(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049983
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】スパイラルコンベアおよびフィルターユニット
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B23Q11/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156313
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000220457
【氏名又は名称】東京精密発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】前田 高明
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 芳雄
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011BB27
3C011BB34
(57)【要約】
【課題】目詰まりを起こすことなく効率的に切屑を搬送することができるスパイラルコンベアを提供する。
【解決手段】
スパイラルコンベア10のトレイ2と排出ダクト6の間に連結されたフィルターユニット20は、搬送スパイラル2の外周に近接した位置に固定される一次フィルター(パンチングメタル37)と、搬送スパイラルおよび一次フィルターの外側で回転する二次フィルター(メッシュフィルター43)と、二次フィルターに洗浄液を吹き付ける洗浄ノズル50とを有する。一次フィルターに捕捉された切屑は回転する搬送スパイラルによって掻き取られて搬送路に戻され、一次フィルターを通過して二次フィルターに捕捉された切屑は洗浄ノズルによって除去されて搬送路に戻される。洗浄ノズルから所定角度で吹き付けられた洗浄液が、二次フィルターの外周に設けた羽根板46に衝突することにより、二次フィルターに回転力を与えることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削機械からの切屑および切削液が投下されるトレイと、切屑を排出する排出ダクトと、トレイと排出ダクトの間に連結されるフィルターユニットと、トレイおよびフィルターユニットの内部に設けられて所定方向に回転することにより切屑を所定方向に搬送する搬送スパイラルと、トレイおよびフィルターユニットから落下する切削液を収容する切削液タンクと、を備えたスパイラルコンベアにおいて、該フィルターユニットは、搬送スパイラルの外周に近接した位置に固定される一次フィルターと、搬送スパイラルおよび一次フィルターの外側で回転する二次フィルターと、二次フィルターに洗浄剤を吹き付ける洗浄ノズルと、を有し、一次フィルターに捕捉された切屑は回転する搬送スパイラルによって掻き取られて搬送路に戻され、一次フィルターを通過して二次フィルターに捕捉された切屑は洗浄ノズルによって除去されて搬送路に戻されることを特徴とするスパイラルコンベア。
【請求項2】
一次フィルターは二次フィルターより目が粗いものであることを特徴とする、請求項1記載のスパイラルコンベア。
【請求項3】
一次フィルターはパンチングメタルであり、二次フィルターは100~200メッシュの網であることを特徴とする、請求項2記載のスパイラルコンベア。
【請求項4】
一次フィルターは、2枚のフィルターが搬送スパイラルの外周との間にわずかな隙間を隔てた位置に対向して配置されてなることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか記載のスパイラルコンベア。
【請求項5】
二次フィルターは、複数枚のフィルターがリング状の回転板に固着され、該回転板の内周縁に当接する複数個の自由回転ロールが設けられることにより回転可能とされることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか記載のスパイラルコンベア。
【請求項6】
洗浄ノズルから吹き付けられる洗浄剤を受けて二次フィルターを所定方向に回転させるための羽根板が二次フィルターの外周に設けられることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか記載のスパイラルコンベア。
【請求項7】
洗浄ノズルは二次フィルターの略直上に配置され、略最上位置の二次フィルターに向けて斜め下方に洗浄剤を吹き付けることを特徴とする、請求項6記載のスパイラルコンベア。
【請求項8】
フィルターユニットがトレイの出口に連続して一体に形成されることを特徴とする、請求項1ないし7記載のスパイラルコンベア。
【請求項9】
請求項1ないし7記載のスパイラルコンベアにおいて、トレイの出口と排出ダクトの入口との間に別体として設置されるフィルターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削加工により生じた切屑を搬送するに適したスパイラルコンベアおよび該スパイラルコンベアに設けられるフィルターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアの一種として公知であるスパイラルコンベア1は、特許文献1、非特許文献1および
図5に示すように、一例として、トレイ2に収容したコイルスプリング状の搬送スパイラル3を減速機付モータ4で所定方向に低速回転することにより、トレイ2に投入した切屑5をトレイ2内で所定方向に搬送し、トレイ2の出口に接続した排出ダクト6へと排出するように構成されている。切屑5と共にトレイ2に入り込む切削液7は、トレイ2内の搬送途中で、トレイ2の下方に設けた切削液タンク8に回収される。
【0003】
このような構造を有するスパイラルコンベアは、大きく膨張した長鎖状の連続切屑から針状の微細切屑まで多種多様な形状・寸法・材質であっても比較的スムーズに搬送できること、構造が簡単であり低コストで製造・提供可能であること、多種・多数の工作機械を連結する加工システムにおいて切屑の長距離搬送が可能であること、切屑に付着した切削液を効率的に分離回収できることなどから、多くの工作機械に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.to-hatsu.co.jp/products/sc_built.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のスパイラルコンベア1では、トレイ2として
図6に示すような形状が採用されている。すなわち、トレイ2は、搬送スパイラル3を収容する湾曲底面部2aを有すると共に、その両側を斜め上方に向けて延長させて傾斜部2b,2bを形成している。傾斜部2b,2bは、その上に落下した切屑5を自重で搬送スパイラル3による搬送部に向けてスムーズに移行させる案内板としての役割を果たすと同時に、これをパンチングメタルで形成することによりフィルターの機能を持たせている。切削液7はパンチングメタルの開口を通って落下して切削液タンク8に回収される。
【0007】
しかしながら、このような従来のフィルターは目詰まりを起こしやすいものであった。特に、比較的軽量なアルミ素材の切屑5が傾斜部2b,2bに落下すると、自重で搬送部に向けて落下することができずにそのまま堆積してしまい、目詰まりを起こしやすいという問題があった。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記の背景に鑑みて、あらゆる素材や形状の切屑であっても目詰まりを起こしにくいフィルター機能を備えたスパイラルコンベアを提供することである。本発明が解決しようとするもう一つの課題は、既存のスパイラルコンベアに容易に後付け設置可能なフィルターユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、切削機械からの切屑および切削液が投下されるトレイと、切屑を排出する排出ダクトと、トレイと排出ダクトの間に連結されるフィルターユニットと、トレイおよびフィルターユニットの内部に設けられて所定方向に回転することにより切屑を所定方向に搬送する搬送スパイラルと、トレイおよびフィルターユニットから落下する切削液を収容する切削液タンクと、を備えたスパイラルコンベアにおいて、該フィルターユニットは、搬送スパイラルの外周に近接した位置に固定される一次フィルターと、搬送スパイラルおよび一次フィルターの外側で回転する二次フィルターと、二次フィルターに洗浄剤を吹き付ける洗浄ノズルと、を有し、一次フィルターに捕捉された切屑は回転する搬送スパイラルによって掻き取られて搬送路に戻され、一次フィルターを通過して二次フィルターに捕捉された切屑は洗浄ノズルによって除去されて搬送路に戻されることを特徴とするスパイラルコンベアである。
【0010】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載のスパイラルコンベアにおいて、一次フィルターは二次フィルターより目が粗いものであることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3に係る発明は、請求項2記載のスパイラルコンベアにおいて、一次フィルターはパンチングメタルであり、二次フィルターは100~200メッシュの網であることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか記載のスパイラルコンベアにおいて、一次フィルターは、2枚のフィルターが搬送スパイラルの外周との間にわずかな隙間を隔てた位置に対向して配置されてなることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか記載のスパイラルコンベアにおいて、二次フィルターは、複数枚のフィルターがリング状の回転板に固着され、該回転板の内周縁に当接する複数個の自由回転ロールが設けられることにより回転可能とされることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか記載のスパイラルコンベアにおいて、洗浄ノズルから吹き付けられる洗浄剤を受けて二次フィルターを所定方向に回転させるための羽根板が二次フィルターの外周に設けられることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項7に係る発明は、請求項6記載のスパイラルコンベアにおいて、洗浄ノズルは二次フィルターの略直上に配置され、略最上位置の二次フィルターに向けて斜め下方に洗浄剤を吹き付けることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項8に係る発明は、請求項1ないし7記載のスパイラルコンベアにおいて、フィルターユニットがトレイの出口に連続して一体に形成されることを特徴とする。
【0017】
本願の請求項9に係る発明は、請求項1ないし7記載のスパイラルコンベアにおいて、トレイの出口と排出ダクトの入口との間に別体として設置されるフィルターユニットである。
【発明の効果】
【0018】
本願の請求項1に係る発明によれば、一次フィルターと二次フィルターの組合せによるフィルターユニットがトレイと排出ダクトとの間に連結されることにより、トレイに投入された切屑をフィルターに目詰まりさせることなく、スムーズに搬送スパイラルによって排出ダクトへと搬送させることができる。一次フィルターに捕捉された切屑は回転する搬送スパイラルによって掻き取られて搬送路に戻され、一次フィルターを通過して二次フィルターに捕捉された切屑は洗浄ノズルによって除去されて搬送路に戻されるので、いずれも目詰まりを起こすことがない。
【0019】
本願の請求項2に係る発明によれば、トレイに投入された切屑のうち、一次フィルターを通過することができない比較的大きい切屑が一次フィルターに捕捉され、一次フィルターを通過する比較的小さい切屑が二次フィルターに捕捉されるので、切屑の大きさに応じて順次に篩い分けすることができる。
【0020】
本願の請求項3に係る発明によれば、一次フィルターおよび二次フィルターについての好適な材例が提供される。パンチングメタルもメッシュフィルターも広く市販されており、安価且つ容易に入手可能である。
【0021】
本願の請求項4に係る発明によれば、一次フィルターについての好適な設計例が提供される。搬送スパイラルの外周との間にわずかな隙間を隔てた位置に対向して配置される2枚のフィルターは、該位置に垂立するように設けられたもの(
図3参照)であっても、あるいは、搬送スパイラルの外周に沿って円弧状に設けられたもの(
図4参照)であっても良い。
【0022】
本願の請求項5に係る発明によれば、二次フィルターを回転可能にするための好適な設計例が提供される。リング状の回転板は、その内周縁が自由回転ロールによって回転可能に支持され、該回転板に固着された二次フィルターは回転板と一体に回転する。
【0023】
本願の請求項6に係る発明によれば、二次フィルターを回転させるための好適な設計例が提供される。二次フィルターは、その外周に設けられた羽根板に洗浄ノズルからの洗浄剤が吹き付けられて衝突することによって得られる回転エネルギーで自動的に回転するので、モータなどの回転駆動源を必要としない。
【0024】
本願の請求項7に係る発明によれば、二次フィルターの略直上に配置された洗浄ノズルから、略最上位置の二次フィルターに向けて斜め下方に洗浄剤を吹き付けて羽根板に衝突させるので、その吹付方向によって二次フィルターを常に所定の一方向に回転させることができる。また、二次フィルターに捕捉された比較的小さい切屑を、洗浄ノズルから吹き付けられる洗浄剤による洗浄作用と共に、その自重も利用してスムーズに除去落下させることができるので、目詰まり防止により効果的である。
【0025】
本願の請求項8に係る発明によれば、フィルターユニットがトレイの出口に連続して一体に形成されるので、フィルターユニットが当初から一体に組み込まれたスパイラルコンベアとして新規に製造する場合に有効である。
【0026】
本願の請求項9に係る発明によれば、トレイの出口に排出ダクトが連結された従来構造の既存スパイラルコンベア(
図5)に後付けで組み込むことが可能であり、これにより既存スパイラルコンベアに対して付加価値を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態(実施例1)によるスパイラルコンベアの全体側面図である。
【
図2】このスパイラルコンベアにおいてトレイと排出ダクトとの間に設置されるフィルターユニットの側面図(手前側の二次フィルターは図示省略)である。
【
図3】このフィルターユニットの
図2A-A切断線による断面図である。
【
図4】本発明の他実施形態(実施例2)によるフィルターユニットの
図3と同様の断面図である。
【
図5】従来技術によるスパイラルコンベアの全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明によるスパイラルコンベアおよびフィルターユニットについて詳述する。
【実施例0029】
本発明の一実施形態(実施例1)によるスパイラルコンベアについて、
図1ないし
図3を参照して説明する。このスパイラルコンベア10は、
図1のスパイラルコンベア1と同様の基本構造を有し、その基本的な動作ないし作用も
図1について既述したと同様であって、
図1のスパイラルコンベア1と同一または対応する部材・要素には同一の符号が付されているが、トレイ2と排出ダクト6の間にフィルターユニット20が配置されている点で大きく相違している。搬送スパイラル3は、トレイ2およびフィルターユニット20を通過し、さらに排出ダクト6の途中(フィルターユニット20に隣接する水平部分)まで入り込む長さに設けられており、フィルターユニット20内において、トレイ2と実質的に連続して延長するように延長トレイ21が設けられている。
【0030】
この実施形態に示されるフィルターユニット20は、切削液タンク8の開放面を部分的に閉塞するように幅方向(
図1紙面鉛直方向)に延長する閉塞板(図示せず)上においてトレイ2の出口端にボルトなどで固定されるトレイ側固定板22と、同じく切削液タンク8の閉塞板上において排出ダクト6の入口端にボルトなどで固定されるダクト側固定板23とにより、トレイ2と排出ダクト6との間に設置されている。
【0031】
トレイ側固定板22とダクト側固定板23の間に一次フィルター構造体30が設けられている。この実施形態において、一次フィルター構造体30は、トレイ側固定板22の内面にボルト(図示省略)などによって固定されるトレイ側垂直板31(ダクト側垂直板32より大きな高さを有する)と、ダクト側固定板22の内面にボルト(図示省略)などによって固定されるダクト側垂直板32と、これら垂直板間に架け渡されて溶接される断面コ字状のフィルター枠33と、フィルター枠33の内側にスペーサ34を介してボルト35(
図3には上端を固定するボルト35のみが示されており、
図2ではボルト35は図示省略されているがこのボルト35を通すボルト挿通孔36が示されている)で固定されるパンチングメタル37と、を有する。
【0032】
フィルター枠33の側面中央部は大きく開口されていて、パンチングメタル37を通過した小さな切屑(スラッジ)がスムーズにフィルター枠33の外側に移動することを許容している。この実施形態ではフィルター枠33の側面に2つの開口38が並列して形成されている)が、これらを連続させて一つの開口38としても良いし、その形状も矩形に限らず円形や楕円形などであっても良い。
【0033】
パンチングメタル37は、フィルター枠33の側面と略同一の外形状および外寸法を有し、上記のようにフィルター枠33の外縁部でその内面にボルト35で固定されており、この固定状態において、フィルターユニット20の内部を通って延長する搬送スパイラル3の搬送方向両側にわずかな隙間を残して垂立するように一対が対向配置されている(
図3)。一例として、パンチングメタル37には、ステンレススチール板に5mmピッチで3mm径の円形穴が略全面に亘って多数形成されたものが用いられるが、ピッチや穴の径、形状などは、搬送する切屑5の大きさや形状に応じて適宜設定される。穴の形状は、円形の丸穴のほか、長穴やスリットなどであっても良い。
【0034】
延長トレイ21による搬送領域および一次フィルター構造体30を取り巻くように二次フィルター構造体40が設けられている。この実施形態において、二次フィルター構造体40は、一次フィルター構造体30のトレイ側垂直板31およびダクト側垂直板32の各々について120度の等間隔位置に固着した軸(符号なし)の回りを自由回転する3個のフリーロール41と、このフリールール41に支持される内周縁42aを有するリング状の回転板42(前後一対)と、前後の回転板42,42間に固着される略円筒状のメッシュフィルター43と、を有する。
【0035】
この実施形態では、半周ごとに4枚のメッシュフィルター43を隣接間の角度が144度になるようにしてビス44で連結して2つの半周フィルターを形成し、これらをボルト45で連結して正八角形状のメッシュフィルター43としているが、これに限定されるものではない。単一部材で完全な円筒状のメッシュフィルター43を形成しても良いし、八角形以外の多角形にしても良い。
【0036】
メッシュフィルター43は、一次フィルター構造体30のパンチングメタル37より細かい目を有するものであり、一例として、100~200メッシュ(75~150μm)のステンレスメッシュフィルターが用いられる。メッシュフィルター43の外周には、後述する洗浄ノズルから噴射される洗浄剤を受けて回転板42を回転させる力に変換するための羽根板46が適宜位置に適宜間隔で突出形成されている。
【0037】
二次フィルター構造体40の略直上位置に洗浄ノズル50が設けられている。洗浄ノズル50は、一次フィルター構造体30においてフィルター枠33を超えて延長しているトレイ側垂直板31の上端近くに形成された貫通穴39を通る洗浄剤パイプ51に通じており、洗浄剤パイプ51に供給される洗浄剤52を、二次フィルター構造体40の最上方位置に位置するメッシュフィルター43に向けて所定角度で吹き付けるように設けられている。洗浄剤52には、切削液タンク8に回収された切削液7を再利用することができ、このための循環路を形成して洗浄剤パイプ51にポンプ圧送するような構成を採用しても良い。
【0038】
以上のように構成されたフィルターユニット20の動作ないし作用について説明する。切削液7と共にトレイ2に投入された切屑5は、搬送スパイラル3によって
図1右方向に搬送される。この搬送途中で分離された切削液7は切削液タンク8に落下して回収される。切屑7がトレイ2の出口からフィルターユニット20内に移送されると、一次フィルター構造体30のパンチングメタル37および二次フィルター構造体40のメッシュフィルター43によって順次に処理される
【0039】
すなわち、搬送スパイラル3に絡み付いた状態でフィルターユニット20内に移送されてきた切屑は、搬送スパイラル3の外周との間にわずかな隙間を隔てて配置されたパンチングメタル37に接触する。比較的大きな切り傷5Aは、パンチングメタル37の目を通過することができず、回転する搬送スパイラル3がパンチングメタル37に接触することにより強制的に掻き落とされて内部に戻され、搬送スパイラル3によって排出ダクト6に向けてさらに搬送される。比較的小さな切屑(スラッジなど)5Bはパンチングメタル37を通過して、一次フィルター構造体30の外側に放出される。
【0040】
パンチングメタル37を通過して一次フィルター構造体30の外側に放出された比較的小さい切屑5Bは、次いで、一次フィルター構造体30の外側に配置されている二次フィルター構造体40のメッシュフィルター43による処理を受ける。
【0041】
すなわち、パンチングメタル37を通過した比較的小さい切屑5Bは、自重で落下し、下方に位置しているメッシュフィルター43によって固液分離される。該切屑5Bに付着していた切削液7はここで分離されて、下方に設置されている切削液タンク8に回収される。
【0042】
一方、メッシュフィルター43を通過できない大きさの切屑5Bは、該下方のメッシュフィルター43に捕捉されるが、二次フィルター構造体40の回転板42およびメッシュフィルター43は、洗浄ノズル50から噴出される洗浄剤52が最上位置のメッシュフィルター43の外周に設けられた羽根板46に衝突することによって常に所定方向(
図3では洗浄ノズル50から洗浄剤52が左斜め下方向に噴出するように設けられているので、同図に矢印47で示される反時計方向)に回転しているので、この回転に伴い、下方位置のメッシュフィルター(ここに比較的小さい切屑5Bが捕捉されている)が徐々に上方に移動していく。
図3に矢印5Bとして示されるように、該メッシュフィルターに捕捉された比較的小さい切屑5Bの一部はこの間に自重で落下し、自重で落下しなかった切屑5Bも、該メッシュフィルター43が最上位置に達して洗浄ノズル50から洗浄剤52が吹き付けられることによって該メッシュフィルター43から離脱して自重で落下して、搬送スパイラル3によって排出ダクト6に向けてさらに搬送される。
【0043】
以上に詳細に説明したように、搬送スパイラル3に絡み付いた切屑5は、比較的大きい切屑5Aは、一次フィルター構造体30のパンチングメタル37を通過できずに描き取られて搬送スパイラル3から分離されると共に搬送スパイラル3による搬送経路に戻され、一次フィルター構造体30のパンチングメタル37を通過した比較的小さい切屑5Bは二次フィルター構造体40のメッシュフィルター43に捕捉された後に上方に移動する間に落下して搬送スパイラル3による搬送経路に戻される。したがって、比較的大きい切屑5Aも比較的小さい切屑5Bも、スムーズに排出ダクト6に向けて搬送することができる。
【0044】
さらに、一次フィルター構造体30のパンチングメタル37は搬送スパイラル3の外周に近接した位置に設けられるので、ここに一時的に切屑5Aの詰まりが生じたとしても、すぐに搬送スパイラル3の外周に接触して掻き落とされるので、一時的に生じた目詰まりも短時間で解消させることができる。また、二次フィルター構造体40のメッシュフィルター43は常に回転しながら、その最上位置に到達したときに洗浄ノズル50からの洗浄剤52で洗浄されるので、メッシュフィルター43に捕捉された比較的小さい切屑5Bも、最大半回転ごとに分離させて目詰まりを解消させることができる。したがって、パンチングメタル37およびメッシュフィルター43のいずれについても、深刻な目詰まりは生じない。
前者の相違点は、回転する搬送スパイラル3に絡み付いた比較的長い切屑5Aがパンチングメタル37に接触して掻き取られる領域がより長くなると共に、パンチングメタル37の目詰まりをより効果的に解消させることに寄与する。また、後者の相違点は、二次フィルター構造体40のメッシュフィルター43に捕捉された比較的小さい切屑5Bが、該メッシュフィルター43が上方に移動する間に落下したときに、これを搬送スパイラル3による搬送経路によりスムーズに戻すことに寄与する。
以上に本発明を図示実施形態に基づいて詳述したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて解釈される発明の範囲内において多種多様に変形ないし変更して実施することができる。
たとえば、図示実施形態に係るスパイラルコンベア10は、中心軸を持たない中空の搬送スパイラル3を有するタイプのものであるが、本発明は、中心軸を持った搬送スパイラルを有するタイプのスパイラルコンベアにも適用可能である。
また、図示実施形態に係るスパイラルコンベア10は、フィルターユニット20の出口に搬出ダクト6を接続して切屑5を斜め上方に移送させるようにしているが、このような搬出ダクト(リフトアップダクト)を持たないスパイラルコンベアにも、本発明は適用可能である。
また、トレイ2として、特許文献1に示すように、アウタートレイとインナートレイの間に制振材を介挿したものを用いたスパイラルコンベアに本発明を適用することが可能であり、これにより制振効果を発揮させることができる。
また、図示実施形態では、洗浄ノズル50から洗浄剤として切削液7を二次フィルター(メッシュフィルター43)に吹き付けて目詰まりを解消させているが、洗浄ノズル50から空気を吹き付けても良い。
また、図示実施形態では、洗浄ノズル50からの洗浄剤を二次フィルター(メッシュフィルター43)に対して斜め下向きに噴射して羽根板46に衝突させることによって二次フィルターに回転力を与えるようにしているので、モータなどの回転駆動源を設けずに二次フィルターを回転させることができ、装置構成の簡素化・小型化およびコストダウンを図ることができる利点があるが、洗浄ノズル50から真直ぐ下向きに洗浄剤を噴射するようにしても良い。この場合は、二次フィルターを回転させるための駆動源を必要とするが、羽根板46を設ける必要がなく、また、二次フィルターに捕捉された比較的小さい切屑5Bを離脱・落下させる作用をより効果的に発揮させることができる利点がある。