(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050237
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220323BHJP
A01M 23/00 20060101ALI20220323BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20220323BHJP
【FI】
G06Q50/10
A01M23/00 Z
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156721
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根木 明子
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英則
(72)【発明者】
【氏名】高原 雄一郎
【テーマコード(参考)】
2B121
5L049
【Fターム(参考)】
2B121BA58
2B121BA60
2B121FA14
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】罠の設置位置をより簡便に管理すること。
【解決手段】情報処理システムは、発信機と、取得部と、推定部とを有する。発信機は、害獣を捕獲するための罠に設置され、電波を発信する。取得部は、電波の受信強度の情報と、電波を受信したときの位置情報と、電波の受信時刻の情報とを取得する。推定部は、受信強度と、位置情報と、受信時刻との関係に基づき、罠に取り付けられた発信機の位置を推定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害獣を捕獲するための罠に取り付けられ、電波を発信する発信機と;
前記電波の受信強度の情報と、前記電波を受信したときの位置情報と、前記電波の受信時刻の情報とを取得する取得部と;
前記受信強度と、前記位置情報と、前記受信時刻との関係に基づき、前記罠に取り付けられた前記発信機の位置を推定する推定部と;
を具備する情報処理システム。
【請求項2】
前記電波の受信強度に基づいて、前記電波の受信が途切れた発信機があるか否かを判定する判定部;
をさらに具備し、
前記推定部は、
前記判定部により前記電波の受信が途切れた発信機があると判定された場合、前記電波の受信が途切れた前記発信機の位置を推定する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記推定部は、
前記電波の受信強度の時間的な推移の解析結果から、当該受信強度の変化の傾向が変わる変化点を検出し、検出した変化点に基づいて、前記発信機の位置を推定する
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記推定部は、
前記電波の受信強度の時間的な推移の解析結果から、当該受信強度が所定の閾値以上の範囲を推移する第1の領域と、当該受信強度が所定の閾値未満の範囲を推移する第2の領域との境界を導出し、導出した境界から前記変化点を検出する
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
教師データに基づく機械学習の結果として、前記電波の受信強度と、前記電波を受信したときの位置情報と、前記電波の受信時刻と、前記発信機の位置との対応関係を記憶する対応関係記憶部;
をさらに具備し、
前記推定部は、
前記取得部により受信された前記受信強度の情報と、前記位置情報と、前記受信時刻の情報と、前記対応関係とに基づいて、前記発信機の位置を推定する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記対応関係記憶部は、
教師データに基づく機械学習の結果として、前記電波の受信強度と、前記電波を受信したときの位置情報と、前記電波を受信したときの受信時刻と、前記発信機が取り付けられた罠の設置位置を示す画像と、前記発信機の位置との対応関係を記憶し、
前記取得部は、
前記発信機が取り付けられた罠の設置位置を示す画像の情報をさらに取得し、
前記推定部は、
前記取得部により受信された前記受信強度の情報と、前記位置情報と、前記受信時刻の情報と、前記画像の情報と、前記対応関係とに基づいて、前記発信機の位置を推定する
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
罠に取り付けられる発信機から発信された電波を受信する端末から、前記電波の受信強度の情報と、前記電波を受信したときの位置情報と、前記電波の受信時刻の情報とを取得する取得部と;
前記受信強度と、前記位置情報と、前記受信時刻との関係に基づき、前記罠に取り付けられた前記発信機の位置を推定する推定部と;
を具備する情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
罠に取り付けられる発信機から発信された電波を受信する端末から、前記電波の受信強度の情報と、前記電波を受信したときの位置情報と、前記電波の受信時刻の情報とを取得する取得手順と;
前記受信強度と、前記位置情報と、前記受信時刻との関係に基づき、前記罠に取り付けられた前記発信機の位置を推定する推定手順と;
を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イノシシやシカ等の害獣による農作物の被害が問題となっており、IoT(Internet of Things)を活用した害獣を捕獲するための仕組みが提案され始めている。例えば、害獣を駆除するための罠にGPS(Global Positioning System)の機能を搭載して、山中等に設置される複数の罠の設置位置をサーバで一括管理する手法等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、害獣駆除のための複数の罠のそれぞれにGPSの機能を搭載するのはコスト負担が大きく、害獣駆除のための罠の設置位置をより簡便に管理したいという要望がある。
【0005】
そこで、本開示では、罠の設置位置をより簡便に管理できる情報処理システム、情報処理装置及び情報処理プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一例に係る情報処理システムは、発信機と、取得部と、推定部とを具備する。発信機は、害獣を捕獲するための罠に取り付けられ、電波を発信する。取得部は、電波の受信強度の情報と、電波を受信したときの位置情報と、電波の受信時刻の情報とを取得する。推定部は、受信強度と、位置情報と、受信時刻との関係に基づき、罠に取り付けられた発信機の位置を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る端末取得データの概要を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る発信機の位置に関する情報の概要を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るビーコン信号の受信強度の時間的な推移を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るビーコン信号の受信強度の変化点を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報処理システムのタイムチャートの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るサーバの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、変形例に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図12】
図12は、変形例に係るサーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る学習済みモデルの構築例を示す図である。
【
図14】
図14は、変形例に係るモデル出力例を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、変形例に係るビーコン信号の受信強度の変化点を説明するための図である。
【
図16】
図16は、変形例に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図17】
図17は、変形例に係る端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】
図18は、変形例に係るサーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、変形例に係る学習済みモデルの構築例を示す図である。
【
図20】
図20は、変形例に係るモデル出力例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施形態に係る情報処理システム1Aは、発信機20と、取得部131と、推定部133とを有する。発信機20は、害獣を捕獲するための罠に取り付けられ、電波を発信する。取得部131は、電波の受信強度の情報と、電波を受信したときの位置情報と、電波の受信時刻の情報とを取得する。推定部133は、受信強度と、位置情報と、受信時刻との関係に基づき、罠10に取り付けられた発信機20の位置を推定する。
【0009】
また、以下に説明する情報処理システム1Aは、電波の受信強度に基づいて、電波の受信が途切れた発信機があるか否かを判定する判定部132をさらに有する。推定部133は、判定部132により判定部により電波の受信が途切れた発信機20があると判定された場合、電波の受信が途切れた発信機20の位置を推定する。
【0010】
また、以下に説明する情報処理システム1Aにおいて、推定部133は、電波の受信強度の時間的な推移の解析結果から、受信強度の変化の傾向が変わる変化点を検出し、検出した変化点に基づいて、発信機20の位置を推定する。
【0011】
また、以下に説明する情報処理システム1Aにおいて、推定部133は、電波の受信強度の時間的な推移の解析結果から、受信強度が所定の閾値以上の範囲を推移する第1の領域と、受信強度が所定の閾値未満の範囲を推移する第2の領域との境界を導出し、導出した境界から、変化点を検出する。
【0012】
また、以下に説明する情報処理システム1Bは、教師データに基づく機械学習の結果として、電波の受信強度と、電波を受信したときの位置情報と、電波の受信時刻と、発信機20の位置との対応関係を記憶する対応関係記憶部223をさらに有する。推定部233は、取得部231により受信された受信強度の情報と、位置情報と、受信時刻の情報と、対応関係とに基づいて、発信機20の位置を推定する。
【0013】
また、以下に説明する情報処理システム1Cにおいて、対応関係記憶部323は、教師データに基づく機械学習の結果として、電波の受信強度と、電波を受信したときの位置情報と、電波の受信時刻と、発信機20が取り付けられた罠10の設置位置を示す画像と、発信機20の位置との対応関係を記憶する。取得部331は、発信機20が取り付けられた罠10の設置情報を示す画像をさらに取得する。推定部333は、取得部331により受信された受信強度の情報と、位置情報と、受信時刻の情報と、発信機20の設置位置を示す画像の情報と、対応関係とに基づいて、罠10に取り付けられた発信機20の位置を推定する。
【0014】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理システムについて説明する。実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される場合がある。
【0015】
また、実施形態において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する発信機20等を、必要に応じて発信機201や発信機202のように区別して説明する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、発信機201や発信機202を特に区別する必要が無い場合には、単に発信機20として説明する。
【0016】
<<情報処理システムの概要>>
図1は、実施形態に係る情報処理システム1Aの概要を示す図である。情報処理システム1Aは、例えば、イノシシやシカ等、農作物等に被害を与える害獣の駆除のために設置される複数の罠10に取り付けられた発信機20の設置位置を管理するシステムである。
【0017】
図1に示すように、情報処理システム1Aは、罠10に取り付けられる発信機20と、端末装置30と、サーバ100とを備える。なお、
図1に示す情報処理システム1Aの構成要素の数は例示に過ぎず、情報処理システム1Aは、
図1に示す例よりも多くの発信機20、端末装置30、及びサーバ100を備えていてもよい。
【0018】
罠10は、ハンターHが害獣の駆除を目的として設置する仕掛けである。ハンターHが都道府県から認可を受けている狩猟免許がわな猟免許である場合、罠10としては、箱罠、囲い罠、くくり罠などが例示される。
【0019】
発信機20は、害獣駆除用の罠10に設置される。例えば、発信機201は罠101に設置される。また、発信機202は罠102に設置される。また、発信機203は罠103に設置される。
【0020】
発信機20は、予め決められた所定の周期で電波を発信する端末である。発信機20は、典型的には、Bluetooth(登録商標)の拡張仕様の一つであるBLE(Bluetooth Low Energy)をサポートし、ビーコン信号(電波)を発信するビーコン端末である。発信機20により発信されるビーコン信号は、端末装置30に受信される。発信機20が発信するビーコン信号には、発信機20に固有の識別情報である発信機ID(例えば、EX1~EX3)が含まれる。発信機IDとして、例えば、MAC(Media Access Control)アドレスが例示される。
【0021】
端末装置30は、罠10の所有者であるハンターHが携帯する通信装置である。端末装置30は、発信機20から発信されるビーコン信号(電波)を受信する。また、端末装置30は、GPSによる位置測位機能を有し、例えば、ビーコン信号の受信を契機として、端末装置30の現在位置を演算し、位置情報を取得する。端末装置30は、接続するインターネット等のネットワークを介して、サーバ100と通信する。
【0022】
サーバ100は、罠10の設置位置を管理する情報処理装置である。サーバ100は、接続するインターネット等のネットワークを介して端末装置30と通信する。サーバ100は、端末装置30から取得する情報に基づいて、罠10に取り付けられた発信機20の位置を自動的に推定して管理する。つまり、サーバ100は、発信機20の位置により、罠10の設置位置を間接的に管理する。
【0023】
以下、
図1を参照しつつ、実施形態に係る情報処理システム1Aによる情報処理の概要について説明する。以下に説明するように、情報処理システム1Aによる情報処理は、害獣駆除を目的とするハンターHによる罠10の設置作業に伴って自動的に実施される。
【0024】
まず、罠10を設置する際に、ハンターHにより実施される一連の設置作業について一例を説明する。例えば、害獣駆除を行うハンターHは、複数の罠10と、罠10と同数の複数の発信機20と、端末装置30とを携えて、害獣を捕獲するための狩猟場所へ赴く。ハンターHは、狩猟場所に到着すると、狩猟場所の各所に1つずつ罠10を設置しながら移動する。このとき、ハンターHは、設置した罠10のそれぞれに発信機20を取り付け、取付け完了後、発信機20の電源を投入する。なおハンターHは、罠10に発信機20を取り付ける前から発信機20の電源を投入してもよい。例えば、ハンターHは、狩猟場所に到着するとすべての発信機20の電源を投入し、発信機20を所持した状態で移動および罠10の設置を行い、そのあと罠10に発信機20を取り付けてもよい。これにより、罠10に発信機20を取り付けた後に電源を投入する必要がないため、電源投入忘れの防止ができるとともに作業効率が上がる。ハンターHは、少なくとも最初に設置した罠10から離れて移動する前に、発信機20からのビーコン信号を受信可能な状態となるように端末装置30の無線通信機能を有効にしておく。ハンターHは、全ての罠10の設置が完了すると、狩猟場所を後にする。
【0025】
このようなハンターHによる罠10の設置に伴って、
図1に示すように、端末装置30は、発信機20から発信されたビーコン信号を受信すると(ステップS1)、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻を取得する(ステップS2)。
【0026】
端末装置30が受信するビーコン信号の受信強度は、発信機20と端末装置30との間の距離に応じて変化する。例えば、発信機20と端末装置30との間の距離が短くなればビーコン信号の受信強度は大きくなり、発信機20と端末装置30との間の距離が長くなればビーコン信号の受信強度は小さくなる。言い換えれば、発信機20と端末装置30との間の距離が変わらなければ、電波干渉等の特段の事情がない限り、ビーコン信号の受信強度も変わらない。このため、ハンターHが発信機20を携えて移動している間、端末装置30が受信するビーコン信号の受信強度は、ハンターHの動きによって多少の変動はあるものの、おおよそ一定の値で推移するものと予想される。また、ハンターHが、発信機20を取り付けた罠10から離れて移動する場合、端末装置30が受信するビーコン信号の受信強度は徐々に小さくなっていくものと予想される。
【0027】
また、端末装置30が、ビーコン信号の受信を契機として取得する位置情報は、発信機20を罠10に取り付ける際にも取得されている。ハンターHが発信機20と取り付けた罠10から離れて移動するまでの間、発信機20と端末装置30とはおおよそ同じ位置にあるものと見做すことが可能である。このため、ビーコン信号の受信を契機として端末装置30が取得する位置情報に基づいて、発信機20の位置を推定できる。つまり、発信機20を取り付けた罠10の設置位置を推定できる。
【0028】
また、端末装置30がビーコン信号を受信した受信時刻により、ハンターHによる罠10の設置作業が開始されてから完了するまでのビーコン信号の受信強度の時間的な推移を把握できる。
【0029】
図1に戻り、端末装置30は、ハンターHに固有のユーザID(例えば、U001)と発信機IDとに関連付けて、ビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報とをサーバ100に送信する(ステップS3)。端末装置30は、動作中、ステップS1~ステップS3までの処理を繰り返し実行する。
【0030】
サーバ100(後述する取得部131)は、端末装置30から、発信機20の電波の受信強度の情報と、電波を受信したときの位置情報と、電波の受信時刻の情報とを取得する。そして、サーバ100は、ユーザIDと発信機IDとに関連付けて、受信強度の情報と、位置情報と、受信時刻の情報とを登録する(ステップS4)。
【0031】
そして、サーバ100(後述する推定部133)は、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻との関係に基づいて、罠10に取り付けられた発信機20の位置を推定する(ステップS5)。
【0032】
具体的には、サーバ100は、端末装置30から取得するビーコン信号の受信強度に基づいて、端末装置30においてビーコン信号の受信が途切れたか否かを判定する。そして、サーバ100は、端末装置30において発信機20の電波が途切れたと判定した場合、受信強度の時間的な推移を解析した解析結果から、受信強度の変化の傾向が変わる変化点を検出し、検出した変化点に基づいて、発信機20の位置を推定する。例えば、サーバ100は、変化点に対応する位置情報を導出することにより、発信機20の位置を推定する。
【0033】
そして、サーバ100は、推定した発信機20の位置を発信機20の発信機IDに関連付けて登録する(ステップS6)。
【0034】
このように、サーバ100は、罠10に取り付けた発信機20から発信されるビーコン信号の受信強度を解析することにより、罠10に取り付けた発信機20の位置を推定し、推定した発信機20の位置に基づいて、罠10の設置位置を簡便に管理できる。
【0035】
<<情報処理システムの構成例>>
図2は、実施形態に係る情報処理システム1Aの構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム1Aは、発信機20と、端末装置30と、サーバ100とを備える。
【0036】
発信機20と端末装置30とは、BLEによる近距離無線通信(以下、「BLE通信」と称する。)により通信可能に接続される。発信機20から発信されるビーコン信号は、BLE通信の通信圏内にある端末装置30により受信される。
【0037】
端末装置30及びサーバ100とは、インターネットなどのネットワーク2に接続する。端末装置30とサーバ100とは、ネットワーク2を介して、情報を送受信する。なお、ネットワーク2は、インターネットの他、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)や、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク2は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。また、ネットワークは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)など無線通信網を含んでもよい。
【0038】
<<端末装置の構成例>>
以下、
図3を用いて、実施形態に係る端末装置30の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係る端末装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0039】
図3に示す端末装置30は、BLEのビーコン信号を受信可能な通信機能を備えた電子機器により実現される。端末装置30は、典型的には、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、ウェアラブル端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ等のモバイル端末である。
【0040】
図3に示すように、端末装置30は、撮像部31と、表示部32と、電波受信部33と、GPS受信部34と、通信部35と、記憶部36と、制御部37とを有する。
【0041】
撮像部31は、被写体を撮像し、被写体の静止画や動画を取得する。撮像部31は、例えばカメラにより実現される。
【0042】
表示部32は、画像を表示する。表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ装置を備えて実現される。表示部32は、タッチパネルディスプレイにより実現されてもよい。この場合、表示部32は、ユーザからの操作を受け付ける操作部としても機能する。表示部32は、例えば、地図画像上に展開された罠10の設置位置を示す情報を表示できる。例えば、罠10の設置位置を示す情報は、ハンターHの操作に応じて、サーバ100から取得される。表示部32に表示される罠10の設置位置を示す情報は、ハンターHの操作入力により修正可能である。ハンターHにより罠10の設置位置が修正された場合、修正後、罠10の設置位置の情報がサーバ100にアップロードされる。
【0043】
電波受信部33は、発信機20から発信されたビーコン信号を受信する。電波受信部33は、BLE通信を実行可能な通信モジュールにより実現される。電波受信部33は、例えば、後述する専用のアプリケーション(以下、「専用アプリ」と称する。)により実行されるBLE通信により、発信機20からのビーコン信号を受信する。
【0044】
GPS受信部34は、GPS衛星から発信される所定の周波数帯の電波信号を受信する。GPS受信部34は、受信した電波信号の復調処理を行い、処理後の信号を制御部37に送る。
【0045】
通信部35は、インターネット等のネットワークと有線又は無線で接続され、ネットワークを通じて、サーバ100との間で情報の送受信を実行する。通信部35は、無線通信処理や有線通信処理を行うためのNIC(Network Interface Card)や5G(第5世代移動通信)モデム等の通信モジュールにより実現される。
【0046】
記憶部36は、端末装置30で実行される各処理に必要なプログラム及びデータを記憶する。記憶部36は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶デバイスにより実現される。
【0047】
記憶部36は、専用アプリ記憶部36aを有する。専用アプリ記憶部36aは、発信機20と端末装置30との間のBLE通信を実現するための専用アプリを記憶する。専用アプリは、端末装置30をBLE通信のセントラルとして機能させ、BLE通信のペリフェラルとして機能する発信機20との間でBLE通信を行うための接続を確立し、アドバタイズメントチャンネルを通じて、発信機20からアドバタイズされたビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号の受信強度を測定するための機能を提供する。また、専用アプリは、端末装置30に、ビーコン信号を受信したときの位置情報を取得させるための機能を提供する。また、専用アプリは、端末装置30に、ビーコン信号の受信時刻を計時させるための機能を提供する。また、専用アプリは、端末装置30に、ビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻をサーバ100にアップロードさせるための機能を提供する。
【0048】
専用アプリは、例えば、端末装置30における利用開始時に実行されるユーザ登録処理によりアクティベートされる。ユーザ登録処理において、端末装置30のユーザ自身により決定されたユーザIDがサーバ100に登録される。ユーザIDは、専用アプリを利用するユーザの各々に固有の識別情報である。なお、専用アプリは、害獣を捕獲した場合、害獣を捕獲したことを示す証拠を提出することで報奨金を提供する制度を運用する自治体とのやり取りを行うために専用に開発されるアプリケーションプログラム等に対して端末装置30の機能を新たに追加するアドオンとして提供されてもよいし、単独で提供されてもよい。
【0049】
制御部37は、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部37は、マイクロコンピュータ等により実装される。マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、並びにROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶デバイスを搭載する。ROMには、端末装置30の各部を制御するためのプログラムや各種処理を実行するためのアプリケーションが格納されている。CPU等のプロセッサが、ROMに格納されたプログラムやアプリケーションを実行することで、マイクロコンピュータによる端末装置30の制御や各種機能が実現される。RAMには、CPU等のプロセッサによる演算の実行等に必要なメモリ領域として使用される。なお、制御部37は、記憶部36に格納されているプログラム等を読み込んで、読み込んだプログラムを実行することにより、端末装置30の制御や各種機能を実現してもよい。
【0050】
制御部37は、電波強度取得部37aと、位置情報取得部37bと、計時部37cと、送信部37dとを有する。
【0051】
電波強度取得部37aは、電波受信部33により受信されたビーコン信号の受信強度を測定し、測定した受信強度の情報を取得する。電波強度取得部37aは、ビーコン信号の受信強度として、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)や電力(dBm)を測定する。また、電波強度取得部37aはビーコン信号に含まれる発信機IDを取得する。
【0052】
位置情報取得部37bは、電波受信部33によりビーコン信号が受信されたときの位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得部37bは、電波受信部33によりビーコン信号が受信された場合、GPS受信部34から取得する信号に基づいて、端末装置30の現在位置を演算する。
【0053】
なお、位置情報取得部37bが取得する位置情報としてGPSに基づく位置を例示するが、この例には特に限定されない。例えば、Beidou、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、GalileoやA-GPS(Assisted Global Positioning System)に代表される位置測位機能によって取得される座標情報であってもよい。典型的には、緯度、経度、高度、測位誤差に係る情報が該当し得る。または、位置情報は、例えば、特定の地理位置を原点とするX軸、Y軸、Z軸の座標であってもよい。また、位置情報は、位置測位機能より取得された位置情報を地域メッシュ統計における基準地域メッシュ(参考URL:https://www.stat.go.jp/data/mesh/m_tuite.html)であるメッシュ番号であってもよい。
【0054】
計時部37cは、電波受信部33によりビーコン信号が受信されたときの受信時刻を取得する。具体的には、計時部37cは、電波受信部33によりビーコン信号が受信された場合、端末装置30に内蔵される時計から現在時刻の情報を取得する。
【0055】
送信部37dは、電波強度取得部37aにより取得されたビーコン信号の受信強度の情報と、位置情報取得部37bにより取得された位置情報と、計時部37cにより取得されたビーコン信号の受信時刻の情報とを、端末装置30のユーザを識別するユーザID及び発信機20の識別情報に関連付けてサーバ100に送信する。なお、送信部37dは、ビーコン信号の受信強度の情報、ビーコン信号受信時の位置情報、及びビーコン信号の受信時刻の情報が全て取得されたタイミングで、その都度、サーバ100に送信してもよい。あるいは、記憶部36に、ビーコン信号の受信強度の情報、ビーコン信号受信時の位置情報、及びビーコン信号の受信時刻の情報を発信機20ごとに記憶しておき、予め定められたタイミングで、送信部37dが一括して送信してもよい。
【0056】
<<サーバの構成例>>
以下、
図4を用いて、実施形態に係るサーバ100の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係るサーバ100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0057】
図4に示すように、サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0058】
通信部110は、インターネット等のネットワークと有線又は無線で接続され、ネットワークを通じて、端末装置30との間で情報の送受信を実行する。通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信モジュールにより実現される。なお、ネットワークは、インターネットの他、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)や、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク2は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。また、ネットワークは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)など無線通信網を含んでもよい。
【0059】
記憶部120は、サーバ100で実行される各処理に必要なプログラム及びデータを記憶する。記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶デバイスにより実現される。
【0060】
記憶部120は、端末取得データ記憶部121と、発信機位置記憶部122とを有する。端末取得データ記憶部121は、端末装置30から取得した取得データを記憶する。発信機位置記憶部122は、後述する制御部130により推定された発信機20の設置位置に関する情報を記憶する。
【0061】
図5は、実施形態に係る端末取得データの概要を示す図である。
図5に示すように、端末取得データ記憶部121に記憶される端末取得データは、ユーザIDの項目と、発信機IDの項目と、電波強度の項目と、位置情報の項目と、受信日時の項目と、を備え、これらの項目が相互に関連付けられている。
【0062】
ユーザIDの項目には、情報の送信元である端末装置30のユーザ(例えば、ハンターH)のユーザIDの情報が記憶される。発信機IDの項目には、ビーコン信号の発信源である発信機20の発信機IDの情報が記憶される。電波強度の項目には、ビーコン信号の受信強度の情報が記憶される。位置情報の項目には、ビーコン信号を受信したときの位置情報が記憶される。受信日時の項目には、ビーコン信号の受信時刻の情報が記憶される。
【0063】
図6は、実施形態に係る発信機20の設置位置に関する情報の概要を示す図である。
図6に示すように、発信機20の設置位置に関する情報は、狩猟場所に対応する地図画像MP上に、発信機20の設置位置を示す画像Gを展開した状態で発信機位置記憶部122に記憶される。発信機20の設置位置を示す画像は、発信機ごとに異なる形態で表示される。例えば、発信機IDが「EX1」である発信機20の設置位置を示す画像Gは四角形であり、発信機IDが「EX2」である発信機20の設置位置を示す画像Gは三角形であり、発信機ID:「EX3」の発信機20の設置位置を示す画像Gは円形である。なお、
図6は、発信機20の設置位置に関する情報の記憶方法の一例を示すものであり、発信機20の設置位置に対応する緯度及び経度の情報を記憶するなど、種々の方法で記憶できる。発信機20の設置位置を示す情報は、端末装置30のユーザ(例えば、ハンターH)からの操作入力により、設置位置の修正等の編集が可能な情報として構成される。
【0064】
制御部130は、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部130は、マイクロコンピュータ等により実装される。マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、並びにROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶デバイスを搭載する。ROMには、サーバ100の各部を制御するためのプログラムや各種処理を実行するためのアプリケーションが格納されている。CPU等のプロセッサが、ROMに格納されたプログラムやアプリケーションを実行することで、マイクロコンピュータによるサーバ100の制御や各種機能が実現される。RAMには、CPU等のプロセッサによる演算の実行等に必要なメモリ領域として使用される。なお、制御部130は、記憶部120に格納されているプログラム等を読み込んで、読み込んだプログラムを実行することにより、サーバ100の制御や各種機能を実現してもよい。
【0065】
制御部130は、取得部131と、判定部132と、推定部133とを有する。
【0066】
取得部131は、発信機20から端末装置30が受信したビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報とを取得する。取得部131は、ビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報とを、情報の送信元である端末装置30のユーザを識別するユーザID及びビーコン信号の発信元である発信機20の発信機IDに関連付けて、記憶部120に登録する。なお、取得部131は、受信強度や位置情報の実測値をそのまま記憶部120に記憶してもよいし、既存の平均化アルゴリズムにより、受信強度や位置情報について平均化処理を行った値を記憶部120に登録してもよい。
【0067】
判定部132は、取得部131により取得されたビーコン信号の受信強度に基づいて、端末装置30におけるビーコン信号の受信が途切れたか否かを判定する。
【0068】
推定部133は、判定部132により端末装置30におけるビーコン信号の受信が途切れたと判定された場合、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻との関係に基づいて、罠10に取り付けられた発信機20の位置を推定する。ビーコン信号の受信が途切れたことを契機として発信機20の位置推定を実行することにより、例えばハンターHが罠10および発信機20を設置後に設置位置の設定のため端末装置30の操作を行う必要がない。また、発信機20を設置前から予めすべての発信機の電源を投入しておくことにより、罠10及び発信機20の設置後に操作する必要がないため電源の入れ忘れを防止できる。
【0069】
具体的には、推定部133は、判定部132により端末装置30におけるビーコン信号の受信が途切れたと判定された発信機20に対応する取得データを記憶部120から取得する。続いて、推定部133は、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移を解析した解析結果から、受信強度の変化の傾向が変わる変化点を検出し、検出した変化点に基づいて、発信機20の位置を推定する。
図7は、実施形態に係るビーコン信号の受信強度の時間的な推移を模式的に示す図である。
【0070】
ハンターHが、発信機20を取り付けた罠10から離れて移動する場合、端末装置30が受信するビーコン信号の受信強度は徐々に小さくなっていくことが予想される。
図7に示す縦軸はビーコン信号の受信強度を示し、平面視で向かって下側ほど受信強度が小さくなる。
図7に示す横軸は時刻を示し、平面視で向かって右側に時間が流れる。
【0071】
例えば、ハンターHが、3つの発信機20
1,10
2,10
3を携えながら狩猟場所を移動している場合、端末装置30が各発信機から受信するビーコン信号の受信強度は、理想的には時間が経過しても所定の範囲内で変化し、ほぼ一定の値で推移することが予想される。例えば、時刻T1から時刻T2に到達するまでの間、ハンターHが3つの発信機20
1,20
2,20
3を携えながら移動したとすると、
図7に示すように、3つの発信機20
1,20
2,20
3の受信強度は、受信強度S2~S4の間の所定範囲内で推移することが予想される。
【0072】
また、ハンターHが、罠10に取り付けた発信機20から離れて移動する場合、理想的には、該当の発信機20から端末装置30が受信するビーコン信号の受信強度は、時間の経過に伴って徐々に小さくなっていき、やがて端末装置30におけるビーコン信号の受信が途切れることが予想される。例えば、ハンターHが時刻T2~時刻T3の間に罠10を設置し、設置した罠10に発信機20
3を取り付けた後、残り2つの発信機20
1,10
2を携えて、その場から離れて移動したとする。この場合、
図7に示すように、2つの発信機20
1,10
2の受信強度は、時刻T3から時刻T9に到達するまでの間、引き続き受信強度S2~S4の間で推移する一方、発信機20
3から受信するビーコン信号の受信強度は、時間の経過に伴って受信強度S4よりも徐々に小さくなっていくことが予想される。
【0073】
このような想定の元、推定部133は、
図7に示すような受信強度の時間的な推移を解析することにより、罠10に取り付けられた発信機20の位置を推定する。
図8は、実施形態に係るビーコン信号の受信強度の変化点を説明するための図である。
図8に示す縦軸はビーコン信号の受信強度を示し、平面視で向かって下側ほど受信強度が小さくなる。
図8に示す横軸は時刻を示し、平面視で向かって右側に時間が流れる。
図8は、説明の便宜上、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移を視覚的に示すものである。
【0074】
推定部133は、例えば、ビーコン信号の受信が途切れた発信機20の端末取得データを用いて、発信機20から端末装置30が受信したビーコン信号の受信強度の時間的な推移を解析する。そして、推定部133は、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移の解析結果から、
図7に示すように、受信強度が閾値TH以上の範囲を推移する第1の領域A1と、受信強度が閾値TH未満の範囲を推移する第2の領域A2との境界BDを導出し、導出した境界BDから、受信強度の変化の傾向が変わる変化点TPを検出する。つまり、推定部133は、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移の解析結において、ビーコン信号の受信強度がほぼ一定の値を推移する状態から、小さくなり始める起点を検出する。
【0075】
推定部133は、検出した変化点TPに基づいて、発信機20の位置を推定する。例えば、推定部133は、変化点TPに対応する時刻を割り出し、割り出した時刻に対応する位置情報を取得データから取得する。そして、推定部133は、取得した位置情報に対応する位置を、発信機20の推定位置に決定する。また、推定部133は、割り出した時刻に対応する位置情報がない場合、該当の時刻の前後で取得された位置情報を取得し、取得した位置情報を平均化することにより、発信機20の推定位置を導出する。
【0076】
また、推定部133は、変化点TP以降に取得された受信強度が、予め定められる閾値未満となったときの時刻を割り出し、割り出した時刻に対応する位置情報から、発信機20の設置位置を導出してもよい。
【0077】
<<処理手順例>>
<情報処理システムにおける処理手順>
図9を用いて、情報処理システム1Aによる処理手順について説明する。
図9は、実施形態に係る情報処理システム1Aのタイムチャートの一例を示す図である。
図9に示す処理手順は、端末装置30が発信機20からビーコン信号を受信可能である場合、繰り返し実行される。
【0078】
図9に示すように、発信機20に電源が投入されると(ステップS101)、発信機20は、ビーコン信号を発信する(ステップS102)。
【0079】
端末装置30は、発信機20から受信するビーコン信号の受信強度を取得する(ステップS103)。また、端末装置30は、ビーコン信号を受信したときの位置情報を取得する(ステップS104)。また、端末装置30は、ビーコン信号の受信時刻を取得する(ステップS105)。そして、端末装置30は、ビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報とを、ビーコン信号に含まれる発信機ID及びハンターHを識別するためのユーザIDに関連付けて、サーバ100に送信する(ステップS106)。なお、端末装置30は、例えば、後述する
図10のステップS204の処理手順において受信強度の変化点を導出された後にサーバ100から発信される、対応する発信機20に関する位置情報の送信要求に応じて、前述の受信強度の情報と、位置情報と、受信時刻の情報とをサーバ100に送信してもよい。これにより、端末装置30からサーバ100へ送信する情報量を減らすことができる。
【0080】
サーバ100は、端末装置30から受信したビーコン信号の受信強度の情報と、位置情報と、受信時刻の情報とを、発信機ID及びユーザIDに関連付けて登録する(ステップS107)。
【0081】
続いて、
図10を用いて、実施形態に係るサーバ100の処理手順について説明する。
図10は、実施形態に係るサーバ100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10に示す処理手順は、全ての発信機20について位置登録が完了するまで繰り返し実行される。
【0082】
推定部133は、判定部132によりビーコン信号の受信が途切れた発信機があると判定された場合、ビーコン信号の受信の途切れた発信機20に対応する端末取得データを記憶部120から取得する(ステップS201)。
【0083】
推定部133は、取得した端末取得データに基づいて、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移を解析する(ステップS202)。
【0084】
推定部133は、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移の解析結果から、受信強度が所定の閾値以上の範囲を推移する第1の領域と、受信強度が所定の閾値未満の範囲を推移する第2の領域との境界を導出する(ステップS203)。
【0085】
推定部133は、導出した境界に基づいて、受信強度の変化の傾向が変わる変化点を導出する(ステップS204)。
【0086】
推定部133は、導出した変化点に基づいて、発信機20の位置を推定する(ステップS205)。
【0087】
推定部133は、推定した発信機20の位置を記憶部120に登録する(ステップS206)。
【0088】
<<変形例>>
<学習済みモデルによる設置位置の推定(1)>
ところで、上記の実施形態では、推定部133は、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移の解析結果から、当該受信強度の変化の傾向が変わる変化点を検出し、検出した変化点に基づいて、発信機20の設置位置を推定する例を説明した。以下では、サーバ100が、教師データに基づく機械学習の結果として取得される、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻との対応関係に基づいて、発信機20の設置位置を推定する例について説明する。
【0089】
図11は、変形例に係る情報処理システム1Bの構成例を示す図である。
図11に示すように、変形例に係る情報処理システム1Bは、発信機20と、端末装置30と、サーバ200とを備える。サーバ200は、前述の
図2に示すサーバ100に対応する。
【0090】
端末装置30及びサーバ200とは、インターネットなどのネットワーク2に接続する。端末装置30とサーバ200とは、ネットワーク2を介して、情報を送受信する。
【0091】
図12は、変形例に係るサーバ200の機能構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、変形例に係るサーバ200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。変形例に係るサーバ200は、基本的には、前述の
図4に示すサーバ100と同様の機能構成を有するが、サーバ200により実現される処理機能の一部がサーバ100とは相違する。
【0092】
記憶部220は、端末取得データ記憶部221と、発信機位置記憶部222と、対応関係記憶部223とを有する。端末取得データ記憶部221は、前述の
図4に示す端末取得データ記憶部121に対応し、発信機位置記憶部222は、前述の
図4に示す発信機位置記憶部122に対応する。また、記憶部220が対応関係記憶部223を有する点で、サーバ200は前述の
図4に示すサーバ100と相違する。
【0093】
対応関係記憶部223は、教師データに基づく機械学習の結果として取得される、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻との対応関係を記憶する。
図13は、変形例に係る学習済みモデルの構築例を示す図である。対応関係記憶部223に記憶される対応関係は、例えば、
図13に示す学習済みモデルとして与えられる。
【0094】
図13に示すように、学習モデルに学習させるための学習用データ(教師データ)を準備する。学習用データには、入力として、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻とが与えられ、出力して、発信機20の設置位置が与えられる。ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻とを入力し、学習モデルが発信機20の位置を正しく出力するように機械学習を行うことにより、学習済みモデルを構築する。
【0095】
制御部230は、取得部231と、判定部232と、推定部233とを有する。取得部231は、前述の
図4に示す取得部131に対応し、判定部232は、前述の
図4に示す判定部132に対応し、推定部233は、前述の
図4に示す推定部133に対応する。変形例に係るサーバ200は、推定部233により実行される処理が、
図4に示す推定部133とは相違する。
【0096】
推定部233は、取得部231により取得されたビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報と、対応関係記憶部223に記憶されている対応関係とに基づいて、発信機20の位置を推定する。
図14は、変形例に係るモデル出力例を模式的に示す図である。
【0097】
図14に示すように、推定部233は、端末取得データであるビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報とを学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力されるスコアに基づいて、発信機20の位置を推定する。
【0098】
上述したように、ハンターHが、設置した罠10に取り付けた発信機20から離れて移動する場合、発信機20から端末装置30が受信するビーコン信号の受信強度は、理想的には、時間の経過に伴って徐々に小さくなっていき、やがてビーコン信号の受信が途切れることが予想される。発信機20の設置位置や設置状況によっては、ビーコン信号の受信強度が理想的な変化を示さない場合も起こり得る。
【0099】
変形例に係るサーバ200は、前述のように、ビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報とを学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力されるスコアに基づいて、発信機20の位置を推定する。これにより、ビーコン信号の受信強度が理想的な変化を示さない場合であっても、発信機20の位置の推定が可能となる。
図15は、変形例に係るビーコン信号の受信強度の変化点を説明するための図である。
図15に示す縦軸はビーコン信号の受信強度を示し、平面視で向かって下側ほど受信強度が小さくなる。
図15に示す横軸は時刻を示し、平面視で向かって右側に時間が流れる。
図15は、説明の便宜上、ビーコン信号の受信強度の時間的な推移を視覚的に示すものである。
【0100】
図15に示す例において、例えば、ビーコン信号の受信強度の変化の傾向が変わる変化点ATP1及び変化点ATP2のうち、変化点ATP2に対応するタイミングで、ハンターHが罠10に取り付けた発信機20から離れて移動した場合、前述の実施形態の例では、発信機20の位置を正しく推定することが難しい。一方、変形例では、
図15に示すように、ビーコン信号の受信強度が理想的な変化を示さない場合であっても、学習モデルの出力するスコアが変化点ATP2で最も高くなるように学習済みモデルを構築できる。このように、ビーコン信号の受信強度が理想的な変化を示さない場合であっても、発信機20の位置の推定が可能となる。
【0101】
<学習済みモデルによる設置位置の推定(2)>
以下では、サーバ200が、教師データに基づく機械学習の結果として取得される、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻と、発信機20の設置位置を示す画像との対応関係に基づいて、発信機20の設置位置を推定する例について説明する。
【0102】
図16は、実施形態に係る情報処理システム1Cの構成例を示す図である。
図16に示すように、変形例に係る情報処理システム1Cは、発信機20と、端末装置40と、サーバ300とを備える。端末装置40は、前述の
図2等に示す端末装置30に対応し、サーバ300は、前述の
図12に示すサーバ200に対応する。
【0103】
発信機20と端末装置40とは、BLE通信により通信可能に接続される。発信機20から発信されるビーコン信号は、BLE通信の通信圏内にある端末装置40により受信される。
【0104】
端末装置40及びサーバ300とは、インターネットなどのネットワーク2に接続する。端末装置40とサーバ300とは、ネットワーク2を介して、情報を送受信する。
【0105】
図17は、変形例に係る端末装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。
図17に示すように、変形例に係る端末装置40は、撮像部41と、表示部42と、電波受信部43と、GPS受信部44と、通信部45と、記憶部46と、制御部47とを有する。変形例に係る端末装置40は、基本的には、前述の
図3に示す端末装置30と同様の機能構成を有する。撮像部41は撮像部31に対応し、表示部42は表示部32に対応し、電波受信部43は電波受信部33に対応し、GPS受信部44はGPS受信部34に対応し、通信部45は通信部35に対応し、記憶部46は記憶部36に対応し、制御部47は制御部37に対応する。また、変形例に係る端末装置40は、以下に説明する点が前述の
図3に示す端末装置30と相違する。
【0106】
制御部47は、画像取得部47eを有する。画像取得部47eは、罠10に取り付けた発信機20の設置位置を示す画像を取得する。送信部47dは、ビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報とに加えて、発信機20が取り付けられた罠10の設置位置を示す画像をサーバ200に送信する。罠10の設置位置を示す画像としては、罠10が仕掛けられた場所に生い茂った木や目印となる自然物が罠10と一緒に写り込んだ風景の画像などが例示される。
【0107】
図18は、変形例に係るサーバ300の機能構成の一例を示すブロック図である。
図18に示すように、変形例に係るサーバ300は、通信部310と、記憶部320と、制御部330とを有する。変形例に係るサーバ300は、基本的には、前述の
図12に示すサーバ200と同様の機能構成を有するが、サーバ300により実現される処理機能の一部がサーバ200とは相違する。
【0108】
記憶部320は、端末取得データ記憶部321と、発信機位置記憶部322と、対応関係記憶部323とを有する。端末取得データ記憶部321は、前述の
図12に示す端末取得データ記憶部221に対応し、発信機位置記憶部322は、前述の
図12に示す発信機位置記憶部222に対応し、対応関係記憶部323は、前述の
図12に示す対応関係記憶部223に対応する。サーバ300において、対応関係記憶部323に記憶される対応関係が、対応関係記憶部223に記憶される対応関係とは相違する。
【0109】
対応関係記憶部323は、教師データに基づく機械学習の結果として取得される、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号を受信したときの位置情報と、ビーコン信号の受信時刻と、発信機20の設置位置を示す画像との対応関係を記憶する。
図19は、変形例に係る学習済みモデルの構築例を示す図である。対応関係記憶部323に記憶される対応関係は、例えば、
図19に示す学習済みモデルとして与えられる。
【0110】
図19に示すように、学習モデルに学習させるための学習用データ(教師データ)を準備する。学習用データには、入力として、ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻と、発信機20を取り付けた罠10の設置位置を示す画像が与えられ、出力として、発信機20の位置が与えられる。ビーコン信号の受信強度と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻と、発信機20の設置位置を示す画像とを入力し、学習モデルが発信機20の位置を正しく出力するように機械学習を行うことにより、学習済みモデルを構築する。
【0111】
制御部330は、取得部331と、判定部332と、推定部333とを有する。取得部331は、前述の
図12に示す取得部231に対応し、判定部232は、前述の
図12に示す判定部232に対応し、推定部333は、前述の
図12に示す推定部233に対応する。サーバ200は、推定部333により実行される処理が、
図12に示す推定部232とは相違する。
【0112】
推定部333は、取得部331により取得されたビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報と、発信機20の設置位置を示す画像の情報と、対応関係記憶部323に記憶されている対応関係とに基づいて、発信機20の設置位置を推定する。
図20は、変形例に係るモデル出力例を模式的に示す図である。
【0113】
図20に示すように、推定部333は、端末取得データであるビーコン信号の受信強度の情報と、ビーコン信号受信時の位置情報と、ビーコン信号の受信時刻の情報と、発信機の設置位置を示す画像を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力されるスコアに基づいて、発信機20の設置位置を推定する。このように、学習済みモデルに入力するデータを増やすことにより、モデルの出力する精度の向上を期待できる。
【0114】
なお、前述の変形例において、学習用データ(教師データ)として、発信機20の設置位置を示す画像を入力として与える例は特に限定される必要はない。例えば、端末装置40の加速度情報や振動情報などを入力して与えてもよい。
【0115】
<<その他>>
上記の実施形態及び変形例では、サーバ100~300が、発信機20の設置位置を推定する例を説明したが、端末装置30,40が発信機20の設置位置を推定してもよい。端末装置30は、サーバ100による発信機20の設置位置の推定を実行する場合、サーバ100が有する構成のうち、発信機20の設置位置の推定に関連する構成を備えればよい。また、端末装置30は、サーバ200による発信機20の設置位置の推定を実行する場合、サーバ200が有する構成のうち、発信機20の設置位置の推定に関連する構成を備えればよい。また、端末装置40は、サーバ300による発信機20の設置位置の推定を実行する場合、サーバ300が有する構成のうち、発信機20の設置位置の推定に関連する構成を備えればよい。
【0116】
また、上記の実施形態及び変形例に係るサーバ100~300の処理機能を実現するための情報処理プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよい。このとき、例えば、サーバ100~300は、情報処理プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行する。
【0117】
また、前述の情報処理プログラムをインターネット等のネットワーク上に配置されたクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をクラウドストレージに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0118】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0119】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、この実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0120】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1A、1B、1C 情報処理システム
2 ネットワーク
10 罠
20 発信機
30、40 端末装置
31、41 撮像部
32、42 表示部
33、43 電波受信部
34、44 GPS受信機
35、45 通信部
36、46 記憶部
36a、46a 専用アプリ記憶部
37、47 制御部
37a、47a 電波強度取得部
37b、47b 位置情報取得部
37c、47c 計時部
37d、47d 送信部
47e 画像取得部
100、200、300 サーバ
110、210、310 通信部
120、220、320 記憶部
121、221、321 端末取得データ記憶部
122、222、322 発信機位置記憶部
223、323 対応関係記憶部
130、230、330 制御部
131、231、331 取得部
132、232、332 判定部
133、233、333 推定部