(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049908
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】連結用具及び設置具
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
E01F13/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156200
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】515359271
【氏名又は名称】株式会社森川組
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】特許業務法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 浩之
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA13
2D101DA04
2D101DA05
2D101FA12
2D101FA27
2D101FB13
2D101GA01
(57)【要約】
【課題】被取り付け対象の横転や設置位置のズレを防止する連結用具及び設置具を提供すること。
【解決手段】連結用具10は、設置面と接する底部41及び底部41より円錐状に立設する円錐部42を有するコーン40に取り付けられ、第1環状部20Aと、第2環状部20Bと、第1環状部20A及び第2環状部20Bを連結し、柱状の連結部30と、を備え、第1環状部20A及び第2環状部20Bは、それぞれの一方面(表面20Aa及び表面20Ba)上から立設して所定間隔を空けて設けられる一対の突起部22(突起部22A及び突起部22B)を有し、突起部22を形成する2つのリブは、連結部30を挟み込むことが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面と接する底部及び前記底部より円錐状に立設する円錐部を有するコーンに取り付けられ、
第1環状部と、
第2環状部と、
前記第1環状部及び前記第2環状部を連結し、柱状の連結部と、
を備え、
前記第1環状部及び前記第2環状部は、それぞれの一方面上から立設して所定間隔を空けて設けられる一対の突起部を有し、
前記突起部を形成する2つのリブは、前記連結部を挟み込むことが可能であることを特徴とする連結用具。
【請求項2】
前記第1環状部及び前記第2環状部は、前記円錐部の最大外径より大きく、前記底部の外径より小さい円形状の内径部を有することを特徴とする請求項1に記載の連結用具。
【請求項3】
前記連結部は、長尺状であり、
前記突起部は、一対のリブであり、
前記突起部を形成する2つのリブ間の距離は、前記連結部の短手方向の長さより、僅かに大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連結用具。
【請求項4】
前記連結部は、反射式トラテープを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の連結用具。
【請求項5】
前記第1環状部、前記第2環状部及び前記連結部は、メッキ塗装された鉄剛材料により、形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の連結用具。
【請求項6】
前記第1環状部、前記第2環状部及び前記連結部は、樹脂材料により、筒状に形成され、内部に鉄心を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の連結用具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の連結用具と、
設置面と接する底部及び前記底部より円錐状に立設する円錐部を有するコーンと、
前記円錐部の頂部側に取り付けられるコーンバーと、
を備え、
前記連結用具、前記コーン及び前記コーンバーは、同色に形成されることを特徴とする設置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結用具及び設置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からコーン同士を繋ぐ連結用具が提案されている。例えば、特許文献1には、コーンの外面に嵌合可能な環状体である連結用具が開示されている。この連結用具は、円環状の壁部を有し、壁部の上端部に設けられた突出片がコーンの外面と嵌合することで、コーンへ取り付けが可能となっている。また、特許文献1の連結用具は、貫通孔が設けられ、貫通孔にリング部材を取り付けることで、コーン同士をチェーンなどで繋ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の連結用具は、被取り付け対象であるコーンに取り付け、チェーンによりコーンを連結させた際に、連結性が不十分な場合があり、コーンが横転や設置位置のズレを起こしてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、被取り付け対象の横転や設置位置のズレを防止する連結用具及び設置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の連結用具は、設置面と接する底部及び前記底部より円錐状に立設する円錐部を有する被取り付け対象に取り付けられ、第1環状部と、第2環状部と、前記第1環状部及び前記第2環状部を連結し、柱状の連結部と、を備え、前記第1環状部及び前記第2環状部は、それぞれの一方面上から立設して所定間隔を空けて設けられる一対の突起部を有し、前記突起部を形成する2つのリブは、前記連結部を挟み込むことが可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明の設置具は、上述の連結用具と、設置面と接する底部及び前記底部より円錐状に立設する円錐部を有するコーンと、前記円錐部の頂部側に取り付けられるコーンバーと、を備え、前記連結用具、前記コーン及び前記コーンバーは、同色に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被取り付け対象の横転や設置位置のズレを防止する連結用具及び設置具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る連結用具を示し、(a)は連結用具の平面図であり、(b)は連結用具の側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る連結用具の使用状態を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る設置具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、連結用具10は、環状部20及び連結部30を備え、長物状に形成される。連結用具10は、鉄剛材料により作成することが可能であり、防錆対策として、その外表面をメッキ塗装して形成される。そして、連結用具10は、コーン40を連結するコーン用具又はコーンロックとして機能する。以下に、連結用具10が備える環状部20及び連結部30について説明する。なお、以下の説明において、重力方向側を下側とし、その逆側を上側とする。
【0011】
環状部20は、円形状に形成され、その内側に円形状の切欠である内径部21を有する。環状部20の内径に相当する内径部21は、環状部20より僅かに小さく形成される。従って、環状部20の一方面である表面20a及び他方面である裏面20bの径方向の長さは、環状部20の外径と比べ短く形成される。そして、環状部20の表面20a及び裏面20bは、環状部20の周方向に亘って、形成される。
【0012】
環状部20は、その表面20aから立設する2つ(一対)のリブからなる突起部22を有する。突起部22を構成する2つのリブ同士の距離は、長い角柱状の連結部30の短手方向の長さより僅かに長くなっている。換言すれば、突起部22は、所定間隔を空けて設けられる一対の突起として形成される。そして、突起部22は、環状部20の表面20a上に3箇所設けられる。3箇所に設けられた突起部22は、それぞれ環状部20の円周回りに、後述する連結部30の端部である左端部31又は右端部32のどちらか一方を加えて、360度の円周を4分割した90度毎に配置される。なお、リブからなる突起部22、連結部30の左端部31及び連結部30の右端部32は、環状部20と溶接して固定される。
【0013】
環状部20は、連結用具10に、第1環状部20A及び第2環状部20Bとして、2つ設けられる。第1環状部20A及び第2環状部20Bは、それぞれ、長物状の連結用具10の長手方向(延在方向)の両端側に位置する。そして、第1環状部20A及び第2環状部20Bは、連結部30により連結される。
【0014】
また、第1環状部20Aは、環状部20の表面20a、裏面20b、内径部21及び突起部22にそれぞれ対応する表面20Aa、裏面20Ab、内径部21A及び突起部22Aを有する。そして、第2環状部20Bは、環状部20の表面20a、裏面20b、内径部21及び突起部22にそれぞれ対応する表面20Ba、裏面20Bb、内径部21B及び突起部22Bを有する。
【0015】
連結部30は、その長手方向の長さがその短手方向の長さに比べ、非常に長い角柱状(長尺状)に形成される。換言すれば、連結部30は、細長い角柱として形成される。連結部30は、例えば、角パイプなどにより形成することが可能であり、その外表面に反射式トラテープを設けることで視認性を高めることもできるし、緩衝部材を設けることで不意の衝突に備えることもできる。連結部30は、その長手方向(延在方向)の両端側のうち、一方端が第1環状部20Aの表面20Aa上に位置し、他方端が第2環状部20Bの表面20Ba上に位置する。そして、連結部30は、第1環状部20Aの表面20Aa上に位置する端部が左端部31となり、第2環状部20Bの表面20Ba上に位置する端部が右端部32となる。従って、左端部31は、第1環状部20Aの表面20Aa上に配置され、右端部32は、第2環状部20Bの表面20Ba上に配置される。
【0016】
次に、連結用具10の使用態様を示す。連結用具10は、
図2に示すように、被取り付け対象であるコーン40に取り付けることで、コーン40同士を連結することができる。ここで、コーン40は、設置面と接する底部41及び底部41の上面41aより立設する円錐部42を有する。また、底部41は、その下面41bがコーン40の設置面となり、正矩形の板状に形成される。そして、円錐部42は、その外径が底部41側で最大外径となり、底部41側から立設する方向に向かって縮径し、立設した先の端側(円錐部42の頂部側)が最小外径となる円錐状に形成される。
【0017】
連結用具10は、2つのコーン40のうち、一方のコーン40の円錐部42には、第1環状部20Aを通し、他方のコーン40の円錐部42には、第2環状部20Bを通すことで取り付けられる。このとき、第1環状部20Aの内径部21A及び第2環状部20Bの内径部21Bには、コーン40の円錐部42がそれぞれ配置された状態となる。また、第1環状部20Aの内径部21A及び第2環状部20Bの内径部21Bは、それぞれの外径がコーン40の円錐部42の最大外径より大きく形成され、底部41の外径より小さく形成される。従って、第1環状部20A及び第2環状部20Bは、コーン40の円錐部42に取り付けられると、コーン40の底部41側まで通すことが可能である。換言すれば、第1環状部20A及び第2環状部20Bは、コーン40の円錐部42に取り付けられると、コーン40の底部41側に位置する。
【0018】
そして、第1環状部20A及び第2環状部20Bは、それぞれ突起部22A及び突起部22Bがコーン40の底部41の上面41aに接する。以上により、連結用具10は、コーン40の上下方向において下側に位置して取り付けられ、コーン40の重心を下側(コーン40の設置面側)として、低い位置とした上で、2つのコーン40同士を連結することができる。これにより、連結用具10は、コーン40の風抵抗性を上げ、横転及び設置ズレ等を防止することができる。さらに、連結用具10は、鉄で作られた剛体であるため、長時間に亘り、2つのコーン40同士を連結し続けることができる。
【0019】
次に、連結用具10、コーン40及びコーンバー50を備える設置具60について説明する。設置具60は、
図3に示すように、コーン40を連結用具10及びコーンバー50により、連結させたものである。
【0020】
コーンバー50は、樹脂材料などにより長物状に形成され、長手方向の両端に円環状の取付部51を有し、両端の取付部51を繋ぐ部材として円柱状の接続部52を有する。取付部51は、コーン40の円錐部42の最小外径よりやや大きい内径を有する。従って、コーンバー50の取付部51は、コーン40の円錐部42に通すと、円錐部42の最小外径となる頂部側で係止する。
【0021】
次に、設置具60の組み立て方について説明する。まず、設置具60を設置する設置者(以下、設置者)は、コーン40を複数用意する。次に、設置者は、コーン40同士を連結用具10により連結させる。また、設置者がコーン40を3つ以上用いて、設置具60を組み立てる場合、1つのコーン40の円錐部42に対して、2つの連結用具10を取り付ける箇所がある。ここで、1つのコーン40の円錐部42に、2つの連結用具10の環状部20を通す方法について、2パターンを説明する。
【0022】
まず、1つ目のパターンとしては、
図3のA部拡大図に示すように、2つの連結用具10をそれぞれの連結部30同士が直交するように、コーン40に取り付けるパターン(以下、第1連結パターン)である。第1連結パターンは、一方の連結用具10の環状部20の裏面20bを、取り付け対象のコーン40の底部41の上面41aに当接させるように、取り付け対象のコーン40に取り付ける。このとき、一方の連結用具10の突起部22を上方に向いている。そして、他方の連結用具10を突起部22が下方に向いた状態で、一方の連結用具10の連結部30及び他方の連結用具10が直交するように上から重ね、取り付け対象のコーン40に取り付ける。すると、一方の連結用具10の連結部30が他方の連結用具10の突起部22を構成する2つのリブの間に配置され、他方の連結用具10の連結部30が一方の連結用具10の突起部22を構成する2つのリブの間に配置され、それぞれ突起部22及び連結部30が挟み込まれて嵌合する。また、一方の連結用具10及び他方の連結用具10の突起部22は、何れかの連結部30と嵌合しない箇所においては、それぞれ突起部22同士で嵌合する(なお、突起部22同士の嵌合の様子は、後述する
図3のC部拡大図に示す態様と同じとなる)。これにより、突起部22は、ずれ止め金具として機能し、2つの連結用具10同士は、高い連結性を発揮することができる。また、第1連結パターンにより、コーン40を直交するように連結させることができる。
【0023】
そして、2つ目のパターンとしては、
図3のB部拡大図に示すように、2つの連結用具10をそれぞれの連結部30同士が一直線状になるように、コーン40に取り付けるパターン(以下、第2連結パターン)である。第2連結パターンは、一方の連結用具10の環状部20の裏面20bを、取り付け対象のコーン40の底部41の上面41aに当接させるように、取り付け対象のコーン40に取り付ける。このとき、一方の連結用具10の突起部22を上方に向いている。そして、他方の連結用具10を突起部22が下方に向いた状態で、一方の連結用具10の連結部30及び他方の連結用具10が一直線状になるように上から重ね、取り付け対象のコーン40に取り付ける。すると、一方の連結用具10の連結部30が他方の連結用具10の突起部22を構成する2つのリブの間に配置され、他方の連結用具10の連結部30が一方の連結用具10の突起部22の間に配置され、それぞれ突起部22及び連結部30が嵌合する。また、一方の連結用具10及び他方の連結用具10の突起部22は、何れかの連結部30と嵌合しない箇所においては、
図3のC部拡大図に示すように、それぞれ突起部22同士で嵌合する。これにより、第1連結パターン同様、突起部22は、ずれ止め金具として機能し、2つの連結用具10同士は、高い連結性を発揮することができる。また、第2連結パターンにより、コーン40を一直線状に連結させることができる。
【0024】
また、1つのコーン40のみと連結するコーン40(設置具60の端側に位置するコーン40)においては、底部41の上面41aに連結用具10の突起部22が接するように取り付けられる。従って、コーン40の底部41の上面41aに環状部20の裏面20bを当接させる連結用具10をコーン40に取り付けた後、コーン40の底部41の上面41aに環状部20の表面20a側の突起部22を向けて配置する連結用具10を取り付けることができる。
【0025】
設置者は、各コーン40同士を連結用具10により連結させた後、コーン40の頂部側にコーンバー50の取付部51を取り付け、コーン40の下側を連結用具10で連結し、コーン40の頂部側(上側)をコーンバー50で連結させる。ここで、連結用具10は、鉄製であり、コーンバー50は、連結用具10よりも軽い樹脂製である。従って、設置具60は、各コーン40に連結用具10及びコーンバー50をそれぞれ取り付けたとしても、その重心は下側に保たれる。以上により、設置者は、連結用具10、コーン40及びコーンバー50により設置具60を作成することができる。
【0026】
また、設置具60は、連結用具10、コーン40及びコーンバー50を同色に形成することで、設置意味を明確にすることもできる。例えば、設置具60を、緑色とした場合は歩行者通路の区画を形成するための設置、青色とした場合は資材置場の区画を形成するための設置、オレンジ色とした場合は立ち入り禁止の区画を形成するための設置などが挙げられる。
【0027】
前述の実施形態において示した連結用具10の変形例を示す。以下の本変形例の説明において、前述の実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略又は簡素化する。本変形例の連結用具10は、環状部20及び連結部30を樹脂材料により筒状に形成するものである。筒状の環状部20及び連結部30は、それぞれの内部に鉄心を有することで、被取り付け対象のコーン40に取り付けた際に、前述の鉄製の連結用具10同様に、重心を低く保つことができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態やその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、連結用具10の環状部20の内径部21の形状や外径は、被取り付け対象の形状に応じて任意に変更することができる。また、環状部20である第1環状部20A及び第2環状部20Bの形状は同一でなくともよい。第1環状部20A及び第2環状部20Bの形状を異なるものとすることで、形状の異なる被取り付け対象同士を連結することができる。また、連結用具10の被取り付け対象は、コーン40に限定されず、環状部20を通すことが可能な部位を備えるものであればよい。
【符号の説明】
【0029】
10 連結用具 20 環状部
20A 第1環状部 20Aa 表面
20Ab 裏面 20B 第2環状部
20Ba 表面 20Bb 裏面
20a 表面 20b 裏面
21 内径部 21A 内径部
21B 内径部 22 突起部
22A 突起部 22B 突起部
30 連結部 31 左端部
32 右端部 40 コーン
41 底部 41a 上面
41b 下面 42 円錐部
50 コーンバー 51 取付部
52 接続部 60 設置具