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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050050
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】カップ部を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/00 20060101AFI20220323BHJP
   A41C 3/12 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A41C3/00 A
A41C3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156416
(22)【出願日】2020-09-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年8月3日、https://www.wacoal.jp/item/disp/detail.html?GOODS_CD=BHK140&SEASON_CD=20AW&COLOR_ID=KA (サイト 1)、 https://www.wacoal.jp/gra-p/series/style_kirei.html (サイト 2)で公開されている株式会社ワコールのウェブサイトにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大塚 結郁
(72)【発明者】
【氏名】石牧 由英
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA11
3B131AB03
3B131AB04
3B131AB06
3B131BA21
3B131BA22
3B131BA33
3B131BA41
3B131BB22
(57)【要約】
【課題】バストの保形性を実現する。
【解決手段】ブラジャー1は、一対のカップ部2と、左右一対のカップ部2の脇側にそれぞれ接続し、背面に配設される一対のバック部3と、左右一対のカップ部2を上側に引き上げ、背側に配設された一対のバック部3に着用者の肩を超えて接続する一対の肩ストラップ部5と、左右一対のカップ部2の間に設けられ、上辺がV字形状に形成される前中心土台部6と、右カップ部2Rの上辺に接続するとともに、左カップ部2Lのカップくり22LおよびV字形状の左辺61Lに接続し、右肩ストラップ部5Rから引かれる右カップ引き上げ部8Rと、左カップ部2Lの上辺に接続するとともに、右カップ部2Rのカップくり22RおよびV字形状の右辺61Rに接続し、左肩ストラップ部5Lから引かれる左カップ引き上げ部8Lで形成される一対のカップ引き上げ部8を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のカップ部と、
前記左右一対のカップ部の脇側にそれぞれ接続し、背面に配設される一対のバック部と、
前記左右一対のカップ部を上側に引き上げ、背側に配設された前記一対のバック部に着用者の肩を超えて接続する一対の肩ストラップ部と、
前記左右一対のカップ部の間に設けられ、上辺がV字形状に形成される前中心土台部と、
右カップ部の上辺に接続するとともに、左カップ部のカップくりおよび前記V字形状の左辺に接続し、右肩ストラップ部から引かれる右カップ引き上げ部と、左カップ部の上辺に接続するとともに、右カップ部のカップくりおよび前記V字形状の右辺に接続し、左肩ストラップ部から引かれる左カップ引き上げ部で形成される一対のカップ引き上げ部
を備えるカップ部を有する衣類。
【請求項2】
前記カップ引き上げ部は、伸縮部材で形成され、
前記右カップ引き上げ部と前記左カップ引き上げ部は、互いに遊離可能に形成される
請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項3】
前記右カップ引き上げ部の長手方向は、前記V字形状の左辺に対して略直交するように形成され、
前記左カップ引き上げ部の長手方向は、前記V字形状の右辺に対して略直交するように形成される
請求項1または2に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項4】
前記右カップ引き上げ部は、前記右カップ部に近い長手方向の伸縮性よりも、前記左カップ部のカップくりに接続する部分の長手方向の伸縮性の方が高く、
前記左カップ引き上げ部は、前記左カップ部に近い長手方向の伸縮性よりも、前記右カップ部のカップくりに接続する部分の長手方向の伸縮性の方が高い
請求項1または2に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項5】
前記右カップ引き上げ部は、前記左カップ部のカップくりと、前記左カップ部のカップくりまで延伸する前記V字形状の左辺との重なり部分に接続し、
前記左カップ引き上げ部は、前記右カップ部のカップくりと、前記右カップ部のカップくりまで延伸する前記V字形状の右辺との重なり部分に接続する
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項6】
前記左カップ部のカップくり、前記V字形状の左辺および前記右カップ引き上げ部に接続する右カップ引き上げ補強部と、
前記右カップ部のカップくり、前記V字形状の右辺および前記左カップ引き上げ部に接続する左カップ引き上げ補強部
をさらに備える請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項7】
着用時において前記一対のカップ引き上げ部が、前記一対のカップ部を引き上げる際、前記一対のカップ部の前中心側のカップくりの形状が維持されるように形成される
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項8】
前記前中心土台部のせん断剛性が、4.5~27.0gf/cm・degの範囲内(44.1~264.6mN/cm・degの範囲内)にある
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ部を有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラジャーなどのカップ部を有する衣類に求められる機能として、バストの保形性がある。またバージスラインにワイヤーを収容することにより、バストを持ち上げるように支え、バストの保形性を向上させる効果がある。
【0003】
一方、着け心地の楽さから、ノンワイヤーのブラジャーが好まれる場合もある。しかしながら、ノンワイヤーのブラジャーは、ワイヤーが収納されたブラジャーと比べて、バストの保形性が劣る場合がある。
【0004】
例えば、カップ布またはカップ下布を前中心で交差させ、交差部を固着させないことで、運動に伴ってバストが自由に動くように形成するスポーツブラジャーがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実全昭53-054222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のブラジャーでは、運動に伴ってバストが自由に動くように形成されるのでカップ部を着用者に密着させることができず、バストの保形性を担保できない場合がある。
【0007】
従って本発明の目的は、ワイヤーが収容されていないカップ部を有する衣類において、バストの保形性を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の特徴は、左右一対のカップ部と、左右一対のカップ部の脇側にそれぞれ接続し、背面に配設される一対のバック部と、左右一対のカップ部を上側に引き上げ、背側に配設された一対のバック部に着用者の肩を超えて接続する一対の肩ストラップ部と、左右一対のカップ部の間に設けられ、上辺がV字形状に形成される前中心土台部と、右カップ部の上辺に接続するとともに、左カップ部のカップくりおよびV字形状の左辺に接続し、右肩ストラップ部から引かれる右カップ引き上げ部と、左カップ部の上辺に接続するとともに、右カップ部のカップくりおよびV字形状の右辺に接続し、左肩ストラップ部から引かれる左カップ引き上げ部で形成される一対のカップ引き上げ部を備える。
【0009】
カップ引き上げ部は、伸縮部材で形成され、右カップ引き上げ部と左カップ引き上げ部は、互いに遊離可能に形成されても良い。
【0010】
右カップ引き上げ部の長手方向は、V字形状の左辺に対して略直交するように形成され、左カップ引き上げ部の長手方向は、V字形状の右辺に対して略直交するように形成されても良い。
【0011】
右カップ引き上げ部は、右カップ部に近い長手方向の伸縮性よりも、左カップ部のカップくりに接続する部分の長手方向の伸縮性の方が高く、左カップ引き上げ部は、左カップ部に近い長手方向の伸縮性よりも、右カップ部のカップくりに接続する部分の長手方向の伸縮性の方が高く形成されても良い。
【0012】
右カップ引き上げ部は、左カップ部のカップくりと、左カップ部のカップくりまで延伸するV字形状の左辺との重なり部分に接続し、左カップ引き上げ部は、右カップ部のカップくりと、右カップ部のカップくりまで延伸するV字形状の右辺との重なり部分に接続しても良い。
【0013】
左カップ部のカップくり、V字形状の左辺および右カップ引き上げ部に接続する右カップ引き上げ補強部と、右カップ部のカップくり、V字形状の右辺および左カップ引き上げ部に接続する左カップ引き上げ補強部をさらに備えても良い。
【0014】
着用時において一対のカップ引き上げ部が、一対のカップ部を引き上げる際、一対のカップ部の前中心側のカップくりの形状が維持されるように形成されても良い。
【0015】
前中心土台部のせん断剛性が、4.5~27.0gf/cm・degの範囲内(44.1~264.6mN/cm・degの範囲内)にあっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワイヤーが収容されていないカップ部を有する衣類において、バストの保形性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るブラジャーを平置きにして、肌側から観察した状態を説明する模式図である。
図2】本発明の実施の形態に係るブラジャーを着用して、表側から観察した状態を説明する図である。
図3】本発明の実施の形態に係るブラジャーを平置きにして、前中心近傍を肌側から観察した状態を説明する模式図である(カップ上辺接続部なし)。
図4】一般的なブラジャーを平置きにして、前中心近傍を肌側から観察した状態を説明する模式図である。
図5】本発明の実施の形態に係るブラジャーを平置きにして、前中心近傍を肌側から観察した状態を説明する模式図である(カップ上辺接続部あり)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0019】
なお、本発明の実施の形態において上下左右等の方向は、特別な説明がない限り、ブラジャー1を着用者が着用した状態を基準に説明する。また右左等の方向は、図1に示すようにブラジャー1の肌側を観察した状態を基準に説明する。本発明の実施の形態において、着用者から見て右側の部分の符号の末尾にRが、左側の部分の符号の末尾にLがつくが、左右一対の部分について説明する際は、LまたはRがつかない場合がある。
【0020】
(実施の形態)
図1を参照して本発明の実施の形態に係るブラジャー1を説明する。ブラジャー1は、カップ部を有する衣類の一例であって、バージスラインにワイヤーを装着しないノンワイヤータイプである。ブラジャー1は左右対称に形成される。
【0021】
ブラジャー1は、左右一対のカップ部2、左右一対のバック部3、左右一対のバック接続部4、左右一対の肩ストラップ部5、前中心土台部6および左右一対のカップ引き上げ部8を備える。
【0022】
カップ部2は、それぞれ左右のバストを立体的に被覆し、側面視および上面視において釣鐘形状を有する。カップ部2は、保形性を有し、バストを収容することでバストのシルエットを整える。本発明の実施の形態において右カップ部2Rと左カップ部2Lとは、離して設けられる。カップ部2は、保形性の高い生地を縫い合わせて釣鐘形状に形成される場合を説明するが、これに限らない。例えば、ウレタン等をモールド成形することにより、カップ部2の釣鐘形状が形成されても良い。
【0023】
本発明の形態においてカップ部2の肌側に、持ち上げ布21が配設される。持ち上げ布21は、カップ部2のカップくり22に接続し、上辺は、前中心下側から脇上側にかけて形成される。持ち上げ布21により、バストを前中心側に持ち上げ、バストのボリュームを上方に移動し、前中心側に寄せることが可能になる。また持ち上げ布21により、カップくり22が広がることなく、カップ部2の形状を保持することが可能になる。
【0024】
一対のカップ部2のカップくり22は、着用時において左右一対のカップ引き上げ部8が一対のカップ部2をそれぞれ引き上げる際、一対のカップ部2の前中心側の形状が維持される部材で形成される。例えば、カップくり22に、伸縮性の低いテープ等の生地を重ねて縫着されることにより、固く形成される。カップくり22を固く形成することで、ノンワイヤーのブラジャーであっても、カップくり22がバージスラインを支え、バストを持ち上げることが可能になる。またカップ部2の前中心側の形状が維持されることにより、着用時においてカップ部2の形状を維持し、バストの保形性を実現することができる。
【0025】
一対のカップ部2の上辺にカップ上辺接続部23が形成される。カップ上辺接続部23は、左右一対のカップ部2の上辺に沿って、カップ部2にそれぞれ接続する。またカップ上辺接続部23は、左右一対のカップ部2の間に形成される前中心土台部6の上辺において、V字形状を形成して、前中心土台部6に接続する。
【0026】
左右一対のカップ部2から脇テープ部24、上テープ部25および接続部26が延伸し、カップ部2は、脇テープ部24、上テープ部25および接続部26を介して肩ストラップ部5に接続する。脇テープ部24は、カップ部2の脇に設けられ、伸縮性を有する。上テープ部25の下端は、カップ部2の上辺における、カップ部2の上辺の脇側の端および前中心側の端部のそれぞれから離れた位置に設けられる。上テープ部25は、その下端の位置から上方に延伸し、伸縮性を有する。脇テープ部24、上テープ部25およびカップ部2に囲われる接続部26に、パワーネット、マーキゼットなどの滑らかな生地が配設される。脇テープ部24、上テープ部25および接続部26は、一体となって、ゆるやかにカップ部2を持ち上げる。
【0027】
また脇テープ部24は、カップ部2の脇を経由してカップくり22に接続する。肩ストラップ部5からの引き上げにより、脇テープ部24は、カップ部2のカップくり22を引き上げる。
【0028】
バック部3は、左右一対のカップ部2の脇側にそれぞれ接続し、背面に配設される。バック部3は、背中心近傍において、バック接続部4によって左右一対のバック部3が着脱可能に形成される。バック部3は、ブラジャー1を着用者の胴体に巻き付くことにより、カップ部2を着用者のバストを安定して収容する。他の実施例として、一体形成されたバック部が左右一対のカップ部2の脇側に接続し、着用者は、ブラジャー1を被って着用しても良い。
【0029】
また本発明の実施の形態においてバック部3は、パワーネット、伸縮性のあるレースなどの滑らかに伸縮する生地で形成される。バック部3の上辺において、生地を折り返して輪状のワサが形成されても良い。これにより、バック部3による肌当たりが良く、肌の弱い着用者に好適である。
【0030】
バック部3の脇線近傍において、長手方向が上下方向となる骨材が収容される骨材収容部31が形成されても良い。骨材収容部31が収容する骨材は、バック部3が上下方向の折れを防ぐことで、着用時のバック部3の高さを確保し、より広い範囲で脇肉を押さえることができる。
【0031】
左右一対のバック接続部4は、左右一対のバック部3の端部に接続し、左右一対のバック部3を、背側で接続する。左バック接続部4Lの表側に輪(図示せず)が形成され、右バック接続部4Rの肌側に設けられた係止部を輪に引っかけることにより、左右一対のバック接続部4は、一対のバック部3を着脱可能に接続する。
【0032】
肩ストラップ部5は、左右一対のカップ部2を上側に引き上げ、背側に配設された一対のバック部3に着用者の肩を超えて接続する。肩ストラップ部5は、背側でバック部3の上辺に接続する。本発明の実施の形態に係る肩ストラップ部5は、カップ部2から延伸する脇テープ部24および上テープ部25を介してカップ部2を持ち上げる。肩ストラップ部5は、エイト鐶(図示せず)により長さを調節可能に形成されても良い。
【0033】
本発明の実施の形態におい肩ストラップ部5は、脇テープ部24、上テープ部25および接続部26を介してカップ部2に接続する場合を説明するが、これに限らない。肩ストラップ部5がカップ部2を引き上げ可能であればよく、肩ストラップ部5がカップ部2に接続しても良い。
【0034】
前中心土台部6は、左右一対のカップ部2の間に設けられ、上辺がV字形状に形成される。前中心土台部6の上辺は、2つの辺で形成され、2つの辺のそれぞれの一方の端部は下方で接続し、それぞれのもう一方の端部は互いに離れるように配設されることによりV字形状に形成される。
【0035】
前中心土台部6は、左右分離して形成された左右一対のカップ部2の間に配設され、左右一対のカップ部2を接続する。V字形状の左辺61Lの脇側は、左カップ部2Lのカップくり22L、より具体的にはカップくり22Lとカップ上辺とが交わる前中心側の端部に形成される。V字形状の右辺61Rの脇側は、右カップ部2Rのカップくり22R、より具体的には、カップくり22Rとカップ上辺とが交わる前中心側の端部に形成される。V字形状の左辺61Lと右辺61Rが交わり鋭角を形成する下端は、前中心上に形成される。
【0036】
前中心土台部6は、張りコシの強い部材で形成される。前中心土台部6のせん断剛性が、4.5~27.0gf/cm・degの範囲内(44.1~264.6mN/cm・degの範囲内)にあることが好ましい。せん断剛性は、着用時の水平方向(図1の左右方向)の値である。せん断剛性は、有効試料の大きさが20cm×5cmとなるように試料をチャックし、強制荷重を5gf/cm(49.0mN/cm)として、最大せん断角度が±4°、せん断ずり速度が0.417mm/secの条件で測定した値である。この測定試験機として、カトーテック株式会社製のKES-FB1(引張り・せん断試験機)を用いることができる。
【0037】
前中心土台部6が張りコシの強い部材で形成されることにより、カップ引き上げ部8等により前中心土台部6が引かれても、形が崩れることがない。前中心近傍部分におけるバストの立ち上がりに合わせてブラジャー1を立体的に形成し、バストの保形性を実現することができる。
【0038】
前中心土台部6、カップ部2およびバック部3の下側に、例えばゴムで形成される下辺テープ部7が配設される。下辺テープ部7は、着用者の胴体に巻き付き、ブラジャー1を安定的に胴体に配設する。
【0039】
(カップ引き上げ部)
カップ引き上げ部8は、右カップ引き上げ部8Rと左カップ引き上げ部8Lで形成される。
【0040】
右カップ引き上げ部8Rは、右カップ部2Rの上辺に接続するとともに、左カップ部2Lのカップくり22LおよびV字形状の左辺61Lに接続し、右肩ストラップ部5Rから引かれる。左辺61Lは、前中心土台部6の上辺のV字形状部分の左辺である。右カップ引き上げ部8Rは、左カップ部2Lのカップくり22L、右カップ部2Rの上辺、および右側の上テープ部25に接続し、着用時に上テープ部25を介して肩ストラップ部5から上方に引かれる。
【0041】
同様に左カップ引き上げ部8Lは、左カップ部2Lの上辺に接続するとともに、右カップ部2Rのカップくり22RおよびV字形状の右辺61Rに接続し、左肩ストラップ部5Lから引かれる。右辺61Rは、前中心土台部6の上辺のV字形状部分の右辺である。左カップ引き上げ部8Lは、右カップ部2Rのカップくり22R、左カップ部2Lの上辺、および左側の上テープ部25に接続し、着用時に上テープ部25を介して肩ストラップ部5から上方に引かれる。
【0042】
これにより右カップ引き上げ部8Rは、右カップ部2Rおよび左カップ部2Lのみならず前中心土台部6の左辺61Lを右側に引き上げる。左カップ引き上げ部8Lは、左カップ部2Lおよび右カップ部2Rのみならず前中心土台部6の右辺61Rを左側に引き上げる。これにより、前中心土台部6の上辺が、前中心方向に寄せられるので、左右のカップ部2は、前中心土台部6が前中心方向に寄せられるパワーも利用して、前中心方向に寄ることが可能になる。
【0043】
右カップ引き上げ部8Rは、肩ストラップ部5の引き上げ力により、左カップ部2Lのカップくり22Lを着用者の体に寄せながら上方向に持ち上げ、さらには、前中心土台部6の上辺の左辺61Lも着用者の体に寄せながら前中心方向に寄せる。同様に左カップ引き上げ部8Lは、肩ストラップ部5の引き上げ力により、右カップ部2Rのカップくり22Rを着用者の体に寄せながら上方向に持ち上げ、さらには、前中心土台部6の上辺の右辺61Rも着用者の体に寄せながら前中心方向に寄せる。これによりカップ引き上げ部8は、カップ部2の着用者への密着を向上させることができる。
【0044】
また右カップ引き上げ部8Rと左カップ引き上げ部8Lは、互いに遊離可能に形成される。右カップ引き上げ部8Rと左カップ引き上げ部8Lは、左カップ部2Lのカップくり22Lと右カップ部2Rのカップくり22Rを、それぞれ非同期に持ち上げることが可能となる。例えば着用者の動きが生じても、カップ部2を着用者に密着しながら、右カップ部2Rおよび左カップ部2Lは、肩ストラップ部5およびカップ引き上げ部8により、それぞれ引き上げられることができる。
【0045】
また左カップ部2Lのカップくり22Lは、脇側を、左側の脇テープ部24等を介して左肩ストラップ部5Lにより引き上げ、前中心側を、右カップ引き上げ部8Rを介して右肩ストラップ部5Rにより引き上げる。同様に右カップ部2Rのカップくり22Rは、脇側を、右側の脇テープ部24等を介して右肩ストラップ部5Rにより引き上げ、前中心側を、左カップ引き上げ部8Lを介して左肩ストラップ部5Lにより引き上げる。このように左右一対のカップ部は、それぞれ左右一対の肩ストラップ部5により引き上げられるので、バストを持ち上げることが可能になる。
【0046】
カップ引き上げ部8は、伸縮性を有するパワーネット、レース等形成される。これにより、バストの丸みをつぶすことなく、カップ部2を肩ストラップ部5で引き上げることが可能になる。
【0047】
また右カップ引き上げ部8Rは、右カップ部2Rに近い長手方向の伸縮性よりも、左カップ部2Lのカップくり22Lに接続する部分の長手方向の伸縮性の方が高く、左カップ引き上げ部8Lは、左カップ部2Lに近い長手方向の伸縮性よりも、右カップ部2Rのカップくり22Rに接続する部分の長手方向の伸縮性の方が高くなるように形成されても良い。例えば、カップ引き上げ部8を形成する生地の上方の寸法を、体に対して短く設定することにより、上辺に伸縮性を持たせても良い。このときカップ引き上げ部8を形成する生地の上方は、さらに左右方向に引き伸ばして縫製されても良い。またカップ引き上げ部8は、上方において伸縮しやすい部材を用いても良い。カップ引き上げ部8の伸縮性は、そのほかの方法で実現されても良い。
【0048】
右カップ引き上げ部8Rは、長手方向(右カップ部2Rの上辺と略平行な方向)において、右カップ部2Rの上辺に近い部分よりも、遠い部分において、伸縮性が高くなるように形成される。右カップ引き上げ部8Rが接続する前中心土台部6の左辺61Lにおいて、前中心から遠い部分(左辺61Lの脇側)を通る長手方向が、右カップ部2Rの上辺に沿う長手方向よりも、伸縮しにくい。
【0049】
左カップ引き上げ部8Lは、長手方向(左カップ部2Lの上辺と略平行な方向)において、左カップ部2Lの上辺に近い部分よりも、遠い部分において、伸縮性が高くなるように形成される。左カップ引き上げ部8Lが接続する前中心土台部6の右辺61Rにおいて、前中心から遠い部分(右辺61Rの脇側)を通る長手方向が、左カップ部2Lの上辺に沿う長手方向よりも、伸縮しやすい。
【0050】
これにより、カップ引き上げ部8は、バストの丸みを潰すことなく、効率的に前中心土台部6の上辺を前中心側に寄せることができる。なお、カップ引き上げ部8の上方に、レース等の装飾が設けられても良い。
【0051】
また図1に示す例において、左カップ引き上げ部8Lが、右カップ引き上げ部8Rよりも上側(肌側)に位置しているが、左カップ引き上げ部8Lおよび右カップ引き上げ部8Rの上下関係は問わない。
【0052】
カップ引き上げ部8は、下方においてカップ部2に接続し、上方において、生地を折り返して輪状のワサが形成されても良い。これにより、カップ引き上げ部8による肌当たりが良く、肌の弱い着用者に好適である。
【0053】
カップ引き上げ部8は、カップ引き上げ補強部9を備えても良い。カップ引き上げ補強部9は、例えばゴムで形成される。右カップ引き上げ補強部9Rは、左カップ部2Lのカップくり22L、前中心土台部6のV字形状の左辺61Lおよび右カップ引き上げ部8Rに接続する。左カップ引き上げ補強部9Lは、右カップ部2Rのカップくり22R、前中心土台部6のV字形状の右辺61Rおよび左カップ引き上げ部8Lに接続する。これにより、カップ引き上げ部8における伸縮性の高い部分を、カップ引き上げ補強部9により実現することができる。
【0054】
他の実施例として、カップ引き上げ補強部9は、カップ引き上げ部8に収容されることなく、露出するように形成されても良い。
【0055】
本発明の実施の形態において、着用時において一対のカップ引き上げ部8が、一対のカップ部2を引き上げる際、一対のカップ部の前中心側のカップくり22の形状が維持されるように形成される。これにより、カップ引き上げ部8がカップくり22を前中心側に寄せる場合でも、ブラジャー1におけるカップ部2を立体的に形成することで、バストの保形性を実現することができる。またカップ引き上げ部8のパワーにより、カップくり22は、形を崩すことなく、バストを持ち上げることが可能になる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態において、カップ部2のカップくり22が伸縮性の低いテープ等の生地を重ねて縫着されることにより固く形成されること、前中心土台部6が張りコシの強い部材で形成されることの2つにより、ブラジャー1を立体的に形成する場合を説明するが、例えば、いずれか一方のみでも良い。また前中心土台部6の全体を張りコシの強い部材で形成するのではなく、前中心土台部6のうちカップ部2のカップくり22に接する部分を張りコシの強い部材で形成しても良い。例えば前中心土台部6のうちカップ部2のカップくり22に接する部分に、伸縮性の低いテープ等の生地を重ねて形成される。
【0057】
図2を参照して、本発明の実施の形態にかかるブラジャー1を着用した状態を、表側から観察した状態を説明する。
【0058】
図2に示す例において、カップ部2の表側に、カップ被覆部27が配設される。カップ被覆部27の上方にカップ引き上げ部8が配設され、カップ引き上げ部8中にカップ引き上げ補強部9が収容される。図2に示す例において、右カップ引き上げ部8Rが、左カップ引き上げ部8Lよりも上側(表側)に位置する。
【0059】
カップ被覆部27の脇側上方に、脇側被覆部28が設けられる。脇側被覆部28は、例えばレース素材で形成され、脇テープ部24、上テープ部25および接続部26を一体に覆う。脇側被覆部28は、肩ストラップ部5に接続する。
【0060】
カップ被覆部27の下方に、下側被覆部62が設けられる。下側被覆部62は、例えばレース素材で形成され、前中心土台部6および下辺テープ部7を覆う。下側被覆部62は、脇端においてバック部3に接続する。
【0061】
カップ被覆部27、脇側被覆部28および下側被覆部62は、装飾のために設けられるものである。
【0062】
(前中心近傍)
図3を参照して、前中心近傍の仕組みを説明する。図3において、右カップ引き上げ部8Rが左カップ部2Lを引く様子を示したものであり、カップ上辺接続部23等の一部の部材を省略して示す。ここでは、右カップ引き上げ部8Rに関する部位を説明するが、左カップ引き上げ部8Lについても同様である。
【0063】
前中心土台部6の上辺は、脇上方から前中心下方にかけて配設される左辺61Lと、右辺61Rにより形成される。左辺61Lと右辺61Rとは、前中心上で重なり、V字形状の下側の鋭角を形成する。
【0064】
右カップ引き上げ部8Rは、左カップ部2Lのカップくり22Lと、左カップ部2Lのカップくり22Lまで延伸する前中心土台部6の上辺のV字形状の左辺61Lとの重なり部分に接続する。図3に示す例において、距離Lに示す長さ部分において、左カップ部2Lのカップくり22L、前中心土台部6の上辺の左辺61L、および左カップ引き上げ部8Lが重なる。距離Lは、カップくり22Lの幅方向(短手方向)の長さのうち、前中心土台部6を形成する部材が延伸する部分の長さである。図3に示す例において前中心土台部6を形成する部材は、カップくり22Lの内側まで延伸する。
【0065】
右カップ引き上げ部8Rは、肩ストラップ部5の引き上げ力により、左カップ部2Lのカップくり22Lを着用者の体に寄せながら上方向に持ち上げ、さらには、前中心土台部6の上辺の左辺61Lも着用者の体に寄せながら前中心方向に寄せる。
【0066】
同様に、左カップ引き上げ部8Lは、右カップ部2Rのカップくり22Rと、右カップ部2Rのカップくり22Rまで延伸するV字形状の右辺61Rとの重なり部分に接続する。左カップ引き上げ部8Lは、肩ストラップ部5の引き上げ力により、右カップ部2Rのカップくり22Rを着用者の体に寄せながら上方向に持ち上げ、さらには、前中心土台部6の上辺の右辺61Rも着用者の体に寄せながら前中心方向に寄せる。
【0067】
このようにカップ引き上げ部8は、前中心土台部6の左辺61Lおよび右辺61Rのそれぞれを、持ち上げるとともに、前中心方向に寄せる。これにより、カップ引き上げ部8および前中心土台部6は、バストを前中心側に寄せて持ち上げることができる。
【0068】
図3に示す例において、左カップ部2Lのカップくり22Lと、左カップ部2Lのカップくり22Lまで延伸する前中心土台部6の上辺のV字形状の左辺61Lとの重なり部分に、さらに右カップ引き上げ補強部9Rの短手方向が重なる。同様に、右カップ部2Rのカップくり22Rと、右カップ部2Rのカップくり22Rまで延伸するV字形状の右辺61Rとの重なり部分に、さらに左カップ引き上げ補強部9Lの短手方向が重なる。これにより、カップ引き上げ部8が前中心土台部6を前中心方向に寄せるパワーを補強することができる。
【0069】
前中心土台部6は、カップ引き上げ部8およびカップ引き上げ補強部9が前中心方向に寄せても、形状がつぶれないように、比較的固い素材で形成される。
【0070】
また下辺テープ部7が着用者の胴体に密着して巻き付いた状態で、カップ引き上げ部8が下辺テープ部7に接続する前中心土台部6を引き上げることにより、前中心土台部6が着用者の皮膚からの浮きを防ぎ、密着させることができる。カップ引き上げ部8は、前中心近傍においてブラジャー1が着用者の体にフィットさせることができる。
【0071】
またカップ引き上げ部8は、左右のカップ部2のカップくり22をそれぞれ持ち上げることにより、バストを前中心方向に寄せて、バストアップ効果を得ることができる。
【0072】
ここで、右カップ引き上げ部8Rは、前中心土台部6のV字形状の左辺61Lに対して略直交するように形成される。右カップ引き上げ部8Rの長手方向は、左辺61Lに対して直交するように配設される。なお、右カップ引き上げ部8Rと左辺61Lとは、厳密な意味で直交ではなく、図3等に示すように、直交に近い状態に形成されても良い。これにより右カップ引き上げ部8Rは、左カップ部2Lのカップくり22Lを延長した位置に設けられるので、左カップ部2Lのカップくり22Lと前中心土台部6の上辺の左辺61Lを効率的に引き上げることが可能になる。同様に、左カップ引き上げ部8Lは、V字形状の右辺61Rに対して略直交するように形成されるので、右カップ部2Rのカップくり22Rと前中心土台部6の上辺の右辺61Rを効率的に引き上げることが可能になる。
【0073】
仮に、図4(a)に示すように前中心土台部106の上辺161が水平に形成される場合を説明する。右カップ引き上げ部108Rは左カップ部102Lのカップくり122Lを右側に引き、左カップ引き上げ部108Lは右カップ部102Rのカップくり122Rを左側に引き、右カップ引き上げ部108Rおよび左カップ引き上げ部108Lが、前中心土台部106の上辺161を上方向に引くことになる。右カップ引き上げ部108Rおよび左カップ引き上げ部108Lは、前中心土台部106を上方に持ち上げるにすぎない。前中心土台部106を前中心側に寄せることができない結果、図4(a)に示す右カップ部102Rおよび左カップ部102Lを効率的に前中心側に寄せる効果が得られない。
【0074】
また仮に、図4(b)に示すように前中心土台部206の上辺の左辺261Lおよび右辺261Rが逆V字形状に形成される場合を説明する。右カップ引き上げ部208Rは右カップ部202Rのカップくり222Rを右側に引き、左カップ引き上げ部208Lは左カップ部202Lのカップくり222Lを左側に引く。右カップ引き上げ部208Rおよび左カップ引き上げ部208Lは、前中心土台部206に接しないので、前中心土台部206そのものを引くことができない。前中心土台部206は、カップくり222Rおよびカップくり222Lが引かれるのに伴って上方向に持ち上げられるにすぎない。前中心土台部206を前中心側に寄せることができない結果、右カップ部202Rおよび左カップ部202Lを効率的に前中心側に寄せる効果が得られない。
【0075】
また本発明の実施の形態において、カップ引き上げ部8は、カップ上辺接続部23を介して、カップ部2のカップくり22および前中心土台部6に接続しても良い。具体的には、図5に示すように、右カップ引き上げ部8Rは、カップ上辺接続部23を介して左カップ部2Lのカップくり22Lおよび前中心土台部6の上辺のV字形状の左辺61Lに接続し、左カップ引き上げ部8Lは、カップ上辺接続部23を介して右カップ部2Rのカップくり22RおよびV字形状の右辺61Rに接続する。
【0076】
右カップ引き上げ部8Rは、左カップ部2Lのカップくり22Lと、左カップ部2Lのカップくり22Lまで延伸するV字形状の左辺61Lの重なり部分のみならず、左カップ部2Lの上辺の前中心側および左辺61Lのより広い部分など、より広い範囲を右上方向に引くことができる。左カップ引き上げ部8Lも同様に、より広い範囲を左上方向に引くことができる。これによりカップ引き上げ部8は、カップ上辺接続部23を介してカップ部2のカップくり22および前中心土台部6を効率的に引き上げることができるので、左右のカップ部2を効率的に前中心側に寄せることができる。
【0077】
このように本発明の実施の形態に係るブラジャー1において、前中心土台部6の上辺が、左辺61Lと右辺61RとでV字形状を形成する。右カップ引き上げ部8Rが、左カップ部2Lのカップくり22Lの前中心側および前中心土台部6の左辺61Lに接続し右側に引き寄せるとともに、左カップ引き上げ部8Lが、右カップ部2Rのカップくり22Rの前中心側および前中心土台部6の右辺61Rに接続し左側に引き寄せる。これにより、前中心土台部6の上辺が左右中心線側に寄るパワーも加わって、左右のカップ部2を前中心側に寄せるとともに、バストアップすることができる。
【0078】
さらに前中心土台部6の左辺61Lと右辺61Rを右カップ引き上げ部8Rおよび左カップ引き上げ部8Lがそれぞれ引くことにより、前中心土台部6を着用者の皮膚にフィットさせることができる。また。カップ部2のカップくり22の前中心側の形状が維持されるように形成され、下辺テープ部7が胴体に巻き付くことも相まって、カップ部2の前中心側の立ち上がりの形状を維持することができる。
【0079】
これにより本発明の実施の形態に係るブラジャー1は、ワイヤーが収容されていない場合でも、バストの保形性を実現することができる。
【0080】
(生地の特性)
カップ引き上げ部8を形成する生地の特性の一例を説明する。
【0081】
カップ引き上げ部8は、長手方向の伸び率が、100%から300%程度で、回復率が、40%から160%程度の素材が好ましい。また短手方向(幅方向)の伸び率が、60%から120%程度で、回復率が、30cNから90cN程度の素材が好ましい。
【0082】
本発明の実施の形態において、伸び率および伸長回復力は、160mm×25mmの試験片を、上部つかみ25mm、下部つかみ35mmおよびつかみ間隔100mmで、定速伸長形引張試験機に取り付けて、測定される。生地の経方向および緯方向がそれぞれ長手方向(16mm側)になるように裁断された、複数の試験片が用いられる。
【0083】
伸び率は、試験片を定速伸長形引張試験機に取り付け、試験片を左右方向および上下方向にそれぞれ荷重14.7Nをかけて測定されたものである。回復率は、試験片を定速伸長形引張試験機に取り付け、300mm/分程度の速度で伸長回復を複数回繰り返し、30%伸長した際の設定伸度(%)と、30%に回復した際の残留伸び(%)を測定し、(設定伸度-残留伸び)/設定伸度×100により算出される。
【0084】
本発明の実施の形態において、カップ部を有する衣類は、ブラジャーである場合を説明したが、ハーフトップ(ブラジャー機能付きタンクトップ)、ブラキャミ(ブラジャー機能付きキャミソール)、水着、レオタード、ボディスーツ、ボディセパ(上半身用ボディスーツ)など、体にフィットするカップ部を有する衣類にも同様に適用することができる。
【0085】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0086】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0087】
1 ブラジャー
2 カップ部
3 バック部
4 バック接続部
5 肩ストラップ部
6 前中心土台部
7 下辺テープ部
8 カップ引き上げ部
9 カップ引き上げ補強部
21 持ち上げ布
22 カップくり
23 カップ上辺接続部
24 脇テープ部
25 上テープ部
26 接続部
27 カップ被覆部
28 脇側被覆部
31 骨材収容部
61 辺
62 下側被覆部
図1
図2
図3
図4
図5