(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049959
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B23Q11/00 Z
B23Q11/00 M
B23Q11/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156276
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 研次郎
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011AA00
3C011BB04
3C011BB07
3C011BB12
3C011BB13
3C011BB14
3C011BB15
(57)【要約】
【課題】加工エリア内で生じたミストを効率的に回収することが可能な工作機械、を提供する。
【解決手段】工作機械は、加工エリア200を区画形成するカバー体21と、加工エリア200内に設けられ、Z軸方向に移動可能な刃物台12と、空気を送出するノズル56を含み、加工エリア200内にミストを含む気流を発生させる気流発生部51と、ノズル56を動作させ、気流発生部51により発生した気流が刃物台12に向かうように、ノズル56からの空気の送出方向を変化させる駆動部61とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工エリアを区画形成するカバー体と、
前記加工エリア内に設けられ、水平方向に平行な第1軸と、前記第1軸と直交する第2軸と、前記第1軸および前記第2軸と直交する第3軸とのうちの少なくとも1つの軸の軸方向に移動可能な移動体と、
空気を送出する送出部を含み、前記加工エリア内にミストを含む気流を発生させる気流発生部と、
前記送出部を動作させ、前記気流発生部により発生した気流が前記移動体に向かうように、前記送出部からの空気の送出方向または送出位置を変化させる駆動部とを備える、工作機械。
【請求項2】
前記気流発生部は、前記加工エリア内の空気を吸引し、空気中のミストを捕集するミストコレクタをさらに含み、
前記送出部は、前記ミストコレクタから排出される空気を前記加工エリア内に送出する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記気流発生部は、送風装置をさらに含み、
前記送出部は、前記加工エリア内において前記送風装置から供給される空気を送出する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
前記駆動部は、前記送出部を回動させることにより、前記送出部からの空気の送出方向を変化させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記駆動部は、前記送出部を前記移動体の移動方向に移動させることによって、前記送出部からの空気の送出位置を変化させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記カバー体は、天井部を含み、
前記送出部は、前記天井部に設けられる、請求項1から5のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記移動体は、前記送出部および前記移動体の間の距離が変化するように移動し、
前記気流発生部は、前記移動体の移動に伴って前記送出部および前記移動体の間の距離が減少する場合に、前記加工エリア内に気流を発生させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項8】
前記移動体は、平面状の表面を含み、
前記駆動部は、気流の方向が前記表面と直交するように、前記送出部を動作させる、請求項1から7のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項9】
前記移動体は、刃物台、工具主軸、ワーク主軸、テーブル、パレット、イケール、ワーク振れ止め装置、または、心押し台である、請求項1から8のいずれか1項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、国際公開第2017/038071号(特許文献1)には、加工室と、ミストコレクタとを備える工作機械が開示されている。ミストコレクタでオイルミストが除去された清浄空気を加工室内に供給し、その清浄空気を治具またはテーブルに吹き付けることによって、治具またはテーブルに付着した切屑を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、ミストコレクタにより、加工エリア内で生じたミストを回収することが行なわれている。工作機械においてクーラントを用いてワークの加工を行なうと、加工熱により温められたクーラントがミスト状(霧状)になる。このようなミストが工作機械の機外に排出されると、工場内を汚損する原因となるため、加工エリア内で生じたミストを効率的に回収することが求められる。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、加工エリア内で生じたミストを効率的に回収することが可能な工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った工作機械は、加工エリアを区画形成するカバー体と、加工エリア内に設けられ、水平方向に平行な第1軸と、第1軸と直交する第2軸と、第1軸および第2軸と直交する第3軸とのうちの少なくとも1つの軸の軸方向に移動可能な移動体と、空気を送出する送出部を含み、加工エリア内にミストを含む気流を発生させる気流発生部と、送出部を動作させ、気流発生部により発生した気流が移動体に向かうように、送出部からの空気の送出方向または送出位置を変化させる駆動部とを備える。
【0007】
このように構成された工作機械によれば、駆動部によって、送出部を動作させ、気流発生部により発生した気流が移動体に向かうように、送出部からの空気の送出方向または送出位置を変化させることによって、ミストを含む気流を移動体に衝突させることができる。これにより、ミストの液化が促進されるため、加工エリア内で生じたミストを効率的に回収することができる。
【0008】
また好ましくは、気流発生部は、加工エリア内の空気を吸引し、空気中のミストを捕集するミストコレクタをさらに含む。送出部は、ミストコレクタから排出される空気を加工エリア内に送出する。
【0009】
このように構成された工作機械によれば、ミストコレクタからの清浄空気を送出部を通じて加工エリア内に戻すことによって、加工エリア内にミストを含む気流を発生させることができる。
【0010】
また好ましくは、気流発生部は、送風装置をさらに含む。送出部は、加工エリア内において送風装置から供給される空気を送出する。
【0011】
このように構成された工作機械によれば、送風装置からの空気を送出部を通じて加工エリア内で送出することによって、加工エリア内にミストを含む気流を発生させることができる。
【0012】
また好ましくは、駆動部は、送出部を回動させることにより、送出部からの空気の送出方向を変化させる。
【0013】
このように構成された工作機械によれば、駆動部を簡易に構成しつつ、送出部からの空気の送出方向を変化させることができる。
【0014】
また好ましくは、駆動部は、送出部を移動体の移動方向に移動させることによって、送出部からの空気の送出位置を変化させる。
【0015】
このように構成された工作機械によれば、送出部および移動体の位置関係を一体に保つことが可能となるため、より安定的にミストを含む気流を移動体に衝突させることができる。
【0016】
また好ましくは、カバー体は、天井部を含む。送出部は、天井部に設けられる。
このように構成された工作機械によれば、ミストは、加工エリア内において高く舞うため、送出部を天井部に設けることによって、より効率的にミストを含む気流を移動体に衝突させることができる。
【0017】
また好ましくは、移動体は、送出部および移動体の間の距離が変化するように移動する。気流発生部は、移動体の移動に伴って送出部および移動体の間の距離が減少する場合に、加工エリア内に気流を発生させる。
【0018】
このように構成された工作機械によれば、気流と移動体との衝突速度が増大するタイミングで、加工エリア内にミストを含む気流を発生させることができる。これにより、ミストの液化をさらに促進させることができる。
【0019】
また好ましくは、移動体は、平面状の表面を含む。駆動部は、気流の方向がその表面と直交するように、送出部を動作させる。
【0020】
このように構成された工作機械によれば、ミストを含む気流を移動体の表面に真正面から衝突させることができる。これにより、ミストの液化をさらに促進させることができる。
【0021】
また好ましくは、移動体は、刃物台、工具主軸、ワーク主軸、テーブル、パレット、イケール、ワーク振れ止め装置、または、心押し台である。
【0022】
このように構成された工作機械によれば、ミストを含む気流を、加工エリア内に備わったこれら各種の移動体に衝突させることによって、ミストの液化を促進させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上に説明したように、この発明に従えば、加工エリア内で生じたミストを効率的に回収することが可能な工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の実施の形態1における工作機械を示す斜視図である。
【
図3】
図1中の工作機械を模式的に示す別の図である。
【
図4】
図1中の工作機械を模式的に示すさらに別の図である。
【
図5】
図2から
図4中のノズルを回動させるための制御系を示すブロック図である。
【
図6】この発明の実施の形態2における工作機械を模式的に示す図である。
【
図7】この発明の実施の形態2における工作機械を模式的に示す別の図である。
【
図8】この発明の実施の形態2における工作機械を模式的に示すさらに別の図である。
【
図9】
図6から
図8中の送風装置を移動させるための制御系を示すブロック図である。
【
図10】この発明の実施の形態3における工作機械を模式的に示す図である。
【
図11】この発明の実施の形態3における工作機械を模式的に示す別の図である。
【
図12】この発明の実施の形態3における工作機械を模式的に示すさらに別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における工作機械を示す斜視図である。
図1を参照して、工作機械100は、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋盤である。工作機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
【0027】
工作機械100は、カバー体21を有する。カバー体21は、加工エリア200を区画形成するとともに、工作機械100の外観をなしている。加工エリア200は、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が加工エリア200の外側に漏出しないように密閉されている。
【0028】
工作機械100は、ワーク主軸11と、刃物台12とを有する。ワーク主軸11および刃物台12は、加工エリア200内に配置されている。
【0029】
ワーク主軸11は、ベッドに取り付けられている。ワーク主軸11は、水平方向に延びるZ軸に平行な回転中心軸210を中心に回転駆動する。ワーク主軸11の先端には、ワークを着脱可能に把持するチャックが設けられている。チャックに把持されたワークは、ワーク主軸11の回転駆動に伴って、回転中心軸210を中心に回転する。
【0030】
刃物台12は、複数の工具を保持可能なように構成されている。刃物台12は、Z軸に平行な旋回中心軸220を中心に旋回可能なタレット型刃物台である。刃物台12は、タレット13と、刃物台ベース14とを有する。
【0031】
タレット13は、刃物台ベース14から、Z軸方向においてワーク主軸11に近接する方向(-Z軸方向)に突出するように設けられている。タレット13は、旋回中心軸220の軸方向が厚み方向となる円盤形状を有する。タレット13は、旋回中心軸220を中心に旋回可能である。タレット13には、旋回中心軸220の周方向に互いに間隔を設けて、工具を保持するための工具ホルダが装着されている。タレット13が旋回中心軸220を中心に旋回することによって、工具ホルダに保持された工具が旋回中心軸220の周方向に移動する。
【0032】
刃物台ベース14は、タレット13を支持するベース部材である。刃物台ベース14には、タレット13を旋回中心軸220を中心に旋回させるためのモータ等が収容されている。刃物台ベース14は、横送り台およびサドルを介して、ベッドに取り付けられている。
【0033】
サドルは、各種の送り機構や案内機構、サーボモータなどによって、Z軸方向に移動可能である。横送り台は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸に直交し、鉛直方向に対して傾斜するX軸方向に移動可能である。このような構成により、刃物台12は、水平方向に平行なZ軸方向(第1軸方向)と、Z軸と直交するX軸方向(第2軸方向)とに移動可能である。
【0034】
なお、加工エリア200には、Z軸方向においてワーク主軸11と対向して配置され、Z軸方向に移動可能な対向ワーク主軸または心押し台がさらに設けられてもよい。加工エリア200には、Z軸方向に移動可能であり、ワーク主軸11から+Z軸方向に離れた位置でワーク主軸11により保持されたワークを支持するためのワーク振れ止め装置が設けられてもよい。
【0035】
カバー体21には、開口部26が設けられている。開口部26は、加工エリア200を外部空間に開放している。
【0036】
カバー体21は、第1サイドカバー22および第2サイドカバー23と、天井カバー24(天井部)とを有する。
【0037】
第1サイドカバー22および第2サイドカバー23は、Z軸方向おいて、開口部26の両側にそれぞれ設けられている。第1サイドカバー22には、操作パネル28が設けられている。操作パネル28は、作業者が工作機械100を操作する際に用いる各種のボタンおよびスイッチ、ならびに、工作機械100におけるワークの加工状態等を示す表示部などを含む。第2サイドカバー23の内側には、ワーク主軸11等が配置されている。
【0038】
天井カバー24は、工作機械100の天井に配置されている。第1サイドカバー22、第2サイドカバー23および天井カバー24により、開口部26が画定されている。
【0039】
工作機械100は、扉部25をさらに有する。扉部25は、開口部26に設けられている。扉部25は、開口部26を開状態とする開位置(
図1中に示される扉部25の位置)と、開口部26を閉状態とする閉位置との間において、Z軸方向にスライド動作可能である。扉部25は、開位置に位置決めされた場合に、第2サイドカバー23と重なって配置される。扉部25は、閉位置に位置決めされた場合に、加工エリア200を区画形成している。
【0040】
図2から
図4は、
図1中の工作機械を模式的に示す図である。
図1から
図4を参照して、工作機械100は、気流発生部51をさらに有する。気流発生部51は、加工エリア200内にミストを含む気流を発生させる。加工エリア200内において、クーラントを用いてワークの加工を行なうと、加工熱により温められたクーラントがミスト状(霧状)となったオイルミストが発生する。気流発生部51は、加工エリア200内にオイルミストを含む気流を発生させる。
【0041】
気流発生部51は、ノズル56(送出部)を有する。ノズル56は、空気を噴き出し可能な噴出口が設けられた筒体から構成されている。ノズル56は、加工エリア200内に設けられている。ノズル56は、刃物台12よりも上方に設けられている。ノズル56は、天井カバー24に設けられている。
【0042】
なお、ノズル56が設けられる加工エリア200内の位置は、特に限定されない。ノズル56は、たとえば、開口部26から見て加工エリア200の奥側に配置されるカバー体(スプラッシュガード)に設けられてもよい。
【0043】
気流発生部51は、ミストコレクタ31をさらに有する。ミストコレクタ31には、加工エリア200からオイルミストが導かれる。ミストコレクタ31は、空気中に含まれるオイルミストを回収し、清浄な空気を排出するための装置である。
【0044】
ミストコレクタ31は、ケース体36を有する。ケース体36は、ミストコレクタ31の外観をなす筐体からなる。ケース体36は、全体として、仮想上の中心軸101を中心とする円筒形状を有する。
【0045】
ケース体36には、吸気口34と、排気口37とが設けられている。吸気口34および排気口37は、中心軸101の軸方向において互いに離れて設けられている。吸気口34は、中心軸101の軸方向におけるケース体36の一方端において、中心軸101の軸方向を向いて開口している。ケース体36は、吸気口34が開口する位置で縮径する先細り形状を有する。排気口37は、中心軸101の軸方向におけるケース体36の他方端において、中心軸101の半径方向外側を向いて開口している。
【0046】
ミストコレクタ31は、フィルタ44をさらに有する。フィルタ44は、ケース体36に収容されている。フィルタ44は、オイルミストを捕集可能なように構成されている。フィルタ44は、微細な孔が並ぶ網目状のメッシュ体からなる。
【0047】
ミストコレクタ31は、送風装置41をさらに有する。送風装置41は、ケース体36に収容されている。送風装置41は、ケース体36内に吸気口34から排気口37に向けた空気流れを形成する。送風装置41は、ファン43と、モータ42とを有する。モータ42の出力軸は、ファン43およびフィルタ44に接続されている。
【0048】
ミストコレクタ31は、吸気ダクト32および排気ダクト38を介して、カバー体21に接続されている。吸気ダクト32の一方端は、吸気口34に接続され、吸気ダクト32の他方端は、第1サイドカバー22に接続されている。排気ダクト38の一方端は、排気口37に接続され、排気ダクト38の他方端は、天井カバー24に接続されている。
【0049】
排気ダクト38は、ノズル56と連通している。ノズル56は、ミストコレクタ31から排出される清浄空気を加工エリア200内に送出する。
【0050】
ミストコレクタ31は、天井カバー24上に設置されている。ミストコレクタ31は、支持脚33によって、天井カバー24上に支持されている。ミストコレクタ31は、中心軸101が上下方向に延びる姿勢に支持されている。ミストコレクタ31は、吸気口34が下方を向いて開口し、排気口37が吸気口34よりも上方に配置される姿勢に支持されている。
【0051】
モータ42の駆動時、モータ42の出力軸から出力された回転が、ファン43およびフィルタ44に伝達される。ファン43が回転することにより、ケース体36内には、吸気口34から排気口37に向かう空気流れが形成される。
【0052】
加工エリア200内で発生したオイルミストを含む空気は、ファン43の回転に伴って、吸気ダクト32を通ってミストコレクタ31に導かれる。空気は、吸気口34を通じてケース体36内に吸引される。空気は、ケース体36内において、回転するフィルタ44を通過する。このとき、空気がフィルタ44の網目を通過する一方で、空気中に含まれるオイルミストは、高速回転するフィルタ44と衝突して、フィルタ44の網目を通過することができない。これにより、空気と、オイルミストとが分離される。
【0053】
分離されたオイルミストは、図示しないドレンを通り、工作機械100の加工エリア200内またはクーラントタンクに回収される。オイルミストが分離された清浄な空気は、排気ダクト38を通り、ノズル56から加工エリア200内に戻される。このとき、ノズル56からオイルミストを含む雰囲気下の加工エリア200内に空気が送出されることによって、加工エリア200内にオイルミストを含む気流が発生する。
【0054】
なお、ミストコレクタ31の設置場所は、工作機械100が設置される工場等の床面上であってもよい。また、本実施の形態では、ミストコレクタ31が、ケース体36の軸方向が上下方向となる縦置きタイプであるが、ケース体36の軸方向が水平方向となる横置きタイプであってもよい。
【0055】
また、本発明におけるミストコレクタにおいてオイルミストを回収する方式は、特に限定されない。ミストコレクタで用いられるフィルタは、定期的に交換されるフィルタであってもよいし、オイルミストの回収方式が、遠心分離方式であってもよい。
【0056】
工作機械100は、駆動部61をさらに有する。駆動部61は、ノズル56を動作させ、気流発生部51により発生した気流が刃物台12に向かうように、ノズル56からの空気の送出方向を変化させる。駆動部61は、ノズル56を回動させることにより、ノズル56からの空気の送出方向を変化させる。
【0057】
駆動部61は、回動部62と、シリンダ63とを有する。回動部62は、球体からなり、ベース台64により回動可能に支持されている。ノズル56は、回動部62に接続されている。シリンダ63のロッドは、リンク機構等の運動変換機構を介して回動部62に接続されている。シリンダ63から出力された直線運動が、リンク機構等の運動変換機構を介して回動部62に伝達されることによって、ノズル56が回動部62とともに回動する。
【0058】
ノズル56は、Z軸方向において、+Z軸方向における刃物台12のストローク端と、-Z軸方向における刃物台12のストローク端との間に設けられている。Z軸方向におけるノズル56の位置は、+Z軸方向における刃物台12のストローク端と、-Z軸方向における刃物台12のストローク端との中間位置であってもよい。
【0059】
ノズル56は、X軸方向において、+X軸方向における刃物台12のストローク端と、-X軸方向における刃物台12のストローク端との間に設けられている。X軸方向におけるノズル56の位置は、+X軸方向における刃物台12のストローク端と、-X軸方向における刃物台12のストローク端との中間位置であってもよい。
【0060】
図5は、
図2から
図4中のノズルを回動させるための制御系を示すブロック図である。
図1から
図5を参照して、工作機械100は、制御装置71をさらに有する。
【0061】
制御装置71は、工作機械100を制御する。制御装置71は、工作機械100に備え付けられ、工作機械100における各種動作を制御するための制御盤である。
【0062】
制御装置71は、プログラム記憶部73と、プログラム実行部72と、ワーク主軸制御部74と、刃物台送り制御部75とを有する。
【0063】
プログラム記憶部73には、工作機械100の作業者によって作成されたワーク加工のための実行プログラム(数値制御プログラム)が記憶されている。プログラム記憶部73は、一例として、フラッシュメモリである。
【0064】
プログラム実行部72は、プログラム記憶部73に記憶された実行プログラムを実行する。より具体的には、プログラム実行部72は、実行プログラムの命令を読み取って、ワーク主軸制御部74および刃物台送り制御部75の各々に制御信号を出力する。ワーク主軸制御部74は、プログラム実行部72からの制御信号に従って、ワーク主軸11を回転させるためのワーク主軸モータ76を制御する。刃物台送り制御部75は、プログラム実行部72からの制御信号に従って、刃物台12をZ軸方向およびX軸方向に移動させるための刃物台送りモータ77を制御する。
【0065】
制御装置71は、アクチュエータ制御部79をさらに有する。アクチュエータ制御部79は、シリンダ63を制御する。
【0066】
アクチュエータ制御部79は、プログラム実行部72において実行される実行プログラムを参照することによって、刃物台12の位置を経時的に特定する。アクチュエータ制御部79は、気流発生部51により発生した気流が特定された各位置における刃物台12に向かうように、シリンダ63を制御する。
【0067】
より具体的には、アクチュエータ制御部79は、ノズル56の噴出口の延長線上に刃物台12が配置される場合のノズル56の角度を算出する。アクチュエータ制御部79は、ノズル56が算出された角度だけ傾くように、シリンダ63を制御する。これにより、ノズル56から送出された空気が刃物台12に向かうように、ノズル56の傾きを刃物台12の移動とともに変化させる。
【0068】
刃物台ベース14は、頂面14aを有してもよい。この場合に、頂面14aは、上下方向において、天井カバー24と対向している。特に本実施の形態では、ノズル56から送出された空気が刃物台ベース14に向かうように、ノズル56の傾きを刃物台12の移動とともに変化させる。ノズル56から送出された空気が刃物台ベース14の頂面14aに向かうように、ノズル56の傾きを刃物台12の移動とともに変化させる。
【0069】
このような構成により、ミストコレクタ31からの空気を加工エリア200内に戻すことによって、加工エリア200内にオイルミストを含む気流を発生させ、その気流を加工エリア200内で移動する刃物台12に衝突させることができる。これにより、気流に含まれるオイルミストの液化が促進されるため、オイルミストを効率的に回収することができる。また、加工エリア200内で発生させた気流を刃物台ベース14の頂面14aに衝突させることによって、頂面14aに堆積した切屑をより積極的に排除するという効果も奏される。
【0070】
なお、ノズル56から送出された空気がタレット13に向かうように、ノズル56の傾きを刃物台12の移動とともに変化させてもよい。
【0071】
また、Z軸方向に移動可能な対向ワーク主軸または心押し台を備える旋盤において、ノズルから送出された空気が対向ワーク主軸または心押し台に向かうように、ノズルの傾きを対向ワーク主軸または心押し台の移動とともに変化させてもよい。また、Z軸方向に移動可能な振れ止め装置を備える旋盤において、ノズルから送出された空気が振れ止め装置に向かうように、ノズルの傾きを振れ止め装置の移動とともに変化させてもよい。
【0072】
(実施の形態2)
図6から
図8は、この発明の実施の形態2における工作機械を模式的に示す図である。本実施の形態における工作機械と、実施の形態1における工作機械100とを比較した場合に重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0073】
図6から
図8を参照して、本実施の形態における工作機械300は、ワークに回転する工具を接触させることによってワーク加工を行ない、工具の回転軸方向が水平方向に平行なZ軸方向となる横形マシニングセンタである。
【0074】
図中には、Z軸に加えて、水平方向に平行で、かつ、Z軸に直交するX軸と、鉛直方向に平行なY軸とが示されている。
【0075】
工作機械300は、実施の形態1におけるカバー体21に替わって、カバー体221を有する。カバー体221は、加工エリア200を区画形成するとともに、工作機械300の外観をなしている。カバー体221は、天井カバー224(天井部)を有する。天井カバー224は、工作機械300の天井に配置されている。
【0076】
工作機械300は、テーブル235と、パレット230と、イケール240とをさらに有する。テーブル235、パレット230およびイケール240は、加工エリア200内に配置されている。
【0077】
テーブル235は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸方向(第1軸方向)に移動可能である。テーブル235には、パレット230が着脱可能に設けられている。
【0078】
パレット230上には、ワークを固定するためのイケール240が取り付けられている。イケール240は、パレット230上に立設されている。イケール240は、上下方向(Y軸方向)に長い直方体形状を有する。イケール240は、頂面240aを有する。頂面240aは、上下方向(Y軸方向)において、天井カバー224と対向している。頂面240aは、上下方向(Y軸方向)に直交する平面からなる。パレット230およびイケール240は、テーブル235とともに、Z軸方向に移動可能である。
【0079】
なお、テーブル235、パレット230およびイケール240の移動方向は、X軸方向であってもよい。
【0080】
加工エリア200内には、Z軸方向に平行な回転軸を中心に工具を回転させるための工具主軸(不図示)がさらに設けられている。工具主軸は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、X軸方向およびY軸方向に移動可能である。
【0081】
工作機械300は、実施の形態1における気流発生部51に替わって、気流発生部251をさらに有する。気流発生部251は、加工エリア200内にミストを含む気流を発生させる。
【0082】
気流発生部251は、送風口263(送出部)を有する。送風口263は、後出のファンケース262に設けられ、空気を送出可能な噴き出し口からなる。送風口263は、加工エリア200内に設けられている。送風口263は、イケール240よりも上方に設けられている。
【0083】
気流発生部251は、送風装置261を有する。送風装置261は、加工エリア200内に設けられている。送風装置261は、ファン267と、ファンケース262と、モータ266とを有する。ファンケース262は、ファン267を収容する筐体からなる。モータ266の出力軸は、ファン267に接続されている。
【0084】
モータ266の駆動時、モータ266の出力軸から出力された回転がファン267に伝達されることによって、ファン267が回転する。ファンケース262には、ファン267の回転に伴って空気を送出するための開口部が設けられている。送風口263は、ファンケース262に設けられた開口部により構成されている。
【0085】
送風口263は、加工エリア200内において送風装置261から供給される空気を送出する。送風口263から空気が送出されることによって、加工エリア200内にオイルミストを含む気流が発生する。
【0086】
送風口263は、下方(-Y軸方向)を向いて開口している。送風口263から加工エリア200内への空気の送出方向は、-Y軸方向であり、加工エリア200内には、-Y軸方向に流れる気流が発生する。加工エリア200内に発生する気流の方向は、イケール240の頂面240aと直交する。送風口263は、X軸方向において、イケール240(テーブル235)と同一座標上に設けられている。
【0087】
工作機械300は、実施の形態1における駆動部61に替わって、駆動部271を有する。駆動部271は、送風口263を動作させ、気流発生部251により発生した気流がイケール240に向かうように、送風口263からの空気の送出位置を変化させる。駆動部271は、送風口263をイケール240の移動方向であるZ軸方向に移動させることにより、送風口263からの空気の送出位置を変化させる。特に本実施の形態では、駆動部271が、気流発生部251により発生した気流がイケール240の頂面240aに向かうように、送風口263からの空気の送出位置を変化させる。
【0088】
駆動部271は、ラック273と、スライダー274と、モータ272とを有する。ラック273は、天井カバー224に取り付けられている。ラック273は、Z軸方向に延びている。スライダー274は、送風装置261(ファンケース262)に接続されている。スライダー274には、モータ272の出力軸に接続され、ラック273と係合するピニオン(不図示)が設けられている。モータ272からの回転を受けたピニオンが正方向または逆方向に回転することによって、送風装置261が、スライダー274とともに、+Z軸方向または-Z軸方向に移動する。
【0089】
図9は、
図6から
図8中の送風装置を移動させるための制御系を示すブロック図である。
図6から
図9を参照して、本実施の形態では、プログラム実行部72が、プログラム記憶部73に記憶された実行プログラムの命令を読み取って、工具主軸制御部81およびテーブル送り制御部82の各々に制御信号を出力する。工具主軸制御部81は、プログラム実行部72からの制御信号に従って、工具主軸を回転させるための工具主軸モータ83と、工具主軸をX軸方向およびY軸方向に移動させるための工具主軸送りモータ84とを制御する。テーブル送り制御部82は、プログラム実行部72からの制御信号に従って、テーブル235をZ軸方向に移動させるためのテーブル送りモータ85を制御する。
【0090】
アクチュエータ制御部79は、モータ272を制御する。アクチュエータ制御部79は、プログラム実行部72において実行される実行プログラムを参照することによって、イケール240の位置(テーブル235のZ軸座標)を経時的に特定する。アクチュエータ制御部79は、気流発生部251により発生した気流が特定された各位置におけるイケール240に向かうように、モータ272を制御する。
【0091】
より具体的には、アクチュエータ制御部79は、送風口263が、イケール240(テーブル235)が位置するZ軸座標に配置されるように、モータ272を制御する。これにより、送風口263から送出された空気がイケール240の頂面240aに向かうように、送風装置261の位置をイケール240の移動とともに変化させる。
【0092】
このような構成によれば、送風装置261の送風口263からの送風によって、加工エリア200内にオイルミストを含む気流を発生させ、その気流を加工エリア200内で移動するイケール240の頂面240aに衝突させることができる。これにより、気流に含まれるオイルミストの液化が促進されるため、オイルミストを効率的に回収することができる。
【0093】
また、本実施の形態では、送風口263およびイケール240の頂面240aの位置関係が一定であるため、安定的にオイルミストを液化させることができる。また、加工エリア200内に発生する気流の方向がイケール240の頂面240aと直交するため、オイルミストを含む気流をイケール240の頂面240aに真正面から衝突させることができる。これにより、オイルミストの液化をさらに促進させることができる。
【0094】
このように構成された、この発明の実施の形態2における工作機械300によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0095】
なお、送風口263から送出された空気がイケール240の側面に向かうように、送風装置261の位置をイケール240の移動とともに変化させてもよい。また、送風口から送出された空気が、パレット、テーブルまたは工具主軸に向かうように、送風装置の位置を、パレット、テーブルまたは工具主軸の移動とともに変化させてもよい。
【0096】
(実施の形態3)
図10から
図12は、この発明の実施の形態3における工作機械を模式的に示す図である。本実施の形態における工作機械は、実施の形態2における工作機械300と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0097】
図10から
図12を参照して、本実施の形態における工作機械400は、実施の形態2における工作機械300と同様に、横形マシニングセンタである。
【0098】
本実施の形態では、送風口263にルーバ264が設けられている。ルーバ264は、互いに間隔を隔てて配置される複数枚の羽根から構成されている。ルーバ264は、ファンケース262により回動可能に支持されている。
【0099】
送風装置261は、カバー体21に対して固定される固定式である。工作機械400は、実施の形態2における駆動部271に替わって、駆動部281を有する。駆動部281は、送風口263(ルーバ264)を動作させ、気流発生部251により発生した気流がイケール240に向かうように、送風口263からの空気の送出方向を変化させる。
【0100】
駆動部281は、モータ282を有する。モータ282の出力軸は、リンク機構等の運動変換機構を介してルーバ264に接続されている。モータ282の出力軸から出力された回転運動が、リンク機構等の運動変換機構を介してルーバ264に伝達されることによって、ルーバ264が回動する。
【0101】
図13は、
図10から
図12中のルーバを回動させるための制御系を示すブロック図である。
図10から
図13を参照して、アクチュエータ制御部79は、モータ282を制御する。アクチュエータ制御部79は、プログラム実行部72において実行される実行プログラムを参照することによって、イケール240の位置(テーブル235のZ軸座標)を経時的に特定する。アクチュエータ制御部79は、気流発生部251により発生した気流が特定された各位置におけるイケール240に向かうように、モータ282を制御する。
【0102】
より具体的には、アクチュエータ制御部79は、ルーバ264を構成する複数枚の羽根の延長上にイケール240が配置される場合のルーバ264の角度を算出する。アクチュエータ制御部79は、ルーバ264が算出された角度だけ傾くように、モータ282を制御する。これにより、送風口263から送出された空気がイケール240に向かうように、ルーバ264の傾きをイケール240の移動とともに変化させる。
【0103】
このような構成において、気流発生部251は、イケール240の移動に伴って送風口263およびイケール240の間の距離が減少する場合に、加工エリア200内に気流を発生させてもよい。
【0104】
より具体的に説明すると、
図10に示されるように、イケール240がZ軸方向における中間ポジションにあるとき、送風口263およびイケール240の間の距離がLaであり、
図11に示されるように、イケール240がZ軸方向における一端ポジションにあるとき、送風口263およびイケール240の間の距離がLaよりも大きいLbであり、
図12に示されるように、イケール240がZ軸方向における他端ポジションにあるとき、送風口263およびイケール240の間の距離がLaよりも大きいLcである。アクチュエータ制御部79は、イケール240(テーブル235)が、
図11に示される一端ポジションまたは
図12に示される他端ポジションから、
図10に示される中間ポジションに向けて移動する場合に、送風装置261におけるモータ266が駆動し、イケール240(テーブル235)が、
図10に示される中間ポジションから、
図11に示される一端ポジションまたは
図12に示される他端ポジションに向けて移動する場合に、送風装置261におけるモータ266が停止するように、モータ266を制御してもよい。
【0105】
このような構成によれば、オイルミストを含む気流とイケール240との衝突速度が増大するタイミングで、加工エリア200内に気流を発生させる。これにより、送風装置261で消費されるエネルギーを抑制しつつ、オイルミストを効率的に液化することができる。
【0106】
このように構成された、この発明の実施の形態3における工作機械400によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0107】
なお、本発明における工作機械は、上記の旋盤および横形マシニングセンタに限られず、たとえば、立形マシニングセンタ、旋削機能と、ミーリング機能とを有する複合加工機、または、ワークの付加加工(AM(Additive manufacturing)加工)と、ワークの除去加工(SM(Subtractive manufacturing)加工)とが可能なAM/SMハイブリッド加工機等にも適用可能である。
【0108】
本発明における工作機械が複合加工機に適用される場合に、移動体は、水平方向に平行であり、かつ、ワーク主軸の回転軸に平行であるZ軸方向(第1軸方向)と、水平方向に平行であり、かつ、Z軸方向に直交するY軸方向(第2軸方向)と、鉛直方向に平行であるX軸方向(第3軸方向)とに移動可能な工具主軸であってもよい。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
この発明は、主に、クーラントを用いてワーク加工を行なう工作機械に適用される。
【符号の説明】
【0111】
11 ワーク主軸、12 刃物台、13 タレット、14 刃物台ベース、14a,240a 頂面、21,221 カバー体、22 第1サイドカバー、23 第2サイドカバー、24,224 天井カバー、25 扉部、26 開口部、28 操作パネル、31 ミストコレクタ、32 吸気ダクト、33 支持脚、34 吸気口、36 ケース体、37 排気口、38 排気ダクト、41,261 送風装置、42,266,272,282 モータ、43,267 ファン、44 フィルタ、51,251 気流発生部、56 ノズル、61,271,281 駆動部、62 回動部、63 シリンダ、64 ベース台、71 制御装置、72 プログラム実行部、73 プログラム記憶部、74 ワーク主軸制御部、75 刃物台送り制御部、76 ワーク主軸モータ、77 刃物台送りモータ、79 アクチュエータ制御部、81 工具主軸制御部、82 テーブル送り制御部、83 工具主軸モータ、84 工具主軸送りモータ、85 テーブル送りモータ、100,300,400 工作機械、101 中心軸、200 加工エリア、210 回転中心軸、220 旋回中心軸、230 パレット、235 テーブル、240 イケール、262 ファンケース、263 送風口、264 ルーバ、273 ラック、274 スライダー。
【手続補正書】
【提出日】2021-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工エリアを区画形成するカバー体と、
前記加工エリア内に設けられ、水平方向に平行な第1軸と、前記第1軸と直交する第2軸と、前記第1軸および前記第2軸と直交する第3軸とのうちの少なくとも1つの軸の軸方向に移動可能な移動体と、
空気を送出する送出部を含み、前記加工エリア内にミストを含む気流を発生させる気流発生部と、
前記送出部を動作させ、前記気流発生部により発生した気流が前記移動体に向かうように、前記送出部からの空気の送出方向または送出位置を変化させる駆動部とを備え、
前記移動体は、前記送出部および前記移動体の間の距離が変化するように移動し、
前記気流発生部は、前記移動体の移動に伴って前記送出部および前記移動体の間の距離が減少する場合に、前記加工エリア内に気流を発生させ、前記移動体の移動に伴って前記送出部および前記移動体の間の距離が増大する場合に、気流の発生を停止させる、工作機械。
【請求項2】
前記気流発生部は、前記加工エリア内の空気を吸引し、空気中のミストを捕集するミストコレクタをさらに含み、
前記送出部は、前記ミストコレクタから排出される空気を前記加工エリア内に送出する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記気流発生部は、送風装置をさらに含み、
前記送出部は、前記加工エリア内において前記送風装置から供給される空気を送出する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
前記駆動部は、前記送出部を回動させることにより、前記送出部からの空気の送出方向を変化させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記駆動部は、前記送出部を前記移動体の移動方向に移動させることによって、前記送出部からの空気の送出位置を変化させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記カバー体は、天井部を含み、
前記送出部は、前記天井部に設けられる、請求項1から5のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記移動体は、平面状の表面を含み、
前記駆動部は、気流の方向が前記表面と直交するように、前記送出部を動作させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項8】
前記移動体は、刃物台、工具主軸、ワーク主軸、テーブル、パレット、イケール、ワーク振れ止め装置、または、心押し台である、請求項1から7のいずれか1項に記載の工作機械。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この発明の1つの局面に従った工作機械は、加工エリアを区画形成するカバー体と、加工エリア内に設けられ、水平方向に平行な第1軸と、第1軸と直交する第2軸と、第1軸および第2軸と直交する第3軸とのうちの少なくとも1つの軸の軸方向に移動可能な移動体と、空気を送出する送出部を含み、加工エリア内にミストを含む気流を発生させる気流発生部と、送出部を動作させ、気流発生部により発生した気流が移動体に向かうように、送出部からの空気の送出方向または送出位置を変化させる駆動部とを備える。移動体は、送出部および移動体の間の距離が変化するように移動する。気流発生部は、移動体の移動に伴って送出部および移動体の間の距離が減少する場合に、加工エリア内に気流を発生させ、移動体の移動に伴って送出部および移動体の間の距離が増大する場合に、気流の発生を停止させる。
この発明の別の局面に従った工作機械は、加工エリアを区画形成するカバー体と、加工エリア内に設けられ、水平方向に平行な第1軸と、第1軸と直交する第2軸と、第1軸および第2軸と直交する第3軸とのうちの少なくとも1つの軸の軸方向に移動可能な移動体と、空気を送出する送出部を含み、加工エリア内にミストを含む気流を発生させる気流発生部と、送出部を動作させ、気流発生部により発生した気流が移動体に向かうように、送出部からの空気の送出方向または送出位置を変化させる駆動部とを備える。