▶ 株式会社アイアールエフの特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049812
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】落下防止装置
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A62B35/00 J
A62B35/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156042
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】395014596
【氏名又は名称】株式会社ファシリコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉持 達郎
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA05
2E184KA04
2E184KA06
2E184LA03
2E184LA07
(57)【要約】
【課題】移動手段の露出が少なく、連続して移動が可能な落下防止装置を提供する。
【解決手段】内壁面6に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部4を有するガイドレール5と、ガイドレール5に設けられ、長さ方向に連続する開口部7と、対をなす開閉部材21,31を有し、これら対をなす開閉部材21,31の先端部26,36が開閉可能に設けられた開閉体8と、対をなす先端部26,36に設けられ、移動位置において中空部4内を長さ方向に移動可能に設けられる対をなす移動手段たる車輪25,35と、開閉体8に設けられ、落下防止用連結部材たる命綱9を連結する連結受け部たる透孔27とを備え、対をなす先端部26,36の開閉動作により、対をなす車輪25,35がガイドレール5内に係止する移動位置と、対をなす先端部26,36が開口部7を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部を有するガイドレールと、
前記ガイドレールに設けられ、長さ方向に連続する開口部と、
対をなす開閉部材を有し、これら対をなす開閉部材の先端部が開閉可能に設けられた開閉体と、
対をなす前記先端部に設けられ、移動位置において前記中空部内を長さ方向に移動可能に設けられる対をなす移動手段と、
前記開閉体に設けられ、落下防止用連結部材を連結する連結受け部とを備え、
前記対をなす先端部の開閉動作により、前記対をなす移動手段が前記ガイドレール内に係止する前記移動位置と、前記対をなす先端部が前記開口部を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成したことを特徴とする落下防止装置。
【請求項2】
前記対をなす開閉部材同士を回動可能に連結し、前記対をなす移動手段を離す方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす移動手段を前記移動位置に切り替え、前記対をなす移動手段を近付ける方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす先端部を前記挿通位置に切り替えるように構成したことを特徴とする請求項1記載の落下防止装置。
【請求項3】
前記対をなす開閉部材の前記先端部同士を、前記長さ方向にずらして配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の落下防止装置。
【請求項4】
前記対をなす開閉部材の一方に一対の前記先端部を設けると共に、これら一対の先端部が、前記対をなす開閉部材の他方の先端部の前記長さ方向両側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の落下防止装置。
【請求項5】
前記対をなす開閉部材の基端側に、前記対をなす先端部を開閉操作する開閉操作部が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば高速道路等のトンネルには、側壁に設置した各種の設備やコンクリート内壁面を点検するために監視員通路が設けられ、この監視員通路には手摺が設けられている(例えば特許文献1)。
【0003】
前記手摺は一般的に鋼製で耐腐食処理を施しているが、経年的な劣化や、道路の凍結剤の影響などにより劣化し易く、その補修又は交換作業に費用を要するという問題がある。
【0004】
一方、高所作業では、屋根に支柱である支持部を間隔を置いて複数設け、複数の支持部の上部に棒部材を設け、この棒部材に命綱を連結する命綱係合装置が提案されている(例えば特許文献2)。
【0005】
上記特許文献2の装置では、棒部材に所定間隔で支持部が設けられており、連続して移動する際には、支持部箇所でその都度フックを外す必要があるため、連続移動ができず、作業性が低下するという問題がある。
【0006】
この問題を解決するものとして、壁面部(被取付部に相当)に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部を有するガイドレール部材と、前記ガイドレール部材に設けられ、長さ方向に連続するスリット部(開口部)と、この中空部内を長さ方向に移動可能に設けられたガイド部材(移動体)と、このガイド部材に設けられ、命綱(落下防止用連結部材)を連結する係止部(連結受け部)を備える転落防止装置(例えば特許文献3)が提案されている。
【0007】
上記特許文献3の装置では、ガイド部材を連続して移動することができるが、レール部材の途中でガイド部材を出し入れすることができず、レール部材の端部の開口からガイド部材を出し入れする必要があり、レール部材が長く連続すると、ガイド部材の装着作業が煩雑となる。
【0008】
これに対して、支柱(被取付部に相当)に取り付けられ、長さ方向に連続する手摺(ガイドレール)と、この手摺に設けられ前記支柱側から突出した連結部(突出部)、及び、この連結部の先端側の厚さより幅広で基端側の幅方向中央側に前記連結部の先端が接続された手摺(係止部)と、前記手摺の長さ方向に移動可能に設けられた命綱支持装置(移動体)と、この命綱支持装置に対をなして設けられ、前記連結部を挟んで前記手摺の基端側に配置される車輪(移動手段)と、(落下防止用連結部材)を連結するリング部(連結受け部)とを備え、対をなす前記車輪の一方が前記手摺の基端側と外部との間で回動可能に設けられている高機能命綱支持装置(例えば特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-76293号公報
【特許文献2】実用新案登録第3192243号公報
【特許文献3】国際公開第2013/002160号
【特許文献4】特開2010-240327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記高機能命綱支持装置は、対をなす車輪の一方が手摺の基端側と外部との間で回動可能に設けられているため、手摺の長さ方向途中で命綱支持装置を着脱することができる。
【0011】
しかし、複数の車輪により手摺を外側からチェックする構造であるため、複数の車輪が外部に露出し、露出した車輪が外部に接触する虞がある。
【0012】
解決しようとする課題は、高所やトンネル監視員通路などにおいて、移動手段の露出が少なく、連続して移動が可能な落下防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、被取付部に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部を有するガイドレールと、前記ガイドレールに設けられ、長さ方向に連続する開口部と、対をなす開閉部材を有し、これら対をなす開閉部材の先端部が開閉可能に設けられた開閉体と、対をなす前記先端部に設けられ、移動位置において前記中空部内を長さ方向に移動可能に設けられる対をなす移動手段と、前記開閉体に設けられ、落下防止用連結部材を連結する連結受け部とを備え、前記対をなす先端部の開閉動作により、前記対をなす移動手段が前記ガイドレール内に係止する前記移動位置と、前記対をなす先端部が前記開口部を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、前記対をなす開閉部材同士を回動可能に連結し、前記対をなす移動手段を離す方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす移動手段を前記移動位置に切り替え、前記対をなす移動手段を近付ける方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす先端部を前記挿通位置に切り替えるように構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、前記対をなす開閉部材の前記先端部同士を、前記長さ方向にずらして配置したことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、前記対をなす開閉部材の一方に一対の前記先端部を設けると共に、これら一対の先端部が、前記対をなす開閉部材の他方の先端部の前記長さ方向両側に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、前記対をなす開閉部材の基端側に、前記対をなす先端部を開閉操作する開閉操作部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の構成によれば、対をなす先端部の開閉動作により、対をなす先端部を挿通位置とし、対をなす先端部を開口部からガイドレールに内部に挿入した後、対をなす先端部の開閉動作により移動手段を移動位置として抜け止め状態とし、ガイドレールの途中で開口部を挿通してガイドレールに開閉体を着脱することができる。このようにして連結した開閉体の連結受け部に落下防止用連結部材の一側を連結し、落下防止用連結部材の他側を作業員などに連結することにより落下が防止され、作業員の移動に伴って開閉体の移動手段がガイドレール内を移動するため、作業員の連続移動が可能となる。また、移動手段をガイドレール内に装着するから、移動手段の露出が少なく済む。
【0019】
請求項2の構成によれば、対をなす移動手段を近付ける方向に対をなす開閉部材を回動して、対をなす先端部の開口部幅方向の寸法を縮小し、これにより対をなす先端部を開口部に挿通可能とし、挿通後、対をなす移動手段を離す方向に対をなす開閉部材を回動して対をなす移動手段を前記移動位置に切り替え、ガイドレールに開閉体を連結することができる。
【0020】
請求項3の構成によれば、先端部同士をガイドレールの長さ方向にずらすことにより、挿通位置での先端部同士の干渉を防止することができる。
【0021】
請求項4の構成によれば、一方の一対の先端部の移動手段が、開口部幅方向の一方側でガイドレールの内側に係止し、他方の先端部の移動手段が、開口部幅方向の他方側でガイドレールの内側に係止し、このように他方側の一か所で移動手段が係止する共に、この他方側の一か所をガイドレールの長さ方向で挟む位置の一方側の2か所で移動手段が係止するから、3か所の移動手段により安定して移動することができる。
【0022】
請求項5の構成によれば、ガイドレールの外側の開閉操作部により、ガイドレール内の対をなす先端部を開閉操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図5】本発明の実施例2を示す移動位置の装置の正面図である。
【
図8】本発明の実施例3を示す移動位置の装置の正面図である。
【
図10】同上、開閉体の先端部の拡大平面図である。
【
図12】同上、ロック手段の操作を説明する一部を切り欠いた装置の正面図である。
【
図14】本発明の実施例4を示す移動位置の装置の正面図である。
【
図15】本発明の実施例5を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0025】
本発明の実施例1を
図1~
図4を参照して説明する。同図はトンネル1の監視員通路2に落下防止装置3を適用した例であり、内部に中空部4を有するガイドレール5がトンネル1の長さ方向に連続して設けられ、前記監視員通路2の外側に位置するトンネル1の縦方向の内壁面6が、前記ガイドレール5の被取付部である。
【0026】
前記ガイドレール5内には、該ガイドレール5の全長に連続するスリット状の開口部7が設けられている。尚、ガイドレール5は、被取付部たる内壁面6側が後側である。
【0027】
前記ガイドレール5は、前記内壁面6に当接する後板部11と、この後板部11の上下に設けた上板部12及び下板部13と、間に前記開口部7が設けられた上前板部14U及び下前板部14Sとを一体に備え、例えば断面略長方形形状のC型鋼などからなる。また、前記上板部12と下板部13は相互に平行で同一幅を有し、前記ガイドレール5は縦寸法が幅寸法より大きくてもよく、前記縦寸法と前記横寸法が同じでも、前記縦寸法が前記横寸法より小さくてもよく、前記縦寸法と前記横寸法の大きさは制約されない。
【0028】
尚、開口部7の幅方向(ガイドレール5の上下方向)が一側方向であり、ガイドレール5の幅方向が、前記一側方向に交差する他側方向である。そして、前記一側方向の一方側に上板部12が位置すると共に、他方側に下板部13が位置し、また、前記他側方向の一方側に前記後板部11が位置すると共に、他方側に上,下前板部14U,14S及び開口部7が位置する。
【0029】
前記開口部7に対応して前記後板部11には、ガイドレール5の長さ方向に間隔を置いて複数の透孔15(
図4)が穿設され、この透孔15に挿通した固定部材により、前記後板部11が前記内壁面6に取り付けられる。前記固定部材としてはコンクリートに固定可能な螺子16やコンクリートアンカーなどが例示される。尚、開口部7は
図1に示す横方向に限定されず、上方向と下方向のいずれかでもよい。
【0030】
また、前記透孔15は前記開口部7の高さと略同じ位置に設けられ、外部から前記開口部7を挿通して前記透孔15に前記螺子16を挿通することができ、開口部7に挿通した螺子16の先端側を内壁面6に定着することにより、内壁面6にガイドレール5を取り付けることができる。また、取付後は、前記開口部7を通して前記螺子16を視認して点検することができる。
【0031】
前記螺子16は、頭部16Tに工具係合溝(図示せず)を有する平螺子や皿螺子が用いられ、この例では皿螺子が用いられ、この皿螺子の頭部16Tを収納するテーパー状孔部15Tが、前記透孔15の外側に設けられている。尚、前記工具係合溝は、マイナスドライバーやプラスドライバーが係合するマイナス溝や十字溝が例示される。
【0032】
また、
図2及び
図3に示すように、前記後板部11の上部を上板部12の上方に延長した延長部11Eを設け、この延長部11Eを、ボルトなどの固定手段17により前記内壁面6に固定しても良い。尚、
図1では前記螺子16によりガイドレール5を内壁面6に固定している。
【0033】
前記落下防止装置3は開閉体8を備え、この開閉体8は対をなす開閉部材21,31を有する。これら対をなす開閉部材21,31はガイドレール5の幅方向に長い略板状の開閉部材本体22,32を有し、これら開閉部材本体22,32同士は、その中央側をガイドレール5の長さ方向の回動中心軸23により回動可能に連結されている。また、対をなす開閉部材本体22,32の先端に軸部24,34を設け、これら軸部24,34に移動手段たる車輪25,35が回動可能に設けられている。尚、前記軸部24,34及び車輪25,35は、開閉部材21,31の先端部26,36の一部を構成する。また、軸部24,34同士及び車輪25,35同士は同一構成である。
【0034】
尚、前記回動中心軸23の位置よりガイドレール5側が開閉部材21,31の先端側であり、反ガイドレール側が開閉部材21,31の基端側である。また、前記先端部26,36は、
図3に示す移動位置において、車輪25,35が上,下前板部14U,14Sに当接した状態で、開閉部材21,31の先端側のガイドレール5内に入る部分である。
【0035】
前記移動位置において、一方の前記開閉部材21の軸部24は、前記開閉部材本体22の先端に上向きに設けられ、他方の前記開閉部材31の軸部34は、前記開閉部材本体32の先端に下向きに設けられ、この例では、少なくとも、それら軸部24,34の車輪25,35を設けた部分は、開閉部材本体22,32と直交して設けられている。
【0036】
前記開閉部材21の基端側には、落下防止用連結部材たる命綱9を連結する連結受け部たる透孔27が穿設されている。
【0037】
前記開閉部材本体32には、横向きにした先端側に対して、基端側が斜め上向きになるように屈曲部38が形成され、両開閉部材本体22,32の回動中心軸23位置より基端側の部分によって、前記先端部26,36を開閉操作する開閉操作部29を構成している。尚、前記屈曲部38の角度は、
図3の挿通位置に示すように、両開閉部材21,31の基端側を平行にすると、先端部26,36が近付いて、先端部26,36が前記開口部7を挿通可能となるような角度に設定されている。尚、
図3に示すように、挿通位置で、先端部26,36の開口部幅方向の寸法Hは、開口部7の幅寸法より小さい。
【0038】
尚、車輪25,35を設けた先端部26,36は、車輪25,35を近付けて挿通位置に回動する際、両者が干渉しないように、車輪25,35をガイドレール5の長さ方向に位置をずらして配置している。即ち、
図2及び
図3の状態で、車輪35を設けた先端部36は、図中手前側に位置し、車輪25を設けた先端部26は図中奥側に位置する。このため開閉部材本体22,32の先端側は、平面において相互の間隔が広がるように形成されている。尚、車輪25,35同士を左と右にずらしたり、逆に右と左にずらしたりしてもよい。
【0039】
そして、
図2に示すように、対をなす開閉部材本体22,32の先端側を横向きにすると、前記挿通位置で、先端部26,36の軸部24,34が上,下方向を向き、車輪25,35が開口部7の上,下前板部14S,14Sの内面に抜け止め状態で係止可能な前記移動位置となる。尚、前記挿通位置で、前記車輪25の外面(
図3中で上面)と車輪35の外面(
図2中で下面)は平行になる。
【0040】
また、車輪25,35が移動位置で、前記開閉部材21,31の開閉を固定するロック手段41を備える。この例のロック手段41は、開閉部材21の開閉部材本体22の基端側に設けられ、開閉部材31の開閉部材本体32に係止(
図2)して開閉部材21,31の開閉をロックし、逆に前記係止を解除(
図3)し、ロック解除状態にして開閉可能とするものである。
【0041】
また、車輪25,35を設けた先端部26,36の挿通位置において、前記開閉部材21,31の開閉を固定するロック手段42を備える。この例のロック手段42は、開閉部材21の開閉部材本体22の先端側に設けられ、開閉部材31の開閉部材本体32に係止(
図3)して開閉部材21,31の開閉をロックし、逆に前記係止を解除(
図2)し、ロック解除状態にして開閉可能とするものである。
【0042】
次に、前記落下防止装置3の使用方法について説明する。
図2に示すように、車輪25,35をガイドレール5内に配置して移動位置とし、ロック手段41により開閉体8の開閉をロックし、開閉体8の透孔27と作業員とを命綱9により連結した状態で、作業員が監視員通路2を移動すると、車輪25,35がガイドレール5の上,下前板部14U,14Sの内面に転動しながら、ガイドレール5に沿って移動し、途中で付け替えることなく、連続した移動が可能となる。尚、この例では、ガイドレール5の上,下前板部14U,14Sの内面が、移動位置の車輪25,35が抜け止め状態で係止する移動手段用係止受け部である。
【0043】
また、ロック手段41によるロックを解除し、ガイドレール5の外部に位置する開閉操作部29を用いて開閉部材21,31の先端部26,36を近付けるように回動すると、先端部26,36が開口部7を挿通可能となり、ガイドレール5の途中で開閉体8をガイドレール5から引き抜くようにして取り外すことができる。尚、開閉操作部29において、開閉部材本体32の基端側を開閉部材本体22の基端側に近付けるように回動すると、開閉部材本体22,32の先端部26,36が開く。
【0044】
逆に、ガイドレール5の外部から先端部26,36及び車輪25,35を開口部7に挿通し、開閉操作部29を用いて車輪25,35同士が離れるように開閉部材21,31を回動すると、車輪25,35が移動位置となる。尚、挿通位置において、必要により、ロック手段42により開閉をロックすることができる。
【0045】
このように本実施例では、請求項1に対応して、被取付部たる内壁面6に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部4を有するガイドレール5と、ガイドレール5に設けられ、長さ方向に連続する開口部7と、対をなす開閉部材21,31を有し、これら対をなす開閉部材21,31の先端部26,36が開閉可能に設けられた開閉体8と、対をなす先端部26,36に設けられ、移動位置において中空部4内を長さ方向に移動可能に設けられる対をなす移動手段たる車輪25,35と、開閉体8に設けられ、落下防止用連結部材たる命綱9を連結する連結受け部たる透孔27とを備え、対をなす先端部26,36の開閉動作により、対をなす車輪25,35がガイドレール5に係止する前記移動位置と、対をなす先端部26,36が開口部7を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成したから、対をなす先端部26,36の開閉動作により、対をなす先端部26,36を挿通位置とし、対をなす先端部26,36を開口部7からガイドレール5に内部に挿入した後、対をなす先端部26,36の開閉動作により車輪25,35を移動位置として抜け止め状態とし、ガイドレール5の途中で開口部7を挿通してガイドレール5に開閉体8を着脱することができる。このようにして連結した開閉体8の透孔27に命綱9の一側を連結し、命綱9の他側を作業員などに連結することにより落下が防止され、作業員の移動に伴って開閉体8の車輪25,35がガイドレール5内を移動するため、作業員の連続移動が可能となる。
【0046】
また、移動手段たる車輪25,35をガイドレール5内に装着するから、移動手段の露出が少ない。
【0047】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、対をなす開閉部材21,31同士を回動可能に連結し、対をなす車輪25,35を離す方向に対をなす開閉部材21,31を回動して対をなす移動手段たる車輪25,35を前記移動位置に切り替え、対をなす車輪25,35を近付ける方向に対をなす開閉部材21,31を回動して対をなす先端部26,36を前記挿通位置に切り替えるように構成したから、対をなす車輪25,35を近付ける方向に対をなす開閉部材21,31を回動して、対をなす先端部26,36の開口部幅方向の寸法を縮小し、これにより対をなす先端部26,36を開口部7に挿通可能とし、挿通後、対をなす車輪25,35を離す方向に対をなす開閉部材21,31を回動して対をなす車輪25,35を前記移動位置に切り替え、ガイドレール5に開閉体8を連結することができる。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、対をなす開閉部材21,31の先端部26,36同士を、前記長さ方向にずらして配置したから、先端部26,36同士をガイドレール5の長さ方向にずらすことにより、挿通位置での先端部26,36同士の干渉を防止することができる。
【0049】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、対をなす開閉部材21,31の基端側に、対をなす先端部26,36を開閉操作する開閉操作部29が設けられているから、ガイドレール5の外側の開閉操作部29により、ガイドレール5内の対をなす先端部26,36を開閉操作することができる。
【0050】
以下、実施例上の効果として、車輪25,35を設けた先端部26,36は、車輪25,35を近付けて挿通位置に回動する際、両者が干渉しないように、車輪25,35をガイドレール5の長さ方向に位置をずらして配置しているから、挿通位置で、先端部26,36同士が当たることがない。また、挿通位置で先端部26,36の開口部幅方向端部の間に、車輪25,35が位置するから、即ち、
図3に示すように、寸法H内に車輪25,35が収まっているから、抜き取る際、開口部7に車輪25,35が当たることを防止できる。さらに、一方の開閉部材本体22を開口部幅方向と交差方向(
図3中、横向き)に配置した状態で、横向きのまま開閉部材本体22を開口部7の下縁に沿って、先端部26,36を抜き取ることができる。また、
図3に示すように、正面視で先端部26,36を重ね合わせるようにして、前記寸法Hを効率よく縮小することができる。さらに、ガイドレール5の上前板部14Uは、移動位置の軸部24と平行な平坦面であり、下前板部14Sは、移動位置の軸部34と平行な平坦面であるから、それら平坦面に沿って車輪25,35が安定して回動することができる。
【実施例0051】
図5~
図7は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、一方の開閉部材21に一対の車輪25,25を長さ方向に離して設けている。
【0052】
図7の底面図に示すように、一方の開閉部材21の開閉部材本体22の左右方向中央には、先端側から基端側に向かって開口する中央開口部45を形成し、この中央開口部45の基端45Kは前記透孔27に近接し、前記中央開口部45の基端45Kから先端側に向かって、開閉部材本体22は、二股状をなす左右の分割腕部22A,22Aを有する。これら左右の分割腕部22A,22Aの先端に、前記軸部24と車輪25をそれぞれ設け、軸部24及び車輪25を有する先端部26,26を構成している。
【0053】
そして、それら左右一対の車輪25,25が、他方の開閉部材31の車輪35をガイドレール5の長さ方向両側から挟む位置にずらし、且つ移動位置で先端部26,26が干渉しないように設けられている。尚、中央開口部45の先端側45Sは先端側に向かって拡大する略V字状をなし、中央開口部45の基端45K側は略左右同一定幅をなす。
【0054】
また、他方の開閉部材31の開閉部材本体32は略左右一定幅の帯板状をなし、この帯板状の開閉部材本体32が前記中央開口部45内に遊挿され、前記回動中心軸23を有する回動連結部46により、開閉部材21,31同士が回動可能に連結されている。具体的には、前記回動連結部46は、前記回動中心軸23を前記開閉部材本体32の屈曲部38側に固定し、その回動中心軸23の両端を軸受47,47により回動可能に軸支し、それら軸受47,47を前記開閉部材本体22に固定してなる。
【0055】
また、一方の開閉部材21は、実施例1に比べて軸部24を短く形成し、前記開閉部材本体22の分割腕部22A,22Aの長さ方向中央側に屈曲部48,48を形成すると共に、その短い軸部24,24の基端に分割腕部22A,22Aの先端を連結している。また、他方の開閉部材31も、実施例1に比べて軸部24を短く形成すると共に、この短い軸部24の基端に開閉部材本体32の先端を連結している。
【0056】
こうすると、
図6に示すように、挿通位置で開閉体8の上下幅である前記寸法Hを狭くすることができる。
【0057】
また、上下の前記軸部24,24,34の先端に、上の車輪25の上面から突出するスペーサ49を設けると共に、下の車輪25の下面から突出するスペーサ49を設けている。尚、スペーサ49は車輪25,35より小さいローラでもよい、このローラはガイドレール5の幅方向の軸部に回動自在に設けられる。尚、
図5に示すように、移動位置で、上部のスペーサ49と上板部12との間には、隙間が設けられる。
【0058】
従って、上下のスペーサ49,49により開口部7に対して車輪25,35の上下位置が略位置決めされた状態で使用することができる。
【0059】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0060】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、対をなす開閉部材21,31の一方たる開閉部材21に一対の先端部26,26を設けると共に、これら一対の先端部26,26が、対をなす開閉部材21,31の他方である開閉部材31の先端部36の前記長さ方向両側に配置されているから、一方の一対の先端部26,26の車輪25,25が、開口部幅方向の一方側でガイドレール5の内側に係止し、他方の先端部36の車輪35が、開口部幅方向の他方側でガイドレール5の内側に係止し、このように他方側の一か所で車輪35が係止する共に、この他方側の一か所をガイドレール5の長さ方向で挟む位置の一方側の2か所で車輪25,25が係止可能とするから、3か所の車輪25,25,35により、安定して移動することができる。
【0061】
以下、実施例上の効果として、実施例上の効果として、一方の開閉部材本体22に、他方の開閉部材本体32の基端側を収納する中央開口部45を設けたから、挿通位置で、開閉部材本体22,32を同一平面状にし、前記ロック手段42によりロックした状態で、ガイドレール5から取り外すことができる。さらに、開閉部材本体22の分割腕部22A,22Aの中央側に屈曲部48,48を形成して軸部24,34を短くしたから、挿通位置で前記寸法Hを小さくすることができる。
【実施例0062】
図8~
図13は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の開閉体8は、
図8に示す移動位置で、開閉部材21,31の開閉部材本体22,32の基端側が略平行となり、挿通位置で、開閉部材21,31の基端側が開くものである。また、開閉部材21は左右一対の車輪25,25を有し、開閉部材31は1つの車輪35を有する。
【0063】
一方の開閉部材21の開閉部材本体22は、幅方向両側に側板部51,51を設けて断面略コ字形をなす。また、他方の開閉部材31の開閉部材本体32は、幅方向両側に側板部61,61を設けて断面略コ字形をなす。また、
図9などに示すように、他方の開閉部材31の側板部61,61の外側に、それら両側の側板部61,61を挟むようにして、一方の側板部51,51が配置されている。
【0064】
そして、それら側板部51,51,61,61に前記回動中心軸23を挿通し、この回動中心軸23により対をなす開閉部材21,31が回動自在に連結されている。尚、前記移動位置で、他方の開閉部材31の側板部61,61の内縁部62,62と一方の開閉部材21の開閉部材本体22の内面22Nとの間には隙間が設けられている。
【0065】
また、対をなす開閉部材本体22,32の間には、先端部26の車輪25,25と先端部36の車輪35とを近付ける方向に、開閉部材21,31を付勢する付勢手段たるトーションスプリング53が配置されている。そして、前記トーションスプリング53の輪部53Wに前記回動中心軸23が挿通され、そのトーションスプリング53の両端部53T,53Tが対をなす開閉部材本体22,32の内面22N,32Nに係止し、トーションスプリング53が開閉部材本体22,32の基端側を開くように付勢している。
【0066】
さらに、車輪25,25,35を移動位置に位置固定するロック手段54を備える。このロック手段54は、開閉部材21の両側板部51,51に略L字形の操作用長孔55,55を設け、この操作用長孔55の先端側に、他方の開閉部材本体32側に凹んだ係止受け部55Kを設け、この係止受け部55Kにロック杆56が係脱する。そのロック杆56は両端部に径小部56K,56Kを有し、これら径小部56K,56Kが前記両操作用長孔55,55に沿って移動可能に設けられている。また、ロック手段54には、前記開閉部材31の両側板部61,61の基端側に、前記ロック杆56に係脱可能なフック状の係止部63,63が設けられている。
【0067】
図11に示すように、他方の開閉部材31の開閉部材本体32の先端側は、その基端側と略同一幅で、その開閉部材本体32の先端に、前記軸部34と前記車輪35を設け、これら軸部34及び車輪35を有する先端部36を構成している。尚、
図11の底面図では、理解を容易にするため、開閉部材21の両先端部26,26は図示省略している。
【0068】
また、
図10の平面図などに示すように、開閉部材本体22の先端に、先端側が開口した中央側の中央開口部45Aが設けられていると共に、その中央開口部45Aにより左右に分割された分割腕部たる先端取付部22C,22Cが設けられている。そして、一方の開閉部材21の先端に、左右に離れた左右の先端取付部22C,22Cを設けることにより、一方の左右の先端部26,26が他方の先端部36の長さ方向両側に位置すると共に、前記先端部26,26,36同士が、前記挿通位置で干渉しないように、前記長さ方向にずらして配置されている。
【0069】
車輪25,35には、軸部24,34と同軸な取付軸71,71が設けられ、この取付軸71は螺子棒であり、前記先端取付部22C,32Cの透孔に取付軸71,71を挿通し、この取付軸71,71の先端にナット71N,71Nを螺合することにより、先端取付部22C,32Cに車輪25,35が取り付けられている。尚、取付軸71及びナット71Nは先端部26,36の一部を構成する。
【0070】
そして、前記左右の先端取付部22C,22Cに、前記軸部24と車輪25をそれぞれ設け、これら軸部24及び車輪25を有する先端部26,26を構成している。尚、
図10に示すように、中央開口部45Aは他方の開閉部材31のナット71Nを挿入可能な大きさを有する。尚、前記ナット71N及び取付軸71が、先端取付部22Cに車輪25を取り付ける車輪取付部材である。このように前記中央開口部45Aは、挿通位置において、他方の先端部36の一部を収納可能なものである。
【0071】
また、
図8などに示すように、対をなす開閉部材21,31の前記先端部26,36は、正面視において、先端側に向かって間隔が拡大する拡大部22B,32Bを有し、この拡大部22B,32Bの先端に車輪25,35を取り付ける前記先端取付部22C,32Cが設けられ、移動位置で、対をなす前記先端取付部22C,32Cは平行をなす。このため拡大部22B,32Bの両端には、開閉部材本体22,32を屈曲した屈曲部22K,22K,32K,32Kが設けられている。
【0072】
図8に示したように、前記係止受け部55K,55Kに係止した前記ロック杆56に、係止部63,63が係止した状態では、対をなす開閉部材本体22,32が平行に保持され、車輪25,25,35が移動位置に保持される。また、開閉部材本体22,32の回動中心軸23の位置より基端側が、先端部26,36を開閉操作する前記開閉操作部29である。尚、挿通位置において、開閉部材本体22,32の基端側が
図8の位置からさらに開かないようにするストッパを、開閉部材本体22,32に設けてもよい。
【0073】
この移動位置から開閉体8の基端側を狭めるようにして、開閉部材31の側板部61,61を開閉部材21側に回動すると、ロック杆56から係止部63が外れ、操作用長孔55に沿ってロック杆56が移動可能となり、ロック杆56を長孔55の基端側に移動すると、開閉体8が回動可能となり、トーションスプリング53の回動付勢により、車輪25,25と車輪35が近付くように開閉部材21,31が回動し、車輪25,25,35が挿通位置になる。
【0074】
尚、
図13に示すように、挿通位置での寸法Hは開口部7の幅寸法より小さい。また、例えば、開閉部材本体22,32の一方である開閉部材本体22の基端側を横向きとし、車輪25の上面と、この上面と平行で車輪35の図中下角部とを通る仮想線(図示せず)との間隔は前記寸法Hより小さくなり、例えば、開閉部材本体22の基端側を横向きにした姿勢で、開閉体8の先端部26,36を開口部7に挿通してもよい。
【0075】
このように本実施例では、対をなす先端部26,26,36の開閉動作により、対をなす車輪25,25,35がガイドレール5内の前記開口部7の両側の内縁部に係止する前記移動位置と、対をなす先端部26,26,36が開口部7を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成したから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0076】
以下、実施例上の効果として、開閉部材本体22,32の基端側が側板部51,51,61,61を有し、略コ字形をなすから、開閉操作などに適したものとなる。また、先端部26の車輪25,25と先端部36の車輪35とを近付ける方向に、開閉部材21,31を付勢する付勢手段たるトーションスプリング53が配置され、さらに、車輪25,25,35を移動位置に位置固定するロック手段54を備えるから、ロック手段54により移動位置に位置固定して使用し、ロック手段54のロックを解除することにより、自動的に挿通位置とすることができる。また、挿通位置で、正面視で車輪25,35同士が重なり合わないように構成したから、中央開口部45Aは他方の先端部36の一部を収納可能なもので済むため、一対の車輪25,25を近接して配置することができるため、開閉体8の先端側の幅寸法を抑えることができると共に、車輪25,35,25がガイドレール5の長さ方向に近接し、安定した移動が可能となる。
【実施例0077】
図14は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の移動手段は球形の車輪25A,35Aからなり、これら車輪25A,35Aは前記軸部24,34に回動自在に設けられている。
【0078】
このように本実施例では、対をなす先端部26,26,36の開閉動作により、対をなす車輪25A,25A,35Aがガイドレール5の前記開口部7両側の内縁部に係止する前記移動位置と、対をなす先端部26,26,36が開口部7を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成したから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【実施例0079】
図15は本発明の実施例5を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、開閉体8の位置を検出する装置を、該開閉体8に設けている。
【0080】
トンネル1や道路などにおいてキロポスト(図示せず)がある場合は、このキロポストを撮像する位置検出手段121たる撮像手段を前記開閉体8に設ける。また、キロポストがない場合は、前記ガイドレール5の内面又は外面に位置情報表示部(図示せず)を設ける。
【0081】
一方、ガイドレール5の内面の位置情報表示部を撮像する場合は、撮像可能な位置で開閉体8に撮像手段を設け、或いは、ガイドレール5の外面に設けた位置情報表示部を撮像する場合は、移動位置で、開閉体8のガイドレール5の外部となる部分に撮像手段を配置する。
【0082】
前記開閉体8には、制御手段122と通信手段123が設けられ、前記撮像手段による撮像データにより制御手段122が開閉体8の現在位置を検出し、現在位置のデータを通信手段123により外部通信手段124に転送し、外部通信手段124を備えた携帯機器125が現在位置を表示し、その携帯機器を作業者などが携帯する。
【0083】
また、前記位置検出手段121として、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)の受信器を用いることができ、この受信器により受信した位置情報から前記制御手段122が開閉体8の現在位置を検出する。
【0084】
また、前記撮像手段又はGNSSの受信器に、移動距離検出手段(図示せず)を組み合わせてもよい。前記位置検出手段121としては、走行用の車輪25,25A,35,35Aの回転を検出するエンコーダーなどを用いることができ、車輪25,25A,35,35Aの回転により開閉体8の移動量を検出することができる。このためキロポストの間や、GNSSの信号の受信できない場所でも開閉体8の位置を検出することができる。
【0085】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。また、この例では位置検出手段121により開閉体8の位置を検出することができ、これを外部通信手段124により受信して作業者などに知らせることができる。
【0086】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、ガイドレールには、開口部を前側に設けたが、被取付部に取り付ける後部を除いて、開口部を上部(上面部)や下部(下面部)に設けてもよい。また、中空部を有するガイドレールの断面形状は実施例に限定されず、中空部と開口部を有するものであれば、各種のものを用いることでき、例えば、角パイプ形状で、1つの面に開口部を有するものや、断面C字形のものでもよい。また、実施例1では、伸縮機構などにより対をなす先端部が離れたり近付いたりして開閉するものでもよい。さらに、開閉部材本体は、棒状のものでもよく、棒状の場合は、開閉部材本体の基端にリング部を一体に設け、このリング部に前記連結受け部を構成してもよい。また、ガイドレールの被取付部への取付構造は適宜選定可能である。また、実施例1において、実施例2のガイドレールを用いても良い。また、ロック手段41,42,54は各種の構造のものを用いることができる。また、実施例1で示したロック手段41,42を、各実施例のものに用いることができる。さらに、各実施例の構成を組み合わせることができる。さらに、ガイドレールの向きは実施例に限定されず、開口部を下向きや上向きにしてもよい。さらに、実施例の移動手段を他の実施例の移動手段に代えて用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
3 落下防止装置
4 中空部
5 ガイドレール
6 内壁面(被取付部)
7 開口部
8 開閉体
9 命綱(落下防止用連結部材)
8 開閉体
21,31 開閉部材
25 車輪(移動手段)
26 先端部
27 透孔(連結受け部)
31 開閉部材
35 車輪(移動手段)
36 先端部
【手続補正書】
【提出日】2020-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部を有するガイドレールと、
前記ガイドレールに設けられ、長さ方向に連続する開口部と、
対をなす開閉部材を有し、これら対をなす開閉部材の先端部が開閉可能に設けられた開閉体と、
対をなす前記先端部に設けられ、移動位置において前記中空部内を長さ方向に移動可能に設けられる対をなす移動手段と、
前記開閉体に設けられ、落下防止用連結部材を連結する連結受け部とを備え、
前記対をなす先端部の開閉動作により、前記対をなす移動手段が前記ガイドレール内に係止する前記移動位置と、前記対をなす先端部が前記開口部を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成した落下防止装置において、
前記対をなす開閉部材同士を、該対をなす開閉部材の中央側で、前記長さ方向の回動中心軸により回動可能に連結し、前記対をなす移動手段を離す方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす移動手段を前記移動位置に切り替え、前記対をなす移動手段を近付ける方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす先端部を前記挿通位置に切り替えるように構成し、
前記対をなす開閉部材の基端側を前記回動中心軸を中心に開閉して前記対をなす先端部を開閉操作することを特徴とする落下防止装置。
【請求項2】
前記被取付部がトンネルの内壁面であることを特徴とする請求項1記載の落下防止装置。
【請求項3】
前記移動手段が車輪であり、前記移動位置において前記車輪が前記ガイドレールの内面に転動しながら前記長さ方向に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の落下防止装置。
【請求項4】
前記対をなす開閉部材の前記先端部同士を、前記長さ方向にずらして配置したことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の落下防止装置。
【請求項5】
前記対をなす開閉部材の一方に一対の前記先端部を設けると共に、これら一対の先端部が、前記対をなす開閉部材の他方の先端部の前記長さ方向両側に配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の落下防止装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば高速道路等のトンネルには、側壁に設置した各種の設備やコンクリート内壁面を点検するために監視員通路が設けられ、この監視員通路には手摺が設けられている(例えば特許文献1)。
【0003】
前記手摺は一般的に鋼製で耐腐食処理を施しているが、経年的な劣化や、道路の凍結剤の影響などにより劣化し易く、その補修又は交換作業に費用を要するという問題がある。
【0004】
一方、高所作業では、屋根に支柱である支持部を間隔を置いて複数設け、複数の支持部の上部に棒部材を設け、この棒部材に命綱を連結する命綱係合装置が提案されている(例えば特許文献2)。
【0005】
上記特許文献2の装置では、棒部材に所定間隔で支持部が設けられており、連続して移動する際には、支持部箇所でその都度フックを外す必要があるため、連続移動ができず、作業性が低下するという問題がある。
【0006】
この問題を解決するものとして、壁面部(被取付部に相当)に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部を有するガイドレール部材と、前記ガイドレール部材に設けられ、長さ方向に連続するスリット部(開口部)と、この中空部内を長さ方向に移動可能に設けられたガイド部材(移動体)と、このガイド部材に設けられ、命綱(落下防止用連結部材)を連結する係止部(連結受け部)を備える転落防止装置(例えば特許文献3)が提案されている。
【0007】
上記特許文献3の装置では、ガイド部材を連続して移動することができるが、レール部材の途中でガイド部材を出し入れすることができず、レール部材の端部の開口からガイド部材を出し入れする必要があり、レール部材が長く連続すると、ガイド部材の装着作業が煩雑となる。
【0008】
これに対して、支柱(被取付部に相当)に取り付けられ、長さ方向に連続する手摺(ガイドレール)と、この手摺に設けられ前記支柱側から突出した連結部(突出部)、及び、この連結部の先端側の厚さより幅広で基端側の幅方向中央側に前記連結部の先端が接続された手摺(係止部)と、前記手摺の長さ方向に移動可能に設けられた命綱支持装置(移動体)と、この命綱支持装置に対をなして設けられ、前記連結部を挟んで前記手摺の基端側に配置される車輪(移動手段)と、(落下防止用連結部材)を連結するリング部(連結受け部)とを備え、対をなす前記車輪の一方が前記手摺の基端側と外部との間で回動可能に設けられている高機能命綱支持装置(例えば特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-76293号公報
【特許文献2】実用新案登録第3192243号公報
【特許文献3】国際公開第2013/002160号
【特許文献4】特開2010-240327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記高機能命綱支持装置は、対をなす車輪の一方が手摺の基端側と外部との間で回動可能に設けられているため、手摺の長さ方向途中で命綱支持装置を着脱することができる。
【0011】
しかし、複数の車輪により手摺を外側からチェックする構造であるため、複数の車輪が外部に露出し、露出した車輪が外部に接触する虞がある。
【0012】
解決しようとする課題は、高所やトンネル監視員通路などにおいて、移動手段の露出が少なく、連続して移動が可能な落下防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、被取付部に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部を有するガイドレールと、前記ガイドレールに設けられ、長さ方向に連続する開口部と、対をなす開閉部材を有し、これら対をなす開閉部材の先端部が開閉可能に設けられた開閉体と、対をなす前記先端部に設けられ、移動位置において前記中空部内を長さ方向に移動可能に設けられる対をなす移動手段と、前記開閉体に設けられ、落下防止用連結部材を連結する連結受け部とを備え、前記対をなす先端部の開閉動作により、前記対をなす移動手段が前記ガイドレール内に係止する前記移動位置と、前記対をなす先端部が前記開口部を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成した落下防止装置において、前記対をなす開閉部材同士を、該対をなす開閉部材の中央側で、前記長さ方向の回動中心軸により回動可能に連結し、前記対をなす移動手段を離す方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす移動手段を前記移動位置に切り替え、前記対をなす移動手段を近付ける方向に前記対をなす開閉部材を回動して前記対をなす先端部を前記挿通位置に切り替えるように構成し、前記対をなす開閉部材の基端側を前記回動中心軸を中心に開閉して前記対をなす先端部を開閉操作することを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、前記被取付部がトンネルの内壁面であることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、前記移動手段が車輪であり、前記移動位置において前記車輪が前記ガイドレールの内面に転動しながら前記長さ方向に移動可能に構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、前記対をなす開閉部材の前記先端部同士を、前記長さ方向にずらして配置したことを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、前記対をなす開閉部材の一方に一対の前記先端部を設けると共に、これら一対の先端部が、前記対をなす開閉部材の他方の先端部の前記長さ方向両側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の構成によれば、対をなす先端部の開閉動作により、対をなす先端部を挿通位置とし、対をなす先端部を開口部からガイドレールに内部に挿入した後、対をなす先端部の開閉動作により移動手段を移動位置として抜け止め状態とし、ガイドレールの途中で開口部を挿通してガイドレールに開閉体を着脱することができる。このようにして連結した開閉体の連結受け部に落下防止用連結部材の一側を連結し、落下防止用連結部材の他側を作業員などに連結することにより落下が防止され、作業員の移動に伴って開閉体の移動手段がガイドレール内を移動するため、作業員の連続移動が可能となる。また、移動手段をガイドレール内に装着するから、移動手段の露出が少なく済む。
【0019】
加えて、請求項1の構成によれば、対をなす移動手段を近付ける方向に対をなす開閉部材を回動して、対をなす先端部の開口部幅方向の寸法を縮小し、これにより対をなす先端部を開口部に挿通可能とし、挿通後、対をなす移動手段を離す方向に対をなす開閉部材を回動して対をなす移動手段を前記移動位置に切り替え、ガイドレールに開閉体を連結することができる。
【0020】
加えて、請求項1の構成によれば、ガイドレールの外側において、対をなす開閉部材の基端側を回動中心軸を中心に開閉することにより、ガイドレール内の対をなす先端部を開閉操作することができる。
【0021】
請求項2の構成によれば、トンネル内で落下を防止できる。
【0022】
請求項3の構成によれば、車輪の露出が少なく済む。
【0023】
請求項4の構成によれば、先端部同士をガイドレールの長さ方向にずらすことにより、挿通位置での先端部同士の干渉を防止することができる。
【0024】
請求項5の構成によれば、一方の一対の先端部の移動手段が、開口部幅方向の一方側でガイドレールの内側に係止し、他方の先端部の移動手段が、開口部幅方向の他方側でガイドレールの内側に係止し、このように他方側の一か所で移動手段が係止する共に、この他方側の一か所をガイドレールの長さ方向で挟む位置の一方側の2か所で移動手段が係止するから、3か所の移動手段により安定して移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図5】本発明の実施例2を示す移動位置の装置の正面図である。
【
図8】本発明の実施例3を示す移動位置の装置の正面図である。
【
図10】同上、開閉体の先端部の拡大平面図である。
【
図12】同上、ロック手段の操作を説明する一部を切り欠いた装置の正面図である。
【
図14】本発明の実施例4を示す移動位置の装置の正面図である。
【
図15】本発明の実施例5を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0027】
本発明の実施例1を
図1~
図4を参照して説明する。同図はトンネル1の監視員通路2に落下防止装置3を適用した例であり、内部に中空部4を有するガイドレール5がトンネル1の長さ方向に連続して設けられ、前記監視員通路2の外側に位置するトンネル1の縦方向の内壁面6が、前記ガイドレール5の被取付部である。
【0028】
前記ガイドレール5内には、該ガイドレール5の全長に連続するスリット状の開口部7が設けられている。尚、ガイドレール5は、被取付部たる内壁面6側が後側である。
【0029】
前記ガイドレール5は、前記内壁面6に当接する後板部11と、この後板部11の上下に設けた上板部12及び下板部13と、間に前記開口部7が設けられた上前板部14U及び下前板部14Sとを一体に備え、例えば断面略長方形形状のC型鋼などからなる。また、前記上板部12と下板部13は相互に平行で同一幅を有し、前記ガイドレール5は縦寸法が幅寸法より大きくてもよく、前記縦寸法と前記横寸法が同じでも、前記縦寸法が前記横寸法より小さくてもよく、前記縦寸法と前記横寸法の大きさは制約されない。
【0030】
尚、開口部7の幅方向(ガイドレール5の上下方向)が一側方向であり、ガイドレール5の幅方向が、前記一側方向に交差する他側方向である。そして、前記一側方向の一方側に上板部12が位置すると共に、他方側に下板部13が位置し、また、前記他側方向の一方側に前記後板部11が位置すると共に、他方側に上,下前板部14U,14S及び開口部7が位置する。
【0031】
前記開口部7に対応して前記後板部11には、ガイドレール5の長さ方向に間隔を置いて複数の透孔15(
図4)が穿設され、この透孔15に挿通した固定部材により、前記後板部11が前記内壁面6に取り付けられる。前記固定部材としてはコンクリートに固定可能な螺子16やコンクリートアンカーなどが例示される。尚、開口部7は
図1に示す横方向に限定されず、上方向と下方向のいずれかでもよい。
【0032】
また、前記透孔15は前記開口部7の高さと略同じ位置に設けられ、外部から前記開口部7を挿通して前記透孔15に前記螺子16を挿通することができ、開口部7に挿通した螺子16の先端側を内壁面6に定着することにより、内壁面6にガイドレール5を取り付けることができる。また、取付後は、前記開口部7を通して前記螺子16を視認して点検することができる。
【0033】
前記螺子16は、頭部16Tに工具係合溝(図示せず)を有する平螺子や皿螺子が用いられ、この例では皿螺子が用いられ、この皿螺子の頭部16Tを収納するテーパー状孔部15Tが、前記透孔15の外側に設けられている。尚、前記工具係合溝は、マイナスドライバーやプラスドライバーが係合するマイナス溝や十字溝が例示される。
【0034】
また、
図2及び
図3に示すように、前記後板部11の上部を上板部12の上方に延長した延長部11Eを設け、この延長部11Eを、ボルトなどの固定手段17により前記内壁面6に固定しても良い。尚、
図1では前記螺子16によりガイドレール5を内壁面6に固定している。
【0035】
前記落下防止装置3は開閉体8を備え、この開閉体8は対をなす開閉部材21,31を有する。これら対をなす開閉部材21,31はガイドレール5の幅方向に長い略板状の開閉部材本体22,32を有し、これら開閉部材本体22,32同士は、その中央側をガイドレール5の長さ方向の回動中心軸23により回動可能に連結されている。また、対をなす開閉部材本体22,32の先端に軸部24,34を設け、これら軸部24,34に移動手段たる車輪25,35が回動可能に設けられている。尚、前記軸部24,34及び車輪25,35は、開閉部材21,31の先端部26,36の一部を構成する。また、軸部24,34同士及び車輪25,35同士は同一構成である。
【0036】
尚、前記回動中心軸23の位置よりガイドレール5側が開閉部材21,31の先端側であり、反ガイドレール側が開閉部材21,31の基端側である。また、前記先端部26,36は、
図3に示す移動位置において、車輪25,35が上,下前板部14U,14Sに当接した状態で、開閉部材21,31の先端側のガイドレール5内に入る部分である。
【0037】
前記移動位置において、一方の前記開閉部材21の軸部24は、前記開閉部材本体22の先端に上向きに設けられ、他方の前記開閉部材31の軸部34は、前記開閉部材本体32の先端に下向きに設けられ、この例では、少なくとも、それら軸部24,34の車輪25,35を設けた部分は、開閉部材本体22,32と直交して設けられている。
【0038】
前記開閉部材21の基端側には、落下防止用連結部材たる命綱9を連結する連結受け部たる透孔27が穿設されている。
【0039】
前記開閉部材本体32には、横向きにした先端側に対して、基端側が斜め上向きになるように屈曲部38が形成され、両開閉部材本体22,32の回動中心軸23位置より基端側の部分によって、前記先端部26,36を開閉操作する開閉操作部29を構成している。尚、前記屈曲部38の角度は、
図3の挿通位置に示すように、両開閉部材21,31の基端側を平行にすると、先端部26,36が近付いて、先端部26,36が前記開口部7を挿通可能となるような角度に設定されている。尚、
図3に示すように、挿通位置で、先端部26,36の開口部幅方向の寸法Hは、開口部7の幅寸法より小さい。
【0040】
尚、車輪25,35を設けた先端部26,36は、車輪25,35を近付けて挿通位置に回動する際、両者が干渉しないように、車輪25,35をガイドレール5の長さ方向に位置をずらして配置している。即ち、
図2及び
図3の状態で、車輪35を設けた先端部36は、図中手前側に位置し、車輪25を設けた先端部26は図中奥側に位置する。このため開閉部材本体22,32の先端側は、平面において相互の間隔が広がるように形成されている。尚、車輪25,35同士を左と右にずらしたり、逆に右と左にずらしたりしてもよい。
【0041】
そして、
図2に示すように、対をなす開閉部材本体22,32の先端側を横向きにすると、前記挿通位置で、先端部26,36の軸部24,34が上,下方向を向き、車輪25,35が開口部7の上,下前板部14S,14Sの内面に抜け止め状態で係止可能な前記移動位置となる。尚、前記挿通位置で、前記車輪25の外面(
図3中で上面)と車輪35の外面(
図2中で下面)は平行になる。
【0042】
また、車輪25,35が移動位置で、前記開閉部材21,31の開閉を固定するロック手段41を備える。この例のロック手段41は、開閉部材21の開閉部材本体22の基端側に設けられ、開閉部材31の開閉部材本体32に係止(
図2)して開閉部材21,31の開閉をロックし、逆に前記係止を解除(
図3)し、ロック解除状態にして開閉可能とするものである。
【0043】
また、車輪25,35を設けた先端部26,36の挿通位置において、前記開閉部材21,31の開閉を固定するロック手段42を備える。この例のロック手段42は、開閉部材21の開閉部材本体22の先端側に設けられ、開閉部材31の開閉部材本体32に係止(
図3)して開閉部材21,31の開閉をロックし、逆に前記係止を解除(
図2)し、ロック解除状態にして開閉可能とするものである。
【0044】
次に、前記落下防止装置3の使用方法について説明する。
図2に示すように、車輪25,35をガイドレール5内に配置して移動位置とし、ロック手段41により開閉体8の開閉をロックし、開閉体8の透孔27と作業員とを命綱9により連結した状態で、作業員が監視員通路2を移動すると、車輪25,35がガイドレール5の上,下前板部14U,14Sの内面に転動しながら、ガイドレール5に沿って移動し、途中で付け替えることなく、連続した移動が可能となる。尚、この例では、ガイドレール5の上,下前板部14U,14Sの内面が、移動位置の車輪25,35が抜け止め状態で係止する移動手段用係止受け部である。
【0045】
また、ロック手段41によるロックを解除し、ガイドレール5の外部に位置する開閉操作部29を用いて開閉部材21,31の先端部26,36を近付けるように回動すると、先端部26,36が開口部7を挿通可能となり、ガイドレール5の途中で開閉体8をガイドレール5から引き抜くようにして取り外すことができる。尚、開閉操作部29において、開閉部材本体32の基端側を開閉部材本体22の基端側に近付けるように回動すると、開閉部材本体22,32の先端部26,36が開く。
【0046】
逆に、ガイドレール5の外部から先端部26,36及び車輪25,35を開口部7に挿通し、開閉操作部29を用いて車輪25,35同士が離れるように開閉部材21,31を回動すると、車輪25,35が移動位置となる。尚、挿通位置において、必要により、ロック手段42により開閉をロックすることができる。
【0047】
このように本実施例では、請求項1に対応して、被取付部たる内壁面6に取り付けられ、長さ方向に連続する中空部4を有するガイドレール5と、ガイドレール5に設けられ、長さ方向に連続する開口部7と、対をなす開閉部材21,31を有し、これら対をなす開閉部材21,31の先端部26,36が開閉可能に設けられた開閉体8と、対をなす先端部26,36に設けられ、移動位置において中空部4内を長さ方向に移動可能に設けられる対をなす移動手段たる車輪25,35と、開閉体8に設けられ、落下防止用連結部材たる命綱9を連結する連結受け部たる透孔27とを備え、対をなす先端部26,36の開閉動作により、対をなす車輪25,35がガイドレール5に係止する前記移動位置と、対をなす先端部26,36が開口部7を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成した落下防止装置3において、対をなす開閉部材31,31同士を、該対をなす開閉部材31,31の中央側で、前記長さ方向の回動中心軸23により回動可能に連結し、対をなす車輪25,35を離す方向に対をなす開閉部材31,31を回動して対をなす車輪25,35を前記移動位置に切り替え、対をなす車輪25,35を近付ける方向に対をなす開閉部材31,31を回動して対をなす先端部26,36を前記挿通位置に切り替えるように構成し、対をなす開閉部材31,31の基端側を回動中心軸23を中心に開閉して対をなす先端部26,36を開閉操作するから、対をなす先端部26,36の開閉動作により、対をなす先端部26,36を挿通位置とし、対をなす先端部26,36を開口部7からガイドレール5に内部に挿入した後、対をなす先端部26,36の開閉動作により車輪25,35を移動位置として抜け止め状態とし、ガイドレール5の途中で開口部7を挿通してガイドレール5に開閉体8を着脱することができる。このようにして連結した開閉体8の透孔27に命綱9の一側を連結し、命綱9の他側を作業員などに連結することにより落下が防止され、作業員の移動に伴って開閉体8の車輪25,35がガイドレール5内を移動するため、作業員の連続移動が可能となる。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、前記被取付部がトンネル1の内壁面6であるから、トンネル1内で落下を防止できる。
【0049】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、前記移動手段が車輪であり、前記移動位置において車輪25,35がガイドレール5の内面に転動しながら前記長さ方向に移動可能に構成したから、車輪25,35の露出が少なく済む。
【0050】
また、移動手段たる車輪25,35をガイドレール5内に装着するから、移動手段の露出が少ない。
【0051】
加えて、このように本実施例では、請求項1に対応して、対をなす開閉部材21,31同士を、該対をなす開閉部材31,31の中央側で、前記長さ方向の回動中心軸23により回動可能に連結し、対をなす車輪25,35を離す方向に対をなす開閉部材21,31を回動して対をなす移動手段たる車輪25,35を前記移動位置に切り替え、対をなす車輪25,35を近付ける方向に対をなす開閉部材21,31を回動して対をなす先端部26,36を前記挿通位置に切り替えるように構成したから、対をなす車輪25,35を近付ける方向に対をなす開閉部材21,31を回動して、対をなす先端部26,36の開口部幅方向の寸法を縮小し、これにより対をなす先端部26,36を開口部7に挿通可能とし、挿通後、対をなす車輪25,35を離す方向に対をなす開閉部材21,31を回動して対をなす車輪25,35を前記移動位置に切り替え、ガイドレール5に開閉体8を連結することができる。
【0052】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、対をなす開閉部材21,31の先端部26,36同士を、前記長さ方向にずらして配置したから、先端部26,36同士をガイドレール5の長さ方向にずらすことにより、挿通位置での先端部26,36同士の干渉を防止することができる。
【0053】
加えて、このように本実施例では、請求項1に対応して、対をなす開閉部材21,31の基端側を回動中心軸23を中心に開閉して対をなす先端部26,36を開閉操作するから、ガイドレール5の外側において、対をなす開閉部材21,31の基端側を回動中心軸23を中心に開閉することにより、ガイドレール5内の対をなす先端部26,36を開閉操作することができる。
【0054】
以下、実施例上の効果として、車輪25,35を設けた先端部26,36は、車輪25,35を近付けて挿通位置に回動する際、両者が干渉しないように、車輪25,35をガイドレール5の長さ方向に位置をずらして配置しているから、挿通位置で、先端部26,36同士が当たることがない。また、挿通位置で先端部26,36の開口部幅方向端部の間に、車輪25,35が位置するから、即ち、
図3に示すように、寸法H内に車輪25,35が収まっているから、抜き取る際、開口部7に車輪25,35が当たることを防止できる。さらに、一方の開閉部材本体22を開口部幅方向と交差方向(
図3中、横向き)に配置した状態で、横向きのまま開閉部材本体22を開口部7の下縁に沿って、先端部26,36を抜き取ることができる。また、
図3に示すように、正面視で先端部26,36を重ね合わせるようにして、前記寸法Hを効率よく縮小することができる。さらに、ガイドレール5の上前板部14Uは、移動位置の軸部24と平行な平坦面であり、下前板部14Sは、移動位置の軸部34と平行な平坦面であるから、それら平坦面に沿って車輪25,35が安定して回動することができる。
【実施例0055】
図5~
図7は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、一方の開閉部材21に一対の車輪25,25を長さ方向に離して設けている。
【0056】
図7の底面図に示すように、一方の開閉部材21の開閉部材本体22の左右方向中央には、先端側から基端側に向かって開口する中央開口部45を形成し、この中央開口部45の基端45Kは前記透孔27に近接し、前記中央開口部45の基端45Kから先端側に向かって、開閉部材本体22は、二股状をなす左右の分割腕部22A,22Aを有する。これら左右の分割腕部22A,22Aの先端に、前記軸部24と車輪25をそれぞれ設け、軸部24及び車輪25を有する先端部26,26を構成している。
【0057】
そして、それら左右一対の車輪25,25が、他方の開閉部材31の車輪35をガイドレール5の長さ方向両側から挟む位置にずらし、且つ移動位置で先端部26,26が干渉しないように設けられている。尚、中央開口部45の先端側45Sは先端側に向かって拡大する略V字状をなし、中央開口部45の基端45K側は略左右同一定幅をなす。
【0058】
また、他方の開閉部材31の開閉部材本体32は略左右一定幅の帯板状をなし、この帯板状の開閉部材本体32が前記中央開口部45内に遊挿され、前記回動中心軸23を有する回動連結部46により、開閉部材21,31同士が回動可能に連結されている。具体的には、前記回動連結部46は、前記回動中心軸23を前記開閉部材本体32の屈曲部38側に固定し、その回動中心軸23の両端を軸受47,47により回動可能に軸支し、それら軸受47,47を前記開閉部材本体22に固定してなる。
【0059】
また、一方の開閉部材21は、実施例1に比べて軸部24を短く形成し、前記開閉部材本体22の分割腕部22A,22Aの長さ方向中央側に屈曲部48,48を形成すると共に、その短い軸部24,24の基端に分割腕部22A,22Aの先端を連結している。また、他方の開閉部材31も、実施例1に比べて軸部24を短く形成すると共に、この短い軸部24の基端に開閉部材本体32の先端を連結している。
【0060】
こうすると、
図6に示すように、挿通位置で開閉体8の上下幅である前記寸法Hを狭くすることができる。
【0061】
また、上下の前記軸部24,24,34の先端に、上の車輪25の上面から突出するスペーサ49を設けると共に、下の車輪25の下面から突出するスペーサ49を設けている。尚、スペーサ49は車輪25,35より小さいローラでもよい、このローラはガイドレール5の幅方向の軸部に回動自在に設けられる。尚、
図5に示すように、移動位置で、上部のスペーサ49と上板部12との間には、隙間が設けられる。
【0062】
従って、上下のスペーサ49,49により開口部7に対して車輪25,35の上下位置が略位置決めされた状態で使用することができる。
【0063】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0064】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、対をなす開閉部材21,31の一方たる開閉部材21に一対の先端部26,26を設けると共に、これら一対の先端部26,26が、対をなす開閉部材21,31の他方である開閉部材31の先端部36の前記長さ方向両側に配置されているから、一方の一対の先端部26,26の車輪25,25が、開口部幅方向の一方側でガイドレール5の内側に係止し、他方の先端部36の車輪35が、開口部幅方向の他方側でガイドレール5の内側に係止し、このように他方側の一か所で車輪35が係止する共に、この他方側の一か所をガイドレール5の長さ方向で挟む位置の一方側の2か所で車輪25,25が係止可能とするから、3か所の車輪25,25,35により、安定して移動することができる。
【0065】
以下、実施例上の効果として、実施例上の効果として、一方の開閉部材本体22に、他方の開閉部材本体32の基端側を収納する中央開口部45を設けたから、挿通位置で、開閉部材本体22,32を同一平面状にし、前記ロック手段42によりロックした状態で、ガイドレール5から取り外すことができる。さらに、開閉部材本体22の分割腕部22A,22Aの中央側に屈曲部48,48を形成して軸部24,34を短くしたから、挿通位置で前記寸法Hを小さくすることができる。
【実施例0066】
図8~
図13は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の開閉体8は、
図8に示す移動位置で、開閉部材21,31の開閉部材本体22,32の基端側が略平行となり、挿通位置で、開閉部材21,31の基端側が開くものである。また、開閉部材21は左右一対の車輪25,25を有し、開閉部材31は1つの車輪35を有する。
【0067】
一方の開閉部材21の開閉部材本体22は、幅方向両側に側板部51,51を設けて断面略コ字形をなす。また、他方の開閉部材31の開閉部材本体32は、幅方向両側に側板部61,61を設けて断面略コ字形をなす。また、
図9などに示すように、他方の開閉部材31の側板部61,61の外側に、それら両側の側板部61,61を挟むようにして、一方の側板部51,51が配置されている。
【0068】
そして、それら側板部51,51,61,61に前記回動中心軸23を挿通し、この回動中心軸23により対をなす開閉部材21,31が回動自在に連結されている。尚、前記移動位置で、他方の開閉部材31の側板部61,61の内縁部62,62と一方の開閉部材21の開閉部材本体22の内面22Nとの間には隙間が設けられている。
【0069】
また、対をなす開閉部材本体22,32の間には、先端部26の車輪25,25と先端部36の車輪35とを近付ける方向に、開閉部材21,31を付勢する付勢手段たるトーションスプリング53が配置されている。そして、前記トーションスプリング53の輪部53Wに前記回動中心軸23が挿通され、そのトーションスプリング53の両端部53T,53Tが対をなす開閉部材本体22,32の内面22N,32Nに係止し、トーションスプリング53が開閉部材本体22,32の基端側を開くように付勢している。
【0070】
さらに、車輪25,25,35を移動位置に位置固定するロック手段54を備える。このロック手段54は、開閉部材21の両側板部51,51に略L字形の操作用長孔55,55を設け、この操作用長孔55の先端側に、他方の開閉部材本体32側に凹んだ係止受け部55Kを設け、この係止受け部55Kにロック杆56が係脱する。そのロック杆56は両端部に径小部56K,56Kを有し、これら径小部56K,56Kが前記両操作用長孔55,55に沿って移動可能に設けられている。また、ロック手段54には、前記開閉部材31の両側板部61,61の基端側に、前記ロック杆56に係脱可能なフック状の係止部63,63が設けられている。
【0071】
図11に示すように、他方の開閉部材31の開閉部材本体32の先端側は、その基端側と略同一幅で、その開閉部材本体32の先端に、前記軸部34と前記車輪35を設け、これら軸部34及び車輪35を有する先端部36を構成している。尚、
図11の底面図では、理解を容易にするため、開閉部材21の両先端部26,26は図示省略している。
【0072】
また、
図10の平面図などに示すように、開閉部材本体22の先端に、先端側が開口した中央側の中央開口部45Aが設けられていると共に、その中央開口部45Aにより左右に分割された分割腕部たる先端取付部22C,22Cが設けられている。そして、一方の開閉部材21の先端に、左右に離れた左右の先端取付部22C,22Cを設けることにより、一方の左右の先端部26,26が他方の先端部36の長さ方向両側に位置すると共に、前記先端部26,26,36同士が、前記挿通位置で干渉しないように、前記長さ方向にずらして配置されている。
【0073】
車輪25,35には、軸部24,34と同軸な取付軸71,71が設けられ、この取付軸71は螺子棒であり、前記先端取付部22C,32Cの透孔に取付軸71,71を挿通し、この取付軸71,71の先端にナット71N,71Nを螺合することにより、先端取付部22C,32Cに車輪25,35が取り付けられている。尚、取付軸71及びナット71Nは先端部26,36の一部を構成する。
【0074】
そして、前記左右の先端取付部22C,22Cに、前記軸部24と車輪25をそれぞれ設け、これら軸部24及び車輪25を有する先端部26,26を構成している。尚、
図10に示すように、中央開口部45Aは他方の開閉部材31のナット71Nを挿入可能な大きさを有する。尚、前記ナット71N及び取付軸71が、先端取付部22Cに車輪25を取り付ける車輪取付部材である。このように前記中央開口部45Aは、挿通位置において、他方の先端部36の一部を収納可能なものである。
【0075】
また、
図8などに示すように、対をなす開閉部材21,31の前記先端部26,36は、正面視において、先端側に向かって間隔が拡大する拡大部22B,32Bを有し、この拡大部22B,32Bの先端に車輪25,35を取り付ける前記先端取付部22C,32Cが設けられ、移動位置で、対をなす前記先端取付部22C,32Cは平行をなす。このため拡大部22B,32Bの両端には、開閉部材本体22,32を屈曲した屈曲部22K,22K,32K,32Kが設けられている。
【0076】
図8に示したように、前記係止受け部55K,55Kに係止した前記ロック杆56に、係止部63,63が係止した状態では、対をなす開閉部材本体22,32が平行に保持され、車輪25,25,35が移動位置に保持される。また、開閉部材本体22,32の回動中心軸23の位置より基端側が、先端部26,36を開閉操作する前記開閉操作部29である。尚、挿通位置において、開閉部材本体22,32の基端側が
図8の位置からさらに開かないようにするストッパを、開閉部材本体22,32に設けてもよい。
【0077】
この移動位置から開閉体8の基端側を狭めるようにして、開閉部材31の側板部61,61を開閉部材21側に回動すると、ロック杆56から係止部63が外れ、操作用長孔55に沿ってロック杆56が移動可能となり、ロック杆56を長孔55の基端側に移動すると、開閉体8が回動可能となり、トーションスプリング53の回動付勢により、車輪25,25と車輪35が近付くように開閉部材21,31が回動し、車輪25,25,35が挿通位置になる。
【0078】
尚、
図13に示すように、挿通位置での寸法Hは開口部7の幅寸法より小さい。また、例えば、開閉部材本体22,32の一方である開閉部材本体22の基端側を横向きとし、車輪25の上面と、この上面と平行で車輪35の図中下角部とを通る仮想線(図示せず)との間隔は前記寸法Hより小さくなり、例えば、開閉部材本体22の基端側を横向きにした姿勢で、開閉体8の先端部26,36を開口部7に挿通してもよい。
【0079】
このように本実施例では、対をなす先端部26,26,36の開閉動作により、対をなす車輪25,25,35がガイドレール5内の前記開口部7の両側の内縁部に係止する前記移動位置と、対をなす先端部26,26,36が開口部7を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成したから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0080】
以下、実施例上の効果として、開閉部材本体22,32の基端側が側板部51,51,61,61を有し、略コ字形をなすから、開閉操作などに適したものとなる。また、先端部26の車輪25,25と先端部36の車輪35とを近付ける方向に、開閉部材21,31を付勢する付勢手段たるトーションスプリング53が配置され、さらに、車輪25,25,35を移動位置に位置固定するロック手段54を備えるから、ロック手段54により移動位置に位置固定して使用し、ロック手段54のロックを解除することにより、自動的に挿通位置とすることができる。また、挿通位置で、正面視で車輪25,35同士が重なり合わないように構成したから、中央開口部45Aは他方の先端部36の一部を収納可能なもので済むため、一対の車輪25,25を近接して配置することができるため、開閉体8の先端側の幅寸法を抑えることができると共に、車輪25,35,25がガイドレール5の長さ方向に近接し、安定した移動が可能となる。
【実施例0081】
図14は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例の移動手段は球形の車輪25A,35Aからなり、これら車輪25A,35Aは前記軸部24,34に回動自在に設けられている。
【0082】
このように本実施例では、対をなす先端部26,26,36の開閉動作により、対をなす車輪25A,25A,35Aがガイドレール5の前記開口部7両側の内縁部に係止する前記移動位置と、対をなす先端部26,26,36が開口部7を挿通可能な挿通位置とに切り替え可能に構成したから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【実施例0083】
図15は本発明の実施例5を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、開閉体8の位置を検出する装置を、該開閉体8に設けている。
【0084】
トンネル1や道路などにおいてキロポスト(図示せず)がある場合は、このキロポストを撮像する位置検出手段121たる撮像手段を前記開閉体8に設ける。また、キロポストがない場合は、前記ガイドレール5の内面又は外面に位置情報表示部(図示せず)を設ける。
【0085】
一方、ガイドレール5の内面の位置情報表示部を撮像する場合は、撮像可能な位置で開閉体8に撮像手段を設け、或いは、ガイドレール5の外面に設けた位置情報表示部を撮像する場合は、移動位置で、開閉体8のガイドレール5の外部となる部分に撮像手段を配置する。
【0086】
前記開閉体8には、制御手段122と通信手段123が設けられ、前記撮像手段による撮像データにより制御手段122が開閉体8の現在位置を検出し、現在位置のデータを通信手段123により外部通信手段124に転送し、外部通信手段124を備えた携帯機器125が現在位置を表示し、その携帯機器125を作業者などが携帯する。
【0087】
また、前記位置検出手段121として、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)の受信器を用いることができ、この受信器により受信した位置情報から前記制御手段122が開閉体8の現在位置を検出する。
【0088】
また、前記撮像手段又はGNSSの受信器に、移動距離検出手段(図示せず)を組み合わせてもよい。前記位置検出手段121としては、走行用の車輪25,25A,35,35Aの回転を検出するエンコーダーなどを用いることができ、車輪25,25A,35,35Aの回転により開閉体8の移動量を検出することができる。このためキロポストの間や、GNSSの信号の受信できない場所でも開閉体8の位置を検出することができる。
【0089】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。また、この例では位置検出手段121により開閉体8の位置を検出することができ、これを外部通信手段124により受信して作業者などに知らせることができる。
【0090】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、ガイドレールには、開口部を前側に設けたが、被取付部に取り付ける後部を除いて、開口部を上部(上面部)や下部(下面部)に設けてもよい。また、中空部を有するガイドレールの断面形状は実施例に限定されず、中空部と開口部を有するものであれば、各種のものを用いることでき、例えば、角パイプ形状で、1つの面に開口部を有するものや、断面C字形のものでもよい。さらに、開閉部材本体は、棒状のものでもよく、棒状の場合は、開閉部材本体の基端にリング部を一体に設け、このリング部に前記連結受け部を構成してもよい。また、ガイドレールの被取付部への取付構造は適宜選定可能である。また、実施例1において、実施例2のガイドレールを用いても良い。また、ロック手段41,42,54は各種の構造のものを用いることができる。また、実施例1で示したロック手段41,42を、各実施例のものに用いることができる。さらに、各実施例の構成を組み合わせることができる。さらに、ガイドレールの向きは実施例に限定されず、開口部を下向きや上向きにしてもよい。さらに、実施例の移動手段を他の実施例の移動手段に代えて用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 トンネル
3 落下防止装置
4 中空部
5 ガイドレール
6 内壁面(被取付部)
7 開口部
8 開閉体
9 命綱(落下防止用連結部材)
8 開閉体
21,31 開閉部材
23 回動中心軸
25 車輪(移動手段)
26 先端部
27 透孔(連結受け部)
31 開閉部材
35 車輪(移動手段)
36 先端部
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