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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049943
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220323BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20220323BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156255
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福島 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊行
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA35
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA53
5F083KA01
5F083NA03
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR06
5F083PR07
5F083PR39
5F083PR40
5F101BA02
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】高品質な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、基板と、基板の表面と交差する第1方向に交互に積層された複数の第1導電層及び複数の第1絶縁層と、第1方向に延伸し、複数の第1導電層及び複数の第1絶縁層に対向する第1半導体層と、第1半導体層の第1方向における一端部に接続され、第1方向と交差する第2方向に延伸する第2半導体層と、第1半導体層の他端部の外周面を覆う第2絶縁層と、第2方向における位置が複数の第1導電層、複数の第1絶縁層及び第2絶縁層と異なり、第1方向に延伸し、第1方向における一端において第2半導体層に接し、第1方向における他端が第2絶縁層よりも第2半導体層から遠い第3絶縁層とを備える。第2絶縁層の第2方向における第3絶縁層側の面に金属酸化膜が設けられており、複数の第1絶縁層の第2方向における第3絶縁層側の面には金属酸化膜が設けられていない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向に交互に積層された複数の第1導電層及び複数の第1絶縁層と、
前記第1方向に延伸し、前記複数の第1導電層及び前記複数の第1絶縁層に対向する第1半導体層と、
前記第1半導体層の前記第1方向における一端部に接続され、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2半導体層と、
前記第1半導体層の他端部の外周面を覆う第2絶縁層と、
前記第2方向における位置が前記複数の第1導電層、前記複数の第1絶縁層及び前記第2絶縁層と異なり、前記第1方向に延伸し、前記第1方向における一端において前記第2半導体層に接し、前記第1方向における他端が前記第2絶縁層よりも前記第2半導体層から遠い第3絶縁層と
を備え、
前記第2絶縁層の前記第2方向における前記第3絶縁層側の面に金属酸化膜が設けられており、
前記複数の第1絶縁層の前記第2方向における前記第3絶縁層側の面には金属酸化膜が設けられていない
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第1導電層と前記第1半導体層との間に設けられた電荷蓄積膜と、
前記複数の第1導電層と前記電荷蓄積膜との間に設けられた複数の第1金属酸化膜と
を備える請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の第1導電層と前記複数の第1絶縁層との間に設けられ、前記第1金属酸化膜と連続的に形成された複数の第2金属酸化膜を備える
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2絶縁層の前記第2方向における前記第3絶縁層側の面に設けられた前記金属酸化膜は、前記第1方向において、前記複数の第2金属酸化膜のいずれからも離間している
請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記基板は半導体基板であり、
前記第2半導体層は前記半導体基板の一部である
請求項1~4のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板と、半導体基板の表面と交差する方向に積層された複数の導電層と、半導体基板の表面と交差する方向に延伸してこれら複数の導電層に対向する半導体柱と、導電層及び半導体柱の間に設けられたゲート絶縁膜と、を備えた半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-026518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高品質な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、基板の表面と交差する第1方向に交互に積層された複数の第1導電層及び複数の第1絶縁層と、第1方向に延伸し、複数の第1導電層及び複数の第1絶縁層に対向する第1半導体層と、第1半導体層の第1方向における一端部に接続され、第1方向と交差する第2方向に延伸する第2半導体層と、第1半導体層の他端部の外周面を覆う第2絶縁層と、第2方向における位置が複数の第1導電層、複数の第1絶縁層及び第2絶縁層と異なり、第1方向に延伸し、第1方向における一端において第2半導体層に接し、第1方向における他端が第2絶縁層よりも第2半導体層から遠い第3絶縁層と、を備える。第2絶縁層の第2方向における第3絶縁層側の面に金属酸化膜が設けられており、複数の第1絶縁層の第2方向における第3絶縁層側の面には金属酸化膜が設けられていない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な断面図である。
図3図2のAで示した部分の模式的な拡大断面図である。
図4図2のBで示した部分の模式的な拡大断面図である。
図5】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図10】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図11】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図12】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図13】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図14】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図15】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図16】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図17】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図18】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図19】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図20】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図21】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図22】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図23】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図24】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図25】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図26】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図27】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図28】第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図29】第1の比較例に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図30】第1の比較例に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図31】第2の比較例に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図32】第2の比較例に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図33】第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
図34】第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図35】第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図36】第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図37】第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図38】第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図39】第3の比較例に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
図40】第3の比較例に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
図41】第3の比較例に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的なY―Z断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。
【0008】
また、本明細書においては、半導体基板の表面に対して平行な所定の方向をX方向、半導体基板の表面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、半導体基板の表面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0009】
また、本明細書においては、所定の平面に沿った方向を第1方向、この所定の平面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の平面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0010】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、半導体基板を基準とする。例えば、Z方向に沿って半導体基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って半導体基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端部と言う場合には、この構成の半導体基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端部と言う場合には、この構成の半導体基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0012】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の電流経路に設けられていることを意味する場合がある。
【0013】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0014】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。尚、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成を省略することがある。
【0015】
[構造]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な断面図である。図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な断面図である。図3は、図2のAで示した部分の模式的な拡大断面図である。図4は、図2のBで示した部分の模式的な拡大断面図である。尚、図3及び図4では、図2において図示省略した部材をも示している。
【0016】
[半導体記憶装置の構造]
図1に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板100と、半導体基板100の上方においてY方向に交互に設けられた複数のメモリブロックBLK及びブロック間構造150と、を備える。
【0017】
メモリブロックBLKは、例えば図2に示す様に、Z方向に交互に積層された複数の導電層110及び複数の絶縁層101と、Z方向に延伸し複数の導電層110及び複数の絶縁層101に対向する半導体柱120と、半導体柱120の上端部の外周面を覆う絶縁層102と、エッチングストッパ133Aと、を備える。
【0018】
[半導体基板100の構造]
図1及び図2に示す半導体基板100は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。半導体基板100の表面には、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含むN型ウェル領域(図示省略)と、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型ウェル領域100Pと、N型ウェル領域及びP型ウェル領域100Pが設けられていない半導体基板領域(図示省略)と、絶縁領域(図示省略)と、が設けられている。
【0019】
[導電層110と絶縁層101の構造]
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。導電層110は、本実施形態ではモリブデン(Mo)の金属膜であるが、タングステン(W)やルテニウム(Ru)等の金属膜であってもよい。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層101が設けられている。また、例えば図3に示す様に、導電層110と絶縁層101の間には、酸化アルミニウム(Al)又はその他の金属酸化膜を含む絶縁膜133Bが設けられている。
【0020】
複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立しており、それぞれ、ワード線又は選択ゲート線等として機能する。
【0021】
導電層110の下方には、導電層111が設けられている。導電層111は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層111及び導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層101が設けられている。
【0022】
導電層111は、選択ゲート線等として機能する。導電層111は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0023】
[半導体柱120の構造]
図2に示す様に、半導体柱120は、Z方向に延伸しており、X方向及びY方向に所定のパターンで並んでいる。半導体柱120は、複数のメモリセル及び選択トランジスタのチャネル領域として機能する。
【0024】
半導体柱120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体柱120は、略有底円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層125が設けられている。また、半導体柱120の外周面は、それぞれ、複数の導電層110及び複数の絶縁層101によって囲われており、複数の導電層110及び複数の絶縁層101と対向している。
【0025】
半導体柱120の上端部には、リン(P)等のN型の不純物を含む不純物領域121が設けられている。不純物領域121は、コンタクト120C等を介してビット線に接続される。
【0026】
半導体柱120の下端部は、単結晶シリコン(Si)等からなる半導体層122を介して、半導体基板100のP型ウェル領域100Pに接続されている。半導体層122は、選択トランジスタのチャネル領域として機能する。半導体層122の外周面は、導電層111によって囲われており、導電層111と対向している。半導体層122と導電層111との間には、酸化シリコン等の絶縁層123が設けられている。
【0027】
ゲート絶縁膜130は、半導体柱120の外周面を覆う略円筒状の形状を有する。
【0028】
ゲート絶縁膜130は、例えば図3及び図4に示す様に、半導体柱120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132及びブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜であり、電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(Si)等の電荷を蓄積可能な膜であり、ブロック絶縁膜133は、例えば、酸化アルミニウム(Al)又はその他の金属酸化膜を含む絶縁膜である。トンネル絶縁膜131及び電荷蓄積膜132は略円筒状の形状を有し、半導体柱120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。ブロック絶縁膜133は、導電層110の半導体柱120との対向面に設けられており、導電層110の上面及び下面に形成された絶縁膜133Bと連続的に形成されている。ブロック絶縁膜133は、略円筒状の形状を有し、トンネル絶縁膜131及び電荷蓄積膜132を介して、半導体柱120の外周面に対向している。
【0029】
尚、図3及び図4には、ゲート絶縁膜130が、窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示した。しかしながら、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0030】
[絶縁層102の構造]
図2及び図4に示す様に、複数の導電層110と複数の絶縁層101とをZ方向に交互に積層してなる積層体の上面は、絶縁層102によって覆われている。絶縁層102は酸化シリコン(SiO)等により形成されている。この絶縁層102は、ゲート絶縁膜130(トンネル絶縁膜131及び電荷蓄積膜132)を介して、半導体柱120の上端部の外周面を覆っている。
【0031】
尚、絶縁層102及び半導体柱120の上面は、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層103によって覆われている。
【0032】
[ブロック間構造150の構造]
図1を参照して説明した様に、ブロック間構造150は、Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間に配置されており、Z方向及びX方向に延伸している。ブロック間構造150は、例えば図2及び図4に示す様に、Z方向及びX方向に延伸する導電層151と、導電層151の側面に設けられた絶縁層152と、を備える。導電層151は、例えば、タングステン(W)等の導電層からなる。絶縁層152は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層からなる。この絶縁層152により、導電層151と、積層された複数の導電層110との絶縁が確保されている。
【0033】
ブロック間構造150の導電層151は、その下端が、半導体基板100のP型ウェル領域100Pに接続されており、ソースコンタクトとして機能する。尚、導電層151とP型ウェル領域100Pとの間には、シリサイド、N型の不純物層等が設けられてもよい。
【0034】
ブロック間構造150の絶縁層152は、その下端が、半導体基板100のP型ウェル領域100Pに接している。また、ブロック間構造150の絶縁層152のZ方向の高さは、絶縁層102の上面よりも、高くなっている。本実施形態では、絶縁層152のZ方向の高さは、絶縁層103の上面の高さと略等しくなっている。
【0035】
尚、絶縁層103及びブロック間構造150の上面は、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層104によって覆われている。
【0036】
[エッチングストッパ133Aの構造]
図2及び図4に示す様に、エッチングストッパ133Aは、絶縁層102及び絶縁層103のY方向の側面のうち、ブロック間構造150側の側面に設けられている。このエッチングストッパ133Aは、例えば、酸化アルミニウム(Al)又はその他の金属酸化膜を含む絶縁膜である。このエッチングストッパ133Aは、酸化シリコン(SiO)等により形成された絶縁層102,103よりも、所定条件でのエッチングレートが低い(所定条件でのエッチング耐性が高い)。
【0037】
[第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法]
次に、図5図16を参照して、第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法の一部について説明する。
【0038】
まず、図5に示す様に、半導体基板100(図示省略)上に、複数の絶縁層101及び犠牲層110Aを交互に積層する。犠牲層110Aは、例えば、窒化シリコン(Si)等からなる。絶縁層101及び犠牲層110Aは、例えば、CVD(Chemical VaporDeposition)等によって形成される。
【0039】
次に、図6に示す様に、半導体柱120に対応する位置に、開口OP1を形成する。開口OP1は、Z方向に延伸し、絶縁層101及び犠牲層110Aを貫通し、半導体基板100(図示省略)の上面を露出させる貫通孔である。開口OP1は、例えば、積層した複数の絶縁層101及び犠牲層110Aの上面に、開口OP1に対応する部分に開口を有する絶縁層102形成し、絶縁層102をマスクとしてRIE(Reactive IonEtching)を行うことによって形成することができる。
【0040】
次に、図7に示す様に、開口OP1内に、電荷蓄積膜132、トンネル絶縁膜131及び半導体柱120を形成し、更に、絶縁層125等を形成する。
【0041】
次に、図8に示す様に、ブロック間構造150に対応する位置に、開口OP2を形成する。開口OP2は、Z方向及びX方向に延伸し、絶縁層101及び犠牲層110Aを貫通してY方向に分断し、半導体基板100(図示省略)の上面を露出させる溝である。開口OP2は、例えば、絶縁層102の上面に、開口OP2に対応する部分に溝を有する絶縁層103を形成し、絶縁層103をマスクとしてRIEを行うことによって形成することができる。
【0042】
次に、図9に示す様に、開口OP2を介して犠牲層110Aを除去する。犠牲層110Aは、例えば、燐酸を使用したウェットエッチング等によって除去される。
【0043】
次に、図10に示す様に、絶縁層101の上面、下面及び側面と、絶縁層103の上面と、絶縁層102,103の側面と、絶縁層102の下面と、電荷蓄積膜132の外周面に、開口OP2を介して、金属酸化膜133Dを成膜する。金属酸化膜133Dの電荷蓄積膜132の外周面を覆う部分は、ブロック絶縁膜133(図3図4)となる。また、金属酸化膜133Dの絶縁層101の上面及び下面を覆う部分は、絶縁膜133B(図3図4)となる。また、この金属酸化膜133Dの絶縁層102,103の側面を覆う部分は、エッチングストッパ133A(図2図4)となる。金属酸化膜133Dは、例えば、CVD等によって酸化アルミニウム(Al)を成膜することにより形成される。
【0044】
次に、金属酸化膜133Dが成膜された、絶縁層101の上面、下面及び側面と、絶縁層103の上面と、絶縁層102,103の側面と、絶縁層102の下面と、電荷蓄積膜132の外周面に、開口OP2を介して、導電層110を成膜する。導電層110は、例えば、CVD等によってモリブデン(Mo)等を成膜することにより形成される。
【0045】
尚、金属酸化膜133D上に、モリブデン(Mo)等の導電層110を成膜すると、金属酸化膜133Dを構成する酸化アルミニウム(Al)の結晶粒の間の結晶粒界にも、モリブデン(Mo)等が成膜されてしまう。
【0046】
次に、図11に示す様に、導電層110のうち、不要部分を除去する。具体的には、絶縁層103の上面、絶縁層102,103の側面、及び絶縁層101の側面等に成膜された導電層110を、フッ素(F)系のガス、例えば、三フッ化窒素(NF)を用いたドライエッチング等によって除去する。
【0047】
このように、フッ素(F)系のガスを用いたドライエッチング等によって導電層110を除去すると、フッ化アルミニウム(AlF)が生成される。そうすると、絶縁層103の上面、絶縁層102,103の側面、及び絶縁層101の側面に成膜された金属酸化膜133D上に、フッ化アルミニウム(AlF)からなるフッ化アルミニウム層140が成膜される。
【0048】
このとき、酸化アルミニウム(Al)等の金属酸化膜133Dのフッ化アルミニウム層140により覆われた部分、例えば図11のCで示した部分においては、酸化アルミニウム(Al)の結晶粒界に成膜されたモリブデン(Mo)が、金属酸化膜133D中の結晶粒とフッ化アルミニウム層140とにより挟まれて残存する。
【0049】
次に、図12に示す様に、カバー層145を形成する。カバー層145は、絶縁層103の上面及び絶縁層102,103の側面に成膜された金属酸化膜133D及びフッ化アルミニウム層140を覆う。一方、カバー層145は、絶縁層101等の上面、下面及び側面に成膜された金属酸化膜133D及びフッ化アルミニウム層140を覆わない。このカバー層145は、例えば、シラン(SiH)を原料とするプラズマCVDにより、酸化シリコン(SiO)を成膜することにより形成される。この様な成膜方法はカバレッジが悪いので、開口OP2内の構成を覆わずに絶縁層103の上面及び絶縁層102,103の側面に成膜された金属酸化膜133D及びフッ化アルミニウム層140を選択的に覆うカバー層145を形成することが可能である。
【0050】
次に、図13に示す様に、絶縁層101の側面に形成された、金属酸化膜133D及びフッ化アルミニウム層140を、塩素(Cl)系のガスを用いたドライエッチング等によって除去する。これにより、図11のCで示した部分等において、金属酸化膜133D中の結晶粒とフッ化アルミニウム層140とにより挟まれて残存していたモリブデン(Mo)も除去される。
【0051】
次に、図14に示す様に、フッ化水素HFを水溶液により1000倍程度に希釈したフッ化水素酸により、酸化シリコン(SiO)のカバー層145と、このカバー層145により覆われていたフッ化アルミニウム層140を除去する。
【0052】
尚、カバー層145と、このカバー層145により覆われていたフッ化アルミニウム層140の除去は、エッチバックにより行ってもよい。
【0053】
次に、図15に示す様に、絶縁層103の上面に成膜された金属酸化膜133Dを、RIE等の異方性エッチング等により除去する。なお、絶縁層102,103の側面に成膜されたエッチングストッパ133Aは、この工程では除去されない。エッチングストッパ133Aは、絶縁層102,103の側面、即ち、開口OP2の内面の上側部分に配置されている。
【0054】
次に、図16に示す様に、絶縁層152を成膜する。この絶縁層152は、開口OP2の内面(導電層110、絶縁層101及びエッチングストッパ133Aの側面)及び開口OP2の底面(半導体基板100の上面)に、CVD等の手段によって酸化シリコン(SiO)等を成膜することによって形成される。
【0055】
次に、絶縁層152のうち、開口OP2の底面を覆う部分を除去する。この工程は、例えば、RIE等の異方性エッチングによって行う。
【0056】
このように、RIE等の異方性エッチングにより、絶縁層152のうち開口OP2の底面を覆う部分を除去する際においては、エッチングレートの低い(エッチング耐性の高い)エッチングストッパ133Aがマスクとなる。この結果、開口OP2の上側部分において、横方向(Y方向)へのエッチングは進まない。したがって、この様な方法によれば、酸化シリコン(SiO)等により形成された絶縁層102,103をRIE等によるエッチングによって除去することなく、絶縁層152の一部を選択的に除去することが可能である。
【0057】
次に、絶縁層152の間に、導電層151を形成する。導電層151は、CVD等の手段によってタングステン(W)等を成膜することによって形成される。
【0058】
その後、図2に示すような、絶縁層104やコンタクト120Cを形成することにより、図1図4に示すような半導体記憶装置が製造される。
【0059】
[第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法]
次に、図17図28を参照して、第1実施形態に係る半導体記憶装置の第2の製造方法の一部について説明する。尚、ここでは、第2の製造方法において特徴的な部分について説明する。また、図17図28では、半導体柱120及びその周囲の構成部材や、開口OP2よりも右側の構成部材については、図示を省略している。
【0060】
まず、第1の製造方法と同様に、図5図10を参照して説明した工程を行う。そうすると、図17に示す様に、絶縁層101の上面、下面及び側面と、絶縁層103の上面と、絶縁層102,103の側面と、絶縁層102の下面と、電荷蓄積膜132(図17では図示省略)の外周面に、酸化アルミニウム(Al)からなる金属酸化膜133Dが成膜され、更に、この金属酸化膜133D上に、モリブデン(Mo)等からなる導電層110が成膜される。
【0061】
このとき、前述したように、金属酸化膜133Dを構成する酸化アルミニウム(Al)の結晶粒の間の結晶粒界にも、モリブデン(Mo)が成膜されてしまう。
【0062】
次に、図18に示す様に、カバー層146を形成する。カバー層146は、絶縁層103の上面及び絶縁層102,103の側面に成膜された金属酸化膜133D及び導電層110を覆う。一方、カバー層146は、絶縁層101等の側面に成膜された金属酸化膜133D及び導電層110を覆わない。このカバー層146は、例えば、シラン(SiH)を原料とするプラズマCVDにより、酸化シリコン(SiO)を成膜することにより形成される。
【0063】
次に、図19に示す様に、導電層110のうち、不要部分を除去する。具体的には、絶縁層102の側面の下側部分及び絶縁層101の側面等に成膜された導電層110を、フッ素(F)系のガス、例えば、三フッ化窒素(NF)を用いたドライエッチング等によって除去する。
【0064】
このように、フッ素(F)系のガスを用いたドライエッチング等によって導電層110を除去すると、フッ化アルミニウム(AlF)が生成される。そうすると、絶縁層102の側面の下側部分及び絶縁層101の側面に成膜された金属酸化膜133D上に、フッ化アルミニウム(AlF)からなるフッ化アルミニウム層140が成膜される。
【0065】
このとき、酸化アルミニウム(Al)等の金属酸化膜133Dのフッ化アルミニウム層140により覆われた部分、例えば図19のDで示した部分においては、酸化アルミニウム(Al)の結晶粒界に成膜されたモリブデン(Mo)が、金属酸化膜133D中の結晶粒とフッ化アルミニウム層140とにより挟まれて残存する。
【0066】
次に、図20に示す様に、絶縁層102の側面の下側部分及び絶縁層101の側面に形成された、金属酸化膜133D及びフッ化アルミニウム層140を、塩素(Cl)系のガスを用いたドライエッチング等によって除去する。これにより、図19のDで示した部分等において、金属酸化膜133D中の結晶粒とフッ化アルミニウム層140とにより挟まれて残存していたモリブデン(Mo)も除去される。
【0067】
次に、図21に示す様に、フッ化水素HFを水溶液により1000倍程度に希釈したフッ化水素酸により、酸化シリコン(SiO)のカバー層146を除去する。
【0068】
次に、図22に示す様に、導電層110のうち、絶縁層103の上面及び側面の上側部分に成膜されている部分を、異方性エッチング等により除去する。なお、絶縁層103の上面及び側面と、絶縁層102の側面の上側部分に成膜されたエッチングストッパ133Aは、この工程では除去されない。エッチングストッパ133Aは、開口OP2の内面の上側部分に配置されている。
【0069】
次に、図23に示す様に、絶縁層152aを成膜する。この絶縁層152aは、エッチングストッパ133Aの上面と、開口OP2の内面(導電層110、絶縁層101及びエッチングストッパ133Aの側面)と、開口OP2の底面(半導体基板100の上面)に、CVD等の手段によって酸化シリコン(SiO)等を成膜することによって形成される。
【0070】
次に、図24に示す様に、RIE等の方法により、酸化シリコン(SiO)の絶縁層152aのうち、上側部分を除去する。この工程では、エッチングストッパ133Aに接する導電層110が現れる程度まで、絶縁層152aの除去を行う。
【0071】
次に、図25に示す様に、エッチングストッパ133Aに接する導電層110を、過酸化水素水(H)によりエッチングする。
【0072】
次に、図26に示す様に、絶縁層152bを成膜する。この絶縁層152bは、絶縁層152aの内面及び底面、並びに、エッチングストッパ133Aの側面及び上面に、CVD等の手段によって酸化シリコン(SiO)等を成膜することによって形成される。
絶縁層152aと絶縁層152bにより、絶縁層152が形成される。
【0073】
次に、絶縁層152(152a,152b)のうち、開口OP2の底面を覆う部分を除去する。この工程は、例えば、RIE等の異方性エッチングによって行う。
【0074】
このように、RIE等の異方性エッチングにより、絶縁層152(152a,152b)のうち開口OP2の底面を覆う部分を除去する際においては、エッチングレートの低い(エッチング耐性の高い)エッチングストッパ133Aがマスクとなる。この結果、開口OP2の上部において、横方向(Y方向)へのエッチングは進まない。したがって、この様な方法によれば、酸化シリコン(SiO)等により形成された絶縁層102,103をRIE等によるエッチングによって除去することなく、絶縁層152の一部を選択的に除去することが可能である。
【0075】
次に、図27に示す様に、絶縁層152(152a,152b)の側面と、絶縁層152(152a,152b)の上面と、エッチングストッパ133Aの上面に、導電層151を形成する。導電層151は、CVD等の手段によってタングステン(W)等を成膜することによって形成される。
【0076】
次に、図28に示す様に、導電層151の上側部分と、絶縁層152(152a,152b)の上側部分と、エッチングストッパ133Aの上側部分と、絶縁層103の上側部分を、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により除去して平坦化する。
【0077】
その後、図2及び図4に示すような、絶縁層104やコンタクト120Cを形成することにより、図1図4に示すような半導体記憶装置が製造される。
【0078】
[比較例の製造方法]
次に、図29図32を参照して、比較例に係る、半導体記憶装置の製造方法の要点を説明する。
【0079】
[第1の比較例の製造方法]
第1の比較例の製造方法では、まず、第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法と同様に、図5図10を参照して説明した工程を行う。図10に示す工程が完了すると、前述したように、絶縁層101の上面、下面及び側面と、絶縁層103の上面と、絶縁層102,103の側面と、絶縁層102の下面と、電荷蓄積膜132の外周面に、酸化アルミニウム(Al)からなる金属酸化膜133Dが成膜され、更に、この金属酸化膜133D上に、モリブデン(Mo)等からなる導電層110が成膜される。
【0080】
このとき、前述したように、金属酸化膜133Dを構成する酸化アルミニウム(Al)の結晶粒の間の結晶粒界にも、モリブデン(Mo)が成膜されてしまう。
【0081】
次に、図29に示す様に、フッ素(F)系のガス、例えば、三フッ化窒素(NF)を用いたドライエッチング等によって、導電層110のうち、絶縁層103の上面、絶縁層102,103の側面、及び絶縁層101の側面等に成膜された導電層110を除去する。
【0082】
このように、フッ素(F)系のガスを用いたドライエッチング等によって導電層110を除去すると、絶縁層103の上面、絶縁層102,103の側面、及び絶縁層101の側面に成膜された金属酸化膜133D上に、フッ化アルミニウム(AlF)からなるフッ化アルミニウム層140が成膜される。
【0083】
このとき、酸化アルミニウム(Al)からなる金属酸化膜133Dのフッ化アルミニウム層140により覆われた部分、例えば図29のEで示した部分においては、酸化アルミニウム(Al)の結晶粒界に成膜されたモリブデン(Mo)が、金属酸化膜133D中の結晶粒とフッ化アルミニウム層140とにより挟まれて残存する。
【0084】
次に、図30に示す様に、フッ化水素(HF)等によって、フッ化アルミニウム層140を除去する。
【0085】
この場合、絶縁層101の側面に成膜された酸化アルミニウム(Al)からなる金属酸化膜133D中には、酸化アルミニウム(Al)の結晶粒界に成膜されたモリブデン(Mo)が残存している。
【0086】
したがって、Z方向において隣り合う2つの導電層110同士が、金属酸化膜133D中の結晶粒界に残存したモリブデン(Mo)を介して、電気的に接続されてショートしてしまう虞がある。
【0087】
[第2の比較例の製造方法]
第2の比較例の製造方法では、まず、第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法と同様に、図5図10を参照して説明した工程を行う。
【0088】
図10に示す工程が完了すると、前述したように、金属酸化膜133Dを構成する酸化アルミニウム(Al)の結晶粒の間の結晶粒界にも、モリブデン(Mo)が成膜されてしまう。
【0089】
次に、図31に示す様に、塩素(Cl)系のガスを用いたドライエッチング等によって、導電層110のうち、絶縁層103の上面、絶縁層102,103の側面、及び絶縁層101の側面等に成膜された導電層110を除去する。また、絶縁層103の上面、絶縁層102,103の側面及び絶縁層101の側面に形成された金属酸化膜133Dを除去する。
【0090】
このようにして、絶縁層101の側面に形成された金属酸化膜133Dを除去するため、絶縁層101の側面に成膜された酸化アルミニウム(Al)からなる金属酸化膜133Dの表面(開口OP2側の面)に成膜されたモリブデン(Mo)も除去される。
【0091】
このため、第1の比較例の製造方法での問題、即ち、Z方向において隣り合う2つの導電層110同士が、金属酸化膜133D中の結晶粒界に残存したモリブデン(Mo)を介して電気的に接続される虞はなくなる。
【0092】
次に、図32に示す様に、開口OP2の内面及び底面に絶縁層152を形成する。その後、開口OP2の底面部分の絶縁層152を、RIE等の異方性エッチングにより除去する。この異方性エッチングを行うと、開口OP2の上側部分において、横方向(Y方向)のエッチングも進み、酸化シリコン(SiO)等により形成された絶縁層102,103も除去され、開口OP2の上側部分において開口幅がY方向に広がってしまう場合がある。
【0093】
このように、開口OP2の上側部分において開口幅がY方向に広がった状態で、タングステン(W)等の成膜により導電層151を形成すると、導電層151は、その上側部分において、Y方向に広がった形状になる場合がある。
【0094】
その後、コンタクト120Cを形成すると、コンタクト120C
が、Y方向に広がった導電層151とショートしてしまう虞がある。
【0095】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、例えば図13を参照して説明した工程において、絶縁層101の側面に成膜された酸化アルミニウム(Al)からなる金属酸化膜133Dが、その結晶粒界に成膜されたモリブデン(Mo)と共に除去されている。このため、Z方向において隣り合う2つの導電層110同士が、残存したモリブデン(Mo)を介して、電気的に接続されてショートしてしまう問題を抑制して、これら2つの導電層110同士の絶縁を確保することができる。
【0096】
また、本実施形態では、RIE等の異方性エッチングにより、絶縁層152のうち開口OP2の底面を覆う部分を除去する際においては、エッチングストッパ133Aがマスクとなる。従って、開口OP2の上側部分において、横方向(Y方向)へのエッチングが進むことを抑制して、開口OP2の上側部分において開口幅が広がることを抑制することが出来る。
【0097】
従って、導電層151がY方向に広がることを抑制して、コンタクト120Cと導電層151とのショートを抑制可能である。
【0098】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成について、図面を参照して説明する。尚、以下の説明では、第1実施形態と同様な構成部分については、同一の符号を付し、説明を簡略ないし省略する。
【0099】
[構造]
図33は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の要部を示す模式的な断面図である。第2実施形態では、ブロック間構造150Aの構造及びエッチングストッパ133Aの配置状態が、図2及び図4等において図示した第1実施形態におけるブロック間構造150の構造及びエッチングストッパ133Aの配置状態とは異なっている。
【0100】
第2実施形態においては、ブロック間構造150Aは、例えば、Z方向及びY方向に延伸する絶縁層153と、絶縁層153の側面にそれぞれ設けられた一対の絶縁層154と、を備える。絶縁層153,154は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁材からなる。
【0101】
ブロック間構造150Aは、例えば、その上側部分のY方向幅が、それよりも下方部分のY方向幅に対して狭くなっている。
【0102】
絶縁層153を間にしてY方向に離間した一対の絶縁層154は、その上側部分では、Z方向に沿い下方から上方に向かうに従い次第にY方向幅が減少している。
【0103】
エッチングストッパ133Aは、絶縁層102及び絶縁層103の側面のうち、ブロック間構造150A側の側面に設けられている。第2実施形態においては、例えば、絶縁層102,103の側面のうち、ブロック間構造150A側の側面は傾斜している。つまり、ブロック間構造150Aを間にしてY方向に離間した絶縁層102,103の側面同士は、Z方向に沿い下方から上方に向かうに従い次第に接近するような傾斜面になっている。このため、絶縁層102,103の側面に設けられた一対のエッチングストッパ133Aは、Z方向に沿い下方から上方に向かうに従い次第に接近するように傾斜して配置されている。
【0104】
本実施形態においては、ブロック間構造150Aの上面、つまり、絶縁層153の上面は平らになっており、絶縁層153の上面と絶縁層103の上面は、連続した平面を形成している。
【0105】
[第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法]
次に、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例について、その要点を説明する。
【0106】
まず、第1実施形態に係る半導体記憶装置の第1の製造方法と同様に、図5図7を参照して説明した工程を行う。
【0107】
次に、例えば図34に示す様に、図8を参照して説明した工程と同様にして、開口OP2を形成する。ただし、第2実施形態では、開口OP2は、上側部分のY方向幅が、それよりも下方部分のY方向幅よりも狭くなるように形成される。このため、絶縁層102,103の側面のうち、開口OP2側の側面は傾斜面になる。
【0108】
次に、例えば図35に示す様に、図9図15を参照して説明した工程を行うことにより、絶縁層102,103の側面のうち、開口OP2側の傾斜した側面にエッチングストッパ133Aが形成される。
【0109】
次に、例えば図36に示す様に、開口OP2の内面(導電層110、絶縁層101及びエッチングストッパ133Aの側面)及び開口OP2の底面(半導体基板100の上面)に、CVD等の手段によって酸化シリコン(SiO)等を成膜することによって絶縁層154を形成する。このとき、開口OP2の上側部分のY方向幅が狭くなっているので、一方の絶縁層154の上側部分と、他方の絶縁層154の上側部分が重なり、開口OP2の上側部分は、重なった双方の絶縁層154により閉塞されてしまう。なお、開口OP2の上側部分よりも下方部分では、一方の絶縁層154と他方の絶縁層154との間に隙間(空隙)がある。
【0110】
次に、例えば図37に示す様に、開口OP2の上側部分を閉塞している絶縁層154の上側部分の一部を、RIE等の異方性エッチングによって除去する。これにより、一方の絶縁層154と他方の絶縁層154との間に形成されている隙間(空隙)は、上側部分において開口状態となる。
【0111】
ここで、RIE等の異方性エッチングにより、開口OP2の上側部分を閉塞している絶縁層154の上側部分を除去する際においては、エッチングレートの低い(エッチング耐性の高い)エッチングストッパ133Aがマスクとなる。この結果、開口OP2の上側部分において、横方向(Y方向)へのエッチングは進まない。したがって、この様な方法によれば、酸化シリコン(SiO)等により形成された絶縁層102,103をRIE等によるエッチングによって除去することなく、開口OP2の上側部分を閉塞していた絶縁層154の上側部分を選択的に除去することが可能である。
【0112】
次に、例えば図38に示す様に、開口状態となった開口OP2の上側部分から、一方の絶縁層154と他方の絶縁層154との間に形成されている隙間(空隙)に、CVD等の手段によって酸化シリコン(SiO)等を成膜することによって絶縁層153を形成する。このとき、絶縁層103の上面にも、絶縁層153が形成される。
【0113】
その後、絶縁層103の上面に形成された絶縁層153を除去すると共に、絶縁層104やコンタクト120Cを形成することにより、第2実施形態に係る半導体記憶装置が製造される。
【0114】
[第3の比較例]
次に、図39を参照して、第3の比較例に係る半導体記憶装置の構成を説明する。なお、第2実施形態と同様な構成部分については、同一の符号を付し、説明を簡略ないし省略する。
【0115】
図39に示すように、第3の比較例に係る半導体記憶装置は、第2実施形態の半導体記憶装置に備えられていたエッチングストッパ133Aを備えていない。
また、ブロック間構造150A(絶縁層153)の上面が窪んでおり、この窪み部に絶縁層104が入り込み、絶縁層104の上面も窪んだ状態になっている。
【0116】
ブロック間構造150A及び絶縁層104の上面に窪み部ができる理由は、次の通りである。
【0117】
即ち、図36を参照して説明した様に、上側部分のY方向幅がそれよりも下方部分のY方向幅よりも狭い開口OP2に対して、その内面及び底面に絶縁層154を形成すると、双方の絶縁層154の上側部分が重なり、開口OP2の上側部分を閉塞してしまう。
【0118】
そこで、第2実施形態に係る製造方法では、図37を参照して説明した様に、開口OP2の上側部分を閉塞している絶縁層154の上側部分を、RIE等の異方性エッチングによって除去していた。また、この際、エッチングストッパ133Aによって、開口OP2が横方向(Y方向)に広がることを抑制していた。
【0119】
ここで、開口OP2内にエッチングストッパ133Aが設けられていない場合、例えば図40に示す様に、開口OP2の上側部分において、横方向(Y方向)のエッチングも進み、酸化シリコン(SiO)等により形成された絶縁層154及び絶縁層102,103も除去され、開口OP2の上側部分において開口幅がY方向に広がってしまう。
【0120】
このように、開口OP2の上側部分で開口幅がY方向に広がった状態で、開口OP2の上側部分から、一方の絶縁層154と他方の絶縁層154との間に形成されている隙間(空隙)に、CVD等の手段によって酸化シリコン(SiO)等を成膜することによって絶縁層153を形成した場合には、例えば図41に示す様に、絶縁層153の上面が窪んでしまう。これは、絶縁層153となる酸化シリコン(SiO)等の充填量を、開口OP2の開口幅がY方向に広がっていないことを条件に設定しているため、開口OP2の開口幅がY方向に広がってしまうと、この広がり部分を埋めた分だけ余計に酸化シリコン(SiO)等が使用されてしまい、その結果、絶縁層153の上面が窪んでしまうのである。
【0121】
このように絶縁層153の上面が窪んでしまうと、この絶縁層153の上に形成した絶縁層104の上面にも窪みが生じてしまう。このため、例えば、絶縁層104の上方に形成する配線層等に窪みが生じてしまい、配線層等を適切に形成できなくなる虞がある。
【0122】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態においては、ブロック間構造150Aの上面、つまり、絶縁層153,154の上面は平らになっているため、絶縁層104の上面も平らになる。このため、例えば、絶縁層104の上方に形成する配線層等を適切に形成することができる。
【0123】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
100…半導体基板、110…導電層、120…半導体柱、130…ゲート絶縁膜、150…ブロック間構造。
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