(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050006
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】脱水ブロック生成システム、脱水ブロック生成方法、及び脱水ブロック生成プログラム
(51)【国際特許分類】
B01D 25/12 20060101AFI20220323BHJP
G21F 9/04 20060101ALI20220323BHJP
G21F 9/30 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B01D25/12 G
B01D25/12 U
G21F9/04 B
G21F9/30 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156351
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】503275129
【氏名又は名称】りんかい日産建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小澤 義之
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116CC02
4D116CC08
4D116CC14
4D116CC26
4D116CC43
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4D116GG12
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4D116QC22A
4D116QC23A
4D116QC50C
4D116VV11
4D116VV12
4D116VV13
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】有害物質が溶出するおそれが低い脱水ブロックを生成可能な脱水ブロック生成装置を提供する。
【解決手段】脱水ブロック生成システム100は、スラリーを脱水して脱水ブロックを生成する濾室を有する脱水ブロック生成装置と、加圧ポンプ及び切替弁を制御する制御装置とを有し、制御装置は、第1スラリー槽と加圧ポンプとを接続する第1切替指示を切替弁に出力する第1切替指示部と、第1スラリー槽から供給される第1スラリーを吐出する吐出指示を加圧ポンプに出力する吐出指示部と、第1スラリーの代わりに第2スラリーを濾室に圧入するために、第1スラリー槽から第2スラリー槽に接続を切り替える第2切替指示を切替弁に出力する第2切替指示部と、脱水ブロックが生成されたか否かを判定する生成判定部と、脱水ブロックが生成されたと判定されたときに、スラリーの吐出を停止する吐出停止指示を出力する吐出停止指示部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スラリーを貯蔵する第1スラリー槽と、
前記第1スラリーと異なる第2スラリーを貯蔵する第2スラリー槽と、
前記第1スラリー槽及び前記第2スラリー槽の間の接続を切り替える切替弁と、
前記切替弁に接続され且つ前記切替弁を介して流入する前記第1スラリー及び前記第2スラリーの何れか一方のスラリーを加圧して、加圧したスラリーを吐出する加圧ポンプ、及び前記加圧ポンプから圧入されたスラリーを脱水して脱水ブロックを生成する濾室を有する脱水ブロック生成装置と、
前記加圧ポンプ及び前記切替弁を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記第1スラリー槽と前記加圧ポンプとを接続する第1切替指示を前記切替弁に出力する第1切替指示部と、
前記第1スラリー槽から供給される前記第1スラリーを吐出する吐出指示を前記加圧ポンプに出力する吐出指示部と、
前記第1スラリーの代わりに前記第2スラリーを前記濾室に圧入するために、前記第1スラリー槽から前記第2スラリー槽に接続を切り替える第2切替指示を前記切替弁に出力する第2切替指示部と、
前記脱水ブロックが生成されたか否かを判定する生成判定部と、
前記脱水ブロックが生成されたと判定されたときに、前記スラリーの吐出を停止する吐出停止指示を出力する吐出停止指示部と、
を有することを特徴とする脱水ブロック生成システム。
【請求項2】
前記第2スラリーは、放射性物質及び重金属の少なくとも一方を含有する、請求項1に記載の脱水ブロック生成システム。
【請求項3】
前記第1切替指示部は、所定の充填条件が充足されたと判定したときに、前記第2スラリーの代わりに前記第1スラリーを前記濾室に再度圧入するために、前記第1スラリー槽と前記加圧ポンプとを接続する第1切替指示を前記切替弁に再度出力する、請求項2に記載の脱水ブロック生成システム。
【請求項4】
前記加圧ポンプは、第1吐出圧でスラリーを吐出する第1加圧ポンプ、及び前記第1吐出圧よりも高い第2吐出圧でスラリーを吐出する第2加圧ポンプを有し、
前記吐出指示部は、
前記切替弁を介して前記第1スラリー槽から供給される第1スラリーを吐出する第1吐出指示を前記第1加圧ポンプに出力し、
所定の切替条件が充足されたときに、吐出を停止する第1停止指示を前記第1加圧ポンプに出力し、
前記切替弁を介して前記第2スラリー槽から供給される第2スラリーを吐出する第2吐出指示を前記第2加圧ポンプに出力する、請求項3に記載の脱水ブロック生成システム。
【請求項5】
第1スラリーを貯蔵する第1スラリー槽と、
前記第1スラリーと異なる第2スラリーを貯蔵する第2スラリー槽と、
前記第1スラリー槽及び前記第2スラリー槽の間の接続を切り替える切替弁と、
前記切替弁に接続され且つ前記切替弁を介して流入する前記第1スラリー及び前記第2スラリーの何れか一方のスラリーを加圧して、加圧したスラリーを吐出する加圧ポンプ、及び前記加圧ポンプから圧入されたスラリーを脱水して脱水ブロックを生成する濾室を有する脱水ブロック生成装置と、
前記加圧ポンプ及び前記切替弁を制御する制御装置と、を有する脱水ブロック生成システムによって脱水ブロックを生成する脱水ブロック生成方法であって、
前記第1スラリー槽と前記加圧ポンプとを接続する第1切替指示を前記切替弁に出力し、
前記第1スラリー槽から供給される前記第1スラリーを吐出する吐出指示を前記加圧ポンプに出力し、
前記第1スラリーの代わりに前記第2スラリーを前記濾室に圧入するために、前記第1スラリー槽から前記第2スラリー槽に接続を切り替える第2切替指示を前記切替弁に出力し、
前記脱水ブロックが生成されたか否かを判定し、
前記脱水ブロックが生成されたと判定されたときに、前記スラリーの吐出を停止する吐出停止指示を出力する、
ことを含む、ことを特徴とする脱水ブロック生成方法。
【請求項6】
第1スラリーを貯蔵する第1スラリー槽と、
前記第1スラリーと異なる第2スラリーを貯蔵する第2スラリー槽と、
前記第1スラリー槽及び前記第2スラリー槽の間の接続を切り替える切替弁と、
前記切替弁に接続され且つ前記切替弁を介して流入する前記第1スラリー及び前記第2スラリーの何れか一方のスラリーを加圧して、加圧したスラリーを吐出する加圧ポンプ、及び前記加圧ポンプから圧入されたスラリーを脱水して脱水ブロックを生成する濾室を有する脱水ブロック生成装置と、
前記加圧ポンプ及び前記切替弁を制御する制御装置と、を有する脱水ブロック生成システムを制御するプログラムであって、
前記第1スラリー槽と前記加圧ポンプとを接続する第1切替指示を前記切替弁に出力し、
前記第1スラリー槽から供給される前記第1スラリーを吐出する吐出指示を前記加圧ポンプに出力し、
前記第1スラリーの代わりに前記第2スラリーを前記濾室に圧入するために、前記第1スラリー槽から前記第2スラリー槽に接続を切り替える第2切替指示を前記切替弁に出力し、
前記脱水ブロックが生成されたか否かを判定し、
前記脱水ブロックが生成されたと判定されたときに、前記スラリーの吐出を停止する吐出停止指示を出力する、
ことを含む処理をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする脱水ブロック生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水ブロック生成システム、脱水ブロック生成方法、及び脱水ブロック生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
重金属及びセシウム等の有害物質を含む廃棄物、産業廃棄物、生活廃棄物、及び伐採木を焼却した生成物である焼却灰には、有害物質が高濃度で残留することがある。したがって、焼却灰の保管にあたっては、焼却灰から重金属やその他の有害物質の溶出を防止するため、キレート処理や薬剤、例えば消石灰(Ca(OH)2)を添加することが多い。また、焼却灰は、粒形が小さく、粒子間の距離が大きいため、嵩密度が小さく、保管容量が大きくなる。
【0003】
特に、東日本震災では、放射性物質を含む廃棄物や汚染地域の山林伐採物が大量に焼却されている。焼却後に残る焼却灰には放射性物質が残っており、焼却灰がどのように処分されるかということが大きな課題となっている。例えば、特許文献1に記載される高圧フィルタプレス式脱水装置により、焼却灰等の物質を脱水して固化することで、焼却灰等の物質の保管容量を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術により生成される脱水ケーキでは、大気に開放された表面を含む脱水ケーキの全体に亘って有害物質が存在するため、降雨等により有害物質が溶出するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、有害物質が溶出するおそれが低い脱水ブロックを生成可能な脱水ブロック生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る脱水ブロック生成システムは、第1スラリーを貯蔵する第1スラリー槽と、第1スラリーと異なる第2スラリーを貯蔵する第2スラリー槽と、第1スラリー槽及び第2スラリー槽の間の接続を切り替える切替弁と、切替弁に接続され且つ切替弁を介して流入する第1スラリー及び第2スラリーの何れか一方のスラリーを加圧して、加圧したスラリーを吐出する加圧ポンプ、及び加圧ポンプから圧入されたスラリーを脱水して脱水ブロックを生成する濾室を有する脱水ブロック生成装置と、加圧ポンプ及び切替弁を制御する制御装置と、を有し、制御装置は、第1スラリー槽と加圧ポンプとを接続する第1切替指示を切替弁に出力する第1切替指示部と、第1スラリー槽から供給される第1スラリーを吐出する吐出指示を加圧ポンプに出力する吐出指示部と、第1スラリーの代わりに第2スラリーを濾室に圧入するために、第1スラリー槽から第2スラリー槽に接続を切り替える第2切替指示を切替弁に出力する第2切替指示部と、脱水ブロックが生成されたか否かを判定する生成判定部と、脱水ブロックが生成されたと判定されたときに、スラリーの吐出を停止する吐出停止指示を出力する吐出停止指示部とを有する。
【0008】
さらに、本発明に係る脱水ブロック生成システムでは、第2スラリーは、放射性物質及び重金属の少なくとも一方を含有することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る脱水ブロック生成システムでは、第1切替指示部は、所定の充填条件が充足されたと判定したときに、第2スラリーの代わりに第1スラリーを濾室に再度圧入するために、第1スラリー槽と加圧ポンプとを接続する第1切替指示を切替弁に再度出力することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る脱水ブロック生成システムでは、加圧ポンプは、第1吐出圧でスラリーを吐出する第1加圧ポンプ、及び第1吐出圧よりも高い第2吐出圧でスラリーを吐出する第2加圧ポンプを有し、吐出指示部は、切替弁を介して第1スラリー槽から供給される第1スラリーを吐出する第1吐出指示を第1加圧ポンプに出力し、所定の切替条件が充足されたときに、吐出を停止する第1停止指示を第1加圧ポンプに出力し、切替弁を介して第2スラリー槽から供給される第2スラリーを吐出する第2吐出指示を第2加圧ポンプに出力することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る脱水ブロック生成方法は、第1スラリーを貯蔵する第1スラリー槽と、第1スラリーと異なる第2スラリーを貯蔵する第2スラリー槽と、第1スラリー槽及び第2スラリー槽の間の接続を切り替える切替弁と、切替弁に接続され且つ切替弁を介して流入する第1スラリー及び第2スラリーの何れか一方のスラリーを加圧して、加圧したスラリーを吐出する加圧ポンプ、及び加圧ポンプから圧入されたスラリーを脱水して脱水ブロックを生成する濾室を有する脱水ブロック生成装置と、加圧ポンプ及び切替弁を制御する制御装置と、を有する脱水ブロック生成システムによって脱水ブロックを生成する脱水ブロック生成方法であって、第1スラリー槽と加圧ポンプとを接続する第1切替指示を切替弁に出力し、第1スラリー槽から供給される第1スラリーを吐出する吐出指示を加圧ポンプに出力し、第1スラリーの代わりに第2スラリーを濾室に圧入するために、第1スラリー槽から第2スラリー槽に接続を切り替える第2切替指示を切替弁に出力し、脱水ブロックが生成されたか否かを判定し、脱水ブロックが生成されたと判定されたときに、スラリーの吐出を停止する吐出停止指示を出力することを含む。
【0012】
また、本発明に係る脱水ブロック生成プログラムは、第1スラリーを貯蔵する第1スラリー槽と、第1スラリーと異なる第2スラリーを貯蔵する第2スラリー槽と、第1スラリー槽及び第2スラリー槽の間の接続を切り替える切替弁と、切替弁に接続され且つ切替弁を介して流入する第1スラリー及び第2スラリーの何れか一方のスラリーを加圧して、加圧したスラリーを吐出する加圧ポンプ、及び加圧ポンプから圧入されたスラリーを脱水して脱水ブロックを生成する濾室を有する脱水ブロック生成装置と、加圧ポンプ及び切替弁を制御する制御装置と、を有する脱水ブロック生成システムを制御するプログラムであって、第1スラリー槽と加圧ポンプとを接続する第1切替指示を切替弁に出力し、第1スラリー槽から供給される第1スラリーを吐出する吐出指示を加圧ポンプに出力し、第1スラリーの代わりに第2スラリーを濾室に圧入するために、第1スラリー槽から第2スラリー槽に接続を切り替える第2切替指示を切替弁に出力し、脱水ブロックが生成されたか否かを判定し、脱水ブロックが生成されたと判定されたときに、スラリーの吐出を停止する吐出停止指示を出力する、ことを含む処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る脱水ブロック生成システムは、有害物質が溶出するおそれが低い脱水ブロックを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る脱水ブロック生成システムを示す図である。
【
図2】
図1に示す高圧フィルタプレス装置を示す図である。
【
図4】(a)は
図2に示す第1仕切板の正面図であり、(b)は
図2に示す第1仕切板の側面図であり、(c)は
図2に示す第1仕切板の底面図である。
【
図7】(a)は
図2に示す濾室型枠の第1濾過面の正面図であり、(b)は
図2に示す濾室型枠の第1濾過面の反対の面を示す図である。
【
図8】(a)は
図3において矢印Aで示される部分の拡大断面図であり、(b)は
図3において矢印Aで示される部分の拡大平面図である。
【
図9】(a)はスラリー案内管の延伸方向に沿った濾室の断面図であり、(b)はスラリー案内管25の延伸方向に直交する方向に沿った濾室の断面図である。
【
図10】スラリーを脱水して脱水ブロックを形成する脱水処理が実行されるときのスラリー及び濾過水の流れを示す図である。
【
図11】(a)は
図1に示す監視制御装置のブロック図であり、(b)は(a)に示す記憶部及び処理部の概略構成を示す図である。
【
図12】
図1に示す脱水ブロック生成システムにより実行される脱水ブロック生成処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図12に示す脱水ブロック生成処理における濾過部の濾室内の状態を示す図であり、(a)は脱水ブロック生成処理が実行される前の状態を示し、(b)はS102の処理が実行された状態を示し、(c)はS104の処理が実行された状態を示し、(d)はS105の処理が実行された状態を示し、(e)はS108の処理が実行された状態を示す。
【
図14】(a)は
図1に示す脱水ブロック生成システムにより生成される脱水ブロックの斜視図(その1)であり、(b)は脱水ブロック生成システムにより生成される脱水ブロックの斜視図(その2)である。
【
図15】(a)は12本のドレーン材を濾室に配置した場合の脱水ブロックの内部を示す図であり、(b)はドレーン材を濾室に配置しない場合の脱水ブロックの内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して、本発明に係る脱水ブロック生成システムについて説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明との均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
(実施形態に係る脱水ブロック生成システムの構成及び機能)
図1は、実施形態に係る脱水ブロック生成システムを示す図である。
【0017】
脱水ブロック生成システム100は、貯水タンク101と、第1撹拌装置102と、第1スラリー槽103と、前処理装置104と、第2撹拌装置105と、第2スラリー槽106と、切替弁107と、高圧フィルタプレス装置108とを有する。脱水ブロック生成システム100は、脱水ブロック搬送装置109と、脱水ブロック押出装置110と、監視制御装置120とを更に有する。
【0018】
貯水タンク101は、雨水及び再生水等のスラリー生成用の水を貯蔵し、貯蔵した水を第1撹拌装置102及び第2撹拌装置105に不図示のポンプで搬送する。第1撹拌装置102は、撹拌槽121と、撹拌機122と、モータ123とを有し、モータ123によって撹拌機122を駆動すことで貯水タンク101から搬送された水、粉末材、及びセメントを混合して第1スラリーを生成する。第1撹拌装置102に投入される粉末材は、含有する有害物質の含有率が低いものが好ましく、有害物質を含まないものが更に好ましい。例えば、第1撹拌装置102に投入される粉末材は、粘土及びまさ土とも称される風化花崗岩等の放射性セシウムを吸着可能な土である。第1撹拌装置102において生成されるスラリーは、含水比700~400%である。好ましくは500~400%である。混合する水が少ないと撹拌機122の負荷が増加して撹拌機122が故障するおそれがあり、混合する水が多いと脱水処理時間が増加して脱水処理効率が低下する。また、セメントの添加率は、35%程度である。
【0019】
第1スラリー槽103は、第1撹拌装置102から供給された第1スラリーを貯蔵する。第1スラリー槽103に貯蔵されたスラリーは、時間が経過すると共に分離する。第1スラリー槽103の下部に沈殿した第1スラリーは、含水比300%程度のスラリー層を形成する。一方、第1スラリー槽103の上部には、上澄み水層が形成される。第1スラリー槽103の下部に沈殿した第1スラリーの含水比は、250%程度である。
【0020】
前処理装置104は、投入口141と粉砕装置142とを有し、重金属、放射性物質等の有害物質を含む廃棄物が焼却炉において燃焼したときに生成される焼却灰を粒度径が所定の粒度範囲になるように調整する。投入口141から投入された焼却灰は、粒度径が所定の粒度範囲になるように粉砕装置142によって粉砕される。粉砕装置142によって粉砕された焼却灰は、空気圧送管及びベルトコンベア等の輸送設備によって第2撹拌装置105に輸送される。
【0021】
第2撹拌装置105は、第1撹拌装置102と同様に、撹拌槽151と、撹拌機152と、モータ153とを有する。第2撹拌装置105は、モータ153によって撹拌機152を駆動すことで前処理装置104から輸送された焼却灰、貯水タンク101から搬送された水、及びセメントを混合して第2スラリーを生成する。なお、第2撹拌装置105は、生成する第2スラリーに消石灰(Ca(OH)2)を加え、焼却灰から重金属やその他の有害物質の溶出を防止するようにしてもよい。第2撹拌装置105において生成される第2スラリーは、含水比700~400%である。好ましくは500~400%である。混合する水が少ないと撹拌機152の負荷が増加して撹拌機152が故障するおそれがあり、混合する水が多いと脱水処理時間が増加して脱水処理効率が低下する。また、セメントの添加率は、35%程度である。
【0022】
第2スラリー槽106は、第2撹拌装置105から供給された第2スラリーを貯蔵する。第2スラリー槽106に貯蔵された第2スラリーは、時間が経過すると共に分離する。第2スラリー槽106の下部に沈殿した第2スラリーは、含水比300%程度のスラリー層を形成する。一方、第2スラリー槽106の上部には、上澄み水層が形成される。第2スラリー槽106の下部に沈殿した第2スラリーの含水比は、250%程度である。
【0023】
切替弁107は、三方弁であり、第1スラリー槽103及び第2スラリー槽106の間の接続を切り替える。切替弁107は、第1スラリー槽103に接続されるとき、第1スラリー槽103に貯蔵される第1スラリーを高圧フィルタプレス装置108に供給する。また、切替弁107は、第2スラリー槽106に接続されるとき、第2スラリー槽106に貯蔵される第2スラリーを高圧フィルタプレス装置108に供給する。
【0024】
高圧フィルタプレス装置108は、切替弁107を介して第1スラリー及び第2スラリーの何れかのスラリーが供給され、供給されたスラリーを脱水して濾室内に脱水ブロックを生成する。脱水ブロックは、焼却灰、浚渫等による発生する土砂、汚泥等を脱水して生成される脱水物の塊であり、扁平でない形状を有する。脱水ブロック搬送装置109は、高圧フィルタプレス装置108の濾室内で生成された脱水ブロックを、濾室と共に脱水ブロック押出装置110に搬送する。脱水ブロック押出装置110は、脱水ブロック搬送装置109によって搬送された脱水ブロックを、例えば油圧によって濾室に生成された脱水ブロックを押し出す。
【0025】
監視制御装置120は、脱水ブロック生成システム100の動作を監視制御する監視制御装置であり、脱水ブロック生成システム100が有する貯水タンク101~脱水ブロック押出装置110のそれぞれと協働して、脱水ブロックを生成する脱水ブロック生成処理を実行する。
【0026】
図2は、高圧フィルタプレス装置108を示す図である。
図2において、実線はスラリー及び濾過水が流れる配管を示し、破線は電気配線を示す。
【0027】
高圧フィルタプレス装置108は、脱水ブロック生成装置の一例であり、第1加圧ポンプ10と、第2加圧ポンプ11と、濾過部12と、圧油装置13と、フィルタプレス制御装置14とを有する。
【0028】
第1加圧ポンプ10は、例えば渦巻ポンプであり、第1加圧ポンプ10の吐出圧は、0.4~0.6MPa程度である。濾過部12の各濾室内にスラリーに充填されたとき、第1加圧ポンプ10によって充填されたスラリーは、第1スラリー槽103及び第2スラリー槽106に沈殿していたときの含水比300%程度から100%程度となるまで脱水される。第1加圧ポンプ10による充填は、濾室20に設けられた圧力計によって測定された濾室内部の圧力が所定の第1停止圧力に達したときに、終了する。
【0029】
第2加圧ポンプ11は、例えば油圧駆動のピストンポンプであり、第2加圧ポンプ11の吐出圧は、0.4MPa以上4MPa以下である。第2加圧ポンプ11によるスラリーの濾過部12への注入は、第1加圧ポンプ10によるスラリーの濾過部12への注入と比較して、低速で行わる。低速且つ高圧でスラリーが注入されることにより、濾過部12の濾室内のスラリーは脱水が進み、固体状の脱水ブロックが形成される。脱水ブロックの含水率は50%程度となる。スラリーに含まれていた有害物質の一部は、排出された水と共に排水タンクに溶出するので、焼却灰に比べ、脱水ブロック中の有害物質量は少なく、焼却灰の減容量化が可能となる。第2加圧ポンプ11による充填は、濾室に設けられた圧力計によって測定された濾室内部の圧力が所定の第2停止圧力に達したときに、終了する。
【0030】
【0031】
濾過部12は、4つの濾室20を有する。脱水ブロック生成システム100では、濾過部12が有する濾室20の数は、4つであるが、実施形態に係る脱水ブロック生成システムでは、濾室20の数は、少なくとも1つであればよく、並列接続されてもよい。
【0032】
濾室20は、第1仕切板21と、第2仕切板22と、濾室型枠23と、濾布24と、スラリー案内管25と、ドレーン材26を有する。
【0033】
図4(a)は第1仕切板21の正面図であり、
図4(b)は第1仕切板21の側面図であり、
図4(c)は第1仕切板21の底面図であり、
図5は第1仕切板21の背面図である。
【0034】
第1仕切板21は、板基材30と、封水用溝部31と、第1濾水用溝部32と、スラリー用貫通孔33と、濾水用貫通孔34と、第2濾水用溝部35と、突起部36とを有する。板基材30は、ステンレス鋼等の矩形の鋼材である。封水用溝部31及び第1濾水用溝部32が形成される板基材30の表面は、濾過面であり、第5濾過面とも称される。封水用溝部31は、Oリング等の封水部材が配置される溝部であり、板基材30の辺に沿って延伸する。封水用溝部31の内側の領域にスラリーが充填される。
【0035】
第1濾水用溝部32は、封水用溝部31の内側に格子状に形成される凹部であり、スラリーを脱水するときに発生する濾水が流れる水路として機能する。スラリー用貫通孔33は、板基材30の中心に形成され、スラリーが流入する入泥口である。濾水用貫通孔34は、封水用溝部31の交点に、板基材30の表面から裏面に貫通するように形成され、第1濾水用溝部32に流れる濾水を板基材30の裏面に流す。第2濾水用溝部35は、板基材30の裏面に格子状に形成され、第1濾水用溝部32及び濾水用貫通孔34を介して流れる濾水を濾室20の外部に排出する。突起部36は、板基材30の表面の下方に配置され、濾室型枠23を下方から支持する。
【0036】
第2仕切板22は、第1仕切板21と同様な構成及び機能を有するので、ここでは詳細な説明は省略する。なお、第2仕切板22では、スラリー用貫通孔33は、第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11から吐出されたスラリーを排出する排泥口である。また、第2仕切板22の濾過面は、第6濾過面とも称される。
【0037】
図6は、濾室型枠23の斜視図である。
図7(a)は濾室型枠23の第1濾過面の正面図であり、
図7(b)は濾室型枠23の第1濾過面の反対の面を示す図である。
【0038】
濾室型枠23は、型枠基材40と、第1濾過面41と、第2濾過面42と、第3濾過面43と、第4濾過面44と、第1握部45と、第2握部46とを有し、一対の開口部である第1開口部47及び第2開口部48が形成された角筒状の形状を有する。第1濾過面41は、型枠基材40の一方の側面の内壁に配置される。第2濾過面42は、第1濾過面41に対向して型枠基材40の他方の側面の内壁に配置される。第3濾過面43は、第1濾過面41及び第2濾過面42に直交して、型枠基材40の上面の内壁に配置される。第4濾過面44は、第3濾過面43に対向して型枠基材40の下面の内壁に配置される。
【0039】
第1濾過面41は、濾水用溝部49と、濾水用貫通孔50とを有する。濾水用溝部49は、第1濾過面41に格子状に形成される凹部であり、スラリーを脱水するときに発生する濾水が流れる水路として機能する。濾水用貫通孔50は、濾水用溝部49の交点に、第1濾過面41から第1濾過面41の反対の面に貫通するように形成され、濾水用溝部49に流れる濾水を型枠基材40の裏面に流す。
【0040】
第2濾過面42、第3濾過面43及び第4濾過面44は、第1濾過面41と同様に濾水用溝部49と、濾水用貫通孔50とを有し、スラリーを脱水するときに発生する濾水を型枠基材40の裏面に流す。
【0041】
第1握部45及び第2握部46は、第3濾過面43の反対の面に配置され、脱水ブロック搬送装置109により握持可能な形状を有する。脱水ブロック搬送装置109は、脱水処理が終了した後に、第1握部45及び第2握部46を握持して、濾室型枠23を高圧フィルタプレス装置108から脱水ブロック押出装置110に搬送する。
【0042】
濾布24は、ナイロンで織成され、第1濾過面41、第2濾過面42、第3濾過面43、第4濾過面44、第1仕切板21の濾過面である第5濾過面及び第2仕切板22の濾過面である第6濾過を覆うように配置される。濾布24は、第1濾過面41、第2濾過面42、第3濾過面43、第4濾過面44、第5濾過面及び第6濾過のそれぞれを覆う面ごとに分離可能であってもよい。また、濾布24は、第1濾過面41、第2濾過面42、第3濾過面43及び第4濾過面44を覆う濾布、第5濾過面を覆う濾布、及び第6濾過を覆う濾布に分離可能であってもよい。
【0043】
図8(a)は
図3において矢印Aで示される部分の拡大断面図であり、
図8(b)は
図3において矢印Aで示される部分の拡大平面図である。
【0044】
スラリー案内管25は、第1仕切板21及び第2仕切板22のスラリー用貫通孔33の口径と略同一の口径を有するステンレス鋼等の円筒状の鋼材であり、側壁51に複数の貫通孔52が形成される。スラリー案内管25の両端には、フランジ53が配置され、鉄板54によってOリング55を介して固定される。スラリー案内管25のフランジ53と第1仕切板21との間には、あて布56が配置される。スラリー案内管25は、ストレーナ管とも称される。
【0045】
図9(a)はスラリー案内管25の延伸方向に沿った濾室20の断面図であり、
図9(b)はスラリー案内管25の延伸方向に直交する方向に沿った濾室20の断面図である。
【0046】
ドレーン材26は、12個のプラスチックボードドレーンであり、一端が濾布24を介して第1仕切板21の濾過面である第5濾過面及び第2仕切板22の濾過面である第6濾過面に接するように配置される。ドレーン材26は、スラリーを脱水するときに発生する濾過水を排水する経路が形成され、第5濾過面及び第6濾過面に濾過水を排出する。
【0047】
12個のドレーン材26は、互いに30度ずつ角度を支持部材57によってスラリー案内管25の側壁51に放射状に接続されることで支持される。12個のドレーン材26は、スラリー案内管25の側壁51に放射状に支持されることで、第5濾過面の中心から第6濾過面の中心に向かって延伸する第5濾過面及び第6濾過面の法線を中心にして放射状に配置される。
【0048】
図10は、スラリーを脱水して脱水ブロックを形成する脱水処理が実行されるときのスラリー及び濾過水の流れを示す図である。
【0049】
第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11から吐出されたスラリーは、スラリー案内管25の内部を流れながら側壁51に形成された複数の貫通孔52から噴出して濾室20の内部に充填される。スラリーが濾室20の内部に充填されることで、濾室20の内部の圧力が上昇すると、スラリーから濾過水が発生する。第1濾過面41、第2濾過面42、第3濾過面43、第4濾過面44、第5濾過面及び第6濾過面の近傍で発生した濾過水は、第1濾過面41、第2濾過面42、第3濾過面43、第4濾過面44、第5濾過面及び第6濾過面のそれぞれから排出される。一方、第1濾過面41、第2濾過面42、第3濾過面43、第4濾過面44、第5濾過面及び第6濾過面から離隔した位置で発生した濾過水は、ドレーン材26を介して第5濾過面及び第6濾過面に濾過水を排出される。
【0050】
圧油装置13は、圧油によりスラリー案内管25の延伸方向に押圧可能する装置であり、第1仕切板21及び第2仕切板22によって挟持された濾室型枠23を第1仕切板21及び第2仕切板22の外側から押圧することで濾室20を形成する。
【0051】
フィルタプレス制御装置14は、CPU及び記憶装置を有する演算装置であり、高圧フィルタプレス装置を監視制御する操作者によって操作される。フィルタプレス制御装置14は、高圧フィルタプレス装置108が脱水処理を実行するときに、操作者の指示に基づいて、第1加圧ポンプ10、第2加圧ポンプ11及び圧油装置13の動作を制御する。
【0052】
図11(a)は監視制御装置120のブロック図であり、
図11(b)は記憶部62及び処理部70の概略構成を示す図である。
【0053】
監視制御装置120は、通信部61と、記憶部62と、入力部63と、出力部64と、処理部70とを有する。
【0054】
通信部61は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インターフェース回路を有する。通信部61は、電気配線を介して貯水タンク101~脱水ブロック押出装置110等と通信を行う。
【0055】
記憶部62は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶部62には、脱水ブロック生成システム100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部62にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0056】
入力部63は、データの入力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル、キーボード等である。不図示の作業者は、入力部63を用いて、文字、数字、記号等を入力することができる。入力部63は、作業者により操作されると、その操作に対応する信号を生成する。そして、生成された信号は、作業者の指示として、処理部70に供給される。
【0057】
出力部64は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。出力部64は、処理部70から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。また、出力部64は、紙などの表示媒体に、映像、画像又は文字等を印刷する出力装置であってもよい。
【0058】
処理部70は、予め記憶部62に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理部70は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理部70として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。処理部70は、通信部61、記憶部62、入力部63及び出力部64と接続され、これらの各部を制御する。
【0059】
記憶部62は、第1切替指示プログラム81と、吐出指示プログラム82と、第2切替指示プログラム83と、生成判定プログラム84と、吐出停止指示プログラム85と、搬送指示プログラム86と、押出指示プログラム87とを記憶する。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理部70は、記憶部62に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理部70は、第1切替指示部71、吐出指示部72、第2切替指示部73、生成判定部74、吐出停止指示部75、搬送指示部76、及び押出指示部77として機能する。
【0060】
図12は脱水ブロック生成システム100により実行される脱水ブロック生成処理を示すフローチャートであり、
図13は
図12に示す脱水ブロック生成処理における濾過部12の濾室内の状態を示す図である。
図13(a)は脱水ブロック生成処理が実行される前の状態を示し、
図13(b)はS102の処理が実行された状態を示し、
図13(c)はS104の処理が実行された状態を示す。
図13(d)はS105の処理が実行された状態を示し、
図13(e)はS108の処理が実行された状態を示す。脱水ブロック生成処理は、予め記憶部62に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部70により脱水ブロック生成システム100の各要素と協働して実行される。
【0061】
まず、第1切替指示部71は、第1スラリー槽103と第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11とを接続する第1切替指示を切替弁107に出力する(S101)。切替弁107は、第1切替指示が入力されることに応じて第1スラリー槽103と第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11とを接続する。
【0062】
次いで、吐出指示部72は、第1スラリー槽103から供給される第1スラリーを吐出する第1吐出指示を第1加圧ポンプ10に出力する(S102)。第1加圧ポンプ10は、第1吐出指示が入力されることに応じて、第1スラリー槽103から切替弁107を介して供給される第1スラリー91を加圧して濾室20に圧入を開始する。
【0063】
次いで、第2切替指示部73は、第1スラリー91の代わりに第2スラリー92を濾室20に圧入するために、第1スラリー槽103から第2スラリー槽106に接続を切り替える第2切替指示を切替弁107に出力する(S103)。第2切替指示部73は、所定の切替条件が充足されたときに、第2切替指示を出力する。第2切替指示部73は、所定の第1停止圧力に達したときに所定の切替条件が充足されたと判定する。また、第2切替指示部73は、第1吐出指示が出力されてから所定の切替時間が経過したときに所定の切替条件が充足されたと判定してもよい。
【0064】
切替弁107は、第2切替指示が入力されることに応じて第2スラリー槽106と第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11とを接続する。切替弁107が第2スラリー槽106と第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11とを接続することに応じて、第1加圧ポンプ10は、第1スラリー91の代わりに第2スラリー92を濾室20に圧入する。
【0065】
次いで、吐出指示部72は、吐出を停止する第1停止指示を第1加圧ポンプ10に出力する(S104)。第1加圧ポンプ10は、第1停止指示が入力されることに応じて、第2スリラーの吐出を停止する。
【0066】
次いで、吐出指示部72は、切替弁107を介して第2スラリー槽106から供給される第2スラリー92を吐出する第2吐出指示を第2加圧ポンプ11に出力する(S105)。第2加圧ポンプ11は、第2吐出指示が入力されることに応じて、第2スリラーの吐出を開始する。
【0067】
次いで、第1切替指示部71は、所定の充填条件が充足されたと判定したときに、第1スラリー槽103と第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11とを接続する第1切替指示を切替弁107に再度出力する(S106)。第1切替指示部71は、濾室内部の圧力が所定の第2停止圧力に達したときに所定の充填条件が充足されたと判定する。なお、第1切替指示部71は、スラリーの充填を開始してからスラリー案内管25の周囲まで第2スラリーが充填されるまでの時間である充填時間が経過したときに所定の充填条件が充足されたと判定してもよい。切替弁107は、第1切替指示が入力されることに応じて第1スラリー槽103と第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11とを接続する。切替弁107が第1スラリー槽103と第1加圧ポンプ10及び第2加圧ポンプ11とを接続することに応じて、第2加圧ポンプ11は、第2スラリー92の代わりに第1スラリー91を濾室20に再度圧入する。
【0068】
次いで、生成判定部74は、脱水ブロックが生成されたか否かを判定する(S107)。生成判定部74は、例えば、濾室20の内部の圧力が所定の圧力に達したときに、脱水ブロックが生成されたか否かを判定する。
【0069】
生成判定部74によって脱水ブロックが生成されたと判定される(S107-YES)、吐出停止指示部75は、第2スラリー92の吐出を停止する第2吐出停止指示を第2加圧ポンプ11に出力する(S108)。第2加圧ポンプ11は、第2吐出停止指示が入力されることに応じて、第2スラリー92の吐出を停止する。
【0070】
次いで、搬送指示部76は、生成された脱水ブロックを搬送することを示す搬送指示を脱水ブロック搬送装置109に出力する(S109)。脱水ブロック搬送装置109は、搬送指示が入力されることに応じて高圧フィルタプレス装置108の濾室20内で生成された脱水ブロックを、濾室20と共に脱水ブロック押出装置110に搬送する。
【0071】
そして、押出指示部77は、搬送された脱水ブロックを押し出すことを示す押出指示を脱水ブロック押出装置110に出力する(S110)。脱水ブロック押出装置110は、押出指示が入力されることに応じて、脱水ブロック搬送装置109によって搬送された脱水ブロックを、例えば油圧によって濾室に生成された脱水ブロックを押し出す。
【0072】
図14(a)は脱水ブロック生成システム100により生成される脱水ブロックの斜視図(その1)であり、
図14(b)は脱水ブロック生成システム100により生成される脱水ブロックの斜視図(その2)である。
図14(a)は脱水ブロックの一辺が切削された状態を示し、
図14(b)は脱水ブロックの一面が切削された状態を示す。
【0073】
脱水ブロック90では、有害物質を含有する第2スラリー及びセメントにより形成されたセメント固化体96の周囲を覆うように、第1スラリー及びセメントにより形成されたソイルセメント97が配置される。セメント固化体96の周囲を覆うソイルセメント97は、有害物質の含有率が低く且つ放射性セシウムの吸着性が高いため、セメント固化体96に含有した油外物質が外部に溶出するおそれは低い。
【0074】
例えば、セメント固化体96及びソイルセメント97の含水比は50%であり、セメント固化体96及びソイルセメント97の一軸圧縮強度は5MN/m2である。また、脱水ブロック90の形状が1辺の長さが1mの立方体であるとき、ソイルセメント97の厚さは5cm程度であることが好ましい。
【0075】
(実施形態に係る脱水ブロック生成システムの作用効果)
脱水ブロック生成システム100は、有害物質を含有する第2スラリーにより生成される脱水ブロックの周囲を有害物質の含有率が第2スラリーよりも低い第1スラリーが覆うように配置された脱水ブロックを生成することができる。脱水ブロック生成システム100によって生成される脱水ブロックは、有害物質の含有率が第2スラリーよりも低い第1スラリーが覆うように配置された脱水ブロックを生成することができるので、第2スラリーに含まれる有害物質が溶出することを防止できる。
【0076】
また、脱水ブロック生成システム100では、スラリー案内管25の周囲まで第2スラリーが充填された後に第1スラリーが再度充填されるので、スラリー案内管25は、有害物質の含有率が低い第1スラリーにより充填される。脱水ブロック生成システム100では、スラリー案内管25が有害物質の含有率が低い第1スラリーにより充填されるので、生成される脱水ブロックのスラリー案内管25に対応する部分から第2スラリーに含まれる有害物質が溶出するおそれが低い。
【0077】
高圧フィルタプレス装置108は、第1仕切板21及び第2仕切板22で濾室型枠23を挟持することで濾室20を形成するので、濾室型枠23の長さに応じた幅が広い方形状の脱水ブロックを生成することができる。例えば、高圧フィルタプレス装置108は、一辺の長さが1mである立方形状の脱水ブロックを生成することができる。
【0078】
また、高圧フィルタプレス装置108は、第1仕切板21に形成された入泥口に一端が接続され、スラリーを第2仕切板22の方向に案内するスラリー案内管25を有するので、目詰まりを起こすことなく、直列接続された濾室20にスラリーを搬送できる。
【0079】
また、高圧フィルタプレス装置108は、高圧でスラリーを脱水して脱水ブロックを生成することができるので、セメントで焼却灰を固化する場合と比較して、保管容量を減少することができる。例えば、セメント添加率が36%であるスラリーから高圧フィルタプレス装置108によって脱水ブロックを生成する場合は、セメントで焼却灰を固化する場合よりも体積を28%減少させることができる。また、セメント添加率が0%であるスラリーから高圧フィルタプレス装置108によって脱水ブロックを生成する場合は、セメントで焼却灰を固化する場合よりも体積を37%減少させることができる。
【0080】
また、高圧フィルタプレス装置108は、スラリーを脱水するときに発生する濾過水を排水する経路が形成されたドレーン材26を有するので、高密度な脱水ブロックを迅速に形成することができる。例えば、8本のドレーン材26を濾室20に配置した場合は、ドレーン材26を配置しない場合と比較して、脱水処理に係る時間を約24%削減できる。また、12本のドレーン材26を濾室20に配置した場合は、ドレーン材26を配置しない場合と比較して、脱水処理に係る時間を約44%削減できる。
【0081】
図15(a)は12本のドレーン材26を濾室20に配置した場合の脱水ブロックの内部を示す図であり、
図15(b)はドレーン材26を濾室20に配置しない場合の脱水ブロックの内部を示す図である。
【0082】
12本のドレーン材26を濾室20に配置した場合、脱水ブロックは、高密度に生成される。一方、ドレーン材26を濾室20に配置しない場合、脱水ブロックは、内部に空隙が形成され、密度が低くなる。
【0083】
また、高圧フィルタプレス装置108では、ドレーン材26は、一端が第5濾過面に接し、他端が第6濾過面に接するように配置され、濾過水を第5濾過面及び第6濾過面に排水するので、より高密度な脱水ブロックが生成される。
【0084】
さらに、高圧フィルタプレス装置108では、ドレーン材26は、第5濾過面の中心から第6濾過面の中心に向かって延伸する第5濾過面及び第6濾過面の法線を中心にして放射状に複数配置されるので、密度が均一な脱水ブロックが生成される。
【0085】
さらに、高圧フィルタプレス装置108では、ドレーン材26は、安価な合成樹脂材で形成されるので、脱水ブロックの内部から取り外して再利用せずに使い捨てできるため、脱水処理後に脱水ブロックからドレーン材を引き抜く工程が省略可能である。
【0086】
高圧フィルタプレス装置108は、複数の濾室20を有するので、効率良く脱水ブロックを生成することができる。
【0087】
(実施形態に係る高圧フィルタプレス装置の変形例)
高圧フィルタプレス装置108は、ドレーン材26を有するが、実施形態に係る高圧フィルタプレス装置は、ドレーン材26を有さなくてもよい。また、高圧フィルタプレス装置108では、ドレーン材26は、第5濾過面及び第6濾過面に接するように配置されるが、実施形態に係る高圧フィルタプレス装置では、ドレーン材26は、第5濾過面及び第6濾過面の何れか一方に接するように配置されてもよい。また、実施形態に係る高圧フィルタプレス装置では、ドレーン材26は、第5濾過面及び第6濾過面ではなく、第1濾過面41、第2濾過面42、第3濾過面43及び第4濾過面44の何れかに濾布24を介して接するように配置されてもよい。
【0088】
また、高圧フィルタプレス装置108は、脱水ブロック生成装置として使用されるが、高圧フィルタプレス装置108を使用することなく脱水ブロックを生成を生成してもよい。例えば、6つの鋼材をボルト等の締結部材によって締結して形成された濾室において脱水ブロックを生成してもよい。
【0089】
また、脱水ブロック生成システム100は、焼却灰をスラリーの原料として使用するが、実施形態に係る脱水ブロック生成システムでは、土砂及び汚泥等の焼却灰以外の物質をスラリーの原料として使用してもよい。
【0090】
また、高圧フィルタプレス装置108では、ドレーン材26が第5濾過面の中心から第6濾過面の中心に向かって延伸する法線を中心にして放射状に配置されるが、実施形態に係る高圧フィルタプレス装置では、ドレーン材26の配置は他の態様であってもよい。例えば、ドレーン材26は、ステンレス鋼等の鋼材であってもよいが、再利用しなくてもよい安価な材料で形成されることが好ましい。また、実施形態に係る高圧フィルタプレス装置では、配置されるドレーン材26の数は、12個より少なくてもよく、12個より多くてもよく、ドレーン材26は、配置されなくてもよい。また、実施形態に係る高圧フィルタプレス装置では、ドレーン材26は、スラリー案内管25に接続されていなくてもよく、円弧状に配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0091】
100 脱水ブロック生成システム
101 貯水タンク
102 第1撹拌装置
103 第1スラリー槽
104 前処理装置
105 第2撹拌装置
106 第2スラリー槽
107 切替弁
108 高圧フィルタプレス装置(脱水ブロック生成装置)
120 監視制御装置(制御装置)