(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050243
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】オンライン自習システム、自習管理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20220323BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20220323BHJP
G09B 7/02 20060101ALI20220323BHJP
G09B 5/14 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G06Q50/20
G09B5/02
G09B7/02
G09B5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156735
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】500074501
【氏名又は名称】株式会社やる気スイッチグループホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直司
(72)【発明者】
【氏名】山中 孝光
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028BA01
2C028BB04
2C028BC05
5L049CC34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】家庭学習における学習者の意欲を引き出し、継続させる。
【解決手段】学習者端末で撮影される映像を受信し、他の学習者端末に送信するビデオ通話部14と、学習者端末を使用する学習者に関する情報を記憶する学習者情報記憶部1Aと、学習者端末からのオンライン自習システムに対するログイン処理を受け付けるログイン部11と、ログイン処理に応じて学習者端末の画面に出席ボタンB101を表示させるとともに、出席ボタンの押下に応じて退席ボタンB102を画面に表示させる表示制御部と、出席ボタンが押下されてから退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する自習時間計算部15と、学習者ごとに所定期間における自習時間を積算し、少なくとも学習者端末とは異なる管理端末30において学習者と関連づけて表示する自習情報表示部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の学習者端末をそれぞれ相互に接続し、前記学習者端末で撮影される映像を他の前記学習者端末にリアルタイムに表示させるオンライン自習システムであって、
前記学習者端末で撮影される映像を受信し、他の前記学習者端末に送信するビデオ通話部と、
前記学習者端末を使用する学習者に関する情報を記憶する学習者情報記憶部と、
前記学習者端末からの前記オンライン自習システムに対するログイン処理を受け付けるログイン部と、
前記ログイン処理に応じて前記学習者端末の画面に出席ボタンを表示させるとともに、前記出席ボタンの押下に応じて退席ボタンを前記画面に表示させる表示制御部と、
前記出席ボタンが押下されてから前記退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する自習時間計算部と、
前記学習者ごとに所定期間における前記自習時間を積算し、少なくとも前記学習者端末とは異なる管理端末において前記学習者と関連づけて表示する自習情報表示部と、
を備える、
オンライン自習システム。
【請求項2】
前記学習者情報記憶部は、少なくとも前記学習者の識別情報と前記学習者の顔認証データを関連付けて記憶しており、
前記ログイン部は、前記学習者端末に備えられている撮像部により撮像した顔画像を、前記学習者の顔認証データと照合して、前記学習者のログイン処理を行う、
請求項1記載のオンライン自習システム。
【請求項3】
前記学習者情報記憶部は、前記学習者の自習スケジュールを記憶しており、
前記自習スケジュールにおいて自習が予定されている時間帯に前記出席ボタンが押下されている場合に、前記学習者が自習に出席した旨の出欠記録を前記学習者情報記憶部に記憶する、
請求項1又は2記載のオンライン自習システム。
【請求項4】
前記学習者情報記憶部は、前記学習者の識別情報と、前記学習者とは異なる連絡者への連絡先の情報を関連付けて記憶しており、
前記ログイン処理、前記出席ボタンの押下および前記退席ボタンの押下の少なくともいずれかが行われた場合に、前記連絡先に通知を行う通信処理部をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれかに記載のオンライン自習システム。
【請求項5】
前記学習者端末で撮影される映像をリアルタイムに表示させる指導者端末とさらに接続され、
前記表示制御部は、前記学習者端末において前記学習者の反応を入力する反応ボタンを表示させ、前記反応ボタンが押下された場合に、少なくとも前記指導者端末において当該学習者端末で撮影されている映像の表示領域に、当該入力に対応する表示を行う、
請求項1乃至4のいずれかに記載のオンライン自習システム。
【請求項6】
前記学習者端末で撮影される映像をリアルタイムに表示させる指導者端末とさらに接続され、
前記表示制御部は、前記学習者端末において質問ボタンを表示させるとともに、前記質問ボタンが押下された場合に前記指導者端末に確認ボタンを表示させ、
前記ビデオ通話部は、前記確認ボタンが押下された場合に、当該学習者端末と前記指導者端末の音声および映像が互いに送受信され、少なくとも当該音声は他の前記学習者端末において再生されないプライベート通話を開始する、
請求項1乃至5のいずれかに記載のオンライン自習システム。
【請求項7】
複数の学習者端末をそれぞれ相互に接続し、前記学習者端末で撮影される映像を他の前記学習者端末にリアルタイムに表示させるオンライン自習システムにより、自習を管理する方法であって、
前記オンライン自習システムは、前記学習者端末を使用する学習者に関する情報を記憶する学習者情報記憶部を備え、
前記学習者端末で撮影される映像を受信し、他の前記学習者端末に送信するビデオ通話ステップと、
前記学習者端末からの前記オンライン自習システムに対するログイン処理を受け付けるログインステップと、
前記ログイン処理に応じて前記学習者端末の画面に出席ボタンを表示させるとともに、前記出席ボタンの押下に応じて退席ボタンを前記画面に表示させる表示制御ステップと、
前記出席ボタンが押下されてから前記退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する自習時間計算ステップと、
前記学習者ごとに所定期間における前記自習時間を積算し、少なくとも前記学習者端末とは異なる管理端末において前記学習者と関連づけて表示する自習情報表示ステップと、
を含む、
自習管理方法。
【請求項8】
複数の学習者端末をそれぞれ相互に接続し、前記学習者端末で撮影される映像を他の前記学習者端末にリアルタイムに表示させるオンライン自習システムを制御するコンピュータプログラムであって、
前記オンライン自習システムは、前記学習者端末を使用する学習者に関する情報を記憶する学習者情報記憶部を備え、
前記学習者端末で撮影される映像を受信し、他の前記学習者端末に送信するビデオ通話命令と、
前記学習者端末からの前記オンライン自習システムに対するログイン処理を受け付けるログイン命令と、
前記ログイン処理に応じて前記学習者端末の画面に出席ボタンを表示させるとともに、前記出席ボタンの押下に応じて退席ボタンを前記画面に表示させる表示制御命令と、
前記出席ボタンが押下されてから前記退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する自習時間計算命令と、
前記学習者ごとに所定期間における前記自習時間を積算し、少なくとも前記学習者端末とは異なる管理端末において前記学習者と関連づけて表示する自習情報表示命令と、
をコンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の学習者がビデオ通話をしながら自習を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
学習者が継続して勉強を行うにあたり、家庭で行う自習、すなわち家庭学習は非常に重要である。従来、十分な家庭学習の時間の確保は、学習者本人の意欲およびその家族の支援に任されていた。特に、学習者が子供である場合には、時に家族は学習者に様々な声掛けをして家庭学習を促す必要があり、家族の負担が大きいことが課題となっていた。また、学習者も、家庭学習において1人で意欲を継続させるのは困難な場合があった。そこで、家庭学習における意欲を引き出し、継続させる技術が必要とされている。
【0003】
この点、特許文献1には、講師用端末機に複数の受講生用端末機がインターネットを介してマルチ接続され、講師用端末機と受講生用端末機との間にテキスト、画像からなる授業データ、もしくはさらにこれに音声を加えた授業データをリアルタイムに応答させるようにした遠隔操作システムが開示されている。また、自習モードにおいて、受講生が質問意思伝達用手段を操作すると、講師用端末機と特定受講生用端末機との間を1対1に接続して、当該受講生との質疑応答および個別指導を行うことが開示されている。特許文献2には、自己申告で勉強時間と勉強内容を入力し、記憶する構成が開示されている。特許文献3には、学習の実施予定日時を指定した登録を受け付けるとともに、学習の実施を確認する実施確認を受け付け、登録にて指定された実施予定日時の所定時間前に、学習の実施を促す通知を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-337589号公報
【特許文献2】特開2019-159817号公報
【特許文献3】特開2019-61187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成は、講師が授業を行うことを想定したものであり、家庭学習の意欲を引き出すものではない。また、自習モードにおいても、講師に質問ができるものの、意欲に乏しい学習者の意欲を引き出すことはできない。特許文献2の構成は、自分の学習時間を管理して入力する手間が発生し、特に子供の学習者にとっては難しい操作が必要である。特許文献3の構成においては、家庭学習を一人で進めなければならず、意欲を継続することは困難である。すなわち、上述のいずれの文献においても、家庭学習における意欲を引き出し、継続させる技術については開示がない。
【0006】
本発明は、家庭学習における学習者の意欲を引き出し、継続させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るオンライン自習システムは、複数の学習者端末をそれぞれ相互に接続し、前記学習者端末で撮影される映像を他の前記学習者端末にリアルタイムに表示させるオンライン自習システムであって、前記学習者端末で撮影される映像を受信し、他の前記学習者端末に送信するビデオ通話部と、前記学習者端末を使用する学習者に関する情報を記憶する学習者情報記憶部と、前記学習者端末からの前記オンライン自習システムに対するログイン処理を受け付けるログイン部と、前記ログイン処理に応じて前記学習者端末の画面に出席ボタンを表示させるとともに、前記出席ボタンの押下に応じて退席ボタンを前記画面に表示させる表示制御部と、前記出席ボタンが押下されてから前記退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する自習時間計算部と、前記学習者ごとに所定期間における前記自習時間を積算し、少なくとも前記学習者端末とは異なる管理端末において前記学習者と関連づけて表示する自習情報表示部と、を備える。
【0008】
前記学習者情報記憶部は、少なくとも前記学習者の識別情報と前記学習者の顔認証データを関連付けて記憶しており、前記ログイン部は、前記学習者端末に備えられている撮像部により撮像した顔画像を、前記学習者の顔認証データと照合して、前記学習者のログイン処理を行うものとしてもよい。
【0009】
前記学習者情報記憶部は、前記学習者の自習スケジュールを記憶しており、前記自習スケジュールにおいて自習が予定されている時間帯に前記出席ボタンが押下されている場合に、前記学習者が自習に出席した旨の出欠記録を前記学習者情報記憶部に記憶するものとしてもよい。
【0010】
前記学習者情報記憶部は、前記学習者の識別情報と、前記学習者とは異なる連絡者への連絡先の情報を関連付けて記憶しており、前記ログイン処理、前記出席ボタンの押下および前記退席ボタンの押下の少なくともいずれかが行われた場合に、前記連絡先に通知を行う通信処理部をさらに備えるものとしてもよい。
【0011】
前記学習者端末で撮影される映像をリアルタイムに表示させる指導者端末とさらに接続され、前記表示制御部は、前記学習者端末において前記学習者の反応を入力する反応ボタンを表示させ、前記反応ボタンが押下された場合に、少なくとも前記指導者端末において当該学習者端末で撮影されている映像の表示領域に、当該入力に対応する表示を行うものとしてもよい。
【0012】
前記学習者端末で撮影される映像をリアルタイムに表示させる指導者端末とさらに接続され、前記表示制御部は、前記学習者端末において質問ボタンを表示させるとともに、前記質問ボタンが押下された場合に前記指導者端末に確認ボタンを表示させ、前記ビデオ通話部は、前記確認ボタンが押下された場合に、当該学習者端末と前記指導者端末の音声および映像が互いに送受信され、少なくとも当該音声は他の前記学習者端末において再生されないプライベート通話を開始するものとしてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る自習管理方法は、複数の学習者端末をそれぞれ相互に接続し、前記学習者端末で撮影される映像を他の前記学習者端末にリアルタイムに表示させるオンライン自習システムにより、自習を管理する方法であって、前記オンライン自習システムは、前記学習者端末を使用する学習者に関する情報を記憶する学習者情報記憶部を備え、前記学習者端末で撮影される映像を受信し、他の前記学習者端末に送信するビデオ通話ステップと、前記学習者端末からの前記オンライン自習システムに対するログイン処理を受け付けるログインステップと、前記ログイン処理に応じて前記学習者端末の画面に出席ボタンを表示させるとともに、前記出席ボタンの押下に応じて退席ボタンを前記画面に表示させる表示制御ステップと、前記出席ボタンが押下されてから前記退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する自習時間計算ステップと、前記学習者ごとに所定期間における前記自習時間を積算し、少なくとも前記学習者端末とは異なる管理端末において前記学習者と関連づけて表示する自習情報表示ステップと、を含む。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、複数の学習者端末をそれぞれ相互に接続し、前記学習者端末で撮影される映像を他の前記学習者端末にリアルタイムに表示させるオンライン自習システムを制御するコンピュータプログラムであって、前記オンライン自習システムは、前記学習者端末を使用する学習者に関する情報を記憶する学習者情報記憶部を備え、前記学習者端末で撮影される映像を受信し、他の前記学習者端末に送信するビデオ通話命令と、前記学習者端末からの前記オンライン自習システムに対するログイン処理を受け付けるログイン命令と、前記ログイン処理に応じて前記学習者端末の画面に出席ボタンを表示させるとともに、前記出席ボタンの押下に応じて退席ボタンを前記画面に表示させる表示制御命令と、前記出席ボタンが押下されてから前記退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する自習時間計算命令と、前記学習者ごとに所定期間における前記自習時間を積算し、少なくとも前記学習者端末とは異なる管理端末において前記学習者と関連づけて表示する自習情報表示命令と、をコンピュータに実行させる。
【0015】
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、家庭学習における学習者の意欲を引き出し、継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るオンライン自習システムの構成及び機能を示した機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るオンライン自習システムに記憶されるデータテーブルの1例を示す図であって、(a)学習者情報テーブルの1例、(b)自習時間帯ごとの学習者の出欠を記憶する出欠テーブルの1例である。
【
図3】本発明の実施形態に係るオンライン自習システムに記憶されるデータテーブルの1例を示す図であって、学習者個人の自習時間の履歴が記憶される個人票テーブルの例である。
【
図4】本発明の実施形態に係るオンライン自習システムにおいて、学習者端末に表示される画面の例であって、(a)ログイン処理後に出席処理を行う画面の1例を示す模式図、(b)自習中に表示される画面の1例を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るオンライン自習システムにおいて、指導者端末に表示される画面の例であって、(a)上記学習者端末からの入力に応じて反応アイコンが表示されている様子を示す模式図、(b)上記学習者端末により質問ボタンが押下された場合の様子を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るオンライン自習システムにおいて実行される処理のうち、(a)出席処理の1例を示したシーケンス図、(b)退席処理の1例を示したシーケンス図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るオンライン自習システムにおいて実行される処理のうち、プライベート通話処理の1例を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
●オンライン自習システム
以下、本発明の実施形態に係るオンライン自習システムについて、図を参照して説明する。
本実施形態に係るオンライン自習システムは、複数の学習者が有する学習者端末を通じて、自習中においてリアルタイムにビデオ通話で接続させるとともに、当該自習の予定時間および実際に自習を行った実績時間を学習者ごとに管理するものである。
【0019】
オンライン自習システムは、複数の学習者および保護者、ならびに指導者および管理者による利用が想定される。
学習者は、オンライン自習システムを用いて自習をする者であり、大人であっても子供であってもよい。
保護者は、学習者の保護者である。
指導者は、学習者の自習をオンラインで見守る者であり、例えば学校又は学習塾の講師である。
管理者は、学習者の学習実績や、指導者の指導実績等を管理し、学習者の学習を継続的にフォローする者である。管理者は、指導者と同一であってもよい。
【0020】
図1に示されるように、学習者、指導者、管理者、保護者はそれぞれ、学習者端末10、指導者端末20、管理端末30、保護者端末40を利用し、これによりオンライン自習装置1とデータのやり取りを行う。なお、各端末の構成については後述するが、例えば、データ通信可能なスマートデバイスやパーソナルコンピュータなどによって実現される。
なお、オンライン自習装置1は、ネットワークで互いに接続された複数の装置により、オンライン自習システムとして構成されてもよい。また、オンライン自習システムを構成する装置の一部又は全部は、サーバ又はクラウドコンピュータにより実現されていてもよい。
【0021】
学習者端末10は、学習者が自習の際に使用する端末であり、例えば、自宅や自習室での使用がなされる。オンライン自習装置1には複数の学習者端末10a、10b、10cが同時に接続される。学習者端末10の数は任意であり、例えば学校や学習塾の1クラス又は複数クラスに属する生徒の人数分の学習者端末10が本オンライン自習システムに同時にログインしてよい。学習者端末10aは、当該学習者端末10aの前で自習をする学習者の様子を撮像する撮像部11a、当該学習者の声を収音する収音部12a、他の学習者端末10b、10cが取得した映像等を表示する表示部13a、および当該学習者が出席処理を行ったり、反応等を入力したりする入力部14aを備える。
学習者端末10は、学習者の自習中に起動しており、他の学習者端末10で取得した映像をリアルタイムで表示している。
【0022】
また、学習者端末10は、学習者が自習の際に視聴する授業映像を再生したり、学習者が選択又は記述する回答の入力を受け付けてもよい。なお、本オンライン自習システムは、自習の管理および支援をオンラインで行うものであり、学習者は、必ずしも自習を端末上で行う必要はない。すなわち、学習者は、学習者端末10で本システムにログインした上で、その傍らで教科書、ノート又はプリントを使用した紙媒体による自習を行ってよい。
【0023】
指導者端末20は、指導者が学習者の自習を監督するための端末であり、自習時間において複数の学習者端末10と接続される。指導者端末20は、指導者の様子を撮像する撮像部21、指導者の声を収音する収音部22、複数の学習者端末10が取得した映像等を表示する表示部23、および指導者が適宜の入力を行う入力部24等を備えている。
【0024】
管理端末30は、管理者が学習者の自習状況等の管理に使用する端末である。管理端末30には、オンライン自習装置1に蓄積される、各学習者の自習実績の情報等が表示される。
【0025】
保護者端末40は、保護者が使用する端末であり、学習者の出席および退席の通知を受信する。本システムは、複数の保護者端末40a、40b、40cに個別に通知を送信できる。
【0026】
オンライン自習装置1は、複数の学習者端末をそれぞれ相互に接続し、学習者端末で撮影される映像を他の学習者端末にリアルタイムに表示させることで、学習者の継続的な自習を支援するとともに、自習の実績を管理する装置である。
このオンライン自習装置1は例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、CPUによって実行されるコンピュータプログラム、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の内部メモリ等を備えたサーバ等によって実現される。オンライン自習装置1はこれにより、ログイン部11、表示制御部12、出退席処理部13、ビデオ通話部14、自習時間計算部15、自習情報表示部16、通信処理部17、学習者情報記憶部1A、映像記憶部1Bからなる機能ブロックを構成する。
【0027】
ログイン部11は、学習者端末10からのオンライン自習システムに対するログイン処理を受け付ける機能部である。ログイン部11は、例えば学習者端末10から入力されるIDとパスワードを受け付ける。そして、学習者情報記憶部1Aに記憶されているIDおよびパスワードと照合し、当該学習者端末10のログイン処理を行う。
また、ログイン部11は、撮像部11aにより撮像した顔画像を、学習者情報記憶部1Aに記憶されている学習者の顔認証データと照合してログイン処理を行ってもよい。この構成によれば、学習者によるIDとパスワードの入力を省略できる。また、学習者本人によるログインを担保し、他人によるなりすましを防止できる。
【0028】
表示制御部12は、学習者端末10、および指導者端末20の各表示部に対し、オンラインの自習に関する画面を表示させる機能部である。表示制御部12は、例えば学習者端末10の表示部13a上に、他の学習者端末10から取得される映像、指導者端末20から取得される映像、出席ボタンB101、退席ボタンB102、反応ボタンB103および質問ボタンB104(
図4(a)および(b)参照)を表示させる。また、表示制御部12は、指導者端末20の表示部23上に、学習者端末10から取得される映像、反応アイコンG202、教室移動ボタンG203、質問アイコンG204、確認ボタンG205等(
図5(a)および(b)参照)を表示させる。各ボタンの押下に伴う動作については、後述する。
【0029】
出退席処理部13は、出席ボタンB101および退席ボタンB102の押下を受け付け、学習者端末10の出席処理および退席処理を受け付ける機能部である。この構成によれば、別途の出欠確認を指導者が行う必要が無く、簡便である。
【0030】
ログイン処理と出席処理および退席処理を独立して行う構成によれば、自習画面G102を閉じて自習を継続する場合に、オンライン自習システムからログアウト状態になったとしても、自習時間を正確に計時することができる。自習画面G102を閉じて自習を継続する場合とは、例えば、自習画面G102から別の画面、例えば授業映像の表示画面に遷移する場合などが考えられる。本構成によれば、出席処理および退席処理を能動的に行うことで自習時間が計時されるので、自習時間を確実に計時することができる。
【0031】
なお、出退席処理部13は、上述の構成に代えて、ログイン部11によるログイン処理に応じて出席処理を行い、ログアウト処理に応じて退席処理を行ってもよい。この構成によれば、ログインすることで自習時間が計時されるので、操作が少なくて済み、簡便である。
【0032】
ビデオ通話部14は、自習時間帯において、ログインしている複数の学習者端末10と指導者端末20とを接続してリアルタイムにビデオ通話を行わせる機能部である。ビデオ通話部14は、学習者端末10aにより収集される音声および映像を他の学習者端末10b、10cおよび指導者端末20に送信するとともに、他の学習者端末10b、10cおよび指導者端末20により収集される音声および映像を学習者端末10aに送信する。
【0033】
この構成によれば、他の学習者の様子がリアルタイムで確認できるため、家庭学習等一人で自習をしなければならない環境においても、自習を始める契機を与えるとともに自習の意欲を継続することができる。また、自習中に指導者端末20ともビデオ通話で接続されている構成によれば、指導者の存在により緊張感をもって自習に取り組むことができる。
【0034】
また、ビデオ通話部14は、学習者端末10および指導者端末20により取得される映像を録画し、映像データを記憶してもよい。当該映像データは映像記憶部1Bに記憶される。記憶された映像データは、例えば管理端末30により再生される。なお、記憶される映像データは、取得される映像よりも低画質又はデータ容量の小さいデータに変換して記憶されていてもよい。この構成によれば、指導者による指導内容等を事後的に確認できるため、学習者や、学習者の保護者等から問合せがあった場合にも、客観的な記録に基づいて話し合いを進めることができる。本オンライン自習システムは、特に子供の学習者による使用が想定されるところ、自習中の映像を事後的に確認可能になっている構成によれば、自習中に常に監督しているとは限らない保護者に対しても安心感を与えることができる。
【0035】
さらに、ビデオ通話部14は、1個の学習者端末10と指導者端末20の音声および映像のみが互いに送受信されるプライベート通話を実行可能である。このとき、ログインしている他の学習者端末10では少なくとも当該音声を再生させない。この機能によれば、例えば、複数人がビデオ通話をしながら行う自習中に、学習者が指導者に質問したい場合において、他の学習者の自習を妨げることなく質問を行うことができる。また、複数人がビデオ通話を行う自習画面上からプライベート通話に移行できる構成によれば、自習中の教室から別室に移動して指導者に質問する状況と同様に、質問を簡便に行うことができる。なお、ビデオ通話部14は、学習者端末10からの入力に基づいてプライベート通話に移行する他、指導者端末20から特定の学習者端末10の指定を受け付けて、当該学習者端末10との間でプライベート通話を行うことができてもよい。
【0036】
自習時間計算部15は、出席ボタンが押下されてから退席ボタンが押下されるまでの時間を自習時間として算出する機能部である。算出される自習時間は、出欠テーブルT102(
図2(b)参照)および個人票テーブルT103(
図3参照)に格納される。
【0037】
自習情報表示部16は、学習者の自習実績を表示する機能部である。自習情報表示部16は、個人票テーブルT103(
図3参照)を参照し、例えば自習時間帯ごとに出欠、出席時刻、退席時刻、自習時間を表示する。また、自習情報表示部16が、学習者ごとに自習時間を積算し、所定期間における自習時間の積算値を管理端末30に表示する。自習時間は例えば週計値又は月計値を表示する他、管理端末30から入力される任意の期間における自習時間の積算値を表示してもよい。また、自習情報表示部16は、自習時間の実績値を曜日ごとに積算してもよいし、自習時間帯を細分化し、例えば20時から20時30分、20時30分から21時、21時から21時30分等の時間帯ごとに積算してもよい。学習者ごとに表示することで、当該学習者の自習がはかどっているか等を把握することができる。また、この情報を元に、学習者又は保護者と面談を行うことで、客観的なデータに基づいたフィードバックが可能である。
【0038】
所定の時刻に出欠をとり、一律で出席又は欠席とみなされるものとすると、家庭での生活リズムに過度に介入することになり、家庭学習の意欲を却って阻害するおそれがある。上述のように、単なる出欠の確認ではなく自習していた時間を計時することで、生活リズムに合わせた柔軟な出席および退席を許容するとともに、自習時間の一部のみ出席していた学習者に対しても、自習の実績を正しく評価することができる。
【0039】
また、自習情報表示部16は、複数の学習者の自習実績を、自習時間帯ごと等で積算して表示してもよい。この構成によれば、自習実績の全体の傾向を把握することができる。
【0040】
なお、自習情報表示部16は、学習者ごと自習実績および複数の学習者の自習実績について、棒グラフ、折れ線グラフ又は円グラフ等の適宜のグラフを生成し、表示させてもよい。また、自習情報表示部16は、自習実績のデータを、表示に加えて又は代えて適宜のフォーマットでオンライン自習装置1の外部に出力可能であってもよい。外部に出力されたデータは、例えば別のアプリケーション等にインポートされ、グラフ又は帳票の形式に加工される。
【0041】
通信処理部17は、学習者端末10、指導者端末20、管理端末30、及び保護者端末40と、インターネット等のネットワークNWを介して各種のデータの送受信を実行する。
具体的に、学習者端末10との間では、他の学習者端末10および指導者端末20の音声および映像の送受信を行う。指導者端末20との間では、複数の学習者端末10との間で音声および映像の送受信を行う。管理端末30との間では、学習者情報記憶部1Aに記憶されている情報の表示要求を受け取るとともに、要求された情報の出力を行う。保護者端末40との間では、学習者端末10のログイン処理、出席処理又は退席処理に基づいて、通信処理部17から通知を送信する。
なお、学習者端末10、指導者端末20、管理端末30、及び保護者端末40を介したデータや通知のやり取りは、所定のウェブサイト上に設けた学習者、指導者、管理者、および保護者それぞれのマイページ等を介して行ったり、専用のアプリケーションを介して行ったりするなど、各種の態様によることができる。
【0042】
図2および
図3に示すように、学習者情報記憶部1Aは、学習者に関する情報が格納される学習者情報テーブルT101、1回の自習時間帯における複数の学習者の出欠に関する情報が格納される出欠テーブルT102、および個人票テーブルT103を記憶している。
【0043】
図2(a)に示すように、学習者情報テーブルT101は、例えば、学習者がログイン処理時に入力するIDとパスワードを、学習者の情報と対応付けて記憶している。また、学習者情報テーブルT101には、学習者の識別情報(ID)と学習者の顔認証データとが関連付けて記憶されていてもよい。この場合、ログイン部11は、撮像部11aにより撮像した顔画像を、学習者の顔認証データと照合してログイン処理を行う。
【0044】
学習者情報テーブルT101には、学習者の識別情報と、学習者が所属する自習クラスを関連付けて記憶していてもよい。学習者端末10には、自習中画面において、同じ自習クラスに属する学習者の学習者端末10の取得映像が表示される。この構成によれば、任意の学習者のグループで互いにビデオ通話を行いながら自習を行わせることができる。例えば習熟度別のクラスを設定することで、同等の習熟度の学習者がビデオ通話を行いながら自習を行うことができ、自習の意欲を継続的に向上させることができる。また、自習クラスは、自習の曜日ごと又は時間帯ごと等に設定されていてもよい。自習クラスは、自習を行う科目ごと等に設定されていてもよい。自習クラスは、例えば管理端末30から設定される。また、自習クラスは、学習者が学習者端末10から設定可能であってもよい。複数の学習者端末をクラスに分類し、クラスごとに互いに映像を閲覧させる構成によれば、多人数の学習者の自習の管理を細分化して行うことができる。また、学習者にとっても、把握可能な程度の少人数の映像を閲覧しながら自習することで、膨大な量の他の学習者端末の映像を閲覧するよりも、一緒に自習を行っている学習者の様子をより具体的に把握でき、学習意欲を向上させることができる。
【0045】
また、学習者情報テーブルT101には、学習者の自習スケジュールが記憶されている。自習スケジュールは、例えば、曜日および自習時間帯を含む情報であり、例えば「火曜、木曜および土曜の20時から21時30分まで」といったようにあらかじめ取り決めされている。なお、自習スケジュールには、自習を行う科目の情報を含まなくてもよい。本システムは、ある時間帯に自習を行うことを管理することが目的であり、自習の内容まで管理しなくてもよいためである。なお、自習スケジュールに、科目情報を含んでいてもよい。この場合、科目情報は学習者端末10に適宜表示されることで、学習の予定管理を支援することができる。
出退席処理部13は、自習スケジュールにおいて自習が予定されている自習時間帯に出席ボタンが押下されている場合に、学習者が自習に出席した旨の出欠記録を学習者情報記憶部1Aに記憶するものとしてもよい。自習時間帯以外に出席ボタンが押下されても、出欠記録および自習時間の記録を行わないものとしてもよい。また、自習時間帯以外に出席ボタンおよび退席ボタンが押下された場合には、自習時間帯の自習とは別に自習時間を計時し、学習者情報記憶部1Aに格納してもよい。
【0046】
さらに、学習者情報テーブルT101には、学習者の識別情報と、学習者の連絡先と、学習者とは異なる連絡者への連絡先が関連付けて記憶されている。連絡者は、例えば学習者の保護者である。連絡先の情報は、例えばメールやSNSのIDなど、保護者に連絡可能な適宜の情報であってよい。
通信処理部18は、学習者の自習スケジュールに記憶された自習の開始時刻の所定時間前に、学習者の連絡先に対して事前通知を送信する。また、通信処理部18は、学習者端末10から出席処理および退席処理を受け付けた場合に、学習者が自習を開始した旨、および自習を終了した旨を、保護者の連絡先、すなわち保護者端末40に通知する。この構成によれば、保護者にとって学習者の自習の進捗管理が簡便になる。すなわち、保護者は学習者がその時刻にきちんと自習をしていることがわかり、勉強の面および防犯上の観点で、保護者に安心感を与えることができる。当該通知により、保護者が外出している場合にも、学習者が自宅に戻っていることがわかるためである。
【0047】
図2(b)に示すように、出欠テーブルT102は、1回の時間帯における学習者の出欠記録が格納されている。同図は、例えば8月4日の20時から21時30分に設定された自習時間帯の出欠の様子を示している。出欠テーブルT102には、学習者のIDごとに、当該学習者の出欠の有無と、出席した学習者の出席時刻および退席時刻が格納されている。また、自習時間計算部15により計算された、学習者の自習時間が格納されている。
【0048】
出欠テーブルT102は、自習情報表示部16により適宜呼び出され、管理端末30において表示することができる。この構成によれば、各自習時間の学習者の全体的な出席傾向を把握することができる。
【0049】
図3に示すように、個人票テーブルT103は、学習者ごとに、各自習時間帯の出欠状況、および自習時間の実績値が格納されている。自習時間帯においては、開始予定時刻より遅れて入室したり、終了予定時刻より早く退席したりと、家庭等の事情に合わせて柔軟に参加してよい。一方で、自習した時間を出欠とは別に記録することで、自習している時間の長さを学習の進捗の尺度の1つとして管理端末30に表示させ、学習者への指導の一助にすることができる。
【0050】
また、個人票テーブルT103には、自習時間の積算値が格納されている。自習時間は例えば、週計および月計での積算値が格納される。また、その他、任意の期間における積算値を算出し、格納していてもよい。
【0051】
●画面構成
[学習者端末の画面]
図4(a)は、学習者端末10において、ログイン処理後に表示される出席処理画面G100の1例である。
図4(b)は、学習者端末10において、出席処理後に表示される画面の1例である。この画面は、自習中に主に表示されるメイン画面である。なお、本例においては各画面においてボタンが表示され、カーソルを置いてクリック、又はタッチパネルディスプレイのタップによりボタンの選択を行う態様で説明しているが、対応する物理キーを押下する等の操作を行うことで選択を入力してもよい。
【0052】
図4(a)に示すように、学習者端末10aにおいてログイン処理が行われると、表示部13aには出席処理画面G100が表示される。出席処理画面G100には、出席ボタンB101が表示されている。入力部14aを介してこの出席ボタンB101が押下されると、出退席処理部13による出席処理がなされる。なお、出席処理画面G100には、すでにログインしている他の学習者端末10の映像が表示される表示領域G101が表示されていてもよい。また、出席処理画面G100には、入室可能な仮想空間を選択する教室選択ボタンB101a、B101bが表示されていてもよい。入室可能な仮想空間は、例えば教室をイメージしており、学習者は教室を選ぶことで、同じ教室を選択した学習者とビデオ通話を行いながら自習を行う。
【0053】
出席ボタンB101が押下されると、
図4(b)に示す自習画面G110に遷移する。自習画面G110の表示領域G101には、ログインしている他の学習者端末10の映像が表示される。また、表示領域G101には、ログインしている指導者端末20が取得する映像が表示されている。
【0054】
自習画面G110には、退席ボタンB102が表示されている。学習者が入力部14aを介して退席ボタンB102を押下すると、出退席処理部13による退席処理がなされる。また、退席ボタンB102が押下されると、画面上にログアウト処理を指示するボタン等が表示され、当該ボタンを押下することで、本システムからのログアウト処理を行う。また、自習画面G110を閉じた場合に、ログアウト処理がなされる構成であってもよい。
【0055】
また、自習画面G110上には、複数の反応ボタンB103が表示されている。反応ボタンB103は、例えば第1乃至第3ボタンB103a、B103b、B103cを含み、例えば各ボタンに「聞こえてます」「わかった!」「わかりません」といった、学習者が示す反応に対応する表示がなされている。さらに、自習画面G110上には、表示制御部12により質問ボタンB104が表示されている。
【0056】
さらに、自習画面G110上には、自習の終了予定時刻を表示してもよいし、自習スケジュールに対応して設定された所定時刻に通知が表示されてもよい。通知は、例えば自習の終了予定時刻の所定時間前に行う終了予告通知であってもよいし、自習時間中に休憩を促す休憩通知であってもよい。
【0057】
[指導者端末の画面]
図5(a)は、指導者端末20に表示されている画面G200の1例である。指導者端末20の画面G200には、ログインしている複数の学習者端末10から取得される映像を表示する表示領域G201が設けられている。
【0058】
表示領域G201における各学習者の映像の表示位置は、指導者端末20の操作により指定可能であってもよい。表示位置は、例えば学年順、クラス順、生徒番号順といった適宜の情報に基づいて自動で並び替えられてもよいし、指導者が任意に指定してもよい。指導者端末20を介して指定された位置は、各学習者端末10上の表示にも反映される。また、当該表示位置は記憶され、学習者が別の時間帯に出席した際にも、当該学習者の学習者端末10から取得した映像は同様の位置に表示される。この機能によれば、あたかも教室における座席が指定されているかのような臨場感を学習者に与えることができる。
【0059】
また、画面G200には、他の学習者が出席している仮想空間に遷移する教室移動ボタンG203が表示されていてもよい。本例では、表示されている教室Aのボタンを強調表示で示すとともに、遷移可能な教室Bのボタンを別の態様で表示している。この構成によれば、学習者が複数の仮想空間、すなわち教室に分かれてビデオ通話を行っている場合に、1人の指導者が容易に当該複数の教室を行き来して自習の監督を行うことができる。
【0060】
画面G200では、表示されている学習者が一定時間ごとに切り替わる構成であってもよい。一度に表示される人数を選択可能であってもよいし、1人の学習者が表示される領域の大きさを指定すると、1画面に表示できる人数を計算する構成であってもよい。学習者の切替時における表示態様は任意であり、例えば上下左右のいずれかにスクロールしていくものである。このような構成によれば、指導者が指導者端末20を操作しなくても、多人数の学習者を監督することができる。ひいては、指導者は別の作業、例えば教室における講義などをしながら自習中の学習者を見守ることができ、効率が良い。当該構成を有する場合であっても、表示されている学習者を固定することもできるし、特定の学習者のみを常に表示させ、他の学習者の表示は切り替わるような構成であってもよい。
なお、表示されている学習者が一定時間ごとに切り替わる構成は、学習者端末10の画面上でも実現されていてもよい。
【0061】
図5(a)に示すように、学習者端末10において反応ボタンB103のいずれかが押下された場合に、指導者端末20において学習者端末10で撮影されている映像の表示領域G201に、当該入力に対応する表示がなされる。当該入力に対応する表示は、例えば、吹き出し状の反応アイコンG202である。反応アイコンG202の中には、反応ボタンの種類に応じた文章等が表示されている。同図においては、指導者がビデオ通話において「聞こえていますか」と問いかけた場合に、学習者が「聞こえています」という反応ボタンB103aを押下した様子を示している。なお、反応ボタンB103の押下に対応する表示は、他の学習者端末10上にも表示されてもよい。この構成によれば、指導者は、複数の学習者の反応を視覚的にまとめて把握することができ、一斉の発話を聞き取るよりも効率が良い。
【0062】
また、学習者端末10により取得された映像において、学習者の動作を取得し、学習者の動作が所定時間以上に渡って小さく、検知されない場合に、当該表示領域G201上に通知が表示されてもよい。動作が小さい場合には、学習者が居眠りをしている可能性があるためである。この構成によれば、指導者は学習者の居眠りを適切に注意することができる。
【0063】
図5(b)は、自習画面G110上で質問ボタンB104が押下された場合に、指導者端末20に表示される画面G200の1例である。表示制御部12は、画面G200上に、質問ボタンB104が押下された学習者端末10と対応付けて、質問がある学習者を特定可能な表示をさせる。また、表示制御部12は、当該学習者端末10と対応付けて質問を受け付ける指示を受け付けるボタンを表示させる。同図においては、表示領域G201のうち、質問ボタンB104が押下された学習者端末10から取得される映像の表示領域G201a上に、質問アイコンG204が点灯している。また、同表示領域G201a上に、確認ボタンG205が表示されている。この構成によれば、複数の学習者端末10から同時に質問ボタンB104が押下された場合であっても、指導者は、いずれの学習者端末10からの質問に応答するかを選択できる。
【0064】
指導者端末20から確認ボタンG205が押下されると、対応する学習者端末10とのプライベート通話が開始される。このとき、当該学習者端末10から取得された映像は、表示領域G201において強調表示されてもよい。また、当該映像は、画面G200上に重畳して大きくポップアップ表示されてもよい。
【0065】
●処理の流れ
[出席処理に関する処理フロー]
図6(a)は、学習者端末10から出席処理がなされた場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
まず、オンライン自習装置1は、自習の開始時間から所定時間前になると、学習者端末10にリマインダ通知を送信する(S101)。学習者端末10がログイン処理を行うと(S102)、オンライン自習装置1はこれを受信し、学習者情報テーブルT101を参照して認証する(S103)。また、オンライン自習装置1は、表示制御部12を介して、学習者端末10に出席処理画面G100(
図6(a)参照)を表示させる。
【0066】
学習者端末10において出席ボタンが押下されると(S104)、オンライン自習装置1は、その旨を記録する(S105)。次いで、保護者端末40に出席通知を送信する(S106)。
【0067】
[退席処理に関する処理フロー]
図6(b)は、学習者端末10から退席処理がなされた場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
まず、学習者端末10において退席ボタンB102(
図4(b)参照)が押下されると(S201)、オンライン自習装置1は、その旨を記録する(S202)。このとき、自習時間を計算して出欠テーブルT102および個人票テーブルT103に記録してもよい。次いで、オンライン自習装置1は、保護者端末40に退席通知を送信する(S203)。その後、学習者端末10においてログアウト処理が行われる(S204)。
なお、学習者端末10において、退席ボタンB102の押下よりも前にログアウト処理がなされた場合であっても、退席の記録がなされることはない。この構成によれば、自習画面から遷移して別の画面を表示させて自習をした場合であっても、自習時間が通算されて計時される。
【0068】
[プライベート通話に関する処理フロー]
図7は、自習時間中に学習者端末10からの要求に応じて、学習者端末10と指導者端末20との間で1対1のビデオ通話、すなわちプライベート通話が行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
まず、複数の学習者端末10と指導者端末20との間で、ビデオ通話にかかる音声および映像が送受信される(S301a、S301b)。学習者端末10から質問ボタンB104(
図4(b)参照)が押下されると(S302)、オンライン自習装置1は、指導者端末20に押下された旨を通知し、押下された学習者端末10が判別可能な態様で指導者端末20に表示を行う(S303)。
図5(b)の例においては、当該学習者端末10の映像の表示領域G201aに、質問アイコンG204を表示する。また、この学習者からの質問に応答するための確認ボタンG205を表示する。
【0069】
指導者端末20において確認ボタンG205が押下されると(S304)、オンライン自習装置1から学習者端末10および指導者端末20に対しプライベート通話の開始命令が送信される(S305)。具体的には、当該学習者端末10に対しては、表示制御部12により、指導者端末20から取得される映像を学習者端末10からの映像とは異なる態様で強調して表示する。また、他の学習者端末10からの音声を再生しないようにする。指導者端末20に対しては、当該学習者端末10から取得される映像を他の学習者端末10とは異なる態様で強調して表示する。また、他の学習者端末10からの音声を再生しないようにする。他の学習者端末10に対しては、プライベート通話を行う学習者端末10および指導者端末20の音声を再生しないようにする。また、他の学習者端末10に対して、プライベート通話を行っている端末が判別可能に表示してもよい。プライベート通話中には、他の学習者は指導者に声掛けできないためである。
【0070】
以上の本発明の実施形態に係るオンライン自習システムによれば、家庭学習等の自習における学習者の意欲を引き出し、継続させることができる。
【0071】
なお、以上の本実施形態に係るオンライン自習システムにおいて、各端末又は装置の機能構成は一例であり、本例で示した機能部が、本例とは異なる端末又は装置に備えさせることもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 オンライン自習装置
11 ログイン部
12 表示制御部
13 出退席処理部
14 ビデオ通話部
15 自習時間計算部
16 自習情報表示部
17 通信処理部
1A 学習者情報記憶部
1B 映像記憶部
10 学習者端末
20 指導者端末
30 管理端末
40 保護者端末(連絡者端末)
NW ネットワーク