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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049785
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】携帯用焚火台及び携帯用篝火装置
(51)【国際特許分類】
   F24B 1/18 20060101AFI20220323BHJP
   F24B 1/20 20060101ALI20220323BHJP
   A47J 37/07 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
F24B1/18 E
F24B1/20
A47J37/07
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156001
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】520252918
【氏名又は名称】有限会社平林建設
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸一
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA04
4B040AA10
(57)【要約】
【課題】野外で夜間に神秘的な美しさを放つスウェーデントーチの長所を踏襲しながら、木切れや枯葉等の植物系燃料を用いて焚火や煮炊きをすることができ、構造が簡単で寿命が長く携帯に便利な焚火台を提供する。
【解決手段】円柱面に沿うように円周方向に所定間隔で配置する4枚の側板2と、通気孔32と4箇所の第一の長穴31とを有する火床板3と、4箇所の第二の長穴41を有する板状リング4とを備える。側板2は第一の切欠き24と第二の切欠き25を有している。組立時に、4枚の側板2の胴部22を夫々火床板3の第一の長穴31に挿入した後、第一の切欠き24の中に第一の長穴31の一端が入るように側板2に対して火床板3を回転させる。また側板2の頭部23を第二の長穴41に挿入した後、第二の切欠き25の中に第二の長穴41の一端が入るように側板2に対して板状リング4を回転させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に順次並ぶ、空気取入れ口を有する脚部並びに該脚部より幅が狭い胴部及び該胴部より幅が狭い頭部からなり、前記胴部の片方の縁から前記脚部の肩沿いに切欠いた第一の切欠き、並びに前記頭部の片方の縁から前記胴部の肩沿いに切欠いた第二の切欠きを有し、かつ円柱面に沿うように湾曲しており、前記円柱面の円周方向に所定間隔で配置される複数の側板と、
通気孔と前記複数の側板の胴部を個々に受け入れる複数の第一の長穴とを有する火床板と、
前記複数の側板の頭部を個々に受け入れる複数の第二の長穴を有する板状リングと、
を備え、
組立時に、前記複数の側板の胴部を夫々前記第一の長穴に挿入した後、前記第一の切欠きの中に前記第一の長穴の一端が入るように前記複数の側板に対して前記火床板を回転させると共に、前記頭部を前記第二の長穴に挿入した後、前記第二の切欠きの中に前記第二の長穴の一端が入るように前記複数の側板に対して前記板状リングを回転させることを特徴とする携帯用焚火台。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯用焚火台であって、更に、
前記複数の側板の頭部の内側に配置する、開口を有する本体部と、前記複数の側板のうちの隣り合う側板の頭部相互間を通じて外側へ突出する、前記本体部に形成した突出部とからなり、前記板状リングの上側に載置される五徳板を備える携帯用焚火台。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯用焚火台であって、
前記突出部に形成した第一の見当穴と、
前記第一の見当穴に組立後に対応するよう前記板状リングに形成した第二の見当穴とを備える携帯用焚火台。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯用焚火台であって、
前記板状リングに形成した第二の見当穴に対応するよう前記火床板に形成した第三の見当穴を備える携帯用焚火台。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯用焚火台であって、更に、
分解後に、前記複数の側板と前記火床板と前記板状リングと前記五徳板とを重ね合わせて一纏めにするための、前記第一の見当穴並びに前記第二の見当穴及び前記第三の見当穴に通す結束紐を備えることを特徴とする携帯用焚火台。
【請求項6】
請求項2又は請求項3に記載の携帯用焚火台であって、
前記頭部に設けた第四の見当穴と、
前記脚部に設けた第五の見当穴とを備え、
前記第四の見当穴と前記第五の見当穴は、前記側板の幅方向の所定位置を通る、前記側板長手方向に平行な共通の軸線上に配置してあり、かつ、前記第四の見当穴から前記板状リングに載置した前記五徳板までの距離と、前記第五の見当穴から前記脚部の下端までの距離が等しくなるように配置してある携帯用焚火台。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一に記載の携帯用焚火台を複数個連結して構成する携帯用篝火装置あって、
前記複数個の携帯用焚火台のうちの隣り合う携帯用焚火台同士は、夫々片方の前記携帯用焚火台の頭部と、もう片方の前記携帯用焚火台の脚部とを嵌合して連結することを特徴する携帯用篝火装置。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯用篝火装置であって、
前記第一の長穴及び前記第二の長穴は、前記側板の厚さの1.5倍~2倍の幅を有する携帯用篝火装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の携帯用篝火装置であって、
前記複数個の携帯用焚火台のうちの隣り合う携帯用焚火台同士において、夫々片方の前記携帯用焚火台の頭部と、もう片方の前記携帯用焚火台の脚部とを嵌合する際に、隣り合う前記携帯用焚火台の複数の側板の頭部同士の間に形成されている隙間を介して、片方の前記携帯用焚火台の側板の頭部が、もう片方の前記携帯用焚火台の側板の脚部の、内側に配置される箇所と外側に配置される箇所とが形成されるよう、片方の前記携帯用焚火台にもう片方の前記携帯用焚火台を載置することを特徴する携帯用篝火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンプ場等で焚火をしたり煮炊きをしたりするのに便利な携帯用焚火台、及び、前記携帯用焚火台を複数個連結して構成される篝火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
市場にはキャンプに便利なガスや石油のカートリッジを用いる種々の携帯用コンロやランタン等が出回っているが、野外ではガスや石油等の化石燃料ではなく、木切れ、小枝、枯葉等の植物系燃料を用いて焚き火を楽しみたいという声も聞かれるようになっている。
【0003】
従来から、スウェーデントーチ(スウェディッシュトーチやスウェディッシュファイヤーとも呼ばれる。)が知られている。スウェーデントーチは、断面視において中心の穴から放射状に延伸する溝が形成されるよう、丸太を、木材の繊維方向に刳り抜いた、或いは、2~6分割にしたものであり、北欧の国々で木こりたちが山中で暖を取るときや篝火として使用されてきたことに由来する。スウェーデントーチは、現在でも、主として野外で、夜間に神秘的な美しさを放つ、焚火台や篝火装置として使用されている(例えば非特許文献1を参照。)。
【0004】
また従来、野営で使用可能な、植物系燃料を用いるコンロとしては、例えば特許文献1に開示されているにように、四角形状の床板と上部に焼網を有し、これらの四周を囲む4枚の側板とからなる折り畳み携帯可能な炭火用コンロがある。このコンロは、床板と四周の側板のうち相対する2枚の側板を内折り畳みと展開可能に形成して、展開により角筒形の炭火用コンロを構成し、折り畳みにより携帯可能な薄平なボックス形とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3222227号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】価格.COMマガジン、[令和2年8月25日検索]、インターネット<https://kakakumag.com/sports/?id=11570>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、スウェーデントーチは、丸太自体を焚火台とするため、野営場所にて丸太を加工するか、予め加工しておく、或いは、加工されたものを購入するかして準備することになるが、野営場所にて丸太を加工するためには道具を、予め準備する場合にはスウェーデントーチを、夫々、野営場所にまで運ぶ必要があるところ、それらは、重く大きく嵩張るため、携帯性がよいとはいえなかった。
【0008】
また前述のコンロでは、折り畳み可能にするために、床板同士や側板同士を蝶番で接合している。また側板同士を、ピンを中心に揺動可能な掛け金で連結、解放可能にしてある。しかし、このようなコンロでは焚火をすると、床板や側板だけでなく、それらを接合している蝶番や掛け金も高温に熱せられる。特に、形状が複雑で小さい部品である蝶番や掛け金は、熱が逃げにくいので使用時に高温になって腐食し易く、蝶番や掛け金のピン外周部の腐食により、床板や側板の開閉が困難になる。そのためコンロの寿命が比較的短く、使用直後に腐食防止の保守作業をしないで長期間放置しておくと、蝶番部等の腐食が進行して再使用不能になる恐れがある。また蝶番や掛け金を用いているので、構造が複雑である。
【0009】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、野外で夜間に神秘的な美しさを放つスウェーデントーチの長所を踏襲しながら、木切れや枯葉等の植物系燃料を用いて焚火や煮炊きをすることができ、構造が簡単で寿命が長く携帯に便利な焚火台を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、地表からの高さが比較的高い位置で篝火を焚くのに適した携帯用篝火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
本発明の第1の側面に係る携帯用焚火台によれば、長手方向に順次並ぶ、空気取入れ口を有する脚部並びに該脚部より幅が狭い胴部及び該胴部より幅が狭い頭部からなり、前記胴部の片方の縁から前記脚部の肩沿いに切欠いた第一の切欠き、並びに前記頭部の片方の縁から前記胴部の肩沿いに切欠いた第二の切欠きを有し、かつ円柱面に沿うように湾曲しており、前記円柱面の円周方向に所定間隔で配置される複数の側板と、通気孔と前記複数の側板の胴部を個々に受け入れる複数の第一の長穴とを有する火床板と、前記複数の側板の頭部を個々に受け入れる複数の第二の長穴を有する板状リングと、を備え、組立時に、前記複数の側板の胴部を夫々前記第一の長穴に挿入した後、前記第一の切欠きの中に前記第一の長穴の一端が入るように前記複数の側板に対して前記火床板を回転させると共に、前記頭部を前記第二の長穴に挿入した後、前記第二の切欠きの中に前記第二の長穴の一端が入るように前記複数の側板に対して前記板状リングを回転させるよう構成できる。
【0012】
前記構成により、木切れや枯葉等の植物系燃料を用いて焚火や煮炊きをすることができ、熱に弱く保守作業が面倒な小さな部品を必要とせず構造が簡素であり、比較的寿命が長く堅牢で、しかも組立分解が容易で携帯に便利な携帯用焚火台を提供することができる。また、隣り合う側板の胴部相互間には一定幅の隙間ができるので、スウェーデントーチのように側面に一定幅で縦方向に延伸する隙間が所定間隔で形成されたデザインとなり、野外で夜間に神秘的な美しさを放つ焚き火を楽しむことができる。また、隣り合う側板の胴部相互間に形成される一定幅の隙間によって、頭部を、その外径より大きい外径のフライパンや鍋の調理器具等で覆っても、隣り合う胴部にできた隙間を通して炎が外側へ逃げて、調理器具の頭部から食み出した部分を加熱することができる。そのため胴部に通気孔を設ける必要がなく、胴部の加工を簡素化できる。更に、頭部と脚部を上下反転させて使用することもできる。
【0013】
本発明の第2の側面に係る携帯用焚火台によれば、更に、前記複数の側板の頭部の内側に配置する、開口を有する本体部と、前記複数の側板のうちの隣り合う側板の頭部相互間を通じて外側へ突出する、前記本体部に形成した突出部とからなり、前記板状リングの上側に載置される五徳板を備えるよう構成できる。
【0014】
前記構成により、五徳板の突出部を側板の頭部上端に係合さることで、五徳板を側板の上端に載置することもでき、火力に応じて五徳板の高さを調節することができる。そして複数の側板の外径より小さな外径の鍋等の調理用器具や、焼き肉用の肉等の被調理物を五徳板の上に直接載置して加熱することができるので、焚火台だけでなくコンロとして多様な用途に利用することが可能なる。
【0015】
本発明の第3の側面に係る携帯用焚火台によれば、前記突出部に形成した第一の見当穴と、前記第一の見当穴に組立後に対応するよう前記板状リングに形成した第二の見当穴とを備えるよう構成できる。
【0016】
前記構成により、携帯用焚火台の組立後に、第一の見当穴を覗いて、第二の見当穴と第二の見当穴とが一致しているか否かを検知することにより、板状リングが側板に対して適正に装着されているか否かを簡単に確認することができる。
【0017】
本発明の第4の側面に係る携帯用焚火台によれば、前記板状リングに形成した第二の見当穴に対応するように前記火床板に形成した第三の見当穴を備えるよう構成できる。
【0018】
前記構成により、第三の見当穴が隣り合う胴部の間の所定位置に配置されているか否かを検知することで、複数の側板に対して火床板が適正に装着されているか否かを簡単に確認することができる。
【0019】
本発明の第5の側面に係る携帯用焚火台によれば、更に、分解後に、前記複数の側板と前記火床板と前記板状リングと前記五徳板とを重ね合わせて一纏めにするための、前記第一の見当穴並びに前記第二の見当穴及び前記第三の見当穴に通す結束紐を備えるよう構成できる。
【0020】
前記構成により、複数の側板、火床板、板上リング、五徳板を一纏めに紐で縛ることにより、携帯用の袋に収納するのに都合がよい。
【0021】
本発明の第6の側面に係る携帯用焚火台によれば、前記頭部に設けた第四の見当穴と、前記脚部に設けた第五の見当穴とを備え、前記第四の見当穴と前記第五の見当穴は、前記側板の幅方向の所定位置を通る、前記側板長手方向に平行な共通の軸線上に配置してあり、かつ、前記第四の見当穴から前記板状リングに載置した前記五徳板までの距離と、前記第五の見当穴から前記脚部の下端までの距離が等しくなるように配置することができる。
【0022】
それによって、携帯用焚火台同士を、片方の携帯用焚火台の頭部ともう片方の脚部とを嵌合して連結したとき、第四の見当穴と、第五の見当穴との位置のずれを検知することで、携帯用焚火台同士が適正に連結されているか否かを知ることができ、しかも、携帯用焚火台を吊して使用するとき、そのためのフックを掛けるための穴として第四の穴を使用することができる。また携帯用焚火台を逆さまに吊るすためのフックを掛ける穴として第五の穴を使用することができる。
【0023】
本発明の第7の側面に係る携帯用篝火装置によれば、本発明の第1~第7の側面のいずれか一に係る携帯用焚火台を複数個連結して構成する携帯用篝火装置あって、前記複数個の携帯用焚火台のうちの隣り合う携帯用焚火台同士は、夫々片方の前記携帯用焚火台の頭部と、もう片方の前記携帯用焚火台の脚部とを嵌合して連結するよう構成できる。
【0024】
前記構成により、地表からの高さが比較的高い位置で篝火を焚くことができる携帯用篝火装置を得ることができる。
【0025】
本発明の第8の側面に係る携帯用篝火装置によれば、前記第一の長穴及び前記第二の長穴は、前記側板の厚さの1.5倍~2倍の幅を有するよう構成できる。
【0026】
前記構成により、火床板の第一の長穴、板状リングの第二の長穴や側板の加工に多少の誤差があっても胴部や頭部を第一の長穴や第二の長穴に容易に通すことができ、かつ携帯用焚火台同士を連結するために、片方の携帯用焚火台の頭部ともう片方の脚部とを嵌合するとき、胴部と第一の長穴との遊びと脚部の撓みにより、脚部は半径方向に僅かに移動し、頭部と第二の長穴との遊びと頭部の撓みにより、頭部は脚部と反対方向かつ半径方向に僅かに移動して嵌合されるので嵌合が容易になる。しかも、頭部と脚部の嵌合部分には締め付け力が働くので、頭部に脚部を単に載せる場合に比べて連結部分での半径方向のズレや折れを防ぐことができる。
【0027】
本発明の第9の側面に係る携帯用篝火装置によれば、前記複数個の携帯用焚火台のうちの隣り合う携帯用焚火台同士において、夫々片方の前記携帯用焚火台の頭部と、もう片方の前記携帯用焚火台の脚部とを嵌合する際に、隣り合う前記携帯用焚火台の複数の側板の頭部同士の間に形成されている隙間を介して、片方の前記携帯用焚火台の側板の頭部が、もう片方の前記携帯用焚火台の側板の脚部の、内側に配置される箇所と外側に配置される箇所とが形成されるよう、片方の前記携帯用焚火台にもう片方の前記携帯用焚火台を載置することができる。
【0028】
前記構成により、隣り合う携帯用焚火台の複数の側板の頭部同士の間に形成されている隙間を介して、複数の側板の隣り合う頭部を脚部の内側と外側とに例えば互い違いに配置することで、携帯用焚火台の頭部と、もう片方の携帯用焚火台の脚部とを容易に嵌合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る携帯用焚火台の斜視図である。
図2】側板の展開図である。
図3】火床板の平面図である。
図4】板状リングの平面図である。
図5】五徳板の平面図である。
図6】分解して結束紐で一纏めにした携帯用焚火台の斜視図である。
図7】火床板の装着完了状態を示す拡大平面図である。
図8】板状リングの装着完了状態を示す拡大平面図である。
図9】携帯用焚火台の使用状態を示す写真であって、五徳板の上での簡易な焚き火及び吊るして使用する方法の説明図である。
図10】夜間における野外での携帯用焚火台の使用状態を示す写真である。
図11】携帯用篝火装置の正面図である。
図12】携帯用焚火台の連結状態を部分的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯用焚火台及び携帯用篝火装置を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。更に以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。更に、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0031】
図1に示すように、携帯用焚火台1は、複数の側板2と円板状の火床板3と板状リング4とを備えている。複数の側板2は、仮想の円柱面に沿うように湾曲しており、該円柱面の円周方向に所定間隔で配置してある。この実施形態では側板2は4枚備えてあり、それらは実質的に同じ大きさで同じ形状である。更に、携帯用焚火台1は、それを調理用コンロとして使用するために、板状リング4の上側に載置される五徳板5を備えている。
【0032】
図2に示すように、側板2は金属板でできており、脚部21並びに該脚部21より幅が狭い胴部22及び該胴部22より幅が狭い頭部23からなり、それらは長手方向に順次ならんでいる。そして胴部22の片方の縁から脚部21の肩21a沿いに切欠いた第一の切欠き24、並びに頭部23の片方の縁から胴部22の肩22a沿いに切欠いた第二の切欠き25を有する。また脚部21は空気取入れ口26を有している。更に、脚部21の下端辺の両端には凹み部21bが設けられている。
【0033】
図3に示すように、火床板3は第一の長穴31と通気孔32と第三の見当穴33とを有する。この第一の長穴31は、側板2の胴部22を個々に受け入れることができる。
【0034】
図4に示すように、板状リング4は第二の長穴41を有する。この第二の長穴41は側板2の頭部23を個々に受け入れることができる。
【0035】
図5に示すように、五徳板5は、複数の側板2の頭部の内側に配置する、開口51を有する略円形状の本体部52と、複数の側板2のうちの隣り合う側板2の頭部相互間を通じて外側へ突出する、本体部52に形成した突出部53と、本体部52の円周から内側へ向けて凹む、本体部52の円周に形成した凹み部55とからなる。五徳板5を複数の側板2の頭部の内側に配置することで、携帯用焚火台1の剛性を高めることもできる。
【0036】
組み立てた携帯用焚火台1が正常であるか否かの目安とするために、突出部52には、第一の見当穴54が形成してあり、図4に示すように板状リング4には第一の見当穴54に組立後に対応するよう第二の見当穴42が形成してある。また図3に示すように火床板3には、板状リング4に形成した第二の見当穴42に対応するよう第三の見当穴33が形成してある。
【0037】
更に、複数の携帯用焚火台1を長手方向に継ぎ足す際に継ぎ足し状態の良否を判断する目安とするために、図2に示すように、第四の見当穴27、第五の見当穴28が、側板2の頭部23、脚部21に形成してある。第四の見当穴27と第五の見当穴28は、側板2の幅方向の所定位置を通る、側板2の長手方向に平行な共通の軸線Y上に配置してあり、かつ、第四の見当穴27から板状リング4に載置した五徳板5までの距離と、第五の見当穴28から脚部21の下端までの距離が等しくなるように配置してある。
【0038】
図6に示すように、携帯用焚火台1には、分解後に側板2と火床板3と板状リング4と五徳板5とを重ね合わせて一纏めにするための結束紐6と、その分解して一纏めにした携帯用焚火台1を収容する図示しない携行用の袋が備えてある。携帯用焚火台1を分解して五徳板5、板状リング4、火床板3を重ね合わせたとき、第一の見当穴54、第二の見当穴42、第三の見当穴33は、共通の中心軸線上に同心に並ぶように形成してあるので、第一の見当穴54、第二の見当穴42、第三の見当穴33に結束紐6を通して側板2、五徳板5、板状リング4、火床板3を結束することができる。
【0039】
上述のように構成された携帯用焚火台1を図1に示すように組み立てるには、まず、複数の側板2の胴部22を夫々火床板3の第一の長穴31に挿入する。その後、図7に示すように側板2の第一の切欠き24の中に火床板3の第一の長穴31の一端が入るように複数の側板2に対して火床板3を矢印の方向に回転させる。図7の二点鎖線で示す第一の長穴31は、側板2の胴部22を火床板3の第一の長穴31に単に挿入した状態にあり、図7の実線で示す第一の長穴31は、その一端が第一の切欠き24の中に奥まで入った状態にある。このとき第三の見当穴33は隣り合う胴部22の縁の略真ん中に位置する。
【0040】
更に、側板2の頭部23を第一の長穴31に挿入した後、側板2の第二の切欠き25の中に板状リング4の第二の長穴41の一端が入るように複数の側板2に対して板状リング4を回転させる。図8に二点鎖線で示す第二の長穴41は、側板2の頭部23を板状リング40の第二の長穴41に単に挿入した状態にあり、図8に実線で示す第二の長穴41は、その一端が、第二の切欠き25の中に奥まで入った状態にある。このとき第二の見当穴42は隣り合う頭部23の縁の略真ん中に位置する。
【0041】
携帯用焚火台1を分解するには、複数の側板2に対して、五徳板5及び火床板3を、組立時とは逆方向に回転させ、第二の長穴41を第二の切欠き25の外側に戻し、第一の長穴31を第一の切欠き24の外側に戻した後、複数の側板2から五徳板5、火床板3を上方へ抜き取る。
【0042】
図1に示すように組み立てた携帯用焚火台1は、例えば薪、木切れ、小枝、落ち葉等の燃料を火床板3と五徳板5との間に収容し、その燃料に着火して使用する。具体的には、五徳板5を外した状態で、例えば長手方向の長さが20cm程度の薪を長手方向が縦となる向きに、例えば4本、薪同士の間に十字状の隙間が形成されるように(スウェーデントーチのように)配置した後、当該十字状の隙間に、炊き付け材として、木切れ、小枝、落ち葉等を投入する。その後、図9に示すように、五徳板5を載置し、その上に木切れ、小枝等を置き、五徳板5の上で簡易な焚き火を行う。この簡易な焚き火により、携帯用焚火台1内の温度が上がり、火床板3と五徳板5との間に収容した燃料が着火しやすくなり、また、五徳板5の開口51を介して、火の粉や灰状物等の火種が落下することで、火床板3と五徳板5との間に収容した燃料が着火する。携帯用焚火台1を野外で夜間において使用した場合には、例えば図10に示すように、スウェーデントーチのような神秘的な美観を現出させることができる。
【0043】
また、燃料が火床板3と五徳板5との間に収容しきれない場合は、五徳板5を外したまま使用することもできる。必要応じて、携帯用焚火台1を上下逆さまに置き、その携帯用焚火台1の火床板3の上側つまり火床板3の下側であって脚部21に囲まれた部分に燃料を収容して使用してもよい。
【0044】
更にまた、例えば、火床板3の上にアルコールバーナーや小型燃料等を載置し、五徳板5を、その突出部53を側板2の頭部23に係合させることで側板2の上端に載置した状態で使用することもできる。
【0045】
携帯用焚火台1を上下逆さまに置き、その携帯用焚火台1の火床板3の上側つまり火床板3の下側であって脚部21に囲まれた部分にアルコールバーナーや小型燃料等を収容して使用する場合、火床板3に設けられた通気孔32と第三の見当穴33を、アルコールバーナーや小型燃料等のずれ止めとして機能させることができ、1つ又は複数のアルコールバーナーや小型燃料等を収容した後、脚部21の上端(上下逆さまでない状態では下端)にフライパン等を載置して調理することもできる。
【0046】
更にまた、火床板3と五徳板5の間の燃料には着火せず、ランタン等の照明源を火床板3や五徳板5の上に載置して照明スタンドとして使用することもできる。
【0047】
更に、携帯用焚火台1は、図9に示すように、第四の見当穴27又は第五の見当穴28に、例えば針金状のフックを引っ掛けて吊るして使用してもよい。
【0048】
また、ボトルハンガーを第四の見当穴27又は第五の見当穴28に取り付け、ボトルハンガーを介して、携帯用焚火台1を手で持ち運ぶことも可能である。第四の見当穴27又は第五の見当穴28は、携帯用焚火台1の長手方向に沿う中心軸に対して点対称の位置に配置されているので、例えば、中心軸に対して向かい合う位置に配置された第四の見当穴27又は第五の見当穴28にボトルハンガーを2つ取り付けることによって、2つのボトルハンガーを介して、携帯用焚火台1を両手で持ち運ぶことができる。
【0049】
更にまた、火バサミやトングの細くて長い部材を、中心軸に対して向かい合う位置に配置された第四の見当穴27又は第五の見当穴28に貫通させて、火バサミやトングを介して、携帯用焚火台1を持ち運んだり吊したりすることもできる。
【0050】
更にまた、カラビナを第四の見当穴27又は第五の見当穴28に取り付け、カラビナに連結したチェーン等を介して、携帯用焚火台1を吊すこともできる。なお、五徳板5には凹み部55が設けられているため、凹み部55の近傍の第四の見当穴27にカラビナを取り付けた場合には、カラビナを取り付けた状態でも、五徳版5を取り外したり載置したりすることができる。
【0051】
更に、地表から高い位置にある照明源にするために、図11に示すように、携帯用焚火台1を中心軸線方向に複数個連結して携帯用篝火装置7を構成することができる。図12に示すように、この携帯用篝火装置7を構成する複数個の携帯用焚火台1のうちの隣り合う携帯用焚火台1同士は、夫々片方の携帯用焚火台1の側板2の頭部23と、もう片方の携帯用焚火台1の側板2の脚部21とを嵌合して連結する。
【0052】
携帯用焚火台1では、火床板3の第一の長穴31及び板状リング4の第二の長穴41の幅を、夫々側板2の厚さより適度に大きくしており、側板2の胴部22又は頭部23を内側へ押すと、板状リング4の第二の長穴41の内側の壁に当接し、円筒状に配置された複数の側板2の上端の外径は縮小し、側板2の脚部21を外側へ引くと、火床板3の第一の長穴31の外側の壁に当接すると共に、その脚部21が僅かに外向きに撓んで、複数の側板1の下端の内径は、該円筒状体の上端の外径より僅かに大きくなる。また逆に頭部23を外側へ引き、脚部21を内側へ押すことで、複数の側板1で構成される円筒状体の上端の内径はその円筒状体の下端の外径より僅かに大きくなる。
【0053】
そこで、携帯用焚火台1同士を連結するには、下側の携帯用焚火台1の頭部23を第二の長穴41の内側又は外側の壁に押し当てると共に、上側の携帯用焚火台1の脚部21を第一の長穴31の外側又は内側の壁に押し当てて下側の携帯用焚火台1の複数の側板2の上端に上側の携帯用焚火台1の複数の側板2の下端を被せた後、上側の携帯用焚火台1を、その側板2の脚部21の下端が、下側の携帯用焚火台1の板状リング4に当たるまで押し下げる。そして上側の側板1の脚部21と下側の側板2の頭部23とが互いに接触面で弾力的に押圧しあう状態で嵌合されるので、携帯用焚火台1同士の連結部分が屈曲したり横ずれしたりし難い。第一の長穴31及び第二の長穴41は、側板2の厚さの1.5倍~2倍の幅を有するものが望ましい。
【0054】
また携帯用焚火台1同士を連結する他の実施形態として、下側に配置する隣り合う携帯用焚火台1の頭部23同士の間に形成されている隙間71(図1参照。)を介して、下側の携帯用焚火台1の頭部23が、上側の携帯用焚火台1の脚部21の、内側に配置される箇所と外側に配置される箇所とが形成されるよう、上側に配置する携帯用焚火台1を下側に配置する携帯用焚火台1に載置するようにしてもよい。このように携帯用焚火台1同士を連結することにより、部材の加工時の精度のバラツキや部材の経年変化によって、部材のサイズに個体差が生じて、複数の側板2の全ての頭部23を脚部21の内側に配置できない場合でも、隣り合う携帯用焚火台1の複数の側板2の頭部23同士の間に形成されている隙間71を介して、複数の側板2の隣り合う頭部23を脚部21の内側と外側とに例えば互い違いに配置することで、携帯用焚火台1の頭部23と、もう片方の携帯用焚火台1の脚部21とを容易に嵌合させることができる。
【0055】
そして、携帯用焚火台1同士を連結する際には、携帯用焚火台1の脚部21には凹み部21bによって隙間が形成されており、この隙間に五徳板5の突出部53が収まるため、五徳板5が携帯用焚火台1同士の連結を邪魔することなく、五徳板5を載置した状態で携帯用焚火台1同士を連結することができる。
【0056】
五徳板5には開口51が設けられており、火床板3には通気孔32が設けられているため、下側からの炎は、開口51又は通気孔32を介して、上側に上がっていき、上側からの火種は、開口51又は通気孔32を介して、下側に落下していく。したがって、携帯用篝火装置7は、五徳板5及び火床板3を取り付けた状態でも、連結された全ての携帯用焚火台1に炎が行き渡ることになるため、野外で夜間において使用した場合には、縦長のスウェーデントーチのような神秘的な美観を現出させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…携帯用焚火台
2…側板
21…脚部;21a…脚部の肩;21b…凹み部
22…胴部;22a…胴部の肩
23…頭部
24…第一の切欠き
25…第二の切欠き
26…空気取入れ口
27…第四の見当穴
28…第五の見当穴
3…火床板
31…第一の長穴
32…通気孔
33…第三の見当穴
4…板状リング
41…第二の長穴
42…第二の見当穴
5…五徳板
51…開口
52…本体部
53…突出部
54…第一の見当穴
55…凹み部
6…結束紐
7…携帯用篝火装置
71…隙間
Y…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12