(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050326
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】充填設備のための洗浄ノズル、および洗浄ノズルを組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
B05B 1/20 20060101AFI20220323BHJP
B67C 3/00 20060101ALI20220323BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B05B1/20 101
B67C3/00 A
B05B1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021142249
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】10 2020 123 566.6
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マックス ブリクマン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための洗浄ノズル、および洗浄ノズルを組立てる方法を提供する。
【解決手段】洗浄液を導く洗浄ノズル(1)の接続端部(3)において洗浄液リザーバに接続するための内側スリーブと、中間空間の形成下で内側スリーブの外側に配置される外側スリーブとを備える充填物を容器に充填するための充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための洗浄ノズル(1)に関し、内側スリーブは、洗浄液が内部空間から中間空間内に通過するための少なくとも1つの内側スリーブ開口部を有し、外側スリーブは、充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための出口開口部(8)を有し、外側スリーブの出口開口部の位置を内側スリーブ開口部の位置とは無関係に調整可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を導くための内側スリーブ(2)であって、洗浄液リザーバに接続するための接続端部(3)を有する、内側スリーブと、
中間空間(4)の形成下で前記内側スリーブ(2)の外側に配置される外側スリーブ(5)と、を備える充填物を容器に充填するための充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための洗浄ノズル(1)であって、
前記内側スリーブ(2)は、前記洗浄液が内部空間(7)から前記中間空間(4)内に通過するための少なくとも1つの内側スリーブ開口部(6)を有し、前記外側スリーブ(5)は、前記充填設備の前記被洗浄面に洗浄液を付与するための出口開口部(8)を有し、
前記外側スリーブ(5)の前記出口開口部(8)の位置を前記内側スリーブ開口部(6)の位置とは無関係に調整可能である、洗浄ノズル。
【請求項2】
前記外側スリーブ(5)は、前記出口開口部(8)の一部としての第1出口領域(11)を有する少なくとも1つの第1アタッチメント(9)と、前記出口開口部(8)の一部としての第2出口領域(12)を有する第2アタッチメント(10)と、を備え、
前記第1アタッチメント(9)の位置を、殊に前記第2アタッチメント(10)の位置とは無関係に調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄ノズル(1)。
【請求項3】
前記外側スリーブ(5)は、前記出口開口部(8)の一部としての第3出口領域(14)を有する第3アタッチメント(13)を備え、
前記第3アタッチメント(14)の位置を、殊に前記第1アタッチメントおよび/または前記第2アタッチメント(9、10)の位置とは無関係に調整可能であり、
前記第3アタッチメント(13)は、さらに好ましくは排液アタッチメントであり、それにより、前記第3出口領域(14)が、前記洗浄ノズル(1)からの前記洗浄液の完全な流出を可能にするために前記少なくとも1つの内側スリーブ開口部(6)と同じ向きを有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の洗浄ノズル(1)。
【請求項4】
前記内側スリーブ(2)の前記接続端部(3)から離反した端部において、調整要素(15)を前記内側スリーブ(2)と結合可能であり、
動作状態で前記外側スリーブ(5)がとる固定位置を、組立状態で前記調整要素により前記内側スリーブ(2)の前記位置とは無関係に調整可能であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗浄ノズル(1)。
【請求項5】
前記内側スリーブ開口部(6)に相対して前記出口開口部(8)を位置合わせするために、前記内側スリーブ(2)に相対する前記外側スリーブ(5)の位置を前記洗浄ノズル(1)の周方向にのみ調整可能であり、
前記調整要素(15)は、殊に、前記動作状態で前記外側スリーブ(5)に対する前記内側スリーブ(2)の締め付けを引き起こす締め付けナットとして形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の洗浄ノズル(1)。
【請求項6】
前記内側スリーブ開口部(6)は、少なくとも1つのスリット状開口部および/もしくは少なくとも1つの円形開口部を有し、ならびに/または
前記出口開口部(8)は、少なくとも1つのスリット状開口部および/もしくは少なくとも1つの円形開口部を有することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の洗浄ノズル(1)。
【請求項7】
前記第1出口領域(11)は、前記第1アタッチメント(9)の長手方向および/もしくは周方向に延在し、ならびに/または
前記第2出口領域(12)は、前記第2アタッチメント(10)の長手方向および/もしくは周方向に延在し、
前記第1出口領域と前記第2出口領域(11、12)は、殊に互いに幾何学的に区別されることを特徴とする、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の洗浄ノズル(1)。
【請求項8】
殊に先行する請求項のいずれか1項に記載の、充填物を容器に充填するための充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための洗浄ノズルを組み立てる方法であって、
内側スリーブ(2)を前記充填設備の洗浄ノズル結合アタッチメントと結合するステップと、
前記内側スリーブ(2)に外側スリーブ(5)を装着するステップであって、それにより前記外側スリーブが軸方向に固定位置をとる、ステップと、
前記外側スリーブ(5)の位置を前記内側スリーブ(2)に相対して周方向に位置合わせするステップと、を包含する、方法。
【請求項9】
調整要素(15)を前記内側ノズル(2)と結合するステップであって、それにより前記内側スリーブ(2)に相対する前記外側スリーブ(5)の位置が固定される前記外側スリーブ(5)の締め付け状態を引き起こすステップを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記内側スリーブ(2)に前記外側スリーブ(5)を装着するステップは、
前記内側スリーブ(2)に前記外側スリーブ(5)の第1アタッチメント(9)を装着するステップであって、それにより前記第1アタッチメント(9)が軸方向に固定位置をとるステップ、および
前記内側スリーブ(2)に前記外側スリーブ(5)の第2アタッチメント(10)を装着するステップであって、それにより前記第2アタッチメント(10)が軸方向に固定位置をとるステップ、および/または
前記内側スリーブ(2)に前記外側スリーブ(5)の第3アタッチメント(13)を装着するステップであって、それにより前記第3アタッチメントが軸方向に固定位置をとるステップ、を包含し、
前記外側スリーブ(5)の位置を前記内側スリーブ(2)に相対して周方向に位置合わせするステップは、前記第1アタッチメント(9)および/または前記第2アタッチメント(10)および/または前記第3アタッチメントを位置合わせするステップを包含することを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填物を容器に充填するために用いられる充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための洗浄ノズル、およびこの種の洗浄ノズルを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充填設備では極めて多種の充填物、例えば飲料または他の食品を容器に充填することが知られている。この場合、同一の充填設備で様々な量の様々な充填物が様々なロットで充填される。ロットの充填中に容器から充填物がこぼれたりあふれたりする可能性があり、あるいは容器に欠陥がある場合には容器の中身の一部または全部が流れ出て充填設備の表面に到達する可能性がある。ロットの充填中、これは必ずしも重大なことではない。なぜなら流れ出た充填物は、いずれにせよその時に充填されている充填物であり、様々な充填物が混ざり合うことにはならないからである。例えばビールのロット充填(Abfuellcharge)中にあふれ出たビールが充填設備の面に到達することは必ずしも重大なことではない。
【0003】
しかし充填される充填物の交換時、および/または一定間隔で、および/または保守停止後に充填設備を洗浄することが知られている。その場合、生産物を導く導管の他に、特に充填設備の表面も洗浄される。
【0004】
充填設備の表面を洗浄するために、被洗浄表面に洗浄媒体を付与する洗浄ノズルが使用される。洗浄ノズルは、相応の洗浄媒体導管を介して充填設備の洗浄液リザーバに接続されている。このようにして充填設備への洗浄液の供給が確保される。これまでに知られている洗浄ノズル、および充填設備における洗浄ノズルの噴射位置は多大な手間をかけてのみ調整可能であるか、または発生するすべての使用事例を取り扱うことができるようにするために複数の異なった洗浄ノズルが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の従来技術を出発点として、本発明の課題は、充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための改善された洗浄ノズル、および洗浄ノズルを組み立てる改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1の特徴を有する洗浄ノズルにより解決される。有利な発展形態は、従属請求項、以下の説明、および図から明らかになる。
【0007】
さらに、上記課題は、請求項8の特徴を有する方法により解決される。その有利な発展形態は、従属請求項、以下の説明、および図から明らかになる。
【0008】
それに応じて、充填物を容器に充填するための充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための洗浄ノズルが提案される。
【0009】
洗浄ノズルは、洗浄液を導くための、および洗浄ノズルの接続端部において洗浄液リザーバに接続するための内側スリーブを有する。内側スリーブを実質的に円筒状に形成することができ、この実質的に円筒状に形成することは、軸方向の変位を止めるための肩部を形成することを包含することもできる。肩部の直径は、その長さと比べて小さくすることができる。同様に内側スリーブは、その直径と比べて小さい肉厚を有することができる。洗浄液リザーバへの内側スリーブの接続は、洗浄液導管の介装下で行うことができる。内側スリーブは、ねじ結合、差し込み結合、またはプレス結合(Pressverbindung)により充填設備または洗浄液導管と結合することができる。洗浄ノズルの接続端部は、充填設備または洗浄液導管と結合するように企図された領域であり得る。
【0010】
洗浄ノズルは、中間空間の形成下で少なくとも部分的に内側ノズルの外側に配置されている外側スリーブを有する。中間空間は、内側が内側スリーブによって、かつ外側が外側スリーブによって画定される容積であり得る。外側スリーブは、内側スリーブに被嵌(aufgeschoben)、嵌合(aufgeschteckt)、および/または螺合(aufgeschraubt)され得る。内側スリーブ、または内側スリーブと接続される部材は、外側スリーブのための軸方向ストッパをなす肩部を形成することができる。
【0011】
内側スリーブは、洗浄液が内部空間から中間空間内に通過するための少なくとも1つの内側スリーブ開口部を有する。内部空間の容積を中間空間の容積よりも大きくすることができる。少なくとも1つの内側スリーブ開口部を内側スリーブの外套面に配置することができる。内側スリーブ開口部の位置を、中間空間への洗浄液の通過を容易にするように選択することができる。内側スリーブは、複数の内側スリーブ開口部を有することができる。例えば、複数の円形の孔を内側スリーブの長手軸に沿って配置することができる。円形の孔は同じ直径を有することができ、またはこれに代えて互いに異なる直径、例えば互いに交互の直径を有することができる。内側スリーブが複数の内側スリーブ開口部を有する場合、これらの内側スリーブ開口部が互いに同じ向き(Ausrichtung)を有することができ、それにより1つ1つの内側スリーブ開口部が同じ方向を指す。開口部または部材の向きとは、本開示では空間内の、特に洗浄ノズルの長手軸の周方向の方位(Orientierung)と解されるべきである。内側スリーブ開口部が互いに同じ向きを有する場合、このことは洗浄ノズルの周方向の一定の位置で、洗浄液が内側スリーブの内部空間から中間空間内に通過することを可能にする。したがって、洗浄ノズルの周方向のどの箇所で洗浄液が中間空間内に通過するのかを一義的に決定可能であり得る。
【0012】
外側スリーブは、充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための少なくとも1つの出口開口部を有する。少なくとも1つの出口開口部は、外側スリーブの外套面に配置され得る。出口開口部の位置も、中間空間から充填設備の被洗浄面への洗浄液の流出を容易にするように選択することができる。出口開口部が、組み立てられた状態で中間空間からの洗浄液の流出を可能にする唯一の開口部であってもよい。
【0013】
本発明によれば、外側スリーブの出口開口部の位置を内側スリーブ開口部の位置とは無関係に調整可能である。したがって、内側スリーブ開口部の位置がすでに固定されている場合に出口開口部の位置を調整することができる。それぞれの開口部の位置は、それがそれぞれのスリーブに設けられている幾何学的場所を表すことができる。この位置は、それぞれの開口部の向きを予め定める。したがって、洗浄液の噴出または流出に、その方向に関して影響を及ぼすために、内側スリーブ開口部の位置が固定の場合に出口開口部の位置を変えることが可能にされる。したがって、内側スリーブの位置が一定の場合に、洗浄ノズルから出る洗浄液噴流の向きを充填設備に相対して変えることができる。
【0014】
このようにして、充填設備の面を的確に洗浄することが可能である。内側スリーブ開口部の位置に相対する出口開口部の位置の調整により、時間効率よく、かつ少ない保守で充填設備における様々なロット間の洗浄要求に対応することができる。したがって、調整を容易にして、微生物学的により安全であるとともに所要スペースの小さい改善された洗浄が実現される。
【0015】
一実施形態では、外側スリーブは、出口開口部の一部としての第1出口領域を有する少なくとも1つの第1アタッチメントと、出口開口部の一部としての第2出口領域を有する第2アタッチメントと、を備え、第1アタッチメントの位置を、殊に第2アタッチメントの位置とは無関係に調整可能である。したがって、外側スリーブを複数のアタッチメントから構成することができ、それに伴い洗浄ノズル、したがって洗浄液噴流の高い調整性を実現することができる。個々のアタッチメントは物質的に互いに別々に形成され得る。この場合、出口開口部は第1出口領域と第2出口領域とを有する。したがって、内側スリーブの内部空間から中間空間に到達した洗浄液は2つの出口領域で外側スリーブから出ることができる。したがって洗浄液噴流を2つの噴流領域、つまり第1出口領域から出る第1噴流領域と第2出口領域から出る第2噴流領域に分けることができる。第1アタッチメントは、第1噴流領域が充填設備のそのために企図された第1洗浄面に当たるように調整され得るのに対して、第2アタッチメントは、第2噴流領域が相応にそのために企図された充填設備の第2洗浄面に当たるように調整され得る。第1アタッチメントの位置を第2アタッチメントの位置とは無関係に調整することが可能であり得る。したがって、第1噴流領域も第2噴流領域と無関係に調整することができ、そのことが調整性を高める。第1アタッチメントと第2アタッチメントは、その形態に関して第1出口領域と第2出口領域を除いて形状と長さが同じであり、そのことが洗浄ノズルのモジュール性を高める。なぜならそれにより内側スリーブに、例えば異なったアタッチメントの選択肢の中から少なくとも2つのアタッチメントを装着することができるからであり、それによりそれぞれ変化する周囲条件に対応することができる。
【0016】
別の実施形態では、外側スリーブは、出口開口部の一部としての第3出口領域を有する第3アタッチメントを備え、第3アタッチメントの位置を、殊に第1アタッチメントおよび/または第2アタッチメントの位置とは無関係に調整可能である。それにより外側スリーブを3つのアタッチメントから構成することができ、それに伴い洗浄ノズルの、したがって洗浄液噴流の調整性を高めることができる。この場合、出口開口部は、第1出口領域と第2出口領域と第3出口領域とを有する。それにより2つのアタッチメントを有する実施形態との関連で上述したことと同様に、洗浄液噴流を3つの噴流領域に分けることができる。これに代えて、第3アタッチメントは、まず第一に、第1出口領域および第2出口領域から洗浄液が出るようにし、それにより洗浄液噴流がさらに第1噴流領域と第2噴流領域にしか分かれないようにすることもできる。このことは、例えば第1出口領域および第2出口領域より小さく形成され得る第3出口領域の寸法設定によって行うことができる。第3アタッチメントの位置を第1アタッチメントの位置および/または第2アタッチメントの位置とは無関係に調整することが可能であり得る。
【0017】
第3アタッチメントが排液アタッチメントであり得、それにより第3出口領域は、洗浄ノズルからの洗浄液の完全な流出を可能にするために少なくとも1つの内側スリーブ開口部と同じ向きを有する。内側スリーブ開口部と第3出口領域の同じ向きは、内側スリーブに第3アタッチメントをセンタリングすることにより確保することができる。それにより、洗浄過程の終了後に中間空間または内部空間に洗浄液が残る危険を解消することができる。完全な流出とは、洗浄液に流体圧力が加えられなくなった場合でも洗浄ノズル内に洗浄液が残らないように洗浄ノズルを空にするという意味である。第3アタッチメントは、洗浄ノズルからの洗浄液の重力にもとづく流れ落ちを確保する空間内の方位で洗浄ノズルに配置され得る。第3出口領域の向きが内側スリーブ開口部の向きと同じであることによって、洗浄液が内部空間からも中間空間からも流出することが保証されている。第3出口領域は、その横断面が第1出口領域および第2出口領域よりも小さくされ得る丸い孔であり得る。第1、第2、および第3アタッチメントをそれぞれ互いにシールすることができる。したがって、それぞれのアタッチメント間にそれぞれ1つのOリングを配置することができる。さらに、それぞれのアタッチメントは、内側スリーブへの装着を容易にするセンタリング(Zentrierung)を有することができる。
【0018】
別の実施形態では、洗浄ノズルは、2つのアタッチメントのみを備えることができ、この形態では、第1アタッチメントが洗浄液のための出口領域を提供し、相応にそれぞれの設備表面に対して洗浄作用を提供し、第2アタッチメントが排液アタッチメントとして提供され、このアタッチメントを用いて洗浄過程の終了後に中間空間を空にすることを実現できる。
【0019】
別の実施形態では、内側スリーブの接続端部から離反した端部において調整要素を内側スリーブと結合可能であり、動作状態で外側スリーブがとる固定位置を、組立状態で調整要素により内側スリーブの位置とは無関係に調整可能である。固定位置をとるとは、この開示の関連では、例えば工具を付加するなど、外部からの力の作用なしには位置を変化させることができないことと解される。調整要素は、例えば内側スリーブに螺合可能、または嵌合可能である。したがって、個々の出口領域の位置だけでなく、外側スリーブの位置全体を内側スリーブとは無関係に調整することができる。調整要素は内側スリーブと外側スリーブとの間の締め付け、または締め付け状態を引き起こし、そのことがこれらのスリーブが固定位置をとることを保証する。
【0020】
別の実施形態では、内側スリーブ開口部に相対して出口開口部を位置合わせするために、内側スリーブに相対する外側スリーブの位置を洗浄ノズルの周方向にのみ調整可能である。したがって、外側スリーブまたは外側スリーブの個々のアタッチメントの軸方向位置が、例えば内側スリーブの肩部により幾何学的に規定され得るのに対して、洗浄ノズルの周方向の位置は調整可能である。したがって、洗浄液噴流が洗浄ノズルから出る角度を調整できるのに対して、洗浄噴流の軸方向位置は不変である。さらに、調整要素を、動作状態で外側スリーブに対する内側スリーブの締め付けを引き起こす締め付けナットとして形成することができる。2つのスリーブ間の締め付けは、締め付けを解除することなしにはこれらのスリーブの位置を変化させることができないことをもたらすことができる。したがって、締め付けナットは、外側スリーブの個々のアタッチメントが内側スリーブに対して位置決めされるように内側スリーブに装着、殊にねじ締めされ得る。このようにして、それぞれ支配的な周囲条件に適合させた洗浄ノズルまたは洗浄液噴流の挙動が可能にされる。外側スリーブまたは外側スリーブの個々のアタッチメントの位置を軸方向に幾何学的に規定できるのに対して、これらは周方向に可変である。
【0021】
別の実施形態では、内側スリーブ開口部は、少なくとも1つのスリット状開口部および/または少なくとも1つの円形開口部を有する。内側スリーブ開口部が1つより多い開口部を有する限り、これらの開口部は同じ向きを有することが有利である。これに代えて、またはこれに加えて、出口開口部は、少なくとも1つのスリット状開口部および/または少なくとも1つの円形開口部を有することができる。出口開口部が様々な出口領域から構成される限り、これらをそれぞれ円形またはスリット状にすることができる。
【0022】
別の実施形態では、第1アタッチメントの第1出口領域は、第1アタッチメントの長手方向および/または周方向に延在する。これに代えて、またはこれに加えて、第2アタッチメントの第2出口領域は、第2アタッチメントの長手方向および/または周方向に延在することができる。長手方向の延在にわたって細長い第1噴流領域または第2噴流領域が実現される。周方向の延在にわたって、一切れのケーキの形の(kuchenstueckfoermig)第1噴流領域または第2噴流領域が実現される。周方向の延在は5°~90°、例えば45°に形成することができる。第1出口領域と第2出口領域とは互いに幾何学的に区別され、それにより第1噴流領域が第2噴流領域とは別の幾何学的形状を有する。
【0023】
本発明は、さらに、充填物を容器に充填するための充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するように企図されている洗浄ノズルを組み立てる方法に関する。方法は以下のステップを包含する。
【0024】
ステップ1:内側スリーブを充填設備の洗浄ノズル結合アタッチメントと結合する。洗浄ノズル結合アタッチメントは、洗浄液リザーバと洗浄ノズルとの間に作用接続を作成する規格化された部品、または個別に製作された部品であり得る。結合は、例えば螺合、装着、挟着(Aufklemmen)など形状結合的、力結合的、および/または材料結合的なものであり得る。内側スリーブは、洗浄ノズル結合アタッチメントと相補的なジオメトリを有することができる。
【0025】
ステップ2:内側スリーブに外側スリーブを装着し、それにより外側スリーブが軸方向に固定位置をとる。位置を軸方向に相応にとることを保証するために、内側スリーブは、外側スリーブが打ち当たる肩部を有することができる。装着は、嵌合または挟着であり得る。
【0026】
ステップ3:外側スリーブの位置を内側スリーブに相対して周方向に位置合わせする。したがって、出口開口部が充填設備の被洗浄面に向いた向きになるまで、外側スリーブを内側スリーブに相対して回動させることができる。このことは、組立の手間を増やすことなしに、充填設備の被洗浄面への洗浄ノズルまたは洗浄ノズルから出る洗浄液噴流の正確な位置合わせを可能にする。ステップ1~3は時系列的に連続することができる。
【0027】
方法の一実施形態では、方法は、調整要素を内側ノズルと結合するステップであって、それにより内側スリーブに相対する外側スリーブの位置が固定される外側スリーブの締め付け状態を引き起こすステップを包含する。調整要素の結合は、例えば螺合、装着、挟着などの形状結合的、力結合的、および/または材料結合的なものであり得る。調整要素は、締め付けナットであり得る。締め付け状態で洗浄ノズルの位置および出口開口部の向きが固定であり、例えば組立状態で、その締め付け状態が解除されて初めて変更することができる。
【0028】
方法の一実施形態では、内側スリーブに外側スリーブを装着することは、内側スリーブに外側スリーブの第1アタッチメントを装着するステップであって、それにより第1アタッチメントが軸方向に固定位置をとるステップと、内側スリーブに外側スリーブの第2アタッチメントを装着するステップであって、それにより第2アタッチメントが軸方向に固定位置をとるステップとを包含する。したがって、外側スリーブの複数部品型の形態とそれに対応する組立が可能にされる。これに代えて、またはこれに加えて、方法は、内側スリーブに外側スリーブの第3アタッチメントを装着することを包含することもでき、それにより第3アタッチメントが軸方向に固定位置をとる。このことは、組立プロセスの複雑性を増すことなしに、洗浄ノズルのモジュール性をさらに高める。本発明による方法に従って外側スリーブの位置を内側スリーブに相対して周方向に位置合わせすることは、第1アタッチメントおよび/または第2アタッチメントおよび/または第3アタッチメントを位置合わせすることを包含することができる。したがって、組立時に個々のアタッチメントが動作状態で被洗浄面の最適な洗浄を実現するように、これらのアタッチメントが位置合わせされている。
【0029】
本発明による方法を本発明による洗浄ノズルの組立に向けることができる。このことを背景として、洗浄ノズルとの関連で開示された個々の特徴、および効果と利点を、これらが技術的に有意義である限りで方法にも適用可能であり、その逆も可能である。
【0030】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、以下の図の説明により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】一実施形態による洗浄ノズルの縦断面図である。
【
図2】一実施形態による洗浄ノズルの外観斜視図である。
【
図3】本開示による洗浄ノズルを使用可能な充填設備の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図をもとにして好ましい実施例を説明する。その場合、異なる図における同一、類似、または同じ機能の要素には同じ参照符号が付され、これらの要素については冗長を避けるため繰り返しの説明を部分的に省略する。
【0033】
図1において、充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するための洗浄ノズル1が模式的に示されている。洗浄ノズル1は、洗浄液リザーバ(図示せず)からの洗浄液が導かれる内側スリーブ2を有する。接続端部3において内側スリーブ2を直接または間接的に洗浄液リザーバと接続可能である。その場合、接続端部3は、通常、洗浄液導管を介して洗浄液リザーバと接続される。
【0034】
外側スリーブ5は中間空間4の形成下で内側スリーブ2に装着されている。図示される実施形態では、外側スリーブ5は、第1アタッチメント9と第2アタッチメント10と第3アタッチメント13とを有する。外側スリーブ5は、内側スリーブ2に形成された肩部16に当接する。このようにして外側スリーブ5が軸方向に位置決めされている。
【0035】
接続端部3において、肩部16の代わりにここには図示されないユニオンナットが外側スリーブ5のための当接部を形成することもできる。
【0036】
肩部16と外側スリーブ5との間に、この例ではシールするためのOリング17が配置されている。内側スリーブ2は、この例では5つの内側スリーブ開口部6を有し、これらの開口部は互いに同じ向きである。内側スリーブ2の内部空間7からの洗浄液は、それぞれの内側スリーブ開口部6から中間空間4内に通過することができる。充填設備の被洗浄面に洗浄液を付与するために、中間空間4からの洗浄液は、
図2との関連で詳しく説明される出口開口部8を通って流出する。外側スリーブ5は、内側スリーブ2の位置とは無関係に位置、特に向きを周方向に調整可能である。
【0037】
図1に示される実施例では、出口開口部8は内側スリーブ開口部6の切断面上に位置しない。上述のように、および
図2を参照しながら以下に詳しく説明するように、外側スリーブ5は、第1アタッチメント9と第2アタッチメント10と第3アタッチメント13とを有する。
【0038】
第3アタッチメント13は第3出口領域14を有する。第3出口領域は、内側スリーブ開口部6と同じ向きである。したがって、第3出口領域は、
図1からその断面が見て取れる。第3アタッチメント13は、この例では排液アタッチメントとして形成されている。それにより、内側スリーブ2またはその内部空間7に入った洗浄液は、流体圧力がほとんど存在しない、またはそれどころか存在しない場合でも第3出口領域14を通って流出し、したがって洗浄ノズル1内に残らないことが保証される。換言すると、洗浄過程の終わりに、すべての洗浄液が洗浄ノズル1から流出でき、それに対応して充填設備の次の生産動作において被充填、または充填済容器に洗浄液が滴り落ち得ないことを実現できる。
【0039】
洗浄ノズル1の接続端部3から離反した端部において、調整要素15が内側スリーブ2に嵌合される。外側スリーブ5または外側スリーブ5を形成するアタッチメント9、10、13がその位置で固定されるように、調整要素15がこれらを締め付ける。調整要素15が外側スリーブ5を締め付ける前に個々のアタッチメント9、10、13の位置合わせが可能である。しかし第3アタッチメント13は、第3出口領域14が内側スリーブ開口部6と同じ向きを有することを確保するセンタリングを有することができる。調整要素15と外側スリーブ5との間にOリング17が配置可能である。相応にシールすることを実現するために、Oリング17を個々のアタッチメント9、10、13間に配置することもできる。
【0040】
他の、ここに明示的に示されない実施形態では、相応の出口開口部を有する第1アタッチメントを介して設備領域に洗浄液を的確に当てるため、しかし同時に第3アタッチメントを介して洗浄過程の終了後に中間空間を空にする排液作用を実現するために、第1アタッチメントと第3アタッチメントのみを提供することもできる。
【0041】
図2において、洗浄ノズル1の斜視図が示されている。ここでは第1アタッチメント9および第2アタッチメント10の個々の出口領域11、12が見て取れる。第1アタッチメント9の第1出口領域11は、ここでは第1アタッチメント9の長さの50~80パーセントの部分に、例えばスリット状に形成されている。調整要素15が、この例では第1アタッチメント9と第2アタッチメント10と第3アタッチメント13とから構成される外側スリーブ5を
図2に肩部16が見て取れる内側スリーブ2に対して締め付け(られ)る前に、外側スリーブ5の調整が可能である。したがって、第1アタッチメント9を第1矢印18に沿って周方向に回動させることができる。これに加えて、およびこれとは無関係に、第2アタッチメント10を第2矢印19に沿って周方向に回動させることができる。このことは、それぞれの動作条件に適合させた洗浄ノズル1の調整を可能にする。第2出口領域12は、この例では同じ向きに沿って延在する4つの丸い開口部を有する。4つの開口部という数は例示である。2、6、8、または10個配置することもできる。この例では、第3アタッチメント13の第3出口領域14は斜視図から把握されない。このことから、第3出口領域14と、したがって内側スリーブ開口部6も第1出口領域11および第2出口領域12とは別の向きを有すると推論される。個々のアタッチメント9、10、13は、軸方向に互いにずらして配置され、重なり合わない。これらのアタッチメントは、それぞれOリングによって互いにシールされている。
【0042】
図3において、充填設備の部分図が示されている。被充填容器を搬送するように整えられた複数のクリップ21とともに処理回転体(Behandlungskarussell)20がかなり模式的に示されている。
【0043】
設備は生産段階後、保守点検後、または一定の間隔で洗浄段階に入る。この洗浄段階では本発明による洗浄ノズル1が用いられる。この例では2つの洗浄ノズル1がそれぞれ実質的に水平位置に配置され、1つの、すなわち同一の洗浄液導管22に接続されている。洗浄ノズル1の組立時に、洗浄ノズル1から出る洗浄液噴流を充填設備のコンポーネントに付与できるように洗浄ノズルを調整することができ、それにより洗浄液を被洗浄面に確実に付与することができる。
【0044】
適用できる限りで、実施例に示されるすべての個々の特徴を本発明の範囲を逸脱することなく互いに組み合わせる、および/または置換することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 洗浄ノズル
2 内側スリーブ
3 接続端部
4 中間空間
5 外側スリーブ
6 内側スリーブ開口部
7 内部空間
8 出口開口部
9 第1アタッチメント
10 第2アタッチメント
11 第1出口領域
12 第2出口領域
13 第3アタッチメント
14 第3出口領域
15 調整要素
16 肩部
17 Oリング
18 第1矢印
19 第2矢印
20 回転体
21 支持アーム
22 洗浄液導管
【外国語明細書】