IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリーンテックス・ジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-処理装置および処理方法 図1
  • 特開-処理装置および処理方法 図2
  • 特開-処理装置および処理方法 図3
  • 特開-処理装置および処理方法 図4
  • 特開-処理装置および処理方法 図5
  • 特開-処理装置および処理方法 図6
  • 特開-処理装置および処理方法 図7
  • 特開-処理装置および処理方法 図8
  • 特開-処理装置および処理方法 図9
  • 特開-処理装置および処理方法 図10
  • 特開-処理装置および処理方法 図11
  • 特開-処理装置および処理方法 図12
  • 特開-処理装置および処理方法 図13
  • 特開-処理装置および処理方法 図14
  • 特開-処理装置および処理方法 図15
  • 特開-処理装置および処理方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049888
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】処理装置および処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/54 20060101AFI20220323BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20220323BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20220323BHJP
   H04N 1/52 20060101ALI20220323BHJP
   H04N 1/62 20060101ALI20220323BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220323BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H04N1/54
B41J2/21
H04N1/60 300
H04N1/52
H04N1/62
G06T1/00 510
G06F3/12 305
G06F3/12 344
G06F3/12 354
G06F3/12 356
G06F3/12 357
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156170
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000104939
【氏名又は名称】クリーンテックス・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高見 泰基
(72)【発明者】
【氏名】栃原 丈賢
【テーマコード(参考)】
2C056
5B057
5C079
【Fターム(参考)】
2C056EB47
2C056EB58
2C056EC26
2C056EC79
2C056EE03
5B057AA18
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5C079HB01
5C079HB06
5C079KA15
5C079LA02
5C079LB01
5C079LC01
5C079MA19
5C079MA20
5C079NA03
(57)【要約】
【課題】マット生産の受注工程の効率化を図る。
【解決手段】プリンタを用いてマットに印刷する図柄をデザインするための処理装置1である。処理装置1は、マットの図柄の少なくとも一部を構成する画像を受信する入力処理部11と、画像で使われている色を抽出し、抽出した色のうちプリンタのインクにない色をプリンタのインクの色に置換した第2画像を生成するとともに、プリンタのインクにない色を複数のプリンタのインクを組み合わせて表現した疑似色に置換した第3画像を生成する画像変換部12と、第2画像と第3画像を切り替えて表示して、採用する画像の選択を受け付ける表示部13を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタを用いてマットに印刷する図柄をデザインするための処理装置であって、
前記図柄の少なくとも一部を構成する画像を受信する受信部と、
前記画像で使われている色を抽出する抽出部と、
抽出した色のうち前記プリンタのインクにない色を前記プリンタのインクの色に置換した第2画像を生成するとともに、前記プリンタのインクにない色を複数のプリンタのインクの色を組み合わせて表現した疑似色に置換した第3画像を生成する画像変換部と、
前記第2画像と前記第3画像を切り替えて表示して、前記図柄に採用する画像の選択を受け付ける表示部と、
前記プリンタを用いてマットに前記図柄を印刷するための制御データを出力する出力部を備える
処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記画像変換部は、前記プリンタのインクの色で構成されたカラーパレットを保持し、前記プリンタのインクにない色と前記カラーパレットの色のそれぞれとの色の距離を算出し、前記プリンタのインクにない色を最も近いカラーパレットの色で置換する
処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の処理装置であって、
前記画像変換部は、前記プリンタのインクにない色と前記最も近いカラーパレットの色との間の色相、彩度、および明度の差を計算し、色相、彩度、および明度の差から前記最も近いカラーパレットの色に組み合わせるインクの色を決定する
処理装置。
【請求項4】
プリンタを用いてマットに印刷する図柄をデザインするための処理方法であって、
コンピュータによる、
前記図柄の少なくとも一部を構成する画像を受信する処理と、
前記画像で使われている色を抽出する処理と、
抽出した色のうち前記プリンタのインクにない色を前記プリンタのインクの色に置換した第2画像を生成するとともに、前記プリンタのインクにない色を複数のプリンタのインクの色を組み合わせて表現した疑似色に置換した第3画像を生成する処理と、
前記第2画像と前記第3画像を切り替えて表示して、前記図柄に採用する画像の選択を受け付ける処理と、
前記プリンタを用いてマットに前記図柄を印刷するための制御データを出力する処理を有する
処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の処理方法であって、
前記第2画像を生成する処理は、前記プリンタのインクの色で構成されたカラーパレットを保持し、前記プリンタのインクにない色と前記カラーパレットの色のそれぞれとの色の距離を算出し、前記プリンタのインクにない色を最も近いカラーパレットの色で置換する
処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の処理方法であって、
前記第3画像を生成する処理は、前記プリンタのインクにない色と前記最も近いカラーパレットの色との間の色相、彩度、および明度の差を計算し、色相、彩度、および明度の差から前記最も近いカラーパレットの色に組み合わせるインクの色を決定する
処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットの生産に用いる処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや店舗では、オリジナルな図柄で自由にデザインできるマットが望まれている。特許文献1には、画像に描かれた図柄をタフテッドカーペット上に表現する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6482881号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、タフテッドカーペットに描く図柄のカラー画像をパイルに1対1で対応するように解像度を調整し、カラー画像を2値化して減色しているため、所望の色で自由にデザインをしにくいという問題があった。
【0005】
マットへの図柄の印刷は専用のプリンタを用いて行われる。専用プリンタでマットに印刷できる図柄の解像度は低く、使用できる色は基本的に20色程度である。紙への印刷と比べて解像度が高くないので表現できる色はインクの色に制限されてしまう。そのため、オリジナルの図柄のマットを生産する場合、顧客からマットの図柄をデザインした画像データを受け取り、人手により画像データをマットに印刷された完成品に近いデータに加工し、加工後のデータを顧客側で確認した後に、生産を開始している。
【0006】
マットの図柄の受け付けから生産開始まで多数の工程があるため、マット生産の受注工程における工数削減および納期短縮が望まれている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、マット生産の受注工程の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の処理装置は、プリンタを用いてマットに印刷する図柄をデザインするための処理装置であって、前記図柄の少なくとも一部を構成する画像を受信する受信部と、前記画像で使われている色を抽出する抽出部と、抽出した色のうち前記プリンタのインクにない色を前記プリンタのインクの色に置換した第2画像を生成するとともに、前記プリンタのインクにない色を複数のプリンタのインクの色を組み合わせて表現した疑似色に置換した第3画像を生成する画像変換部と、前記第2画像と前記第3画像を切り替えて表示して、前記図柄に採用する画像の選択を受け付ける表示部と、前記プリンタを用いてマットに前記図柄を印刷するための制御データを出力する出力部を備える。
【0009】
本発明の一態様の処理方法は、プリンタを用いてマットに印刷する図柄をデザインするための処理方法であって、コンピュータによる、前記図柄の少なくとも一部を構成する画像を受信するステップと、前記画像で使われている色を抽出するステップと、抽出した色のうち前記プリンタのインクにない色を前記プリンタのインクの色に置換した第2画像を生成するとともに、前記プリンタのインクにない色を複数のプリンタのインクの色を組み合わせて表現した疑似色に置換した第3画像を生成するステップと、前記第2画像と前記第3画像を切り替えて表示して、前記図柄に採用する画像の選択を受け付けるステップと、前記プリンタを用いてマットに前記図柄を印刷するための制御データを出力する処理を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マット生産の受注工程の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態の処理装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2図2は、操作画面の一例を示す図である。
図3図3は、色を選択するためのウインドウの一例である。
図4図4は、複数のインクの色を組み合わせて表現した疑似色の一例である。
図5図5は、図形を選択するためのウインドウの一例である。
図6図6は、処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、マットに印刷する画像の色を置換するためのデータを生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、座標とピクセル値を紐付けた連想配列の一例を示す図である。
図9図9は、抽出した色のデータの一例を示す図である。
図10図10は、カラーパレットの一例を示す図である。
図11図11は、元の色と置換後の色との対応テーブルの一例を示す図である。
図12図12は、画像の色を置換するための色置換データの一例を示す図である。
図13図13は、画像の色をカラーパレットの色に置換する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14図14は、インクの色を組み合わせて表現した疑似色を適用する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15図15は、元のRGB値と新RGB値との色相・彩度・明度の差、および散らす色のRGB値の一例を示す図である。
図16図16は、色を置換した画像をユーザに提示する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
[処理装置の構成]
図1は、本実施形態の処理装置1の構成の一例を示す機能ブロック図である。処理装置1は、マットをデザインするためのユーザインタフェースを提供し、ユーザによりデザインされたマットを実際のマットの完成品に近い図柄で画面上に表示するとともに、マット用の専用プリンタを制御するための制御データを出力する。
【0014】
処理装置1は、入力処理部11、画像変換部12、表示部13、出力部14、および記憶部15を備える。処理装置1が備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは処理装置1が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。処理装置1をクラウドの仮想環境上で動作させてもよい。以下、処理装置1の備える各部について説明する。
【0015】
入力処理部11は、ユーザから操作情報を入力し、入力に応じた処理を実行する。
【0016】
図2に、ユーザが操作する操作画面100の一例を示す。同図に示す操作画面100は、マットに印刷される図柄を表示する描画領域110とユーザが操作を入力するツール領域120を備える。ユーザは、ツール領域120の各種ボタン121~125を操作して、マットをデザインする。図2の操作画面100は一例であって、これに限るものではない。操作画面100では、印刷対象のマットの大きさ、種別などを指定できてもよいし、一般的な描画ツールの持つ機能を備えてもよい。
【0017】
ツール領域120は、バックグラウンドの色を変更するためのボタン121、テキストを描画領域110上に配置するためのボタン122、図形を描画領域110上に配置するためのボタン123、画像を読み込んで描画領域110に配置するためのボタン124、およびプリンタを制御するための制御データを出力するためのボタン125を備える。
【0018】
バックグラウンドの色を変更するためのボタン121が操作されると、入力処理部11は、図3に示すような色を選択するためのウインドウ200を表示して、色の選択を受け付ける。ユーザは、ウインドウ200内から所望の色を選択し、マットの下地となる色を決定する。ウインドウ200には、プリンタにセットされたインクの色(例えば23色)だけでなく、複数のインクの色を組み合わせて表現できる疑似色が選択可能に並べられる。ここでの疑似色とは、あるインクの色で塗られた領域内に別のインクの色のピクセルを散らして配置して表現した色である。マットは床に敷かれるものであり、人の目の高さ以上離れた位置から見ることが多い。そのため、あるインクの色(基礎の色)で塗られた領域内に別のインクの色(散らす色)が散らして配置された場合に、散らす色をドットとして認識せずに、基礎の色と散らした色を混合した色として認識(錯覚)する場合もある。処理装置1は、そのような色を疑似色として選択可能な色とする。
【0019】
例えば、インクの色にグレーとパールグレイが存在し、グレーよりも明るくてパールグレイよりも暗い色のライトグレーがインクの色に存在しないとき、ライトグレーを、図4のように、グレー50で塗った領域内にパールグレイ51を散らして表現する。グレー50が基礎の色であり、パールグレイ51が散らす色である。図4の格子の一つ一つが1ピクセルである。プリンタはピクセル単位でインクを噴射する。1回で約1.5~2mm四方の大きさでインクが噴射される。マットを目の高さから見たときに、グレー50とパールグレイ51が混ざり、グレー50よりも少し明るいライトグレーに認識される。散らす色は1色に限らず、2色以上であってもよい。
【0020】
描画領域110では、疑似色で塗られた領域を基礎の色と散らした色で描画してもよいし、表現したい疑似色のRGB値で描画してもよい。例えば、バックグラウンドの色として疑似色のライトグレーを選択したときに、描画領域110のバックグラウンドは、マットに印刷されるピクセルと同様に、インクの色であるグレーとパールグレイの2色で描画されてもよいし、インクの色にない疑似色のライトグレーのRGB値で塗られてもよい。
【0021】
本実施形態では、プリンタのインクの色だけではなく、複数のインクの色を組み合わせて表現できる疑似色を選択できるようにすることで、プリンタの色の制限を超えた色でマットのデザインが可能となる。なお、後述のテキストおよび図形についても、疑似色を用いることができる。
【0022】
テキストのボタン122が操作されると、入力処理部11は、ユーザからテキストの入力を受け付けて、テキスト112を描画領域110に配置する。テキスト112は、位置、サイズ、フォントの種類、および色を指定できる。
【0023】
図形のボタン123が操作されると、入力処理部11は、図5に示すような図形を選択するためのウインドウ300を表示して、図形の選択を受け付ける。ユーザが図形を選択すると、入力処理部11は、描画領域110に図形113を配置する。図形113は、位置、サイズ、および色を指定できる。
【0024】
画像のボタン124が操作されると、入力処理部11は、指定された画像ファイルを読み込んで画像変換部12に送信する。入力処理部11は、画像変換部12で変換された画像114を描画領域110に配置する。画像114は、位置、サイズ、および色の置換方法を指定できる。
【0025】
出力ボタン125が操作されると、出力部14は、ユーザによりデザインされたマットを印刷するための制御データを出力する。
【0026】
画像変換部12は、入力した画像で使われている色を抽出し、インクの色に含まれない色を近いインクの色に変換したり、複数のインクの色を組み合わせた疑似色に変換したりする。画像変換部12の処理の詳細は後述する。
【0027】
表示部13は、操作画面100などを表示する。
【0028】
出力部14は、プリンタでマットを印刷するための制御データを出力する。
【0029】
記憶部15は、作業中のデータ、マットデザイン完成画像、およびそれらに関する制御データを一時的に格納する。マットデザイン完成画像は、顧客閲覧用のスムースな画像とプリンタ用のドット絵を含む。記憶部15は、操作画面100で表示する図形/テキストボックス/アイコン等を格納してもよいし、後述のカラーパレットに関する情報、疑似色に関する情報を格納してもよい。
【0030】
[処理装置の動作]
次に、本実施形態の処理装置1の処理の流れについて説明する。
【0031】
処理装置1を起動すると、操作画面100が表示されてユーザの操作の入力を待ち、図6の処理が開始される。
【0032】
ステップS11にて、処理装置1は、ユーザからの操作を入力する。
【0033】
ステップS12にて、処理装置1は、操作内容が画像の貼り付けであるか否か判定する。画像の貼り付けとは、画像ファイルを読み込んで描画領域110に配置する操作である。
【0034】
操作内容が画像の貼り付けでない場合、処理装置1は、処理をステップS14に進める。
【0035】
操作内容が画像の貼り付けである場合、ステップS13にて、処理装置1は、画像変換処理を行う。画像変換処理の詳細は後述する。
【0036】
ステップS14にて、処理装置1は、ユーザからの操作を反映し、描画領域110を更新する。
【0037】
ステップS15にて、処理装置1は、出力ボタン125が操作されたか否かを判定する。出力ボタン125が操作されていないときは、ステップS11に戻り、ユーザからの操作の入力を待つ。
【0038】
出力ボタン125が操作されたとき、ステップS16にて、処理装置1は、描画領域110の図柄をマットに印刷するための制御データを出力する。制御データの出力後も、ステップS11に戻り、マットのデザインをさらに修正してもよい。制御データは、記憶部15に記憶してもよいし、取出し可能な記憶媒体に記憶してもよいし、ネットワークを介してプリンタへ送信されてもよい。
【0039】
[画像変換処理]
次に、画像変換処理の流れについて説明する。図7のフローチャートで示す処理は、ユーザが貼り付ける画像ファイルを指定した後に実行される。
【0040】
ステップS101にて、画像変換部12は、ユーザが指定した画像を受信する。以下、この画像を画像1とする。
【0041】
ステップS102にて、画像変換部12は、画像1で使用されている色を抽出する。例えば、画像変換部12は、画像1の左上のピクセルから右下のピクセルまで順番にピクセルを走査し、ピクセルごとに、座標(X,Y)とピクセル値(R,G,B)を取得し、座標にピクセル値を紐付けた連想配列を生成する。図8に、座標にピクセル値を紐付けた連想配列の一例を示す。透過色のピクセルは処理対象から除外し、連想配列に含めなくてよい。描画領域110では、透過色のピクセルは背景色または下層の図柄の色となる。画像変換部12は、連想配列のピクセル値を集約して画像1で使用されている色を抽出する。図9に、抽出した色のデータの一例を示す。図9の例では(R,G,B)=(87,197,195)、(255,0,27)、(72,0,73)の3色が抽出された。以下、(87,197,195)を色1、(255,0,27)を色2、(72,0,73)を色3とする。
【0042】
画像変換部12は、ステップS102で抽出した全ての色について、ステップS103,S104の処理を実行する。
【0043】
ステップS103にて、画像変換部12は、処理中の色(元の色)と同一の色がカラーパレットに存在するか否か判定する。カラーパレットとは、プリンタのインクの色の集合である。図10にカラーパレットの一例を示す。カラーパレットでは、インクの色のそれぞれのRGB値を保持している。画像変換部12は、元の色のRGB値をカラーパレットの全ての色のRGB値と比較して、元の色と同一の色のRGB値を持つ色がカラーパレットに存在するか否か判定する。例えば、図9の色1と色3はカラーパレットに存在しないが、色2のRGB値は図10のカラーパレットのレッドのRGB値と同じであるので、画像変換部12は、色2は同一の色がカラーパレットに存在すると判定する。元の色と同一の色がカラーパレットに存在する場合、画像変換部12は、次の色の処理に進む。
【0044】
元の色と同一の色がカラーパレットに存在しない場合、ステップS104にて、画像変換部12は、元の色に最も近い色をカラーパレットから選択し、元の色とカラーパレットの色(置換後の色)との対応テーブルを作成する。図11に元の色と置換後の色との対応テーブルの一例を示す。同図の例では、色1の置換後の色は図10のカラーパレットのライトブルーであり、色3の置換後の色は図10のカラーパレットのバーガンディである。色2は同一の色がカラーパレットに存在するので対応テーブルは作成されない。
【0045】
元の色に最も近い色の選択には色の距離(色差)を用いることができる。例えば、画像変換部12は、元の色とカラーパレットの全ての色との間の色の距離を計算し、色の距離が最も近いカラーパレットの色を元の色に最も近い色として選択する。色の距離の計算には既存の方法を用いることができる。
【0046】
抽出した色の全てを処理するまで、画像変換部12は、次の色を選択し、ステップS103,S104の処理を繰り返す。
【0047】
抽出した色の全てを処理した後、ステップS105にて、画像変換部12は、対応テーブルとステップS102で作成した座標にピクセル値を紐付けた連想配列から、画像1の各ピクセルの元の色をカラーパレット中の色に置換するための色置換データを作成する。例えば、画像変換部12は、ステップS102で作成した連想配列から座標とピクセル値の組をひとつずつ取得し、取得したピクセル値が対応テーブルの元の色のRGB値である場合、座標に対応テーブルの置換後の色の新RGB値を紐付けた組を色置換データに追加する。図12に画像1の各ピクセルの色をカラーパレットの色に置換するための色置換データの一例を示す。同図の例では、図8の連想配列において色1が紐付けられた座標には色1に対応するライトブルーのRGB値を紐付け、色3が紐付けられた座標には色3に対応するバーガンディのRGB値を紐付けている。色2は置換しないので図12の色置換データには含めていないが、置換しない色2と座標の組を色置換データに含めてもよい。
【0048】
ここまでの処理で、画像1のピクセルをカラーパレットの色に置換するための色置換データが完成する。
【0049】
続いて、画像変換部12は、図13のフローチャートで示す処理を実行し、画像1の色をカラーパレットの色に置換した画像2を作成する。
【0050】
ステップS201にて、画像変換部12は、画像1をコピーして画像2を作成する。この時点の画像2の各ピクセルは、画像1の各ピクセルと同じRGB値である。
【0051】
ステップS202にて、画像変換部12は、色置換データに基づき、画像2の各ピクセルの色をカラーパレットの色に置換する。例えば、画像変換部12は、色置換データから座標とピクセル値の組をひとつずつ取得し、画像2の対応する座標のピクセル値を色置換データから取得したピクセル値に置換する。色置換データに含まれる全ての要素について置換が完了すると、画像2の全てのピクセルは、カラーパレットの色のいずれかとなる。
【0052】
続いて、画像変換部12は、図14のフローチャートで示す処理を実行し、画像2に対して、インクの色を組み合わせて表現した疑似色を適用する。具体的には、画像2において置換後の色で塗られた領域内に別のインクの色のピクセルを散らして配置する。
【0053】
画像変換部12は、対応テーブルの元の色と置換後の色の全ての組についてステップS301,S302の処理を実行する。なお、元の色と置換後の色との差が許容範囲内である色については、別のインクの色を散らして配置せずに、置換後の色のままでもよい。
【0054】
ステップS301にて、画像変換部12は、元の色から置換後の色の色相・彩度・明度の差を計算する。
【0055】
ステップS302にて、画像変換部12は、色相・彩度・明度の差から散らす色を計算する。図15に、画像1の元の色のRGB値、置換後の色の新RGB値、色相・彩度・明度の差、および散らす色のRGB値の一例を示す。
【0056】
対応テーブルの全ての色について散らす色を計算した後、ステップS303にて、画像変換部12は、画像2をコピーして画像3を作成する。この時点の画像3の各ピクセルは、画像2の各ピクセルと同じRGB値である。
【0057】
ステップS304にて、画像変換部12は、ステップS302で求めた散らす色を画像3の疑似色で表現する領域に所定の割合で分散して配置する。散らす色の配置は、表現したい疑似色に応じて決められる。なお、散らす色を配置する領域の大きさに基づき、その領域内に散らす色を配置するか否かを判定してもよい。例えば、ある領域が基準よりも小さいときは、その領域内に散らす色を配置しなくてもよいし、基準より大きいときに、散らす色がドットとして目立つおそれがあるので、その領域内に散らす色を配置しなくてもよい。
【0058】
以上の処理により、画像1をカラーパレットの色に置換した画像2と画像2を疑似色で表現した画像3が得られる。
【0059】
なお、散らす色の決め方、配置の仕方は上記に限らない。例えば、疑似色の見た目のRGB値(色の組み合わせから人が知覚すると思われるRGB値)を保持する疑似色のカラーパレットと、疑似色のそれぞれを表現するための基礎の色、散らす色、配置パターンを定めた疑似色データを用意しておく。画像1の色に最も近い疑似色を疑似色のカラーパレットから探して、その疑似色を疑似色データに基づいて画像1または画像2に適用して画像3を生成する。
【0060】
続いて、画像変換部12は、図16のフローチャートで示す処理を実行し、画像2と画像3をユーザに提示する。
【0061】
ステップS401にて、画像変換部12は、画像2と画像3を入力処理部11へ送信する。
【0062】
ステップS402にて、入力処理部11は、描画領域110で画像2と画像3を切り替えて表示し、ユーザから、採用する画像2または画像3の選択を受け付ける。入力処理部11は、ユーザの選択した画像2または画像3のいずれかを描画領域110に配置する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の処理装置1は、プリンタを用いてマットに印刷する図柄をデザインするための装置であって、マットの図柄の少なくとも一部を構成する画像を受信する入力処理部11と、画像で使われている色を抽出し、抽出した色のうちプリンタのインクにない色をプリンタのインクの色に置換した第2画像を生成するとともに、プリンタのインクにない色を複数のプリンタのインクを組み合わせて表現した疑似色に置換した第3画像を生成する画像変換部12と、第2画像と第3画像を切り替えて表示して、採用する画像の選択を受け付ける表示部13を備える。これにより、ユーザは、プリンタの制限内で自由にマットに印刷する図柄をデザインすることができるので、マット生産の受注工程の効率化を図ることができる。
【0064】
本実施形態の処理装置1は、プリンタのインクにない色を複数のプリンタのインクの色を組み合わせて表現するので、ユーザは、所望の色合いのマットをデザインすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…処理装置
11…入力処理部
12…画像変換部
13…表示部
14…出力部
15…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16