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特開2022-50019回転軸の振れ見測定システム、制御装置及び振れ見測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050019
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】回転軸の振れ見測定システム、制御装置及び振れ見測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/16 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
G01M1/16
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156375
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】清水 晃雄
(72)【発明者】
【氏名】高島 祐介
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】片岡 快斗
【テーマコード(参考)】
2G021
【Fターム(参考)】
2G021AB06
2G021AC03
2G021AG01
2G021AJ15
2G021AJ20
(57)【要約】
【課題】回転軸の軸振れを正確に測定可能な回転軸の振れ見測定システム、測定装置、制御装置及び振れ見測定方法を提供する。
【解決手段】振れ見測定システム1は、回転軸11に設定された複数の測定箇所における回転軸11の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置100と、各測定装置100に通信可能に接続された制御装置200と、を備える。制御装置200は、ユーザによる回転軸11の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部と、ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置100に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部と、各測定装置100から送信された回転軸11の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する取得部と、取得した回転軸11の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報に対応付けて記憶する記憶部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置と、各測定装置に通信可能に接続された制御装置と、を備える振れ見測定システムであって、
各測定装置は、
前記制御装置からの要求を受け付けると、各測定箇所における前記回転軸の軸振れを測定する測定部と、
測定された前記回転軸の軸振れの測定データを、各測定箇所に固有の識別情報と共に前記制御装置に送信する通信部と、を備え、
前記制御装置は、
ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部と、
ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部と、
各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する取得部と、
取得した前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報に対応付けて記憶する記憶部と、を備える、
振れ見測定システム。
【請求項2】
前記回転軸は、前記回転軸の外周面の同一円周上に周方向に等間隔で設けられた複数のマーカーを備え、
前記測定装置は、先端面が前記回転軸の外周面に接触し、前記回転軸が回転しているときに前記回転軸の外周面の位置に合わせて変位する接触子と、前記接触子の変位を読み取って前記接触子の変位データを出力するエンコーダと、を備える、
請求項1に記載の振れ見測定システム。
【請求項3】
前記回転軸には、各測定箇所において前記回転軸の外周面の同一円周上に周方向に等間隔で設けられた複数の測定点が設定され、各測定点は、前記回転軸に設けられた各マーカーと周方向において同一の位置に設定され、
前記制御装置の前記取得部は、各測定装置から取得した前記回転軸の軸振れの測定データに測定点に固有の識別情報を紐付け、
前記記憶部は、取得した前記回転軸の軸振れの測定データを測定箇所に固有の識別情報及び測定点に固有の識別情報に対応付けて記憶する、
請求項2に記載の振れ見測定システム。
【請求項4】
前記制御装置は、各測定装置から取得した前記回転軸の軸振れの測定値に基づいて、前記回転軸の偏心を調整するのに必要な前記回転軸の径方向の変位量である調整値を演算する演算部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の振れ見測定システム。
【請求項5】
各測定装置から取得した前記回転軸の軸振れの測定値と前記演算部で演算された前記回転軸の調整値とに基づいて、ユーザに振れ見測定の結果を報告する報告書を生成する報告書生成部をさらに備える、
請求項4に記載の振れ見測定システム。
【請求項6】
前記制御装置の前記操作部は、ユーザが足踏みで操作可能なフットスイッチである、
請求項1から5のいずれか1項に記載の振れ見測定システム。
【請求項7】
前記回転軸は、水のエネルギーを電気に変換する立軸水車発電機を構成する水車のシャフトと、前記水車にカップリングを介して連結された発電機のロータと、を備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の振れ見測定システム。
【請求項8】
回転軸に設定された測定箇所における前記回転軸の振れ幅を測定する測定装置であって、
通信可能に接続された制御装置からの要求を受け付けると、前記測定箇所における前記回転軸の軸振れを測定する測定部と、
測定された前記回転軸の軸振れの測定データを、前記測定箇所に固有の識別情報と共に前記制御装置に送信する通信部と、
を備える測定装置。
【請求項9】
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置に通信可能に接続された制御装置であって、
ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部と、
ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部と、
各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する取得部と、
取得した前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報に対応付けて記憶する記憶部と、
を備える制御装置。
【請求項10】
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置と、各測定装置に通信可能に接続された制御装置と、が実行する振れ見測定方法であって、
前記制御装置が、ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける工程と、
前記制御装置が、ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する工程と、
各測定装置が、前記制御装置からの要求を受け付けると、各測定箇所における前記回転軸の軸振れを測定する工程と、
各測定装置が、測定された前記回転軸の軸振れの測定データを、各測定箇所に固有の識別情報と共に前記制御装置に送信する工程と、
前記制御装置が、各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する工程と、
前記制御装置が、取得した前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報に対応付けて記憶する工程と、を含む、
振れ見測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の振れ見測定システム、測定装置、制御装置及び振れ見測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水車発電機の組立時には、回転軸を軸周りに回転させ、回転軸の軸振れを測定する振れ見測定(軸振れ測定)が行われている。振れ見測定では、回転軸を低速で回転させた状態で、回転軸の長手方向に間隔を空けて設定された複数の測定箇所にある各ダイヤルインジケータを各測定者が読み取る。このため、振れ見測定では、多くの人員が必要とされると共に、ダイヤルインジケータの読み取りにも必然的にバラツキが生じる。このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、渦電流式変位センサで回転軸の軸振れを測定し、軸振れの測定データをコンピュータに送信するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-83784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、回転軸の周方向に等間隔で複数の測定点を設定し、回転軸の測定点に対応する位置にマーキングを施している。そして、回転軸のマーキングを位置決めセンサで検知したタイミングで、渦電流式変位センサに振れ見測定の実行を指示している。このため、特許文献1のシステムでは、各位置決めセンサによるマーキングの検出に失敗したり、各位置決めセンサからの出力信号の送受信に遅れが生じたりすると、測定点からずれた位置で回転軸の軸振れを測定してしまう。そして、このような問題は、水車発電機の回転軸において軸振れを測定する場合に限られず、他の回転軸において軸振れを測定する場合にも存在している。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、回転軸の軸振れを正確に測定可能な回転軸の振れ見測定システム、測定装置、制御装置及び振れ見測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る振れ見測定システムは、
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置と、各測定装置に通信可能に接続された制御装置と、を備える振れ見測定システムであって、
各測定装置は、
前記制御装置からの要求を受け付けると、各測定箇所における前記回転軸の軸振れを測定する測定部と、
測定された前記回転軸の軸振れの測定データを、各測定箇所に固有の識別情報と共に前記制御装置に送信する通信部と、を備え、
前記制御装置は、
ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部と、
ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部と、
各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する取得部と、
取得した前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報に対応付けて記憶する記憶部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転軸の軸振れを正確に測定可能な回転軸の振れ見測定システム、測定装置、制御装置及び振れ見測定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る振れ見測定システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る水車発電機の構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る測定装置の配置を示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る回転軸の各測定箇所に設定された複数の測定点を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る測定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】(a)は、本発明の実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る測定値記憶部のデータテーブルの一例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係る報告書のデータテーブルの一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態に係る報告書の円グラフの一例を示す図である。
図9】(a)、(b)は、いずれも本発明の実施の形態に係る報告書の折れ線グラフの一例を示す図である。
図10】(a)、(b)は、いずれも本発明の実施の形態に係る測定値取得処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係る報告書生成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る回転軸の振れ見測定システム、測定装置、制御装置及び振れ見測定方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面では、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0010】
図1に示すように、振れ見測定システム1は、水車発電機10の回転軸11に設定された複数の測定箇所における回転軸11の軸振れを測定し、軸振れの測定データに基づいて所定の報告書を生成するシステムである。ユーザは、振れ見測定システム1が生成した報告書を参照することで、回転軸11の軸振れが許容値の範囲内であるか否か、回転軸11の位置調整が必要か否かを判断する。
【0011】
振れ見測定システム1は、各測定箇所で回転軸11の軸振れを測定する複数の測定装置100と、各測定装置100と通信可能に接続され、各測定装置100からの測定データを取得する制御装置200と、を備える。測定装置100と制御装置200とは、例えば、無線の通信回線を介して互いに通信可能に接続されている。
【0012】
回転軸11の軸振れは、円周振れとも呼ばれ、回転軸11を中心軸周りに回転させたとき、回転軸11の外周面が径方向にどれだけ振れるかを示す指標である。回転軸11の軸振れの測定箇所は、回転軸11の長手方向に間隔を空けて複数箇所に設定され、各測定箇所には、回転軸の外周面の変位量を測定する測定装置100が設置されている。各測定装置100は、回転軸11を低速で回転させた状態で測定者がフットスイッチSを操作すると、制御装置200から送信された制御信号をそれぞれ受信し、同一のタイミングで回転軸11の軸振れを測定する。
【0013】
図2に示すように、水車発電機10は、水力発電所の建屋内に設置され、水圧鉄管から供給された水のエネルギーを電気に変換する。水車発電機10は、例えば、回転軸11が立設した立軸水車発電機である。水車発電機10は、水のエネルギーを回転の運動エネルギーに変換する水車12と、水車12に機械的に接続され、水車12から伝達された回転の運動エネルギーを電気に変換する発電機13と、を備える。
【0014】
水車12は、例えば、フランシス水車である。水車12は、水の流れにより回転するランナー12aと、ランナー12aによって発生した回転を発電機へ伝えるシャフト12bと、を備える。発電機13は、例えば、三相交流同期発電機である。発電機は、ハウジングに固定されたステーター13aと、ステーター13aの内側で回転するロータ13bと、を備える。
【0015】
水車12のシャフト12bと発電機13のロータ13bとは、カップリング14を介して連結され、上下方向に延びる1本の回転軸11を構成する。発電機13のロータ13bは、ハウジングに固定されたスラスト軸受15により回転可能に支持されている。スラスト軸受15は、回転軸の長手方向に作用する力(スラスト)を受け止める軸受である。スラスト軸受15は、ハウジングに固定された固定板15aと、発電機13のロータ13bに固定され、固定板15aに対して回転する回転板15bと、を備える。
【0016】
図2に示すように、各測定装置100は、例えば、回転軸11の長手方向に離して設定された5つの測定箇所A~Eに設置されている。5つの測定箇所A~Eは、それぞれスラスト軸受15の上部、スラスト軸受15の下部、カップリング14の発電機13側、カップリング14の水車12側、水車12に設定されている。各測定装置100は、それぞれ測定者により指示された同一のタイミングで回転軸11の軸振れを測定するため、測定者がフットスイッチSを操作すると、5つの軸振れの測定値(瞬時値)が得られる。以下、測定箇所がA~Eの5つである場合を例に説明するが、上記の測定箇所の位置や数はあくまで一例であり、軸振れの測定箇所の位置や数は、水車発電機10の仕様に基づき設定される。
【0017】
図3に示すように、測定装置100は、その先端部が回転軸11に接触する接触子CNを備える接触式変位計であり、接触子CNが回転軸11に接触した状態で回転軸11の径方向に延びるように配置されている。各測定装置100は、例えば、マグネットベース16等を介して水車発電機10のハウジング17に対して着脱自在に固定されている。回転軸11の各測定箇所A~Eには、回転軸11の各測定点に対応する位置にマーカーM1、M2、M3、…、M8が付けられている。
【0018】
図4に示すように、測定点は、各測定箇所A~Eにおける回転軸11の軸振れを測定する位置であり、回転軸11の各測定箇所A~Eには、同一円周上にあって周方向に等間隔となるように複数の測定点が設定されている。各測定箇所A~Eに設定された測定点は、回転軸11の軸振れを測定する位置(角度)を互いに揃えるように、周方向に同一の位置(角度)に設定されている。例えば、図4の点線で示すように、各測定点m1は、測定箇所A~E毎に同一の位置(角度)に設定され、マーカーM1とも同一の位置(角度)に設定されている。1つの測定箇所における測定点の個数は、マーカーの個数に対応して、例えば、8個であり、各測定点は、互いに45°の角度で離して配置されている。
【0019】
図3に戻り、振れ見測定の際には、回転軸11を一定速度でゆっくりと回転させ、回転軸11のマーカーM1が測定装置100の接触子CNに接触したタイミングで、測定者が制御装置200のフットスイッチSを操作する。フットスイッチSが操作されると、制御装置200は、各測定装置100に向けて軸振れの測定を指示する。各測定装置100は、制御装置200からの指示を受け付けると、各測定箇所A~EにおけるマーカーM1に対応する測定点の軸振れを測定する。
【0020】
その後、回転軸11のマーカーM2、M3、…、M8が測定装置100の接触子CNに順次接触するため、測定者は、これらのタイミングで制御装置200のフットスイッチSを繰り返し操作する。このため、最初にフットスイッチSを操作した時点から回転軸11が1回転するまでの間に、測定者はフットスイッチを8回操作することになる。
【0021】
図5に示すように、測定装置100は、水車発電機10の回転軸11に設定された各測定箇所A~Eにおける回転軸11の軸振れを測定し、軸振れの測定データを制御装置200に向けてリアルタイムで送信する装置である。測定装置100は、例えば、送受信機能付きのダイヤルインジケータである。ダイヤルインジケータは、ダイヤルゲージとも呼ばれ、対象物に接触子CNの先端部を接触させ、接触子CNの並進移動を検知することで、ダイヤルインジケータから対象物までの距離の変位を測定する。
【0022】
測定装置100は、操作部110と、表示部120と、測定部130と、通信部140と、記憶部150と、制御部160と、を備える。測定装置100の各部は、内部バス(図示せず)を介して相互に接続されている。
【0023】
操作部110は、ユーザの指示を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部160に供給する。操作部110は、例えば、測定装置100のオンオフを指示する操作を受け付けるスイッチを備える。
【0024】
表示部120は、制御部160から供給されるデータに基づいて、ユーザに向けて各種の画像を表示する。表示部120は、例えば、回転軸11の軸振れの測定値をリアルタイムで表示する。
【0025】
測定部130は、制御部160からの制御信号に基づいて、回転軸11の軸振れを測定する。測定部130は、例えば、ダイヤルインジケータ本体であり、回転軸11に接触する接触子CNと、接触子CNの変位を検知し、検知した変位データを制御部160に供給するエンコーダと、を備える。
【0026】
通信部140は、例えば、インターネットのような通信ネットワークに接続することが可能なインターフェースである。通信部140は、例えば、制御装置200から測定開始を指示する旨の制御信号を受信し、振れ見測定の測定データをリアルタイムで制御装置200に送信する。通信部140は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介してダイヤルインジケータに接続された無線式の送受信機であってもよい。
【0027】
記憶部150は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリを備える。記憶部150は、制御部160で実行されるプログラムや各種のデータを記憶する。記憶部150には、各測定装置100が設置された測定箇所A~Eに関する識別情報を記憶する。また、記憶部150は、各種の情報等を一時的に記憶し、制御部160が処理を実行するためのワークメモリとしても機能する。
【0028】
制御部160は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを備え、測定装置100の各部の制御を行う。制御部160は、記憶部150に記憶されているプログラムを実行することにより、図10(b)の測定値取得処理を実行する。具体的には、制御部160は、制御装置200から測定開始の指示を受け付けると、測定部130を制御して、測定点における回転軸11の軸振れを測定させる。また、制御部160は、軸振れの測定データに記憶部150に記憶された測定箇所A~Eに関する識別情報を紐付けし、通信部140を制御して、測定箇所A~Eに関する識別情報に紐付けされた軸振れの測定データを制御装置200に向けてリアルタイムで送信させる送信部としても機能する。
以上が、測定装置100のハードウェア構成である。
【0029】
図6(a)に示すように、制御装置200は、各測定装置100から送信された軸振れの測定データを取得し、測定データに基づいて報告書を作成する。制御装置200は、例えば、汎用コンピュータである。制御装置200は、操作部210と、表示部220と、通信部230と、記憶部240と、制御部250と、を備える。制御装置200の各部は、内部バス(図示せず)を介して相互に接続されている。
【0030】
操作部210は、測定者の指示を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部250に供給する。操作部210は、例えば、マウス、キーボードを備える。また、操作部210は、例えば、軸振れの測定値を読み取るタイミングを指示する測定者(ユーザ)の操作を受け付けるフットスイッチSを備える。
【0031】
表示部220は、制御部250から供給される画像データに基づいて、測定者に向けて各種の画像を表示する。表示部220は、例えば、回転軸11の各測定箇所A~Eにおける軸振れの測定値を含む報告書を表示する。
【0032】
操作部210と表示部220とは、タッチパネルによって構成されてもよい。タッチパネルは、所定の操作を受け付ける操作画面を表示すると共に、操作画面において測定者が接触操作を行った位置に対応する操作信号を制御部250に供給する。
【0033】
通信部230は、例えば、インターネットのような通信ネットワークに接続することが可能なインターフェースである。通信部230は、例えば、ダイヤルインジケータから送信された測定値に関するデータを受信する。通信部230は、例えば、USBケーブルを介してコンピュータに接続された無線式の送受信機であってもよい。
【0034】
記憶部240は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクを備える。記憶部240は、制御部250で実行されるプログラムや各種のデータを記憶する。また、記憶部240は、各種の情報等を一時的に記憶し、制御部250が処理を実行するためのワークメモリとしても機能する。さらに、記憶部240は、測定値記憶部241と、報告書記憶部242と、を備える。
【0035】
図6(b)に示すように、測定値記憶部241は、回転軸11の軸振れの測定値を測定箇所A~Eの識別情報及び測定点の識別情報と対応付けて記憶する。測定箇所A~Eの識別情報は、回転軸11に設定された測定箇所A~E毎に固有の情報、言い換えると測定装置100毎に固有の情報である。
【0036】
測定点の識別情報は、各測定箇所A~Eに設定された測定点を識別するための固有の情報である。測定点は、例えば、m1、m2、…のように表現され、それぞれ回転軸11に設けられたマーカーM1、M2、…に対応している。測定点の識別情報は、制御装置200が測定開始時点から軸振れの測定データを受信した回数をカウントし、カウントされた回数に基づいて、m1、m2、…の順に設定すればよい。例えば、回転軸11のマーカーM1が接触子CNに接触したタイミングで測定者がフットスイッチSを操作した場合、制御装置200が受信した測定データの回数は1回目とカウントされるため、測定点に関する識別情報をm1に設定すればよい。
【0037】
制御部250は、CPU等のプロセッサを備え、制御装置200の各部の制御を行う。制御部250は、記憶部240に記憶されているプログラムを実行することにより、図10(a)の測定値取得処理及び図11の報告書生成処理を実行する。制御部250は、機能的には、取得部251と、演算部252と、報告書生成部253と、出力部254と、を備える。
【0038】
取得部251は、各測定装置100から送信され、測定箇所A~Eの識別情報に紐付けされた軸振れの測定値を取得し、各測定箇所A~Eの識別情報及び各測定点m1~m8の識別情報に対応付けて測定値記憶部241に記憶させる。また、取得部251は、軸振れの測定値を取得した回数をカウントし、カウントした回数に基づいて測定点の識別情報を設定する。取得部251は、測定者の指示を受け付けると、各測定装置100に向けて軸振れの測定を要求する信号を送信する送信部としても機能する。
【0039】
演算部252は、取得部251で取得した軸振れの測定値から、回転軸11の測定箇所A~E毎の各測定点m1~m8における軸振れの調整値を演算する。軸振れの調整値は、回転軸11の偏心を調整するのに必要な回転軸11の径方向の変位量である。例えば、上部軸受の測定点m1において軸振れの測定値が10/100mmであるとき、上部軸受の測定点m1に対応する位置にある測定点m5の調整値を5/100mmに設定すると、回転軸11の偏心を本来のあるべき位置に調整できる。
【0040】
報告書生成部253は、取得部251で取得した軸振れの測定値と演算部252で演算した軸振れの調整値とに基づいて、軸振れ測定の結果を示す報告書を生成する。報告書は、回転軸11の1回転分の測定値及び調整値が1つのシートに載せられ、例えば、図7のデータテーブル、図8の円グラフ及び図9の折れ線グラフを含む。報告書は、軸振れの測定開始からの回転軸11の回転数と等しい数のシートが生成される。
【0041】
図7に示すように、報告書のデータテーブルは、各測定箇所A~Eの測定点m1~m8における軸振れの測定値、軸振れの調整値、センサ(ダイヤルインジケータ)の読み値を含む。
【0042】
図8に示すように、報告書の円グラフは、測定値及び調整値の別に生成される。図8では、一例として軸受下部の円グラフを示しているが、この円グラフは、測定箇所A~E毎に作成される。軸振れの測定値の円グラフは、回転軸11がどの方向に偏心しているかを示す。図8の左側に示す軸受下部の円グラフでは、測定点m3~m6の方向に偏心していることが理解できる。また、軸振れの調整値の円グラフは、軸振れの測定値の円グラフで示される偏心を調整するのに、どの方向に回転軸11を調整すべきかを示す。図8の右側に示す軸受下部の円グラフでは、偏心を調整するのに測定点m7、m8、m1、m2の方向に位置調整が必要であると理解できる。
【0043】
図9(a)、(b)に示すように、報告書の折れ線グラフは、円グラフと同様に測定値及び調整値の別に生成される。図9(a)、(b)では、互いに対向する一対の測定点m1、m5の測定値、調整値を折れ線グラフで表現しているが、互いに対向する他の一対の測定点についても同様に折れ線グラフを作成する。この折れ線グラフでは、縦軸が回転軸11の長手方向を示し、横軸が互いに対向する一対の測定点を含む径方向を示す。このため、図9(a)の測定値の折れ線グラフは、互いに対向する一対の測定点を含む縦断面において回転軸11がどのように偏心しているかを示している。また、図9(b)の調整値の折れ線グラフは、互いに対向する一対の測定点を含む縦断面において回転軸11の偏心を調整するために回転軸11をどのように調整すべきかを示している。
【0044】
出力部254は、報告書生成部253で生成された報告書に関するデータを出力する。出力部254は、例えば、報告書生成部253で生成された報告書を表示部220に表示させる。
以上が、制御装置200のハードウェア構成である。
【0045】
(測定値取得処理)
以下、図10(a)及び(b)のフローチャートを参照して、測定装置100及び制御装置200が協働して実行する測定値取得処理の流れを説明する。測定値取得処理は、制御装置200が測定者の指示を受け付けると、各測定装置100が回転軸11の軸振れを測定し、制御装置200が各測定装置100から軸振れの測定データを取得して測定値記憶部241に記憶する処理である。
【0046】
測定値取得処理を実行する前に、作業者は、水車発電機10の回転軸11を人力で回転させる。具体的には、例えば、水車発電機10の回転軸11をジャッキアップし、スラスト軸受15の固定板15a及び回転板15bの間にある摺動面に十分な油膜を形成する。そして、4人程度の作業者が回転軸11の基端側に垂直に延びるアームを一斉に押すことで回転軸11を低速で回転させる。回転軸11が一度回り始めると、重量物に特有の回転慣性が作用するため、2人程度の作業者でも回転速度の安定した回転をキープできる。回転軸11の回転が安定すると、測定者は、測定装置100及び制御装置200を起動し、任意のタイミングで測定値取得処理を開始させる。
【0047】
測定者は、回転中の回転軸11の動きを観察し、マーカーM1が測定装置100の接触子CNに接触した場合に、制御装置200のフットスイッチSを押す。図10(a)に示すように、制御装置200の制御部250が操作部210からの操作信号を受け付けると(ステップS11)、制御部250は、各測定装置100に向けて軸振れの測定データを要求する旨の制御信号を送信する(ステップS12)。
【0048】
図10(b)に示すように、測定装置100の制御部160は、制御装置200からの要求を受け付けると(ステップS21)、測定部130を制御して軸振れの瞬時値を測定させる(ステップS22)。次に、制御部160は、測定データを各測定装置100の記憶部150に記憶された測定箇所A~Eの識別情報に紐付けし、通信部140を制御して、測定箇所A~Eの識別情報に紐付けされた測定データを制御装置200に向けてリアルタイムで送信させる(ステップS23)。
【0049】
図10(a)に戻り、制御装置200の制御部250は、各測定装置100から軸振れの測定データを受信すると(ステップS13)、ステップS13で受信した軸振れの測定データを、各測定箇所A~Eの識別情報及び各測定点m1~m8の識別情報のいずれかに対応付けて測定値記憶部241に記憶させる(ステップS14)。各測定点m1~m8の識別情報は、軸振れの測定開始時点からカウントした測定データの受信回数に応じて設定すればよい。
【0050】
次に、制御部250は、測定者による軸振れ測定終了の指示を受け付けたかどうかを判定する(ステップS15)。軸振れ測定終了のタイミングは、少なくとも全ての測定点m1~m8における軸振れを測定した時点である。回転軸11の各測定箇所A~Eには8個のマーカーM1~M8が付されているため、測定者は、回転軸11が1回転する間に、マーカーM2~M8が順番に測定装置100の接触子CNに接触するたび、フットスイッチSを操作する。軸振れ測定終了のタイミングは、例えば、回転軸11を1回転~5回転の範囲内で回転させた時点としてもよい。
【0051】
測定者による測定終了の指示を受け付けたと判定された場合(ステップS15;Yes)、処理を終了する。他方、測定者による測定終了の指示を受け付けていないと判定された場合(ステップS15;No)、処理をステップS11に戻す。
以上が、測定値取得処理の流れである。
【0052】
(報告書生成処理)
以下、図11のフローチャートを参照して、制御装置200が実行する報告書生成処理の流れを説明する。報告書生成処理は、図10の測定値取得処理で取得された軸振れの測定値に基づいて報告書を生成する処理である。報告書生成処理は、例えば、軸振れの測定値が測定値記憶部241に記憶され、図10の測定値取得処理の実行が終了した時点で開始される。
【0053】
まず、演算部252は、測定値記憶部241から測定値を読み取り、回転軸11の測定箇所A~E毎に、回転軸11の各測定点m1~m8における偏心を調整するための軸振れの調整値を演算する(ステップS31)。
【0054】
次に、報告書生成部253は、測定値記憶部241に記憶された測定値とステップS31の処理で演算された調整値とに基づいて、所定様式の報告書を生成する(ステップS32)。具体的には、報告書生成部253は、回転軸11の1回転分の測定値及び調整値に基づいて、図7のデータテーブル、図8に示す円グラフ及び図9に示す折れ線グラフを含むシートを生成する。軸振れ測定開始から回転軸11をn回転させ、軸振れの測定データを取得した場合には、各回転に対応するn個のシートが生成される。
【0055】
次に、報告書生成部253は、ステップS32で生成した報告書に関するデータを報告書記憶部242に記憶させる(ステップS33)。
【0056】
次に、出力部254は、ステップS32の処理で生成された報告書に関するデータを出力する(ステップS34)。例えば、出力部254は、ステップS32の処理で生成された報告書を表示部220に表示させる。
以上が、報告書生成処理の流れである。
【0057】
以上説明したように、実施の形態に係る振れ見測定システム1は、回転軸11に設定された複数の測定箇所A~Eにおける回転軸11の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置100と、各測定装置100に通信可能に接続された制御装置200と、を備える。
【0058】
測定装置100は、制御装置200からの要求を受け付けると、各測定箇所A~Eにおける回転軸11の軸振れを測定する測定部130と、測定された回転軸11の軸振れの測定データを、各測定箇所A~Eに固有の識別情報と共に制御装置200に送信する通信部140と、を備える。
【0059】
制御装置200は、測定者による回転軸11の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部210と、測定者から測定開始の指示を受け付けると、各測定装置100に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部230と、各測定装置100から送信された回転軸11の軸振れの測定データを各測定箇所A~Eに固有の識別情報と共に取得する取得部251と、取得した回転軸11の軸振れの測定データを各測定箇所A~Eに固有の識別情報に対応付けて記憶する記憶部240と、を備える。
【0060】
このため、1人の測定員が操作部210の操作を行うことで、回転軸11に設定された複数の測定箇所A~Eにそれぞれ設置された複数の測定装置100から同じタイミングで測定された回転軸11の軸振れの測定データを得ることができ、その結果として回転軸11の複数の測定箇所A~Eにおいて各測定点m1~m8における軸振れを正確に測定できると共に、振れ見測定に必要な人員を大幅に抑制できる。
【0061】
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0062】
(変形例)
上記実施の形態では、測定装置100としてダイヤルインジケータを用いていたが、本発明はこれに限られない。例えば、測定装置100として他の接触式変位計を用いてもよく、レーザ変位計、光変位計のような非接触式変位計を用いてもよい。
【0063】
上記実施の形態では、測定者がコンピュータに接続されたフットスイッチSを操作することで、各測定装置100に軸振れの測定を指示していたが、本発明はこれに限られない。測定者が各測定装置100に軸振れの測定を指示する操作手段は測定者が操作可能な他の手段であってもよい。例えば、制御装置200を構成するコンピュータに接続された押しボタンであってもよく、測定者が操作可能なコンピュータ上のタッチパネルであってもよい。
【0064】
上記実施の形態では、測定データの取得回数に基づいて各測定点m1~m8の識別情報を設定していたが、本発明はこれに限られない。例えば、測定者によるフットスイッチSの操作回数に基づいて各測定点m1~m8の識別情報を設定してしてもよい。
【0065】
上記実施の形態では、回転軸11の各測定箇所A~Eに8個のマーカーM1~M8が設けられていたが、本発明はこれに限られない。例えば、回転軸11のマーカーは、測定者が立ち入り可能な測定箇所に限って設けられていてもよい。また、回転軸11のマーカーの数は8個に限られず、発電機の仕様などを考慮して任意の数に設定される。
【0066】
上記実施の形態では、接触子CNと各マーカーM1~M8が回転軸11の同一円周上に配置されていたが、本発明はこれに限られない。各マーカーM1~M8の位置(角度)が接触子CNの先端部の位置に一致したタイミングをユーザが判別可能であれば、マーカーM1~M8は回転軸11の任意の位置に付されてもよく、回転軸11に取り付けられ、回転軸11と一体に回転するアタッチメント上に付されてもよい。
【0067】
上記実施の形態では、測定装置100と制御装置200とは、無線の通信回線を介して互いに通信可能に接続されていたが、本発明はこれに限られない。例えば、測定装置100と制御装置200とは、通信用のケーブルを介して互いに通信可能に接続されてもよい。
【0068】
上記実施の形態では、測定装置100、制御装置200の記憶部140、240に各種データが記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各種データは、その全部又は一部が通信ネットワークを介して外部の制御装置やコンピュータ等に記憶されていてもよい。
【0069】
上記実施の形態では、測定装置100、制御装置200は、それぞれ記憶部140、240に記憶されたプログラムに基づいて動作していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、プログラムにより実現された機能的な構成をハードウェアにより実現してもよい。
【0070】
上記実施の形態では、測定装置100、制御装置200は、例えば、汎用コンピュータであったが、本発明はこれに限られない。例えば、測定装置100、制御装置200は、クラウド上に設けられたコンピュータで実現してもよい。
【0071】
上記実施の形態では、測定装置100、制御装置200が実行する処理は、上述の物理的な構成を備える装置が記憶部140、240に記憶されたプログラムを実行することによって実現されていたが、本発明は、プログラムとして実現されてもよく、そのプログラムが記録された記憶媒体として実現されてもよい。
【0072】
また、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical Disk)等のコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理動作を実行する装置を構成してもよい。
【0073】
上記実施の形態では、振れ見測定システム1を立軸水車発電機に適用していたが、本発明はこれに限られない。例えば、振れ見測定システム1を立軸水車発電機以外の立軸機に適用してもよく、火力発電所の発電機や船舶タービンのような横軸機に適用してもよい。
【0074】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 振れ見測定システム
11 回転軸
100 測定装置
130 測定部
140 通信部
160 制御部
200 制御装置
210 操作部
230 通信部
240 記憶部
250 制御部
251 取得部
252 演算部
253 報告書生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-11-19
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、回転軸の振れ見測定システム、制御装置及び振れ見測定方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、回転軸の軸振れを正確に測定可能な回転軸の振れ見測定システム、制御装置及び振れ見測定方法を提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る振れ見測定システムは、
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置と、各測定装置に通信可能に接続された制御装置と、を備える振れ見測定システムであって、
各測定装置は、
前記制御装置からの要求を受け付けると、各測定箇所における前記回転軸の軸振れを測定する測定部と、
測定された前記回転軸の軸振れの測定データを、各測定箇所に固有の識別情報と共に前記制御装置に送信する通信部と、を備え、
前記制御装置は、
ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部と、
ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部と、
各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する取得部と、
前記取得部で取得した測定装置毎の前記回転軸の軸振れの測定値に基づいて、ユーザに振れ見測定の結果を報告する報告書を生成する報告書生成部と、を備え、
前記報告書生成部は、前記回転軸の各測定箇所において前記回転軸の外周面の同一円周上で互いに対向するように設定された一対の測定点毎に、前記回転軸の長手方向の位置を縦軸、前記回転軸の振れ幅の測定値を横軸とする折れ線グラフを生成する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明によれば、回転軸の軸振れを正確に測定可能な回転軸の振れ見測定システム、制御装置及び振れ見測定方法を提供できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置と、各測定装置に通信可能に接続された制御装置と、を備える振れ見測定システムであって、
各測定装置は、
前記制御装置からの要求を受け付けると、各測定箇所における前記回転軸の軸振れを測定する測定部と、
測定された前記回転軸の軸振れの測定データを、各測定箇所に固有の識別情報と共に前記制御装置に送信する通信部と、を備え、
前記制御装置は、
ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部と、
ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部と、
各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する取得部と、
前記取得部で取得した測定装置毎の前記回転軸の軸振れの測定値に基づいて、ユーザに振れ見測定の結果を報告する報告書を生成する報告書生成部と、を備え、
前記報告書生成部は、前記回転軸の各測定箇所において前記回転軸の外周面の同一円周上で互いに対向するように設定された一対の測定点毎に、前記回転軸の長手方向の位置を縦軸、前記回転軸の振れ幅の測定値を横軸とする折れ線グラフを生成する、
振れ見測定システム。
【請求項2】
前記回転軸は、前記回転軸の外周面の同一円周上に周方向に等間隔で設けられた複数のマーカーを備え、
前記測定装置は、先端面が前記回転軸の外周面に接触し、前記回転軸が回転しているときに前記回転軸の外周面の位置に合わせて変位する接触子と、前記接触子の変位を読み取って前記接触子の変位データを出力するエンコーダと、を備える、
請求項1に記載の振れ見測定システム。
【請求項3】
前記制御装置は、取得した前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報に対応付けて記憶する記憶部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の振れ見測定システム。
【請求項4】
前記回転軸には、各測定箇所において前記回転軸の外周面の同一円周上に周方向に等間隔で設けられた複数の測定点が設定され、各測定点は、前記回転軸に設けられた各マーカーと周方向において同一の位置に設定され、
前記制御装置の前記取得部は、各測定装置から取得した前記回転軸の軸振れの測定データに測定点に固有の識別情報を紐付け、
前記記憶部は、取得した前記回転軸の軸振れの測定データを測定箇所に固有の識別情報及び測定点に固有の識別情報に対応付けて記憶する、
請求項に記載の振れ見測定システム。
【請求項5】
前記制御装置は、各測定装置から取得した前記回転軸の軸振れの測定値に基づいて、前記回転軸の偏心を調整するのに必要な前記回転軸の径方向の変位量である調整値を演算する演算部をさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の振れ見測定システム。
【請求項6】
前記報告書生成部は、前記演算部で演算された前記回転軸の調整値に基づいて、ユーザに振れ見測定の結果を報告する報告書を生成する
求項に記載の振れ見測定システム。
【請求項7】
前記制御装置の前記操作部は、ユーザが足踏みで操作可能なフットスイッチである、
請求項1からのいずれか1項に記載の振れ見測定システム。
【請求項8】
前記回転軸は、水のエネルギーを電気に変換する立軸水車発電機を構成する水車のシャフトと、前記水車にカップリングを介して連結された発電機のロータと、を備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の振れ見測定システム。
【請求項9】
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置に通信可能に接続された制御装置であって、
ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける操作部と、
ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する通信部と、
各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する取得部と、
前記取得部で取得した測定装置毎の前記回転軸の軸振れの測定値に基づいて、ユーザに振れ見測定の結果を報告する報告書を生成する報告書生成部と、を備え、
前記報告書生成部は、前記回転軸の各測定箇所において前記回転軸の外周面の同一円周上で互いに対向するように設定された一対の測定点毎に、前記回転軸の長手方向の位置を縦軸、前記回転軸の振れ幅の測定値を横軸とする折れ線グラフを生成する、
制御装置。
【請求項10】
回転軸に設定された複数の測定箇所における前記回転軸の振れ幅をそれぞれ測定する複数の測定装置と、各測定装置に通信可能に接続された制御装置と、が実行する振れ見測定方法であって、
前記制御装置が、ユーザによる前記回転軸の軸振れの測定開始の指示を受け付ける工程と、
前記制御装置が、ユーザから測定開始の指示を受け付けると、各測定装置に軸振れの測定を要求する旨の制御信号を送信する工程と、
各測定装置が、前記制御装置からの要求を受け付けると、各測定箇所における前記回転軸の軸振れを測定する工程と、
各測定装置が、測定された前記回転軸の軸振れの測定データを、各測定箇所に固有の識別情報と共に前記制御装置に送信する工程と、
前記制御装置が、各測定装置から送信された前記回転軸の軸振れの測定データを各測定箇所に固有の識別情報と共に取得する工程と、
前記制御装置が、取得した測定装置毎の前記回転軸の軸振れの測定値に基づいて、ユーザに振れ見測定の結果を報告する報告書を生成する工程と、を含み、
前記報告書を生成する工程では、前記回転軸の各測定箇所において前記回転軸の外周面の同一円周上で互いに対向するように設定された一対の測定点毎に、前記回転軸の長手方向の位置を縦軸、前記回転軸の振れ幅の測定値を横軸とする折れ線グラフを生成する
振れ見測定方法。