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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050365
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】展示装置及び展示方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20220323BHJP
【FI】
G02B30/56
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151622
(22)【出願日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2020156533
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】502291610
【氏名又は名称】神田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230116447
【弁護士】
【氏名又は名称】野中 啓孝
(72)【発明者】
【氏名】堀田 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】中野 俊
(72)【発明者】
【氏名】小針 智尋
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BA63
2H199BB01
2H199BB18
2H199BB52
2H199BB65
2H199BB67
2H199BB68
(57)【要約】      (修正有)
【課題】立体展示物を空中映像を用いて効果的に展示することができる展示装置及び展示方法を提供する。
【解決手段】展示装置100は、映像表示部1と、映像を空中に結像させる結像光学パネル2と、空中に形成された結像面5と、展示台3によって構成される。展示台3の上に展示物7が置かれる。展示台3は、結像光学パネル2と結像面5との間であって、映像表示部1から発せされた光の進路6を遮る位置に配置されている。展示装置100は、映像表示部1と結像光学パネル2とを収容する筐体20を備えており、筐体20の外殻の一部分が、結像光学パネル2によって構成されている。展示物7は、その後方より来る光の進路6を遮ることになるため、視聴者8は、目の錯覚を起こして、展示物7が空中映像のものなのか、現実のものなのかが判別できなくなる場合があり、これにより視聴者8に対して、驚きと感動を与えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する映像表示部と、前記映像を空中に結像させる結像光学パネルと、展示物を展示する展示台とを備え、
これらを用いて空中に結像面を形成させて展示物とともに表示する展示装置であって、
前記展示台が、前記結像光学パネルと前記結像面との間に配置されており、
前記結像面が、正面から観察したときに、前記展示台に配置されることになる前記展示物の周囲に前記展示物の存在を強調する効果映像を表示することを特徴とする展示装置。
【請求項2】
前記効果映像が、前記展示物の全部又は一部を取り囲み、略単色で塗りつぶされた展示窓枠であることを特徴とする請求項1記載の展示装置。
【請求項3】
前記映像表示部において表示される状態において、前記展示窓枠の内部の色が略黒色であり、かつ、前記状態において、外光の入らない暗室で測定した、前記展示窓枠の内部のL値と、前記展示窓枠の周辺外部のL値との比が、1:50またはそれ以上であることを特徴とする請求項2に記載の展示装置。
【請求項4】
前記展示窓枠が、前記映像表示部において表示される状態において、三角形、四角形、五角形、六角形、これらの角が丸みを帯びたもの、円形又は楕円形のいずれかであることを特徴とする請求項2又は3に記載の展示装置。
【請求項5】
前記結像面の正面から観察したときに、前記結像面の全面に対して、前記展示窓枠の占める面積の割合が、5~50%であることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の展示装置。
【請求項6】
前記結像面の正面から観察したときに、前記展示窓枠の全面に対して、前記展示物の占める面積の割合が、10~80%であることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の展示装置。
【請求項7】
前記効果映像が、動画であることを特徴とする請求項1に記載の展示装置。
【請求項8】
前記展示物が商品であり、かつ、前記効果映像が、前記商品に関連する広告であることを特徴とする請求項1に記載の展示装置。
【請求項9】
前記展示装置が、更に、電子タグリーダーを備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の展示装置。
【請求項10】
前記電子タグリーダーのアンテナ部分だけを抽出して前記展示台付近に配置し、前記電子タグリーダーの本体部分を別の場所に配置して配線で接続することを特徴とする請求項9に記載の展示装置。
【請求項11】
前記展示物に電子タグが貼付されており、
前記電子タグリーダーが前記電子タグの接近を検知すると、前記展示装置が、前記展示物に関連する映像を表示することを特徴とする請求項9又は10に記載の展示装置。
【請求項12】
前記展示装置が、更に、前記電子タグリーダーが前記電子タグの接近を検知した日時及び前記電子タグの情報を記憶することを特徴とする請求項11に記載の展示装置。
【請求項13】
(展示物の位置検出)
前記展示装置が、更に、前記展示物の位置を検出するための位置検出センサを備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の展示装置。
【請求項14】
前記展示装置が、前記位置検出センサが検出した前記展示物の位置に応じて前記映像の内容を変更する機能を有することを特徴とする請求項13記載の展示装置。
【請求項15】
前記映像表示部が、映像表示面とそれを覆う視野角制御フィルムを含んでいることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の展示装置。
【請求項16】
前記映像表示部について、前記映像表示面と前記視野角制御フィルムとが、光学樹脂によって面状に接着されていることを特徴とする請求項15に空中映像表示装置。
【請求項17】
映像を表示する映像表示部と、前記映像を空中に結像させる結像光学パネルと用いて空中に結像面を形成させる工程と、
前記結像光学パネルと前記結像面との間であって、前記映像表示部から発せされた前記映像を構成する光の進路を遮る位置に前記展示物を配置する工程と、
を含む展示方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示装置及び展示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特殊な結像光学パネルを使用して映像を空中に結像させ、その映像を観察者が観察できるようにした空中映像表示装置が提案されてきている。
【0003】
特許文献1には、表示パネルから発光される光を、結像光学パネルを用いて反対側の空中に結像させる装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、空中像を表示させる手段として再帰性反射部材が用いられており、表示パネルから発光される光をハーフミラーで反射した後、再帰反射性部材で反射し、前記ハーフミラーを透過させて空中に結像させる装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、空中映像表示装置を利用して、平面である空中映像と立体である展示物を組み合わせて効果的に展示する展示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-105744
【特許文献2】特開2014-13319
【特許文献3】特開2014-238492
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3では、展示物は、空中映像の立体感を補強するための脇役として用いられている。このため、あくまで主役は空中映像であり、展示物は空中映像を妨げない位置に配置されている(段落0034など)。
このように、従来の空中映像表示装置を利用した展示方法は、空中映像を利用することにより、展示物の存在を強調するという目的には沿わないものであった。
【0008】
本発明の目的は、立体の展示物を、空中映像を用いて効果的に展示することができる展示装置及び展示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の展示装置は、映像を表示する映像表示部と、映像を空中に結像させる結像光学パネルと、展示物を展示する展示台とを備え、これらを用いて空中に結像面を形成させて展示物とともに表示する展示装置であって、展示台が、結像光学パネルと結像面との間に配置されており、結像面が、正面から観察したときに、展示台に配置されることになる展示物の周囲に展示物の存在を強調する効果映像を表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の展示装置は、効果映像が、展示物の全部又は一部を取り囲み、略単色で塗りつぶされた展示窓枠であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の展示装置は、効果映像が、動画であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の展示装置は、展示物が商品であり、かつ、効果映像が、商品に関連する広告であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の展示装置は、電子タグリーダーを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の展示装置は、展示物の位置を検出するための位置検出センサを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の展示方法は、映像を表示する映像表示部と、映像を空中に結像させる結像光学パネルと用いて空中に結像面を形成させる工程と、結像光学パネルと結像面との間であって、映像表示部から発せされた映像を構成する光の進路を遮る位置に展示物を配置する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、立体の展示物を、空中映像を用いて効果的に展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る展示装置を真上から見た図である。
図2】第1の実施形態に係る展示装置の説明をする図(1)である。
図3】第1の実施形態に係る展示装置の説明をする図(2)である。
図4】第1の実施形態に係る展示装置の正面図である。
図5】第2の実施形態に係る展示装置の正面図である。
図6】第3の実施形態に係る展示装置の正面図(1)である。
図7】第3の実施形態に係る展示装置の正面図(2)である。
図8】第3の実施形態に係る展示装置の正面図(3)である。
図9】第4の実施形態に係る展示装置の側面図である。
図10】第8の実施形態に係る映像表示部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の空中映像表示装置を実施するための実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態に係る展示装置100を真上から見た図である。
展示装置100は、映像表示部1と、映像を空中に結像させる結像光学パネル2と、空中に形成された結像面5と、展示台3によって構成される。展示台3は、結像光学パネル2と結像面5との間に配置されている。展示台3の上には展示物7が置かれている。展示物7は、映像表示部1から発せされた光の進路6を遮る位置に配置されている。展示台3は、光の進路6を遮らないように配置されている。
この展示台3は、独立した専用の展示台を設けてもよいが、他の部材を展示台として兼用してもよい。例えば、図1の筐体20を大きく直方体状に変更し、結像面5や展示台3の下まで筐体20が存在するように構成を変えた場合、筐体20の上部を展示台として兼用することもできる。
【0020】
展示装置100は、映像表示部1と結像光学パネル2とを収容する筐体20を備えている。そして、筐体20の外殻の一部分が、結像光学パネル2によって構成されている。これにより、映像表示部1から発せられた映像光が、結像光学パネル2に当たって筐体20から外に出ていき、結像光学パネル2を対象面として、映像表示部1と対称な位置に結像面5として結像することになる。
【0021】
図1では省略しているが、この筐体20は、映像表示部1と結像光学パネル2の上下にもそれぞれ上壁、底壁を持っている。筐体20の外殻の形状には特に限定はない。なお、筐体20は、余分な光が侵入しないよう暗室を形成することにより、更に効果を高めることが可能である。
【0022】
展示装置100は、基本的には、テーブルなど水平で平坦な台の上に置かれた状態で稼働される。このような状態において、映像表示部1と結像光学パネル2とは、それぞれの面が平坦な台に対して垂直に立っている状態になる。これらの面の配置によって、筐体20の外に、平坦な台に対して垂直に結像面5を形成可能に構成されている。
【0023】
展示装置100では、上記のような構成を採用しているが、結像面5をどこに表示させたいかによって、適宜映像表示部1と結像光学パネル2との配置を変えることもできる。すなわち、映像表示部1と結像光学パネル2と結像面5とは、必ずしも平坦な台に対して垂直な位置関係になくてもよい。
【0024】
映像表示部1としては、液晶パネル、有機ELパネルなどが考えられる。映像表示部1は、映像を表示するが、結像光学パネル2を介して、この映像がそのまま空中映像となる。
【0025】
結像光学パネル2は、空中撮像装置に用いられるいわゆる3Dプレートであり、特許文献3にも開示されているパネル上のマイクロミラーアレイ結像光学素子が用いられる。
【0026】
視聴者8は、結像面5の正面から視聴することが望ましい。結像面5は、その性質上、正面以外の位置からでは鮮明に観ることができないためである。図1においても、視聴者の目線Xは、結像面5の正面、すなわち、結像面5の面に直交する位置関係にある。
【0027】
次に、展示装置100によって、立体の展示物を、空中映像を用いて効果的に展示することができる理由について説明する。
【0028】
図2は、展示装置100について、映像表示部1の映像を消光した状態を示している。このため、図2では、光の進路6の矢印は示されていない。この状態では、展示物7は、単に展示台3に置かれているだけで、その展示について何らの効果も生じていない。
【0029】
図3は、展示装置100について、展示物7を取り除いた状態を示している。この場合、展示物7が映像表示部1から発せされた光の進路6を遮ることがないため、結像面5は、映像表示部1の映像と同じものを表示することになる。
【0030】
図3の展示台3に展示物7を配置することにより、図1のように、展示物7は、その後方より来る光の進路6を遮ることになるため、結像面5には、映像表示部1の映像から、展示物7をくり抜いた空中映像が表示されることになる。
【0031】
図4は、視聴者8の目線から見た結像面5及びその周辺を示している。筐体20は図示していない。映像表示部1では、白色の背景に、モデル女性のイメージ画像50と展示物7に関係するメッセージ51が映像として表示されている。
【0032】
結像面5においても同じ映像が表示されているが、視聴者8に対しては、展示物7である口紅の部分は、空中映像ではなく、現実の口紅が見えていることになる。このように、現実の口紅とその手前に形成される空中映像とが同時に目に飛び込んでくるため、視聴者8に対して、口紅を効果的に展示することができる。視聴者8は、目の錯覚を起こして、口紅が空中映像のものなのか、現実のものなのかが判別できなくなる場合があり、これにより視聴者8に対して、驚きと感動を与えることができる。
【0033】
また、口紅は、結像光学パネル2と結像面5との間であって、映像表示部1から発せされた光の進路6を遮る位置に配置されていることから、その背後から光を浴びていることになる。このため、口紅の輪郭がくっきりと浮かび上がり、その他の結像面5の映像と相まってより効果的に展示されることになる。
【0034】
これに対して、口紅を結像面5より手前側、すなわち視聴者8側に配置した場合には、視聴者8は、空中映像と口紅をそれぞれ正確に別々のものとして認識しやすく、目の錯覚も起きにくいために、効果的な展示ができないことになる。また、口紅が光の進路6を遮ることがないため、口紅の輪郭がくっきりと浮かび上がるということもない。
【0035】
展示物7は、商品であることが好ましい。その際、結像面5には、当該商品に関連する広告を表示することができる。
【0036】
図4では、展示物7は、口紅という商品である。また、イメージ画像50は、口紅のターゲット購入層を代表するモデル女性のイメージである。メッセージ51は、口紅が新製品であることとサンプル品であり、そのサンプル品を手に取ってテスト使用ができることを説明するメッセージである。このように、イメージ画像50とメッセージ51は、商品である口紅の販売を促進する関連広告である。
【0037】
商品以外の展示物7の例としては、例えば、博物館や美術館等の展示場に展示されるもの(恐竜の骨、その他の化石、貴重な鉱物、美術工芸品など)が挙げられる。
【0038】
次に、本発明の第1の実施形態における展示方法について説明する。
この展示方法は、映像を表示する映像表示部1と、映像を空中に結像させる結像光学パネル2と用いて空中に結像面5を形成させる工程(1)と、結像光学パネル2と結像面5との間であって、映像表示部1から発せされた前記映像を構成する光の進路を遮る位置に展示物7を配置する工程(2)とを備える。この工程(1)と工程(2)は、順序は問わない。
【0039】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態においては、結像面5が、正面から観察したときに、展示物7の全部又は一部を取り囲み、略単色で塗りつぶされた展示窓枠9を表示していることを特徴としている。
【0040】
図5では、結像面5の背景は白であるが、展示物7の周囲を取り囲むように濃いグレー(JIS規格Z8721に規定される明度が5)の長方形が表示されている。これが展示窓枠9に該当する。展示窓枠9は、映像表示部1において相当する映像を表示することによって設けることが可能である。
【0041】
展示窓枠9は、展示窓枠9の内部と外部周辺とに明度差(コントラスト)を設けることによって形成される。このコントラストは、一般的な人間の目で識別できる程度であればよい。なお、映像表示部1において表示される状態において、外光の入らない暗室で測定した、展示窓枠9の内部のL値と、展示窓枠9の周辺外部のL値との比が、1:50またはそれ以上(展示窓枠9の内部がより暗く、展示窓枠9の周辺外部がより明るい)であれば、よりくっきりと判別できるために好ましい。また、L値は、JIS規格Z8730に規定されるLab系によって数値化することが可能である。
【0042】
展示窓枠9の内部の色は、映像表示部1において表示される状態において、全体的に略単色であることが好ましい。全体的に略単色にすることで、視聴者8に対して、その部分だけ穴があいているかのような錯覚を起こさせやすい。
【0043】
展示窓枠9の内部の色は、映像表示部1において表示される状態において、略黒色であることが好ましい。すなわち、JIS規格Z8721に規定される明度が0~1であることが好ましい。
【0044】
展示窓枠9は、正面から観察したときに、展示物7の全部又は一部を取り囲んでいる。図5においては、展示窓枠9は、展示物7である口紅の全体を取り囲んでいる。また、展示物7の一部を取り囲んでいるとは、展示窓枠9が、展示物7の全体ではなく、その一部を取り囲んでいる状況を指す。これにより、展示物7の一部を視聴者8に対して特に強調することが可能である。
【0045】
展示窓枠9の形は、展示物7の展示効果を高めるという観点から、映像表示部1において表示される状態において、三角形、四角形、五角形、六角形、これらの角が丸みを帯びたもの、円形又は楕円形のいずれかであることが好ましい。これらの形の外周に境界線を設けてもよいし、境界線がなくてもよい。
【0046】
結像面5に展示窓枠9を設けることで、視聴者8は、結像面5に展示窓枠9の形状の穴が空いているように錯覚し、その奥にある展示物7の展示効果がより高まることになる。また、視聴者8は、その穴に手を入れて展示物7を手に取ってみたいという心理を抱きやすくなる。
【0047】
本発明の第2の実施形態においては、結像面5の正面から観察したときに、結像面5の全面に対して、展示窓枠9の占める面積の割合が、5~50%であることが好ましい。50%より大きければ結像面5による効果が得られにくいし、5%より小さければ展示窓枠9が目立ちにくくなる。なお、図5においては、結像面5の全面に対して、展示窓枠9の占める面積の割合が、約10%である。
【0048】
本発明の第2の実施形態においては、結像面5の正面から観察したときに、展示窓枠9の全面に対して、展示物7の占める面積の割合が、10~80%であることが好ましい。10%より小さければ展示物7が目立ちにくいし、80%より大きければ展示窓枠9による穴あき効果が小さくなる。展示物7の占める面積の割合は、より好ましくは、20~50%である。なお、図5においては、展示窓枠9の全面に対して、展示物7の占める面積の割合が、約20%である。
【0049】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態においては、結像面5が、正面から観察したときに、展示物7の周囲に展示物7の存在を強調する効果映像を表示していることを特徴としている。
【0050】
図6では、展示物7の上部に3つの矢印を効果映像10として表示している。この3つの矢印は、常に表示している状態でもよいし、より強調したい場合には、点滅させたり、位置を動かしたり、色を変えたりするなど表示を変化させて動画として表示してもよい。
【0051】
図7では、展示物7の周囲を取り囲むように、バラのイラストを効果映像10として表示している。このバラのイラストは、常に表示している状態でもよいし、より強調したい場合には、揺らぎを出したり、別のイラストに変化させたりするなど表示を変化させて動画として表示してもよい。
【0052】
図8では、展示物7を中心にして、後光がさしているように効果映像10として表示している。この映像は、常に表示している状態でもよいし、より強調したい場合には、光の部分に揺らぎを出したり、色調をグラデーションで変化させたりするなど表示を変化させて動画として表示してもよい。なお、効果映像と展示窓枠9とを併用することも可能である。
【0053】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態においては、展示装置200は、映像表示部1と結像光学パネル2とを収容する筐体30で構成され、結像光学パネル2は水平に配置されている。展示台としては、独立した専用の展示台を設けてもよいが、他の部材を展示台として兼用してもよい。前者の例としては、図9のように展示台3を配置する構成がある。後者の例としては、結像光学パネル2に展示台の機能を兼用させて、結像光学パネル2の上に直接展示物7を置くことになる。
【0054】
図9では、筐体30から浮かせた状態で展示台3を設置した上で、その上に展示物7である口紅を置いてある。結像光学パネル2の上に直接置くことに比べて、口紅の取り出しが繰り返されることによる結像光学パネル2の損傷を防ぐことができるし、口紅を結像面5のより近くに配置して視聴者8の手に取りやすくすることができる。
【0055】
なお、本発明の第4の実施形態においては、展示装置200は、視聴者8の身長又は目線の高さを自動で検知して、映像表示部1と結像光学パネル2との設置角度を自動で調整して、視聴者8が最も見やすい角度に結像面5形成されるような機能を備えていてもよい。この場合、展示物7が転倒しないように、映像表示部1と結像光学パネル2との設置角度を自動調整しても、展示物7を支持する展示台3には影響しないように設計することが好ましい。
【0056】
〔第5の実施形態〕
本発明の第5の実施形態においては、展示装置300は、空中映像を表示させる手段として再帰性反射方式が利用されている(図示はしていない。)。再帰性反射方式の空中映像表示装置としては、例えば、特許文献2に開示されている。
【0057】
展示装置300においては、映像表示部とハーフミラーと結像光学パネルとを収納する筐体40を備えている。そして、筐体40の外殻の一部分が、ハーフミラーによって構成されている。映像表示部から発せられる映像光は、ハーフミラーで反射した後、再帰反射性部材である結像光学パネルで反射し、ハーフミラーを透過して空中に結像面として結像することになる。
【0058】
展示物は、ハーフミラーの上に直接置いてもよいし、展示台を設けてその上においてもよい。展示装置300では、展示に当たって、別途テーブルなどを準備することを要しない。
【0059】
〔第6の実施形態〕
本発明の第6の実施形態においては、展示装置400は、電子タグリーダーを備えている(図示はしていない。)。電子タグリーダーは、電子タグを検知する機能を有する。電子タグは、一般に小型かつ薄型なので、例えば、商品の表面に簡単に貼り付けることができる。これにより、展示装置400は、電子タグが貼付された商品が接近したことを検知することができる。また、電子タグに、商品の情報を記憶させておくことで、展示装置400はが、どの商品が接近したかを把握することが可能となる。
【0060】
本発明の第6の実施形態においては、展示装置400と、その周辺に電子タグが貼付された複数の商品が置かれている。視聴者が関心を持った特定の商品を手に取って、展示装置400の展示台に近づけたタイミングで、展示装置400が映像を表示したり、音楽を再生したりすることができる。また、当該商品の説明動画を再生する、当該商品にマッチした効果映像を再生するなど、当該商品に関連する映像を表示することもできる。
【0061】
電子タグリーダーは、展示台に配置することができる。これにより、視聴者が特定の商品を展示台に置く動作中のいずれかのタイミングで、自動的に電子タグの情報が検知される。
【0062】
電子タグリーダーが大きい場合、展示装置400や展示台の外観を損ねることも考えられる。その場合、電子タグリーダーのアンテナ部分だけを取り出して展示台に配置し、配線によって目立たない位置に設置した電子タグリーダー本体を接続することによって外観をスマートに表現することが可能となる。上記アンテナの具体例としては、薄膜にするとほぼ透明になるITO(Indium Tin Oxide)を用いたアンテナや、メッシュ状のアンテナが挙げられる。
【0063】
この電子タグリーダーの配置方法は、特に、第4実施形態の展示装置200のように、展示台の下から、映像表示部から発せられた光が照射される構造の展示装置(特に図9において、展示台3の代わりに、展示物を結像光学パネル2の上に置くような場合などがその典型例である。)において大きな意義を有する。
つまり、上記ITOアンテナやメッシュアンテナは、光を遮断しないので、結像にほとんど影響を与えない。これにより、例えば透明な展示台を結像光学パネル2のすぐ上に設置して、そこに上記アンテナを配置することも可能となる。
【0064】
電子タグとしては、非接触でデータを読み取ることができれば、その種類は特に限定されない。具体例としては、数cmの距離で検知することが可能な至近距離通信デバイス(例:QRコード、バーコード等)、数10cmの距離で検知することが可能な近距離通信デバイス(例:RFID(Radio Frequency Identifier)技術を用いたRFタグ、NFC(Near Field Communication等)技術を用いたNFCタグ)、数10mの距離で検知することが可能な中距離通信デバイス(例:BLE(Bluetooth Low Energy等)技術を用いたBLEビーコン等)などが挙げられる。
【0065】
電子タグとして、至近距離通信デバイスを用いた場合には、商品を電子タグリーダーから数cmの距離に近づける必要がある。ただ、検知方法としては、展示装置400の映像表示部にコードリーダーを兼用させることも可能である。この場合は、別途構造物(電子タグリーダー)を配置させる必要はなくなる。
【0066】
電子タグとして、近距離通信デバイスを用いた場合には、電子タグリーダーから数10cmの距離で検知できるので、視聴者が商品を展示台のすぐ近くに持ってきたタイミングで、効果映像を表示することができる。
【0067】
電子タグとして、中距離通信デバイスを用いた場合には、電子タグリーダーから数10mの距離で検知できるので、視聴者が商品を手に取ったタイミングで、展示装置400が当該商品の説明画像を表示することも可能となる。また、この場合、電子タグリーダーは、必ずしも展示台のすぐ近くに配置する必要はなく、展示装置400のどこかに配置していれば足りることになる。
【0068】
展示装置400は、電子タグを電子タグリーダーで読み取った日時や電子タグに含まれる商品に関する情報を保管することができる。この情報は、展示装置400が別途備える通信機能によって、希望の送信先に送信することも可能である。
この情報は、視聴者が、いつどのような商品に関心を持ったかについてのデータであるので、マーケティングに活用することができる。
【0069】
〔第7の実施形態〕
本発明の第7の実施形態においては、展示装置500は、展示物の位置を把握することのできる位置検出センサを備えている(図示はしていない。)。これにより、展示装置500は、視聴者が展示物を置いた位置に合わせて効果映像を表示することが出来るようになるため、展示物と効果映像が正確にマッチするようになる。
例えば、図8のように、展示物7に後光がさす効果映像の場合であっても、展示物7と後光の効果映像の中心点を正確に一致させることが可能となる。また、視聴者が大幅に展示物7を置く位置を変更したとしても、効果映像の配置(例:後光と女性写真)を適宜変更して、展示物7の位置にフィットした効果映像を表示することも可能となる。
【0070】
位置検出センサとしては、一次元赤外線アレイ方式、カメラ方式、静電容量方式など、公知の位置検出技術を用いることができる。なお、展示装置500が、視聴者が結像面にタッチ操作したことを検出するためのモーションセンサ部が備えている場合は、当該モーションセンサ部が上記位置検出センサを兼用することも可能である。
【0071】
位置検出センサは、展示物の位置を検出すると、展示装置500にその情報を送信する。展示装置500はその情報を元に、プログラムに基づいて、展示物の位置に合った効果映像を表示する。
【0072】
〔第8の実施形態〕
本発明の第6の実施形態は、本発明の第1の実施形態における展示装置100において、映像表示部1が、映像表示面11とそれを覆う視野角制御フィルム12を含む。視野角制御フィルム12は、映像表示面11の映像光の出光方向に配置される。映像表示面11と視野角制御フィルム12とは、光学樹脂13によって面状に接着されている。この接着は、全面的に接着されていてもよいし、一部分を接着するものでもよい。図10は、映像表示部1の構成を示すものである。
【0073】
視野角制御フィルム12は、ルーバーフィルム、のぞき見防止フィルム、プライバシーフィルタとも呼ばれ、ディスプレイ等の前面に貼ることで、映像光の出光方向を一定範囲に制御することができる光学フィルムである。
【0074】
空中撮像表示装置においては、結像に寄与しない不要な光が発生することにより、いわゆるゴーストが形成されることが知られている。視野角制御フィルム12を、映像表示面11を覆うように設置することで、結果的に、映像光の進行方向に設置されている結像光学パネル2に入射する光の入射角を制限することができる。これにより、空中映像にゴーストが形成されるのを抑制することができる。
【0075】
光学樹脂13は、光学用液状粘着剤などの光学用粘着剤又は接着剤である。OCA(Optical Clear Adhesive)と呼ばれる光学用透明粘着シートや、OCR(Optical Clear Resin)と呼ばれる硬化性樹脂が挙げられる。光学樹脂13の材質としては、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、光学特性の観点からアクリル樹脂であることが好ましい。
【0076】
光学樹脂13として光学用透明粘着シートを用いる場合は、映像表示面11の映像光の出光方向に、光学用透明粘着シート、視野角制御フィルム12を重ね、貼り合わせ装置を用いて接着する。この際、圧力や熱を加えてもよい。
【0077】
光学樹脂13として硬化性樹脂を用いる場合は、映像表示面11の映像光の出光方向に、硬化性樹脂を塗布し、視野角制御フィルム12を重ねた上で熱又は紫外線を用いて硬化することにより接着する。
【0078】
光学樹脂13によって映像表示面11と視野角制御フィルム12との間の極薄空気層を排除し、光の減衰をできるだけなくすことで、輝度とコントラストを高めて、より鮮明な空中映像を得ることにある。
【0079】
上記のように、ゴーストの形成を抑制すること、輝度とコントラストを高めることは、本発明の展示装置において、空中映像が鮮明に表示させ、引いては立体の展示物を、空中映像を用いて効果的に展示することにも繋がる重要な要素である。
【符号の説明】
【0080】
1 映像表示部
2 結像光学パネル
3 展示台
4 テーブル
5 結像面
6 光の進路
7 展示物
8 視聴者
9 展示窓枠
10 効果映像
11 映像表示面
12 視野角制御フィルム
13 光学樹脂
20、30 筐体
50 イメージ画像
51 メッセージ
100、200 展示装置
X、Y 視聴者の目線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10