(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049837
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20220323BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20220323BHJP
H01L 27/11582 20170101ALI20220323BHJP
H01L 27/11556 20170101ALI20220323BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H01L21/316 S
H01L29/78 613B
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156082
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛暢
【テーマコード(参考)】
5F058
5F083
5F101
5F110
【Fターム(参考)】
5F058BA09
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5F058BB07
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5F110NN23
5F110NN24
5F110NN27
5F110QQ04
5F110QQ05
(57)【要約】
【課題】高い信頼性を有する半導体装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の対象物の上に第1の膜と第2の膜とを交互に積層して多層膜を形成する工程と、多層膜を部分的に除去することにより、少なくとも一つの積層体と、凹部と、を形成する工程と、無機材料と有機材料とを含む複合材料を、凹部内に塗布することにより、凹部を埋める誘電体層を形成する工程と、酸化性ガスに誘電体層を曝露して無機材料を酸化させるとともに有機材料の少なくとも一部を誘電体層から除去する工程と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の対象物の上に第1の膜と第2の膜とを交互に積層して多層膜を形成する工程と、
前記多層膜を部分的に除去することにより、少なくとも一つの積層体と、凹部と、を形成する工程と、
無機材料と有機材料とを含む複合材料を、前記凹部内に塗布することにより、前記凹部を埋める第1の誘電体層を形成する工程と、
酸化性ガスに前記第1の誘電体層を曝露して前記無機材料を酸化させるとともに前記有機材料の少なくとも一部を前記第1の誘電体層から除去する工程と、
を具備する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記無機材料は、シリコン、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凹部のアスペクト比は、0.6以上である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化性ガスは、オゾンを含む、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の誘電体層の密度は、1.9g/cm3以上2.0g/cm3以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
無機材料と有機材料とを含む複合材料を、第2の対象物の上に塗布することにより第2の誘電体層を形成する工程と、
前記第2の誘電体層を加工することにより、前記第2の誘電体層に凹部を形成する工程と、
酸化性ガスに前記第2の誘電体層を曝露して前記無機材料を酸化させるとともに前記有機材料の少なくとも一部を前記第2の誘電体層から除去する工程と、
前記凹部を埋める配線層を形成する工程と、
を具備する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記無機材料は、シリコン、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記凹部は、ナノインプリントリソグラフィを用いて前記誘電体層を加工することにより形成される。請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化性ガスは、オゾンを含む、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化性ガスに前記誘電体層を曝露する前に、前記凹部を埋める有機材料層を形成する工程をさらに具備し、
前記有機材料層は、前記酸化性ガスに前記誘電体層とともに曝露されて除去される、請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元メモリ等の半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2012/0241411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の発明が解決しようとする課題は、高い信頼性を有する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の対象物の上に第1の膜と第2の膜とを交互に積層して多層膜を形成する工程と、多層膜を部分的に除去することにより、少なくとも一つの積層体と、凹部と、を形成する工程と、無機材料と有機材料とを含む複合材料を、凹部内に塗布することにより、凹部を埋める誘電体層を形成する工程と、酸化性ガスに誘電体層を曝露して無機材料を酸化させるとともに有機材料の少なくとも一部を誘電体層から除去する工程と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】半導体装置の製造方法の例を説明するためのフローチャートである
【
図2】多層膜形成工程S1-1の例を説明するための断面模式図である。
【
図3】多層膜加工工程S1-2の例を説明するための断面模式図である。
【
図4】凹部DAのアスペクト比を説明するための模式図である。
【
図5】誘電体層形成工程S1-3の例を説明するための断面模式図である。
【
図6】誘電体層形成工程S1-3における誘電体層3Aの一部の拡大模式図である。
【
図7】酸化工程S1-4の例を説明するための断面模式図である。
【
図8】酸化工程S1-4における誘電体層3Aの一部の拡大模式図である。
【
図9】誘電体層加工工程S1-5の例を説明するための断面模式図である。
【
図11】メモリセルアレイ200の回路構成を示す回路図である。
【
図13】メモリピラーMPの構造例を示す断面模式図である。
【
図14】半導体装置の製造方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
【
図15】誘電体層形成工程S2-1の例を説明するための断面模式図である。
【
図16】誘電体層形成工程S2-1における誘電体層3Bの一部の拡大模式図である。
【
図17】誘電体層加工工程S2-2の例を説明するための断面模式図である。
【
図18】誘電体層加工工程S2-2の例を説明するための断面模式図である。
【
図19】酸化工程S2-3の例を説明するための断面模式図である。
【
図20】酸化工程S2-3における誘電体層3Bの一部の拡大模式図である。
【
図21】配線層形成工程S2-4の例を説明するための断面模式図である。
【
図22】配線層加工工程S2-5の例を説明するための断面模式図である。
【
図23】
図12に示す周辺回路領域12の構造例を示す断面模式図である。
【
図24】半導体装置の製造方法の変形例を説明するためのフローチャートである。
【
図25】有機材料層形成工程S2-6の例を説明するための断面模式図である。
【
図26】酸化工程S2-3の例を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
<第1の実施形態>
図1は、半導体装置の製造方法の例を説明するためのフローチャートである。半導体装置の製造方法は、
図1に示すように、多層膜形成工程S1-1と、多層膜加工工程S1-2と、誘電体層形成工程S1-3と、酸化工程S1-4と、誘電体層加工工程S1-5と、を具備する。
【0009】
[多層膜形成工程S1-1]
図2は、多層膜形成工程S1-1の例を説明するための断面模式図であり、対象物1AのX軸と、X軸に直交するとともにX軸に直交するY軸に直交するZ軸と、を含むX-Z断面の一部を示す。多層膜形成工程S1-1により、
図2に示すように、対象物1Aの上に多層膜2を形成する。
【0010】
対象物1Aは、例えばシリコン基板、炭化ケイ素基板等の半導体基板、ガラス基板、石英基板、サファイア基板等の絶縁基板、またはGaAs基板等の化合物半導体基板を含む。対象物1Aは、上記基板の上に絶縁層等の層をさらに有していてもよい。
【0011】
多層膜2は、対象物1Aの上に第1の無機化合物膜21と第2の無機化合物膜22とを交互に積層することにより形成される。第1の無機化合物膜21と第2の無機化合物膜22との積層数は、
図2に示す数に限定されない。
【0012】
第1の無機化合物膜21は、犠牲層である。犠牲層は、導電層の形成に用いられる空洞を形成するための領域である。第1の無機化合物膜21の例は、窒化シリコン膜を含む。
【0013】
第2の無機化合物膜22は、絶縁層である。第2の無機化合物膜22の例は、酸化シリコン膜を含む。
【0014】
[多層膜加工工程S1-2]
図3は、多層膜加工工程S1-2の例を説明するための断面模式図であり、対象物1AのX-Z断面の一部を示す。多層膜加工工程S1-2により、
図3に示すように、多層膜2を加工することにより、第1の無機化合物膜21と第2の無機化合物膜22との積層体2aを少なくとも一つ形成するとともに、積層体2aに隣接する凹部DAを形成する。
図3は、凹部DAの例としてトレンチを図示しているが、これに限定されず、凹部DAの他の例としてホールを形成してもよい。
【0015】
積層体2aは凹部DAに面する階段領域2bを有する。階段領域2bは、第1の無機化合物膜21のそれぞれの上面の端部が露出する領域である。階段領域2bは、例えば多層膜2の上にレジストマスクを形成し、異方性エッチングにより第1の無機化合物膜21および第2の無機化合物膜22を部分的に除去する工程と、等方性エッチングによりレジストマスクを縮小させる工程と、を交互に切り替えることにより形成される。
【0016】
凹部DAは、0.6以上の高いアスペクト比を有する。
図4は、凹部DAのアスペクト比を説明するための模式図であり、凹部DAのX軸方向(長軸方向)の長さ(奥行)Aと、凹部DAのY軸方向(短軸方向)の長さ(幅)Bと、凹部DAのZ軸方向の長さ(深さ)Cと、を図示する。凹部DAのアスペクト比は、長さAに対する長さCの比により定義される。
【0017】
[誘電体層形成工程S1-3]
図5は、誘電体層形成工程S1-3の例を説明するための断面模式図であり、対象物1AのX-Z断面の一部を示す。誘電体層形成工程S1-3により、
図5に示すように、凹部DAを埋める誘電体層3Aを形成する。
【0018】
図6は、誘電体層形成工程S1-3における誘電体層3Aの一部の拡大模式図である。誘電体層3Aは、有機材料31aと、無機材料32aと、を含む。誘電体層3Aは、有機材料31aと無機材料32aとを含む複合材料を、積層体2aの表面および凹部DA内に塗布し、その後リフロー処理により塗布層を平坦化することにより形成される。複合材料を用いることにより、無機材料32aを誘電体層3Aに含侵させる工程を追加する必要が無いため好ましい。
【0019】
有機材料31aは、炭素および酸素を含む高分子材料である。有機材料31aは、無機材料32aと反応可能な反応サイトを有する。無機材料32aと反応可能な反応サイトとは、例えば無機材料が配位可能な非共有電子対を含み、例えばポリマーに含まれるカルボニル基やアミド基等の官能基に存在する非共有電子対等が挙げられる。
【0020】
誘電体層3Aに対し、第1の無機化合物膜21および第2の無機化合物膜22は、反応サイトの数が誘電体層3Aよりも少ないまたは反応サイトを有しない。
【0021】
無機材料32aは、例えばシリコン、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの無機元素を含み、特にシリコンを含むことが好ましい。
【0022】
[酸化工程S1-4]
図7は、酸化工程S1-4の例を説明するための断面模式図であり、対象物1AのX-Z断面の一部を示す。
図8は、酸化工程S1-4における誘電体層3Aの一部の拡大模式図である。酸化工程S1-4により、酸化性ガスに誘電体層3Aを曝露する。酸化性ガスは、曝露後に排気される。
【0023】
誘電体層3A中の有機材料31aは、無機材料32aと反応する反応サイトを有する。酸化性ガスに誘電体層3Aを曝露することにより、酸化性ガスが無機材料32aを酸化させて無機材料32aの酸化物を形成できる。例えば、無機材料32aがシリコンを含む場合、シリコン酸化膜が形成される。このときのシリコン酸化膜のSi2pの結合エネルギーは、例えば103.5±0.06eVである。
【0024】
酸化性ガスは、例えばオゾンを含む。オゾンは酸化力が高いため、酸化性ガスがオゾンを含む場合、酸化性ガスに誘電体層3Aを曝露することにより、
図8に示すように、有機材料31aの少なくとも一部が除去される。有機材料31aが除去された後に残る無機材料32aの酸化物は、例えば非晶質または結晶である。
【0025】
無機材料32aの酸化物の形成や有機材料31aの除去により、誘電体層3Aの酸素原子濃度およびシリコンまたは金属の原子濃度が上昇し、炭素原子濃度が低下する。酸素原子濃度、炭素原子濃度、シリコンまたは金属の原子濃度は、例えばX線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy:XPS)により測定できる。
【0026】
酸化工程S1-4では、無機材料32aの酸化物を形成するとともに有機材料31aの少なくとも一部を除去することにより、無機材料32aの酸化物により誘電体層3Aを形成できる。酸化工程S1-4により形成される誘電体層3Aの密度は、例えば1.9g/cm3以上2.0g/cm3以下である。
【0027】
[誘電体層加工工程S1-5]
図9は、誘電体層加工工程S1-5の例を説明するための断面模式図であり、対象物1AのX-Z断面の一部を示す。誘電体層加工工程S1-5により、
図9に示すように、積層体2aの上面が露出するまでに厚さ方向に沿って誘電体層3Aを部分的に除去する。以上が第1の実施形態の半導体装置の製造方法例の説明である。
【0028】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法例により形成される誘電体層3Aは、例えば3次元メモリ等のメモリに用いられる誘電体層に適用可能である。上記メモリの構成例について以下に説明する。
【0029】
図10は、メモリの構成例を示すブロック図である。メモリは、メモリセルアレイ200と、コマンドレジスタ201と、アドレスレジスタ202と、シーケンサ203と、ドライバ204と、ローデコーダ205と、センスアンプ206と、を含む。
【0030】
メモリセルアレイ200は、複数のブロックBLK(BLK0~BLK(L-1)(Lは2以上の自然数である))を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶する複数のメモリトランジスタMTの集合である。
【0031】
メモリセルアレイ200は、複数のワード線WLおよび複数のビット線BLに接続される。各メモリトランジスタMTは、複数のワード線WLの一つおよび複数のビット線BLの一つに接続される。
【0032】
コマンドレジスタ201は、メモリコントローラから受信したコマンド信号CMDを保持する。コマンド信号CMDは、例えば、シーケンサ203に読み出し動作、書き込み動作、および消去動作を実行させる命令データを含む。
【0033】
アドレスレジスタ202は、メモリコントローラから受信したアドレス信号ADDを保持する。アドレス信号ADDは、例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、およびカラムアドレスCAを含む。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、およびカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線WL、およびビット線BLの選択に用いられる。
【0034】
シーケンサ203は、メモリの動作を制御する。シーケンサ203は、例えばコマンドレジスタ201に保持されたコマンド信号CMDに基づいてドライバ204、ローデコーダ205、およびセンスアンプ206等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、および消去動作等の動作を実行する。
【0035】
ドライバ204は、読み出し動作、書き込み動作、および消去動作等で使用される電圧を生成する。ドライバ204は、例えばDAコンバータを含む。そして、ドライバ204は、例えば、アドレスレジスタ202に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線WLに対応する信号線に、生成した電圧を印加する。
【0036】
ローデコーダ205は、アドレスレジスタ202に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ200内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ローデコーダ205は、例えば、選択されたワード線WLに対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線WLに転送する。
【0037】
センスアンプ206は、書き込み動作において、メモリコントローラから受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線BLに所望の電圧を印加する。また、センスアンプ206は、読み出し動作において、ビット線BLの電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラに転送する。
【0038】
メモリとメモリコントローラとの間の通信は、例えば、NANDインターフェイス規格をサポートしている。例えば、メモリとメモリコントローラとの間の通信は、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、リードイネーブル信号REn、レディビジー信号RBn、および入出力信号I/Oを使用する。
【0039】
コマンドラッチイネーブル信号CLEは、メモリが受信した入出力信号I/Oがコマンド信号CMDであることを示す。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、受信した信号I/Oがアドレス信号ADDであることを示す。ライトイネーブル信号WEnは、入出力信号I/Oの入力をメモリに命令する信号である。リードイネーブル信号REnは、入出力信号I/Oの出力をメモリに命令する信号である。
【0040】
レディビジー信号RBnは、メモリがメモリコントローラからの命令を受け付けるレディ状態であるか命令を受け付けないビジー状態であるかを、メモリコントローラに通知する信号である。
【0041】
入出力信号I/Oは、例えば、8ビット幅の信号であり、コマンド信号CMD、アドレス信号ADD、書き込みデータ信号DAT等の信号を含むことができる。
【0042】
以上で説明したメモリおよびメモリコントローラは、それらの組み合わせにより1つの半導体記憶装置を構成してもよい。このような半導体記憶装置の例は、例えばSDカードのようなメモリカードや、ソリッドステートドライブ(SSD)を含む。
【0043】
次に、メモリセルアレイ200の回路構成例について説明する。
図11は、メモリセルアレイ200の回路構成を示す回路図である。
図11は、ブロックBLK0を例示するが、他のブロックBLKの構成も同じである。
【0044】
ブロックBLKは、複数のストリングユニットSUを含む。各ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。なお、
図11は、3つのストリングユニットSU(SU0~SU2)を図示しているが、ストリングユニットSUの数は、特に限定されない。
【0045】
各NANDストリングNSは、複数のビット線BL(BL0~BL(N-1)(Nは2以上の自然数である))の一つに接続される。各NANDストリングNSは、メモリトランジスタMTと、選択トランジスタST1と、選択トランジスタST2と、を含む。
【0046】
メモリトランジスタMTは、制御ゲートと、電荷蓄積層と、を含み、データを不揮発に保持する。
図11は、複数のメモリトランジスタMT(MT0~MT(M-1)(Mは2以上の自然数))を図示するが、メモリトランジスタMTの数は、特に限定されない。なお、各NANDストリングNSは、メモリトランジスタMTの構造と同じ構造を有するが、データの保持には使用されないダミーメモリトランジスタを含んでいてもよい。
【0047】
メモリトランジスタMTは、それぞれ電荷蓄積層に絶縁膜を用いたMONOS型であってもよいし、電荷蓄積層に導電体層を用いたFG型であってもよい。以下、本実施形態では、MONOS型を例として説明する。
【0048】
選択トランジスタST1は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用
される。選択トランジスタST1の数は、特に限定されない。
【0049】
選択トランジスタST2は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。選択トランジスタST2の数は、特に限定されない。
【0050】
各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに接続される。選択トランジスタST1のソースは、直列に接続されたメモリトランジスタMTの一端に接続される。直列に接続されたメモリトランジスタMTの他端は、選択トランジスタST2のドレインに接続される。
【0051】
同一のブロックBLKにおいて、選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。各ストリングユニットSUの選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ対応する選択ゲート線SGDに接続される。メモリトランジスタMTの制御ゲートは、それぞれ対応するワード線WLに接続される。選択トランジスタST2のゲートは、対応する選択ゲート線SGSに接続される。
【0052】
同じカラムアドレスCAが割り当てられた複数のNANDストリングNSは、複数のブロックBLK間で同じビット線BLに接続される。ソース線SLは、複数のブロックBLK間で接続される。
【0053】
図12は、メモリの構造例を示す断面模式図であり、半導体基板11の表面に沿うX軸方向と、当該表面に沿ってX軸に略垂直なY軸方向と、当該表面に略垂直なZ軸方向と、を図示する。
【0054】
図12に示すメモリは、
図10に示すメモリセルアレイ200を含む第1の領域R1と、メモリセルアレイ200の下方に、
図10に示すコマンドレジスタ201、アドレスレジスタ202、シーケンサ203、ドライバ204、ローデコーダ205、センスアンプ206を等の周辺回路を含む周辺回路領域12を半導体基板11の上に含む第2の領域R2と、を具備する。これに限定されず、周辺回路領域12は、メモリセルアレイ200と並置するように設けられていてもよい。
【0055】
図12は、絶縁層13と、配線層14と、絶縁層である第2の無機化合物膜22と配線層23との積層体2cと、絶縁層24と、コンタクト層25と、コンタクト層26と、配線層27と、誘電体層3Aと、メモリピラーMPと、を図示する。
【0056】
絶縁層13は、周辺回路領域12の上に設けられる。絶縁層13は、例えば酸化シリコンを含む。
【0057】
配線層14は、絶縁層13の上に設けられ、ソース線SLを含む。配線層14は、例えば金属材料を含む。
【0058】
図13は、メモリピラーMPの構造例を示す断面模式図である。
図13は、配線層23と、第2の無機化合物膜22と、ブロック絶縁膜211と、電荷蓄積膜212と、トンネル絶縁膜213と、半導体層214と、コア絶縁層215と、コンタクト層25と、配線層27と、を図示する。
【0059】
第2の無機化合物膜22および配線層23は、交互に積層されて積層体2cを構成する。複数の配線層23は、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL(m-1)、選択ゲート線SGDをそれぞれ構成する。第2の無機化合物膜22は、例えば酸化シリコンを含む。配線層23は、例えばメモリピラーMPを形成した後に、
図6に示す第1の無機化合物膜21を除去して空洞を形成し、空洞に金属材料を含む導電層を形成することにより形成される(リプレース工程とする)。メモリピラーMPは、選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、および選択ゲート線SGDを含む積層体2cを貫通して延在する。
【0060】
ブロック絶縁膜211、電荷蓄積膜212、トンネル絶縁膜213、半導体層214、およびコア絶縁層215は、メモリピラーMPを構成する。メモリピラーMPの各構成要素は、Z軸方向に沿って延伸する。1つのメモリピラーMPが1つのNANDストリングNSに対応する。また、ブロック絶縁膜211、電荷蓄積膜212、およびトンネル絶縁膜213は、配線層23と第2の無機化合物膜22との積層体と半導体層214との間にメモリ層を構成する。
【0061】
ブロック絶縁膜211、トンネル絶縁膜213、およびコア絶縁層215は、例えば酸化シリコンを含む。電荷蓄積膜212は、例えば窒化シリコンを含む。半導体層214は、例えばポリシリコンを含む。
【0062】
より具体的には、複数の配線層23を貫通してメモリピラーに対応するホールが形成される。ホールの側面にはブロック絶縁膜211、電荷蓄積膜212、及びトンネル絶縁膜213が順次積層されている。そして、側面がトンネル絶縁膜213に接するように半導体層214が形成される。
【0063】
半導体層214は、Z軸方向に沿って第2の無機化合物膜22と配線層23との積層体2cを貫通して配線層14に接続される。半導体層214は、選択トランジスタST1、選択トランジスタST2、メモリトランジスタMTのチャネル形成領域を有する。よって、半導体層214は、選択トランジスタST1、選択トランジスタST2、メモリトランジスタMTの電流経路を接続する信号線として機能する。
【0064】
コア絶縁層215は、半導体層214の内側に設けられる。コア絶縁層215は、半導体層214に沿って延在する。
【0065】
コンタクト層25は、半導体層214に接するコンタクトプラグを含む。配線層27は、コンタクトプラグを介して半導体層214に接続されたビット線BLを含む。配線層27は、金属材料を含む。
【0066】
メモリピラーMPおよび各ワード線WLを構成する配線層23は、メモリトランジスタMTを構成する。メモリピラーMPおよび選択ゲート線SGDを構成する配線層23は、選択トランジスタST1を構成する。メモリピラーMPおよび各選択ゲート線SGSを構成する配線層23は、選択トランジスタST2を構成する。
【0067】
また、
図12に示すメモリセルアレイは、複数のアレイ部と、複数の階段部と、を有し、階段部の一つは、2つのアレイ部の間に設けられる。
【0068】
図7に示す誘電体層3Aは、
図12に示すように、階段部の凹部を埋める埋め込み層として用いることができる。例えば、階段部の凹部を埋める誘電体層3Aを形成し、誘電体層3Aを形成した後にメモリピラーMPを形成し、メモリピラーMPを形成した後に上記リプレース工程を実施する。各工程の順序は、上記順序に限定されない。埋め込み層に用いられる誘電体層3Aは、例えば無機材料32aとしてのシリコンが酸化した、酸化シリコンを含む。
【0069】
階段部は、積層体と、誘電体層3Aと、複数の配線層23と電気的に接続される複数のコンタクト層26を有する。コンタクト層26の形成は、階段領域2bを有する積層体2a(
図3参照)に誘電体層3Aを形成した後に行われる。例えば、リプレース工程の後であって、誘電体層3Aに複数の開口部を形成し、該開口部に導電材を充填することでコンタクト層26が形成される。
【0070】
階段部の凹部は、特に高いアスペクト比を有するため、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法を用いて埋め込み層を形成する場合、埋め込み層にボイドやクラックが発生しやすい。これは、半導体装置の信頼性を低下させるとともに、三次元メモリの大容量化を妨げる原因となる。
【0071】
これに対し、本実施形態の半導体装置の製造方法では、有機材料31aと無機材料32aと、を含む複合材料を、凹部に塗布して誘電体層を形成し、その後、酸化性ガスに誘電体層を曝露して無機材料を酸化させるとともに有機材料の少なくとも一部を誘電体層から除去することにより、無機材料32aの酸化物を含む誘電体層を形成する。これにより、ボイドやクラックの発生を抑制でき、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0072】
<第2の実施形態>
図14は、半導体装置の製造方法の他の例を説明するためのフローチャートである。半導体装置の製造方法の他の例は、
図14に示すように、誘電体層形成工程S2-1と、誘電体層加工工程S2-2と、酸化工程S2-3と、配線層形成工程S2-4と、配線層加工工程S2-5と、を具備する。
【0073】
[誘電体層形成工程S2-1]
図15は、誘電体層形成工程S2-1の例を説明するための断面模式図であり、対象物1BのX軸と、X軸に直交するとともにX軸に直交するY軸に直交するZ軸と、を含むX-Z断面の一部を示す。誘電体層形成工程S2-1により、
図15に示すように、対象物1Bの上に誘電体層3Bを形成する。
【0074】
対象物1Bは、例えば半導体基板に設けられた電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタの上に設けられた導電層と、を含む。電界効果トランジスタは、例えばCMOS回路を構成する。
【0075】
図16は、誘電体層形成工程S2-1における誘電体層3Bの一部の拡大模式図である。誘電体層3Bは、有機材料31bと、無機材料32bと、を含む。誘電体層3Bは、有機材料31bと無機材料32bとを含む複合材料を、対象物1Bの表面に塗布することにより形成される。複合材料を用いることにより、無機材料32bを誘電体層3Bに含侵させる工程を追加する必要が無いため好ましい。
【0076】
有機材料31bは、炭素および酸素を含む高分子材料である。有機材料31bは、無機材料32bと反応可能な反応サイトを有する。無機材料32bと反応可能な反応サイトとは、例えば無機材料が配位可能な非共有電子対を含み、例えばポリマーに含まれるカルボニル基やアミド基等の官能基に存在する非共有電子対等が挙げられる。
【0077】
誘電体層3Bに対し、対象物1Bの少なくとも表面は、反応サイトの数が誘電体層3Bよりも少ないまたは反応サイトを有しない。
【0078】
無機材料32bは、例えばシリコン、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの無機元素を含む。
【0079】
[誘電体層加工工程S2-2]
図17および
図18は、誘電体層加工工程S2-2の例を説明するための断面模式図であり、対象物1BのX-Z断面の一部を示す。誘電体層加工工程S2-2により、
図17に示すように、誘電体層3Bを加工することにより、誘電体層3Bに凹部DBを形成する。
図17は、凹部DBの例としてデュアルダマシンプロセスにより配線層を形成するためのトレンチを図示しているが、これに限定されない。
【0080】
誘電体層3Bは、例えばナノインプリントリソグラフィ(NIL)を用いて加工できる。NILを用いたパターン形成方法では、誘電体層3Bの上に型(テンプレート)を押し当て、光を照射して誘電体層3Bを硬化させることにより誘電体層3Bに凹部DBを含むパターンを形成する。このとき、凹部DBの下に誘電体層3Bの一部が残存する。
【0081】
さらに、誘電体層加工工程S2-2により、
図18に示すように、誘電体層3Bの凹部DBをエッチングして凹部DBの下の誘電体層3Bの残部を除去することにより、誘電体層3Bを貫通する凹部DBを形成する。
【0082】
[酸化工程S2-3]
図19は、酸化工程S2-3の例を説明するための断面模式図であり、対象物1BのX-Z断面の一部を示す。
図20は、酸化工程S2-3における誘電体層3Bの一部の拡大模式図である。酸化工程S2-3により、酸化性ガスに誘電体層3Bを曝露する。酸化性ガスは、曝露後に排気される。
【0083】
誘電体層3B中の有機材料31bは、無機材料32bと反応する反応サイトを有する。酸化性ガスに誘電体層3Bを曝露することにより、酸化性ガスが無機材料32bを酸化させて無機材料32bの酸化物を形成できる。例えば、無機材料32bがシリコンを含む場合、シリコン酸化膜が形成される。このときのシリコン酸化膜のSi2pの結合エネルギーは、例えば103.5±0.06eVである。
【0084】
酸化性ガスは、例えばオゾンを含む。オゾンは酸化力が高いため、酸化性ガスがオゾンを含む場合、
図20に示すように、酸化性ガスに誘電体層3Bを曝露することにより有機材料31bの少なくとも一部が除去される。有機材料31bが除去された後に残る無機材料32bの酸化物は、例えば非晶質または結晶である。
【0085】
無機材料32bの酸化物の形成や有機材料31bの除去により、誘電体層3Bの酸素原子濃度およびシリコンまたは金属の原子濃度が上昇し、炭素原子濃度が低下する。酸素原子濃度、炭素原子濃度、シリコンまたは金属の原子濃度は、例えばXPSにより測定できる。
【0086】
酸化工程S2-3では、無機材料32bの酸化物を形成するとともに有機材料31bの少なくとも一部を除去することにより、無機材料32bの酸化物により誘電体層3Bを形成できる。酸化工程S2-3により形成される誘電体層3Bの密度は、例えば1.9g/cm3以上2.0g/cm3以下である。
【0087】
[配線層形成工程S2-4]
図21は、配線層形成工程S2-4の例を説明するための断面模式図であり、対象物1BのX-Z断面の一部を示す。配線層形成工程S2-4により、
図21に示すように、凹部DBを埋める配線層4を形成する。配線層4は、例えば銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、およびタングステン(W)の少なくとも一つの金属を含む金属単体または合金を有する。また、配線層4は、例えば窒化チタン(TiN)等のバリアメタル層と他の金属材料層との積層であってもよい。配線層4は、例えばスパッタリングにより形成される。
【0088】
[配線層加工工程S2-5]
図22は、配線層加工工程S2-5の例を説明するための断面模式図であり、対象物1BのX-Z断面の一部を示す。配線層加工工程S2-5により、
図22に示すように、誘電体層3Bの上面が露出するまで配線層4を厚さ方向に除去する。配線層4の一部は、例えばエッチングまたは化学機械研磨(CMP)により除去できる。
【0089】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法例により形成される誘電体層3Bは、第1の実施形態と同様に3次元メモリ等のメモリに用いられる誘電体層に適用可能である。上記メモリの構成例について以下に説明する。メモリの全体構成、回路構成、メモリセルの構造については、第1の実施形態の
図10ないし
図13を用いて説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0090】
図23は、
図12に示す周辺回路領域12の構造例を示す断面模式図であり、半導体基板11の表面に沿うX軸方向と、当該表面に沿ってX軸に略垂直なY軸方向と、当該表面に略垂直なZ軸方向と、を図示する。
【0091】
周辺回路領域は、電界効果トランジスタTRと、電界効果トランジスタTRの上に設けられた誘電体層125と、誘電体層125に埋め込まれた配線層126と、誘電体層125の上に設けられた誘電体層127と、誘電体層127に埋め込まれた配線層128と、誘電体層127の上に設けられた誘電体層129と、誘電体層129に埋め込まれた配線層130と、を具備する。
【0092】
電界効果トランジスタTRは、素子分離領域111により他の素子と電気的に分離され、不純物領域112と、ゲート絶縁膜121と、ゲート電極122と、絶縁膜123と、絶縁層124と、を有する。電界効果トランジスタTRは、
図10に示すコマンドレジスタ201、アドレスレジスタ202、シーケンサ203、ドライバ204、ローデコーダ205、センスアンプ206等の周辺回路のいずれかを構成する。
【0093】
不純物領域112は、電界効果トランジスタのソース領域またはドレイン領域を構成する。不純物は、例えばドナー不純物またはアクセプタ不純物を含む。電界効果トランジスタTRは、不純物領域112の間にチャネル形成領域を有する。
【0094】
ゲート絶縁膜121は、半導体基板11の上に設けられる。ゲート絶縁膜121は、例えば酸化シリコン膜を含む。
【0095】
ゲート電極122は、ゲート絶縁膜121の上に設けられる。ゲート電極122は、例えばドープされた炭素を含有するポリシリコン層、ドープされたリンを含有するポリシリコン層、チタン層、窒化チタンまたは窒化タングステンを含む金属窒化物層、タングステン層等の導電層を含む。これらの導電層を順に積層してゲート電極122を構成してもよい。ゲート電極122は、複数のコンタクトプラグの一つに接続される。
【0096】
絶縁膜123は、ゲート電極122の上に設けられる。絶縁膜123は、例えばゲート電極122の上にコンタクトプラグを形成する際のエッチングストッパとして機能する。絶縁膜123は、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。
【0097】
絶縁層124は、ゲート電極122および絶縁膜123の積層の側面に設けられ、当該積層の厚さ方向に沿って延在する。絶縁層124は、例えば二酸化シリコン(SiO2)層である。絶縁層124は、電界効果トランジスタTRのサイドウォールとして機能する。
【0098】
配線層126、配線層128、および配線層130は、デュアルダマシンプロセスを用いて形成され、配線とコンタクトプラグとを一体的に形成したものである。配線層126の一つは、不純物領域112またはゲート電極122に接続され、配線層128の一つは、配線層126に接続され、配線層130の一つは、配線層128に接続される。
【0099】
図22に示す誘電体層3Bおよび配線層4は、例えば誘電体層125および配線層126の組み合わせ、誘電体層127および配線層128の組み合わせ、および誘電体層129および配線層130の組み合わせの少なくとも一つとして用いることができる。これらの誘電体層に用いられる誘電体層3Bは、例えば酸化シリコンを含む。
【0100】
例えばCVD法を用いてこれらの誘電体層を形成する場合、堆積された各々の誘電体層についてパターニングとエッチングを施す必要があり製造工程が煩雑で半導体装置の高コスト化につながっている。
【0101】
これに対し、本実施形態の半導体装置の製造方法では、塗布形成した有機材料31bと無機材料32bを含む誘電体層を、酸化性ガスに曝露して無機材料を酸化させるとともに有機材料31bの少なくとも一部を誘電体層から除去することにより、無機材料32bの酸化物を含む誘電体層を形成できる。これにより、高い信頼性を有するとともに製造工程を簡略化でき低コストの半導体装置を提供できる。
【0102】
(半導体装置の製造方法の変形例)
図24は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例を説明するためのフローチャートである。半導体装置の製造方法の変形例は、誘電体層形成工程S2-1と、誘電体層加工工程S2-2と、酸化工程S2-3と、配線層形成工程S2-4と、配線層加工工程S2-5と、を具備するとともに、誘電体層加工工程S2-2の後であって酸化工程S2-3の前に有機材料層形成工程S2-6をさらに具備する。なお、誘電体層形成工程S2-1、誘電体層加工工程S2-2、配線層形成工程S2-4、および配線層加工工程S2-5については、
図14に示す誘電体層形成工程S2-1、誘電体層加工工程S2-2、配線層形成工程S2-4、および配線層加工工程S2-5と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0103】
[有機材料層形成工程S2-6]
図25は、有機材料層形成工程S2-6の例を説明するための断面模式図であり、対象物1BのX-Z断面の一部を示す。有機材料層形成工程S2-6により、
図25に示すように、凹部DBを埋める有機材料層5を形成する。
【0104】
有機材料層5は、有機材料31bと同じく炭素および酸素を含むが、無機材料32bを含まない高分子材料である。有機材料層5は、無機材料32bと反応可能な反応サイトの数が誘電体層3Bよりも少ないまたは反応サイトを有しない。
【0105】
有機材料層5は、誘電体層3Bに強固に密着する。有機材料層5は、上記高分子材料凹部DBを塗布することにより形成され、エッチングやCMP等の表面処理により例えば有機材料層5の表面が誘電体層3Bの表面と面一になるように加工する。これに限定されず、例えばスピンコート法を用いて有機材料層を形成してもよい。
【0106】
[酸化工程S2-3]
図26は、酸化工程S2-3の例を説明するための断面模式図であり、対象物1BのX-Z断面の一部を示す。酸化工程S2-3により、酸化性ガスに誘電体層3Bおよび有機材料層5を曝露する。酸化性ガスは、曝露後に排気される。
【0107】
酸化工程S2-3では、無機材料32bの酸化物を形成するとともに有機材料31bの少なくとも一部および有機材料層5を除去することにより、無機材料32bの酸化物により誘電体層3Bを形成できる。また、有機材料層5は、誘電体層3Bとともに酸化性ガスに曝露されることにより除去される。酸化工程S2-3のその他の説明については、
図14に示す酸化工程S2-3と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0108】
誘電体層3Bは、無機材料32bが酸化することにより膨張して誘電体層3Bには圧縮応力が生じることがある。一方で、有機材料層5は、無機材料32bを含んでおらず、誘電体層3Bよりも反応サイトの数が少ないまたは反応サイトを有していないため、膨張しない。よって、凹部DBの寸法が維持される。また、有機材料層5は、誘電体層3Bに強固に密着しているため誘電体層3Bが膨張しても誘電体層3Bから剥がれにくい。したがって、誘電体層3Bの膨張によるパターンの変形を抑制することができる。よって、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1A…対象物、1B…対象物、2…多層膜、2a…積層体、2b…階段領域、2c…積層体、3A…誘電体層、3B…誘電体層、4…配線層、5…有機材料層、11…半導体基板、12…周辺回路領域、13…絶縁層、14…配線層、21…第1の無機化合物膜、22…第2の無機化合物膜、23…配線層、24…絶縁層、25…コンタクト層、26…コンタクト層、27…配線層、31a…有機材料、31b…有機材料、32a…無機材料、32b…無機材料、111…素子分離領域、112…不純物領域、121…ゲート絶縁膜、122…ゲート電極、123…絶縁膜、124…絶縁層、125…誘電体層、126…配線層、127…誘電体層、128…配線層、129…誘電体層、130…配線層、200…メモリセルアレイ、201…コマンドレジスタ、202…アドレスレジスタ、203…シーケンサ、204…ドライバ、205…ローデコーダ、206…センスアンプ、211…ブロック絶縁膜、212…電荷蓄積膜、213…トンネル絶縁膜、214…半導体層、215…コア絶縁層。