラムに用いられる従来技術の各種の材質でよい。ダイヤフラム47の材質として、例えば、樹脂、ゴム等が挙げられる。
【0155】
ダイヤフラム47の有効受圧面積が止水弁44の有効受圧面積よりも大きいため、支流路45を開閉する流路開閉装置1が開状態であり、圧力室46に流体が貯留されている場合に、圧力室46に貯留された流体からダイヤフラム47が受ける力は、止水弁44が入口流路41に入る流体から受ける力より大きくなる。したがって、止水弁44は、本流路3に関する入口流路41と出口流路42との間を閉じることができる。支流路45を開閉する流路開閉装置1が閉状態であり、圧力室46に流体が貯留されていない場合に、ダイヤフラム47は流体から力を受けず、止水弁44は、入口流路41に入る流体から受ける力によって入口流路41と出口流路42との間を開く。すなわち、支流路45から供給される水その他の流体からダイヤフラム47が受ける力に応じて、本流路3に関する入口流路41と出口流路42との間を開閉できる。したがって、支流路45を本流路3より小型に構成し、本流路3を開閉する場合に要するモータの出力より小さい出力のモータで支流路45を開閉するよう流路開閉システムSを構成し得る。出力が小さい小型のモータで本流路3を開閉できるため、流路開閉装置1をより一層小型化し得る。
【0156】
したがって、第3実施形態の流路開閉システムSによれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能なシステムを提供できる。
【0157】
[収容体]
必須の態様ではないが、本流路給水栓4は、止水弁44及びダイヤフラム47を収容する収容体(符号略)を有することが好ましい。本流路給水栓4が止水弁44及びダイヤフラム47を収容する収容体を有することにより、モータその他の流路開閉装置1を構成する部材だけでなく、止水弁44及びダイヤフラム47に関しても、内部への浸水に起因する劣化及び/又は故障を防ぎ得る。したがって、劣化及び/又は故障に関する保守及び/又は修理等の流路開閉システムSの管理に要する労力を軽減し得る。
【0158】
本流路給水栓4が収容体を有する場合、流路開閉装置1の底面の面積は、収容体の上面の面積よりも小さいことが好ましい。これにより、流路開閉装置1を収容体の上面に設置し、流路開閉システムSを小型化し得る。したがって、流路開閉システムSの保守等を行う場合に流路開閉システムSを移動させる労力を軽減し、流路開閉システムSの管理に要する労力を軽減し得る。
【0159】
図7に示す例では、入口流路41、出口流路42及び圧力室46を画定する部材によって、止水弁44及びダイヤフラム47を収容する収容体が構成されている。
【0160】
<流路開閉システムSの使用例>
第3実施形態に係る流路開閉システムSを水平方向から見た場合における流路開閉システムSの内部構造に関し、
図7は、流路部分が閉状態のときを示し、
図8は、流路部分が開状態のときを示す。以下、
図7及び
図8を参照しながら、第3実施形態の流路開閉システムSの使用例を説明する。この使用例では、流路開閉システムSは、流路自動開閉装置Aを含んで構成されている。
【0161】
〔屋外管理対象への設置〕
利用者は、水その他の流体を屋外管理対象に供給可能な位置に本流路3と本流路給水栓4とを設置し、支流路45に流路開閉装置1を取付け、屋外管理対象の水位を測定可能な位置に水位測定装置2を設置する。
図7に示す例では、水Lを有する屋外管理対象に水を供給可能な位置に水位測定装置2と本流路3と本流路給水栓4とが設置され、支流路45に流路開閉装置1が取り付けられている。
【0162】
〔水位の測定〕
制御部は、開閉状態指令部を実行し、水位測定センサが測定した水位の測定結果を取得する。
【0163】
[(a):水位が最低水位未満であり、かつ、回転バルブが閉状態でない場合]
水位が最低水位未満であり、かつ、回転バルブが閉状態でない場合、制御部は、開閉状態指令部を実行し、信号部を介してモータを回転させ、出力軸を介して回転バルブを回転させ、流路部分を閉状態にする。これにより、水その他の流体は、支流路45を通過せず、圧力室46への流体の供給が止まる。これにより、支流路45から供給される流体からダイヤフラム47が受ける力が小さくなる。
【0164】
ダイヤフラム47が受ける力は、止水弁軸443を介して、重力方向に対して下向きに止水弁体441を押圧する力として止水弁体441に伝えられ、止水弁体441を止水弁座442に向けて押圧する力として作用する。したがって、ダイヤフラム47が受ける力が小さくなると、止水弁44の止水弁体441を止水弁座442に向けて押圧する力が小さくなり、止水弁体441は、入口流路41に流入する流体から受ける力によって、略真上に移動する。これにより、開口部43が開かれ、本流路3が開かれる。そして、屋外管理対象に水が供給され、水位が最低水位以上に保たれる。
【0165】
図7に示す例では、支流路45が閉じられているため、圧力室46に流体が貯留されていない。そのため、ダイヤフラム47は、下向きの力を受けていない。一方、止水弁44は、入口流路41に入った流体から、上向きの力P1を受けている。そのため、止水弁44は、上向きの力P1によって略真上に移動し、入口流路41に入った流体は、開口部43を介して出口流路42へ流れ、第2本流路32を経由して屋外管理対象に供給されている。そして、水位が最低水位以上に保たれる。支流路45は、本流路3より小さく構成されているため、流路開閉装置1が本流路3を開閉可能な流路開閉装置より小型の装置であっても、支流路45を開閉できる。
【0166】
[(b):水位が最高水位を超えており、かつ、回転バルブが開状態でない場合]
水位が最高水位を超えており、かつ、回転バルブが開状態でない場合、制御部は、開閉状態指令部を実行し、信号部を介してモータを回転させ、出力軸を介して回転バルブを回転させ、流路部分を開状態にする。これにより、水その他の流体は、支流路45を通過し、圧力室46へ供給される。これにより、支流路45から供給される流体からダイヤフラム47が受ける力が大きくなる。
【0167】
ダイヤフラム47が受ける力は、止水弁軸443を介して、重力方向に対して下向きに止水弁体441を押圧する力として止水弁体441に伝えられ、止水弁体441を止水弁座442に向けて押圧する力として作用する。したがって、ダイヤフラム47が受ける力が大きくなると、止水弁44の止水弁体441を止水弁座442に向けて押圧する力が大きくなる。このとき、ダイヤフラム47の有効受圧面積が止水弁44の有効受圧面積より大きく構成されているため、止水弁体441は、ダイヤフラム47から受ける力によって、略真下に移動する。これにより、開口部43が閉じられ、本流路3が閉じられる。そして、屋外管理対象への水の供給が止まり、水位が最高水位以下に保たれる。
【0168】
図8に示す例では、支流路45が開かれているため、圧力室46に流体が貯留されている。そのため、ダイヤフラム47は、下向きの力P2を受けている。一方、止水弁44は、入口流路41に入った流体から、上向きの力P1を受けている。ダイヤフラム47の有効受圧面積が止水弁44の有効受圧面積より大きく構成されているため、下向きの力P2は、上向きの力P1より大きい。そのため、止水弁44は、下向きの力P2によって略真下に移動し、開口部43を閉じる。入口流路41に入った流体は、出口流路42へ流れず、屋外管理対象に供給されない。そして、水位が最高水位以下に保たれる。支流路45は、本流路3より小さく構成されているため、流路開閉装置1が本流路3を開閉可能な流路開閉装置より小型の装置であっても、支流路45を開閉できる。
【0169】
[(c):(a)(b)のいずれにも該当しない場合]
上述の(a)(b)のいずれにも該当しない場合、制御部は、モータを回転させる制御信号を送信しない。すなわち、水位が最低水位以上最高水位以下である場合、又は、回転バルブの開閉状態が適切に設定されている場合のいずれかの場合、すなわち回転バルブの開閉が必要でない場合に、モータが回転することがない。回転バルブの開閉状態を変更しない場合にモータが電力を消費しないため、駆動電源に乾電池を用いて流路開閉装置1及び/又は水位測定装置2をより一層小型に構成できる。したがって、装置の保守等を行う場合に装置を移動させる労力をより一層軽減し得る。
【0170】
第3実施形態の流路開閉システムSによれば、流路開閉装置1が開状態である場合、ダイヤフラム47は、ダイヤフラム47の略真上に設けられた支流路45の支流路出口454から流入した流体からの力を加えられた状態となる。流路開閉装置1が閉状態である場合、支流路45からダイヤフラム47へ流体が流入しないため、ダイヤフラム47は、支流路45から流入した流体からの力を加えられていない状態となる。したがって、流路開閉装置1の開閉によって、ダイヤフラム47が受ける力が変化する。これにより、本流路3に関する入口流路41と出口流路42との間を開閉できる。ダイヤフラム47の有効受圧面積が止水弁44の有効受圧面積よりも大きいため、止水弁44に本流路3を流れる流体からの力が加えられていても、ダイヤフラム47に加えられる流体からのより大きな力によって、本流路3に関する入口流路41と出口流路42との間を開閉できる。したがって、支流路45を本流路3より小型に構成し、本流路3を開閉する場合に要するモータの出力より小さい出力のモータで支流路45を開閉するよう流路開閉システムSを構成し得る。出力が小さい小型のモータで本流路3を開閉できるため、流路開閉装置1をより一層小型化し得る。
【0171】
したがって、第3実施形態の流路開閉システムSによれば、内部への浸水に起因するモータの劣化及び/又は故障を防ぎ、管理に要する労力を軽減可能なシステムを提供できる。
【0172】
以上、本発明の各種実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の各種実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、本発明の各種実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0173】
また、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0174】
1 流路開閉装置
11 モータ
111 出力軸
12 回転バルブ
121 弁棒
122 弁体
13 流路部分
131 流入口
132 流出口
14 収容ケース
141 ケース蓋部
2 水位測定装置
21 柱状箱体
211 第1筒状部材
212 第2筒状部材
213 箱体蓋部
214 仕切り部
215 土台部
21A 上側空間
21B 下側空間
22 水位測定センサ
23 制御部
231 開閉状態指令部
24 記憶部
25 通信部
26 信号部
3 本流路
31 第1本流路
32 第2本流路
4 本流路給水栓
41 入口流路
42 出口流路
43 開口部
44 止水弁
441 止水弁体
442 止水弁座
443 止水弁軸
45 支流路
451 支流路入口
452 流入口接続部
453 流出口接続部
454 支流路出口
46 圧力室
47 ダイヤフラム
A 流路自動開閉装置
C 外部端末
L 水
N ネットワーク
P1 上向きの力
P2 下向きの力
R 回転軸
S 流路開閉システム
W 配線