(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049850
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】気密検査装置及び気密検査方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/26 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
G01M3/26 M
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156108
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000221638
【氏名又は名称】東尾メック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】福山 潤
(72)【発明者】
【氏名】中津 延彦
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA34
2G067BB04
2G067BB26
2G067BB34
2G067CC04
2G067DD02
2G067EE08
(57)【要約】
【課題】複数の冷媒配管系統Hの気密検査を、能率良く行うことができる検査装置を提供する。
【解決手段】基幹胴部1と、多数本の分岐管部3と、窒素ガス注入細管部5と、圧力計8とを備え、パイプピンチやロウ付けを省略して、冷媒配管系統Hに接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基幹胴部(1)と、
開閉弁(3B)を有すると共に上記基幹胴部(1)から突設された多数本の分岐管部(3)と、
上記基幹胴部(1)に窒素ガスを注入するように、窒素ガスボンベ(6)に連通連結される窒素ガス注入細管部(5)と、
上記基幹胴部(1)内の圧力を検出するための圧力計(8)と、
を具備したことを特徴とする気密検査装置。
【請求項2】
基幹胴部(1)は両端閉鎖状の大径パイプから成り、
多数本の分岐管部(3)は、上記基幹胴部(1)から直交状に突設されると共に、2群に区分されて、平面視180°反対方向に設けられている請求項1記載の気密検査装置。
【請求項3】
上記窒素ガス注入細管部(5)は、上記両端閉鎖状の大径パイプの一端(1A)に連設され、
かつ、大径パイプの他端(1B)には、細管(8A)を介して上記圧力計(8)が付設されている請求項1記載の気密検査装置。
【請求項4】
基幹胴部(1)と、
開閉弁(3B)を有すると共に上記基幹胴部(1)から突設された多数本の分岐管部(3)と、
上記基幹胴部(1)に窒素ガスを注入するように、窒素ガスボンベ(6)に連通連結される窒素ガス注入細管部(5)と、
上記基幹胴部(1)内の圧力を検出するための圧力計(8)と、
を備え、
複数の空調室内機(20)を配設した冷媒配管系統(H)の外端部(12)に設けた継手本体(23)の雄ネジ(23C)に螺合される大径螺合部(25C)と、外方突出状の小径の第1雄接続部(25E)を有するレデューサ型継手(25)を備え、
さらに、上記分岐管部(3)の先端には、上記第1雄接続部(25E)と同一形状の第2雄接続部(3E)が設けられ、
上記第1雄接続部(25E)と上記第2雄接続部(3E)とを、接続するために、両端に袋ナット(28)(28)(28A)(28A)を有し、中間パイプ(27)又は中間可撓性ホース(29)を有する連通接続部材(30)を、
備えていることを特徴とする気密検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の気密検査装置を使用し、
上記冷媒配管系統(H)の上記外端部(12)と気密検査装置との配管接続及び分離作業を、袋ナット螺着螺退工程によって行い、パイプピンチ工程及びロウ付け・ハンダ工程を全く省略したことを特徴とする気密検査方法。
【請求項6】
請求項4記載の気密検査装置を使用し、
複数の上記冷媒配管系統(H)の各外端部(12)に対して、上記気密検査装置の基幹胴部(1)から突設された多数本の上記分岐管部(3)の各々を、連通連結して、
複数の上記冷媒配管系統(H)の気密検査を、同時に行うこと、及び、選択的に組合せて行うこと、さらに、一系統毎に行うことが、可能であることを特徴とする気密検査方法。
【請求項7】
上記分岐管部(3)が多数本とは、6本以上20本以下である請求項1,2,3又は4記載の気密検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒配管についての気密検査装置及び気密検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空調設備の冷媒配管については、配管工事終了の際に気密検査が行われている。
冷媒配管内を高圧の冷媒を循環させるため漏洩発生はあってはならず、気密検査は重要な作業であると言える。
【0003】
ところで、従来の気密検査装置と気密検査方法は、
図11~
図13に示すようなものが知られている(特許文献1参照)。
即ち、
図11~
図13に於て、気密検査される冷媒配管としての液管51とガス管52の外端開口部51a,52aに対して、
図13(A)のように、挿入すると共に、
図13(B)に示すように、矢印53方向に外力を加えてパイプピンチして接合される液側導管61・ガス側導管62を有する。
【0004】
しかも、
図13(B)の矢印53方向へのパイプピンチ工程の後には、ロウ付け工程が行われ、
図13(B)に点々54にて示すようにロウ付けにより封止される。(場合によって、ハンダ付けされることもある。)
【0005】
図11,
図12に於て、分岐継手55を介して、前述の2本の導管61,62が(右方向に)延伸している。この分岐継手55に介して、主管56の胴部57と、上記導管61,62が、接合されている。
胴部57には、ガス供給口を有し、接手58とホース59を介して、窒素ガスボンベ60と、接続されている。また、胴部57には、圧力計63が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、高層ビルディング等の空調施設では、一フロアに多数の室内機が配設されている。屋上に設置された室外機から、縦管を介して、各フロアに至り、各フロアで分岐して、複数に区画された冷媒配管系統に接続され、各々の冷媒配管系統には多くの室内機が接続配置される。
【0008】
従来の
図11~
図12に示したような気密検査装置及び方法では、次のような問題があった。
即ち、(i)
図13に示すようなパイプピンチ加工を要し熟練と手間が掛かる。(ii)さらにロウ付け工程を必要とし、熱源を必要とし火災の虞れもあり、かつ、熟練を要し、迅速な作業が難しく、品質も安定しない。(iii)気密試験の後、
図13(B)に示した箇所を切断除去せねばならない。つまり、冷媒配管51,52の先端を切断し、かつ、導管61,62も気密試験毎に、切断せねばならない。複数回の検査後は、
図11に示す検査装置自身が使用できなくなる。
【0009】
そこで、本発明は、従来のこのような問題点(i)(ii)(iii)を解決して、作業者の熟練をほとんど要さずに、安定して能率良く、気密検査を行うことが可能となり、現場を汚さずに済み、火災等の心配もない気密検査装置と方法を提供することを目的とする。さらに、検査後に、パイプ切断等の無駄な作業も省略することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係る気密検査装置は、基幹胴部と;開閉弁を有すると共に上記基幹胴部から突設された多数本の分岐管部と;上記基幹胴部に窒素ガスを注入するように、窒素ガスボンベに連通連結される窒素ガス注入細管部と;上記基幹胴部内の圧力を検出するための圧力計と;を具備している。
【0011】
また、基幹胴部は両端閉鎖状の大径パイプから成り;多数本の分岐管部は、上記基幹胴部から直交状に突設されると共に、2群に区分されて、平面視180°反対方向に設けられている。
また、上記窒素ガス注入細管部は、上記両端閉鎖状の大径パイプの一端に連設され;かつ、大径パイプの他端には、細管を介して上記圧力計が付設されている。
【0012】
また、基幹胴部と;開閉弁を有すると共に上記基幹胴部から突設された多数本の分岐管部と;上記基幹胴部に窒素ガスを注入するように、窒素ガスボンベに連通連結される窒素ガス注入細管部と;上記基幹胴部内の圧力を検出するための圧力計と;を備え;複数の空調室内機を配設した冷媒配管系統の外端部に設けた継手本体の雄ネジに螺合される大径螺合部と、外方突出状の小径の第1雄接続部を有するレデューサ型継手を備え;さらに、上記分岐管部の先端には、上記第1雄接続部と同一形状の第2雄接続部が設けられ;上記第1雄接続部と上記第2雄接続部とを、接続するために、両端に袋ナットを有し、中間パイプ又は中間可撓性ホースを有する連通接続部材を;備えている。
【0013】
また、本発明に係る気密検査方法は、上記冷媒配管系統の上記外端部と気密検査装置との配管接続及び分離作業を、袋ナット螺着螺退工程によって行い、パイプピンチ工程及びロウ付け・ハンダ工程を全く省略した。
また、複数の上記冷媒配管系統の各外端部に対して、上記気密検査装置の基幹胴部から突設された多数本の上記分岐管部の各々を、連通連結して;複数の上記冷媒配管系統の気密検査を、同時に行うこと、及び、選択的に組合せて行うこと、さらに、一系統毎に行うことが、可能である気密検査方法である。
また、上記分岐管部が多数本とは、6本以上20本以下である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る気密検査装置によれば、多数本の分岐管部の各々を、複数の冷媒配管系統の各々に接続することによって、複数の冷媒配管系統の気密検査を能率良く行うことができる。
また、本発明に係る気密検査方法によれば、スパナ等の手動作業工具のみをもって、迅速かつ容易に気密検査を行うことができる。さらに、作業に熟練を要しない。また。現場を汚さずに済み、火災発生の虞れもなくなる。そして、検査装置自身を何度も繰返して使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の一形態を示す平面説明図である。
【
図2】本発明の実施の一形態を示す要部平面図である。
【
図3】本発明の気密検査装置の実施の一形態の要部平面図である。
【
図5】
図4に示した開閉弁の開状態から閉状態に切換えた状態を示した断面拡大図である。
【
図6】冷媒配管系統の外端部の近傍を示した図であって、第2袋ナットを取外しつつある状態を説明する断面図である。
【
図7】冷媒配管系統の外端部の近傍を示した図であって、
図6に示した第2袋ナットを取外した後に、レデューサ型継手を取付ける状態を説明する断面図である。
【
図8】冷媒配管系統の外端部にレデューサ型継手を螺着し、レデューサ型継手の小径の第1雄接続部と、分岐管の先端の第2雄接続部とを中間パイプと2個の袋ナットを介して連通接続した状態を示す要部断面図である。
【
図9】冷媒配管系統の外端部にレデューサ型継手を螺着し、レデューサ型継手の小径の第1雄接続部と、分岐管の先端の第2雄接続部とを中間可撓性ホースと2個の袋ナットを介して連通接続した状態を示す要部断面図である。
【
図10】
図7に代わる別の実施形態を示す断面図である。
【
図13】従来例を示す接続作業の説明図であって、(A)は冷媒配管に導管を挿入した状態の説明図、(B)は冷媒配管をパイプピンチし、さらに、ロウ付けして、導管を接続した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図2と
図3に於て、本発明に係る冷媒用の気密検査装置10を示す。
1は基幹胴部であって、例えば、両端閉鎖状の大径パイプや、細長状筐体から成る。この基幹胴部1から多数本の分岐管部3が突設されている。
【0017】
具体的には、多数本の分岐管部3は、基幹胴部1から(平面視)直交状に突設されると共に、2群に区分されて、平面視180°反対方向に設けられている。
ところで、分岐管部3は、細径パイプ3Aと開閉弁3Bとフレア継手部3Cから成っている。かつ、図例では、開閉弁3Bは先端に設けられている。なお、分岐管部3が「多数本」とは、6本以上20本以下である。
【0018】
また、
図4と
図5に示した具体例では、大径パイプから成る基幹胴部1に、水平方向に孔部2を貫設し、これに分岐管部3の基端を少しだけ挿入し、ロウ付け又はハンダ付け若しくは溶接等の接合手段4にて連結一体化している。
また、5は、基幹胴部1に窒素ガスを注入するように、窒素ガスボンベ6に連通連結される窒素ガス注入細管部である。
【0019】
基幹胴部1の両端は、閉鎖状であると既に説明したが、具体的には、基幹胴部1の一端1Aは、しだいに細径となるように絞られて、最先端の小径貫孔部(図示せず)に、窒素ガス注入細管部5が小寸法だけ挿入して、ロウ付けやハンダ付け等の接合手段にて連結されている状態である。このような状態を、本発明では、基幹胴部1の一端1Aが閉鎖状であると呼ぶこととする。
【0020】
また、窒素ガス注入細管部5は、(
図4,
図5にて説明した)分岐管部3と同じ構成であって、細径パイプ5Aと開閉弁5Bとフレア継手部5Cから成っている。窒素ガスボンベ6は、別途、接続ホース7等を介して開閉弁5Bの先端に(図示省略の)袋ナット等を介して、接続される(
図2参照)。
【0021】
また、基幹胴部1内の圧力を検出するための圧力計8が他端1Bに付設される。具体的には、この他端1Bは、しだいに細径となるように絞られて、最先端の小径貫通孔部(図示せず)に、細管8Aが小寸法だけ挿入されて、ロウ付けやハンダ付け等の接合手段にて連結されている状態である。このような状態を、本発明では、基幹胴部1の他端1Bが閉鎖状であると呼ぶこととする。
【0022】
以上をまとめて言えば、窒素ガス注入細管部5は、両端閉鎖状の大径パイプから成る基幹胴部1の一端1Aに連設され、かつ、他端1Bには、細管8Aを介して、圧力計8が付設されている。
【0023】
そして、
図1の平面図に於て、高層ビルディング等における一フロアを示し、この一フロアが広く、例えば、5区画N
1 ,N
2 ,N
3 ,N
4 ,N
5 に分割して、各々に別々の冷媒配管系統H
1 ,H
2 ,H
3 ,H
4 ,H
5 が配置された場合を示す。
20は多数の空調室内機であって、かつ、実線と破線をもって、空調室内機20と屋上室外機から垂下状の縦管(図示省略)に接続される冷媒液管15と冷媒ガス管17を示している。
【0024】
図1と
図2に於て、一群の空調室内機20が配設された各冷媒配管系統H
1 ,H
2 ,H
3 ,H
4 ,H
5 の外端部12に於ては、外端管継手21が予め付設されている。
この外端管継手21は、
図6に示した実施例では、内方の第1袋ナット22と継手本体23と外方の第2袋ナット24から構成されている。
【0025】
図6に例示した外端管継手21の継手本体23は、中央六角部23Aと、これから左右(外内)各方向に延設された雄ネジ23C付の筒部23B,23Bと、その筒部23Bから突出状に連設された(2本の食込歯部を有する)係止爪部23Dとを、備えている。
図6の右半分では、冷媒液管15又は冷媒ガス管17の外周面に対して係止爪部23Dが食込状に係止するように、第1袋ナット22は雄ネジ23Cに螺進して継手本体23に接続されている。
【0026】
しかしながら、
図1,
図2における気密検査前では、
図6の左半分をもって示すように、第2袋ナット24は予め緩やかに(軽く)継手本体23に対して螺着された状態であったため、この第2袋ナット24を矢印F
24の方向に取外すことができる。
【0027】
図6の矢印F
24の方向に第2袋ナット24を取外して、次に、
図7に示す如く、レデューサ型継手25を(代わりに)取着する。
言い換えれば、冷媒配管系統Hの外端部12には、(気密検査時には、)継手本体23が固着(固設)されている。従って、レデューサ型継手25は、冷媒配管系統Hの外端部12に設けた継手本体23の雄ネジ23Cに、螺着されることとなる。
【0028】
このレデューサ型継手25は、継手本体23の雄ネジ23Cに螺合可能な大径螺合部25Cを有すると共に、外方突出状に小径の第1雄接続部25Eを有する。
大径螺合部25Cの雌ネジは、
図6の第2袋ナット24の雌ネジ24Cと同一である。なお、
図7からも明らかなように、Oリング等のシール材26を内装して、係止爪部23Dの外周面に密着状になるよう圧縮し、密封作用をなさしめている。
図6,
図7に示すように、外端側の係止爪部23Dは、内端側の係止爪部23Dのようにラジアル内方向に変形せずに、元のままの姿勢を保っている。
【0029】
次に、
図3,
図4,
図5及び
図8に示すように、基幹胴部1から突出状の分岐管部3の先端には、前記レデューサ型継手25の第1雄接続部25Eと同一形状の第2雄接続部3Eが設けられている。
【0030】
なお、本発明の実施形態では、開閉弁3Bが細径パイプ3Aの先端に付設された構造であるので、第2雄接続部3Eは、開閉弁3B自身の一構成部品から成っている。また、図示省略したが、開閉弁3Bを細径パイプ3Aの中間位置に配設したときは、別部品として第2雄接続部3Eを付設する(図示省略)。
【0031】
図8に示すように、上記第1雄接続部25Eと上記第2雄接続部3Eとは、両端に袋ナット28,28を有すると共に、中間パイプ27を有する連通接続部材30によって、接続する。
なお、
図8に示す実施例では、いわゆるフレア継手構造をもって、連通接続している場合を示す。
【0032】
図9は、(
図8に代わる)他の実施例を示す。即ち、可撓性ホース29と、袋ナット28A,28Aをもって、連通接続部材30を、構成している。
なお、
図2に於ては、
図8又は
図9に示した連通接続部材30を簡略化して一点鎖線にて図示する。
【0033】
次に、
図10は
図7に代わる他の実施形態を示す。
図10(B)に示すような細長円錐台形の係止コーン32を複数個有し、この係止コーン32は、細長状の保持孔を有するホルダー筒体33の保持孔に保持され、テーパ内面34を有する第1袋ナット35の継手本体36に対する螺進に伴って、係止コーン32の大径端面37の外周端縁38を管15,17に食い込み状に係止して、管15,17の引抜を阻止する構造である。
【0034】
図1,
図2に示した各冷媒配管系統H
1 ,H
2 ,H
3 ,H
4 ,H
5 の外端部12に於ては、外端管継手21が予め付設されているが、その状態の外端管継手21について説明する。
図10に於ける中央線L
10-L
10から右側の半分に示すように、第1袋ナット35の螺進によって、冷媒液管15・冷媒ガス管17は、係止コーン32にて抜止めされている。
中央線L
10-L
10よりも左側半分は、(図示省略したが)袋ナット35が螺進前状態であるが、これを継手本体36から取外して、代わりに、
図10(A)の左半分のような2部品から成るレデューサ型継手25を継手本体36の外端半分に、取着することで、
図7と同様の第1雄接続部25Eが形成でき、その後、
図8又は
図9で説明した連通接続部材30を介して、冷媒液管15・冷媒ガス管17と、分岐管部3とを、接続可能である。
【0035】
図1,
図2に示すような(一フロアの)複数区画N
1 ,N
2 ,N
3 …の全ての冷媒配管系統H
1 ,H
2 ,H
3 …の各外端部12と、気密検査装置との配管接続及び分離作業は、袋ナット螺着螺退工程によって行う。
図13に示したようなパイプピンチ工程及びロウ付け又はハンダ工程を、全く省略できる。
【0036】
なお、本発明に於て、袋ナット螺着螺退工程における「袋ナット」とは、
図3~
図4に示したシンプルなフレア継手部3C用の袋ナットの他に、
図6に示したような一部にOリング等のシール材を有するもの、さらに、
図7~
図9に示したように第1雄接続部25Eを一体に有する袋状ナット、あるいは、
図10に示したように係止コーン32等の別機能を内部に有する袋状ナットを含むものと定義する。
【0037】
そして、
図2と
図1に示したように、複数の冷媒配管系統H
1 ,H
2 ,H
3 ,H
4 ,H
5 の各外端部12に対して、基幹胴部1から突設された多数本の分岐管部3の各々を、連通連結するが、分岐管部3は多数本であるので、余った分岐管部3は、その開閉弁3Bを閉状態のままで残しておく。
窒素ガスボンベ6のバルブ6Aを開けば、複数の冷媒配管系統Hに同時に所定圧力の窒素ガスが送られる。例えば24時間等の長時間を掛けて、圧力計8によって、圧力降下の有無と圧力降下値を測定できる。
【0038】
このように複数の冷媒配管系統Hが同時に検査できることで、仮に全ての冷媒配管系統Hが気密が良好であった場合、一度で検査が完了する。一度の検査は24時間等の長時間であるから、
図1に例示したように一フロアに5本の冷媒配管系統が存在した場合は、約5日間にわたる検査が必要であるが、本発明では1日で完了する。
【0039】
また、複数の冷媒配管系統Hの全てを気密検査した結果、いずれかの冷媒配管系統に漏洩があった場合には、改めて、冷媒配管系統H毎に一つずつ順に気密検査を行えば良い。又は、2本又は3本ずつの気密検査を行って、検査能率を向上することもできる。このように、従来の検査方法(
図11~
図13参照)よりも、気密検査の能率アップを図り得る。
【0040】
なお、本発明の検査方法にあっては、各空調室内機20への冷媒液管15と冷媒ガス管17の接続状態をそのまま維持して行われる。但し、同一区画Nの冷媒液管15と冷媒ガス管17は同時に加圧するのが望ましい。
【0041】
本発明は、以上詳述したように、基幹胴部1と、開閉弁3Bを有すると共に上記基幹胴部1から突設された多数本の分岐管部3と、上記基幹胴部1に窒素ガスを注入するように、窒素ガスボンベ6に連通連結される窒素ガス注入細管部5と、上記基幹胴部1内の圧力を検出するための圧力計8と、を具備しているので、窒素ガスボンベ6から基幹胴部1に送った窒素ガスは、多数の開閉弁3B…を順次開閉操作すれば、多くの冷媒配管系統H1 ,H2 ,H3 …に関して、能率的に気密検査を実施できる。
【0042】
また、基幹胴部1は両端閉鎖状の大径パイプから成り、多数本の分岐管部3は、上記基幹胴部1から直交状に突設されると共に、2群に区分されて、平面視180°反対方向に設けられているので、現場床面等の平坦面に安定姿勢で設置しやすく、かつ、冷媒配管系統H1 ,H2 ,H3 …への接続・分離作業も、安定して迅速・容易に行うことができる。また、気密検査時に、複数の冷媒配管系統H1 ,H2 ,H3 …を一度に同時に行ったり、選択的に複数系統Hを組合せたり、あるいは、一系統Hを行う場合に、間違いなく容易に切換操作ができ、かつ、目視確認も行いやすい利点もある。
【0043】
また、上記窒素ガス注入細管部5は、上記両端閉鎖状の大径パイプの一端1Aに連設され、かつ、大径パイプの他端1Bには、細管8Aを介して上記圧力計8が付設されているので、
図3と
図2に示したように、気密検査の現場に持ち運びしやすく、かつ、安定して設置できる。かつ、冷媒配管系統H
1 ,H
2 ,H
3 …への接続・分離作業も迅速・容易に行って、窒素ガスの供給と停止の確認、及び、圧力の変動を、確実に行い得る。
【0044】
また、基幹胴部1と、開閉弁3Bを有すると共に上記基幹胴部1から突設された多数本の分岐管部3と、上記基幹胴部1に窒素ガスを注入するように、窒素ガスボンベ6に連通連結される窒素ガス注入細管部5と、上記基幹胴部1内の圧力を検出するための圧力計8と、を備え、複数の空調室内機20を配設した冷媒配管系統Hの外端部12に設けた継手本体23の雄ネジ23Cに螺合される大径螺合部25Cと、外方突出状の小径の第1雄接続部25Eを有するレデューサ型継手25を備え、さらに、上記分岐管部3の先端には、上記第1雄接続部25Eと同一形状の第2雄接続部3Eが設けられ、上記第1雄接続部25Eと上記第2雄接続部3Eとを、接続するために、両端に袋ナット28,28,28A,28Aを有し、中間パイプ27又は中間可撓性ホース29を有する連通接続部材30を、備えている構成であるので、冷媒配管系統Hの外端部12と、分岐管部3の先端とを、(細径とした)中間パイプ27又はホース29によって、迅速かつ簡単に接続できて、気密検査を容易かつ迅速に開始できる。かつ、検査すべき冷媒配管系統H
1 ,H
2 ,H
3 …の変更(切換え)を迅速に行い得る。特に、中間パイプ27又はホース29は、細径とすることが可能となって、
図2の上半部位に示したような配管接続が簡単かつ迅速に行い得る。しかも、
図11~
図13に示したような従来のパイプピンチ加工及びロウ付け工程が全く省略できるため、熱源が不要となり、安全かつ迅速に、検査準備作業と終了後の作業が行い得る。
【0045】
また、上記冷媒配管系統Hの上記外端部12と気密検査装置との配管接続及び分離作業を、袋ナット螺着螺退工程によって行い、パイプピンチ工程及びロウ付け・ハンダ工程を全く省略したので、
図11~
図13及び先行特許文献1についての前記問題点(i)(ii)(iii)を全て解決でき、作業者の熟練を要することなく、安定して能率的に気密検査を行うことができ、現場を汚さずに、かつ、火災等の心配もなく気密検査を行うことが可能となる。
【0046】
また、複数の上記冷媒配管系統Hの各外端部12に対して、上記気密検査装置の基幹胴部1から突設された多数本の上記分岐管部3の各々を、連通連結して、複数の上記冷媒配管系統Hの気密検査を、同時に行うこと、及び、選択的に組合せて行うこと、さらに、一系統毎に行うことが、可能であるので、例えば、一フロアに敷設された全ての冷媒配管系統Hが冷媒漏洩が無い場合には、たった一度の気密検査にて完了する。また、選択的に組合せて、例えば,全体が5系統H1 ,H2 ,H3 ,H4 ,H5 である場合に、その内の3系統と2系統にて気密検査すれば、能率良く不良の系統Hを検知可能である。また、一系統毎について順次検査することも望ましい場合もあり、そのような検査方法とすることもできる利点がある。
【0047】
また、本発明において、上記分岐管部3が多数本とは、6本以上20本以下であるので、通常の(高層ビルディングの)一フロアに敷設された冷媒配管系統H1 ,H2 ,H3 …の気密検査に対応できる。即ち、現実的に一フロアに敷設された冷媒配管系統Hの数は10系統以内であるので、20本の分岐管部3によって、対応可能である。逆に、6本未満では、使用できる現場が限定されてしまう。
【符号の説明】
【0048】
1 基幹胴部
1A 一端
1B 他端
3 分岐管部
3B 開閉弁
3E 第2雄接続部
5 窒素ガス注入細管部
6 窒素ガスボンベ
8 圧力計
8A 細管
12 外端部
20 空調室内機
23 継手本体
23C 雄ネジ
25 レデューサ型継手
25C 大径螺合部
25E 第1雄接続部
27 中間パイプ
28 袋ナット
28A 袋ナット
29 中間可撓性ホース
30 連通接続部材
H 冷媒配管系統