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特開2022-50188タッチパネルディスプレイ用操作入力装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050188
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】タッチパネルディスプレイ用操作入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
G06F3/041 662
G06F3/041 590
G06F3/041 512
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156651
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩脇 信也
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 崇行
(72)【発明者】
【氏名】池田 龍司
(57)【要約】
【課題】耐久性および利便性、さらにはカスタマイズ性に優れたタッチパネルディスプレイ用操作入力装置を提供する。
【解決手段】タッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、導電材で構成されたパッド12、14、16と、ホルダ17と、ベース19と、導電材で構成されたピン20x、20y、20zと、を備える。パッド12、14、16はピン20x、20y、20zと電気的に導通し、ピンヘッド20x2、20y2、20z2がタッチパネルにおいて検出点として検出される。ロック部11a、11b、11cにより、パッド12、14、16およびベース19が固定され、パッド12、14、16およびベース19ならびにピン20x、20y、20zが一体となって、ホルダ19に対して相対的に回転可能なように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルディスプレイへの操作入力を可能とするタッチパネルディスプレイ用操作入力装置であって、
導電材で構成されており、円板状の概形を有するパッドと、
絶縁材で構成されており、前記パッドの下方に配置されているホルダと、
絶縁材で構成されており、前記ホルダの下方に配置されている円板状の概形を有するベースと、
導電材で構成されているピンと、
絶縁材で構成されているロック部と、を備え、
前記パッドは、前記ロック部のアームが挿通されるロック部貫通孔と、前記ピンが挿通され、前記ピンのピンシャフトに接触して前記ピンと電気的に導通するピン接触部とを有し、
前記ホルダは、前記パッドおよび前記ベースの各々の外径より小さい開口部が形成されており、環状の概形を有するホルダ環状部と、ホルダ環状部の外周縁部から下方に延びるホルダ脚部と、を有し、
前記ベースは、前記ロック部のアームが貫通するロック部貫通孔と、前記ピンのピンシャフトが貫通するピン貫通孔と、を有し、
前記ピンは、前記ベースの前記ピン貫通孔に挿通され、さらに前記パッドの前記ピン接触部に接触しながら挿通されるピンシャフトと、前記タッチパネルディスプレイの表示面に対向するように下面が配置されており、前記タッチパネルディスプレイにおいて検出点として検出されるピンヘッドと、を有し、
前記ロック部は、前記パッドおよび前記ベースの各々の前記ロック部貫通孔に挿通されるアームと、前記パッドの上面側に配置される上面側固定部と、前記ベースの下面側に配置され下面側固定部と、を有しており、
前記パッドおよび前記ベースが前記ロック部の前記上面側固定部および前記下面側固定部により固定され、前記パッドおよび前記ベースならびに前記ピンが、前記ホルダに対して相対的に回転可能なように構成されていることを特徴とするタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項2】
前記パッドが複数設けられているとともに、複数の前記パッドの各々に対応する前記ピンが複数設けられており、複数の前記パッドの間に、絶縁材で構成された円板状の概形を有する絶縁部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記ロック部のアームが挿通されるロック部貫通孔と、前記ピンが挿通されるピン貫通孔とを有することを特徴とする請求項2に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項4】
前記パッドの前記ピン接触部が突起部を有する貫通孔であるとともに、前記ピンの前記ピンシャフトには、前記ピン接触部と接触する位置に突起嵌合部が形成されており、
前記ピン接触部の前記突起部と前記ピンシャフトの前記突起嵌合部とが嵌合することで、前記ピンが前記パッドに接触固定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項5】
前記ベースと前記ホルダとが接触する位置に、環状に成形された高滑材が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項6】
前記高滑材は、上方側が開口しており下方側が曲面形状である略U字状に成形されていることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項7】
絶縁材で構成されており、円板状の概形を有し、前記パッドの上方に配置されているトップカバーをさらに備え、
前記トップカバーの下面に、前記ロック部の前記上面側固定部が接続されており、前記ロック部が前記トップカバーと一体となっていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項8】
前記トップカバーの下面に、略円筒状に成形された嵌合部が下方に突出するように設けられているとともに、前記ベースの上面に、略円筒状に成形された嵌合部が上方に突出するように設けられており、
前記トップカバーおよび前記ベースの各々の前記嵌合部が嵌合するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項9】
前記トップカバーが、略中心部に貫通孔を有する環状に成形されていることを特徴とする請求項7または8に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項10】
前記ロック部の前記下面側固定部が係止爪により構成されており、前記係止爪が前記ベースの下面に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項11】
絶縁材で構成されており、前記ベースの下面に固定されているプレートと、
高誘電材料で構成されており、前記ピンヘッドの下面に接着されているソールと、をさらに備え、
前記プレートは、前記ピンヘッドが嵌合して前記ソールを下方に露出させるピンヘッド嵌合部を有し、前記ホルダの下面が前記タッチパネルディスプレイの表示面に取り付けられることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項12】
高誘電材料で構成されており、前記ホルダの下面に固定されているプレートをさらに備え、
前記ホルダの下面および前記プレートの下面の少なくとも一方が前記タッチパネルディスプレイの表示面に取り付けられることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【請求項13】
前記ホルダ脚部の内周面に周方向に沿って複数のノッチが設けられているとともに、前記ベースの外周面に当該外周面から突出したスライド突起部が設けられており、前記ベースの回転に応じて前記複数のノッチの各々に前記スライド突起部が係合可能なように構成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のタッチパネルディスプレイ用操作入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイの表示面上に配置され、タッチパネルディスプレイへの操作入力を可能とするタッチパネルディスプレイ用操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ユーザが指やスタイラスペン等により表示面に触れることで操作入力可能なタッチパネルディスプレイが広く普及している。また、例えば、下記の特許文献1に開示されている操作入力装置等のように、タッチパネルディスプレイの表示面上に配置して、ユーザが操作を行うことでタッチパネルディスプレイへの操作入力を可能とするタッチパネルディスプレイ用操作入力装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、タッチディスプレイの表示領域内に配置される操作用のノブが開示されている。特許文献1に開示されている操作用のノブは、タッチ点として検出可能な複数の導体柱と、複数の導体中の各々に接続された略円筒状の外周導体部とを備えており、例えば複数の外周導体部の各々が、ノブの軸方向に間隔を空けてノブの外周面に沿って配置された構造を有している(特許文献1の図21参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6403921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている操作用のノブは、薄板の外周導体部がノブの外周面に沿うように中空円筒状に形成された脆弱な構造となっており、耐力性および耐久性に劣ることが懸念される。例えば、ユーザがノブを回転操作またはスライド操作する際にユーザにより外周導体部が握持されるが、このとき、外周導体部の内径方向に加わる外力により外周導体部が変形してしまう可能性がある。また、特に複数の外周導体部がノブの軸方向に間隔を空けて配置されている場合には、外周導体部の変形により、絶縁されるべき外周導体部同士が互いに接触して電気的に導通してしまい、ノブとしての本来の機能を果たさなくなってしまう可能性がある。
【0006】
また、特許文献1には、ノブがタッチディスプレイの表示面に対して回動自在に載置され若しくは取り付けられると記載されている。しかしながら、特許文献1には、導体柱および外周導体部を含み、表示面に対して回動自在とされるノブが開示されているだけであり、表示面に対して回動自在に載置するための具体的な構成については何ら開示されていない。さらに、特許文献1には、構造強度の向上とカスタマイズ性の向上との両立については何ら開示されていない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、耐久性および利便性、さらにはカスタマイズ性に優れたタッチパネルディスプレイ用操作入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、上記目的を達成するため、タッチパネルディスプレイへの操作入力を可能とするタッチパネルディスプレイ用操作入力装置であって、導電材で構成されており、円板状の概形を有するパッドと、絶縁材で構成されており、前記パッドの下方に配置されているホルダと、絶縁材で構成されており、前記ホルダの下方に配置されている円板状の概形を有するベースと、導電材で構成されているピンと、絶縁材で構成されているロック部と、を備え、前記パッドは、前記ロック部のアームが挿通されるロック部貫通孔と、前記ピンが挿通され、前記ピンのピンシャフトに接触して前記ピンと電気的に導通するピン接触部とを有し、前記ホルダは、前記パッドおよび前記ベースの各々の外径より小さい開口部が形成されており、環状の概形を有するホルダ環状部と、ホルダ環状部の外周縁部から下方に延びるホルダ脚部と、を有し、前記ベースは、前記ロック部のアームが貫通するロック部貫通孔と、前記ピンのピンシャフトが貫通するピン貫通孔と、を有し、前記ピンは、前記ベースの前記ピン貫通孔に挿通され、さらに前記パッドの前記ピン接触部に接触しながら挿通されるピンシャフトと、前記タッチパネルディスプレイの表示面に対向するように下面が配置されており、前記タッチパネルディスプレイにおいて検出点として検出されるピンヘッドと、を有し、前記ロック部は、前記パッドおよび前記ベースの各々の前記ロック部貫通孔に挿通されるアームと、前記パッドの上面側に配置される上面側固定部と、前記ベースの下面側に配置され下面側固定部と、を有しており、前記パッドおよび前記ベースが前記ロック部の前記上面側固定部および前記下面側固定部により固定され、前記パッドおよび前記ベースならびに前記ピンが、前記ホルダに対して相対的に回転可能なように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成により、パッドが円板状に成形されていることで、ユーザがタッチパネルディスプレイ用操作入力装置の外周面を指で把持して操作を行った場合でも、ユーザによる把持で加わる外力に対してパッドが変形することなく、耐力性および耐久性が確保されたタッチパネルディスプレイ用操作入力装置が実現される。
【0010】
また、上記の構成によれば、ピンがパッドを貫通しながらパッドに接触して、ピンとパッドが電気的に導通した状態となっている。ユーザがパッドの外周縁部を把持した場合、静電容量の変化をピンヘッドに確実に伝達することができ、タッチパネルディスプレイにおいて検出点として検出できるようになる。
【0011】
また、上記の構成によれば、ホルダの上方に円板状に成形されたパッドを設け、ホルダの下方に円板状に成形されたベースを設けて、パッドおよびベースを貫通させたロック部によってパッドの上面側およびベースの下面側から固定することで、パッドおよびベースを一体化されている。この構成により、パッドおよびベースを確実に固定することができる。また、パッドおよびベースならびにこれらの部材を貫通するピンが一体となってホルダに対して回転するようになっており、ユーザは安定した回転操作を行うことができ、利便性に優れたタッチパネルディスプレイ用操作入力装置が実現される。
【0012】
また、タッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、各部材を組み合わせた構造を有しており、例えば、ロック部を取り外すことでパッドおよびベースを容易に分解でき、また、ロック部を取り付けることでパッドおよびベースを容易に固定することができるよう構成されている。この構成により、タッチパネルディスプレイ用操作入力装置を構成する各部材の交換や変更が容易であり、カスタマイズ性に優れたタッチパネルディスプレイ用操作入力装置が実現される。
【0013】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記パッドが複数設けられているとともに、複数の前記パッドの各々に対応する前記ピンが複数設けられており、複数の前記パッドの間に、絶縁材で構成された円板状の概形を有する絶縁部材が配置されている構成であってもよい。
【0014】
この構成により、複数のパッドの各々に対応した複数のピンにより、タッチパネルディスプレイにおいて複数の検出点が検出できるようになる。また、円板状の概形を有するパッドおよび円板状の概形を有する絶縁部材が交互に積層された構成となり、絶縁部材を介して複数のパッドが直接接触することを防ぎ、複数のパッド間の電気的な導通を防ぎ、かつ、容量結合を低減できるようになる。
【0015】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記絶縁部材は、前記ロック部のアームが挿通されるロック部貫通孔と、前記ピンが挿通されるピン貫通孔とを有する構成であってもよい。
【0016】
この構成により、パッドおよび絶縁部材が交互に積層された構成において、ロック部およびピンを上下方向(積層方向)に貫通させることができ、ロック部によって、パッドおよびベースならびに絶縁部材からなる積層体を確実に固定できるようになる。また、ロック部の取り付けおよび取り外しにより当該積層体の組み立ておよび分解が容易であり、当該積層体を構成する各部材の交換や変更も容易である。
【0017】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記パッドの前記ピン接触部が突起部を有する貫通孔であるとともに、前記ピンの前記ピンシャフトには、前記ピン接触部と接触する位置に突起嵌合部が形成されており、前記ピン接触部の前記突起部と前記ピンシャフトの前記突起嵌合部とが嵌合することで、前記ピンが前記パッドに接触固定される構成であってもよい。
【0018】
この構成により、ピン接触部において、ピンとパッドを接触させ、かつ、ピンを確実に支持できるようになる。
【0019】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記ベースと前記ホルダとが接触する位置に、環状に成形された高滑材が設けられている構成であってもよい。
【0020】
この構成により、ベースとホルダとの間の滑り性を向上させて、ユーザによるスムーズな回転操作が実現される。
【0021】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記高滑材は、上方側が開口しており下方側が曲面形状である略U字状に成形されている構成であってもよい。
【0022】
この構成により、ベースとホルダとの間の滑り性を向上させ、さらに、ホルダに対してベースが軸方向へ変位した際に生じる力を緩衝して、ホルダおよびベースの内突や衝撃による故障発生のリスクを低減できるようになる。
【0023】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、絶縁材で構成されており、円板状の概形を有し、前記パッドの上方に配置されているトップカバーをさらに備え、前記トップカバーの下面に、前記ロック部の前記上面側固定部が接続されており、前記ロック部が前記トップカバーと一体となっている構成であってもよい。
【0024】
この構成により、タッチパネルディスプレイ用操作入力装置の上面をトップカバーにより保護することができるようになる。また、トップカバーとロック部とを一体化した構成とすることで、タッチパネルディスプレイ用操作入力装置を組み立てる際のロック部の取り付けや、タッチパネルディスプレイ用操作入力装置を分解する際のロック部の取り外しが容易となる。
【0025】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記トップカバーの下面に、略円筒状に成形された嵌合部が下方に突出するように設けられているとともに、前記ベースの上面に、略円筒状に成形された嵌合部が上方に突出するように設けられており、前記トップカバーおよび前記ベースの各々の前記嵌合部が嵌合するように構成されていてもよい。
【0026】
この構成により、トップカバーとベースとを嵌合できるようになり、トップカバーとベースとの間に配置されているパッド等の各部材をより確実に固定できるようになる。
【0027】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記トップカバーが、略中心部に貫通孔を有する環状に成形されていてもよい。
【0028】
この構成により、タッチパネル用操作入力装置をタッチパネルディスプレイに取り付けた状態で、トップカバーの略中心部の貫通孔からタッチパネルディスプレイの表示面を視認することができる構成を実現できるようになる。
【0029】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記ロック部の前記下面側固定部が係止爪により構成されており、前記係止爪が前記ベースの下面に係合するように構成されていてもよい。
【0030】
この構成により、ロック部の係止爪をベースの下面側に係合させることができ、ロック部を確実にベースに固定できるようになる。
【0031】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、絶縁材で構成されており、前記ベースの下面に固定されているプレートと、高誘電材料で構成されており、前記ピンヘッドの下面に接着されているソールと、をさらに備え、前記プレートは、前記ピンヘッドが嵌合して前記ソールを下方に露出させるピンヘッド嵌合部を有し、前記ホルダの下面が前記タッチパネルディスプレイの表示面に取り付けられる構成であってもよい。
【0032】
この構成により、タッチパネルディスプレイ用操作入力装置をタッチパネルディスプレイの表示面に確実に取り付けることができるようになる。また、ピンヘッドとタッチパネルディスプレイ間の静電容量の変化をタッチパネルディスプレイへ確実に伝達でき、タッチパネルディスプレイにおいて検出点として検出できるようになる。
【0033】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、高誘電材料で構成されており、前記ホルダの下面に固定されているプレートをさらに備え、前記ホルダの下面および前記プレートの下面の少なくとも一方が前記タッチパネルディスプレイの表示面に取り付けられる構成であってもよい。
【0034】
この構成により、タッチパネルディスプレイ用操作入力装置をタッチパネルディスプレイの表示面に確実に取り付けることができるようになる。また、ピンヘッドとタッチパネルディスプレイ間の静電容量の変化をタッチパネルディスプレイへ確実に伝達でき、タッチパネルディスプレイにおいて検出点として検出できるようになる。
【0035】
また、本発明に係るタッチパネルディスプレイ用操作入力装置は、前記ホルダ脚部の内周面に周方向に沿って複数のノッチが設けられているとともに、前記ベースの外周面に当該外周面から突出したスライド突起部が設けられており、前記ベースの回転に応じて前記複数のノッチの各々に前記スライド突起部が係合可能なように構成されていてもよい。
【0036】
この構成により、回転操作時の操作感の調整が可能となり、ユーザに対して回転操作時の良好な感触を提供することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、耐久性および利便性、さらにはカスタマイズ性に優れたタッチパネルディスプレイ用操作入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスを上方から見た分解斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスを下方から見た分解斜視図である。
図3】(a)は、本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスの平面図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスの正面図であり、(c)は、本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスの底面図である。
図4】(a)は、本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスを上方から見た斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスを下方から見た斜視図である。
図5図3(a)および図3(c)のA-A断面図である。
図6図3(a)および図3(c)のB-B断面図である。
図7図3(a)および図3(c)のC-C断面図である。
図8】本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスの斜視断面図である。
図9】本発明の第1の実施形態における操作入力装置の上部共通デバイスに用いられている環状高滑材の一部分を拡大した断面斜視図である。
図10図8の領域Rの拡大図である。
図11】本発明の第1の実施形態における操作入力装置の下部デバイスを上方から見た分解斜視図である。
図12】本発明の第1の実施形態における操作入力装置の下部デバイスを下方から見た分解斜視図である。
図13】(a)は、本発明の第1の実施形態における操作入力装置を上方から見た斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態における操作入力装置を下方から見た斜視図である。
図14】本発明の第1の実施形態における操作入力装置の斜視断面図である。
図15】本発明の第1の実施形態における操作入力装置をタッチパネルディスプレイの表示面に取り付けた状態を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態における操作入力装置の下部デバイスを上方から見た分解斜視図である。
図17】本発明の第2の実施形態における操作入力装置の下部デバイスを下方から見た分解斜視図である。
図18】本発明の第2の実施形態における操作入力装置の下部デバイスの別の一例を上方から見た分解斜視図である。
図19】本発明の第2の実施形態における操作入力装置の下部デバイスの別の一例を下方から見た分解斜視図である。
図20】(a)は、本発明の第2の実施形態における操作入力装置を上方から見た斜視図であり、(b)は、本発明の第2の実施形態における操作入力装置を下方から見た斜視図である。
図21】本発明の第2の実施形態における操作入力装置の斜視断面図である。
図22】本発明に係る変形例である操作入力装置の上部共通デバイスを上方から見た分解斜視図である。
図23】本発明に係る変形例である操作入力装置の上部共通デバイスを下方から見た分解斜視図である。
図24】(a)は、本発明に係る変形例である操作入力装置の肉厚パッドの平面図であり、(b)は、(a)のE-E断面図である。
図25】(a)は、本発明に係る変形例である操作入力装置を上方から見た斜視図であり、(b)は、本発明に係る変形例である操作入力装置を下方から見た斜視図である。
図26】(a)は、本発明に係る変形例である操作入力装置の別の一例を上方から見た斜視図であり、(b)は、本発明に係る変形例である操作入力装置の別の一例を下方から見た斜視図である。
図27】本発明に係る変形例である操作入力装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態におけるタッチパネルディスプレイ用操作入力装置(以下、操作入力装置と記載)について説明する。なお、本発明の実施形態に対する理解を容易にするため、便宜上、図示されている各構成要素の寸法や縮尺は実際の寸法や縮尺とは異なる場合がある。
【0040】
本発明の実施形態における操作入力装置は、タッチパネルディスプレイの表示面上に取り付けられた状態で、ユーザにより回転操作が可能なように構成されている。以下の説明では、操作入力装置の回転軸に沿って、トップカバー側を上側と記載し、タッチパネルディスプレイの表示面側を下側と記載することがある。
【0041】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aについて説明する。本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aは、後述するように、上部共通デバイス2および下部デバイス3Aにより構成されている。
【0042】
<上部共通デバイス2>
本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2を構成する各部材について説明する。
【0043】
図1には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2を上方から見た分解斜視図が示されており、図2には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2を下方から見た分解斜視図が示されている。図1および図2には、操作入力装置1Aの各部材のうち、上部共通デバイス2に含まれるトップカバー11から3本のピン(第1ピン20x、第2ピン20y、第3ピン20z)までの各部材が示されている。
【0044】
なお、図1および図2に示されている各部材により組み立てられる上部共通デバイス2は、本第1の実施の形態における操作入力装置1Aを構成する上部構造体であるとともに、後述する第2実施の形態における操作入力装置1Bを構成する上部構造体でもある。図1および図2に示される各部材により組み立てられる上部構造体は本第1の実施の形態および後述する第2の実施形態に共通する構造体であることから、当該上部構造体を上部共通デバイス2と記載する。
【0045】
図1および図2に示されているように、操作入力装置1Aの上部共通デバイス2は、トップカバー11、第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16、ホルダ17、環状高滑材18、ベース19、3本のピン20x、20y、20zを概略備えて構成されている。
【0046】
(トップカバー11)
トップカバー11は、樹脂等の絶縁材で構成されており、円板状の概形を有している。トップカバー11は、第1パッド12の上側に配置される。トップカバー11は、上部共通デバイス10の上面を保護する役割を有する。
【0047】
操作入力装置1Aのトップカバー11は、円板状の概形を有するトップ部11tと、トップ部11tの下面に設けられた3本のロック部11a、11b、11cとにより構成されている。
【0048】
3本のロック部11a、11b、11cの各々は、トップ部11tの下面から下方に延びる長尺のアーム11a1、11b1、11c1を有している。図示されている例では、アーム11a1、11b1、11c1は、長尺方向に対して垂直な断面が略矩形状となるように成形されている。
【0049】
3本のロック部11a、11b、11cは、例えば、円形状のトップ部11tの外周と略同心円弧上に配置され、周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられている。3本のロック部11a、11b、11cの長尺方向の寸法は、下方に配置される3つのパッド12、14、16(第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16)、2つの絶縁部材13、15(第1絶縁部材13、第2絶縁部材15)、ベース19等の厚さに基づいて、先端に設けられた係止爪11a2、11b2、11c2がベース19の下面側に露出する寸法となるように設定されている。
【0050】
3本のロック部11a、11b、11cは、アーム11a1、11b1、11c1の上方側がトップ部11tに接続されており、トップ部11tと一体となって構成されている。すなわち、3本のロック部11a、11b、11cの上方側には、アーム11a1、11b1、11c1の長尺方向に対して垂直な方向にトップ部11tの下面が広がっている。アーム11a1、11b1、11c1の上端がトップ部11tと一体となっていることで、積層された各部材を上方から固定する上面側固定部が構成されている。
【0051】
一方、アーム11a1、11b1、11c1の下方側の先端には、係止爪11a2、11b2、11c2が設けられている。係止爪11a2、11b2、11c2は、一例として、アーム11a1、11b1、11c1の長尺方向に対して垂直な方向に突出するように成形されており、ベース19の下面側に係合できるようになっている。アーム11a1、11b1、11c1の下端に係止爪11a2、11b2、11c2が設けられていることで、積層された各部材を下方から固定する下面側固定部が構成されている。
【0052】
トップ部11tの下面には、3本のピン20x、20y、20z(第1ピン20x、第2ピン20y、第3ピン20z)の先端が挿入される3つのピン先端収容部11x、11y、11zが設けられている。ピン先端収容部11x、11y、11zは、3本のロック部11a、11b、11cとは異なる位置に設けられている。ピン先端収容部11x、11y、11zは、例えば、3本のロック部11a、11b、11cが配置されている略円弧上に設けられており、周方向に等間隔(120°の間隔)、かつ、隣接するロック部11a、11b、11cから60°ずれた位置に設けられている。
【0053】
操作入力装置1Aの組み立て時には、3本のピン20x、20y、20zがベース19の下面から積層された各部材を貫通するように挿入され、第1パッド12の上面からピン20x、20y、20zの先端が突出した状態となる。ピン先端収容部11x、11y、11zは、第1パッド12の上面から突出したピン20x、20y、20zの先端を収容するための空間を画定する。
【0054】
トップ部11tの下面の略中心部には、略円筒状に成形された嵌合凸部11rが下方に突出するように設けられている。嵌合凸部11rの上方側はトップ部11tの下面に接続されており、嵌合凸部11rは、トップ部11tと一体となって構成されている。また、嵌合凸部11rの下方側は開口した形状に成形されている。嵌合凸部11rの下方側の外径は、ベース19に設けられた嵌合凹部19rの開口寸法より小さく設定されており、嵌合凸部11rが嵌合凹部19r内に嵌合できるようになっている。なお、嵌合凸部11rおよび嵌合凹部19rの凹凸を反対にして、トップカバー11に嵌合凹部を設けるとともにベース19に嵌合凸部を設けて嵌合させてもよい。
【0055】
また、トップカバー11の略中心部に貫通孔が形成されており、トップカバー11が環状に成形されていてもよい。具体的な一例として、嵌合凸部11rの内側がくり抜かれた構造となっていてもよい。嵌合凸部11rはベース19に設けられた嵌合凹部19rの貫通孔に連通しており、トップカバー11の略中心部の貫通孔を上から覗いた場合、ベース19に設けられた嵌合凹部19rより下方を見ることができるようになる。さらに、後述する下部デバイス3Aにおいて、嵌合凹部19rの下方の位置に貫通孔を設けた構成とすることで、操作入力装置1Aをタッチパネルディスプレイの表示面に取り付けた状態で、トップカバー11の略中心部の貫通孔からタッチパネルディスプレイの表示面を視認できるようになる。
【0056】
(第1パッド12)
第1パッド12は、金属や導電性材料でメッキされた樹脂等の導電材で構成されており、円板状の概形を有している。第1パッド12は、トップカバー11の下側に配置され、第1絶縁部材13の上側に配置される。第1パッド12の外径は、トップカバー11の外径および第1絶縁部材13の外径と略同一、または、これらより大きく設定されることが好ましい。これにより、ユーザが操作入力装置1Aの外周面を指で把持した際に、ユーザの指を第1パッド12に接触させることができるようになる。
【0057】
第1パッド12には、3つのロック部貫通孔12a、12b、12cが設けられている。3つのロック部貫通孔12a、12b、12cは、第1パッド12の上面および下面で開口する貫通孔である。図示されている例では、アーム11a1、11b1、11c1の略矩形状の断面に合わせて、ロック部貫通孔12a、12b、12cの開口形状は略矩形状に成形されている。
【0058】
3つのロック部貫通孔12a、12b、12cは、トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cのアーム11a1、11b1、11c1に対応する位置に設けられている。3つのロック部貫通孔12a、12b、12cは、例えば、トップカバー11に設けられている3本のロック部11a、11b、11cと同様に、円形状の第1パッド12の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられている。ロック部貫通孔12aにはアーム11a1が挿通され、ロック部貫通孔12bにはアーム11b1が挿通され、ロック部貫通孔12cにはアーム11c1が挿通される。
【0059】
第1パッド12には、2つのピン貫通孔12y、12zと、1つのピン接触部12xとが設けられている。2つのピン貫通孔12y、12zおよび1つのピン接触部12xは、3つのロック部貫通孔12a、12b、12cとは異なる位置に設けられている。2つのピン貫通孔12y、12zおよび1つのピン接触部12xは、例えば、3つのロック部貫通孔12a、12b、12cと同様に第1パッド12の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられており、かつ、3つのロック部貫通孔12a、12b、12cとはずれた位置(隣接するロック部貫通孔12a、12b、12cから60°ずれた位置)に設けられている。
【0060】
ピン貫通孔12y、12zは、第1パッド12の上面および下面で開口する貫通孔である。2つのピン貫通孔12y、12zには、対応するピン(第2ピン20y、第3ピン20z)が第1パッド12に電気的に導通しないように挿通される。例えば、2つのピン貫通孔12y、12zは、開口形状が略円形となるように形成されている。ピン貫通孔12y、12zの開口寸法は、第2ピン20yおよび第3ピン20zが第1パッド12と接触しないように、ピンシャフト20y1、20z1の径(太さ)よりも十分大きく設定されている。
【0061】
ピン接触部12xは、第1パッド12の上面および下面で開口する貫通孔である。ピン接触部12xの貫通孔の内側には、突起部12x1が設けられている。一例として、2つの突起部12x1はピン接触部12xの貫通孔の内側に突出するように設けられており、上方から見た場合にピン接触部12xの貫通孔は略H字状に形成されている。
【0062】
ピン接触部12xの貫通孔は、第1ピン20xが挿通可能となるようにピンシャフト20x1の径(太さ)より大きく設定されている一方、2つの突起部12x1が対向する離隔距離は、ピンシャフト20x1に形成された突起嵌合部20x3の径(太さ)と略同一の寸法となるように設定されている。ピンシャフト20x1の突起嵌合部20x3がピン接触部12xの2つの突起部12x1の間に嵌合することで、第1ピン20xは、第1パッド12と電気的に導通した状態で2つの突起部12x1により支持される。2つの突起部12x1で突起嵌合部20x3を嵌合することにより、第1ピン20xが第1パッド12と電気的に導通した状態を維持しながら、第1ピン20xの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0063】
第1パッド12の略中心部には、上面および下面で開口する円筒挿通孔12rが設けられている。円筒挿通孔12rの開口寸法は、ベース19に設けられた嵌合凹部19rの径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、嵌合凹部19rが円筒挿通孔12rに挿通されるようになっている。
【0064】
(第1絶縁部材13)
第1絶縁部材13は、樹脂等の絶縁材で構成されており、円板状の概形を有している。第1絶縁部材13は、第1パッド12の下側に配置され、第2パッド14の上側に配置される。第1絶縁部材13の外径は、指で把持したときの第1パッド12および第2パッド14に対する指の接触安定性を考慮し、ホルダ17の外径と略同一、または、これらより小さく設定されることが好ましい。
【0065】
第1絶縁部材13には、3つのロック部貫通孔13a、13b、13cが設けられている。3つのロック部貫通孔13a、13b、13cは、第1絶縁部材13の上面および下面で開口する貫通孔である。図示されている例では、アーム11a1、11b1、11c1の略矩形状の断面に合わせて、ロック部貫通孔13a、13b、13cの開口形状は略矩形状に成形されている。
【0066】
3つのロック部貫通孔13a、13b、13cは、トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cのアーム11a1、11b1、11c1に対応する位置に設けられている。3つのロック部貫通孔13a、13b、13cは、例えば、トップカバー11に設けられている3本のロック部11a、11b、11cと同様に、円形状の第1絶縁部材13の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられている。ロック部貫通孔13aにはアーム11a1が挿通され、ロック部貫通孔13bにはアーム11b1が挿通され、ロック部貫通孔13cにはアーム11c1が挿通される。
【0067】
第1絶縁部材13には、3つのピン貫通孔13x、13y、13zが設けられている。3つのピン貫通孔13x、13y、13zは、3つのロック部貫通孔13a、13b、13cとは異なる位置に設けられている。3つのピン貫通孔13x、13y、13zは、例えば、3つのロック部貫通孔13a、13b、13cと同様に第1絶縁部材13の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられており、かつ、3つのロック部貫通孔13a、13b、13cとはずれた位置(隣接するロック部貫通孔13a、13b、13cから60°ずれた位置)に設けられている。
【0068】
ピン貫通孔13x、13y、13zは、第1絶縁部材13の上面および下面で開口する貫通孔である。例えば、3つのピン貫通孔13x、13y、13zは、開口形状が略円形となるように形成されている。ピン貫通孔13x、13y、13zの開口寸法は、ピンシャフト20x1、20y1、20z1の径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、ピンシャフト20x1、20y1、20z1がピン貫通孔13x、13y、13zに挿通されるようになっている。
【0069】
第1パッド12のピン接触部12xと軸方向において対向するピン貫通孔13xの周囲(第1絶縁部材13の上面側におけるピン貫通孔13xの周囲)には、スリット13x1が設けられている。スリット13x1は、例えば、第1パッド12のピン接触部12xの形状に合わせて略矩形状に成形されている。スリット13x1は、第1パッド12のピン接触部12xの2つの突起部12x1が軸方向へ変位可能とする空間を画定しており、これにより、突起部12x1により支持された第1ピン20xの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0070】
また、第2パッド14のピン接触部14yと軸方向において対向するピン貫通孔13yの周囲(第1絶縁部材13の下面側におけるピン貫通孔13yの周囲)には、スリット13y1が設けられている。スリット13y1は、例えば、第2パッド14のピン接触部14yの形状に合わせて略矩形状に成形されている。スリット13y1は、第2パッド14のピン接触部14yの2つの突起部14y1が軸方向へ変位可能とする空間を画定しており、これにより、突起部14y1により支持された第2ピン20yの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0071】
第1絶縁部材13の略中心部には、上面および下面で開口する円筒挿通孔13rが設けられている。円筒挿通孔13rの開口寸法は、ベース19に設けられた嵌合凹部19rの径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、嵌合凹部19rが円筒挿通孔13rに挿通されるようになっている。
【0072】
第1絶縁部材13の外周面には、径方向外側に突出する操作補助凸部13tが設けられている。図示されている例では、5つの操作補助凸部13tが第1絶縁部材13の外周面に等間隔(72°の間隔)で設けられている。操作補助凸部13tは、ユーザが操作入力装置1Aの外周面を指で把持して回転操作を行う際に指の滑り止めとしての機能を有し、ユーザが加えた回転方向の力を第1絶縁部材13に効率良く伝達できるようになっている。なお、第1絶縁部材13の外周面に、ユーザが加えた回転方向の力を第1絶縁部材13に効率良く伝達できるようにローレット(刻み)を入れた構成であってもよい。
【0073】
(第2パッド14)
第2パッド14は、金属や導電性材料でメッキされた樹脂等の導電材で構成されており、円板状の概形を有している。第2パッド14は、第1絶縁部材13の下側に配置され、第2絶縁部材15の上側に配置される。第2パッド14の外径は、第1絶縁部材13の外径および第2絶縁部材15の外径と略同一、または、これらより大きく設定されることが好ましい。これにより、ユーザが操作入力装置1Aの外周面を指で把持した際に、ユーザの指を第2パッド14に接触させることができるようになる。
【0074】
第2パッド14には、3つのロック部貫通孔14a、14b、14cが設けられている。3つのロック部貫通孔14a、14b、14cは、第2パッド14の上面および下面で開口する貫通孔である。図示されている例では、アーム11a1、11b1、11c1の略矩形状の断面に合わせて、ロック部貫通孔14a、14b、14cの開口形状は略矩形状に成形されている。
【0075】
3つのロック部貫通孔14a、14b、14cは、トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cのアーム11a1、11b1、11c1に対応する位置に設けられている。3つのロック部貫通孔14a、14b、14cは、例えば、トップカバー11に設けられている3本のロック部11a、11b、11cと同様に、円形状の第2パッド14の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられている。ロック部貫通孔14aにはアーム11a1が挿通され、ロック部貫通孔14bにはアーム11b1が挿通され、ロック部貫通孔14cにはアーム11c1が挿通される。
【0076】
第2パッド14には、2つのピン貫通孔14x、14zと、1つのピン接触部14yとが設けられている。2つのピン貫通孔14x、14zおよび1つのピン接触部14yは、3つのロック部貫通孔14a、14b、14cとは異なる位置に設けられている。2つのピン貫通孔14x、14zおよび1つのピン接触部14yは、例えば、3つのロック部貫通孔14a、14b、14cと同様に第2パッド14の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられており、かつ、3つのロック部貫通孔14a、14b、14cとはずれた位置(隣接するロック部貫通孔14a、14b、14cから60°ずれた位置)に設けられている。
【0077】
ピン貫通孔14x、14zは、第2パッド14の上面および下面で開口する貫通孔である。2つのピン貫通孔14x、14zは、対応するピン(第1ピン20x、第3ピン20z)が第2パッド14に電気的に導通しないように挿通される。例えば、2つのピン貫通孔14x、14zは、開口形状が略円形となるように形成されている。ピン貫通孔14x、14zの開口寸法は、第1ピン20xおよび第3ピン20zが第2パッド14と接触しないように、ピンシャフト20x1、20z1の径(太さ)よりも十分大きく設定されている。
【0078】
ピン接触部14yは、第2パッド14の上面および下面で開口する貫通孔である。ピン接触部14yの貫通孔の内側には、突起部14y1が設けられている。一例として、2つの突起部14y1はピン接触部14yの貫通孔の内側に突出するように設けられており、上方から見た場合にピン接触部14yの貫通孔は略H字状に形成されている。
【0079】
ピン接触部14yの貫通孔は、第2ピン20yが挿通可能となるようにピンシャフト20y1の径(太さ)より大きく設定されている一方、2つの突起部14y1が対向する離隔距離は、ピンシャフト20y1に形成された突起嵌合部20y3の径(太さ)と略同一の寸法となるように設定されている。ピンシャフト20y1の突起嵌合部20y3がピン接触部14yの2つの突起部14y1の間に嵌合することで、第2ピン20yは、第2パッド14と電気的に導通した状態で2つの突起部14y1により支持される。2つの突起部14y1で突起嵌合部20y3を嵌合することにより、第2ピン20yが第2パッド14と電気的に導通した状態を維持しながら、第2ピン20yの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0080】
第2パッド14の略中心部には、上面および下面で開口する円筒挿通孔14rが設けられている。円筒挿通孔14rの開口寸法は、ベース19に設けられた嵌合凹部19rの径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、嵌合凹部19rが円筒挿通孔14rに挿通されるようになっている。
【0081】
(第2絶縁部材15)
第2絶縁部材15は、樹脂等の絶縁材で構成されており、円板状の概形を有している。第2絶縁部材15は、第2パッド14の下側に配置され、第3パッド16の上側に配置される。第2絶縁部材15の外径は、指で把持したときの第2パッド14および第3パッド16に対する指の接触安定性を考慮し、ホルダ17の外径と略同一、または、これらより小さく設定されることが好ましい。
【0082】
第2絶縁部材15には、3つのロック部貫通孔15a、15b、15cが設けられている。3つのロック部貫通孔15a、15b、15cは、第2絶縁部材15の上面および下面で開口する貫通孔である。図示されている例では、アーム11a1、11b1、11c1の略矩形状の断面に合わせて、ロック部貫通孔15a、15b、15cの開口形状は略矩形状に成形されている。
【0083】
3つのロック部貫通孔15a、15b、15cは、トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cのアーム11a1、11b1、11c1に対応する位置に設けられている。3つのロック部貫通孔15a、15b、15cは、例えば、トップカバー11に設けられている3本のロック部11a、11b、11cと同様に、円形状の第2絶縁部材15の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられている。ロック部貫通孔15aにはアーム11a1が挿通され、ロック部貫通孔15bにはアーム11b1が挿通され、ロック部貫通孔15cにはアーム11c1が挿通される。
【0084】
第2絶縁部材15には、3つのピン貫通孔15x、15y、15zが設けられている。3つのピン貫通孔15x、15y、15zは、3つのロック部貫通孔15a、15b、15cとは異なる位置に設けられている。3つのピン貫通孔15x、15y、15zは、例えば、3つのロック部貫通孔15a、15b、15cと同様に第2絶縁部材15の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられており、かつ、3つのロック部貫通孔15a、15b、15cとはずれた位置(隣接するロック部貫通孔15a、15b、15cから60°ずれた位置)に設けられている。
【0085】
ピン貫通孔15x、15y、15zは、第2絶縁部材15の上面および下面で開口する貫通孔である。例えば、3つのピン貫通孔15x、15y、15zは、開口形状が略円形となるように形成されている。ピン貫通孔15x、15y、15zの開口寸法は、ピンシャフト20x1、20y1、20z1の径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、ピンシャフト20x1、20y1、20z1がピン貫通孔15x、15y、15zに挿通されるようになっている。
【0086】
第2パッド14のピン接触部14yと軸方向において対向するピン貫通孔15yの周囲(第2絶縁部材15の上面側におけるピン貫通孔15yの周囲)には、スリット15y1が設けられている。スリット15y1は、例えば、第2パッド14のピン接触部14yの形状に合わせて略矩形状に成形されている。スリット15y1は、第2パッド14のピン接触部14yの2つの突起部14y1が軸方向へ変位可能とする空間を画定しており、これにより、突起部14y1により支持された第2ピン20yの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0087】
また、第3パッド16のピン接触部16zと軸方向において対向するピン貫通孔15zの周囲(第2絶縁部材15の下面側におけるピン貫通孔15zの周囲)には、スリット15z1が設けられている。スリット15z1は、例えば、第3パッド16のピン接触部16zの形状に合わせて略矩形状に成形されている。スリット15z1は、第3パッド16のピン接触部16zの2つの突起部16z1が軸方向へ変位可能とする空間を画定しており、これにより、突起部16z1により支持された第3ピン20zの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0088】
第2絶縁部材15の略中心部には、上面および下面で開口する円筒挿通孔15rが設けられている。円筒挿通孔15rの開口寸法は、ベース19に設けられた嵌合凹部19rの径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、嵌合凹部19rが円筒挿通孔15rに挿通されるようになっている。
【0089】
第2絶縁部材15の外周面には、径方向外側に突出する操作補助凸部15tが設けられている。図示されている例では、5つの操作補助凸部15tが第2絶縁部材15の外周面に等間隔(72°の間隔)で設けられている。操作補助凸部15tは、ユーザが操作入力装置1Aの外周面を指で把持して回転操作を行う際に指の滑り止めとしての機能を有し、ユーザが加えた回転方向の力を第2絶縁部材15に効率良く伝達できるようになっている。なお、第1絶縁部材13の操作補助凸部13tおよび第2絶縁部材15の操作補助凸部15tは、同一の形状に成形され、周方向の同一の位置に同一の個数だけ設けられていてもよく、あるいは、異なる形状、位置、個数であってもよい。なお、第2絶縁部材15の外周面に、ユーザが加えた回転方向の力を第2絶縁部材15に効率良く伝達できるようにローレット(刻み)を入れた構成であってもよい。
【0090】
(第3パッド16)
第3パッド16は、金属や導電性材料でメッキされた樹脂等の導電材で構成されており、円板状の概形を有している。第3パッド16は、第2絶縁部材15の下側に配置され、ホルダ17およびベース19の上側に配置される。第3パッド16の外径は、第2絶縁部材15の外径より大きく設定されることが好ましい。これにより、ユーザが操作入力装置1Aの外周面を指で把持した際に、ユーザの指を第3パッド16に接触させることができるようになる。
【0091】
第3パッド16には、3つのロック部貫通孔16a、16b、16cが設けられている。3つのロック部貫通孔16a、16b、16cは、第3パッド16の上面および下面で開口する貫通孔である。図示されている例では、アーム11a1、11b1、11c1の略矩形状の断面に合わせて、ロック部貫通孔16a、16b、16cの開口形状は略矩形状に成形されている。
【0092】
3つのロック部貫通孔16a、16b、16cは、トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cのアーム11a1、11b1、11c1に対応する位置に設けられている。3つのロック部貫通孔16a、16b、16cは、例えば、トップカバー11に設けられている3本のロック部11a、11b、11cと同様に、円形状の第3パッド16の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられている。ロック部貫通孔16aにはアーム11a1が挿通され、ロック部貫通孔16bにはアーム11b1が挿通され、ロック部貫通孔16cにはアーム11c1が挿通される。
【0093】
第3パッド16には、2つのピン貫通孔16x、16yと、1つのピン接触部16zとが設けられている。2つのピン貫通孔16x、16yおよび1つのピン接触部16zは、3つのロック部貫通孔16a、16b、16cとは異なる位置に設けられている。2つのピン貫通孔16x、16yおよび1つのピン接触部16zは、例えば、3つのロック部貫通孔16a、16b、16cと同様に第3パッド16の周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられており、かつ、3つのロック部貫通孔16a、16b、16cとはずれた位置(隣接するロック部貫通孔16a、16b、16cから60°ずれた位置)に設けられている。
【0094】
ピン貫通孔16x、16yは、第3パッド16の上面および下面で開口する貫通孔である。2つのピン貫通孔16x、16yは、対応するピン(第1ピン20x、第2ピン20y)が第3パッド16に電気的に導通しないように挿通される。例えば、2つのピン貫通孔16x、16yは、開口形状が略円形となるように形成されている。ピン貫通孔16x、16yの開口寸法は、第1ピン20xおよび第2ピン20yが第3パッド16と接触しないように、ピンシャフト20x1、20y1の径(太さ)よりも十分大きく設定されている。
【0095】
ピン接触部16zは、第3パッド16の上面および下面で開口する貫通孔である。ピン接触部16zの貫通孔の内側には、突起部16z1が設けられている。一例として、2つの突起部16z1はピン接触部16zの貫通孔の内側に突出するように設けられており、上方から見た場合にピン接触部16zの貫通孔は略H字状に形成されている。
【0096】
ピン接触部16zの貫通孔は、第3ピン20zが挿通可能となるようにピンシャフト20z1の径(太さ)より大きく設定されている一方、2つの突起部16z1が対向する離隔距離は、ピンシャフト20z1に形成された突起嵌合部20z3の径(太さ)と略同一の寸法となるように設定されている。ピンシャフト20z1の突起嵌合部20z3がピン接触部16zの2つの突起部16z1の間に嵌合することで、第3ピン20zは、第3パッド16と電気的に導通した状態で2つの突起部16z1により支持される。2つの突起部16z1で突起嵌合部20z3を嵌合することにより、第3ピン20zが第3パッド16と電気的に導通した状態を維持しながら、第3ピン20zの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0097】
第3パッド16の略中心部には、上面および下面で開口する円筒挿通孔16rが設けられている。円筒挿通孔16rの開口寸法は、ベース19に設けられた嵌合凹部19rの径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、嵌合凹部19rが円筒挿通孔16rに挿通されるようになっている。
【0098】
(ホルダ17)
ホルダ17は、樹脂等の絶縁材で構成されており、上方で開口する上側開口部17cおよび下方で開口する下側開口部17dが形成された部材である。ホルダ17は、第3パッド16の下側に配置され、ベース19の上側に配置される。ホルダ17は、ホルダ環状部17aとホルダ脚部17bとが一体となって構成されている。
【0099】
ホルダ環状部17aは、環状に成形されており、ホルダ環状部17aの略中心部には上側開口部17cが形成されている。上側開口部17cの開口寸法は、第3パッド16の外径およびベース脚部19qの外径より小さく、ベース凸部19pの外径より大きく設定されている。この開口寸法により、第3パッド16が上側開口部17cを通り抜けないようになっており、また、ベース脚部19qが上側開口部17cを通り抜けず、かつ、ベース凸部19pが上側開口部17cに嵌入できるようになっている。
【0100】
ホルダ脚部17bは、ホルダ環状部17aの外周縁部から下方に延びる部材である。ホルダ脚部17bは、例えば略円筒形状を有しており、ホルダ脚部17bの内周側にはベース19を収容するためのベース収容空間が画定される。ホルダ脚部17bにより形成される下側開口部17dの開口寸法は、ベース脚部19qの外径より大きく設定されている。この開口寸法により、ベース脚部19qが下側開口部17dに嵌入できるようになっている。
【0101】
ホルダ脚部17bの内周面には、周方向に沿って複数のノッチ17eが設けられている。複数のノッチ17eには、ベース脚部19qの外周面から突出したスライド突起部19tが係合できるようになっており、スライド突起部19tがノッチ17eに係合することで位置決めが行われるとともに、回転操作時にカチカチと音を立てて回転するため、ユーザに対して回転操作時の良好な感触を提供することができる。
【0102】
(環状高滑材18)
環状高滑材18は、高滑材で構成されており、環状に成形された部材である。環状高滑材18を構成する高滑材として、例えば、耐摩耗性および潤滑性に優れ、ベアリングとして利用されている樹脂等を用いることができる。
【0103】
環状高滑材18は、操作入力装置1Aの組み立て時にホルダ17の下面側とベース19の上面側とを嵌合させた際に、ホルダ脚部17bの下面とベース脚部19qの上面との間に配置される。環状高滑材18の構成および構成については、図9及び図10を参照しながら後述する。
【0104】
(ベース19)
ベース19は、樹脂等の絶縁材で構成されており、ホルダ脚部17bの内周側に画定されたベース収容空間に嵌入可能な形状に成形されている。ベース19は、ホルダ17および環状高滑材18の下側に配置される。ベース19は、ベース凸部19pとベース脚部19qとが一体となって構成されている。
【0105】
ベース凸部19pは、ベース19の外周縁部に配置されているベース脚部19qの上面より一段高い略円形の上面を有しており、当該略円形の上面が上方に突出するように成形されている。ベース凸部19pの外径(太さ)は、ホルダ環状部17aの上側開口部17cより小さく設定されており、ベース凸部19pが上側開口部17cに嵌入できるようになっている。
【0106】
ベース凸部19pには、3つのロック部貫通孔19a、19b、19cが設けられている。3つのロック部貫通孔19a、19b、19cは、ベース凸部19pの上面および下面で開口する貫通孔である。図示されている例では、アーム11a1、11b1、11c1の略矩形状の断面に合わせて、ロック部貫通孔19a、19b、19cの開口形状は略矩形状に成形されている。
【0107】
3つのロック部貫通孔19a、19b、19cは、トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cのアーム11a1、11b1、11c1に対応する位置に設けられている。3つのロック部貫通孔19a、19b、19cは、例えば、トップカバー11に設けられている3本のロック部11a、11b、11cと同様に、円形状のベース凸部19pの周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられている。ロック部貫通孔19aにはアーム11a1が挿通され、ロック部貫通孔19bにはアーム11b1が挿通され、ロック部貫通孔19cにはアーム11c1が挿通される。
【0108】
ベース凸部19pの下面側におけるロック部貫通孔19a、19b、19cの周囲には、爪係合部19a1、19b1、19c1が設けられている。爪係合部19a1、19b1、19c1は、ロック部11a、11b、11cの係止爪11a2、11b2、11c2が係合可能な形状に成形されており、これにより、各係止爪11a2、11b2、11c2は、ベース19の下面側に係合できるようになっている。
【0109】
ベース凸部19pには、3つのピン貫通孔19x、19y、19zが設けられている。3つのピン貫通孔19x、19y、19zは、3つのロック部貫通孔19a、19b、19cとは異なる位置に設けられている。3つのピン貫通孔19x、19y、19zは、例えば、3つのロック部貫通孔19a、19b、19cと同様にベース凸部19pの周方向に等間隔(120°の間隔)で設けられており、かつ、3つのロック部貫通孔19a、19b、19cとはずれた位置(隣接するロック部貫通孔19a、19b、19cから60°ずれた位置)に設けられている。
【0110】
ピン貫通孔19x、19y、19zは、ベース凸部19pの上面および下面で開口する貫通孔である。例えば、3つのピン貫通孔19x、19y、19zは、開口形状が略円形となるように形成されている。ピン貫通孔19x、19y、19zの開口寸法は、ピンシャフト20x1、20y1、20z1の径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、ピンシャフト20x1、20y1、20z1がピン貫通孔19x、19y、19zに挿通されるようになっている。
【0111】
第3パッド16のピン接触部16zと軸方向において対向するピン貫通孔19zの周囲(ベース凸部19pの上面側におけるピン貫通孔19zの周囲)には、スリット19z1が設けられている。スリット19z1は、例えば、第3パッド16のピン接触部16zの形状に合わせて略矩形状に成形されている。スリット19z1は、第3パッド16のピン接触部16zの2つの突起部16z1が軸方向へ変位可能とする空間を画定しており、これにより、突起部16z1により支持された第3ピン20zの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0112】
ベース凸部19pの下面側におけるピン貫通孔19x、19y、19zの周囲には、ピンヘッド収容部19x2、19y2、19z2が設けられている。ピンヘッド収容部19x2、19y2、19z2は、ベース凸部19pの下面にピンヘッド20x2、20y2、20z2が嵌入可能な窪んだ形状に成形されている。ピンヘッド収容部19x2、19y2、19z2の開口寸法は、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の外径と同程度またはそれより大きく設定されており、これにより、ピンヘッド20x2、20y2、20z2がピンヘッド収容部19x2、19y2、19z2に収容されるようになっている。
【0113】
ベース凸部19pの略中心部には、略円筒状に成形された嵌合凹部19rが上方に突出するように設けられている。嵌合凹部19rの下方側はベース凸部19pの上面に接続されており、嵌合凹部19rは、ベース凸部19pと一体となって構成されている。また、嵌合凹部19rの上方側は開口した形状に成形されている。嵌合凹部19rの上方側の開口寸法は、トップカバー11に設けられた嵌合凸部11rの外径より大きく設定されており、嵌合凸部11rが嵌合凹部19r内に嵌合できるようになっている。なお、嵌合凸部11rおよび嵌合凹部19rの凹凸を反対にして、トップカバー11に嵌合凹部を設けるとともにベース19に嵌合凸部を設けて嵌合させてもよい。
【0114】
また、ベース脚部19qは、ベース凸部19pの外周縁部から下方に延びる部材であり、ベース凸部19pと一体となって構成されている。ベース脚部19qの上面は、ベース凸部19pの上面より一段低い面を有している。すなわち、ベース19は、外周縁部にベース脚部19qが配置されており、ベース脚部19qの内側に略円形の上面を有するベース凸部19pが上方に突出した形状となっている。
【0115】
ベース脚部19qの外径は、ホルダ脚部17bにより形成される下側開口部17dの開口寸法より小さく設定されている。また、ベース脚部19qの高さは、ホルダ脚部17bの内周側に画定されたベース収容空間の高さより小さく設定されている。ベース収容空間内にベース19が収容された際には、ベース19がホルダ17に嵌入して、ベース脚部19qの下面がホルダ脚部17bの下面より上方に配置されるようになっている。
【0116】
ベース脚部19qには、ベース脚部19qの外周面から径方向外側に突出するスライド突起部19tが設けられている。スライド突起部19tは、ホルダ脚部17bのノッチ17eに係合可能な形状に設定可能であるとともに、ベース脚部19qの径方向に変位可能なように構成されている。ホルダ脚部17bのノッチ17eにスライド突起部19tが係合することで位置決めが行われるとともに、回転操作時にホルダ脚部17bのノッチ17eにスライド突起部19tが係合しながら回転することで、カチカチと音を立てて回転し、ユーザに対して回転操作時の良好な感触を提供することができる。
【0117】
(ピン20x、20y、20z)
3本のピン(第1ピン20x、第2ピン20y、第3ピン20z)は、金属や導電性材料でメッキされた樹脂等の導電材で構成されている。ピン20x、20y、20zは、ピンシャフト20x1、20y1、20z1とピンヘッド20x2、20y2、20z2とが一体となって構成されている。
【0118】
ピンシャフト20x1、20y1、20z1は、ベース凸部19pの下面側からピン貫通孔19x、19y、19z内に挿通され、ピンヘッド20x2、20y2、20z2は、ベース凸部19pのピンヘッド収容部19x2、19y2、19z2に収容されるようになっている。
【0119】
3本のピン20x、20y、20zの長尺方向の寸法は、積層された各部材の厚さに応じて設定されている。具体的には、3本のピン20x、20y、20zの長尺方向の寸法は、操作入力装置1Aの組み立て時に、ピンヘッド20x2、20y2、20z2がベース凸部19pのピンヘッド収容部19x2、19y2、19z2に収容され、かつ、ピンシャフト20x1、20y1、20z1の先端が、トップカバー11のピン先端収容部11x、11y、11zに収容される寸法に設定されている。
【0120】
第1ピン20xは、第1パッド12に対応しており、第1パッド12と電気的に導通するようになっている。より詳細には、第1ピン20xのピンシャフト20x1には、操作入力装置1Aの組み立て時に第1パッド12が配置される軸方向の位置に、突起嵌合部20x3が設けられている。これにより、第1パッド12のピン接触部12xの突起部12x1が、第1ピン20xの突起嵌合部20x3と嵌合できるようになっている。
【0121】
第2ピン20yは、第2パッド14に対応しており、第2パッド14と電気的に導通するようになっている。より詳細には、第2ピン20yのピンシャフト20y1には、操作入力装置1Aの組み立て時に第2パッド14が配置される軸方向の位置に、突起嵌合部20y3が設けられている。これにより、第2パッド14のピン接触部14yの突起部14y1が、第2ピン20yの突起嵌合部20y3と嵌合できるようになっている。
【0122】
第3ピン20zは、第3パッド16に対応しており、第3パッド16と電気的に導通するようになっている。より詳細には、第3ピン20zのピンシャフト20z1には、操作入力装置1Aの組み立て時に第3パッド16が配置される軸方向の位置に、突起嵌合部20z3が設けられている。これにより、第3パッド16のピン接触部16zの突起部16z1が、第3ピン20zの突起嵌合部20z3と嵌合できるようになっている。
【0123】
<上部共通デバイスの組み立て構成>
本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2の組み立て構成について説明する。
【0124】
図3(a)には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2の平面図が示されており、図3(b)には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2の正面図が示されており、図3(c)には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2の底面図が示されている。図4(a)には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2を上方から見た斜視図が示されており、図4(b)には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2を下方から見た斜視図が示されている。図5には、図3(a)および図3(c)のA-A断面図が示されている。図6には、図3(a)および図3(c)のB-B断面図が示されている。図7には、図3(a)および図3(c)のC-C断面図が示されている。図8には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2のD-D斜視断面図が示されている。
【0125】
上部共通デバイス2は、図1および図2に示される各部材により組み立てられ、上下方向(積層方向)に隣接した各部材が接触するように積層された構造体である。
【0126】
トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cの下方には、各ロック部11a、11b、11cが挿通可能となる位置に、各部材のロック部貫通孔が設けられている。
【0127】
ロック部11aのアーム11a1は、第1パッド12のロック部貫通孔12a、第1絶縁部材13のロック部貫通孔13a、パッド14のロック部貫通孔14a、第2絶縁部材15のロック部貫通孔15a、第3パッド16のロック部貫通孔16a、ベース19のロック部貫通孔19aに挿通されている。また、アーム11a1の先端に設けられた係止爪11a2は、ベース19の下面側に設けられた爪係合部19a1に係合固定されている。
【0128】
また、ロック部11bのアーム11b1は、第1パッド12のロック部貫通孔12b、第1絶縁部材13のロック部貫通孔13b、パッド14のロック部貫通孔14b、第2絶縁部材15のロック部貫通孔15b、第3パッド16のロック部貫通孔16b、ベース19のロック部貫通孔19bに挿通されている。また、アーム11b1の先端に設けられた係止爪11b2は、ベース19の下面側に設けられた爪係合部19b1に係合固定されている。
【0129】
また、ロック部11cのアーム11c1は、第1パッド12のロック部貫通孔12c、第1絶縁部材13のロック部貫通孔13c、パッド14のロック部貫通孔14c、第2絶縁部材15のロック部貫通孔15c、第3パッド16のロック部貫通孔16c、ベース19のロック部貫通孔19cに挿通されている。また、アーム11a1の先端に設けられた係止爪11c2は、ベース19の下面側に設けられた爪係合部19c1に係合固定されている。
【0130】
3本のピン(第1ピン20x、第2ピン20y、第3ピン20z)の上方には、各ピン20x、20y、20zが挿通可能となる位置に、各部材のピン貫通孔またはピン接触部が設けられている。
【0131】
第1ピン20xのピンシャフト20x1は、ベース19のピン貫通孔19x、第3パッド16のピン貫通孔16x、第2絶縁部材15のピン貫通孔15x、第2パッド14のピン貫通孔14x、第1絶縁部材13のピン貫通孔13x、第1パッド12のピン接触部12xに挿通されている。第1パッド12のピン接触部12xにおいては、ピンシャフト20x1の突起嵌合部20x3が2つの突起部12x1の間に嵌合しており、第1ピン20xは、第1パッド12と電気的に導通した状態で2つの突起部12x1により支持されている。一方、第2パッド14のピン貫通孔14xおよび第3パッド16のピン貫通孔16xにおいては、第1ピン20xと第2パッド14および第3パッド16とが電気的に導通しないように離隔している。また、ピンシャフト20x1の先端は、トップカバー11の下面に設けられたピン先端収容部11xに挿入されている。
【0132】
第2ピン20yのピンシャフト20y1は、ベース19のピン貫通孔19y、第3パッド16のピン貫通孔16y、第2絶縁部材15のピン貫通孔15y、第2パッド14のピン接触部14y、第1絶縁部材13のピン貫通孔13y、第1パッド12のピン貫通孔12yに挿通されている。第2パッド14のピン接触部14yにおいては、ピンシャフト20y1の突起嵌合部20y3が2つの突起部14y1の間に嵌合しており、第2ピン20yは、第2パッド14と電気的に導通した状態で2つの突起部14y1により支持されている。一方、第1パッド12のピン貫通孔12yおよび第3パッド16のピン貫通孔16yにおいては、第2ピン20yと第1パッド12および第3パッド16とが電気的に導通しないように離隔している。また、ピンシャフト20y1の先端は、トップカバー11の下面に設けられたピン先端収容部11yに挿入されている。
【0133】
第3ピン20zのピンシャフト20z1は、ベース19のピン貫通孔19z、第3パッド16のピン接触部16z、第2絶縁部材15のピン貫通孔15z、第2パッド14のピン貫通孔14z、第1絶縁部材13のピン貫通孔13z、第1パッド12のピン貫通孔12zに挿通されている。第3パッド16のピン接触部16zにおいては、ピンシャフト20z1の突起嵌合部20z3が2つの突起部16z1の間に嵌合しており、第3ピン20zは、第3パッド16と電気的に導通した状態で2つの突起部16z1により支持されている。一方、第1パッド12のピン貫通孔12zおよび第2パッド14のピン貫通孔14zにおいては、第3ピン20zと第1パッド12および第2パッド14とが電気的に導通しないように離隔している。また、ピンシャフト20z1の先端は、トップカバー11の下面に設けられたピン先端収容部11zに挿入されている。
【0134】
ベース19の嵌合凹部19rの上方には、嵌合凹部19rが挿通可能となる位置に、各部材の円筒挿通孔が設けられている。
【0135】
ベース19の嵌合凹部19rは、第3パッド16の円筒挿通孔16r、第2絶縁部材15の円筒挿通孔15r、第2パッド14の円筒挿通孔14r、第1絶縁部材13の円筒挿通孔13r、第1パッド12の円筒挿通孔12rに挿通されている。トップカバーの下面には嵌合凸部11rが設けられており、嵌合凸部11rが嵌合凹部19r内に嵌合している。
【0136】
上述したように、第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16、ベース19は積層された状態で固定されている。特に、トップカバー11に設けられた3本のロック部11a、11b、11cがこれらの部材に挿通され、ロック部11a、11b、11cの上端(上面側固定部)および下端(下面側固定部)がこれらの部材を挟持することで、積層された各部材を確実に固定できるように構成されている。
【0137】
第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16、ベース19、3本のピン20x、20y、20zは、回転体として、回転軸の周りを一体となって回転することができる。一方、ホルダ17は、第3パッド16とベース19との間にホルダ環状部17aが挟み込まれるように配置されているが、上記の回転体を構成するいずれの部材にも固定されていないため、上記の回転体とは独立して回転軸の周りを回転することができる。すなわち、第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16、ベース19、3本のピン20x、20y、20zにより構成される回転体は、ホルダ17に対して相対的に回転軸の周りを回転できるように構成されている。この構成により、ユーザが上部共通デバイス2の外周面を指で把持して回転体を回転させると、回転体を構成する各部材(第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16、ベース19、3本のピン20x、20y、20z)に回転力が伝わり、回転体を構成する各部材が一体となって回転するため、各部材がずれたり脱落したりすることなく安定した回転を継続させることができるようになる。
【0138】
上部共通デバイス2の外周面には、第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16の外周縁部が露出している。ユーザが操作入力装置1Aの回転操作を行う場合には上部共通デバイス2の外周面を指で把持し、このとき、ユーザの指を第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16の外周縁部に接触させることができるようになっている。
【0139】
ユーザの指が第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16に接触すると、第1パッド12および電気的に導通する第1ピン20xとタッチパネルディスプレイ間の静電容量、第2パッド14および電気的に導通する第2ピン20yとタッチパネルディスプレイ間の静電容量、第3パッド16および電気的に導通する第3ピン20zとタッチパネルディスプレイ間の静電容量が変化する。ベース19のピンヘッド収容部19x2、19y2、19z2に収容されたピンヘッド20x2、20y2、20z2の下面は、軸方向に垂直な方向に展延しており、タッチパネルディスプレイの表示面に対向した状態となる。この構成により、上部共通デバイス2の外周面をユーザが指で把持した場合には、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の各々とタッチパネルディスプレイ間の静電容量が変化し、タッチパネルディスプレイにおいて3点の検出点が検出される。
【0140】
なお、上述した構成では、一例として、3本のピンおよび3つのパッドを設けて3点の検出点が検出されるように構成されているが、これらの個数は特に限定されるものではなく、1点または2点、あるいは4点以上の検出点が検出されるように構成されてもよい。
【0141】
例えば、図示されている上部共通デバイス2において、第1パッド12、第2絶縁部材13、第2パッド14、第3絶縁部材15、第1ピン20x、第2ピン20yの各部材を取り除いた構成とし、第3パッド16および電気的に導通する第3ピン20zとタッチパネルディスプレイ間の静電容量が変化し、タッチパネルディスプレイにおいて1点の検出点として検出されるようにしてもよい。すなわち、上部共通デバイス2は、パッド、絶縁部材、ピンの各部材を取り除くことを容易にでき、タッチパネルディスプレイにおける検出点を、変更した構成であってもよい。なお、1本のピンのみを備えて1点の検出点が検出される構成の一例について、図22図27に示す変形例を参照しながら後述する。また、第3パッド16とホルダ17との間に、さらに1組以上の絶縁部材およびパッドを配置するとともに、ピンの本数を増やすことで、4点以上の検出点が検出されるようにしてもよい。
【0142】
また、例えば、第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16と同一形状の絶縁部材を準備し、上部共通デバイス2を組み立てる際に、第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16に代えて同一形状の絶縁部材を適宜配置してもよい。例えば、第1パッド12を同一形状の絶縁部材に代えた場合には、上部共通デバイス2の外周面をユーザが指で把持した際に、対応する第1ピン20xの静電容量が変化せず、ピンヘッド20y2、20z2のみ、タッチディスプレイとの間に静電容量の変化が生じ、タッチパネルディスプレイにおいて2点の検出点が検出されるようになる。このように、本発明に係る上部共通デバイス2は各部材が積層された構造を有しているため、導電性パッドを同一形状の絶縁性パッドに置換することで検出点の個数変更が容易に可能であり、カスタマイズ性に極めて優れている。また、ロック部11a、11b、11cによる係合固定を解除して分解することも容易であり、いずれかの部材が壊れて機能しなくなった場合であっても、当該壊れた部材の交換を行うだけで簡単に修理を行うことが可能である。
【0143】
<環状高滑材18の構成および機能>
本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2に用いられている環状高滑材18の構成および機能について説明する。
【0144】
図9には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの上部共通デバイス2に用いられている環状高滑材18の一部分を拡大した断面斜視図が示されている。図10には、図8の領域Rの拡大図が示されている。
【0145】
図9に示されるように、環状高滑材18は、上方側が開口しており下方側が曲面形状である略U字状に成形されている。言い換えると、環状高滑材18は、ドーナッツを水平方向に切って下部を残し、さらに、内部の肉をくりぬいた形状を有している。環状高滑材18の略U字状構造またはくりぬき構造は、ユーザによる回転操作時において、ホルダ17に対するベース19の滑り性(摺動性)を確保する機能、ホルダ17およびベース19の摩耗を防ぐ機能、ホルダ17に対してベース19が軸方向へ変位した際に生じる力を緩衝して、ホルダ17およびベース19の内突や衝撃による故障発生のリスクを低減させる機能等を有している。
【0146】
環状高滑材18は、ホルダ環状部17aの下面側に設けられた凹部17a1に一部嵌合するように構成されている。例えば、凹部17a1は周方向に設けられた溝であり、環状高滑材18の内周側端部18aが凹部17a1内に嵌合固定されるようになっている。
【0147】
環状高滑材18の下方側に設けられた曲面18bは、ベース脚部19qの上面に接触するように配置されている。ホルダ17に対してベース19が回転軸の周りを回転した際、ベース脚部19qの上面は、環状高滑材18の曲面18bに接触しながら摺動する。環状高滑材18は、潤滑性に優れた部材であるため、ホルダ17に対するベース19の滑り性(摺動性)が確保され、滑らかな回転が実現されるようになる。また、ホルダ17およびベース19が接触して摩耗することを防ぐことができる。
【0148】
ユーザは上部共通デバイス2の外周面を指で把持して回転操作を行うが、この際、ユーザによって上部共通デバイス2を上方から押し込む力が作用することがある。また、ユーザが上部共通デバイス2から指を離した場合や上部共通デバイス2を指でつまんで引っ張り上げた場合には、上部共通デバイス2には、上方に向かって引き上げられる力が作用することがある。このように、ベース19には軸方向の上方または下方に変位しようとする力が作用する。
【0149】
ベース19が軸方向に変位して環状高滑材18に軸方向の力が作用した場合には、環状高滑材18の下面側は図10の矢印AR1方向(軸方向)に撓み、環状高滑材18の外周側が矢印AR2方向(径方向)に撓むことで、軸方向に作用する力を緩衝することができる。このように、環状高滑材18は、ホルダ17とベース19との間に配置され、ホルダ17とベース19とが内突することを防ぎ、かつ、ホルダ17やベース19、さらには他の部材に対して作用する力や衝撃を和らげ、故障発生のリスクを低減させることができる。また、軸方向に加わる力を緩衝できることから、ピン20x、20y、20zとタッチパネルディスプレイ間の静電容量の変化ばらつきが低減でき、接続を安定化させることができる。
【0150】
<下部デバイス3A>
本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの下部デバイス3Aを構成する各部材について説明する。
【0151】
図11には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの下部デバイス3Aを上方から見た分解斜視図が示されており、図12には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの下部デバイス3Aを下方から見た分解斜視図が示されている。図11および図12には、操作入力装置1Aの各部材のうち、上部共通デバイス2のベース19および3本のピン(第1ピン20x、第2ピン20y、第3ピン20z)と、下部デバイス3Aの各部材とが示されている。
【0152】
操作入力装置1Aの下部デバイス3Aは、上述した上部共通デバイス2の下側に設けられている。図11および図12に示されているように、操作入力装置1Aの下部デバイス3Aは、3つのソール接着部材21x、21y、21z、3つのソール22x、22y、22z、プレート23、ホルダ接着部材24を概略備えて構成されている。
【0153】
(ソール接着部材21x、21y、21z)
ソール接着部材21x、21y、21zは、両面接着部材であり、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の下面と同一形状に成形されている。
【0154】
(ソール22x、22y、22z)
ソール22x、22y、22zは、高誘電材料で構成された肉薄の部材であり、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の下面およびソール接着部材21x、21y、21zと同一形状に成形されている。ソール22x、22y、22zは、ソール接着部材21x、21y、21zを介して、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の下面に接着されている。
【0155】
ベース19が軸方向に変位して環状高滑材18に軸方向の力が作用した場合には、環状高滑材18の下面側は図10の矢印AR1方向(軸方向)に撓み、環状高滑材18の外周側が矢印AR2方向(径方向)に撓むことで、軸方向に作用する力を緩衝することができる。このように、環状高滑材18は、ホルダ17とベース19との間に配置され、ホルダ17とベース19とが内突することを防ぎ、かつ、ホルダ17やベース19、さらには他の部材に対して作用する力や衝撃を和らげ、故障発生のリスクを低減させることができる。また、軸方向に加わる力を緩衝できることから、ピン20x、20y、20zとタッチパネルディスプレイ間の静電容量の変化ばらつきが低減でき、接続を安定化させることができる。
【0156】
(プレート23)
プレート23は、樹脂等の絶縁材で構成されており、円板状の概形を有している。プレート23の外径は、ホルダ脚部17bにより形成される下側開口部17dの開口寸法より小さく設定されている。プレート23は、ベース脚部19qの下面に両面接着されるか、あるいは、プレート23およびベース脚部19qに所定の凹凸形状を設けて係合させることで、ベース19に固定される。したがって、プレート23は、ユーザによる回転操作時にベース19とともに回転するようになっている。
【0157】
プレート23には、3つのピンヘッド嵌合部23x、23y、23zが設けられている。ピンヘッド嵌合部23x、23y、23zは、ソール22x、22y、22zが接着されているピンヘッド20x2、20y2、20z2が配置される位置に設けられている。
【0158】
ピンヘッド嵌合部23x、23y、23zは、プレート23の上面および下面で開口する貫通孔である。ピンヘッド嵌合部23x、23y、23zは、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の下面およびソール22x、22y、22zの形状に合わせて、開口形状が略円形となるように形成されている。
【0159】
なお、プレート23の略中心部(嵌合凹部19rの下方の位置)に貫通孔が形成されていてもよい。この構成により、上述したようにトップカバー11の略中心部に貫通孔が形成されている場合には、操作入力装置1Aをタッチパネルディスプレイの表示面に取り付けた状態で、トップカバー11の略中心部の貫通孔からタッチパネルディスプレイの表示面を視認できるようになる。
【0160】
(ホルダ接着部材24)
ホルダ接着部材24は、両面接着部材であり、ホルダ脚部17bの下面と同一形状(すなわち、環状)に成形されている。ユーザによる使用時に、ホルダ17は、ホルダ接着部材24を介して、タッチパネルディスプレイの表示面に着脱可能に接着される。
【0161】
なお、ここでは、ホルダ接着部材24を用いて操作入力装置1Aをタッチパネルディスプレイの表示面に取り付けられるようにしているが、この構成に限定されるものではない。例えば、ホルダ接着部材24をエラストマー、ラバー、シリコン等の滑り止めテープに変更した構成であってもよく、この構成により、ユーザが、操作入力装置1Aをタッチパネルディスプレイの表示面の任意の位置に自由に配置して操作できるようになる。
【0162】
<操作入力装置1A全体の構成および機能>
本発明の第1の実施形態における操作入力装置1A全体について説明する。
【0163】
図13(a)には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aを上方から見た斜視図が示されており、図13(b)には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aを下方から見た斜視図が示されている。図14には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aの斜視断面図が示されている。なお、図14の断面図は、図3(a)の断面A-Aに対応している。図15には、本発明の第1の実施形態における操作入力装置1Aをタッチパネルディスプレイの表示面Sに取り付けた状態が示されている。
【0164】
操作入力装置1Aは、上述した上部共通デバイス2の下側に、下部デバイス3Aが装着されて構成されている。操作入力装置1Aの底面には、プレート23と、ピンヘッド嵌合部23x、23y、23z内に配置されたソール22x、22y、22zとが露出している。
【0165】
操作入力装置1A全体の寸法は特に限定されないが、例えば、操作入力装置1Aの外径は30mm以下、高さは9.5mm以下となるように設計されている。
【0166】
図15に示されているように、ユーザは、例えば静電容量方式タッチパネルディスプレイの表示面(図15の表示面S)上の所望の位置に、操作入力装置1Aを取り付けることができる。表示面に取り付けられた操作入力装置1Aは、ホルダ17、環状高滑材18、ホルダ接着部材24が表示面に対して固定された固定部となる一方、その他の部材(トップカバー11、第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16、ベース19、3本のピン20x、20y、20z、ソール接着部材21x、21y、21z、ソール22x、22y、22z、プレート23)は、回転軸の周りを回転する可動部となる。
【0167】
ユーザが、操作入力装置1Aの外周面を把持すると、ユーザの指が第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16の外周縁部に接触し、ピンヘッド20x2、20y2、20z2およびソール22x、22y、22zの各々とタッチパネルディスプレイ間の静電容量が変化する。タッチパネルディスプレイ側において、この静電容量の変化を検出することで、ソール22x、22y、22zの位置(検出点)を検出するとともに、ユーザが操作入力装置1Aを把持していることを検知することができる。
【0168】
ユーザが、操作入力装置1Aの外周面を把持した状態で上部共通デバイス2の回転体を回転させると、回転操作に連動して、ソール22x、22y、22zが回転軸の周りを回転する。タッチパネルディスプレイ側において、ソール22x、22y、22zの位置(検出点)の変化を検出することで、ユーザによる回転操作を検知することができる。
【0169】
タッチパネルディスプレイにおいて、ユーザによる回転操作を操作入力とするアプリケーションを動作させておくことで、操作入力装置1Aを用いた操作入力が実現される。このようなアプリケーションとしては、例えば、ユーザによる回転操作(すなわち、検出点の位置変化)に基づいてモードまたはチャンネル等の切り替えを行うアプリケーションや、音量または輝度等の調整を行うアプリケーション等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その他の多種多様なアプリケーションの操作入力に操作入力装置1Aを利用することができる。
【0170】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bについて説明する。なお、以下では、本発明の第2の実施形態において特徴的な構成要素について説明し、上述した第1の実施形態における構成要素と同一または類似する構成要素については、説明を省略または簡略化することがある。
【0171】
本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bは、上部共通デバイス2および下部デバイス3Bにより構成されている。上部共通デバイス2は、上述した第1の実施形態と同様の構成および機能を有しており、ここでは説明を省略する。
【0172】
<下部デバイス3B>
本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bの下部デバイス3Bを構成する各部材について説明する。
【0173】
図16には、本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bの下部デバイス3Bを上方から見た分解斜視図が示されており、図17には、本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bの下部デバイス3Bを下方から見た分解斜視図が示されている。図16および図17には、操作入力装置1Bの各部材のうち、上部共通デバイス2のベース19および3本のピン(第1ピン20x、第2ピン20y、第3ピン20z)と、下部デバイス3Bの各部材とが示されている。
【0174】
操作入力装置1Bの下部デバイス3Bは、上述した上部共通デバイス2の下側に設けられている。図16および図17に示されているように、操作入力装置1Bの下部デバイス3Bは、プレート31、ホルダ接着部材32を概略備えて構成されている。
【0175】
(プレート31)
プレート31は、高誘電材で構成された肉薄の部材であり、円板状の概形を有している。プレート31の外径は、プレート31の外周縁部がホルダ脚部17bと接触可能となるように設定されている。プレート31は、ホルダ脚部17bに両面接着されるか、あるいは、プレート31およびホルダ脚部17bに所定の凹凸形状を設けて係合させることで、ホルダ17に固定される。したがって、プレート31は、ユーザによる回転操作時にホルダ17とともにタッチパネルディスプレイの表示面に対して固定されるようになっている。
【0176】
プレート31の上面には、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の下面が接触している。ピンヘッド20x2、20y2、20z2の各々とタッチパネルディスプレイ間の静電容量変化は、プレート31を介した形になっている。
【0177】
なお、プレート31の略中心部(嵌合凹部19rの下方の位置)に貫通孔が形成されていてもよい。この構成により、上述したようにトップカバー11の略中心部に貫通孔が形成されている場合には、操作入力装置1Bをタッチパネルディスプレイの表示面に取り付けた状態で、トップカバー11の略中心部の貫通孔からタッチパネルディスプレイの表示面を視認できるようになる。
【0178】
(ホルダ接着部材32)
ホルダ接着部材32は、両面接着部材であり、ホルダ脚部17bの下面と同一形状(すなわち、環状)に成形されている。ユーザによる使用時に、ホルダ17は、ホルダ接着部材32を介して、タッチパネルディスプレイの表示面に着脱可能に接着される。
【0179】
また、ホルダ接着部材32は、プレート31の下面全体を覆う円板状に成形されていてもよい。図18には、本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bの下部デバイス3Bの別の一例(円板状のホルダ接着部材32)を上方から見た分解斜視図が示されており、図19には、本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bの下部デバイス3Bの別の一例(円板状のホルダ接着部材32)を下方から見た分解斜視図が示されている。図18および図19に示すようにホルダ接着部材32を円板状に成形することにより、プレート31の下面全体をタッチパネルディスプレイの表示面に接着させることができる。
【0180】
円板状に成形されたホルダ接着部材32の略中心部(嵌合凹部19rの下方の位置)に貫通孔が形成されていてもよい。この構成により、上述したようにトップカバー11の略中心部に貫通孔が形成されている場合には、操作入力装置1Bをタッチパネルディスプレイの表示面に取り付けた状態で、トップカバー11の略中心部の貫通孔からタッチパネルディスプレイの表示面を視認できるようになる。
【0181】
なお、ここでは、ホルダ接着部材32を用いて操作入力装置1Bをタッチパネルディスプレイの表示面に取り付けられるようにしているが、この構成に限定されるものではない。例えば、ホルダ接着部材32をエラストマー、ラバー、シリコン等の滑り止めテープに変更した構成であってもよく、この構成により、ユーザが、操作入力装置1Bをタッチパネルディスプレイの表示面の任意の位置に自由に配置して操作できるようになる。
【0182】
<操作入力装置1B全体の構成および機能>
本発明の第2の実施形態における操作入力装置1B全体について説明する。
【0183】
図20(a)には、本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bを上方から見た斜視図が示されており、図20(b)には、本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bを下方から見た斜視図が示されている。図21には、本発明の第2の実施形態における操作入力装置1Bの斜視断面図が示されている。なお、図21の断面図は、図3(a)の断面A-Aに対応している。
【0184】
操作入力装置1Bは、上述した上部共通デバイス2の下側に、下部デバイス3Bが装着されて構成されている。操作入力装置1Bの底面には、プレート31と、環状のホルダ接着部材32とが露出している。なお、ホルダ接着部材32は、プレート31の下面全体を覆う円板状であってもよく、この場合には、操作入力装置1Bの底面には円板状のホルダ接着部材32が露出した状態となる。
【0185】
上述した操作入力装置1Aと同様、操作入力装置1B全体の寸法は特に限定されないが、例えば、操作入力装置1Bの外径は30mm以下、高さは9.5mm以下となるように設計されている。
【0186】
上述した操作入力装置1Aと同様、ユーザは、例えば静電容量方式タッチパネルディスプレイの表示面(図15の表示面S)上の所望の位置に、操作入力装置1Bを取り付けることができる。表示面に取り付けられた操作入力装置1Bは、ホルダ17、環状高滑材18、プレート31、ホルダ接着部材32が表示面に対して固定された固定部となる一方、その他の部材(トップカバー11、第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16、ベース19、3本のピン20x、20y、20z)は、回転軸の周りを回転する可動部となる。
【0187】
ユーザが、操作入力装置1Bの外周面を把持すると、ユーザの指が第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16の外周縁部に接触してピンヘッド20x2、20y2、20z2の各々とタッチパネルディスプレイ間の静電容量がプレート31を介して変化する。タッチパネルディスプレイ側において、この静電容量の変化を検出することで、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の位置(検出点)を検出するとともに、ユーザが操作入力装置1Bを把持していることを検知することができる。
【0188】
ユーザが、操作入力装置1Bの外周面を把持した状態で上部共通デバイス2の回転体を回転させると、回転操作に連動して、ピンヘッド20x2、20y2、20z2が回転軸の周りを回転する。タッチパネルディスプレイ側において、ピンヘッド20x2、20y2、20z2の位置(検出点)の変化を検出することで、ユーザによる回転操作を検知することができる。
【0189】
タッチパネルディスプレイにおいて、ユーザによる回転操作を操作入力とするアプリケーションを動作させておくことで、操作入力装置1Bを用いた操作入力が実現される。上述した操作入力装置1Aと同様、多種多様なアプリケーションの操作入力に操作入力装置1Bを利用することができる。
【0190】
[変形例]
次に、図22図27を参照しながら、本発明に係る操作入力装置1Mの変形例について説明する。なお、以下では、本発明に係る操作入力装置1Mの変形例において特徴的な構成要素について説明し、上述した第1および第2の実施形態における構成要素と同一または類似する構成要素については、説明を省略または簡略化することがある。
【0191】
本発明に係る変形例である操作入力装置1Mは、上部共通デバイス2Mおよび下部デバイス3Bにより構成されている。下部デバイス3Bは、上述した第2の実施形態と同様の構成および機能を有しており、ここでは説明を省略する。
【0192】
なお、以下に説明する操作入力装置1Mは、上部共通デバイス2Mの下側に、上述した第2の実施形態における下部デバイス3Bが装着されて構成されているが、上部共通デバイス2Mの下側に、上述した第1の実施形態における下部デバイス3Aが装着されて構成されてもよい。
【0193】
<上部共通デバイス2M>
本発明の変形例である操作入力装置1Mの上部共通デバイス2Mについて説明する。
【0194】
図22には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mの上部共通デバイス2Mを上方から見た分解斜視図が示されており、図23には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mの上部共通デバイス2Mを下方から見た分解斜視図が示されている。図24(a)には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mの上部共通デバイス2Mの構成要素である肉厚パッド50の平面図が示されており、図24(b)には、図24(a)のE-E断面図が示されている。
【0195】
図22および図23に示されているように、操作入力装置1Mの上部共通デバイス2Mは、トップカバー11、肉厚パッド50、ホルダ17、環状高滑材18、ベース19、ピン20yを概略備えて構成されている。トップカバー11、ホルダ17、環状高滑材18、ベース19、ピン20yは、上述した上部共通デバイス2と同様の構成要素であり、ここでは説明を省略する。
【0196】
上述した上部共通デバイス2と比較した場合、上部共通デバイス2Mでは、第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16が取り除かれており、その代わりに肉厚パッド50が配置されている。さらに、ピン20x、20zが取り除かれており、上部共通デバイス2Mは1本のピン20yのみを備えている。
【0197】
(肉厚パッド50)
肉厚パッド50は、金属や導電性材料でメッキされた樹脂等の導電材で構成されており、円板状の概形を有している。肉厚パッド50は、トップカバー11の下側に配置され、ホルダ17およびベース19の上側に配置される。肉厚パッド50の外径は、トップカバー11の外径と略同一、または、それより大きく設定されることが好ましい。他、これにより、ユーザが操作入力装置1Mの外周面を指で把持した際に、ユーザの指を肉厚パッド50に接触させることができるようになる。また、肉厚パッド50の外径は、ホルダ17の上側開口部17cの開口寸法より大きく設定されており、肉厚パッド50が上側開口部17cを通り抜けないようになっている。なお、肉厚パッド50の外径は、指で把持したときの接触安定性を考慮し、ホルダ17の外径と略同一、または、これらより小さく設定されることが好ましい。
【0198】
肉厚パッド50は、上述した上部共通デバイス2の第1パッド12、第2パッド14、第3パッド16と比較して、上下方向(積層方向)に肉厚となるように構成されている。肉厚パッド50の上下方向の寸法L(図24(b)参照)は特に限定されるものではないが、例えば、肉厚パッド50の上下方向の寸法Lが、上述した上部共通デバイス2の第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16の上下方向の総寸法と略同一となるように設定してもよい。この構成により、アーム11a1、11b1、11c1の長さを調整することなく、上述した上部共通デバイス2で用いたトップカバー11のロック部11a、11b、11cをそのまま用いて、ベース19の下面側に設けられた爪係合部19a1、19b1、19c1に係合固定させることができるようになる。その結果、上述した上部共通デバイス2の第1パッド12、第1絶縁部材13、第2パッド14、第2絶縁部材15、第3パッド16を肉厚パッド50に取り換えるだけで、上部共通デバイス2の構成を上部共通デバイス2Mの構成に簡単に変更できるようになる。
【0199】
肉厚パッド50には、3つのロック部貫通孔50a、50b、50cが設けられている。3つのロック部貫通孔50a、50b、50cは、肉厚パッド50の上面および下面で開口する貫通孔であり、トップカバー11から下方に延びる3本のロック部11a、11b、11cのアーム11a1、11b1、11c1に対応する位置に設けられている。ロック部貫通孔50aにはアーム11a1が挿通され、ロック部貫通孔50bにはアーム11b1が挿通され、ロック部貫通孔50cにはアーム11c1が挿通される。
【0200】
肉厚パッド50には、1つのピン接触部50yが設けられている。本変形例では、隣接するロック部貫通孔50a、50bから60°ずれた位置であって、ピン20yが挿通可能となる位置に設けられている。ピン接触部50yは、肉厚パッド50の上面および下面で開口する貫通孔である。ピン接触部50yの貫通孔の内側には、突起部50y1が設けられている。一例として、2つの突起部50y1は、ピン接触部50yの貫通孔の内側に突出するように設けられており、図24(a)に示されるように、上方から見た場合にピン接触部50yの貫通孔は略H字状に形成されている。
【0201】
ピン接触部50yの貫通孔は、ピン20yが挿通可能となるようにピンシャフト20y1の径(太さ)より大きく設定されている一方、2つの突起部50y1が対向する離隔距離は、ピンシャフト20y1に形成された突起嵌合部20y3の径(太さ)と略同一の寸法となるように設定されている。ピンシャフト20y1の突起嵌合部20y3がピン接触部50yの2つの突起部50y1の間に嵌合することで、ピン20yは、肉厚パッド50と電気的に導通した状態で2つの突起部50y1により支持される。2つの突起部50y1で突起嵌合部20y3を嵌合することにより、ピン20yが肉厚パッド50と電気的に導通した状態を維持しながら、ピン20yの軸方向の動きを許容した構造を実現することができる。
【0202】
肉厚パッド50の略中心部には、上面および下面で開口する円筒挿通孔50rが設けられている。円筒挿通孔50rの開口寸法は、ベース19に設けられた嵌合凹部19rの径(太さ)と同程度またはそれより大きく設定されており、嵌合凹部19rが円筒挿通孔50rに挿通されるようになっている。
【0203】
なお、肉厚パッド50は肉厚の構成であることから、ピン接触部50yの貫通孔内に、ピン接触部50yの2つの突起部50y1が軸方向へ変位可能とする空間が画定されている。したがって、必ずしもベース19のピン貫通孔19yの周囲にスリットを設ける必要はないが、必要に応じて、ベース19のピン貫通孔19yの周囲にスリットを設けてもよく、あるいは、ベース19を120°回転させて、スリット19z1が設けられているピン貫通孔19zにピン20yを挿通させるようにしてもよい。
【0204】
図示されている例では、上述した上部共通デバイス2の構成要素を援用して、上部共通デバイス2Mが実現されている。ただし、上部共通デバイス2Mは、1本のピン20yのみを備える構成であることから、トップカバー11のピン先端収容部11x、11z、ベース19のピン貫通孔19x、19zは必ずしも形成される必要はない。
【0205】
<操作入力装置1M全体の構成および機能>
本発明に係る変形例である操作入力装置1M全体について説明する。
【0206】
図25(a)には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mを上方から見た斜視図が示されており、図25(b)には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mを下方から見た斜視図が示されている。図27には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mの断面図が示されている。なお、図27の断面図は、図24(a)の断面E-Eに対応している。
【0207】
操作入力装置1Mは、上述した上部共通デバイス2Mの下側に、下部デバイス3Bが装着されて構成されている。操作入力装置1Mの底面には、プレート31と、環状のホルダ接着部材32とが露出している。
【0208】
なお、ホルダ接着部材32は、プレート31の下面全体を覆う円板状であってもよい。図26(a)には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mの別の一例(円板状のホルダ接着部材32)を上方から見た斜視図が示されており、図26(b)には、本発明に係る変形例である操作入力装置1Mの別の一例(円板状のホルダ接着部材32)を下方から見た斜視図が示されている。この場合には、操作入力装置1Mの底面には円板状のホルダ接着部材32が露出した状態となる。また、円板状に成形されたホルダ接着部材32の略中心部(嵌合凹部19rの下方の位置)に貫通孔が形成されていてもよい。
【0209】
上述した操作入力装置1A、1Bと同様、ユーザは、例えば静電容量方式タッチパネルディスプレイの表示面(図15の表示面S)上の所望の位置に、操作入力装置1Mを取り付けることができる。表示面に取り付けられた操作入力装置1Mは、ホルダ17、環状高滑材18、プレート31、ホルダ接着部材32が表示面に対して固定された固定部となる一方、その他の部材(トップカバー11、肉厚パッド50、ベース19、ピン20y)は、回転軸の周りを回転する可動部となる。
【0210】
ユーザが、操作入力装置1Mの外周面を把持すると、ユーザの指が肉厚パッド50の外周縁部に接触してピンヘッド20y2とタッチパネルディスプレイ間の静電容量がプレート31を介して変化する。タッチパネルディスプレイ側において、この静電容量の変化を検出することで、ピンヘッド20y2の位置(検出点)を検出するとともに、ユーザが操作入力装置1Mを把持していることを検知することができる。
【0211】
ユーザが、操作入力装置1Mの外周面を把持した状態で上部共通デバイス2Mの回転体を回転させると、回転操作に連動して、ピンヘッド20y2が回転軸の周りを回転する。タッチパネルディスプレイ側において、ピンヘッド20y2の位置(検出点)の変化を検出することで、ユーザによる回転操作を検知することができる。
【0212】
タッチパネルディスプレイにおいて、ユーザによる回転操作を操作入力とするアプリケーションを動作させておくことで、操作入力装置1Mを用いた操作入力が実現される。上述した操作入力装置1A、1Bと同様、多種多様なアプリケーションの操作入力に操作入力装置1Mを利用することができる。特に、操作入力装置1Mは、ピン20yを1本のみ備えており、1点の検出点のみを必要とするアプリケーションの操作入力に有用である。
【0213】
なお、上述した各実施形態および変形例は、本発明の一側面を具現化したものにすぎず、本発明は、上述した各実施形態および変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、上述した各実施形態および変形例における各構成要素の形状、個数、位置、寸法等は適宜変更されてもよく、一部の構成要素は適宜省略または追加されてもよい。
【0214】
以上説明したように、本発明は、耐久性および利便性、さらにはカスタマイズ性に優れたタッチパネルディスプレイ用操作入力装置を実現できるという効果を有し、タッチパネルディスプレイへの操作入力を可能とするタッチパネルディスプレイ用操作入力装置全般に有用である。
【符号の説明】
【0215】
1A、1B、1M 操作入力装置
2、2M 上部共通デバイス
3A、3B 下部デバイス
11 トップカバー
11a、11b、11c ロック部
11a1、11b1、11c1 アーム
11a2、11b2、11c2 係止爪
11r 嵌合凸部
11t トップ部
11x、11y、11z ピン先端収容部
12 第1パッド
12a、12b、12c、13a、13b、13c、14a、14b、14c、15a、15b、15c、16a、16b、16c、19a、19b、19c、50a、50b、50c ロック部貫通孔
12r、13r、14r、15r、16r、50r 円筒挿通孔
12x、14y、 16z ピン接触部
12x1、14y1、16z1、50y1 突起部
12y、12z、13x、13y、13z、14x、14z、15x、15y、15z、16x、16y、19x、19y、19z、50y ピン貫通孔
13 第1絶縁部材
13t、15t 操作補助凸部
13x1、13y1、15y1、15z1、19z1 スリット
14 第2パッド
15 第2絶縁部材
16 第3パッド
17 ホルダ
17a ホルダ環状部
17a1 凹部
17b ホルダ脚部
17c 上側開口部
17d 下側開口部
17e ノッチ
18 環状高滑材
18a 内周側端部
18b 曲面
19 ベース
19a1、19b1、19c1 爪係合部
19p ベース凸部
19q ベース脚部
19r 嵌合凹部
19t スライド突起部
19x2、19y2、19z2 ピンヘッド収容部
20x 第1ピン
20x1、20y1、20z1 ピンシャフト
20x2、20y2、20z2 ピンヘッド
20x3、20y3、20z3 突起嵌合部
20y 第2ピン
20z 第3ピン
21x、21y、21z ソール接着部材
22x、22y、22z ソール
23、31 プレート
23x、23y、23z ピンヘッド嵌合部
24、32 ホルダ接着部材
50 肉厚パッド
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