(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049912
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】管部の接続構造
(51)【国際特許分類】
F16L 21/08 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
F16L21/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156206
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000148726
【氏名又は名称】株式会社多久製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 義一
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕二
(72)【発明者】
【氏名】江口 俊和
(72)【発明者】
【氏名】北居 祐馬
【テーマコード(参考)】
3H015
【Fターム(参考)】
3H015FA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業者の技量に起因した接続品質のばらつきが低減されている管部の接続構造を提供する。
【解決手段】管部の接続構造は第1管本体101、その端部に設けられた拡径部102を含む第1管部100、拡径部102に挿入される開口端部111を有する第2管部103、第1管部100と第2管部103を連結する連結部材140を備える。拡径部102の内周面に、複数の第1環状溝部112、第2管部103の外周面に複数の第2環状溝部104を形成し、第1管部と第2管部が連結部材により連結状態で、複数の第1環状溝部112と第2環状溝部104は拡径部102の径方向に対向配置され複数の挿入通路を形成する。連結部材140は連結状態において複数の挿入孔及び挿入通路に挿入されて各第1環状溝部112及び各第2環状溝部104と係合する複数の第1スプリングコイル141と、複数の第1スプリングコイル141間を接続する接続部142とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管本体および前記第1管本体の端部に設けられた拡径部を含む第1管部と、
前記拡径部に挿入される開口端部を有する第2管部と、
前記第1管部と前記第2管部とを連結する連結部材とを備え、
前記拡径部の内周面には、前記拡径部の周方向に延びかつ前記拡径部の軸方向に並んで配置された複数の第1環状溝部が形成されており、
前記第2管部の外周面には、前記第2管部の周方向に延びかつ前記第2管部の軸方向に並んで配置された複数の第2環状溝部が形成されており、
前記第1管部と前記第2管部とが前記連結部材により連結された状態において、前記複数の第1環状溝部の各々と前記複数の第2環状溝部の各々とは、前記拡径部の径方向に対向配置されて複数の挿入通路を形成し、
前記拡径部には、前記拡径部の外部と前記複数の挿入通路の各々とを連通する複数の挿入孔が形成されており、
前記連結部材は、前記連結された状態において前記複数の挿入孔の各々および前記複数の挿入通路の各々に挿入されて前記複数の第1環状溝部および前記複数の第2環状溝部の各々と係合する複数の第1スプリングコイルと、前記複数の第1スプリングコイル間を接続する接続部とを含む、管部の接続構造。
【請求項2】
前記連結部材は、前記複数の第1スプリングコイルの各々を前記接続部に対して固定する複数の固定部をさらに含み、
前記接続部および前記複数の固定部は、前記複数の第1スプリングコイルの各軸方向が互いに平行となるように、前記複数の第1スプリングコイルを位置決めしている、請求項1に記載の管部の接続構造。
【請求項3】
前記複数の固定部の各々には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の前記端部に挿入される複数の挿入部が形成されており、
前記複数の挿入部の各々には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の前記端部と螺合するネジ山が形成されている、請求項2に記載の管部の接続構造。
【請求項4】
前記接続部には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の端部を収容する複数の収容部が形成されており、
前記複数の収容部の各々には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の前記端部と螺合するネジ溝が形成されている、請求項2または3に記載の管部の接続構造。
【請求項5】
前記接続部は、前記連結された状態において前記拡径部の外部に配置され、
前記拡径部および前記接続部の各々は、前記連結された状態において互いに対向する対向面を有し、
前記接続部の前記対向面には、前記複数の第1スプリングコイルの各軸方向と交差する方向に突出した凸部が形成されており、
前記拡径部の前記対向面には、前記連結された状態において前記凸部と係合する凹部が形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の管部の接続構造。
【請求項6】
前記連結部材は、前記接続部に固定されたプランジャをさらに含み、
前記プランジャは、前記複数の第1スプリングコイルの各軸方向と交差する方向に往復する先端部を有し、
前記先端部が前記凸部を構成している、請求項5に記載の管部の接続構造。
【請求項7】
前記第2管部は、第2管本体および前記第2管本体の端部に設けられておりかつ前記開口端部を有する厚肉部を含み、
前記複数の第2環状溝部は、前記厚肉部の外周面に形成されており、
前記厚肉部の肉厚は、前記第2管本体の肉厚よりも厚い、請求項1~6のいずれか1項に記載の管部の接続構造。
【請求項8】
前記連結部材は、前記複数の第1スプリングコイルの各々の内側に収容された複数の第2スプリングコイルをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の管部の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管部の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布設現場で作業者により互いに溶接されることで、パイプラインの一部を構成する管部の接続構造が知られている。このような接続構造の一例が、水道配管である。
【0003】
従来の水道配管は、布設現場で作業者により互いに溶接されることで、水道のパイプラインの一部を構成している。すなわち、従来の水道パイプラインの管部の接続構造は、水道配管同士が現地溶接工法にて接続されるように設けられている。特開2017-75630号公報には、溶接により接続された管継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現地溶接工法によって接続された管部の接続構造の接続品質は、作業者の技量に依存する。品質管理の観点から、作業者の技量に起因した接続品質のばらつきの低減が求められている。
【0006】
特に近年、水道施設の耐震化が進められている。水道施設に要求される耐震性能を実現するために、水道パイプラインの管部の接続構造には接続品質のばらつきの低減が求められている。
【0007】
本発明の主たる目的は、現地溶接工法により接続されるように設けられた従来の管部の接続構造と比べて、作業者の技量に起因した接続品質のばらつきが低減されている管部の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る管部の接続構造は、第1管本体および第1管本体の端部に設けられた拡径部を含む第1管部と、拡径部に挿入される開口端部を有する第2管部と、第1管部と第2管部とを連結する連結部材とを備える。拡径部の内周面には、拡径部の周方向に延びかつ拡径部の軸方向に並んで配置された複数の第1環状溝部が形成されている。第2管部の外周面のうち、連結された状態において複数の第1環状溝部の各々と対向する部分には、第2管部の周方向に延びる複数の第2環状溝部が形成されている。第1管部と第2管部とが連結部材により連結された状態において、複数の第1環状溝部の各々と複数の第2環状溝部の各々とは、拡径部の径方向に対向配置されて複数の挿入通路を形成する。拡径部には、拡径部の外部と複数の挿入通路の各々とを連通する複数の挿入孔が形成されている。連結部材は、連結された状態において複数の挿入孔の各々および複数の挿入通路の各々に挿入されて複数の第1環状溝部および複数の第2環状溝部の各々と係合する複数の第1スプリングコイルと、複数の第1スプリングコイル間を接続する接続部とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現地溶接工法により接続されるように設けられた従来の管部の接続構造と比べて、作業者の技量に起因した接続品質のばらつきが低減されている管部の接続構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る管部接続構造200を備える配管ユニット500の一部を断面視した側面図である。
【
図2】実施の形態に係る管部接続構造200の一部を断面視した側面図である。
【
図3】実施の形態に係る管部接続構造200の一部を断面視した正面図である。
【
図4】
図3に示す拡径部102の溝部と連結部材140のプランジャ145とが係合した状態を説明するための部分断面図である。
【
図5】
図1~
図3に示す拡径部102の周方向に垂直な断面図である。
【
図6】
図1~
図3に示す拡径部102を、
図3中の矢印VIから視た部分側面図である。
【
図7】
図1~
図3に示す拡径部102を、
図3中の矢印VIIから視た部分側面図である。
【
図8】
図1~
図3に示す第2管部の一部を断面視した側面図である。
【
図9】
図1~
図3に示す連結部材の一部を断面視した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
<管部の接続構造>
図1~
図10を用いて、本実施の形態に係る管部の接続構造について説明する。
図1に示すように、配管ユニット500は、管部接続構造200によって複数の管部100,103が互いに接続されることで構成されている。なお、配管ユニット500は、例えば橋梁に添架される水道パイプラインの一部を構成する。
図2および
図3に示すように、管部接続構造200は、第1管部100(受口)と、第2管部103(挿口)と、連結部材140とを備える。
図1~
図4は、第1管部100と第2管部103とが連結部材140によって連結された状態(以下、単に連結状態とよぶ)を示している。
図5~
図10は、第1管部100、第2管部103、および連結部材140の各々が上記連結状態にないときの、第1管部100、第2管部103、および連結部材140の各々の構造を示している。
【0012】
図1~
図3に示すように、第1管部100は、第1管本体101、および第1管本体101の端部に設けられた拡径部102を有する。拡径部102は、第1管部100の開口端部113を有する。
【0013】
図2に示されるように、拡径部102は、第1管本体101に対して拡径されている。拡径部102の内径の最小値は、第1管本体101の内径よりも大きい。これにより、拡径部102と第1管本体101との間には、段差部108(ストッパ部)が形成されている。段差部108は、第1管部100の軸方向において拡径部102側を向いておりかつ周方向に延在している環状面を有している。段差部108の環状面の内径は、第1管本体101の内径に等しい。拡径部102の肉厚の最小値は、第1管本体101の肉厚よりも厚い。拡径部102の剛性は、第1管本体101の剛性よりも高い。
【0014】
図2、
図3および
図5に示すように、拡径部102の内周面には、拡径部102の周方向に沿って延び、かつ拡径部102の軸方向に間隔を空けて配置された複数(例えば2つ)の第1環状溝部112が形成されている。
【0015】
第2管部103は、第2管本体103Aと、第2管本体103Aの端部に設けられた厚肉部103Bとを有する。厚肉部103Bは、第2管部103の開口端部111を有する。厚肉部103Bの軸方向のうち開口端部111側に位置する一部が、拡径部102に挿入される。第2管本体103Aは、拡径部102に挿入されない。厚肉部103Bの肉厚の最小値は、第2管本体103Aの肉厚よりも厚い。厚肉部103Bの剛性は、第2管本体103Aの剛性よりも高い。
【0016】
図2、
図3および
図8に示すように、厚肉部103Bの外周面には、厚肉部103Bの周方向に沿って延び、かつ厚肉部103Bの軸方向に間隔を空けて配置された複数(例えば2つ)の第2環状溝部104が形成されている。複数の第2環状溝部104は、厚肉部103Bの軸方向の中央部分に配置されている。厚肉部103Bの上記中央部分の内周面は、厚肉部103Bの軸方向の両端部分の内周面よりも内側に突出している。厚肉部103Bの上記両端部分の内周面に対する上記中央部分の内周面の径方向の高さ(突出量)は、各第2環状溝部104の径方向の深さ以下であり、例えば各第2環状溝部104の径方向の深さ未満である。厚肉部103Bの上記中央部分の最小値は、厚肉部103Bの上記両端部分の肉厚の最大値より小さい。
【0017】
図2および
図5に示すように、各第1環状溝部112の周方向に垂直な断面形状は、半円弧状である。
図2および
図8に示すように、各第2環状溝部104の周方向に垂直な断面形状は、半円弧状である。各第1環状溝部112の寸法は、互いに等しい。各第2環状溝部104の寸法は、互いに等しい。各第1環状溝部112の寸法は、各第2環状溝部104の寸法と等しい。拡径部102の軸方向に隣り合う2つの第1環状溝部112の間隔は、厚肉部103Bの軸方向に隣り合う2つの第2環状溝部104の間隔と等しい。
【0018】
図2および
図5に示すように、拡径部102の軸方向に隣り合う2つの第1環状溝部112の間隔は、例えば各第1環状溝部112の軸方向の寸法よりも短い。
図2および
図8に示すように、拡径部102の軸方向に隣り合う2つの第2環状溝部104の間隔は、例えば各第2環状溝部104の軸方向の寸法よりも短い。
【0019】
図2に示すように、上記連結状態では、第2管部103の開口端部111が段差部108の環状面に当接する。第2管部103の開口端部111が第1管部100の段差部108の上記環状面に当接している状態(以下、単に当接状態とよぶ)において、各第1環状溝部112と各第2環状溝部104とは、拡径部102の径方向に互いに対向するように配置される。これにより、上記当接状態において、各第1環状溝部112および各第2環状溝部104は、複数の挿入通路114を形成する。複数の挿入通路114は、拡径部102の軸方向に間隔を空けて配置されている。各挿入通路114の周方向に垂直な断面形状は、円周状である。
【0020】
図3に示すように、拡径部102には、拡径部102の外周面から各第1環状溝部112の内周面に達している複数の挿入孔115が形成されている。各挿入孔115は、拡径部102の外部と各挿入通路114とを連通するように設けられている。各挿入孔115の孔軸は、例えば拡径部102の接線方向に沿っている。各挿入孔115の孔径は、例えば各挿入通路114の内径と等しい。各挿入孔の間隔は、各挿入通路114の間隔と等しい。
【0021】
図5に示すように、拡径部102の内周面のうち、複数の第1環状溝部112に対して開口端部113と反対側に位置する部分には、環状に延びるシール収容溝110が形成されている。
図2に示されるように、シール収容溝110内には、シール部材107が収容されている。
【0022】
シール部材107は、環状に形成されている。シール部材107は、上記当接状態および上記連結状態において、シール収容溝110の底面および側面と接触し、かつ拡径部102内に挿入された第2管部103の厚肉部103Bの外周面と接触する。これにより、第1管部100および第2管部103の内部を流れる液体等が、第1管部100と第2管部103との間から外部に漏れることを抑制している。
【0023】
図3~
図7に示すように、拡径部102の外周面は、各挿入孔115の孔軸と直交する第1面116と、第1面116と接続されておりかつ第1面116と交差する第2面117とを有する。第2面117は、例えば第1面116と直交する。複数の挿入孔115は、第1面116上に開口している。各挿入孔115の孔軸は、第1面116と直交している。各挿入孔115の孔軸は、第2面117に沿っている。第2面117には、第2面117に対して凹んでいる凹部118が形成されている。
【0024】
図4に示されるように、第1面116は、上記連結状態において、後述する連結部材140の接続部142の第4面142Bと対向する。第2面117は、上記連結状態において、後述する連結部材140の接続部142の第5面142Cと対向する。凹部118は、上記連結状態において、第5面142Cに形成された凸部(プランジャ145の先端部146A)と係合する。第1面116は、例えば上記連結状態において第4面142Bと接触する。第2面117は、例えば上記連結状態において第5面142Cと接触する。凹部118の内周面は、例えば上記連結状態において凸部の外周面と接触する。
【0025】
図2、
図9および
図10に示すように、連結部材140は、複数(例えば2つ)の第1スプリングコイル141と、複数の第1スプリングコイル141同士を接続する接続部142と、各第1スプリングコイル141を接続部142に固定する複数の固定部143と、各第1スプリングコイル141内に配置された第2スプリングコイル144とを有する。
【0026】
各第1スプリングコイル141は、上記連結状態において各挿入通路114と係合するように設けられている。各第1スプリングコイル141の外径は、各挿入通路114の内径よりも小さく、かつ各挿入通路114の内径の半分よりも大きい。各第1スプリングコイル141の軸方向の長さは、拡径部102の周方向における第2環状溝部104の長さと同等以上である。
【0027】
各第1スプリングコイル141の線径d(
図9参照)および外径D(
図9参照)から算出される各第1スプリングコイル141のバネ係数(D-d)/dは、例えば3以上3.3以下である。
【0028】
各第1スプリングコイル141は、外径が一定に設けられている部分と、当該部分から軸方向に離れるにつれて外径が徐々に小さくなるように設けられている先細り部分とを有している。上記外径Dは、第1スプリングコイル141において外径が一定に設けられている部分の外径である。
【0029】
各第1スプリングコイル141の軸方向の一方の端部は、固定部143によって接続部142に固定されている。各第1スプリングコイル141の上記一方の端部は、外径が一定に設けられている部分の端部である。
【0030】
連結部材140において、各第1スプリングコイル141間の相対的な位置関係は、接続部142および複数の固定部143によって定められている。各第1スプリングコイル141の中心軸が延在する方向(以下、第1スプリングコイル141の軸方向)は、互いに平行とされている。各第1スプリングコイル141は、各第1スプリングコイル141の中心軸に対する径方向に間隔を空けて並んで配置されている。各第1スプリングコイル141の間隔は、各挿入通路114の間隔および各挿入孔115の間隔と等しい。
【0031】
図9に示すように、接続部142は、第3面142Aと、第3面142Aとは反対側に位置する第4面142Bと、第3面142Aおよび第4面142Bの各々と交差する第5面142Cとを有している。第5面142Cは、各第1スプリングコイル141の軸方向に沿っている。第3面142Aおよび第4面142Bは、例えば各第1スプリングコイル141の軸方向と直交する。
【0032】
図9に示すように、接続部142には、第3面142Aから第4面142Bまで貫通する複数(例えば2つ)の第1貫通孔が形成されている。各第1貫通孔の孔軸は、互いに平行である。各第1貫通孔の第4面142B側に位置する部分は、各第1スプリングコイル141の上記一方の端部を収容する収容部を構成している。つまり、接続部142には、各第1スプリングコイル141の上記一方の端部を収容する複数の収容部が形成されている。各収容部には、各第1スプリングコイル141の上記一方の端部と螺合するネジ溝142Dが形成されている。
【0033】
図9に示すように、各第1貫通孔の第3面142A側に位置する部分は、後述する各固定部143の軸部143Aが挿通される挿通孔を構成している。各第1貫通孔の第3面142A側に位置する部分は、各第1貫通孔の孔軸方向の第4面142B側を向いておりかつ孔軸に対する周方向に延在する環状面142Eを有している。環状面142Eは、上記収容部に面しており、ネジ溝142Dと螺合した各第1スプリングコイル141の上記一方端部の端面の外周部分と接触する。環状面142Eの内径は、各第1貫通孔のネジ溝142Dが形成されている部分の孔径の最小値よりも小さく、かつ各第1スプリングコイル141の外径よりも小さい。
【0034】
図9に示すように、各固定部143は、軸部143Aと頭部143Bとを有するネジである。各固定部143の軸部143Aは、接続部142の各第1貫通孔に挿入されている。軸部143Aには、各第1スプリングコイル141の上記一方の端部と螺合するネジ山143Cが形成されている。軸部143Aは、ネジ山143Cが形成されており各一方の端部に挿入されるネジ部(挿入部)と、該ネジ部と頭部143Bとの間を接続する円筒部とを有している。ネジ部は、接続部142の上記収容部に挿通されている。ネジ山143Cは、ネジ溝142Dと螺合した各第1スプリングコイル141の上記一方の端部と螺合する。円筒部は、接続部142の上記挿通孔に挿通されている。軸部143Aの上記円筒部は、軸部143Aの軸方向のネジ部側を向いておりかつ中心軸に対する周方向に延在する環状面143Dを有している。環状面143Dは、ネジ溝142Dおよびネジ山143Cと螺合した各第1スプリングコイル141の上記一方端部の端面の内周部分と接触する。各固定部143の上記ネジ部の軸方向の長さは、例えば接続部142の上記収容部の軸方向の長さと等しい。各固定部143の上記円筒部の軸方向の長さは、例えば接続部142の上記挿通孔の軸方向の長さと等しい。環状面143Dの外径は、上記ネジ部の外径の最大値よりも大きく、かつ各第1スプリングコイル141の内径よりも大きい。
【0035】
各第1スプリングコイル141の上記一方の端部は、接続部142の各ネジ溝142Dと螺合するとともに、各固定部143のネジ山143Cと螺合する。これにより、複数の第1スプリングコイル141は、接続部142および固定部143に固定されている。
【0036】
図9に示されるように、各第2スプリングコイル144は、各第1スプリングコイル141の内側に配置されている。各第2スプリングコイル144は、各第1スプリングコイル141と同軸上に配置されている。各第2スプリングコイル144の外径は、各第1スプリングコイル141のうち外径が一定に設けられている部分の内径よりも小さく、上記先細り部分の内径よりも大きい。各第2スプリングコイル144の内径は、各固定部143の軸部143Aの外径よりも小さい。各第2スプリングコイル144の軸方向の長さは、各第1スプリングコイル141の軸方向の長さよりも短い。各第2スプリングコイル144の軸方向の一方の端部は、各第1スプリングコイル141の上記一方の端部と螺合した軸部143Aと対向する。
【0037】
第1スプリングコイル141および第2スプリングコイル144は、各軸方向と交差する方向への力が加えられていない状態では
図9に示すように直線状に延びるように形成されているとともに、各軸方向と交差する方向への力が加えられている状態では
図3に示すように湾曲するように形成されている。
【0038】
図10に示されるように、接続部142には、第5面142Cから第5面142Cの反対側に位置する面まで貫通する第2貫通孔が形成されている。第2貫通孔は、接続部142において複数の第1貫通孔が形成されていない領域、具体的には隣り合う2つの第1貫通孔の間、に形成されている。第2貫通孔は、その孔軸方向において第1孔部142F、第2孔部142G、および第3孔部143Hに区分される。第1孔部142Fは、第5面142Cに開口している。第3孔部142Hは、第5面142Cとは反対側に位置する面に開口している。第2孔部142Gは、第1孔部142Fと第3孔部142Hとを連結している。第1孔部142F、第2孔部142G、および第3孔部143Hは、各孔軸が直線状に連なるように、同軸上に配置されている。第1孔部142Fの孔径は、第2孔部124Gの孔径よりも大きく、第3孔部142Hの孔径よりも小さい。言い換えると、第1孔部142Fと第3孔部142Hとの間には、孔軸に向かって突出しかつ孔軸に対する周方向に連なる環状部分146Iが形成されている。環状部分146Iは、第2孔部142Gを成している内周面と、軸方向において第1孔部142Fに面する環状面とを有している。
【0039】
図10に示すように、連結部材140は、接続部142の上記第2貫通孔に固定されたプランジャ145をさらに含む。プランジャ145は、シャフト146と、シャフト146を付勢するスプリング147と、接続部142に対するシャフト146の軸方向の位置を決めるための位置決め部材148とを有している。プランジャ145では、シャフト146の先端部146Aが接続部142の第5面142Cに対して突出している突出量が想定的に多い第1状態と、該第1状態と比べて上記突出量が少ない第2状態とが、切り替えられる。
【0040】
図10に示すように、シャフト146は、先端部146Aと、第1柱状部146Bと、縮径部146Cと、第2柱状部146Dとを有する。先端部146A、第1柱状部146B、縮径部146C、および第2柱状部146Dは、各中心軸が直線状に連なるように、同軸上に配置されている。先端部146Aは、錐体形状を有する。先端部146Aは、例えば円錐形状を有する。第1柱状部146Bの軸方向の一端は、先端部146Aの底面に接続されている。第1柱状部146Bの他端は、縮径部146Cの軸方向の一端に接続されている。縮径部146Cの軸方向の他端は、第2柱状部146Dの軸方向の一端に接続されている。
【0041】
第1柱状部146Bの外径は、先端部146Aの最外径よりも小さい。縮径部146Cの外径は、第1柱状部146Bおよび第2柱状部146Dの各外径よりも小さい。第2柱状部146Dの外径は、第1柱状部146Bの外径と等しい。
【0042】
先端部146Aの最外径は、上記第2貫通孔の第1孔部142Fの孔径以下である。先端部146Aの最外径は、スプリング147の内径よりも大きく、例えばスプリング147の外径と等しい。第1柱状部146Bおよび第2柱状部146Dの各外径は、第2孔部142Gの孔径以下である。第1柱状部146Bおよび第2柱状部146Dの各外径は、スプリング147の内径以下である。
【0043】
上記第1状態および上記第2状態において、先端部146Aのうち上記底面を含む少なくとも一部は、第1孔部142Fに収容される。上記第1状態において、第1柱状部146Bの一部は第1孔部142Fに収容され、第1柱状部146Bの残部は第2孔部142Gに収容される。上記第2状態において、第1柱状部146Bの一部は第1孔部142Fに収容され、第1柱状部146Bの他の一部は第2孔部142Gに収容され。第1柱状部146Bの残部は第3孔部142Hに収容される。上記第1状態および上記第2状態において、縮径部146Cは第3孔部142Hに収容される。上記第1状態および上記第2状態において、第2柱状部146Dは第3孔部142Hに収容される。
【0044】
図4および
図9に示すように、スプリング147の軸方向の一端は、先端部146Aの底面に接続されている。スプリング147の軸方向の他端は、接続部142の上記第2貫通孔内に形成された環状部分142Iの、第1孔部142Fに面する環状面に接続されている。スプリング147の外径は、第1孔部142Fの孔径以下であり、かつ第2孔部142Gの孔径よりも大きい。上記第1状態および上記第2状態において、スプリング147は第1孔部142Fに収容される。
【0045】
図9に示すように、位置決め部材148は、シャフト146の縮径部146Cに固定されている。
図10に示すように、縮径部146Cの軸方向から視て、位置決め部材148の平面形状は、C字形状である。位置決め部材148は、縮径部146Cの中心軸に対する周方向において一端148Aと他端(図示しない)とを有している。位置決め部材148の一端148Aと他端とが縮径部146Cの中心軸に対して成す中心角は、例えば180度以上270度以下である。位置決め部材148の内径、すなわち位置決め部材148の内周側の外形線の曲率半径は、縮径部146Cの外径以上、第1柱状部146Bおよび第2柱状部146Dの各外径未満である。位置決め部材148の外径、すなわち位置決め部材148の外周側の外形線の曲率半径は、第1柱状部146Bおよび第2柱状部146Dの各外径より長く、第3孔部142Hの孔径未満である。縮径部146Cの軸方向における位置決め部材148の厚みは、縮径部146Cの軸方向の長さと等しい。位置決め部材148は、縮径部146Cと係合している。位置決め部材148は、上記第1状態および上記第2状態において第3孔部142H内に配置されている。位置決め部材148は、上記第1状態では接続部142の環状部分142Iに接触し、上記第2状態では環状部分142Iと軸方向に間隔を空けて配置される。
【0046】
プランジャ145では、スプリング147がその軸方向に所定の力を受けている間のみ、上記第2状態が実現される。スプリング147がこのような力を受けていないときには、上記第1状態が維持される。スプリング147は、例えば上記第1状態および上記第2状態にある先端部146Aを付勢するように設けられている。上記第1状態でのスプリング147の軸方向の長さは、スプリング147の自然長よりも短い。
【0047】
なお、スプリング147は、少なくとも上記第2状態にある先端部146Aを付勢するように設けられていればよい。この場合、上記第1状態でのスプリング147の軸方向の長さは、スプリング147の自然長と等しくてもよい。
【0048】
第1管部100および第2管部103は、例えばステンレス鋼管(SUS304)である。第1スプリングコイル141および第2スプリングコイル144を構成する材料は、例えばSUS304を含む。プランジャ145のシャフト146、スプリング147、および位置決め部材148の各々を構成する材料は、例えばSUS304を含む。
【0049】
<管部の接続構造の接続方法>
管部の接続構造200において、第1管部100と第2管部103とは以下のようにして接続される。まず、上記当接状態が実現される。具体的には、作業者が、第2管部103の開口端部111を第1管部100の拡径部102内に挿入し、開口端部111を段差部108に当接させる。これにより、各挿入孔115と連通した複数の挿入通路114が形成される。次に、作業者が、各第1スプリングコイル141の先端を各挿入孔115に挿入する。
【0050】
この際、複数の第1スプリングコイル141の各々の相対的な位置が接続部142および固定部143によって定められており、かつ複数の第1スプリングコイル141の各々が各軸方向と交差する方向への力が加えられていない状態で直線状に延びるように形成されているため、作業者は複数の第1スプリングコイル141の各々を複数の挿入孔115の各々に容易かつ同時に挿入できる。
【0051】
さらに、作業者が、接続部142の第3面142Aが拡径部102の第1面116に接触するまで連結部材140を押し込む。これにより、
図3に示すように、第1スプリングコイル141は挿入通路114の形状に沿って湾曲しながら挿入通路114内に入り込み、各第1スプリングコイル141の略全体が挿入孔115および挿入通路114内に挿入される。これにより第1スプリングコイル141は、挿入通路114の略全周に亘って配設され、第1環状溝部112および第2環状溝部104の各々と係合する。このようにして、上記連結状態が実現される。さらに、第1スプリングコイル141の軸方向と直交する方向に突出している先端部146Aが、各挿入孔115の孔軸に沿った第2面117に対して凹んでいる凹部118に係合する。そのため、連結部材140は、第1スプリングコイル141の軸方向に沿った力を受けたときにも、挿入通路114および挿入孔115から離脱しにくい。
【0052】
<作用効果>
管部の接続構造200は、第1管本体101および第1管本体の端部に設けられた拡径部102を含む第1管部100と、拡径部102に挿入される開口端部111を有する第2管部103と、第1管部100と第2管部103とを連結する連結部材140とを備える。拡径部102と第1管本体101との間には、上記連結された状態において開口端部111と当接する段差部108(ストッパ部)が形成されている。拡径部102の内周面には、拡径部102の周方向に延びかつ拡径部102の軸方向に並んで配置された複数の第1環状溝部112が形成されている。第2管部103の外周面のうち、上記連結された状態において複数の第1環状溝部112の各々と対向する部分には、第2管部103の周方向に延びる複数の第2環状溝部104が形成されている。上記連結された状態において、複数の第1環状溝部112の各々と複数の第2環状溝部104の各々とは、拡径部102の径方向に対向配置されて複数の挿入通路114を形成する。拡径部102には、拡径部102の外部と複数の挿入通路114の各々とを連通する複数の挿入孔115が形成されている。連結部材140は、上記連結された状態において複数の挿入孔115の各々および複数の挿入通路114の各々に挿入されて各第1環状溝部112および各第2環状溝部104と係合する複数の第1スプリングコイル141と、複数の第1スプリングコイル141間を接続する接続部142とを含む。
【0053】
管部の接続構造200では、第2管部103が拡径部102から抜ける方向への力が第1管部100および第2管部103に加えられたときに、複数の第1環状溝部112および複数の第2環状溝部104の各々と係合した複数の第1スプリングコイル141とそれらの内部に配置された複数の第2スプリングコイル144とが、上記力を受け止める。そのため、管部の接続構造200では、第2管部103が拡径部102から抜けにくく、接続品質が高い。本発明者らは、管部の接続構造200の継手強度(破断荷重)が溶接されたステンレス鋼管の継手強度(破断荷重)と同等以上であることを確認した。
【0054】
さらに、管部の接続構造200は、作業者が連結部材140の各第1スプリングコイル141を各挿入孔115および各挿入通路114に挿入することのみによって、容易に実現され得る。そのため、管部の接続構造200は、現地溶接工法により接続されるように設けられた従来の管部の接続構造と比べて、作業者の技量に起因した接続品質のばらつきが低減されている。このような管部の接続構造200は、従来現地溶接工法により接続されている管部の接続構造に好適であり、特に橋梁に添架された水道配管の接続構造に好適である。また、複数の第1スプリングコイル141が接続部142によって接続されていない場合には、各第1スプリングコイル141を各挿入通路114に順次挿入する必要がある。これに対し、管部の接続構造200では、複数の第1スプリングコイル141が接続部142によって接続されているため、各第1スプリングコイル141を各挿入通路114に同時に挿入し得る。そのため、管部の接続構造200は、複数の第1スプリングコイル141が接続部142によって接続されていない場合と比べて、容易に接続され得る。
【0055】
管部の接続構造200では、各固定部143は、各第1スプリングコイル141の上記一方の端部に挿入され、かつ上記一方の端部と螺合するネジ部(挿入部)を含む。ネジ部には、ネジ山143Cが形成されている。さらに、接続部142には、各第1スプリングコイル141の上記一方の端部を収容する複数の収容部が形成されており、各収容部には、上記一方の端部と螺合するネジ溝142Dが形成されている。これにより、各第1スプリングコイル141は、接続部142に対して容易にかつ強固に固定され得る。
【0056】
管部の接続構造200では、先端部146Aが、接続部142の第5面142Cから各第1スプリングコイル141の軸方向と直交する方向に突出している。上記連結状態において、先端部146Aは、拡径部102の第2面117に形成された凹部118と係合する。そのため、連結部材140は、第1スプリングコイル141の軸方向に沿った力を受けたときにも、挿入通路114および挿入孔115から離脱しにくい。その結果、管部の接続構造200では、上記連結状態において先端部146Aが凹部118と係合しない場合と比べて、上記連結状態が解消されにくい。
【0057】
管部の接続構造200では、第2管部103は、第2管本体103Aおよび厚肉部103Bを含む。複数の第2環状溝部104は、厚肉部103Bの外周面に形成されている。厚肉部103Bの肉厚は、第2管本体103Aの肉厚よりも厚い。そのため、管部の接続構造200の継手強度は、第2管本体103Aと同等の肉厚とされた挿し口に複数の第2環状溝部104が形成された場合の継手強度と比べて、高くなる。
【0058】
管部の接続構造200では、連結部材140が、各第1スプリングコイル141の内側に収容された複数の第2スプリングコイル144をさらに含む。これにより、管部の接続構造200において第1スプリングコイル141と第1環状溝部112および第2環状溝部104との接触面に生じる面圧は、連結部材140が第2スプリングコイル144を含まない場合のそれと比べて、高くなる。その結果、管部の接続構造200の継手強度は、連結部材140が第2スプリングコイル144を含まない場合のそれと比べて、高くなる。
【0059】
<変形例>
複数の第1環状溝部112、複数の第2環状溝部104、および複数の第1スプリングコイル141の各々の数は、3以上であってもよい。
【0060】
複数の第1スプリングコイル141は、相対的に外径が大きい第1スプリングコイル141と、相対的に外径が小さい第1スプリングコイル141とを有していてもよい。この場合、複数の挿入通路114は、相対的に内径が大きい挿入通路114と、相対的に内径が小さい挿入通路114とを有している。相対的に内径が大きい挿入通路114は、上記連結状態において相対的に外径が大きい第1スプリングコイル141と係合するように設けられている。相対的に内径が小さい挿入通路114は、上記連結状態において相対的に外径が小さい第1スプリングコイル141と係合するように設けられている。
【0061】
複数の第1環状溝部112は、相対的に寸法が大きい第1環状溝部112と、相対的に寸法が小さい第1環状溝部112とを有している。複数の第2環状溝部104は、相対的に寸法が大きい第2環状溝部104と、相対的に寸法が小さい第2環状溝部104とを有している。相対的に寸法が大きい第1環状溝部112は、上記当接状態において相対的に寸法が大きい第2環状溝部104と径方向に互いに対向するように配置される。
【0062】
(実施例)
本発明者らは、以下の評価試験を行い、本実施の形態に係る管部の接続構造200の耐震性能が溶接されたステンレス鋼管の耐震性能と同等以上であることを確認した。
【0063】
実施例の試料として管部の接続構造200を準備した。第1管部100および第2管部103はSUS304鋼管とし、接続部142および固定部143の各々を構成する材料をSUS304とした。
【0064】
上記試料に対し、日本水道協会が定める「JWWA G 120 水道用GX形ダクタイル鋳鉄管」の試験規格に準じて、水密性試験、離脱防止性試験、曲げ水密性試験、および曲げ強度試験を行った。
【0065】
水密性試験では、上記試料に水圧2.0MPaを負荷し、これを5分間保持した。離脱防止性試験では、上記試料に離脱防止力3DkNを負荷した。離脱防止力の単位中のDは、管部の呼び径(単位:mm)を意味する。呼び径が約113mmである管部では、離脱防止力3DkNは340kN程度となる。曲げ水密性試験では、第1管部100を第2管部103の中心軸に対して角度4度まで曲げた状態とした後、当該状態下で水圧2.0MPaを負荷し、これを5分間保持した。曲げ強度試験では、上記試料に限界曲げモーメントを負荷した。
【0066】
全試験の結果は、上記試験規格を満足した。離脱防止性試験では、上記試料の離脱防止力の実強度(破断荷重)が670kNであり、基準値3DkN(約340kN)の約2倍であることが確認された。なお、呼び径が上記試料と同じである2つのSUS304鋼管が溶接された接続構造の破断荷重は、545kNであった。つまり、離脱防止性試験での上記試料の継手強度は、溶接された接続構造の継手強度と同等以上であることが確認された。曲げ水密性試験では、試験荷重が61.5kNであるとき、曲げモーメントが約15.4kN・mであった。
【0067】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0068】
100 第1管部、101 第1管本体、102 拡径部、103 第2管部、103A 第2管本体、103B 厚肉部、104 第2環状溝部、107 シール部材、108 段差部、110 シール収容溝、111,113 開口端部、112 第1環状溝部、114 挿入通路、115 挿入孔、116 第1面、117 第2面、118 凹部、124G,142G 第2孔部、140 連結部材、141 第1スプリングコイル、142 接続部、142A 第3面、142B 第4面、142C 第5面、142D ネジ溝、142E,143D 環状面、142F 第1孔部、142H,143H 第3孔部、142I,146I 環状部分、143 固定部、143A 軸部、143B 頭部、143C ネジ山、144 第2スプリングコイル、145 プランジャ、146 シャフト、146A 先端部、146B 第1柱状部、146C 縮径部、146D 第2柱状部、147 スプリング、148 位置決め部材、148A 一端、200 管部の接続構造、500 配管ユニット。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管本体および前記第1管本体の端部に設けられた拡径部を含む第1管部と、
前記拡径部に挿入される開口端部を有する第2管部と、
前記第1管部と前記第2管部とを連結する連結部材とを備え、
前記拡径部の内周面には、前記拡径部の周方向に延びかつ前記拡径部の軸方向に並んで配置された複数の第1環状溝部が形成されており、
前記第2管部の外周面には、前記第2管部の周方向に延びかつ前記第2管部の軸方向に並んで配置された複数の第2環状溝部が形成されており、
前記第1管部と前記第2管部とが前記連結部材により連結された状態において、前記複数の第1環状溝部の各々と前記複数の第2環状溝部の各々とは、前記拡径部の径方向に対向配置されて複数の挿入通路を形成し、
前記拡径部には、前記拡径部の外部と前記複数の挿入通路の各々とを連通する複数の挿入孔が形成されており、
前記連結部材は、前記連結された状態において前記複数の挿入孔の各々および前記複数の挿入通路の各々に挿入されて前記複数の第1環状溝部および前記複数の第2環状溝部の各々と係合する複数の第1スプリングコイルと、前記複数の第1スプリングコイル間を接続する接続部とを含み、
前記接続部は、前記連結された状態において前記拡径部の外部に配置され、
前記拡径部および前記接続部の各々は、前記連結された状態において互いに対向する対向面を有し、
前記接続部の前記対向面には、前記複数の第1スプリングコイルの各軸方向と交差する方向に突出した凸部が形成されており、
前記拡径部の前記対向面には、前記連結された状態において前記凸部と係合する凹部が形成されている、管部の接続構造。
【請求項2】
前記連結部材は、前記複数の第1スプリングコイルの各々を前記接続部に対して固定する複数の固定部をさらに含み、
前記接続部および前記複数の固定部は、前記複数の第1スプリングコイルの各軸方向が互いに平行となるように、前記複数の第1スプリングコイルを位置決めしている、請求項1に記載の管部の接続構造。
【請求項3】
前記複数の固定部の各々には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の前記端部に挿入される複数の挿入部が形成されており、
前記複数の挿入部の各々には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の前記端部と螺合するネジ山が形成されている、請求項2に記載の管部の接続構造。
【請求項4】
前記接続部には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の端部を収容する複数の収容部が形成されており、
前記複数の収容部の各々には、前記複数の第1スプリングコイルの各々の前記端部と螺合するネジ溝が形成されている、請求項2または3に記載の管部の接続構造。
【請求項5】
前記連結部材は、前記接続部に固定されたプランジャをさらに含み、
前記プランジャは、前記複数の第1スプリングコイルの各軸方向と交差する方向に往復する先端部を有し、
前記先端部が前記凸部を構成している、請求項1~4のいずれか1項に記載の管部の接続構造。
【請求項6】
前記第2管部は、第2管本体および前記第2管本体の端部に設けられておりかつ前記開口端部を有する厚肉部を含み、
前記複数の第2環状溝部は、前記厚肉部の外周面に形成されており、
前記厚肉部の肉厚は、前記第2管本体の肉厚よりも厚い、請求項1~5のいずれか1項に記載の管部の接続構造。
【請求項7】
前記連結部材は、前記複数の第1スプリングコイルの各々の内側に収容された複数の第2スプリングコイルをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の管部の接続構造。