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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049995
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】日除け用シート
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A01G13/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156334
(22)【出願日】2020-09-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】508056800
【氏名又は名称】株式会社ロスフィー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保 照光
(72)【発明者】
【氏名】保 栄美子
(72)【発明者】
【氏名】保 清人
【テーマコード(参考)】
2B024
【Fターム(参考)】
2B024DA01
2B024DA03
2B024DB01
2B024DB03
2B024DB04
2B024DB10
(57)【要約】
【課題】新規な日除け用シートを提供すること。
【解決手段】第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15が、複数組互いに離間して第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15を画成するV字の2辺の2つの角部20,21が前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って整列し、
第1の組の対向する2つのV字よりも小さい、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みが34,35、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15の間に交互に配置されるように、複数組互いに離間して前記第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35を画成する2辺の2つの角部34,35が、前記第2の方向に沿って整列している、日除け用シート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組の対向する2つのV字の切れ込みが、複数組互いに離間して第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って整列し、
第1の組の対向する2つのV字の切れ込みよりも小さい、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みが、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの間に交互に配置されるように、複数組互いに離間して前記第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が、前記第2の方向に沿って整列している、日除け用シート。
【請求項2】
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するか、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成する、請求項1に記載の日除け用シート。
【請求項3】
第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの両端が、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分に達して延びている請求項1又は2に記載の日除け用シート。
【請求項4】
一枚の略矩形のシートを、シートの第1の方向に沿って山折、谷折の順に交互に端から端まで折る工程と、
折られたシートの第1の方向と垂直な第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
前記折られたシートの、前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から、前記第2の方向に延びる一辺における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みと交差しないように、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
を含む日除け用シートの製造方法。
【請求項5】
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するようにさらに折る工程、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成するようにさらに折る工程を含む、請求項4に記載の日除け用シートの製造方法。
【請求項6】
第1の組の対向する2つのV字の切れ込み及び/又は第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに植物を通した状態で、土を覆って請求項1~3のいずれかに記載の日除け用シートを配置することを含む、植物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日除け用シート、日除け用シートの製造方法、及び日除け用シートの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化やオゾン層破壊による太陽光の強さが植物栽培にも悪影響を及ぼすようにより、植物においても日差し、暑さ対策が必要になってきており、農の現場では土の温度低下が望まれている。従来のマルチングは平面のプラスチック製のシートで通気性がなく土の温度の高温化が避けられない。寒冷紗も日除けとして使用されることがあるが、目が粗いと遮光率が低く、土の温度低下に寄与しない。
【0003】
連通気泡が複雑に曲がり通じているスポンジ状発泡体を平板状に形成し、表面部から裏面部への通気及び通水を可能としながら遮光性を持たせた防草シート(特許文献1)や、通気性且つ透水性の細孔を備えた合成樹脂製の透明又は半透明のフィルム又はシートからなる農業用シート(特許文献2)も開示されているが、簡単な構成で、通気性を確保しつつ日差しを効果的に遮ることができる日除け用シートが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-194639
【特許文献2】特開2009-153398
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決すべき課題は、簡単な構成で、通気性を確保しつつ、遮光性に優れた日除け用シート、かかる日除け用シートの製造方法並びに使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
[1]第1の組の対向する2つのV字の切れ込みが、複数組互いに離間して第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って整列し、
第1の組の対向する2つのV字の切れ込みよりも小さい、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みが、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの間に交互に配置されるように、複数組互いに離間して前記第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が、前記第2の方向に沿って整列している、日除け用シート。
[2]前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するか、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成する、[1]に記載の日除け用シート。
[3]第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの両端が、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分に達して延びている[1]又は[2]に記載の日除け用シート。
[4]一枚の略矩形のシートを、シートの第1の方向に沿って山折、谷折の順に交互に端から端まで折る工程と、
折られたシートの第1の方向と垂直な第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
前記折られたシートの、前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から、前記第2の方向に延びる一辺における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みと交差しないように、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
を含む日除け用シートの製造方法。
[5]前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するようにさらに折る工程、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成するようにさらに折る工程を含む、[4]に記載の日除け用シートの製造方法。
[6]第1の組の対向する2つのV字の切れ込み及び/又は第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに植物を通した状態で、土を覆って[1]~[3]のいずれかに記載の日除け用シートを配置することを含む、植物の栽培方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の日除け用シートによれば、簡単な構成で、通気性を確保しつつ、日差しを効果的に遮ることができ、日除け用シートを配置した場所の温度を抑制することができる。本発明の日除け用シートの製造方法によれば、一枚のシートから、切れ込みを入れてシートを広げるだけで、日除け用シートを簡便に製造することができる。本発明の植物の栽培方法によれば、切れ込みに通した植物の部分への日照は妨げず、通気性をも確保し、土の上に日除け用シートを配置することで太陽光を効果的に遮り、土の温度上昇を抑制するため、植物の健全な生育が促される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の日除け用シートの略斜視図。
図2】(a)~(d)図1の日除け用シートの製造方法の説明図。
図3図1の日除け用シートの平面図。
図4】植物体の一部を切れ込みから出した状態で、土の上に直接日除け用シートを配置した状態を示す略図。
図5】植物体を育成している複数の畝の間と畝の側面に日除け用シートを配置した状態を示す写真。
図6】育苗ポットの上に日除け用シートを配置した状態を示す写真。
図7】第1の組の対向する2つのV字の切れ込み及び第2の組の対向する2つのV字の切れ込みが日除け用シートの短手方向に複数配置された日除け用シートの別例の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明の一実施の形態の日除け用シート1は、一枚の略矩形のシート10に切れ込み14,15,34,35を設け、凹凸に折ることにより立体的に形成されている。日除け用シート1の本体であるシート10の素材は特に限定されず、例えば織布、不織布、紙、金属、木材等であってよい。シート10の素材は遮光性に優れた素材であることが好ましく、そのような素材は市販の素材を利用可能である。シート10の素材は遮光性以外に、耐水性、耐久性、耐候性に優れることがより好ましい。
【0011】
発明の理解を容易にするために、日除け用シート1の製造方法を説明する。
【0012】
まず図2(a)に示すように、まず一枚のシート10を、シート10の長手方向に沿って山折、谷折の順に交互に端から端まで略均等な幅で折る。
【0013】
次に、図2(b)に示すように、折られたシート10の長手方向と垂直な短手方向に延びる一側11における互いに離れた2つの位置12,13を起点として、はさみ、カッター等の切断装置を用いて2つの直線状の切れ込み14,15を形成する。2つの直線状の切れ込み14,15は、2つの位置12,13から、それぞれ互いに離れるように傾斜して延びるように形成する。切れ込み14,15は、シート10を厚さ方向に完全に切断するように設けられる。
【0014】
さらに、折られたシート10の短手方向に延びる他側31における互いに離れた2つの位置32,33を起点として、はさみ、カッター等の切断装置を用いて2つの直線状の切れ込み34,35を形成する。第1の組の切れ込み34,35は第1の組の切れ込み14,15よりも小さい。2つの直線状の切れ込み34,35は、2つの直線状の切れ込み14,15と交差しないように、それぞれ互いに離れるように傾斜して延びるように形成する。切れ込み34,35は、シート10を厚さ方向に完全に切断するように設けられる。
【0015】
本実施形態では、シート10の長さ方向における切れ込み14,15,34,35の数を増大させると共に、シート10の立体化を容易にするため、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35の両端34a, 34b, 35a, 35bは、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15に挟まれた部分22に達して延びるようにする(図2(c)も参照)。
【0016】
図2(b)の状態から折られたシート10を広げると、図2(c)に示すように、シート10において、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15は、複数組が、シート10の長手方向に沿って、互いに離間して直線状に配列される。「直線状に配列」は「仮想直線上に配列」と言い換えることもできる。また、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15をそれぞれ画成する2辺16,17及び2辺18,19の2つの角部20,21は、シート10の長手方向に対して垂直なシート10の短手方向に沿って整列している。本実施形態では特に、2つの角部20,21及びその頂点が、垂直なシート10の短手方向に沿って直線状に整列している。第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15は2つの角部20,21において最も接近し、角部20,21から2辺16,17及び2辺18,19へと切れ込み14,15が広がるにつれてシート10の短手方向に離れる。
【0017】
シート10において、第2の組の切れ込み34,35は、複数組が、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15の間に交互に配置されるように、シート10の長手方向に沿って、互いに離間して直線状に配列される。「直線状に配列」は「仮想直線上に配列」と言い換えることもできる。また、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35をそれぞれ画成する2辺36,37及び2辺38,39の2つの角部40,41は、シート10の長手方向に対して垂直なシート10の短手方向に沿って整列している。本実施形態では特に、2つの角部40,41及びその頂点が、垂直なシート10の短手方向に沿って直線状に整列している。第1の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35は2つの角部40,41において最も接近し、角部40,41から2辺36,37及び2辺38,39へと切れ込み34,35が広がるにつれてシート10の短手方向に離れる。
【0018】
図2(c)の状態からさらに、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15に挟まれた部分22が山部を形成し、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15の外側の部分23,24が谷部を形成し、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35に挟まれた部分42が谷部を形成し、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分43,44が山部を形成するように、シート10を立体的に折る。図2(d)に示すように、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15に挟まれた部分22にシート10の短手方向に沿って延びる稜線22aを設け、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35に挟まれた部分42にシート10の短手方向に沿って延びる谷線42aを設ける。その結果、図1に示すような立体の日除け用シートが完成する。
【0019】
第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15の外側の部分23,24に設けられる谷線23a,24aは、図2(b)におけるシート10の一側11に対応し、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分43,44に設けられる稜線43a,44aは、図2(b)におけるシート10の他側31に対応している。シート10を平坦にしたとき、稜線22aと谷線23a,24aは略一直線上に並び、谷線42aと稜線43a,44aは略一直線上に並ぶ。
【0020】
このように、シート10のプリーツ折り、一側からの切れ込み14,15の形成、他側からの切れ込み34,35の形成、シート10の展開、並びに切れ込み14,15,34,35の周囲における山部と谷部の形成により、簡便に立体の日除け用シート1を製造することができる。
【0021】
図3は、図1の日除け用シート1の平面図である。本発明の実施形態の日除け用シート1は、平面視した場合に、シート10の切れ込み14,15,34,35が開いて切れ込み14,15,34,35を画成するシート10の部分により形成される開口14a,15a,34a,35aを除き、殆どがシート10の面積により占められている。日除け用シート1を使用時の立体構造にした状態で平面視した日除け用シート1の外形の面積に対するシート10が占める面積、言い換えると平面視した日除け用シート1の外形の面積に対する開口14a,15a,34a,35aを除く面積は80%以上、好ましくは90%以上である。このため、日除け用シート1を被遮光物の上に設置することで、日除け用シートが被遮光物に対して落とす影により、太陽光を大幅に遮り、被遮光物の温度上昇を抑制するか、又は太陽光に曝露されていた被遮光物を冷却することができる。他方、日除け用シート1を使用時の立体構造にした状態で側面視した日除け用シート1では適度な開口14a,15a,34a,35aがあいているため、開口14a,15a,34a,35aが空気を効果的に流通させ、シート10の表面の温度上昇を抑制し、また、シート10の下部空間の熱溜まりを防止する。これにより、遮光性能および通風性能を同時に発揮し、シート10でありながら、太陽光を遮光しつつ風も通すことで涼感を与える作用を発揮する。
【0022】
本発明の実施形態の日除け用シート1は、屋内、屋外のいずれで用いることもできる。本発明の実施形態の日除け用シート1により被覆される被遮光物は、光を遮りたい物であれば特に限定されない。典型的には植物が挙げられ、植物としては、蔬菜(野菜とも言う)、果樹、花卉等が挙げられる。野菜、果樹、花卉等を本発明の実施形態の日除け用シート1を用いて飼育すると、土の表面や日除け用シート1の下にある植物体が日陰となって、通気性を確保しつつ涼しく保たれるため、強い日差しの下でも良好な生育を促すことができる。
【0023】
図4は、植物の地上部の一部を本発明の実施形態の日除け用シート1のV字の切れ込みに通過させて太陽に露出するようにした状態で、土を覆って図1に示す日除け用シート1を配置した例を示す。このように、日除け用シート1の切れ込みにより通気性を確保しつつ、太陽に露出させる部分以外の植物の部分や土の表面を遮光し、地面の温度上昇を防ぐことができる。
【0024】
図5は、写真の側方に延びる2つの畝を、植物体の地上部の全部又は一部が露出するように公知の遮光シートで覆い、2つの畝間と、2つの畝の各々の片側の側面とのそれぞれに本発明の実施形態の日除け用シート1を配置した状態を畝の上から撮影した写真である。このように、本発明の実施形態の日除け用シート1は、畝の真上だけでなく、2つの畝の間や、畝の側面にも配置することができる。
【0025】
図6は、複数並べて配置した育苗ポットの上に日除け用シートを配置した例を示す。育苗ポットには植物の種子、幼苗、その他育苗ポットで生育可能な任意の植物が植えられている。このように、日除け用シート1のV字の切れ込みにより通気性を確保しつつ、太陽に露出させる部分以外の植物の部分や土の表面を遮光し、地面の温度上昇を防ぐことができる。育苗ポットを日除け用シート1で覆うことで乾燥を防ぐこともできるため、育苗ポットにて栽培されている植物の生育が促される。
【0026】
使用後の日除け用シート1は、シート10を平坦に戻して折りたたんで回収できるため、収納場所もとらずに便利である。
【0027】
ここまで、本発明を特定の実施形態を説明してきたが、本発明はこれに限られず、以下のような種々の変形が可能である。
(1)図2(c)の状態から、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15に挟まれた部分22が谷部を形成し、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15の外側の部分23,24が山部を形成し、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35に挟まれた部分42が山部を形成し、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分43,44が谷部を形成するように、シート10を立体的に折ってもよい。
(2)上記実施形態では、シート10の長さ方向における切れ込み14,15,34,35の数を増大させると共に、シート10の立体化を容易にするため、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35の両端は、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15に挟まれた部分22に達して延びるようにしたが、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35の両端は、シート10の長さ方向において、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15に挟まれた部分22と重ならなくてもよい。
(3)日除け用シート1の使用者によるシート10の立体化を容易にするために、シート10にガイド線を設けてもよい。具体的には、図2(d)に示した第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15に挟まれた部分22にシート10の短手方向に沿って延びる線22aを第1の種類の線とし、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35に挟まれた部分42にシート10の短手方向に沿って延びる線42aを第2の種類の線とし、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15の外側の部分23,24にシート10の短手方向に沿って延びる線23a,24aを第2の種類の線とし、第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35の外側の部分43,44にシート10の短手方向に沿って延びる第1の種類の線43a,44aを第1の種類の線とし、第1の種類の線と第2の種類の線を視覚的に区別できるように別の種類(例えば実線と点線、実線と鎖線など)の線のマーカーとしてシート10に記しておく。第1の種類の線22a,43a,44aを稜線にして第2の種類の線23a,24a、42aを谷線にするか、又は 第1の種類の線22a,43a,44aを谷線にして第2の種類の線23a,24a、42aを稜線にすることにより、使用者はこれらのガイド線22a,23a,24a,42a,43a,44aを手がかりに、容易に日除け用シート1を立体的に折って製造することができる。
(4)図7に示すように、第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15及び第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35が、日除け用シート1の短手方向に複数配置されていもよい。このようにすれば、一枚のシート10でより大きな面積を遮光することができる。第1の組の対向する2つのV字の切れ込み14,15及び第2の組の対向する2つのV字の切れ込み34,35が複数の行と列に配置されているこのような日除け用シート1も、図1で示した実施形態の日除け用シート1の製造方法に従って製造することができる。
(5)日除け用シート1にさらに防水加工を施してもよい。このような構成によれば、雨や水やりに対する日除け用シート1の耐性が向上し、屋外での使用に有利となる。
(6)立体にする前の平板な日除け用シート1の形状は略長方形に限定されず、略正方形、略三角形、略六角形、略円形など、任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1…日除け用シート、10…シート、11…シートの一側、12,13…一側における互いに離れた2つの位置、14,15…第1の組の対向する2つのV字の切れ込み、31…シートの他側、32,33…他側における互いに離れた2つの位置、34,35…第2の組の対向する2つのV字の切れ込み、16,17,18,19第1の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺、20,21…第1の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部、22…第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分、23,24…第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分、34a, 34b, 35a, 35b…第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの両端、36,37,38,39…第2の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺、40,41…第2の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部、42…第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分、43,44…第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組の対向する2つのV字の切れ込みが、複数組互いに離間して第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って整列し、
第1の組の対向する2つのV字の切れ込みよりも小さい、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みが、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの間に交互に配置されるように、複数組互いに離間して前記第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が、前記第2の方向に沿って整列している、日除け用シート。
【請求項2】
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するか、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成する、請求項1に記載の日除け用シート。
【請求項3】
第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの両端が、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分に達して延びている請求項1又は2に記載の日除け用シート。
【請求項4】
一枚の略矩形のシートを、シートの第1の方向に沿って山折、谷折の順に交互に端から端まで折る工程と、
折られたシートの第1の方向と垂直な第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
前記折られたシートの、前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から、前記第2の方向に延びる一における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みと交差しないように、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
を含む日除け用シートの製造方法。
【請求項5】
前記折られたシートの前記第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から2つの直線状の切れ込みを形成する工程及び前記折られたシートの前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から2つの直線状の切れ込みを形成する工程の後で、折られたシートを広げる工程をさらに含み、
前記折られたシートの前記第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みが、広げたシートにおける第1の組の対向する2つのV字の切れ込みとなり、前記折られたシートの前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みが、広げたシートにおける第2の組の対向する2つのV字の切れ込みとなり、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みは、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みよりも小さい、請求項4に記載の日除け用シートの製造方法。
【請求項6】
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するようにさらに折る工程、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成するようにさらに折る工程をさらに含む、請求項に記載の日除け用シートの製造方法。
【請求項7】
第1の組の対向する2つのV字の切れ込み及び/又は第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに植物を通した状態で、土を覆って請求項1~3のいずれかに記載の日除け用シートを配置することを含む、植物の栽培方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
[1]第1の組の対向する2つのV字の切れ込みが、複数組互いに離間して第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って整列し、
第1の組の対向する2つのV字の切れ込みよりも小さい、第2の組の対向する2つのV字の切れ込みが、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの間に交互に配置されるように、複数組互いに離間して前記第1の方向に沿って直線状に配列され、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みを画成する2辺の2つの角部が、前記第2の方向に沿って整列している、日除け用シート。
[2]前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するか、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成する、[1]に記載の日除け用シート。
[3]第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの両端が、隣接する第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分に達して延びている[1]又は[2]に記載の日除け用シート。
[4]一枚の略矩形のシートを、シートの第1の方向に沿って山折、谷折の順に交互に端から端まで折る工程と、
折られたシートの第1の方向と垂直な第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
前記折られたシートの、前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から、前記第2の方向に延びる一における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みと交差しないように、それぞれ互いに離れるように傾斜した2つの直線状の切れ込みを形成する工程と、
を含む日除け用シートの製造方法。
[5]前記折られたシートの前記第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から2つの直線状の切れ込みを形成する工程及び前記折られたシートの前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から2つの直線状の切れ込みを形成する工程の後で、折られたシートを広げる工程をさらに含み、
前記折られたシートの前記第2の方向に延びる一側における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みが、広げたシートにおける第1の組の対向する2つのV字の切れ込みとなり、前記折られたシートの前記第2の方向に延びる他側における互いに離れた2つの位置から形成した2つの直線状の切れ込みが、広げたシートにおける第2の組の対向する2つのV字の切れ込みとなり、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みは、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みよりも小さい、[4]に記載の日除け用シートの製造方法。
[]前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成するようにさらに折る工程、又は
前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が山部を形成し、前記第1の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに挟まれた部分が谷部を形成し、前記第2の組の対向する2つのV字の切れ込みの外側の部分が山部を形成するようにさらに折る工程を含む、[]に記載の日除け用シートの製造方法。
[]第1の組の対向する2つのV字の切れ込み及び/又は第2の組の対向する2つのV字の切れ込みに植物を通した状態で、土を覆って[1]~[3]のいずれかに記載の日除け用シートを配置することを含む、植物の栽培方法。