(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049885
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/45 20180101AFI20220323BHJP
H04W 76/30 20180101ALI20220323BHJP
H04W 76/19 20180101ALI20220323BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20220323BHJP
【FI】
H04W76/45
H04W76/30
H04W76/19
H04W88/02 110
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156166
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)刊行物に発表: 発行者:八重洲無線株式会社 刊行物名:パンフレット「あらゆる現場で信頼に応える/スタンダードホライゾンSTR 業務用無線通信機」 発行年月日:令和2年6月1日 (2)電気通信回線を通じて発表: 掲載年月日:令和2年8月20日、 掲載アドレス: http://www.yaesu.com/jp/index3.html http://www.yaesu.com/jp/business_index/index.html http://www.yaesu.com/jp/business_index/product/ind_dojitsuwa.html http://www.yaesu.com/jp/business_index/product/srfd1/index.html http://www.yaesu.com/jp/business_index/product/srfd1/detail.html http://www.yaesu.com/jp/business_index/product/srfd1/download.html http://www.yaesu.com/jp/business_index/product/srfd1/SRFD1.pdf http://www.yaesu.com/jp/business_index/product/srfd1/SRFD1_Basic-OM_EN009U003_2008R-DS.pdf http://www.yaesu.com/jp/business_index/product/srfd1/SRFD1_OM_EN009U052_2008Q-CS.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】000234937
【氏名又は名称】八重洲無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089956
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 利和
(72)【発明者】
【氏名】山▲さき▼ 慎一
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067FF23
(57)【要約】
【課題】親機A,Bが複信方式で音声通話を行いつつ、子機(1~X)の1つが単信方式で前記通話に参加する構成で三者同時通話を実現するネットワーク(NW)において、親機A又はBがNWから離脱しても単信NWが維持され、離脱した親機がNWに復帰すると元の三者同時通話のNWに戻る音声無線通信方法を提供する。
【解決手段】親機A又はBが複信の通話信号中に通話終了信号を含めて送信すると、親機A,Bと各子機は複信用チャンネル(CHn)の送受信部を停止させ、NWに残留した親機と各子機が単信用チャンネル(CHm)の送受信部を用いた単信NWを構成する。逆に、NWから離脱した親機が制御用チャンネル(CH19)を介して通話開始信号を送信すると、元の三者同時通話が可能なNWに戻る。親機はNWから離脱しても単信用チャンネルの受信部を動作させて、単信NWでの音声通信を傍受できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複信用チャンネルの対波に係る送受信部と単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号と前記単信用チャンネルの受信部が受信した音声信号を合成して前記複信用チャンネルの送信部から送信し、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Aと、前記複信用チャンネルの対波に係る送受信部と前記単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Bと、前記複信用チャンネルの対波と前記単信用チャンネルに係る3つの受信部と前記単信用チャンネルの送信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記3つの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する1台又は複数台の子機とからなり、前記親機Aが前記単信用チャンネルの送信部の動作を停止させ、前記親機Bが前記単信用チャンネルの送受信部の動作を停止させた状態で、前記親機Aと前記親機Bがそれぞれの前記複信用チャンネルの送受信部で複信方式による音声通信を行うと共に、前記子機が、前記複信用チャンネル係る2つの受信部で前記複信方式による音声通信信号を受信しながら、前記単信用チャンネルの送信部から前記親機Aへ単信方式で音声信号の送信を行うことで三者同時通話の可能な状態が構成される音声無線通信ネットワークにおいて、
前記親機A又は前記親機Bのいずれか一方が前記複信用チャンネルを介して通話終了信号を送信し、他方の親機と前記子機が前記通話終了信号を受信した場合に、前記親機A及び前記親機Bが前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネル係る2つの受信部の動作を停止させ、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することを特徴とする音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項2】
前記親機Aが前記通話終了信号を送信した場合には、前記親機Aは前記単信用チャンネルの受信部を動作状態のまま維持し、前記親機Bが前記通話終了信号を送信した場合には、前記親機Bは前記単信用チャンネルの受信部の動作を開始させることとした請求項1に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項3】
前記親機A及び前記親機Bが制御用チャンネルの送受信部を、前記子機が制御用チャンネルの受信部を備え、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記通話終了信号を送信した前記一方の親機が前記制御チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記他方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ることとした請求項1又は請求項2に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項4】
前記親機A又は前記親機Bが前記複信用チャンネルを介して前記通話終了信号を送信するとき及び前記制御用チャンネルを介して前記通話開始信号を送信するとき、並びに前記子機が前記単信用チャンネルを介して単信方式で通話信号を送信するときには、それぞれ自機の識別信号を付加して送信することとし、前記親機A、前記親機B及び前記子機は、前記通話終了信号、前記通話開始信号又は前記通話信号と前記識別番号の送受信に基づいて、自機及び他機の前記音声無線通信ネットワークからの離脱と参加を判定し、その判定結果に基づいて前記ネットワークに対する自機及び他機の離脱/参加情報を自機の表示部に表示させることとした請求項3に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項5】
自機又は他機の前記音声無線通信ネットワークからの離脱と参加が新たに判定される度に、ビープ音の出力と共に前記表示部の前記離脱/参加情報の書き換えを行うようにした請求項4に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項6】
請求項1に記載の前記音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A、前記親機B及び前記子機における前記各複信用チャンネルの受信部にそれぞれ無信号状態が所定時間以上継続したか否かを判定する判定手段を設け、
前記親機A又は前記親機Bが前記音声無線通信ネットワークの圏外となって、前記親機A及び前記親機Bの各判定手段が無信号状態の所定時間以上の継続を判定し、また、前記子機の2つの判定手段の内の一方が無信号状態の所定時間以上の継続を判定した場合に、
前記親機A及び前記親機Bが前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネルに係る2つの受信部の動作を停止させ、前記親機A及び前記親機Bの内の前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することとした請求項1又は請求項2に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項7】
前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記音声無線通信ネットワークの圏外となった親機が圏内に戻って電源のOFF/ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ることとした請求項6に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項8】
請求項1に記載の前記音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A、前記親機B及び前記子機における前記各複信用チャンネルの受信部にそれぞれ無信号状態が所定時間以上継続した状態を判定する判定手段を設け、
前記親機A又は前記親機Bが電源OFFとなって、電源ON状態の親機の判定手段が無信号状態の所定時間以上の継続を判定し、前記子機の2つの判定手段の内の一方が無信号状態の所定時間以上の継続を判定した場合に、
前記電源ON状態の親機が前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネル係る2つの受信部の動作を停止させ、前記電源ON状態の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することとした請求項1又は請求項2に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【請求項9】
前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記電源ON状態にある親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が行える状態へ移行した後、前記電源OFFとなった親機において電源ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記電源ON状態にあった親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ることとした請求項8に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法に係り、複信用チャンネルを介して通話を行う親機A,Bとその通話に単信用チャンネルを介して単信方式で参加する1台又は複数台の子機とで三者同時通話を可能にする無線通信機同士の通信ネットワークにおいて、親機A,Bの内のいずれかが前記ネットワークから離脱/復帰する場合のネットワーク切り替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大規模な構造物やビルの建設・建築現場では建材等の揚重に大型クレーンが用いられているが、揚重作業に係る安全性の確保については、クレーン操作者だけでなく、現場全体を見張って適宜注意を促す監視者や、玉掛や誘導等を行う各種作業者など多数の者が関与しているため、現場に適合した方式でそれらの者の連携が有効且つ円滑になされることが必要である。
【0003】
そのため、クレーン操作者と監視者と作業者の三者がそれぞれ業務用の無線通信機を携帯して、相互に複信方式で三者同時通話を行える音声無線通信システムが開発されている。
例えば、特許文献1に係る音声無線通信システムによれば、建設工事現場等のクレーン作業において作業者の人数が増えた場合においても、各自の無線通信機で複信方式の使用チャンネルを増やせば、四者以上の多数者間における複信方式の同時通話を実現することが可能である。
【0004】
ところで、建設工事現場等のクレーン作業では、クレーン操作者と監視者は常に緊密に交信し合う必要があるが、他の作業者にとってはクレーンのフックやジブの動きが自らの作業や安全性に関係するときにのみクレーン操作者や監視者と交信ができればよく、必ずしも複信方式で常時交信している必要はなく、現状でのクレーンの動作状況だけが確認できていれば足りることが多い。
【0005】
そこで、本願出願人はその点に着目して、クレーン操作者と監視者が複信用ペアチャンネルを介して通信中に、適宜他の作業者がPTT(Push to Talk)ボタン操作による単信方式で単信用チャンネルを介して前記通信に参加できる音声通信システムを提案している(特願2020-008720:音声無線通信システム及び無線通信装置)。
この提案の音声無線通信システムは
図16に示すような構成を備えており、多数の通信チャンネルを使用することなく、クレーン操作者と監視者と何れか一人の作業者が現場の状況に合わせて三者同時通話を行うことが可能である。
なお、同図における作業者の無線通信機におけるRX-422MHz-ch2はキャリアセンス用の受信部である。
また、複信方式用の周波数帯(421MHz,440MHz)とペアチャンネル(CH1)及び単信方式用の周波数帯(422MHz)とそのチャンネル(ch2)については、下記非特許文献の第4-6頁に掲載されている表3.1-表3.5に基づいて設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】社団法人電波産業会、「特定小電力無線局/無線電話用無線設備/標準規格」,RCR STD-20 4.1版、平成17年11月30日改定
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許出願(特願2020-008720)に係る音声無線通信システム(
図16)においては、三者同時通話に参加している作業者(図では作業者b)の音声信号がクレーン操作者の無線通信機で自機に入力される音声信号と合成され、同無線通信機が中継する方式で監視者と各作業者の無線通信機へ送信している。
これは、監視者の無線通信機にクレーン操作者のそれと同様にRX-422MHz-ch2を設けて対称性のある音声無線通信システムとした場合には、監視者の無線通信機には複信用の421MHz帯のチャンネルCH1を用いる送信部(TX-421MHz-CH1)と単信用の422MHz帯のチャンネルch2を用いる受信部(RX-422MHz-ch2)とが併存することになり、双方の帯域が近くなるため、送信部と受信部の分離度が高くない場合には、受信部の受信帯域やスプリアス帯域内に送信機雑音が入り込むことで受信感度が著しく低下するからである。
【0009】
したがって、クレーン操作者の無線通信機が三者同時通話から離脱した場合には、通話中の作業者の音声信号が監視者の無線通信機にも他の作業者の無線通信機にも届かず、各無線通信機間の通信が一切遮断された状態となる。
そして、クレーン操作者の無線通信機が戻らなければ通信ネットワークを再構成することはできない。
【0010】
一方、監視者の無線通信機が三者同時通話から離脱した場合にはクレーン操作者の無線通信機と各作業者の無線通信機の交信は維持される。
しかしながら、監視者の離脱の事実は監視者が通話中にその意思を告げなければクレーン操作者と各作業者には確認できず、相当時間に亘って会話が途絶えていることで推測できるに過ぎない。
【0011】
ところで、建設・建築現場等においては、様々な事情でクレーン操作者がその持場から離れることはよくあるが、その際に自己の無線通信機がネットワークから離脱すると他の無線通信機の間の通信までが遮断されるのでは、現場管理上の連続性が途切れ、またクレーン操作者が持場に復帰しても通信ネットワークを再構成することが困難になる。
また、クレーン操作者や監視者の無線通信機が通信ネットワークから離脱する場合には、通話終了信号の送信や電源OFFや圏外への移動があるが、いずれにしても離脱の事実を通信ネットワーク内で確認できなければならない。
【0012】
そこで、本願発明は、
図16の音声無線通信システムにおける前記課題に鑑みて、クレーン操作者と監視者の無線通信機のいずれが通信ネットワークから離脱した場合においても、残った無線通信機同士で自動的に新たな通信ネットワークを構成し、また逆に、離脱した無線通信機が復帰する際にも、容易に元の通信ネットワークを再構成できるようにした音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法を提供することを目的として創作された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複信用チャンネルの対波に係る送受信部と単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号と前記単信用チャンネルの受信部が受信した音声信号を合成して前記複信用チャンネルの送信部から送信し、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Aと、前記複信用チャンネルの対波に係る送受信部と前記単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Bと、前記複信用チャンネルの対波と前記単信用チャンネルに係る3つの受信部と前記単信用チャンネルの送信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記3つの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する1台又は複数台の子機とからなり、前記親機Aが前記単信用チャンネルの送信部の動作を停止させ、前記親機Bが前記単信用チャンネルの送受信部の動作を停止させた状態で、前記親機Aと前記親機Bがそれぞれの前記複信用チャンネルの送受信部で複信方式による音声通信を行うと共に、前記子機が、前記複信用チャンネル係る2つの受信部で前記複信方式による音声通信信号を受信しながら、前記単信用チャンネルの送信部から前記親機Aへ単信方式で音声信号の送信を行うことで三者同時通話の可能な状態が構成される音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A又は前記親機Bのいずれか一方が前記複信用チャンネルを介して通話終了信号を送信し、他方の親機と前記子機が前記通話終了信号を受信した場合に、前記親機A及び前記親機Bが前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネル係る2つの受信部の動作を停止させ、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することを特徴とする音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法に係る。
【0014】
本発明では、
図16に示した音声無線通信システム(特願2020-008720)がクレーン操作者の無線通信機にのみ単信用チャンネルの受信部を設けていたのに対し、親機A(クレーン操作者の無線通信機に相当)と親機B(監視者の無線通信機に相当)の双方に複信用チャンネルの送受信機と単信用チャンネルの送受信機を設けているが、親機Aにおける自機への入力音声信号と前記単信用チャンネルでの受信音声信号を合成して複信用チャンネルで送信する機能については
図16の音声無線通信システムの場合と同様である。
三者同時通話が可能な状態では、親機Aと親機Bが複信用チャンネルを介して音声通信を行い、子機は、複信用チャンネル係る2つの受信部で親機Aと親機Bの前記音声通信を受信しながら、単信用チャンネルを介して単信方式で音声信号を親機Aの単信チャンネルの受信部へ送信し、親機Aではそれを自機への入力音声信号に合成して複信チャンネルを介して送信するという中継機能を果たしている。
【0015】
前記音声無線通信ネットワークにおいて、親機A及び親機Bはいずれも複信用チャンネルを介して通話終了信号を送信することでネットワークから離脱することができる。
その場合、いずれの親機が通話終了信号を送信しても、他方の親機と子機は複信用チャンネルを介してその通話終了信号を受信でき、親機Aと親機Bは複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、子機は複信用チャンネル係る2つの受信部の動作を停止させる。
そして、他方の親機と子機が単信用チャンネルを介して単信方式での音声通信が可能な状態へ移行してネットワークを維持する。
ここで、複信用チャンネルに係る送信部や受信部の動作停止を行うのは、それらが不要なだけでなく、そのまま動作させておくと他方の親機と子機の出力音声にノイズが混入するからである。
【0016】
本発明においては、「前記親機Aが前記通話終了信号を送信した場合には、前記親機Aは前記単信用チャンネルの受信部を動作状態のまま維持し、前記親機Bが前記通話終了信号を送信した場合には、前記親機Bは前記単信用チャンネルの受信部の動作を開始させるようにすること」が望ましい。
これは、親機Aと親機Bでは、音声無線通信ネットワークから離脱した状態にあっても、その後のネットワーク内の音声通話を傍受できている方が実際面で都合が良い場合が多いからである。
【0017】
また、本発明においては、「前記親機A及び前記親機Bが制御用チャンネルの送受信部を、前記子機が制御用チャンネルの受信部を備え、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記通話終了信号を送信した前記一方の親機が前記制御チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記他方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ること」とすれば、親機A及び親機Bが通話終了信号と通話開始信号を用いて自由に音声無線通信ネットワークに出入りすることができる。
【0018】
そして、その場合において、「前記親機A又は前記親機Bが前記複信用チャンネルを介して前記通話終了信号を送信するとき及び前記制御用チャンネルを介して前記通話開始信号を送信するとき、並びに前記子機が前記単信用チャンネルを介して単信方式で通話信号を送信するときには、それぞれ自機の識別信号を付加して送信することとし、前記親機A、前記親機B及び前記子機は、前記通話終了信号、前記通話開始信号又は前記通話信号と前記識別番号の送受信に基づいて、自機及び他機の前記音声無線通信ネットワークからの離脱と参加を判定し、その判定結果に基づいて前記ネットワークに対する自機及び他機の離脱/参加情報を自機の表示部に表示させること」とすれば、自機及び他機のネットワークに対するリアルタイムな離脱/参加状態を視覚的に確認できる。
【0019】
また更には、「自機又は他機の前記音声無線通信ネットワークからの離脱と参加が新たに判定される度に、ビープ音の出力と共に前記表示部の前記離脱/参加情報の書き換えを行うこと」とすれば、親機A、親機B及び各子機の使用者に対して前記離脱/参加状態の確認を促すことができる。
【0020】
本発明においては、「前記音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A、前記親機B及び前記子機における前記各複信用チャンネルの受信部にそれぞれ無信号状態が所定時間以上継続したか否かを判定する判定手段を設け、前記親機A又は前記親機Bが前記音声無線通信ネットワークの圏外となって、前記親機A及び前記親機Bの各判定手段が無信号状態の所定時間以上の継続を判定し、また、前記子機の2つの判定手段の内の一方が無信号状態の所定時間以上の継続を判定した場合に、前記親機A及び前記親機Bが前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネルに係る2つの受信部の動作を停止させ、前記親機A及び前記親機Bの内の前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行すること」とすれば、上記のように親機A又は親機Bが通話終了信号を送信した場合だけでなく、それら無線通信機がネットワークの圏外へ移動した場合においても、自動的に親機A又は親機Bと子機との間の単信方式による音声通信状態へ移行させることができる。
【0021】
この場合の親機A又は親機Bが圏外へ離脱したかどうかは、親機A、前機B及び子機に設けた判定手段によって行われるが、複信用チャンネルの受信部におけるNSQ(Noise squelch)やRSSI(Received Signal Strength Indicator)を用いて、音声信号の受信に関して無信号状態になったことを検出し、その無信号状態が所定時間以上継続したか否かをもって判定する。
親機A又は親機Bのいずれかが音声無線通信ネットワークの圏外へ離脱した場合には、双方の各判定手段はほぼ同時に無信号状態が所定時間以上継続したことを判定し、また、子機についても離脱した方の親機に対してはほぼ圏外になるため、その各判定手段も無信号状態が所定時間以上継続したことを判定することになる。
【0022】
そして、前記のように親機A又は親機Bが圏外へ離脱した場合に関しても、「前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記音声無線通信ネットワークの圏外となった親機が圏内に戻って電源のOFF/ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ること」とすれば、親機A及び親機Bは音声無線通信ネットワークの圏外に出た後に、再び圏内に戻って三者同時通話に復帰できる。
【0023】
親機A又は親機Bが音声無線通信ネットワークから離脱する場合としては、前記のように通話終了信号による場合と圏外になる場合の他に、電源OFFによる場合もある。
電源OFFとなった親機は当然に電波を送信しないため、その無信号状態の継続の判定には判定手段を用いるによることができる。
【0024】
したがって、「前記音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A、前記親機B及び前記子機における前記各複信用チャンネルの受信部にそれぞれ無信号状態が所定時間以上継続した状態を判定する判定手段を設け、前記親機A又は前記親機Bが電源OFFとなって、電源ON状態の親機の判定手段が無信号状態の所定時間以上の継続を判定し、前記子機の2つの判定手段の内の一方が無信号状態の所定時間以上の継続を判定した場合に、前記電源ON状態の親機が前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネル係る2つの受信部の動作を停止させ、前記電源ON状態の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することとし、また、前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記電源ON状態にある親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が行える状態へ移行した後、前記電源OFFとなった親機において電源ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記電源ON状態にあった親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ること」とすれば、親機A及び親機Bは電源のON/OFF操作で自由に音声無線通信ネットワークに出入りできる。
【発明の効果】
【0025】
本願発明は、無線通信機である親機A、親機B及び1台又は複数台の子機からなり、親機Aと親機Bが複信用チャンネルを介して複信方式で音声通話を行い、子機が複信用チャンネルの音声通話を受信しながら、単信用チャンネルを介して単信方式で音声信号を送信し、親機Aがその音声信号を受信・中継して複信方式の送信音声信号に合成することにより三者同時通話を実現している音声無線通信ネットワークにおいて、親機A又は親機Bが、(1)複信用チャンネルを介して通話終了信号を送信し、(2)ネットワークの圏外へ移動し、又は(3)電源OFF操作がなされることにより、ネットワークから離脱した場合に、ネットワークに留まっている親機A又は親機Bと子機との間での単信用チャンネルを介した音声通信へ自動的な移行を可能にする。
また逆に、親機A、親機B及び各子機にそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を設けておき、ネットワークから離脱した方の親機が制御用チャンネルを介して通話開始信号を送出することにより、自動的にネットワークに復帰して三者同時通話が可能な状態を再構成することが可能であり、ネットワークの継続的且つ合理的な運用を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法の実施形態に係る音声無線通信システムのネットワーク構成図であり、親機A/親機B/子機の三者間同時通話状態を示す。
【
図2】実施形態1において、親機Aが通話終了操作で三者間同時通話から離脱する場合の手順を示すフローチャートである。
【
図3】親機Aが三者間同時通話から離脱した状態を示すネットワーク構成図である。
【
図4】実施形態1において、親機Aが通話開始操作で三者間同時通話へ復帰する場合の手順を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態1において、親機Bが通話終了操作で三者間同時通話から離脱する場合の手順を示すフローチャートである。
【
図6】親機Bが三者間同時通話から離脱した状態を示すネットワーク構成図である。
【
図7】実施形態1において、親機Bが通話開始操作で三者間同時通話へ復帰する場合の手順を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態2で適用される無線通信機(親機A、親機B及び子機(1~X))のブロック回路図である。
【
図9】実施形態2において、親機Aにおけるネットワークに対する親機A、親機B及び子機1~Xの離脱/参加に係る表示制御手順を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態2において、親機Bにおけるネットワークに対する親機A、親機B及び子機1~Xの離脱/参加に係る表示制御手順を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2において、各子機1~Xにおけるネットワークに対する親機A、親機B及び子機1~Xの離脱/参加に係る表示制御手順を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態3において、親機Aが圏外又は電源OFFで三者間同時通話から離脱する場合の手順を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態3において、親機Aが圏外又は電源OFFで三者間同時通話から離脱した後、同通話に復帰する場合の親機Aでの手順を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態3において、親機Bが圏外又は電源OFFで三者間同時通話から離脱する場合の手順を示すフローチャートである。
【
図15】実施形態2において、親機Bが圏外又は電源OFFで三者間同時通話から離脱した後、同通話に復帰する場合の親機Aでの手順を示すフローチャートである。
【
図16】先の提案(特願2020-008720)に係る音声無線通信システムのネットワーク構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<前提となる三者同時通話>
図1は実施形態に係る音声無線通信システムのネットワーク構成図であり、同ネットワークは業務用の携帯型無線通信機である親機A、親機B及びX台の子機(1~X)からなる。
【0028】
親機Aは、複信用チャンネルの対波(ペアチャンネル)に係る送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)と受信部(RX-422MHz-CHm)及び制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)と受信部(RX-440MHz-CH19)を備えている。
【0029】
ここに、送信部/受信部の表記については、TXとRXはそれぞれ送信機能と受信機能を、440MHz/421MHz/422MHzは周波数帯を、CHn(=1~18)/CHm(=20~30,41~49)/CH19はチャンネル番号を示し、具体的な使用周波数は、上記非特許文献の第4-6頁の表3.1-表3.5に基づいて、前記周波数帯において予め用意されている周波数の内の前記チャンネル番号で特定されるものであり、これらは以下の親機B及び子機(1~X)の送信部/受信部についても同様である。
【0030】
そして、親機Aでは、マイクロホン11からの入力音声信号と受信部(RX-422MHz-CHm)の受信音声信号を信号合成部12で合成して送信部(TX-440MHz-CHn)へ入力させていると共に、マイクロホン11からの入力音声信号は送信部(TX-422MHz-CHm)へ入力されている。
また、親機Aでは、受信部(RX-421MHz-CHn)と受信部(RX-422MHz-CHm)の各受信音声信号が信号合成部13で合成されてスピーカー14へ出力されている。
【0031】
親機Bは、親機Aと送受信が逆の関係になっている複信用チャンネルの対波に係る送信部(TX-421MHz-CHn)と受信部(RX-440MHz-CHn)、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)と受信部(RX-422MHz-CHm)及び制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)と受信部(RX-440MHz-CH19)を備えており、マイクロホン21からの入力音声信号が送信部(TX-421MHz-CHn)と送信部(TX-422MHz-CHm)へ入力されていると共に、受信部(RX-440MHz-CHn)と受信部(RX-422MHz-CHm)の各受信音声信号は信号合成部22で合成されてスピーカー23へ出力されている。
【0032】
X台ある各子機については、複信用チャンネルの対波に係る2つの受信部(RX-440MHz-CHn)・(RX-421MHz-CHn)、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)と受信部(RX-422MHz-CHm)及び制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)を備えており、複信用チャンネルの各受信部(RX-440MHz-CHn)・(RX-421MHz-CHn)と単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)が信号合成部31で合成されてスピーカー32へ出力されていると共に、マイクロホンからの入力音声信号が送信部(TX-422MHz-CHm)に入力されている。
【0033】
なお、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)は、三者同時通話が可能な状態では、キャリアセンスに備えて常に受信状態にあるが、受信信号を音声再生側へ出力させておらず、後述するように、親機A又は親機Bが三者同時通話ネットワークから抜けて、親機A又は親機Bとの単信用チャンネルを介した音声通信に移行した場合にのみ、キャリアセンスの実行後、一定のフロー制御を経て、復調信号を音声再生側へ出力させる。
【0034】
図1のネットワーク構成において、親機A、親機B及び子機(1~X)による三者同時通話が可能な状態では、それぞれの無線通信機における斜線が施されている送信部と受信部はその動作が停止しており、斜線が施されていない送信部と受信部は動作している。
【0035】
三者同時通話が可能な状態では、親機Aの送受信部(TX-440MHz-CHn)/(RX-421MHz-CHn)と親機Bの送受信部(RX-440MHz-CHn)/(TX-421MHz-CHn)が複信用チャンネルの対波を用いた複信方式による音声通信を行い、その音声通信に係る電波はすべての子機(1~X)の2つの受信部(RX-440MHz-CHn及びRX-421MHz-CHn)で受信され、それぞれの受信信号は復調後に信号合成部31で合成され、その合成信号が増幅されてスピーカー32から再生出力される。
【0036】
そして、子機(1~X)では、前記音声通信に係る通話を聴取しながら、単信方式でその通話に加わることが可能であり、PTTボタンの操作に基づいて受信部(RX-422MHz-CHm)でキャリアセンスを実行し、チャンネルCHmの周波数に相当する電波の受信がなければ、一定のフロー制御を経て、送信部(TX-422MHz-CHm)がマイクロホン33から入力される音声信号により搬送波を変調して送信する。
【0037】
その場合、単信方式での送信であるため、当然に送信可能となる子機は1台に限られる。
親機Aでは、その子機の音声信号を受信部(RX-422MHz-CHm)で受信して復調するが、その復調した音声信号と受信部(RX-421MHz-CHn)で受信して復調された親機Bの音声信号とを信号合成部13で合成した後、増幅してスピーカー14から再生出力させると共に、前記子機の音声信号をマイクロホン11からの入力音声信号と信号合成部12で合成し、送信部(TX-440MHz-CHn)でその合成した音声信号により搬送波を変調して送信する。
【0038】
したがって、親機Aと親機Bの間の複信方式による音声通信において、親機Aから親機Bへ440MHz帯のチャンネルCHnを介して送信される音声信号には、単信方式でその通話に加わった子機(
図1では子機2に相当)の音声信号が合成されており、親機Bと子機(1~X)はそれぞれの受信部(RX-440MHz-CHn)でその音声信号を受信・復調して、それぞれのスピーカー23,32で再生出力させる。
その結果、三者同時通話が可能な状態では、親機A、親機B及び子機(1~X)のいずれにおいても他の機器での入力音声を聴くことができ、子機(1~X)については通話に参加していない状態でも三者の通話を聴くことができる。
【0039】
<実施形態1>
この実施形態は、親機A又は親機Bが通話終了信号を送信して三者同時通話ネットワーク(
図1の状態)から離脱する場合、またその離脱した状態から通話開始信号を送信して復帰する場合の手順に関する。
(1) 親機Aが離脱する場合
この場合における親機A,親機B及び子機(1~X)の動作手順は
図2(A)、(B)及び(C)に示される。
まず、親機Aは、複信用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CHn)で通話終了信号(CES)を送信した後、複信用チャンネルに係るその送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)の動作を停止させて、複信方式での親機Bとの音声通信を終了させる(S11,S12)。
一方、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信動作は停止させずに継続させる(S13)。
これは、たとえ三者同時通話ネットワークから離脱しても、現場の状況を確認する上では、その後の親機Bと子機(1~X)による単信用チャンネルを介した通話を傍受している方が都合がよいからである。
【0040】
親機Bは、前記のように親機Aが通話終了信号を送信すると、複信用チャンネルでの親機Aとの通信中に受信部(RX-440MHz-CHn)が通話終了信号を受信する(S21)。
通話終了信号の受信を検出すると、複信用チャンネルに係る送信部(TX-421MHz-CHn)と受信部(RX-440MHz-CHn)の動作を停止させて親機Aとの音声通信を終了させると共に、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて後述する通話開始信号の受信があるかどうかを監視し続ける(S22,S23)。
そして、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)と受信部(RX-422MHz-CHm)の動作を開始させ、単信方式による音声通信が可能な状態へ移行し、適宜PTTボタンを操作して、422MHzのチャンネルCHmで他機が送信を行っていないことを条件に、子機(1~X)と単信方式で音声通話を実行する(S24,S25)。
【0041】
子機(1~X)は、前記のように親機Aが通話終了信号を送信すると、単信用チャンネルを介して三者同時通話に参加しているか否かに関係なく、受信部(RX-440MHz-CHn)が通話終了信号を受信するため、その信号受信によって複信用チャンネルの2つの受信部(RX-440MHz-CHn及びRX-421MHz-CHn)の動作を停止させる(S31,S32)。
また、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて、後記の通話開始信号の受信があるかどうかを監視する(S33)。
そして、三者同時通話が可能な状態では、上記のように受信部(RX-422MHz-CHm)での受信信号のオーディオ側への出力をOFF状態にしていたが、通話終了信号の受信によりON状態に切り換える(S34)。
したがって、いずれの子機(i)も422MHz帯のチャンネルCHmを用いた本来の単信方式により親機B又は他の子機との音声通信が可能になり、単信方式の音声通話ネットワークが構成されることになる(S35)。
【0042】
図3は三者同時通話ネットワークから親機Aが離脱した状態を示すネットワーク構成図(ただし、子機2が単信通話中の状態)であり、親機Bと子機(1~X)は422MHz帯のチャンネルCHmを用いた単信方式による音声通話を行うことができ、親機Aはその単信通信ネットワークで交わされる音声を傍受し続けることができる。
その場合、親機A,B及び子機(1~X)における440MHz帯と421MHz帯の送受信部の動作を停止させているため、各スピーカー14,23,32での再生音に他帯域のノイズが混入することを防止できている。
【0043】
(2) 親機Aが復帰する場合
図3に示される単信通信ネットワークの状態において、親機Aが復帰して三者同時通話ネットワークが再構成される場合における親機A,親機B及び子機(1~X)の動作手順は
図4(A)、(B)及び(C)に示される。
先ず、親機Aは、制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)で通話開始信号(CSS)を送信した後、複信用チャンネルに係る送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)の動作を開始させて、複信方式での親機Bとの音声通信を再開させる(S41,S42)。
一方、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信動作はそのまま継続させ、子機(1~X)からの受信音声信号を親機B側へ送信する中継動作が自動的に再開される(S43)。
【0044】
親機Bは、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で親機Aからの通話開始信号を受信すると、その受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を停止させる(S51,S52)。
また、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)で単信通話を実行中の場合には、その送信動作を停止させた後に単信用チャンネルの受信部(TX-422MHz-CHm)を停止させ、前記単信通話が行われていない場合には、直ちに単信用チャンネルの受信部(TX-422MHz-CHm)を停止させる(S53~S55)。
そして、複信用チャンネルに係る送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)の送信/受信動作を再開させる(S56)。
【0045】
子機(1~X)は、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で親機Aからの通話開始信号を受信すると、その受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を停止させる(S61,S62)。
そして、複信用チャンネルに係る2つの受信部(RX-440MHz-CHn及びRX-421MHz-CHn)の動作を再開させる一方、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信信号のオーディオ側への出力をON状態からOFF状態に切り換える(S63,S64)。
【0046】
親機A,B及び子機(1~X)における以上の手順によって、
図3に示した単信通信ネットワークの状態から
図1に示した三者同時通話ネットワークの状態へ戻り、各機は三者同時通話が可能な状態となって、親機A-B間の複信方式での音声通信に対して子機(1~X)のいずれかが適宜単信方式で参加することが可能になる(S44/S57/S65)。
【0047】
(3) 親機Bが離脱する場合
この場合における親機B,親機A及び子機(1~X)の動作手順は
図5(A)、(B)及び(C)に示される。
まず、親機Bは、複信用チャンネルの送信部(TX-421MHz-CHn)で通話終了信号(CES)を送信した後、複信用チャンネルに係るその送信部(TX-421MHz-CHn)と受信部(RX-440MHz-CHn)の動作を停止させて、複信方式での親機Aとの音声通信を終了させる(S71,S72)。
また、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信動作を開始させる(S73)。
【0048】
親機Aは、前記のように親機Bが通話終了信号を送信すると、複信用チャンネルでの親機Bとの通信中に受信部(RX-421MHz-CHn)が通話終了信号を受信する(S81)。
通話終了信号の受信を検出すると、複信用チャンネルに係る送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)の動作を停止させて親機Bとの音声通信を終了させると共に、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて後述する通話開始信号の受信があるかどうかを監視し続ける(S82,S83)。
そして、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)と受信部(RX-422MHz-CHm)の動作を開始させて単信方式による音声通信が可能な状態へ移行し、適宜PTTボタンを操作して、422MHzのチャンネルCHmで他機が送信を行っていないことを条件に、子機(1~X)と単信方式で音声通話を実行する(S84,S85)。
【0049】
子機(1~X)は、前記のように親機Bが通話終了信号を送信すると、単信用チャンネルを介して三者同時通話に参加しているか否かに関係なく、受信部(RX-421MHz-CHn)が通話終了信号を受信するため、その信号受信によって複信用チャンネル(対波)の2つの受信部(RX-440MHz-CHn及びRX-421MHz-CHn)の動作を停止させる(S91,S92)。
また、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて、後記の通話開始信号の受信があるかどうかを監視する(S93)。
そして、三者同時通話が可能な状態では、上記のように受信部(RX-422MHz-CHm)の受信信号のオーディオ側への出力をOFF状態にしていたが、通話終了信号の受信によりON状態に切り換える(S94)。
したがって、いずれの子機(i)も422MHz帯のチャンネルCHmを用いた本来の単信方式により親機A又は他の子機との音声通信が可能になり、単信方式の音声通話ネットワークが構成されることになる(S95)。
【0050】
図6は三者同時通話ネットワークから親機Bが離脱した状態を示すネットワーク構成図(ただし、親機Aが単信通話中の状態)であり、親機Aと子機(1~X)は422MHz帯のチャンネルCHmを用いた単信方式による音声通話が実行でき、親機Bはその単信通信ネットワークでの通話音声を傍受し続けることができる。
その場合、親機A,B及び子機(1~X)における440MHz帯と421MHz帯の送受信部の動作を停止させているため、各スピーカー14,23,32での再生音に他の帯域のノイズが混入することを防止できる。
【0051】
(4) 親機Bが復帰する場合
図6に示される単信通信ネットワークの状態において、親機Bが復帰して三者同時通話ネットワークが再構成される場合における親機B,親機A及び子機(1~X)の動作手順は
図7(A)、(B)及び(C)に示される。
先ず、親機Bは、制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)で通話開始信号(CSS)を送信した後、複信用チャンネルに係る送信部(TX-421MHz-CHn)と受信部(RX-440MHz-CHn)の動作を開始させて、複信方式での親機Aとの音声通信を再開させる(S101,S102)。
一方、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信動作を停止させる(S103)。
【0052】
親機Aは、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で親機Bからの通話開始信号を受信すると、その受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を停止させる(S111,S112)。
また、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)で単信通話を実行中の場合には、その送信動作を停止させて単信通話を終了させる一方、複信用チャンネルに係る送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)の送信/受信動作を再開させる(S113~S115)。
なお、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信動作はそのまま継続させ、子機(1~X)の音声送信に係る上記中継動作が自動的に再開される(S116)。
【0053】
子機(1~X)に関しては、上記の親機Aが復帰する場合の
図4(C)の手順と同様(ただし、通信開始信号は親機Bから受信)である。
制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で親機Bからの通話開始信号を受信すると、その受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を停止させる(S121,S122)。
また、複信用チャンネル(対波)に係る2つの受信部(RX-440MHz-CHn及びRX-421MHz-CHn)の動作を再開させる一方、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信信号のオーディオ側への出力をON状態からOFF状態に切り換える(S123,S124)。
【0054】
親機A,B及び子機(1~X)における以上の手順によって、
図6に示した単信通信ネットワークの状態から
図1に示した三者同時通話ネットワークの状態へ戻り、各機が三者同時通話の可能な状態となって、親機A-B間の複信方式での音声通信に子機(1~X)のいずれかが適宜単信方式で参加することで三者同時通話が実行されることも、上記の親機Aが復帰した場合と同様である。(S104/S117/S125)。
【0055】
<実施形態2>
この実施形態は、上記の三者同時通話と単信通話に係るネットワーク構成において、親機A,Bがネットワークに対して自由に離脱/復帰し得ること、及び子機(1~X)のいずれかが適宜通信に参加し得ることに鑑みて、無線通信端末としての親機A,B及び子機(1~X)の液晶表示部に各端末のネットワークへの参加状態をリアルタイムに表示させて各端末の使用者の便宜を図るものである。
【0056】
図8は親機A、親機B及び子機(1~X)に適用される無線通信機のブロック回路図であり、51,52はアンテナ、53は送受信部、54は変調部、55,56,57は復調部、58は信号合成・接続制御部、59,60は増幅器、61はマイクロホン、62はスピーカー、63は操作部、64は液晶表示部、65は制御部を示す。
ここに、送受信部53は実施形態1の親機A,B及び子機(1~X)に設けられている所定周波数帯域のチャンネルに係る送信部と受信部に相当し、信号合成・接続制御部58は実施形態1における信号合成部12,13,22,31や入出力回路に相当し、マイクロホン61は実施形態1のマイクロホン11,21,33に相当し、スピーカー62は実施形態1のスピーカー14,23,32に相当する。
なお、実施形態1における
図1、
図3及び
図6はネットワーク構成図であるため、親機A,B及び子機(1~X)においてアンテナ51,52、変調部54、復調部55,56,57、増幅器59,60、操作部63、液晶表示部64及び制御部65は省略されている。
【0057】
この無線通信機のシステムは、操作部63からの各種操作信号や動作状態で発生する各種イベント信号に基づいて制御部65が内蔵プログラムを実行することにより制御され、上記実施形態1の各動作手順はその制御によるものであるが、この実施形態2はそれら制御と並行して実行される液晶表示部64における表示制御に関する。
【0058】
この無線通信機は、その液晶表示部64に送受信部53が使用中のチャンネル番号を表示すると共に、自機も含めてネットワーク内の各無線通信機が音声通信に参加しているかどうかを示す表示領域が設けられている。
すなわち、
図8の液晶表示部64における上段領域にA,B,C1~C5の文字表示と各文字の下側にそれぞれ白/黒の円表示がなされるようになっており、この実施形態では、A,Bが親機に、C1~C5が子機に対応し、●が参加表示に、〇が離脱表示に対応せしめられている。
【0059】
以下、親機A、親機B及び子機(1~X)について、前記参加/離脱表示に係る制御が如何になされるかを、
図9から
図11までのフローチャートで説明する。
ただし、その制御の前提として、親機A,Bは通話終了信号と通話開始信号を送信する場合には常に自機の識別情報としてIDコードを付加するようにし、また子機(1~X)が通話信号を送信する際にも自機のIDコードを付加するようになっている。
また、ネットワークの初期状態を三者同時通話が可能な状態とし、親機Aと親機Bは参加表示(A:●,B:●)の状態から、また子機(1~5)は離脱表示(C1~C5:〇)の状態から開始されることとする。
【0060】
(1) 親機Aでの表示制御
この表示制御手順は
図9に示される。
まず、自機について、複信用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CHn)から通話終了信号と自機IDを送信した場合には、ビープ音の鳴動と自機のネットワーク離脱表示(A:●→〇)を行い、その後、制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)から通話開始信号と自機IDを送信した場合には、ビープ音の鳴動と自機のネットワーク参加表示(A:〇→●)を行う(S201~S204)。
【0061】
また、複信用チャンネルの受信部(RX-421MHz-CHn)で通話終了信号と親機BのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Bのネットワーク離脱表示(B:●→〇)を行い、その後、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で通話開始信号と親機BのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Bのネットワーク参加表示(B:〇→●)を行う(S205~S208)。
【0062】
また、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)で子機i(i=1~5)の通話信号と同機のIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と子機iのネットワーク参加表示(Ci:〇→●)を行い、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)で不感状態が所定時間(例えば2秒間)以上継続した場合には、ビープ音の鳴動と子機iのネットワーク離脱表示(Ci:●→〇)を行う(S209~S212)。
【0063】
そして、三者間同時通話が可能な状態にある場合には、親機Bは親機Aが中継した子機iの音声信号を複信用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CHn)で受信しているだけで、親機Aの単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)が不感状態となって子機iの通信終了があったことを知り得ないため、親機Aは複信用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CHn)から親機Bへ子機iの通信終了に係る通知信号を送信する(S213,S214)。
【0064】
(2) 親機Bでの表示制御
この表示制御手順は
図10に示される。
まず、自機について、複信用チャンネルの送信部(TX-421MHz-CHn)から通話終了信号と自機IDを送信した場合には、ビープ音の鳴動と自機のネットワーク離脱表示(B:●→〇)を行い、その後、制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)から通話開始信号と自機IDを送信した場合には、ビープ音の鳴動と自機のネットワーク参加表示(B:〇→●)を行う(S221~S224)。
【0065】
また、複信用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CHn)で通話終了信号と親機AのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Aのネットワーク離脱表示(A:●→〇)を行い、その後、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で通話開始信号と親機AのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Aのネットワーク参加表示(A:〇→●)を行う(S225~S228)。
【0066】
子機i(i=1~5)との関係では、三者同時通話が可能な状態では複信用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CHn)で、親機A又は自機がネットワークから離脱して単信通信へ移行した状態では単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)で、それぞれ子機i(i=1~5)の通話信号と同機のIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と子機iのネットワーク参加表示(Ci:〇→●)を行う(S229,S230)。
【0067】
その後、三者間同時通話が可能な状態では、複信用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CHn)で“子機iの通信終了に係る通知信号”(
図10:S214)を受信した場合に、単信通信へ移行した状態では、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)で不感状態が所定時間(例えば2秒間)以上継続した場合に、それぞれビープ音の鳴動と子機iのネットワーク離脱表示(Ci:●→〇)を行う(S231~S234)。
【0068】
(3) 子機i(i=1~5)での表示制御
この表示制御手順は
図11に示される。
まず、自機について、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)から通話信号と自機IDを送信した場合には、ビープ音の鳴動と自機のネットワーク参加表示(Ci:〇→●)を行い、その後、前記送信部(TX-422MHz-CHm)からの送信を停止した場合には、ビープ音の鳴動と自機のネットワーク離脱表示(Ci:●→〇)を行う(S241~S244)。
【0069】
また、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)で他の子機Cjの通話信号と同機CjのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と同機のネットワーク参加表示(Cj:〇→●)を行い、その後、前記通話信号の受信が無くなり受信部(RX-422MHz-CHm)の不感状態が所定時間(例えば2秒間)以上継続した場合に、ビープ音の鳴動と前記他の子機Cjのネットワーク離脱表示(Ci:●→〇)を行う(S245~S248)。
【0070】
また、複信用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CHn)で通話終了信号と親機AのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Aのネットワーク離脱表示(A:●→〇)を行い、その後、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で通話開始信号と親機AのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Aのネットワーク参加表示(A:〇→●)を行う(S249~S252)。
【0071】
また、複信用チャンネルの受信部(RX-421MHz-CHn)で通話終了信号と親機BのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Bのネットワーク離脱表示(B:●→〇)を行い、その後、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)で通話開始信号と親機BのIDを受信した場合には、ビープ音の鳴動と親機Bのネットワーク参加表示(B:〇→●)を行う(S253~S256)。
【0072】
以上のように、親機A、親機B及び子機(1~X)(この場合はX=5)における液晶表示部64に対する表示制御により、それら無線通信端末のネットワークへの参加/離脱状態を表示させることができ、各無線通信端末の使用者はネットワークの状態をリアルタイムに確認しながら音声通信を行うことができる。
なお、
図8の液晶表示部64では無線通信端末A,B,C1~C5の下側に参加(●)/離脱(〇)の状態表示を対応させるようにしているが、表示の仕方はこれに限らず、参加状態にある端末だけを(A-B-C2)や(A-C3)や(B-C5)のように表示させてもよい。
【0073】
<実施形態3>
この実施形態は、親機A,Bのいずれかがネットワークの圏外となって、又は電源OFFとされて、三者間同時通話ネットワークから離脱する場合、またその離脱した状態から復帰する場合の手順に関する。
(1) 親機Aが離脱する場合
この場合における親機A,親機B及び子機(1~X)の動作手順は
図12(A1)、(A2)、(B)及び(C)に示される。
図1に示した三者間同時通話が可能な状態において、親機Aが親機Bと子機(1~X)とで構成していたネットワークのエリアから遠くへ移動して圏外になった場合(S261)や、親機Aが圏内にあっても電源OFFとされてそのシステムがシャットダウンした場合(S271,S272)には、当然に親機B及び子機(1~X)に親機Aの送信電波が届かなくなる。
【0074】
その場合、親機Bでは、複信用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CHn)でのNSQ用DC制御信号やRSSIから無信号状態が検出できるため、その無信号状態が所定時間(例えば、5秒間)継続したか否かに基づいて、親機Aの圏外や電源OFFを判定する(S281,S282)。
親機Bは、その判定があると、複信用チャンネルに係る送信部(TX-421MHz-CHn)と受信部(RX-440MHz-CHn)の動作を停止させて親機Aとの音声通信を終了させると共に、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて後述する通話開始信号の受信があるかどうかを監視し続ける(S283,S284)。
そして、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)と受信部(RX-422MHz-CHm)の動作を開始させ、単信方式による音声通信が可能な状態へ移行し、適宜PTTボタンを操作して、422MHzのチャンネルCHmで他機が送信を行っていないことを条件に、子機(1~X)と単信方式で音声通話を実行する(S285,S286)。
【0075】
また、子機(1~X)においては、親機Bと同様に、複信用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CHn)でのNSQ用DC制御信号やRSSIから無信号状態を検出し、その無信号状態が所定時間(例えば、5秒間)継続したか否かに基づいて親機Aの圏外や電源OFFを判定する(S291,S292)。
そして、子機(1~X)は、複信用チャンネルに係る2つの受信部(RX-440MHz-CHn及びRX-421MHz-CHn)の受信動作を停止させると共に、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて、後記の通話開始信号の受信があるかどうかを監視する(S293,S294)。
また、三者同時通話が可能な状態では、上記のように受信部(RX-422MHz-CHm)での受信信号のオーディオ側への出力をOFF状態にしていたが、通話終了信号の受信によりON状態に切り換える(S295)。
したがって、いずれの子機(1~X)も422MHz帯のチャンネルCHmを用いた本来の単信方式により親機A又は他の子機との音声通信が可能になり、単信方式の音声通話ネットワークが構成されることになる(S296)。
【0076】
なお、親機Aの離脱後は、実施形態1の場合と同様に、
図3のネットワーク構成図(ただし、子機2が単信通話中の状態)の状態となり、親機Bと子機(1~X)は422MHz帯のチャンネルCHmを用いた単信方式による音声通話が実行でき、親機Aはその単信通信ネットワークで交信される音声を傍受し続けることができる。
【0077】
(2) 親機Aが復帰する場合
この場合における親機Aの動作手順は
図13に示される。
先ず、前記のように圏外又は電源OFFとなった親機Aは、圏外離脱の場合においては圏内に戻って電源を一旦OFFにしてONにする操作を行い、電源OFFで離脱の場合においては圏内で電源をONにする(S301)。
ただし、親機Aが三者間同時通話用の専用機種であって前記操作で自動的に三者間同時通話モードが設定される場合はよいが、そうでない場合には三者間同時通話モード設定のための操作を実行させればよい(S302)。
前記操作によって、親機Aは、制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)で通話開始信号を送信した後、複信用チャンネルに係る送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)の動作を開始させて、複信方式での親機Bとの音声通信を再開させる(S303,S304)。
また、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の受信動作はそのまま継続させ、子機(1~X)の音声送信に係る上記中継動作が自動的に再開される(S305)。
【0078】
一方、親機B及び子機(1~X)での手順については、親機Aの通話開始信号を受信した場合の手順となり、それぞれ
図4(B)及び(C)で説明したものと同一である。
したがって、この親機Aの通話開始信号の送信に基づくネットワークへの復帰に伴って、
図3の単信通信ネットワーク状態から
図1の三者同時通話が可能な状態のネットワーク構成に戻る(S306)。
【0079】
(3) 親機Bが離脱する場合
この場合における親機B,親機A及び子機(1~X)の動作手順は
図14(A1)、(A2)、(B)及び(C)に示される。
図1に示した三者間同時通話が可能な状態において、親機Bが親機Aと子機(1~X)とで構成していたネットワークのエリアから遠くへ移動して圏外になった場合(S311)や、親機Bが圏内にあっても電源OFFとされてそのシステムがシャットダウンした場合(S321,S322)には、当然に親機A及び子機(1~X)に親機Bの送信電波が届かなくなる。
【0080】
その場合、親機Aでは、複信用チャンネルの受信部(RX-421MHz-CHn)でのNSQ用DC制御信号やRSSIから無信号状態が検出できるため、その無信号状態が所定時間(例えば、5秒間)継続したか否かに基づいて、親機Bの圏外や電源OFFを判定する(S331,S332)。
親機Aは、その判定があると、複信用チャンネルに係る送信部(TX-440MHz-CHn)と受信部(RX-421MHz-CHn)の動作を停止させて親機Bとの音声通信を終了させると共に、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて通話開始信号の受信があるかどうかを監視し続ける(S333,S334)。
そして、単信用チャンネルの送信部(TX-422MHz-CHm)と受信部(RX-422MHz-CHm)の動作を開始させ、単信方式による音声通信が可能な状態へ移行し、適宜PTTボタンを操作して、422MHzのチャンネルCHmで他機が送信を行っていないことを条件に、子機(1~X)と単信方式で音声通話を実行する(S335,S336)。
【0081】
また、子機(1~X)においては、親機Aと同様に、複信用チャンネルの受信部(RX-421MHz-CHn)でのNSQ用DC制御信号やRSSIから無信号状態を検出し、その無信号状態が所定時間(例えば、5秒間)継続したか否かに基づいて親機Bの圏外や電源OFFを判定する(S341,S342)。
そして、子機(1~X)は、複信用チャンネルに係る2つの受信部(RX-440MHz-CHn及びRX-421MHz-CHn)の受信動作を停止させると共に、制御用チャンネルの受信部(RX-440MHz-CH19)の動作を開始させて、通話開始信号の受信があるかどうかを監視する(S343,S344)。
また、三者同時通話が可能な状態では、上記のように受信部(RX-422MHz-CHm)での受信信号のオーディオ側への出力をOFF状態にしていたが、通話終了信号の受信によりON状態に切り換える(S345)。
したがって、いずれの子機(1~X)も422MHz帯のチャンネルCHmを用いた本来の単信方式により親機B又は他の子機との音声通信が可能になり、単信方式の音声通話ネットワークが構成されることになる(S346)。
【0082】
なお、親機Bの離脱後は、実施形態1の場合と同様に、
図6のネットワーク構成図(ただし、親機Aが単信通話中の状態)の状態となり、親機Aと子機(1~X)は422MHz帯のチャンネルCHmを用いた単信方式による音声通話が実行でき、親機Bはその単信通信ネットワークで交信される音声を傍受し続けることができる。
【0083】
(4) 親機Bが復帰する場合
この場合における親機Bの動作手順は
図15に示される。
先ず、前記のように圏外又は電源OFFとなった親機Bが、圏外離脱の場合においては圏内に戻って電源を一旦OFFにしてONにする操作を行い、電源OFFで離脱の場合においては圏内で電源をONにすること、また、専用機種でない場合に三者間同時通話モード設定の操作が加わることがあるのは、前記(2)の親機Aが復帰する場合(
図13)と同様である(S351,S352)。
その操作によって、親機Bは、制御用チャンネルの送信部(TX-440MHz-CH19)で通話開始信号を送信した後、複信用チャンネルに係る送信部(TX-421MHz-CHn)と受信部(RX-440MHz-CHn)の動作を開始させて、複信方式での親機Aとの音声通信を再開させる(S353,S354)。
なお、親機Bは複信方式での親機Aとの通信だけとなるため、単信用チャンネルの受信部(RX-422MHz-CHm)の動作を停止させる(S355)。
【0084】
一方、親機A及び子機(1~X)での手順については、親機Bの通話開始信号を受信した場合の手順となり、それぞれ
図7(B)及び(C)で説明したものと同一になる。
したがって、この親機Bの通話開始信号の送信に基づくネットワークへの復帰に伴って、
図6の単信通信ネットワーク状態から
図1の三者同時通話が可能な状態のネットワーク構成に戻る(S356)。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の音声無線通信方法は、建設工事現場でのクレーン作業など3名以上の従事者が関与する場合において、安全性を確保するための相互連絡用の無線通信システムに適用できる。
【符号の説明】
【0086】
11,21,33,61…マイクロホン、12,13,22,31…信号合成部、14,23,32,62…スピーカー、51,52…アンテナ、53…送受信部、54…変調部、55,56,57…復調部、58…信号合成部・接続制御部、59,60…増幅器、63…操作部、64…液晶表示部、65…制御部。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
複信用チャンネルの対波に係る送受信部と単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号と前記単信用チャンネルの受信部が受信した音声信号を合成して前記複信用チャンネルの送信部から送信し、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Aと、前記複信用チャンネルの対波に係る送受信部と前記単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Bと、前記複信用チャンネルの対波と前記単信用チャンネルに係る3つの受信部と前記単信用チャンネルの送信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記3つの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する1台又は複数台の子機とからなり、前記親機Aが前記単信用チャンネルの送信部の動作を停止させ、前記親機Bが前記単信用チャンネルの送受信部の動作を停止させた状態で、前記親機Aと前記親機Bがそれぞれの前記複信用チャンネルの送受信部で複信方式による音声通信を行うと共に、前記子機が、前記複信用チャンネルに係る2つの受信部で前記複信方式による音声通信信号を受信しながら、前記単信用チャンネルの送信部から前記親機Aへ単信方式で音声信号の送信を行うことで三者同時通話の可能な状態が構成される音声無線通信ネットワークにおいて、
前記親機A又は前記親機Bのいずれか一方が前記複信用チャンネルを介して通話終了信号を送信し、他方の親機と前記子機が前記通話終了信号を受信した場合に、前記親機A及び前記親機Bが前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネルに係る2つの受信部の動作を停止させ、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することを特徴とする音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記親機A及び前記親機Bが制御用チャンネルの送受信部を、前記子機が制御用チャンネルの受信部を備え、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記通話終了信号を送信した前記一方の親機が前記制御用チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記他方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ることとした請求項1又は請求項2に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記親機A又は前記親機Bが前記複信用チャンネルを介して前記通話終了信号を送信するとき及び前記制御用チャンネルを介して前記通話開始信号を送信するとき、並びに前記子機が前記単信用チャンネルを介して単信方式で通話信号を送信するときには、それぞれ自機の識別信号を付加して送信することとし、前記親機A、前記親機B及び前記子機は、前記通話終了信号、前記通話開始信号又は前記通話信号と前記識別信号の送受信に基づいて、自機及び他機の前記音声無線通信ネットワークからの離脱と参加を判定し、その判定結果に基づいて前記ネットワークに対する自機及び他機の離脱/参加情報を自機の表示部に表示させることとした請求項3に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記音声無線通信ネットワークの圏外となった親機が圏内に戻って電源のOFF/ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御用チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ることとした請求項6に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項8】
請求項1に記載の前記音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A、前記親機B及び前記子機における前記各複信用チャンネルの受信部にそれぞれ無信号状態が所定時間以上継続した状態を判定する判定手段を設け、
前記親機A又は前記親機Bが電源OFFとなって、電源ON状態の親機の判定手段が無信号状態の所定時間以上の継続を判定し、前記子機の2つの判定手段の内の一方が無信号状態の所定時間以上の継続を判定した場合に、
前記電源ON状態の親機が前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネルに係る2つの受信部の動作を停止させ、前記電源ON状態の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することとした請求項1又は請求項2に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記電源ON状態にある親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が行える状態へ移行した後、前記電源OFFとなった親機において電源ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御用チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記電源ON状態にあった親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ることとした請求項8に記載の音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明は、複信用チャンネルの対波に係る送受信部と単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号と前記単信用チャンネルの受信部が受信した音声信号を合成して前記複信用チャンネルの送信部から送信し、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Aと、前記複信用チャンネルの対波に係る送受信部と前記単信用チャンネルの送受信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各送信部から送信し、前記複信用チャンネルと前記単信用チャンネルの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する親機Bと、前記複信用チャンネルの対波と前記単信用チャンネルに係る3つの受信部と前記単信用チャンネルの送信部を備える無線通信機であって、自機への入力音声信号を前記単信用チャンネルの送信部から送信し、前記3つの各受信部が受信した音声信号を合成して音声出力させる機能を有する1台又は複数台の子機とからなり、前記親機Aが前記単信用チャンネルの送信部の動作を停止させ、前記親機Bが前記単信用チャンネルの送受信部の動作を停止させた状態で、前記親機Aと前記親機Bがそれぞれの前記複信用チャンネルの送受信部で複信方式による音声通信を行うと共に、前記子機が、前記複信用チャンネルに係る2つの受信部で前記複信方式による音声通信信号を受信しながら、前記単信用チャンネルの送信部から前記親機Aへ単信方式で音声信号の送信を行うことで三者同時通話の可能な状態が構成される音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A又は前記親機Bのいずれか一方が前記複信用チャンネルを介して通話終了信号を送信し、他方の親機と前記子機が前記通話終了信号を受信した場合に、前記親機A及び前記親機Bが前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネルに係る2つの受信部の動作を停止させ、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することを特徴とする音声無線通信におけるネットワーク切り替え方法に係る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明では、
図16に示した音声無線通信システム(特願2020-008720)がクレーン操作者の無線通信機にのみ単信用チャンネルの受信部を設けていたのに対し、親機A(クレーン操作者の無線通信機に相当)と親機B(監視者の無線通信機に相当)の双方に複信用チャンネルの送受信機と単信用チャンネルの送受信機を設けているが、親機Aにおける自機への入力音声信号と前記単信用チャンネルでの受信音声信号を合成して複信用チャンネルで送信する機能については
図16の音声無線通信システムの場合と同様である。
三者同時通話が可能な状態では、親機Aと親機Bが複信用チャンネルを介して音声通信を行い、子機は、複信用チャンネル
に係る2つの受信部で親機Aと親機Bの前記音声通信を受信しながら、単信用チャンネルを介して単信方式で音声信号を親機Aの単信
用チャンネルの受信部へ送信し、親機Aではそれを自機への入力音声信号に合成して複信
用チャンネルを介して送信するという中継機能を果たしている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
前記音声無線通信ネットワークにおいて、親機A及び親機Bはいずれも複信用チャンネルを介して通話終了信号を送信することでネットワークから離脱することができる。
その場合、いずれの親機が通話終了信号を送信しても、他方の親機と子機は複信用チャンネルを介してその通話終了信号を受信でき、親機Aと親機Bは複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、子機は複信用チャンネルに係る2つの受信部の動作を停止させる。
そして、他方の親機と子機が単信用チャンネルを介して単信方式での音声通信が可能な状態へ移行してネットワークを維持する。
ここで、複信用チャンネルに係る送信部や受信部の動作停止を行うのは、それらが不要なだけでなく、そのまま動作させておくと他方の親機と子機の出力音声にノイズが混入するからである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、本発明においては、「前記親機A及び前記親機Bが制御用チャンネルの送受信部を、前記子機が制御用チャンネルの受信部を備え、前記他方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記通話終了信号を送信した前記一方の親機が前記制御用チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記他方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ること」とすれば、親機A及び親機Bが通話終了信号と通話開始信号を用いて自由に音声無線通信ネットワークに出入りすることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
そして、その場合において、「前記親機A又は前記親機Bが前記複信用チャンネルを介して前記通話終了信号を送信するとき及び前記制御用チャンネルを介して前記通話開始信号を送信するとき、並びに前記子機が前記単信用チャンネルを介して単信方式で通話信号を送信するときには、それぞれ自機の識別信号を付加して送信することとし、前記親機A、前記親機B及び前記子機は、前記通話終了信号、前記通話開始信号又は前記通話信号と前記識別信号の送受信に基づいて、自機及び他機の前記音声無線通信ネットワークからの離脱と参加を判定し、その判定結果に基づいて前記ネットワークに対する自機及び他機の離脱/参加情報を自機の表示部に表示させること」とすれば、自機及び他機のネットワークに対するリアルタイムな離脱/参加状態を視覚的に確認できる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
そして、前記のように親機A又は親機Bが圏外へ離脱した場合に関しても、「前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行した後、前記音声無線通信ネットワークの圏外となった親機が圏内に戻って電源のOFF/ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御用チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記音声無線通信ネットワークの圏内にある方の親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ること」とすれば、親機A及び親機Bは音声無線通信ネットワークの圏外に出た後に、再び圏内に戻って三者同時通話に復帰できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
したがって、「前記音声無線通信ネットワークにおいて、前記親機A、前記親機B及び前記子機における前記各複信用チャンネルの受信部にそれぞれ無信号状態が所定時間以上継続した状態を判定する判定手段を設け、前記親機A又は前記親機Bが電源OFFとなって、電源ON状態の親機の判定手段が無信号状態の所定時間以上の継続を判定し、前記子機の2つの判定手段の内の一方が無信号状態の所定時間以上の継続を判定した場合に、前記電源ON状態の親機が前記複信用チャンネルの送受信部の動作を停止させ、前記子機が前記複信用チャンネルに係る2つの受信部の動作を停止させ、前記電源ON状態の親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が可能な状態へ移行することとし、また、前記親機A、前記親機B及び前記子機がそれぞれ制御用チャンネルの送受信部を備え、前記電源ON状態にある親機と前記子機がそれぞれの前記単信用チャンネルの送受信部で単信方式による音声通信が行える状態へ移行した後、前記電源OFFとなった親機において電源ON操作がなされた場合に、その親機が前記制御用チャンネルを介して通話開始信号を送信し、前記電源ON状態にあった親機と前記子機が前記通話開始信号を受信した場合に、前記親機A、前記親機B及び前記子機が前記三者同時通話の可能な状態に戻ること」とすれば、親機A及び親機Bは電源のON/OFF操作で自由に音声無線通信ネットワークに出入りできる。