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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050076
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220323BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20220323BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156452
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】中木 寛
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR04
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR40
5F083ZA01
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上できる。
【解決手段】実施形態によれば、半導体記憶装置は、第1方向(Z方向)に積層された複数の第1配線層WLと、複数の第1配線層の内部を第1方向に延伸する第1半導体層29を含む第1メモリピラーMPと、第1半導体層の上方に配置される第2配線層39と、第1半導体層と第2配線層との間に配置された第1部分33aと、第1半導体層の上方に延伸する第2部分33bと、第2部分の上に設けられた第3部分33cとを含む第2半導体層33と、第1部分と第2配線層との間、及び第2部分と第2配線層との間に配置された第1絶縁層37と、第1絶縁層の上に設けられ、第2部分の一部に接する第2絶縁層40とを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層された複数の第1配線層と、
前記複数の第1配線層の内部を前記第1方向に延伸する第1半導体層を含む第1メモリピラーと、
前記第1半導体層の上方に配置される第2配線層と、
前記第1半導体層と前記第2配線層との間に配置された第1部分と、前記第1半導体層の上方に延伸する第2部分と、前記第2部分の上に設けられた第3部分とを含む第2半導体層と、
前記第1部分と前記第2配線層との間、及び前記第2部分と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に設けられ、前記第2部分の一部に接する第2絶縁層と
を備える、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第1配線層の内部を前記第1方向に延伸する第3半導体層を含む第2メモリピラーと、
前記第3半導体層の上方に配置される第3配線層と
を更に備え、
前記第2半導体層は、前記第3半導体層と前記第3配線層との間に配置された第4部分と、前記第3半導体層の上方に延伸し、前記第3部分と接続された第5部分とを更に含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第4部分と前記第3配線層との間、及び前記第5部分と前記第3配線層との間に配置された第3絶縁層と、
前記第3絶縁層の上に設けられ、前記第5部分の一部に接する第4絶縁層と
を更に備える、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2絶縁層の底面の一部は、前記第2配線層の上面の一部に接する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2半導体層の第5部分の上に設けられた第1導電体を更に備える、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1導電体の底面の一部は、前記第2絶縁層の上面に接する、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1メモリピラーは、電荷蓄積層を更に含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
第1方向に延伸する第1半導体層を含むメモリピラーを形成する工程と、
前記メモリピラー上に第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層を加工して、前記第1方向と交差する第2方向に延伸し、前記メモリピラーの上部が露出する溝パターンを形成する工程と、
前記メモリピラーに接続された第2半導体層を形成する工程と、
前記第2半導体層上に第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2半導体層の一部を酸化する工程と、
前記溝パターン内に配線層を形成する工程と、
前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第2半導体層の一部に接する第3絶縁層を形成する工程と
を備える、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記第3絶縁層を形成する工程は、
前記第2絶縁層の一部を除去する工程と、
前記第3絶縁層を堆積する工程と、
前記第3絶縁層を加工する工程と
を含む、
請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7910432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信頼性が向上できる半導体記憶装置を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に積層された複数の第1配線層と、複数の第1配線層の内部を第1方向に延伸する第1半導体層を含む第1メモリピラーと、第1半導体層の上方に配置される第2配線層と、第1半導体層と第2配線層との間に配置された第1部分と、第1半導体層の上方に延伸する第2部分と、第2部分の上に設けられた第3部分とを含む第2半導体層と、第1部分と第2配線層との間、及び第2部分と第2配線層との間に配置された第1絶縁層と、第1絶縁層の上に設けられ、第2部分の一部に接する第2絶縁層とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、一実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの回路図である。
図3図3は、一実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの平面図である。
図4図4は、一実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの断面図である。
図5図5は、一実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイにおける選択トランジスタST1の斜視図である。
図6図6は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図7図7は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図8図8は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図9図9は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図10図10は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図11図11は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図12図12は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図13図13は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図14図14は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図15図15は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図16図16は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図17図17は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図18図18は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
図19図19は、一実施形態に係る半導体記憶装置の製造工程の一例を示すメモリアレイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。また、以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0008】
実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。以下では、半導体記憶装置として、メモリセルトランジスタが半導体基板上に三次元に積層された三次元積層型NAND型フラッシュメモリを例に挙げて説明する。
【0009】
1. 構成
1.1 半導体記憶装置の全体構成
まず、半導体記憶装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、半導体記憶装置の基本的な全体構成を示すブロック図の一例である。
【0010】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、例えば、外部のメモリコントローラ2によって制御される。半導体記憶装置1は、例えば、メモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16を含む。
【0011】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合であり、例えば、データの消去単位として使用される。
【0012】
また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば、1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0013】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えば、シーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行させる命令を含んでいる。
【0014】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAを含んでいる。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0015】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に保持されたコマンドCMDに基づいてドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行する。
【0016】
ドライバモジュール14は、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えば、アドレスレジスタ12に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0017】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダモジュール15は、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0018】
センスアンプモジュール16は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線に電圧を印加する。また、センスアンプモジュール16は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0019】
半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信は、例えば、NANDインターフェイス規格をサポートしている。例えば、半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信では、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、リードイネーブル信号REn、レディビジー信号RBn、及び入出力信号I/Oが使用される。
【0020】
入出力信号I/Oは、例えば8ビット長の信号であり、コマンドCMD、アドレス情報ADD、データDAT等を含み得る。
【0021】
コマンドラッチイネーブル信号CLEは、半導体記憶装置1が受信した入出力信号I/OがコマンドCMDであることを示す信号である。
【0022】
アドレスラッチイネーブル信号ALEは、半導体記憶装置1が受信した信号I/Oがアドレス情報ADDであることを示す信号である。
【0023】
ライトイネーブル信号WEnは、入出力信号I/Oの入力を半導体記憶装置1に命令する信号である。
【0024】
リードイネーブル信号REnは、入出力信号I/Oの出力を半導体記憶装置1に命令する信号である。
【0025】
レディビジー信号RBnは、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2からの命令を受け付けるレディ状態であるか命令を受け付けないビジー状態であるかを、メモリコントローラ2に通知する信号である。
【0026】
以上で説明した半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成しても良い。このような半導体装置としては、例えばSDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)等が挙げられる。
【0027】
1.2 メモリセルアレイの回路構成
次に、メモリセルアレイ10の回路構成の一例について、図2を用いて説明する。図2の例は、メモリセルアレイ10に含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKを抽出して示している。
【0028】
図2に示すように、ブロックBLKは、例えば、4つのストリングユニットSU0~SU3を含んでいる。各ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含んでいる。
【0029】
複数のNANDストリングNSは、それぞれビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)に関連付けられている。各NANDストリングNSは、例えば、メモリセルトランジスタMC0~MC7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含んでいる。
【0030】
メモリセルトランジスタMCは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0031】
なお、メモリセルトランジスタMCは、電荷蓄積層に絶縁層を用いたMONOS型であってもよいし、電荷蓄積層に導電層を用いたFG型であってもよい。以下、本実施形態では、MONOS型を例として説明する。
【0032】
各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続され、選択トランジスタST1のソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMC0~MC7の一端に接続される。同一のブロックBLKにおいて、ストリングユニットSU0~SU3内の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に共通接続される。選択ゲート線SGD0~SGD3は、ロウデコーダモジュール15に接続される。
【0033】
各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST2のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMC0~MC7の他端に接続される。同一のブロックBLKにおいて、選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに共通接続され、選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続される。選択ゲート線SGSは、ロウデコーダモジュール15に接続される。
【0034】
ビット線BLは、各ブロックBLKにあるストリングユニットSU0~SU3にそれぞれ含まれる1つのNANDストリングNSを共通に接続する。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共通接続される。
【0035】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMCの集合は、例えばセルユニットCUと称される。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMCを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMCが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0036】
なお、第1実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMC並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。
【0037】
1.3 メモリセルアレイの平面構成
次に、メモリセルアレイ10の平面構成の一例について、図3を用いて説明する。図3は、メモリセルアレイ10の一部の領域の平面図を示しており、説明を簡略化するため、絶縁層の一部が省略されている。
【0038】
なお、以下の説明において、X方向は、半導体基板に略平行であり且つワード線WLの延伸方向に対応している。Y方向は、半導体基板に略平行であり且つX方向と直交し、ビット線BLの延伸方向に対応している。Z方向は、半導体基板に略垂直であり且つX方向及びY方向と交差する方向に対応している。また、例えば、半導体基板に略平行なXY平面において、後述するメモリピラーMP2の中心とメモリピラーMP4の中心とを結ぶ方向をA方向と表記する。そして、半導体基板に略平行であり、A方向と直交する方向をB方向と表記する。すなわち、A方向は、半導体基板に略平行であり且つX方向及びY方向とは異なる方向に対応している。B方向は、半導体基板に略平行であり且つA方向と直交する方向に対応している。
【0039】
図3に示すように、X方向に延伸するワード線WLのY方向を向いた側面には、X方向に延伸するスリットSLTが設けられている。本実施形態では、半導体基板の上方に、選択ゲート線SGS及びワード線WL0~WL7が順次積層されている。そして、スリットSLTは、例えば、選択ゲート線SGS及びワード線WLをブロックBLK毎に分離するように設けられている。
【0040】
例えば、ストリングユニットSU0~SU3は、Y方向に並んで配置されており、ストリングユニットSU毎に複数のメモリピラーMPが設けられている。
【0041】
メモリピラーMPは、NANDストリングNSに対応する。より具体的には、メモリピラーMPは、NANDストリングNS内のメモリセルトランジスタMC0~MC7及び選択トランジスタST2に対応する。メモリピラーMPは、選択ゲート線SGS及びワード線WL0~WL7を貫通(通過)し、Z方向に延伸する。メモリピラーMPの構造の詳細については後述する。
【0042】
例えば、各ストリングユニットSU内の複数のメモリピラーMPは、X方向に向かって2列の千鳥配置となるように、配列されている。より具体的には、例えば、ストリングユニットSU0において、メモリピラーMP1とメモリピラーMP3とがX方向に隣り合って配置される。そして、メモリピラーMP2は、X方向においてメモリピラーMP1とメモリピラーMP3との間に配置され、Y方向においてメモリピラーMP1及びMP3とは異なる位置に配置されている。換言すれば、メモリピラーMP2は、A方向においてメモリピラーMP1と隣り合って配置され、B方向においてメモリピラーMP2と隣り合って配置されている。
【0043】
なお、メモリピラーMPの配列は任意に設定可能である。例えば、メモリピラーMPの配列は、4列の千鳥配置であってもよい。また、メモリピラーMPの配列は、千鳥配置でなくてもよい。
【0044】
各メモリピラーMP上には選択トランジスタST1が設けられている。そして、ストリングユニットSU内において、複数のメモリピラーMPの上にそれぞれ設けられた複数の選択トランジスタST1のゲートが、選択ゲート線SGDに共通に接続されている。より具体的には、例えば、ストリングユニットSU0において、メモリピラーMP1~MP3の各々に設けられた選択トランジスタST1が選択ゲート線SGD0に接続される。選択ゲート線SGD0は、Y方向において、メモリピラーMP1(及びMP3)の上に設けられた選択トランジスタST1と、メモリピラーMP2の上に設けられた選択トランジスタST1との間に設けられ、X方向に延伸する。例えば、Y方向における選択ゲート線SGD0の中心位置は、メモリピラーMP1(及びMP3)の中心位置とメモリピラーMP2と中心位置との間に位置する。
【0045】
各選択ゲート線SGDのY方向を向いた側面の上部には、X方向に延伸するストッパ層STPが設けられている。ストッパ層STPは、後述するコンタクトプラグCP1を加工する際のエッチングストッパとして機能する。
【0046】
本実施形態では、隣り合う2つのストリングユニットSUにおいて、A方向またはB方向に隣り合う2つのメモリピラーMPの選択トランジスタST1がコンタクトプラグCP1及びCP2を介して1つのビット線BLに共通に接続されている。換言すれば、2つの選択ゲート線SGDの間に設けられ、A方向またはB方向に隣り合う2つの選択トランジスタST1が1つのコンタクトプラグCP1に共通に接続されている。
【0047】
より具体的には、例えば、ストリングユニットSU0のメモリピラーMP2の半導体層33と、A方向に隣り合うストリングユニットSU1のメモリピラーMP4の半導体層33とが1つのコンタクトプラグCP1に接続されている。
【0048】
コンタクトプラグCP1上には、コンタクトプラグCP2が設けられている。コンタクトプラグCP2は、Y方向に延伸する複数のビット線BLのいずれかと、コンタクトプラグCP1とを接続する。すなわち、ストリングユニットSU内の複数のメモリピラーMPは、選択トランジスタST1並びにコンタクトプラグCP1及びCP2を介して、異なるビット線BLにそれぞれ接続される。より具体的には、例えば、メモリピラーMP1~MP3は、それぞれ異なるビット線BLに接続される。1つのビット線BLには、各ストリングユニットSUの1つのメモリピラーMPが共通に接続される。
【0049】
1.4 メモリセルアレイの断面構成
次に、メモリセルアレイ10の断面構成の一例について、図4を用いて説明する。図4は、図3のA1-A2線に沿った断面図である。
【0050】
図4に示すように、半導体基板20の上には、絶縁層21が設けられている。絶縁層21には、例えば、酸化シリコン(SiO)が用いられる。なお、絶縁層21が設けられている領域、すなわち半導体基板20と配線層22との間には、ロウデコーダモジュール15またはセンスアンプモジュール16等の回路が設けられていてもよい。
【0051】
絶縁層21上には、X方向に延伸し、ソース線SLとして機能する配線層22が設けられている。配線層22は導電材料により構成され、例えば、n型半導体、p型半導体、または金属材料が用いられる。
【0052】
配線層22上には、絶縁層23が設けられている。絶縁層23には、例えば、SiOが用いられる。
【0053】
絶縁層23上には、下層から選択ゲート線SGS及びワード線WL0~WL7として機能する9層の配線層24と、9層の絶縁層25とが、交互に積層されている。配線層24は、導電材料により構成され、例えば、n型半導体、p型半導体、または金属材料が用いられる。以下では、配線層24として、窒化チタン(TiN)とタングステン(W)との積層構造が用いられる場合について説明する。TiNは、CVD(chemical vapor deposition)によりWを成膜する際、WとSiOとの反応を防止するためのバリア層、あるいはWの密着性を向上させるための密着層としての機能を有する。また、絶縁層25には、例えば、SiOが用いられる。
【0054】
9層の配線層24を貫通して底面が配線層22に達するメモリピラーMPが設けられている。メモリピラーMPは、ブロック絶縁膜26、電荷蓄積層27、トンネル絶縁膜28、半導体層29、コア層30、及びキャップ層31を含む。
【0055】
より具体的には、複数の配線層24及び複数の絶縁層25を貫通して、底面が配線層22に達するように、メモリピラーMPに対応するホールが設けられている。ホールの側面にはブロック絶縁膜26、電荷蓄積層27、及びトンネル絶縁膜28が順次積層されている。そして、側面がトンネル絶縁膜28に接し、底面が配線層22に接するように半導体層29が設けられている。半導体層29は、選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMCのチャネルが形成される領域である。よって、半導体層29は、選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC7の電流経路を接続する信号線として機能する。半導体層29内にはコア層30が設けられている。そして半導体層29及びコア層30上には、側面がトンネル絶縁膜28に接するキャップ層31が設けられている。すなわち、メモリピラーMPは、複数の配線層24の内部を通過し、Z方向に延伸する半導体層29を含む。なお、キャップ層31は、廃されてもよい。
【0056】
ブロック絶縁膜26、トンネル絶縁膜28、及びコア層30には、例えば、SiOが用いられる。電荷蓄積層27には、例えば、窒化シリコン(SiN)が用いられる。半導体層29及びキャップ層31には、例えば、ポリシリコンが用いられる。
【0057】
メモリピラーMPと、ワード線WL0~WL7としてそれぞれ機能する8層の配線層24とにより、メモリセルトランジスタMC0~MC7がそれぞれ構成される。同様に、メモリピラーMPと、選択ゲート線SGSとして機能する配線層24とにより、選択トランジスタST2が構成される。
【0058】
メモリピラーMPの上方において、絶縁層25の層間には、X方向及びY方向に延伸する絶縁層32が設けられている。絶縁層32は、配線層39に対応するトレンチ(すなわち、溝パターン)を加工する際のエッチングストッパとして機能する。なお、絶縁層32は、省略されてもよい。絶縁層32には、絶縁層25とエッチング選択比が得られる絶縁材料が用いられる。以下では、絶縁層32として、SiNが用いられる場合について説明する。
【0059】
絶縁層25及び32を貫通して底面がメモリピラーMPに達し、X方向に延伸するトレンチが設けられている。
【0060】
トレンチ内には、X方向に延伸する配線層39が設けられている。配線層39は、選択ゲート線SGDとして機能する。配線層39のZ方向における上面の高さ位置は、後述する半導体層33及び絶縁層40の上面よりも低い。例えば、配線層39は、導電材料により構成され、例えば、n型半導体、p型半導体、または金属材料が用いられる。以下では、配線層39として、TiN/Wの積層構造が用いられる場合について説明する。
【0061】
メモリピラーMP上方のトレンチの側面及び底面において、メモリピラーMPと、配線層39との間には、半導体層33及び絶縁層34~36が設けられている。半導体層33は、選択トランジスタST1のチャネルが形成される領域である。絶縁層34~36は、選択トランジスタST1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁層34~36の上面の高さ位置は、半導体層33の上面よりも低い。なお、本実施形態では、ゲート絶縁膜に3層の絶縁層34~36を用いた場合について説明するが、ゲート絶縁膜は1層以上あればよい。例えば、ゲート絶縁膜には、閾値電圧の制御が可能なMONOS構造(より具体的には、絶縁層と電荷蓄積層と絶縁層の積層構造)が用いられてもよい。本実施形態では、例えば、絶縁層34及び36には、SiOが用いられ、絶縁層35には、SiNが用いられる。以下では、絶縁層34~36の積層構造を単に積層体37とも表記する。
【0062】
半導体層33は、配線層39に沿って略Z方向とY方向とに折れ曲がった形状(以下、クランク形状と表記する)を有している。より具体的には、半導体層33は、2つの半導体層33a、2つの半導体層33b、及び半導体層33cを含む。2つの半導体層33aは、A方向(またはB方向)に隣り合うメモリピラーMPの各々のキャップ層31上に設けられている。2つの半導体層33bは、底面が対応する半導体層33aにそれぞれ接している。そして、2つの半導体層33bは、配線層39のY方向を向いた側面に沿って配置されている。半導体層33cは、A方向(またはB方向)に隣り合うメモリピラーMPの上にそれぞれ設けられている2つの半導体層33bの上面に接するように配置されている。この構造により、A方向(またはB方向)に隣り合う2つの選択トランジスタST1が、1つの半導体層33により接続されている。Z方向における半導体層33cの底面の高さ位置は、配線層39の上面の高さ位置よりも高い。半導体層33は、Y方向に延伸する半導体層33aと、略Z方向に延伸する半導体層33bと、Y方向に延伸する半導体層33cとが、順に接続されたクランク形状を有する。半導体層33には、例えば、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンが用いられる。なお、半導体層33cには、導電体41と選択トランジスタST1のチャネル領域とを低抵抗で接続させるため、不純物が導入されたn型半導体またはp型半導体が用いられてもよい。
【0063】
半導体層33及び積層体37が設けられている領域を除いたトレンチの側面及び底面、には、絶縁層38が設けられている。絶縁層38には、例えばSiOが用いられる。
【0064】
半導体層33の上部の側面に接し、積層体37の上面及び配線層39のY方向における端部上面を被覆するように、絶縁層40が設けられている。絶縁層40の底面の一部は配線層39の(端部の)上面に接していてもよい。すなわち、絶縁層40の底面の高さ位置は、配線層39の上面の高さ位置と同じであってもよい。絶縁層40は、ストッパ層STPとして機能する。より具体的には、絶縁層40は、コンタクトプラグCP1を加工する際に、積層体37の表面保護層として機能する。また、コンタクトプラグCP1と配線層39との間に絶縁層40が配置されることにより、絶縁層40は、コンタクトプラグCP1と配線層39との間の配線間ショートあるいは絶縁破壊を抑制する。このため、Y方向における絶縁層40の幅は、コンタクトプラグCP1が位置ずれしても、コンタクトプラグCP1と配線層39との間で配線間ショートあるいは絶縁破壊が生じないように十分に広い幅が設けられ得る。絶縁層40には、例えば、SiNが用いられる。なお、絶縁層40は、コンタクトプラグCP1を加工する際に、絶縁層25に対して十分なエッチング選択比が得られる絶縁材料であればよい。
【0065】
半導体層33と、積層体37と、配線層39とにより、選択トランジスタST1が構成される。選択トランジスタST1のチャネル領域は、配線層39の側面及び底面に沿って設けられたクランク形状の半導体層33(半導体層33a及び半導体層33b)により、クランク形状に沿って形成される。
【0066】
半導体層33(半導体層33c)上には、コンタクトプラグCP1として機能する導電体41が設けられている。なお、図4の例は、製造ばらつきによる位置ずれにより、導電体41の一部が、絶縁層40の上に設けられている場合を示しているが、導電体41は絶縁層40の上に設けられていなくてもよい。換言すれば、導電体41の底面は、絶縁層40に接していなくてもよい。
【0067】
導電体41上には、コンタクトプラグCP2として機能する導電体42が設けられている。
【0068】
導電体42上には、ビット線BLとして機能し、Y方向に延伸する配線層43が設けられている。
【0069】
導電体41及び42並びに配線層43は、導電材料により構成され、例えば、金属材料が用いられる。
【0070】
2. 選択トランジスタST1及び選択ゲート線SGDの配置
次に、選択トランジスタST1及び選択ゲート線SGDの配置の一例について、図5を用いて説明する。図5は、メモリピラーMPの上部、選択トランジスタST1、選択ゲート線SGD、コンタクトプラグCP1及びCP2、並びにビット線BLの配置を示す斜視図である。なお、図5の例では、説明を簡略にするために、図3で説明したメモリピラーMP2及びMP4が示されおり、他のメモリピラーMPは省略されている。また、図5の例では、絶縁層の一部が省略されている。
【0071】
図5に示すように、例えば、2つのメモリピラーMP2及びMP4がX方向において千鳥配置に配列されている。メモリピラーMP2の一部の領域の上方を通過するように、X方向に延伸する配線層39(選択ゲート線SGD0)が設けられている。同様に、メモリピラーMP4の一部の領域の上方を通過するように、X方向に延伸する配線層39(選択ゲート線SGD1)が設けられている。メモリピラーMP2の上方とメモリピラーMP4の上方との間には半導体層33が設けられている。半導体層33は、導電体41及び42を介して配線層43に接続されている。なお、図5の例は、製造ばらつきによる位置ずれにより、導電体41(コンタクトプラグCP1)の一部が、配線層39の側面に設けられた絶縁層40の上に設けられている場合を示しているが、導電体41は絶縁層40の上に設けられていなくてもよい。
【0072】
3. メモリセルアレイの製造方法
次に、メモリセルアレイ10の製造方法の一例について、図6図18を用いて説明する。図6図18は、製造工程におけるメモリセルアレイ10の平面及びA1-A2線に沿った断面(A1-A2断面)をそれぞれ示している。
【0073】
以下、配線層24の形成方法として、配線層24に相当する構造を犠牲層で形成した後、犠牲層44を除去して導電材料(配線層24)に置き換える方法(以下、「リプレース」と表記する)を用いた場合について説明する。
【0074】
図6に示すように、半導体基板20上に、絶縁層21、配線層22、及び絶縁層23を順次形成する。次に、配線層24に対応する9層の犠牲層44及び9層の絶縁層25を交互に積層する。犠牲層44には、絶縁層25とウエットエッチングの選択比が得られる材料が用いられる。以下では、犠牲層44にSiNが用いられる場合について説明する。
【0075】
次に、Z方向に延伸するメモリピラーMPを形成する。より具体的には、まず、9層の絶縁層25、9層の犠牲層44、及び絶縁層23を貫通し、底面が配線層22に達するホールを形成する。次に、ブロック絶縁膜26、電荷蓄積層27、及びトンネル絶縁膜28を順次積層した後、最上層の絶縁層25の上、及びホール底面のブロック絶縁膜26、電荷蓄積層27、及びトンネル絶縁膜28を除去し、ホール底面において配線層22を露出させる。次に、半導体層29及びコア層30を形成し、ホール内を埋め込む。次に、最上層の絶縁層25の上の半導体層29及びコア層30を除去する。このとき、ホール上部の半導体層29及びコア層30も除去される。次に、ホール上部を埋め込むように、キャップ層31を形成する。
【0076】
図7に示すように、メモリピラーMP上に絶縁層25を形成した後、メモリピラーMPの上面を被覆するように絶縁層32を形成する。このとき、後にスリットSLTが形成される領域の絶縁層32は、除去される。
【0077】
次に、絶縁層25を形成する。
【0078】
図8に示すように、X方向に延伸し、底面がメモリピラーMPに達するトレンチTR(溝パターン)を形成する。このとき、例えば、絶縁層32をエッチングストッパとして用い、トレンチTRを2段階で加工することにより、メモリピラーMP上面の加工ダメージを低減してもよい。トレンチTRの底部において、2列に千鳥配置された各メモリピラーMPの上面の一部が露出している。
【0079】
次に、半導体層33、積層体37(すなわち絶縁層34~36)、及び絶縁層45を順次積層する。このとき、半導体層33は、メモリピラーMPの上面、すなわちキャップ層31に接続される。絶縁層45は、例えば、積層体37の保護層として機能する。絶縁層45には、例えば、積層体37とウエットエッチングの選択比が得られる材料が用いられる。
【0080】
図9に示すように、フォトリソグラフィにより、2つのトレンチTRの間において、隣り合う2つのメモリピラーMPの上方を被覆するマスクパターン(レジスト46)を形成する。
【0081】
図10に示すように、例えば、CDE(chemical dry etching)により、レジスト46で被覆されていない領域の絶縁層34及び絶縁層45を除去する。
【0082】
図11に示すように、レジスト46を除去した後、表面が露出している、すなわち、上面に積層体37及び絶縁層45が設けられていない半導体層33の一部の領域を酸化し、絶縁層38を形成する。このとき、積層体37及び絶縁層45により表面が被覆されている領域の半導体層33は、酸化されない。なお、積層体37及び絶縁層45により表面が被覆されている半導体層33の端部領域は、酸化されていてもよい。
【0083】
次に、例えば、ウエットエッチングにより、絶縁層45を除去する。
【0084】
図12に示すように、トレンチTR内に配線層39を形成する。より具体的には、例えば、TiNとWを順に形成し、トレンチTRを埋め込む。次に、表面及びトレンチTR上部の、TiNとWを除去し、配線層39を形成する。このとき、配線層39の上面は、半導体層33(半導体層33c)の上面よりも低くなるように、配線層39を形成する。すなわち、トレンチTRを完全には埋め込まないように配線層39は形成される。このため、配線層39は、くぼんだ形状となる。換言すれば、配線層39の表面から積層体37が突出している。
【0085】
図13に示すように、例えば、CDEにより、積層体37の露出部分、すなわち、半導体層33cの上面及び配線層39の上面より高い位置にある半導体層33bの上部に接する積層体37を除去する。これにより、半導体層33の側面(半導体層33b)の上部及び半導体層33の上面(半導体層33c)が、露出する。
【0086】
図14に示すように、例えば、CVDにより、絶縁層40を堆積する。
【0087】
図15に示すように、例えば、RIE(Reactive ion etching)による絶縁層40のエッチング(以下、「エッチバック」とも表記する)を行う。絶縁層40のエッチバックでは、半導体層33の側面に接する領域以外の絶縁層が除去される。すなわち、絶縁層40の側面部分(半導体層33の側面に接する部分)は残存する。換言すれば、積層体37及び配線層39の端部上面上に設けられ、側面が、半導体層33の側面(半導体層33b)の上部に接する絶縁層40が形成される。
【0088】
図16に示すように、絶縁層25を形成する。その後、例えば、CMP(chemical mechanical polishing)等により、絶縁層25の表面を平坦化する。次に、リプレースを行う。より具体的には、まず、底面が絶縁層23に達するスリットSLTを加工する。このとき、例えば、スリットSLTの側面に、絶縁層32が露出しないようにする。次に、ウエットエッチングにより、スリットSLT側面から犠牲層44を除去し空隙AGを形成する。
【0089】
図17に示すように、次に、TiN及びWを順に形成して、空隙AG内を埋め込んだ後、スリットSLT内及び最上層の絶縁層25の上に形成されたTiN及びWを除去し、配線層24を形成する。次に、スリットSLTを絶縁層47により埋め込む。これにより、リプレースが終了する。
【0090】
図18に示すように、底面が半導体層33に接する導電体41を形成する。
【0091】
図19に示すように、絶縁層25を形成した後、導電体42及び配線層43を形成する。
【0092】
4 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、信頼性を向上できる半導体記憶装置を提供できる。本効果につき、詳述する。
【0093】
本実施形態に係る構成であれば、メモリピラーMPの一部の領域の上方を通過するように選択ゲート線SGDを形成できる。そして、メモリピラーMP上に、選択ゲート線SGDの側面及び底面に沿った選択トランジスタST1を形成できる。更に、選択トランジスタST1のゲート絶縁膜(積層体37)の上にストッパ層STPを形成できる。これにより、製造ばらつきにより、コンタクトプラグCP1の配置が選択ゲート線SGD側にシフトしても、ストッパ層STPによりゲート絶縁膜が加工されるのを防止できる。
【0094】
更に、本実施形態に係る構成であれば、コンタクトプラグCP1と選択ゲート線SGDとの間にストッパ層STPが設けられるため、コンタクトプラグCP1と選択ゲート線SGDとの間の配線間ショートあるいは絶縁破壊を抑制できる。従って、半導体記憶装置の信頼性を向上できる。
【0095】
更に、本実施形態に係る構成であれば、製造ばらつきによるコンタクトプラグCP1と選択ゲート線SGDとの間の配線間ショートあるいは絶縁破壊を抑制できるため、製造の歩留まりを向上できる。
【0096】
5.変形例等
上記実施形態における半導体記憶装置は、第1方向(Z方向)に積層された複数の第1配線層(WL)と、複数の第1配線層の内部を第1方向に延伸する第1半導体層(29)を含む第1メモリピラー(MP2)と、第1半導体層の上方に配置される第2配線層(39、SGD0)と、第1半導体層と第2配線層との間に配置された第1部分(33a)と、第1半導体層の上方に延伸する第2部分(33b)と、第2部分の上に設けられた第3部分(33c)とを含む第2半導体層(33)と、第1部分と第2配線層との間、及び第2部分と第2配線層との間に配置された第1絶縁層(37)と、第1絶縁層の上に設けられ、第2部分の一部に接する第2絶縁層(40)とを含む。
【0097】
上記実施形態を適用することにより、信頼性を向上できる半導体記憶装置を提供できる。
【0098】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0099】
例えば、上記実施形態では、隣り合う2つのメモリピラーMPが1つのコンタクトプラグCP1に共通に接続されていたが、メモリピラーMP及びコンタクトプラグCP1の配置はこれに限定されない。例えば、メモリピラーMP毎にコンタクトプラグCP1が設けられてもよい。この場合、半導体層33も、メモリピラーMP毎に設けられる。
【0100】
更には、Y方向におけるメモリピラーMPの中心と、選択ゲート線SGDの中心が同じになるように配置されてもよい。この場合、1つのメモリピラーMP上に2つの選択トランジスタST1が形成され得る。
【0101】
また、上記実施形態における「接続」とは、間に例えばトランジスタあるいは抵抗等、他の何かを介在させて間接的に接続されている状態も含む。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、10…メモリセルアレイ、11…コマンドレジスタ、12…アドレスレジスタ、13…シーケンサ、14…ドライバモジュール、15…ロウデコーダモジュール、16…センスアンプモジュール、20…半導体基板、21、23、25、32、34~36、38、40、45、47…絶縁層、22、24、39、43…配線層、26…ブロック絶縁膜、27…電荷蓄積層、28…トンネル絶縁膜、29、33、33a~33c…半導体層、30…コア層、31…キャップ層、37…積層体、41、42…導電体、44…犠牲層、46…レジスト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19