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  • 特開-食品容器用蓋およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049815
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】食品容器用蓋およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 3/00 20060101AFI20220323BHJP
   B65D 43/06 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B65D3/00 B ZAB
B65D43/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156048
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA34
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC07
3E084DA01
3E084DC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084JA10
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】プラスチックの使用量が少なく、しかも食器の形状を有する食品容器の内部の食品を観察できる食品容器用蓋を提供する。
【解決手段】
この発明の食品容器用蓋1は紙板を主要な素材として成形され、容器本体20と接続する外周部2と、外周部2の内側にある天面部3と、天面部3の内部に形成された窓部4を有し、窓部4を覆う透明フィルム5が設けられていて、窓部4を監視て容器本体20の中に収容された食品を視認することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙板で成形された食品容器用蓋であり、容器本体と接続する外周部と、外周部の内側にある天面部と、天面部内に形成された窓部を有し、窓部を覆う透明フィルムが設けられている食品容器用蓋。
【請求項2】
容器本体に向いた側の面の全体に透明フィルムが設けられている請求項1に記載の食品容器用蓋。
【請求項3】
紙板で成形され、容器本体と接続する外周部と、外周部の内側にある天面部と、天面部内に形成された窓部を有し、容器本体に向いた側の面の全体に透明フィルムが設けられている食品容器用蓋の製造方法であり、
紙板の基部と、基部の少なくとも一つの面を覆う透明フィルム層を有する複層紙材よりなり、内部に窓部を有し、その窓部も透明フィルム層に覆われている原紙に型によるプレス加工を行う食品容器用蓋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品を収納する食器状の容器の蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
弁当や惣菜などの料理食品は、プラスチック製の容器に入れられ、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店頭に並べられて販売されている。これらの食品は購入時に店内に備えられた電子レンジで温められて提供されたり、購入後に、店内や家で消費者自身が電子レンジで温る場合が多い。その際、容器の蓋を付けたままで加熱されるのが通常である。特許文献1には、加熱による容器内の圧力上昇を防止する食品容器が記載されている。
【0003】
また、特許文献2などには紙コップ等の紙容器の蓋として、紙を主体とする紙蓋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-231540号公報
【特許文献2】特開2020-90316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラスチック製の食品用容器および容器蓋はすでに普及している。蓋を開けると、そのまま食器として使用できるので便利である。しかし、使用後は可燃ごみと分けて廃棄しなければならず、面倒である。また、正しい廃棄処分がなされず、環境中に流出するものもあり、海洋汚染の要因として指摘される場合がある。
【0006】
特許文献2などの紙製の食品容器や蓋であれば、可燃ごみとして廃棄できるので、消費者にとって処分が容易である。また、仮に環境中に流出しても、比較的短期間で分解し、環境への影響も小さい。しかし、紙製の蓋は不透明であり、内部の食品を見ることができない。したがって、消費者は食品を直接見て買いたい商品を選択することができず、また、食品の提供者も食品自体の魅力を消費者に視覚的に示すことができない。
【0007】
この発明は、プラスチックの使用量が少なく、しかも内部の食品を観察できる食品容器用蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明の食品容器用蓋は、紙板で成形された食品容器用蓋であり、容器本体と接続する外周部と、外周部の内側にある天面部と、天面部内に形成された窓部を有し、窓部を覆う透明フィルムが設けられている。容器本体に向いた側の面の全体に透明フィルムが設けられていることが好ましい。
【0009】
さらにこの発明の食品容器用蓋の製造方法は、紙板の基部と、基部の少なくとも一つの面を覆う透明フィルム層を有する複層紙材よりなり、内部に窓部を有し、その窓部も透明フィルム層に覆われている原紙に対して型によるプレス加工を行う。
【発明の効果】
【0010】
この発明において、主要な材料を紙板とすることにより使用後の廃棄処分が容易となり、また環境に対する影響を小さくできる。天面部に窓部を有し、内部の食品が観察でき、消費者は食品を見て自分の購入したい商品を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】食品容器用蓋を示す平面図である。
図2】同断面図である。
図3】食品容器用蓋の原紙の第1の例を示す平面図である。
図4】同断面図である。
図5】食品容器用蓋の製造方法を模式的に示す断面図である。
図6】食品容器用蓋の原紙の第2の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施形態について図面に基いて説明する。図1は食品容器用蓋を示す平面図、図2は同断面図である。
【0013】
食品容器である容器本体20は、内部に食品を収納する使い捨ての容器であり、略円筒状や略四角柱状の外形を有し、コップや丼等の食器の形状になっている。たとえば、弁当や惣菜など料理された食品を収容する。本例は比較的深い丼状の容器であり、たとえば牛丼やかつ丼など米飯の上に具材をのせた食品に適している。このような食器状の使い捨て容器は普及しており、本願においてもこれらの容器に対して使用してもよい。容器の素材としては、プラスチック製のものが多いが、廃棄処分が容易な紙製の容器が特に好ましい。
【0014】
食品容器用蓋1は、上述のような食器状の食品容器の蓋として使用するものである。紙板を主要な素材として成形されている。容器本体20と接続する外周部2と、外周部2の内側にある天面部3を有する。そして、天面部3の中に形成された窓部4を有し、窓部4を覆う透明フィルム5が設けられている。
【0015】
この発明の実施例について詳細に説明する。容器本体20は円形の開口を有し、1食分の米飯と具材を収容できる深さを有す。開口部に向いて外周径が大きくなる丼の形状である。開口部である上縁はフランジ部21を有し、外周部を補強するとともに、蓋1との嵌め合いとなる接続部を形成している。この部分は、紙板である原紙の外周を丸めるように折り込んで形成してもよい。
【0016】
容器本体20の素材である原紙は紙板を基材としており、その表面にポリエチレンフィルムをラミネートしている。そして、このラミネート加工された面が容器本体の内側に表れる。このような食品容器は既に普及している。この容器の形状の上下の型を使用し、円形の原紙をこの上下の型によりプレス加工することによって、容器本体を製造することができる。また、一体に形成する以外に、胴部と底板を別々に作って、これを接続してもよい。また、容器本体の中に小容器を設け、複数段の容器にしてもよい。たとえば、図2に示されるような外容器に米飯を入れるようにし、その上方に取り付けられる別容器に米飯にのせるための具材を分けて収容するようなものでもよい。
【0017】
ついで、食品容器用蓋の例について詳細に説明する。食品容器用蓋1の外周部2は適用される容器本体20の外周部21の形状に対応する。本例では容器本体20は円形の外周部21を有する丼形状であり、食品容器用蓋1の外周部2も円形であり、先端の方が下向きに突き出した部分がある。とくに本例では、最外周部には容器本体20の外周部21の上に係合する溝6が形成されている。
【0018】
外周部2に囲まれた内部に天面部3がある。この天面部3は平坦でもよく、あるいは上に膨らむような曲面が形成されていてもよい。この外周部2と天面部3により蓋としての主要な外形が形成されている。外周部2と天面部3は紙板を主要な素材として形成されていて、本例では一体的に、すなわち、連続した1枚の紙板より形成されている。
【0019】
そして、天面部3には紙板がくり抜かれた窓部4が設けられている。この窓部4の位置及び形状は任意に選択できるが、内部の食品が観察しやすいように形成されることが好ましい。本例では天面部3の中心部に正方形の窓部4が形成されている。これ以外にも、円形あるいは楕円形の窓部を設けてもよく、あるいは複数の窓部を設けてもよい。場所についても、内部の食品で最も魅力的な箇所や消費者が最も見たい箇所が見える位置に設けてもよい。
【0020】
窓部4としてくり抜かれた部位には、その窓部4を覆う透明フィルム5が設けられている。この透明フィルム5は天面部3の上面に設けてもよいが、本例では下面、すなわち、食品容器用蓋1を容器本体20に取り付けたときに容器本体20に向いた面に取り付けられている。この場合、窓部4およびその周辺部のみを覆うものでもよいが、本例では、天面部3および外周部2の外縁までの全て、つまり、容器本体に向いた側の面の全体に透明フィルムが設けられている。食品容器用蓋1は紙板を基材としているが、その下面全体にポリエチレンフィルムなどの食品容器用のプラスチックフィルムをラミネートしている。
【0021】
さらに、食品容器用蓋の製造方法の第1の例について説明する。図3は食品容器用蓋の原紙の第1の例を示す平面図、図4は同断面図である。原紙は紙板を主要な素材とするものであり、食品容器用蓋1の外周部3の形状に対応した外形を有する。本例では円形である。そして、その中央近くで天面部を形成することになる範囲に窓部となるくり抜き部が形成されている。このような紙板を形成し、その紙板の一方の面の全体に透明フィルム5を取り付けることによって図3に示すような原紙10が得られる。
【0022】
つぎに、この原紙10をプレス加工する。図5は食品容器用蓋の製造方法の例を模式的に示す断面図である。このようなプレス加工による食品容器用蓋の製造方法は既に実施されていて、これに適したプレス機も実用化されているので、それらの設備を使用してもよい。
【0023】
下側の型m1と上側の型m2の組み合わせになっている。これらの型は食品容器用蓋の形状を有し、相互に入れ子となる構造である。原紙10を下側の型m1と上側の型m2の間に入れ、下側の型m1と上側の型m2を相互に接近させてプレス加工することによって食品容器用蓋を形成する。食品容器用蓋1の外周部2をより複雑な形状に形成したり、外縁をカール状に形成する場合は、それぞれの型をさらに複数に分割して構成してもよい。このようなプレス加工の技術はすでに確立しており、本例でもそれを使用してもよく、プレス加工についての詳述は避ける。以上、食品容器用蓋1を簡単に製造することができる。
【0024】
食品容器用蓋の製造方法の第2の例について説明する。製造方法の第1の例では、使用する原紙は、予め紙板の中央部に窓となる切り抜きを設け、その後にポリエチレンフィルムなどの食品容器用のプラスチックフィルムをラミネートして得られた。本例では、紙板へのプラスチックフィルムのラミネート加工を先に行い、その後に窓部を形成するくり抜きを行う。図6は食品容器用蓋の原紙の第2の例を示す断面図であり、本例で用いる原紙の例である。平面視は先の例の原紙と同じである。
【0025】
原紙10の下の面の全体にプラスチックフィルム5aがラミネート加工されている。円盤状の紙板を形成してからラミネート加工してもよく、長い帯状の紙板シートに予めラミネート加工した後に円盤状に切り出してもよい。そして、その後に、窓部を形成するくり抜きを行う。このとき、窓部4の中は紙板もプラスチックフィルムもない空間となる。ついで、窓部4を覆う透明フィルム5bを取り付ける。透明フィルム5bは窓部4を覆うことができる広さであればよく、窓部4より若干広い程度でよい。たとえば熱溶着により取り付ける。こうして、形成された原紙10に対して、第1の例と同様のプレス加工を施すことによって、食品容器用蓋を得ることができる。本例によれば、ラミネートされるプラスチックフィルムは窓部に表れないので外力がかからず、より薄いフィルムでもよい。
【0026】
また、食品容器用蓋に耐水性や耐油性が必要でない場合は、プラスチックフィルムのラミネートを行うことなく、紙板の上に窓部を覆う透明フィルムを取り付けてもよい。
【0027】
食品容器用蓋1と容器本体(食品容器)20の使用方法について説明する。容器本体20に内容物である食品を入れる。たとえば、まず白米の米飯を入れ、さらにその上に具材をのせて、牛丼やかつ丼などにする。あるいは2段容器であれば、1段目の主容器に米飯を、2段目の上部容器に具材を、それぞれ分けて収容してもよい。そして、容器本体20の上に食品容器用蓋1をのせて蓋をする。容器本体20の外周部21と食品容器用蓋1の外周部2は相互に係合するようになっており、密封性の高い包装ができる。
【0028】
食品容器用蓋1と容器本体20は包装材製造者が製造して、それを食品提供者に供給することもできる。食品の投入および蓋の取り付けは容易であり、特別な設備がなくても実施できる。この状態でスーパーやコンビニエンスストアなどの販売店に搬送することができる。あるいは、さらに外側にフィルムで包装して密封性を高めてもよい。そして、この状態で店舗の陳列棚に置くことができる。
【0029】
購入者は、食品の中身を窓部を通して直接観察することができる。したがって、間違って望まない商品を購入することが避けられる。また、商品名だけで判断するのではなく、内容物を直接視認して選択することにより、消費者は納得して商品を選択できる。食品の提供者としても、内容物を見せることによって商品としての魅力をアピールできる。
【0030】
消費者は、食品容器用蓋1を容器本体20から取り外すことによって、中の食品を食べることができる。他の食器に移し替えることなく、この容器本体に入った状態で、そのまま食べることもできる。また、加熱して食べたい場合も、そのまま電子レンジで加熱すればよい。紙板が主要素材であるので、電磁波を通し、問題なく加熱することができる。
【0031】
使用後は、食品容器用蓋1と容器本体20は可燃ごみとして廃棄することができるので、分別の手間がなく容易である。窓部4には透明フィルムが設けられているが、これまでのプラスチック容器のようにプラスチックフィルムで容器全体の構造的強度を担うものではないので薄く、使用されるプラスチックの量はわずかである。
【符号の説明】
【0032】
1.食品容器用蓋
2.外周部
3.天面部
4.窓部
5.透明フィルム
6.溝
10.原紙
11.基部(紙板)
12.ラミネート層
20.容器本体(食品容器)
21.外周部(フランジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6