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特開2022-50387マスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050387
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】マスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20220323BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A61B34/37
A61B1/018 515
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021193409
(22)【出願日】2021-11-29
(62)【分割の表示】P 2019228848の分割
【原出願日】2015-03-19
(31)【優先権主張番号】61/955,232
(32)【優先日】2014-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516281573
【氏名又は名称】エンドマスター・プライベート・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOMASTER PTE LTD
【住所又は居所原語表記】2 Boon Leat Terrace #04-01 Harbourside Building 2 Singapore 119844 SINGAPORE
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 智徳
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・リー・シー・ハオ・サム・スーン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン-ハー・トラン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軟性内視鏡ロボットシステムを提供する。
【解決手段】軟性内視鏡ロボットスレーブシステムは、内視鏡本体部及び、内部に少なくとも一つの腱駆動ロボット内視鏡器具を装入可能な軟性長尺シャフトと、内視鏡本体部が取外し可能に接続されることのできるドッキングステーションと、軟性長尺シャフト内で内視鏡器具を選択的に長手方向に移動させるための移動機構とを含む。移動機構は、各ロボット内視鏡器具を駆動するアクチュエータを保持し、選択的に移動させることができる。ロボット器具運動の自由度(DOF)は、一対の腱により制御される。駆動嵌合構造は、各内視鏡器具の駆動のため、アクチュエータをアダプター構造に取外し可能に連結する。腱プリテンションは、プログラム可能な制御下で自動的に生じ得る。腱圧着構造を有しないロールジョイントは、腱摩耗及びロールジョイント空間体積を低減させるため、ロボット内視鏡器具内に採用され得る。
【選択図】図13B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタースレーブ内視鏡システムであり、
軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その長さに沿ってその内部に配置された第一チャンネル、第二チャンネル及び第三チャンネルを含む複数のチャンネルを有する当該内視鏡と、
前記第一チャンネル内に取外し可能に挿入されるロボット駆動作動アセンブリであって、該ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、及び、
作用する力に応じて前記ロボットアーム及びその端部エフェクターを空間的に操作するべく作動可能な第二の複数の腱
を備える当該ロボット駆動作動アセンブリと、
前記第二チャンネル内に取外し可能に挿入されるイメージング内視鏡と、
前記第三チャンネル内に取外し可能に挿入されるマニュアル駆動作動アセンブリであって、それに連結されるマニュアル作動内視鏡器具を有するマニュアル駆動作動アセンブリと
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
【請求項2】
前記ロボット駆動作動アセンブリに連結可能で、その前記第二の複数の腱に力を作用させるべく構成されたアクチュエータの第一セットをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記イメージング内視鏡が、前記イメージング内視鏡にサージ変位を与えるべく構成されたアクチュエータに前記イメージング内視鏡を連結可能にするアダプターを備えるイメージング内視鏡アセンブリの一部を備える請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記イメージング内視鏡アセンブリがさらに、その内部に保持されて、上下動、揺動及びピッチ運動の少なくとも一つを前記イメージング内視鏡に与えるべく構成されたアクチュエータの第二セットに前記アダプターにより連結される複数の腱を備える請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ロボット駆動作動アセンブリがさらに、アクチュエータの第一セットに取外し可能に連結可能なアダプターを備える請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロボット駆動作動アセンブリが、所定の自由度(DOF)の数に従って動作するべく構成されており、前記アクチュエータの第一セットが、少なくとも一のDOFに対応する二個のアクチュエータを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
マスタースレーブ内視鏡システムであり、
軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その内部で、作動アセンブリのセットが挿入可能なその長さに沿って配置されたチャンネルのセットを有し、当該複数のチャンネルが第一チャンネル及び第二チャンネルを含む当該内視鏡と、
前記チャンネルのセットにより保持される軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、ならびに、
前記ロボットアームに連結されるとともに、所定の自由度(DOF)の数に従って前記ロボットアーム及びその端部エフェクターの動きを制御するべく構成された複数の腱で、二個の腱が前記ロボットアームの各DOFを制御する当該複数の腱を含む当該軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットと、
各ロボット駆動作動アセンブリに対応するアクチュエータのセットであって、各アクチュエータが、外科医が接触することのできる入力装置のセットにより制御可能であり、各アクチュエータが、前記入力装置のセットに向けた外科医入力に応じて、それに対応するロボット駆動作動アセンブリの腱にトルクを選択的に加えるべく構成されており、二個のアクチュエータが、前記ロボットアームの各DOFを制御する当該アクチュエータのセットと、
腱プリテンションもしくはリテンション処置を行うべく構成された処理装置であって、それにより、
(a)前記ロボット駆動作動アセンブリが送られる経路のねじれに対応すると予期される典型的なねじれ構造に関する蓄積トルクパラメータに従い、前記ロボット駆動作動アセンブリの各アクチュエータにトルクを作用させること、又は
(b)前記ロボット駆動作動アセンブリについて、前記腱の緩み状態と緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定し、それにより決定されたトルク遷移点により規定されるトルクレベルで、前記腱に対応するアクチュエータにトルクを作用させること
により、各ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱に張力レベルを自動的に設定する当該処理装置と
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
【請求項8】
典型的なねじれ構造に関連する蓄積トルクパラメータに従う前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱にトルクを作用させることが、内視鏡処置の実行前に、又は、前記軟性長尺シャフトのチャンネル内への各ロボット駆動作動アセンブリの挿入後に、作動域の外側で行われる請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
各腱について、その前記緩み状態と前記緩み無し状態との間の前記トルク遷移点を動的に決定することが、内視鏡処置の実行直前又はその間に生じる請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
各腱について、前記緩み状態と前記緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定することが、
前記腱に対応する腱張力プロファイルを測定すること、及び、
前記腱張力プロファイルの第一導関数及び/又は第二導関数を計算すること
を備える請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
各ロボット駆動作動アセンブリに対応する器具アダプターをさらに備え、ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱を前記アクチュエータのセットに選択的に連結するため、前記器具アダプターが、前記アクチュエータのセットに取り外し可能に連結可能であり、前記器具アダプターが、前記アクチュエータのセットから分離される際に、前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱に作用される張力を維持するべく構成される請求項7~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
マスタースレーブ内視鏡システムであり、
ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、ならびに、
所定の自由度(DOF)の数に従い、前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するべく構成される複数の腱
を備える当該ロボット駆動作動アセンブリのセットと、
各ロボット駆動作動アセンブリに対応するとともにその前記腱に連結される器具アダプターであって、該器具アダプターが、前記ロボット駆動作動アセンブリの複数の腱をアクチュエータのセットに選択的に連結するための機械要素のセットに連結可能であり、該器具アダプターが、
前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱に対応する回転シャフトで、該回転シャフトが長手方向軸を有し、前記長手方向軸の周りで周方向に前記腱が巻かれる回転シャフト、ならびに、
各回転シャフトに対応する第一張力維持要素および第二張力維持要素で、前記第一張力維持要素が、選択的な係合のため第二張力維持要素に対して移動可能であるとともに、第二ラチェット要素に対して取外し可能であり、前記器具アダプターが、前記シャフトの回転を防止するべく機械要素のセットから分離され、それによって前記腱の張力レベルが維持されるとき、第一張力維持要素が、第二張力維持要素と嵌め合い係合するべく構成される当該第一張力維持要素および第二張力維持要素
を備える当該器具アダプターと、
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
【請求項13】
前記器具アダプターがさらに、該器具アダプターが前記機械要素のセットから分離されるときに、前記第一張力維持要素及び前記第二張力維持要素を係合状態に維持する弾性付勢要素を備える請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記器具アダプターが前記機械要素に連結されて、前記シャフトが回転可能であるとき、前記第一張力維持要素を前記第二張力維持要素から分離させるため、前記弾性付勢要素が、前記シャフトに対して移動可能である請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第一張力維持要素及び前記第二張力維持要素がそれぞれ、ラチェット要及び摩擦板の一つを備える請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項16】
前記アクチュエータのセットが、少なくとも一のDOFに対応する二個のアクチュエータを含み、前記ロボット駆動作動アセンブリの前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するため、各DOFについて、前記器具アダプターが、周囲に第一腱が周方向に巻き付けられる第一回転シャフトと、周囲に第二腱が周方向に巻き付けられる第二回転シャフトとを含む請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項17】
マスタースレーブ内視鏡システムであり、
軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その内部で、作動アセンブリのセットが挿入可能なその長さに沿って配置されたチャンネルのセットを有し、当該複数のチャンネルが第一チャンネル及び第二チャンネルを含む当該内視鏡と、
ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、
前記ロボットアームに連結されて、所定の自由度(DOF)の数に従って前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するべく構成される複数の腱、ならびに、
前記複数の腱の周囲を取り囲む外側スリーブ
を備える当該ロボット駆動作動アセンブリのセットと、
各ロボット駆動作動アセンブリに対応し、その腱に連結される第一器具アダプターであって、前記第一器具アダプターが、前記ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱を、ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに選択的に連結するための機械要素のセットに連結可能である当該第一器具アダプターと、
各ロボット駆動作動アセンブリを、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って独立して移動させ、それにより、前記ロボット駆動作動アセンブリのサージ変位をもたらすべく構成される移動機構であって、前記移動機構が、
(a)前記ロボット駆動作動アセンブリのセットの各外側スリーブにより保持されるカラー、ならびに、
ロボット駆動作動アセンブリの外側スリーブを嵌合状に受容するべく構成された受容部、及び、
各受容部に対応するとともに前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って前記受容部を選択的に移動させるべく構成されたリニアアクチュエータ
を備える移動ユニットと、
(b)前記第一器具アダプターに対応する前記ロボット駆動作動アセンブリの腱を、ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに連結するため、各第一器具アダプターが嵌め合い係合可能な第二器具アダプター、ならびに、
第一器具アダプター及び、それに嵌め合い係合可能な第二器具アダプターのそれぞれを保持するとともに、個々のロボット駆動作動アセンブリのサージ変位を生じさせるよう嵌め合い係合された各第一器具アダプター及び各第二器具アダプターを、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って移動させるべく構成された移動ユニットと、
(c)ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセット及び、個々のロボット駆動作動アセンブリのサージ変位を生じさせるべくそれに連結された第一器具アダプターを各々、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って移動させるべく構成された移動ユニットと
の一つを備える移動機構と
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
【請求項18】
各第二器具アダプターが、内部に複数の腱を有するテザーにより、前記ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに連結される請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記内視鏡の前記本体部の一部が取外し可能に係合可能なドッキングステーションをさらに備え、前記移動機構が前記ドッキングステーションにより保持される請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
ドッキングステーションを保持するペイシェント・サイド・カートをさらに備える請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
前記移動機構を保持するクレードルのセットをさらに備え、前記クレードルのセットの各クレードルが個々のロボット駆動作動アセンブリに対応し、前記クレードルのセットの各クレードルが、ロール軸の周りに前記クレードル及びその対応するロボット駆動作動アセンブリを個別に回転させるべく構成されるロール運動アクチュエータに連結されて、前記ロボット駆動作動アセンブリの前記ロボットアーム及び端部エフェクターに、ロール運動を与える請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記内視鏡の前記本体部の一部が取外し可能に係合可能なドッキングステーションをさらに備え、前記ドッキングステーションが、前記移動機構及び前記クレードルのセットを保持する請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
ドラム構造を含むロールジョイントを備え、前記ドラム構造がそれを通る中心軸を有し、前記ロールジョイントが、それにより連結保持された腱の作動に応じて、前記中心軸の周りに前記ロボットアームの部分を回転させるべく構成されており、前記ロールジョイントは、その上の、ロールジョイントに腱を固定するための腱圧着端部を除く腱制御ロボットアーム。
【請求項24】
前記ドラム構造が外面を含み、前記ロールジョイントが、
前記外面により保持されて、前記ロールジョイントを時計回り方向に回転させるために時計回り作動腱が通って延びるチャンネルを有する時計回り作動プーリーと、
前記外面により保持されて、前記ロールジョイントを反時計回り方向に回転させるために反時計回り作動腱が通って延びるチャンネルを有する反時計回り作動プーリーと
を備える請求項23に記載のロボットアーム。
【請求項25】
前記ドラム構造が、前記ロールジョイントの回転を制御するための腱が送られることが可能な対応のオメガ状もしくはU字状チャンネル、通路もしくは溝をそれぞれ与える少なくとも一のオメガ状もしくはU字状セグメントを備える請求項23に記載のロボットアーム。
【請求項26】
前記ドラム内に形成されたアイレットのセットをさらに備え、それを通って前記腱が送られて、前記腱が、前記ドラムの外面上及び前記ドラムの内面上のそれぞれに配置される請求項25に記載のロボットアーム。
【請求項27】
前記腱の外面を前記ドラムの部分に固定する接着剤をさらに備える請求項26に記載のロボットアーム。
【請求項28】
前記ドラム構造が、腱を、前記ドラムの外側から前記ドラムの厚み内でそれを通って前記ドラムの内側へ至り、前記ドラムの前記厚みを通って前記ドラムの外側へ戻る腱選択経路に沿って保持する請求項23に記載のロボットアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムのスレーブシステムは、内視鏡本体部及び、それから延びて、内部に少なくとも一つの腱駆動ロボット内視鏡器具を装入可能な軟性長尺シャフトと、内視鏡本体部が取外し可能に接続されることのできるドッキングステーションと、前記内視鏡本体部が接続された際に、前記軟性長尺シャフト内に前記内視鏡器具を選択的に長手方向に配置するべく作動可能な移動機構(translation mechanism)とを含むものである。駆動嵌合構造は、モーターボックス・アクチュエータを、各内視鏡器具を駆動するためのアダプター構造に取外し可能に連結する。空間運動の少なくともいくつかの自由度(DOF)のため、二個のアクチュエータ及び、それに対応する二個の腱は、DOFごとに器具運動を制御することができる。腱プリテンション(Tendon pretensioning)は、プログラム可能な制御の下で自動的に生じることができる。腱圧着構造なしのロールジョイントは、腱摩耗及びロールジョイント空間体積を低減するため、ロボット内視鏡器具内に採用され得る。
【背景技術】
【0002】
マスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムは多数のものが提案され、または現在開発されている。たとえば、特許文献1及び2に記載されたマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムでは、腱駆動ロボットアーム及び、それに対応する端部エフェクターは、内視鏡本体部内に挿入可能であり、該内視鏡本体部はそれから延びる軟性長尺シャフトを有し、それにより、ロボットアーム及び端部エフェクターは、内視鏡検査を行うため、軟性長尺シャフトの遠位端部を超えて延びることができる。ロボットアーム及びその端部エフェクターを駆動する腱は、螺旋コイルシース等のシース構造内に存在する。
【0003】
軟性内視鏡ロボットシステムの、ロボットアーム及び対応端部エフェクターを保持する軟性長尺シャフトを含む部分は、人体内への挿入が意図されていて、サイズの最小化が求められる。残念ながら、いくつかの既存の軟性内視鏡ロボットシステムの体内挿入可能部分は、それらが配置されることが意図される身体の内部環境に対して望ましいものよりも大きな径もしくは断面積を有する。
【0004】
内視鏡検査の間、軟性長尺シャフトにより保持されるロボットアーム及び端部エフェクターは常に、外科医により生成される制御信号に応じて、正確に操作可能であることを要する。軟性内視鏡ロボットシステムによりもたらされる柔軟性は、身体開口部への軟性長尺シャフトの挿入、それに続く、外科医が内視鏡検査を行うことができる標的部位への蛇行した又は極めて蛇行した経路に沿う軟性長尺シャフトの経路選択を提供する。しかしながら、そのような柔軟性それ自体は、軟性長尺シャフトが送られる経路のねじれにかかわらず、ロボットアーム及びその端部エフェクターが正確に制御可能であり続けることを保証することについての困難を引き起こす。より具体的には、ロボットアーム及び端部エフェクターが空間的に操作される腱の張力は、腱が送られる経路に応じて著しく変化し得るものであり、このことは、ロボットアーム及びその端部エフェクターの恒常的な高精度操縦性を低下させる腱の緩み又は腱のバックラッシュをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】PCT/SG2013/000408
【特許文献2】国際公開第2010/138083号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのような問題を克服する軟性内視鏡ロボットシステムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の側面に従い、マスタースレーブ内視鏡システムは、軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その長さに沿ってその内部に配置された第一チャンネル、第二チャンネル及び第三チャンネルを含む複数のチャンネルを有する内視鏡と、前記第一チャンネル内に取外し可能に挿入されるロボット駆動作動アセンブリであって、該ロボット駆動作動アセンブリがロボットアーム及び第二の複数の腱を有し、前記ロボットアームが、それに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有し、前記第二の複数の腱が、それに作用する力に応じて前記ロボットアーム及びその端部エフェクターを空間的に操作するべく動作可能であるロボット駆動作動アセンブリと、前記第二チャンネル内に取外し可能に挿入されるイメージング内視鏡と、前記第三チャンネル内に取外し可能に挿入されるマニュアル駆動アセンブリであって、該マニュアル駆動アセンブリが、それに連結されるマニュアル作動内視鏡器具を有するマニュアル駆動アセンブリと含む。
【0008】
アクチュエータの第一セットは、前記ロボット駆動作動アセンブリに連結可能であり、その第二の複数の腱に力を加えるべく構成される。
【0009】
イメージング内視鏡は、イメージング内視鏡アセンブリの一部をなすものとすることができ、当該イメージング内視鏡アセンブリは、前記イメージング内視鏡にサージ変位(surge displacement)を与えるよう構成されたアクチュエータに、該イメージング内視鏡を連結可能にするアダプターを含む。イメージング内視鏡アセンブリはさらに、その内部に保持される複数の腱を含むことができ、前記複数の腱は、前記アダプターによりアクチュエータの第二セットに連結され、前記アクチュエータの第二セットは、前記イメージング内視鏡に、上下動(heave)、揺動(sway)、ピッチ運動の少なくとも一つをもたらすよう構成される。
【0010】
ロボット駆動作動アセンブリはさらに、アクチュエータの第一セットに取外し可能に連結可能なアダプターを含むとともに、所定の自由度(DOF)の数に従って運動するよう構成され、ここでは、アクチュエータの第一セットは、少なくとも一のDOFに対応する二個のアクチュエータを含む。
【0011】
本開示の側面に従い、マスタースレーブ内視鏡システムは、(a)軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その内部で、作動アセンブリのセットが挿入可能なその長さに沿って配置されたチャンネルのセットを有し、当該複数のチャンネルが第一チャンネル及び第二チャンネルを含む内視鏡と、(b)前記チャンネルのセットにより保持される軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、それぞれのロボット駆動作動アセンブリが、ロボットアーム及び複数の腱を含み、前記ロボットアームが、それに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有し、前記複数の腱が、前記ロボットアームに連結されるとともに、所定の自由度(DOF)の数に応じて前記ロボットアーム及びその端部エフェクターの運動を制御するべく構成されており、二個の腱が前記ロボットアームの各DOFを制御する軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットと、(c)各ロボット駆動作動アセンブリに対応するアクチュエータのセットであって、各アクチュエータが、外科医(surgeon)が接触することのできる入力装置のセットにより制御可能であり、各アクチュエータが、前記入力装置のセットに向けた外科医入力に応じて、それに対応するロボット駆動作動アセンブリの腱にトルクを選択的に加えるべく構成されており、二個のアクチュエータが、前記ロボットアームの各DOFを制御するアクチュエータのセットと、(d)処理装置であって、腱プリテンションもしくはリテンション処置を行い、(i)前記ロボット駆動作動アセンブリが送られる経路のねじれに対応すると予期される典型的なねじれ構造に関する蓄積トルクパラメータに従い、前記ロボット駆動作動アセンブリの各アクチュエータにトルクを加えることにより、又は、(ii)前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱のために、前記腱の緩み状態と緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定するとともに、それによって決定される前記トルク遷移点により規定されるトルクレベルで、前記腱に対応するアクチュエータ(たとえば、前記腱が固定ないし取り付けられるアクチュエータ)にトルクを加えることにより、各ロボット駆動作動アセンブリの複数の腱内に張力レベルを自動的に確立するべく構成された処理装置とを含むものである。
【0012】
典型的なねじれ構造に関する蓄積トルクパラメータに従い、前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱にトルクを加えることは、内視鏡処置の動作の前に、又は、前記軟性長尺シャフトのチャンネル内への各ロボット駆動作動アセンブリの挿入の後に、作動域の外側で行うことができる。
【0013】
各腱で緩み状態と緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定することは、内視鏡処置の動作の直前又はその間に生じ得る。各腱で緩み状態と緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定することは、前記腱に対応する腱張力プロファイルを決定もしくは測定すること、ならびに、腱張力プロファイルの第一及び/又は第二導関数を算出することを含むことができる。
【0014】
前記システムはさらに、各ロボット駆動作動アセンブリに対応する器具アダプターを含むことができ、当該器具アダプターは、複数の腱ロボット駆動作動アセンブリをアクチュエータのセットに選択的に連結するため、アクチュエータのセットに取外し可能に連結可能なものであり、ここでは、前記器具アダプターは、アクチュエータのセットから分離された際に、前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱に加わる張力を維持するべく構成される。
【0015】
本開示の側面に従い、マスタースレーブ内視鏡システムは、(a)ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、ロボットアーム及び複数の腱を有し、前記ロボットアームが、それに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有し、前記複数の腱が、所定の自由度(DOF)の数に従い、前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するべく構成されたロボット駆動作動アセンブリのセットと、(b)各ロボット駆動作動アセンブリに対応するとともにその前記腱に連結される器具アダプターであって、該器具アダプターが、前記ロボット駆動作動アセンブリの複数の腱をアクチュエータのセットに選択的に連結するための機械要素のセットに連結可能であり、該器具アダプターが、(i)前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱に対応する回転シャフトで、該回転シャフトが長手方向軸を有し、前記長手方向軸の周りで周方向に前記腱が巻かれる回転シャフト、ならびに、(ii)各回転シャフトに対応する第一張力維持要素および第二張力維持要素で、前記第一張力維持要素が、選択的な係合のため第二張力維持要素に対して移動可能であるとともに、第二ラチェット要素に対して取外し可能であり、前記器具アダプターが、前記シャフトの回転を防止するべく機械要素のセットから分離され、それによって前記腱の張力レベルが維持されるとき、第一張力維持要素が、第二張力維持要素と嵌め合い係合するべく構成される第一張力維持要素および第二張力維持要素を含む器具アダプターとを含む。前記第一および第二張力維持要素はそれぞれ、一以上のラチェット要素および摩擦板であるか、またはそれらを含むものとすることができる。
【0016】
器具アダプターはさらに、前記器具アダプターが機械要素のセットから分離されたときに、前記第一張力維持要素及び前記第二張力維持要素を係合状態に維持する弾性付勢要素を含むことができる。弾性付勢要素は、前記シャフトが回転可能なように前記器具アダプターが機械要素のセットに連結されたとき、第一張力維持要素を第二張力維持要素から取り外すため、前記シャフトに対して移動可能なものとすることができる。
【0017】
アクチュエータのセットは、各DOFに対応する二個のアクチュエータを含むことができ、ここでは、前記ロボット駆動作動アセンブリの端部エフェクターおよびロボットアームの運動を制御するため、各DOFについて前記器具アダプターは第一回転シャフト及び第二回転シャフトを含み、第一回転シャフトの周りで周方向に第一腱が巻かれ、また第二回転シャフトの周りで周方向に第二腱が巻かれる。
【0018】
本開示の側面に従い、マスタースレーブ内視鏡システムは、(a)軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その内部で、作動アセンブリのセットが挿入可能なその長さに沿って配置されたチャンネルのセットを有し、当該複数のチャンネルが第一チャンネル及び第二チャンネルを含む内視鏡と、(b)ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、ロボットアーム、複数の腱及び、前記複数の腱を取り囲む外側スリーブを含み、前記ロボットアームが、それに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有し、前記複数の腱が、所定の自由度(DOF)の数に従い、前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するべく構成されたロボット駆動作動アセンブリのセットと、(c)各ロボット駆動作動アセンブリに対応するとともにその腱に連結される第一器具アダプターであって、前記ロボット駆動作動アセンブリの複数の腱をロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに選択的に連結するため、該第一器具アダプターが機械要素のセットに連結可能である第一器具アダプターと、(d)各ロボット駆動作動アセンブリを、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って独立して移動させ、それにより、前記ロボット駆動作動アセンブリのサージ変位(surge displacement)を生じさせるべく構成された移動機構であって、該移動機構が、(i)ロボット駆動作動アセンブリのセットの各外側スリーブにより保持されるカラー及び移動ユニットで、前記移動ユニットが、ロボット駆動作動アセンブリの外側スリーブを嵌合状に受容するべく構成された受容部、各受容部に対応するとともに前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って前記受容部を選択的に移動させるべく構成されたリニアアクチュエータを含むカラー及び移動ユニット、(ii)前記第一器具アダプターに対応する前記ロボット駆動作動アセンブリの前記腱をロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに連結するため、各第一器具アダプターが嵌め合い係合可能な第二器具アダプター及び移動ユニットで、前記移動ユニットが、各第一器具アダプター及び、それに嵌め合い係合可能な第二器具アダプターを保持するとともに、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って個々のロボット駆動作動アセンブリのサージ変位を生じさせるべく嵌め合い係合される各第一器具アダプター及び各第二器具アダプターを移動させるべく構成された移動ユニット、ならびに、(iii)個々のロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセット及びそれに連結された各第一器具アダプターを移動させて、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って個々のロボット駆動作動アセンブリのサージ変位を生じさせるべく構成された移動ユニットの一つを備える移動機構とを含む。
【0019】
各第二器具アダプターは、内部に複数の腱を有するテザーにより、ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに連結されることができる。
【0020】
前記システムはさらにドッキングステーションを含み、それに、前記内視鏡の前記本体部の一部が取外し可能に係合可能である。前記移動機構は、ドッキングステーションにより保持されることができ、ペイシェント・サイド・カート(patient side cart)は、ドッキングステーションを保持することができる。
【0021】
前記システムはさらに、前記移動機構を保持するクレードル構造もしくはクレードルのセットを含むことができ、ここでは、個々のロボット駆動作動アセンブリに対応するクレードルのセットの各クレードル及び、クレードルのセットの各クレードルは、クレードル及びそれに対応するロボット駆動作動アセンブリを、ロール軸周りで個別に回転するべく構成されるロール運動アクチュエータに連結され、それにより、前記ロボット駆動作動アセンブリの前記ロボットアーム及び端部エフェクターにロール運動を与えることができる。前記内視鏡の前記本体部の一部が取外し可能に係合可能なドッキングステーションは、前記移動機構及び前記クレードルのセットを保持することができる。
【0022】
本開示の側面に従い、腱制御ロボットアームは、ドラム構造を有するロールジョイントを含み、ドラム構造がそれを通る中心軸を有し、該ロールジョイントが、それにより連結保持される腱の作動に応じて、前記ロボットアームの部分を、前記中心軸周りに回転させるべく構成されており、前記ロールジョイントが、腱を該ロールジョイントに固定するその上の腱圧着端部を除外する。
【0023】
ドラム構造は外面を含み、ロールジョイントは、前記外面により保持されて、ロールジョイントを時計回り方向に回転させるために時計回り作動腱が通って延びるチャンネルを有する時計回り作動プーリーと、前記外面により保持されて、ロールジョイントを反時計回り方向に回転させるために反時計回り作動腱が通って延びるチャンネルを有する反時計回り作動プーリーとを含むことができる。
【0024】
ドラム構造は、少なくとも一のオメガ状もしくはU字状セグメントを含むことができ、当該オメガ状もしくはU字状セグメントはそれぞれ、ロールジョイントの回転を制御するための腱が送られ得る(routable)、対応するオメガ状もしくはU字状チャンネル、通路もしくは溝をもたらす。
【0025】
小穴のセットはドラム内に形成することができ、それを通って、腱は、腱がドラムの外面上及びドラムの内面上のそれぞれに配置されるように送られることができる。ドラム構造は、腱を、ドラムの外側から、ドラムの厚み内でそれを通ってドラムの内側へ、腱選択経路に沿って保持するとともに、ドラムの厚みを通ってドラムの外側へ後退させることができる。接着剤は、腱の外面をドラムの部分に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】本開示の実施形態に従うマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムの概略図である。
図1B】本開示の実施形態に従うマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムの概略図である。
図2】本開示の実施形態に従うマスターシステムの概略図である。
図3】本開示の実施形態に従うスレーブシステムの概略図である。
図4A-D】本開示の実施形態に従う典型的な輸送内視鏡、第一及び第二作動アセンブリならびにイメージング内視鏡アセンブリのそれぞれの概略図である。
図5】本開示の実施形態に従う輸送内視鏡の遠位端部を越える環境に配置される、イメージング内視鏡ならびに、一対のロボットアーム及びそれに対応する端部エフェクターの概略図である。
図6A】本開示の実施形態に従う輸送内視鏡シャフトの典型的な概略断面図である。
図6B】本開示の別の実施形態に従う輸送内視鏡シャフトの典型的な概略断面図である。
図7A-C】本開示の実施形態に従う、輸送内視鏡内へのイメージング内視鏡アセンブリの挿入、画像サブシステムに連結する画像コネクターアセンブリ、モーターボックスの画像出力アダプターに連結する画像入力アダプター、及び、バルブ制御ユニットに連結する内視鏡支援機能コネクターアセンブリを示す概略図である。
図8A-B】輸送される内視鏡に挿入されるイメージング内視鏡アセンブリの外側スリーブ及び、作動アセンブリの外側スリーブ/コイルの部分を有するドッキングステーションにドッキングする輸送内視鏡、ならびに、ドッキングステーションの移動ユニットに確実に連結されるそのような外側スリーブを示す概略図である。
図8C】ドッキングステーションにより保持される典型的な移動ユニットと、イメージング内視鏡アセンブリ及び作動アセンブリに対応するカラー要素が移動ユニットにより保持される典型的な態様とを示す概略図である。
図9】本開示の実施形態に従うモーターボックスに対応する対応の器具出力アダプターへの各作動アセンブリの器具入力アダプターの連結を示す概略図である。
図10】本開示の実施形態に従うモーターボックスの器具出力アダプターに取り付けられる器具入力アダプターの典型的な内側部分を示す断面斜視図である。
図11】本開示の実施形態に従う、互いに連結されたとき又は嵌め合い係合されたときの器具アダプター及び器具出力アダプターの典型的な内側部分を示す対応の概略断面図である。
図12A-D】本開示の実施形態に従う、器具入力アダプターの係合及び、器具出力アダプターからの器具入力アダプターの係合解除の特定の段階に対応する、器具入力アダプターの作動係合構造の典型的な内側部分及び、その内部の要素の部分を示す概略断面図である。
図13A】本開示に従うドッキングステーション及びそれに対応する移動ユニットの他の実施形態を示す。
図13B】本開示の実施形態に従うドッキングステーション及びそれに対応する移動ユニットのさらに他の実施形態を示す。
図13C】ロール運動が一以上の作動アセンブリ及び/又はイメージング内視鏡に個々に設けられ得るアクチュエータに回転可能に連結されるクレードもしくはドラム構造のセットを保持するよう構成されたドッキングステーションの部分を通る正面断面図を与える。
図14A-B】図14Aは、DOF構造ごとの典型的なシングルアクチュエータ/モーター及び、それと関連する潜在的なバックラッシュのような作用を示し、図14Bは、本開示の実施形態に従うDOF構造ごとの典型的なデュアルアクチュエータ/モーター及び、そのような構造の結果としてのバックラッシュのような作用の低減もしくは最小化を示す。
図15】本開示の実施形態に従うオフライン/オンラインの固定張力技術、処置もしくはプロセスの図である。
図16A】本開示の実施形態に従うアクティブプリテンション技術、処置もしくはプロセスの図である。
図16B】アクチュエータ/モーター位置及び、それに対応するトルクの典型的なグラフである。
図16C-F】図16Aのアクティブプリテンション技術を実行する間の時間に対する、特定のアクチュエータ/モーター対の第一アクチュエータ/モーターに関する、測定モーター位置、測定モーター速度、測定モータートルク、及び、測定モータートルクの一次導関数をそれぞれ示すグラフである。
図16G-J】図16Aのアクティブプリテンション技術を実行する間の時間に対する、対象のアクチュエータ/モーター対の第二アクチュエータ/モーターに関する、測定モーター位置、測定モーター速度、測定モータートルク、及び、測定モータートルクの一次導関数をそれぞれ示すグラフである。
図17】本開示の実施形態に従う圧着なしプーリーに基くロールジョイント要素の部分を示す概略図である。
図18】本開示の実施形態に従う圧着なしプーリーに基くロールジョイント要素の部分を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示では、所定の要素の表現又は、特定の図における特定の要素番号の考察もしくは使用又は、対応の記述的素材におけるその符号は、他の図で特定した同一の、均等な又は類似の要素もしくは要素番号又はそれと関連する記述的素材を包含することができる。図又は関連する文章における「/」の使用は、別段の示唆がない限り、「及び/又は」を意味すると理解される。ここでは、特定の数値又は数値範囲の記述は、近似の数値又は数値範囲を含み又はその記述であると理解され、たとえば、+/-20%、+/-15%、+/-10%又は+/-5%以内である。
【0028】
ここで使用するように、「セット」との用語は、(たとえば、An Introduction to Mathematical Reasoning:Numbers,Sets,and Functions、“Chapter 11:Properties of Finite Sets”(たとえば第140頁に示唆される)、Peter J.Eccles、Cambridge University Press(1998)に記載されたものに対応する方法による)既知の数学的定義に従い、少なくとも一の濃度を数学的に示す要素の非空の有限組織として定義されるもの又はそれに対応するものである(すなわち、ここで定義されるようなセットは、ユニット、シングレット、又は単一要素セット、又は複数要素セットに対応するものとすることができる)。一般に、セットの要素は、対象としているセットの種類に応じて、システム、機器、装置、構造、物体、プロセス、物理的パラメータ又は値であり、又はそれらを含み得る。
【0029】
本開示の実施形態は、マスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムを対象としたものであり、これは、マスター側システムと、当該マスター側システムにより制御可能な、又は制御されるスレーブ側のシステムとを含む。実施形態の詳細に応じて、本開示に従うマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムの一以上の部分は、(a)国際特許出願第PCT/SG2013/000408号、及び/又は、(b)国際特許公開第WO2010/138083号に記載された一以上の種類の要素、構造及び/又は装置に対応し、それに類似し、又はそれを含むことができる。
【0030】
図1A及び1Bは、本開示の実施形態に従うマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステム10の概略図である。実施形態では、システム10は、関連するマスター側要素を有するマスターもしくはマスター側システム100と、関連するスレーブ側要素を有するスレーブもしくはスレーブ側システム200とを含む。さらに図5を参照すると、様々な実施形態では、マスターシステム100及びスレーブシステム200は、相互の単一の通信用に構成されており、それにより、マスターシステム100は、スレーブシステム200にコマンドを発行することができ、またスレーブシステム200は、(a)スレーブシステム200の内視鏡300(ここでは輸送内視鏡(transport endoscope)300ともいう)により保持ないし支持されるロボットアーム400a、b及び対応する端部エフェクター410a、bのセットと、(b)場合によってはマスターシステム入力に応じて、輸送内視鏡300により保持ないし支持されるイメージング内視鏡又は画像プローブ部材460とを、正確に制御、操縦、操作/配置及び/作動することができる。
【0031】
様々な実施形態では、イメージング内視鏡又は画像プローブ部材460は典型的には、少なくともサージ変位、及び、場合によってはマスターシステム100から受信される制御信号に応じて(たとえば、イメージング内視鏡又は画像プローブ部材460の中心もしくは長手方向軸周りの)ロール運動、及び/又は、輸送内視鏡300により保持される制御(control’s)のセット用に構成される。いくつかの実施形態では、イメージング内視鏡/画像プローブ部材460は、たとえば、内部に保持された腱により、上下動、揺動及び/又はピッチ運動用に構成され、この場合、イメージング内視鏡/画像プローブ部材460は、ロボット制御イメージング内視鏡/画像プローブ部材460と称することができる。ロボット制御イメージング内視鏡460/画像プローブ部材460を空間的に操作するための制御信号は、マスターシステム100及び/又はスレーブシステムのセット、たとえば、制御ボタン、スイッチ、ジョイスティック又は、輸送内視鏡300により保持される同様のものにより生成されることができる。
【0032】
マスター及びスレーブシステム100、200はさらに、ロボットアーム410a、b及び/又はそれと関連する端部エフェクター420a~bが配置/操作もしくは作動されているときに、スレーブシステム200が、接触性/触覚フィードバック信号(たとえば力フィードバック信号)を、マスターシステム100に動的に与えることができるように構成されたものとすることができる。そのような接触性/触覚フィードバック信号は、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bが存在する環境内で、ロボットアーム410a、b及び/又は端部エフェクター420a~bに与える力と関連又は対応する。
【0033】
本開示に従う様々な実施形態は、手術の状況もしくは環境、たとえば、患者もしくは対象者が手術台もしくはプラットフォーム20上に配置されている間に、患者もしくは対象者に対して実行される自然開口部越経管腔的内視鏡手術(NOTES)処置を対象としたものである。そのような実施形態では、スレーブシステム200の少なくとも部分は、手術シアター(OT)又は手術室(OR)内に存在するよう配置される。実施形態の詳細に応じて、マスターシステム100は、OT/ORの内側もしくは外側(たとえば近傍もしくは遠隔)に存在するものとすることができる。マスターシステム100とスレーブシステム200との間の通信は、実施形態の詳細に応じて、(たとえば、ローカル通信ライン及び/又はローカルワイヤレス通信を通じて)直接的に、又は、一以上のネットワーク(たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及び/又はインターネット)により間接的に生じるものとすることができる。
【0034】
図2は、本開示の実施形態に従うマスターシステム100の概略図である。実施形態では、マスターシステム100は、左側及び右側の触覚入力装置110a、bを保持するフレームもしくはコンソール構造102、追加/補助の手動入力装置/ボタンのセット115、足操作式制御装置/ペダルのセット120a~d、ディスプレイ装置130及び、処理モジュール150を含む。フレーム/コンソール構造102は、マスターシステム100が意図される使用環境(たとえばOT/OR又は、その外側または遠隔の部屋、)内に携帯可能/配置可能になるようなホイールのセット104及び、アームサポートのセット112を含むことができる。典型的な内視鏡検査の間、外科医は、彼らの左右の手が左側及び右側の触覚入力装置110a、bを握り、又はそれと接触することができるとともに、彼らの足がペダル120a~dと接触することができるように、マスターシステム100に対して、彼ら自身を配置し又は座る。処理モジュール150は、触覚入力装置110a、b、追加/補助の手動入力装置115及びペダル120a~dから受信される信号を処理するとともに、ロボットアーム410a、b及びそれに対応する端部エフェクター420a~bを操作/配置/制御し、また場合によってはイメージング内視鏡460を操作/配置/制御する目的で、スレーブシステム200に、対応するコマンドを発行する。処理モジュール150はさらに、スレーブシステム200から接触性/触覚フィードバック信号を受信し、そのような接触性/触覚フィードバック信号を、触覚入力装置110a、bへ伝達することができる。処理モジュール150は、計算/処理及び通信資源(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)を含む一以上の処理装置、メモリ/データストレージソース及び、場合によっては、一以上の種類のディスクドライブ及び、シリアル通信ユニット及び/又は、ネットワーク通信ユニット)を、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて含む。
【0035】
図3は、本開示の実施形態に従うスレーブシステム200の概略図である。実施形態では、スレーブシステム200は内視鏡もしくは輸送内視鏡300を含み、これは、軟性長尺シャフト312と、輸送内視鏡300が選択的に/選択可能に連結され得る(たとえば、取り付けられ得る/ドッキングされ得るとともに取り外され得る/ドッキング解除され得る)ドッキングステーション500と、画像サブシステム210と、内視鏡支援機能サブシステム250及び関連するバルブ制御ユニット270と、作動ユニットもしくはモーターボックス600と、メイン制御ユニット800とを有する。様々な実施形態では、スレーブシステム200はさらに、少なくともいくつかのスレーブシステム要素を保持するべく構成されたペイシェント・サイド・カート、台もしくはラック202を含む。ペイシェント・サイド・カート202は典型的には、スレーブシステム200の(OT/OR内の所望の位置での)容易な持ち運び及び配置を促進させるため、ホイール204を含む。
【0036】
手短に言えば、画像サブシステム210は、イメージング内視鏡460により捕捉される光信号の処理及び提示とともに、イメージング内視鏡460への照明の供給もしくは伝達を促進させる。画像サブシステム210は、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて、イメージング内視鏡460により捕捉される画像を(たとえばリアルタイムベースで)提示するべく構成された調整可能なディスプレイ装置220を含む。内視鏡支援機能サブシステム250は、バルブ制御ユニット270と協同して、これもまた関連技術における当業者により容易に理解されるように、通気もしくは陽圧、吸気もしくは陰圧/吸引圧、及び、輸送内視鏡300への洗浄の選択的に制御された供給を促進させる。作動ユニット/モーターボックス600は、モーターコントローラのセットを含むメイン制御ユニット800の制御下で、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bを駆動するべく構成された複数のアクチュエータ及びモーターを与える。
【0037】
メイン制御ユニット800はさらに、マスターシステム100とスレーブシステム200との間の通信を管理し、また、マスターシステムの触覚入力装置110a、bの外科医の操作に直接的に且つ正確に対応する態様で、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bを作動するために、マスターシステム100から受信される入力信号を処理する。複数の実施形態では、メイン制御ユニット800がさらに、前述の接触性/触覚フィードバック信号を生成し、リアルタイムベースで、そのような接触性/触覚フィードバック信号をマスターシステム100に伝える。様々な実施形態では、接触性/触覚フィードバック信号は、輸送内視鏡のシャフト312及び/又は本体部310の内部及び/又は遠位に保持されるセンサー(たとえば、ロボットアーム410又は端部エフェクター420上、その近傍又は概して近傍に保持されるセンサー)を使用することなしに又はそれを抜きにして、輸送内視鏡のシャフト312及び/又は本体部310の近位に配置されるセンサー(たとえば、モーターボックス600内に存在するセンサー)により生成され得る。メイン制御ユニット800は、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて、信号/データ処理、メモリ/データストレージ、及び、信号通信資源(たとえば、一以上のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、場合によってはソリッドステート又は他の種類のディスクドライブ、ならびに、シリアル通信ユニット及び/又はネットワーク・インターフェース・ユニット)を含む。
【0038】
さらに図4A~4Dを参照すると、輸送内視鏡300は本体部もしくはハウジング310を含み、そこから軟性長尺シャフト312が延びる。輸送内視鏡300はさらに内視鏡支援機能コネクターアセンブリ370を含み、それにより、輸送内視鏡の本体部310は、関連技術における当業者により容易に理解される態様で、内視鏡支援機能サブシステム250に連結されることができる。
【0039】
本体部310は、輸送内視鏡300の近位部分、縁部、表面もしくは端部を画定するとともに、多数のアパーチャー、開口部もしくはポートをもたらし、それを通って、輸送内視鏡のシャフト312内でそれに沿って延びるチャンネルもしくは通路がアクセス可能である。様々な実施形態では、本体部310はさらに、輸送内視鏡300用の制御インターフェースをもたらし、それにより、内視鏡医は、輸送内視鏡のシャフト312に対するナビゲーション制御を与えることができる。たとえば、本体部310は、多数の制御要素、たとえば、一以上のボタン、ノブ、スイッチ、レバー、ジョイスティック及び/又は他の制御要素を含むことができ、それにより、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて、輸送内視鏡の作動に対する内視鏡医の制御を促進させる。
【0040】
シャフト312は、輸送内視鏡300の遠位端部で終端し、シャフト312内のチャンネル/通路は、シャフトの遠位端部314に、その近位にもしくはその近傍に配置される開口部もしくはアパーチャーで終端する。様々な実施形態では、輸送内視鏡300により与えられるチャンネル/通路は、通気もしくは陽圧、吸気もしくは吸引圧の供給及び、シャフト312の遠位端部が存在する環境の洗浄を可能にするため、器具チャンネルのセット、さらなる通路を含む。
【0041】
器具チャンネルのセットは、輸送内視鏡300内へ挿入されるとともにそれから引き抜かれることのできる軟性作動アセンブリ400の部分を保持するべく構成された少なくとも一のチャンネルを含む。各作動アセンブリ400は、ロボットアーム410及びそれに対応する端部エフェクター420と、所定のDOFの数に従って、ロボットアーム410及び端部エフェクター420が配置されるとともに操作されることのできる軟性制御要素、腱要素もしくは腱と、作動アセンブリの軟性腱がモーターボックス600内で特定のアクチュエータに機械的に連結されるとともにそれから分離されることのできるインターフェースもしくはアダプターとを含む。様々な実施形態では、各腱は、対応する軟性シース(たとえば螺旋コイル)内に存在する。所定の腱及びそれに対応するシースは、腱/シース要素として規定することができる。多くの実施形態では、作動アセンブリ400はディスポーザブルとすることができる。
【0042】
図4A~4Bに示す実施形態では、所定の作動アセンブリ400a、bは、以下に詳説するように、ロボットアーム410a、b及びそれに対応する端部エフェクター420a~bと、ロボットアーム410a、b及び/又は端部エフェクター420a~bの作動を正確に操作及び制御するための特定の腱要素に張力もしくは機械力が選択的に加えられ得るように、内部で複数の腱/シース要素を保持する軟性長尺外側スリーブ及び/又はコイル402a、bと、外側スリーブ402a、b内の腱をモーターボックス600内で、対応するアクチュエータに機械的に連結させることのできる器具入力アダプター710a、bとを含む。
【0043】
ロボットアーム410a、b、端部エフェクター420a~b及び、外側スリーブ/コイル402a、bの部分は、輸送内視鏡のシャフト312の器具チャンネル内へ挿入されることができ、それにより、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bは、シャフト312の遠位端部314に到達し又は実質的に到達し、それを越えて所定の距離で延びることができる。以下に詳説するように、作動アセンブリの外側スリーブ/コイル402a、bと、それによるロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bは選択的に、移動モジュール、ユニット、ステージもしくは機構により、長手方向に移動され又はサージされる(輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部314に対して遠位側もしくは近位側に変位される)ことができ、それにより、シャフト312の遠位端部314に対するロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bの近位-遠位部分は、内視鏡処置を実行するため、シャフト312の遠位端部314を越える環境内で、シャフト312の遠位端部314から離れた所定の最大距離まで調整することができる。
【0044】
特定の実施形態では、作動アセンブリ400a、bは、端部エフェクター420a~bの遠位端から離れた所定の距離で、外側スリーブ/コイル402a、bの少なくとも一部を取り囲むカラー要素、コレットもしくはバンド430a、bを含む。以下に詳説するように、カラー要素430a、bは、移動機構の受容部(receiver)と嵌め合い係合するよう設計され、それにより、シャフト312の遠位端部に対する所定の距離にわたるカラー要素430a、bの長手方向/サージ移動が、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bの対応する長手方向/サージ移動をもたらす。
【0045】
様々な実施形態では、輸送内視鏡のシャフト312内に設けられるチャンネル/通路はさらに、輸送内視鏡300内に挿入されるとともにそれから引き抜かれることのできる軟性イメージング内視鏡アセンブリ450の部分を保持するよう構成されるイメージング内視鏡チャンネルを含み、ここでは、軟性イメージング内視鏡アセンブリ450は、イメージング内視鏡/画像プローブ部材460の少なくとも部分に対応し、又はそれを含む。作動アセンブリ400a、bについて上述したものと類似する又は概して類似する態様においては、実施形態では、イメージング内視鏡アセンブリ450は、軟性イメージング内視鏡460の外面を取り囲む又はそれを形成する軟性外側スリーブ、コイルもしくはシャフト452と、場合によっては、イメージング内視鏡460の遠位部分が、輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部314で、その近傍で及び/又はそれを越える環境内で、一以上のDOF(たとえば上下動及び/又は揺動運動)に従って選択的に操作され又は配置されることができるように、イメージング内視鏡460に対応する又はその内部の腱のセットを、モーターボックス600内で対応するアクチュエータに機械的に連結させることのできる画像入力アダプター750と、イメージング内視鏡460の電子的及び/又は光学的要素(たとえば光ファイバー)を、画像サブシステム210の画像処理装置に電子的に及び/又は光学的に連結させることのできる画像コネクターアセンブリ470とを含む。たとえば、いくつかの実施形態では、イメージング内視鏡460は、腱を含み又はそれに連結されることができ、それにより、イメージング内視鏡460の遠位端部又は面が、内視鏡処置の間に、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bの順行及び逆行画像を選択的に/選択可能に捉えることができる。いくつかの実施形態では、イメージング内視鏡アセンブリ450はディスポーザブルとすることができる。
【0046】
作動アセンブリ400a、b用のものと同一の、本質的に同一の又は類似の態様で、イメージング内視鏡アセンブリ450の外側スリーブ452及び、それによるイメージング内視鏡460の遠位端部は、移動機構により、輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部314に対して選択的に長手方向移動/サージされることができ、それにより、イメージング内視鏡460の長手方向もしくは近位-遠位位置は、内視鏡処置に関連する所定の近位-遠位距離範囲にわたってシャフト312の遠位端部に、その近傍に及び/又はそれを越えて調整されることができる。多くの実施形態では、イメージング内視鏡アセンブリ450は、イメージング内視鏡450の遠位端部から離れた所定の距離で、イメージング内視鏡アセンブリの外側スリーブ452の少なくとも部分を取り囲むカラー要素430cを含む。カラー要素430cは、移動機構の受容部と嵌め合い係合するべく構成され、それにより、輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部に対する所定の距離にわたるカラー要素430cの長手方向/サージ変位は、イメージング内視鏡460の遠位端部の対応する長手方向/サージ変位をもたらす。
【0047】
先述したように、作動アセンブリ400a、b及びイメージング内視鏡アセンブリ450はそれぞれ、輸送内視鏡300の器具チャンネル及びイメージング内視鏡チャンネル内へ挿入されるとともにそれから引き抜かれるよう構成される。作動アセンブリ400a、b及びイメージング内視鏡アセンブリ450は、内視鏡処置の間に、輸送内視鏡シャフト312の遠位端部314の外側の環境で、その操作に先立ち、輸送内視鏡300内へ十分に挿入されたとき、各カラー要素430a~cは、輸送内視鏡のシャフト312の外側で少なくともそれから僅かに離れた状態で維持され、様々な実施形態では、輸送内視鏡の本体部310の外側で少なくともわずかに離れた状態で、それにより、所定の近位-遠位距離範囲にわたる所定のカラー要素430a~cの長手方向移動もしくはサージ運動は、輸送内視鏡のシャフト312及び/又は本体部310からの干渉なしに、移動ユニットにより自由に生じ得る。
【0048】
したがって、カラー要素430a、bが移動ユニットに対して最も近位の位置に存在するときに、端部エフェクター420a~bが、輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部314に到達し又はほぼ到達するように、各作動アセンブリ400a、bの外側スリーブ/コイル402a、bは、そのカラー要素430a、bの遠位縁部から十分に離れた長さで遠位側に延びる必要がある。同様に、カラー要素430cが移動ユニットに対して最も近位の位置にあるときに、イメージング内視鏡460の遠位端部が、輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部314での、その近位の又はその近くの意図された位置に存在するように、イメージング内視鏡アセンブリの外側スリーブ452は、そのカラー要素430cから十分に離れた長さで遠位側に延びる必要がある。
【0049】
多くの実施形態では、輸送内視鏡300は、二個の作動アセンブリ400a、b、追加の単一のイメージング内視鏡アセンブリ450を保持するよう構成される。各作動アセンブリ400a、bは典型的には、所定のタイプの内視鏡ツールに対応する。たとえば、典型的な実施においては、第一作動アセンブリ400aは、把持具又は同様のタイプの端部エフェクター420aを有する第一ロボットアーム410aを保持することができ、また、第二作動アセンブリ400bは、焼灼へら又は同様のタイプの焼灼端部エフェクター420bを有する第二ロボットアーム410bを保持することができる。
【0050】
特定の実施形態では、輸送内視鏡300は、他の個数の作動アセンブリ400を保持するべく構成されるものとすることができる。さらに、輸送内視鏡300、その内部のチャンネル/通路、一以上の作動アセンブリ400及び/又はイメージング内視鏡アセンブリ450の断面寸法は、対象とする所定のタイプの手術/内視鏡処理及び/又は輸送内視鏡シャフトサイズ/寸法の制約に従って決定、選択もしくは特定することができる。
【0051】
図6Aは、本開示の他の実施形態に従う輸送内視鏡シャフト312の典型的な概略断面図であり、ここでは、その内部のチャンネル/通路は、高い/最大のDOFロボットアーム/端部エフェクター410、420に適合するべく構成された大きな又は最大の断面積/径を有する一次器具チャンネル330と、たとえば従来の把持具のような手動操作型の従来の内視鏡器具/ツールに適合するべく構成されて、一次器具チャンネル330より小さな又は著しく小さな断面積/径を有する二次器具チャンネル360と(たとえば、そのような実施形態では、ロボット作動アセンブリ400及び従来の/手動の作動アセンブリは、輸送内視鏡本体部310内の対応するポート内に挿入されることができる)、イメージング内視鏡460に適合するべく構成されたイメージング内視鏡チャンネル335とを含む。
【0052】
図6Bは、本開示のさらに他の実施形態に従う輸送内視鏡シャフト312の典型的な概略断面図であり、ここでは、その内部のチャンネル/通路は、図6Aの輸送内視鏡シャフトの実施形態と比較して、低減/制限されたDOFロボットアーム/端部エフェクター410a、b、420a~bに適合するべく構成された相対的に(より)小さな断面積もしくは径を有する第一及び第二器具チャンネル332a、bと、イメージング内視鏡460に適合するべく構成されたイメージング内視鏡チャンネル335とを含む。
【0053】
図6A及び6Bに示すもののような輸送内視鏡シャフトの実施形態は、関連技術における当業者により容易に理解される態様で、所定のタイプの内視鏡処置を促進させ、及び/又は、挿管を改善させる目的で、ここでの他の箇所で述べる輸送内視鏡シャフト312より小さな全断面積をもたらすことができる。
【0054】
<典型的な手技セットアップとモーターボックスへ連結するインターフェース>
図7A~9に、イメージング内視鏡アセンブリ450及び一対の作動アセンブリ400a、bを、輸送内視鏡300内に挿入するとともに、モーターボックス600を含むスレーブシステム200の他の部分に連結し又は接続することのできる典型的なセットアップ処置の部分を示す。
【0055】
図7Aに示すように、カラー要素430cより遠位側でそれに対応するイメージング内視鏡アセンブリの外側スリーブ452の部分は、輸送内視鏡の本体部310内に形成された意図された又は適切な寸法のアパーチャーもしくはポート内に挿入されることができ、それにより、イメージング内視鏡460は、輸送内視鏡のシャフト312に沿って、その遠位端部314に対して当初意図された、デフォルトの又は停止される位置に送られるとともに遠位側に前進させられ得る。先に述べたように、イメージング内視鏡アセンブリの外側スリーブ452に連結されたカラー要素430cは、輸送内視鏡のシャフト312の外側にある状態が維持される。より具体的には、図示の実施形態では、カラー要素430cがイメージング内視鏡アセンブリ450の外側スリーブ452が受容されるポートの近位側の所定の距離に存在するように、カラー要素430cは、輸送内視鏡の本体部310の外側にある状態が維持される。画像コネクターアセンブリ470は、たとえば、図7Aに示す態様にて、関連技術における当業者により容易に理解されるように、画像サブシステム210に連結されることができ、それにより、イメージング内視鏡460は、照明を出力するとともに、画像を捉えることができる。
【0056】
図7Bにさらに示すように、イメージング内視鏡アセンブリの画像入力アダプター750は、モーターボックス600の対応する画像出力アダプター650に連結されることができる。そのようなアダプターとアダプターとの連結により、イメージング内視鏡アセンブリの外側スリーブ452の内部の腱のセットは、モーターボックス600内で、一以上のアクチュエータ及びモーターに機械的に連結もしくは結合され得る。そのような腱は、一以上のDOFに従って、イメージング内視鏡460を配置もしくは操作するよう構成される。それ故に、イメージング内視鏡配置制御に関連するモーターボックス600内の一以上のアクチュエータによるイメージング内視鏡アセンブリの腱への張力の適用の結果として、イメージング内視鏡460は、輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部314に対して特定の態様で選択的に配置もしくは操作されることができる。
【0057】
前述したところに加えて、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて、通気もしくは陽圧、吸気もしくは陰圧/吸引圧の供給及び、洗浄を促進させるため、輸送内視鏡の支援機能コネクターアセンブリ370は、たとえば図7Cに示す態様で、内視鏡支援機能サブシステム270に連結されることができる。
【0058】
図8Aを参照すると、輸送内視鏡の本体部310は、ドッキングステーション500にドッキングされ又は取り付けられることができ、また、イメージング内視鏡アセンブリのカラー要素430cは、ドッキングステーション500に関連する移動ユニット510により与えられる対応する受容部もしくはクリップ530c内に挿入されるとともに、それと嵌め合い係合されることができる。イメージング内視鏡アセンブリのカラー要素430cが、対応するクリップ530cに確実に保持されると、さらに詳細を以下に述べるように、たとえば、マスターステーション100での触覚入力装置110a、b又は他の制御装置(たとえばフットペダル)の外科医操作、及び/又は、輸送内視鏡の本体部310上の制御要素の内視鏡医操作に応じて(たとえば、ここでは、イメージング内視鏡460を長手方向に移動/サージすることを対象とする内視鏡医入力より外科医入力を優先させることができる)イメージング内視鏡アセンブリのスリーブ452は、所定の近位-遠位距離範囲にわたって移動ユニット510により、選択的に/選択可能に長手方向に移動もしくはサージされることができる。
【0059】
図8Bを参照すると、上述したところと類似の態様にて、対応する作動アセンブリカラー要素430a、bより遠位側の各作動アセンブリ400a、bの部分は、輸送内視鏡300の本体部310内で、意図された/適切な寸法のポート内に挿入されることができる。その結果として、各ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bは、輸送内視鏡のシャフト312内に送られるとともに、それに沿って遠位側に、シャフトの遠位端部314に対して当初意図された、デフォルトの又は停止される位置に向けて、その位置へ前進させられ得る。各作動アセンブリの外側スリーブ/コイル402a、bにより保持されるカラー要素430a、bは、輸送内視鏡のシャフト312の外側、様々な実施形態では輸送内視鏡の本体部310の外側にある状態が維持され、それにより、各カラー要素430a、bは、作動アセンブリ400a、bの外側スリーブ/コイル402a、bが受容されるポートより近位側の所定の距離に存在する。
【0060】
イメージング内視鏡アセンブリ450用のものに類似する態様では、各作動アセンブリのカラー要素430a、bは、移動ユニット510により与えられる対応する受容部もしくはクリップ530a、b内に挿入されるとともに、それと嵌め合い係合されることができる。そのような各カラー要素430a、bが、その対応するクリップ530a、bにより確実に保持されると、移動ユニット510は、たとえば、マスターステーション100での触覚入力装置110a、bの一方又は両方の外科医操作に応じて、所定の近位-遠位距離範囲にわたる作動アセンブリ400a、bの一方又は両方を(たとえば独立した態様で)、選択的に/選択可能に長手方向に移動させ又はサージさせることができる。
【0061】
図8Cは、ドッキングステーション500に関連する又はそれにより保持される典型的な移動ユニット510と、作動アセンブリ400a、b及びイメージング内視鏡アセンブリ450に対応するカラー要素430a~cが、対応する移動ユニットクリップ530a~cにより保持される典型的な態様を示す概略図である。移動ユニット510は、各作動アセンブリ400a、b及びイメージング内視鏡アセンブリ450に対応する独立して調整可能な/移動可能な移動ステージを含むことができる。典型的な実施形態においては、所定の移動ステージは、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて、対応のクリップ530に、所定の最大距離範囲にわたる長手方向/サージ変位を与えるべく構成されたリニアアクチュエータもしくはボールねじとし、又はそれを含むことができる。
【0062】
図9は、本開示の実施形態に従い、各作動アセンブリの器具入力アダプター710a、bの、モーターボックス600の対応する器具出力アダプター610a、bへの連結を示す概略図である。そのようなアダプターとアダプターの連結により、各作動アセンブリの外側スリーブ/コイル402a、bの内部の腱は、モーターボックス600内で、特定のアクチュエータ及びモーターに機械的に連結され又は結合されることができる。どの所定の作動アセンブリ400でも、そのような腱は、所定のDOFに従い、ロボットアーム410a、b及び対応する端部エフェクター420a、bを配置または操作するべく構成される。それ故に、各作動アセンブリのロボットアーム410a、b及び端部エフェクター402a、bは、ロボットアーム/端部エフェクター位置制御に関連するモーターボックス600内での一以上のアクチュエータ/モーターによる作動アセンブリ400a、b内の腱への張力の選択的な適用の結果として、輸送内視鏡のシャフト312の遠位端部314に対して選択的に配置又は操作されることができる。さらに、そのようなアダプターとアダプターの連結は、内視鏡処置の開始に先立って、各作動アセンブリ400a、b内の腱における意図された、所望の又は所定の張力レベルの設定、再設定又は検証を可能にし(たとえば腱プリテンションレベル)、またいくつかの実施形態では、内視鏡処置の間に、腱張力レベルの調整またはオンザフライ設定を可能にする。また、様々な実施形態では、さらなる詳細を後述するように、器具入力アダプター710a、bが、器具出力アダプター610a、bと係合しておらず、又はそれから係合解除されるとき、そのようなアダプターとアダプターの連結は、アクチュエータアセンブリ腱内で、規定の又は所定の張力レベル(たとえば所定の最小張力レベル)の維持を可能にする。
【0063】
<典型的な入力アダプター及び出力アダプター構造及び連結>
図10は、本開示の実施形態に従う、モーターボックス600の器具出力アダプター610に取り付けられる作動アセンブリの器具入力アダプター710の典型的な内側部分を示す断面斜視図である。図11は、本開示の実施形態に従う、互いに連結され又は嵌め合い係合されたときの器具出力アダプター610及び器具アダプター710の典型的な内側部分を示す対応する概略断面図である。図12A~12Dは、本開示の実施形態に従う、器具出力アダプター610との器具入力アダプター710の係合及び、それからの器具入力アダプター710の係合解除の様々な段階に対応する、器具入力アダプター710により与えられる作動係合構造720の典型的な内側部分及び、その内部の要素の部分を示す概略断面図である。
【0064】
図10を参照すると、実施形態では、器具入力アダプター710は、複数の作動係合構造720、たとえば、器具入力アダプター710が関連する特定の作動アセンブリ400のロボットアーム/端部エフェクター410、420を制御するべく構成された各モーターボックス・アクチュエータ/モーター620用の個々の作動係合構造720を含む。
【0065】
所定の実施形態では、モーターボックス600は、ロボットアーム/端部エフェクター410、420の各DOFを制御するための単一のアクチュエータ/モーターを含み、この場合、器具入力アダプター710は、そのような各DOFに対応する単一の作動係合構造720を含む。そのような実施形態では、どのDOFも、単一の腱(特定のそのシース内に存在する)に対応する。
【0066】
様々な実施形態では、モーターボックス600は、作動アセンブリのロボットアーム/端部エフェクター410、420により与えられる各DOFを制御するためのデュアル又は対をなすアクチュエータ/モーター620を含む。そのような実施形態では、どの所定のDOFも、一対の腱(たとえば、第一シース内に存在する第一腱及び、第二シース内に存在する第二腱)に対応する。この場合、モーターボックス600内の二個のアクチュエータ/モーターは互いに同期して作動され、それにより、所定の対の腱(たとえば第一腱及び第二腱)が、ロボットアーム/端部エフェクター410、420の所定のDOFを制御する。
【0067】
その結果、器具入力アダプター710はそれに応じて、各ロボットアーム/端部エフェクターDOFに対応する一対の作動係合構造720を含む。ロボットアーム/端部エフェクター410、420が六つのDOFに関して配置可能/操作可能である典型的な実施においては、モーターボックス600は、このロボットアーム/端部エフェクター410、420を制御するための12個のアクチュエータ/モーター600a~lを含み、また、器具入力アダプター710は、12個の作動係合構造720a~lを含む。器具入力アダプター710はモーターボックス600を含み、それにより、特定のロボットアーム/端部エフェクターDOFに関して操作可能/配置可能なロボットアーム/端部エフェクターを与えるため、特定の対の作動係合構造720(たとえば、器具入力アダプター710の長さに沿って互いに隣り合う態様で配置される作動係合構造720)が、モーターボックス600内でアクチュエータ/モーター620a~lの対応の対に対応するとともに、それに機械的に連結される。
【0068】
図11、また図12A~12Dに示すように、実施形態では、作動係合構造720は、(a)フレーム部材プラットフォーム724を支持する複数のアーム部材723を有するフレーム部材722であって、前記フレーム部材プラットフォーム724が、フレーム部材722の上側境界を画定し、前記フレーム部材プラットフォーム724が、そのようなアーム部材723と垂直又は直角であるフレーム部材722と、(b)フレーム部材のプラットフォーム724の中心もしくは中央領域を通って上方側に延びるとともに、モーターボックス出力アダプター610の出力ディスク626に向かって下方側に延び、それにより係合することのできる長尺入力シャフト726であって、(たとえば、その長さと平行な垂直方向で)長手方向軸に沿って移動可能な長尺入力シャフト726と、(c)入力シャフト726に取り付けられてその周囲に周方向に配置されるドラム構造730であって、(i)上面、外面及び底面を有するテーパードラム732及び、(ii)ドラム732の底面から離れた所定の距離で、入力シャフト726と垂直又は直角に保持される第一ラチェット要素734を含むドラム構造730と、(d)フレーム部材のプラットフォーム724の下側とドラム732の上面との間で、入力シャフト726の周囲に周方向に配置される弾性付勢要素もしくはスプリング728と、(e)入力シャフト726と垂直又は直角で、その周囲に周方向に配置されるとともに、フレーム部材のプラットフォーム724の下側から離れた所定の距離で、第一ラチェット要素734の下側に配置される第二ラチェット要素744とを含む。様々な実施形態では、第二ラチェット要素744は、入力シャフト726に対して位置固定され、不動であり又は移動できない。
【0069】
ドラム構造は、ドラム732の底面と第一ラチェット要素734の上面との間の空間的間隔を画定するカラー部分733を含む。腱の近位端部は、ドラム構造730の部分(たとえば、第一ラチェット要素734の上面上に保持される圧着固定具/アバットメント)に連結され、結合され又は固定されることができ、また、腱は、ドラム構造のカラー部分733の周囲の周りに強固に巻き付けられることができ、それにより、カラー部分733は、その周りに複数もしくは多数の腱屈曲部を保持する。その反対/遠位端部に向く方向で、カラー部分722の周りに巻き付けられた腱は、アクチュエータアセンブリの外側スリーブ/コイル402の長さに向かって、その内部に且つそれに沿って、端部エフェクター420又は、アクチュエータアセンブリのロボットアーム410上の所定の位置(たとえば、ロボットアームジョイント又はジョイント要素に対する特定の位置)に到達するまで、ドラム構造730から離れて延びることができる。
【0070】
ドラム構造730の回転又は、それに対応した入力シャフト726の回転は、ドラム構造730が回転する方向に応じて、ドラム構造のカラー部分733の周りでの腱の更なる巻き付き、又は、カラー部分733からの腱の部分的な巻き戻しをもたらす。関連技術における当業者により容易に理解される態様で、カラー部分733の周りでの腱の巻き付きは、腱張力の増大をもたらすとともに、アクチュエータアセンブリの外側スリーブ/コイル402内に存在する腱の長さを低減させることができ、また、カラー部分733からの腱の巻き戻しは、腱張力の減少をもたらすとともに、作動アセンブリの外側スリーブ/コイル402内に存在する腱の長さを増大させることができる。それ故に、選択的な腱の巻き付き/巻き戻しは、特定のDOFに対して、ロボットアーム/端部エフェクター410、420の正確な操作/配置を促進させ又は可能にする。
【0071】
より具体的には、各DOF用のデュアルモーター制御をもたらす実施形態では、対応のドラム構造730の同期回転による、特定のDOFに対応する対をなす腱の巻き付き/巻き戻しの同期は、このDOFに従い、ロボットアーム/端部エフェクター410、420の操作/配置をもたらす。そのような同期ドラム構造回転は、更なる詳細を後述するように、作動係合構造入力シャフト726が回転可能に連結される一対のアクチュエータ/モーター620及び対応する出力ディスク626により選択的に/選択可能に生じ得る。
【0072】
器具入力アダプター710が、モーターボックス600の器具出力アダプター610と係合されない又は係合解除されたとき、作動係合構造のスプリング728は、第一又はデフォルト位置の下向きに、作動係合構造のドラム構造730を付勢又は押圧し、それにより、第一ラチェット要素734は、第二ラチェット要素744と強固に嵌め合い係合される。スプリング728がドラム構造730を下向きに付勢するときの、第二ラチェット要素744との第一ラチェット要素734のそのような係合は、図12Aに示されている。第一及び第二ラチェット要素734、744のそのような係合の結果として、ドラム構造730は回転が防止され、それにより、ドラム構造730に対応する腱内での張力が維持され又は保存される(腱内の張力は変化することができない又は十分に変化することができない)。
【0073】
上述したように、作動係合構造の入力シャフト726は、その長手方向軸と平行に又はそれに沿って移動可能である。器具入力アダプター710が、モーターボックス600の器具出力アダプター610上に取り付けられ又は設置されるので、第二ラチェット要素744の下側で入力シャフト726により保持される下側プレート728の底面は、特定のアクチュエータ/モーター620に関連する出力ディスク628の上面により保持される突起部のセットに接触する。それ故に、スプリング728は圧縮されるとともに、それにより保持される入力シャフト726及びドラム構造730は上側に配置されて、図12Bに示すように、ドラム732の上面とフレーム部材のプラットフォーム724との間の距離が減少する。ドラム構造730のそのような上側の移動は、第一ラチェット要素734が、第二ラチェット要素744から係合解除することを引き起こす。これは、器具入力アダプター710が、モーターボックス600の器具出力アダプター上に設置され又は取り付けられるが、入力シャフト726がまだ、アクチュエータ/モーター620の出力ディスク626と回転して、回転可能に/回転して連結されていない状況に対応するものとすることができる。
【0074】
モーターボックス600の器具出力アダプター610上の器具入力アダプター710の取り付けの間、又は、器具入力アダプター710が、(センサーのセットにより検出できるように)器具出力アダプター610上に十分に/強固に取り付けられると、これは、入力シャフト726及びドラム構造730が垂直に上側に移動するとともに、第一及び第二ラチェット要素が互いに係合解除されるようになった状況に対応するが、モーターボックス600内のアクチュエータ/モーター620は、(たとえば制御ユニット800の指示の下で)初期化プロセスを開始する。初期化プロセスの間、出力ディスク628により保持される突起部のセットが、入力シャフトの下側プレート728の底面内で、対応の凹部を受け止め又はそれと嵌め合い係合するまで、各アクチュエータ/モーター620は、その対応する出力ディスク628を回転させる。
【0075】
出力ディスク628により保持される突起部が、入力シャフトの下側プレート728内に形成された対応の凹部を受け止め又はそれと嵌め合い係合すると、入力シャフト726は、図12Cに示す態様で、意図されたアクチュエータ/モーター620に回転して連結される。そのような出力ディスク突起部及び下側プレート凹部が回転して連結されるとき、アクチュエータ/モーター620は、ドラム構造730のカラー部分733の周りの腱の巻き付き及び巻き戻しを選択的に正確に制御し、及び/又は、腱張力を正確に制御することができ、それにより、マスターステーション100で受信される外科医入力に応じて、意図された態様で、ロボットアーム/端部エフェクター410、420を操作/配置する。
【0076】
器具入力アダプター710が、器具出力アダプター610から係合解除され、取り外され又は分離されるとき、スプリング728の除圧は、ドラム構造730の上面を下向きに押圧し、それにより、第一ラチェット要素734は、図12Dに示す態様で、第二ラチェット要素744と嵌め合い係合される。入力シャフト726及びディスク構造730の回転はその後に防止され、それにより、腱張力は、図12Aに関連して上述したものと本質的に同様に又は類似の態様で維持される。
【0077】
他の実施形態では、第一及び第二ラチェット要素734、744は、係合されたときに腱の張力を確実に維持もしくは保持する(係合解除されるまで入力シャフトの長手方向軸に対して腱の巻き付き/巻き戻しを確実に防止する)べく構成された第一及び第二摩擦板734、744又は他のタイプの強固に係合可能な/解除可能な構造(たとえば、対応の雄雌係合要素を有するディスク)として実装され又はそれにより置き換えられることができる。それ故に、係合されたときに腱張力を確実に維持もしくは保持するべく構成されたそのような第一及び第二要素734、744は、腱張力維持要素または回転防止要素と称することができる。
【0078】
<典型的な他のドッキングステーション/移動ユニット構成>
ドッキングステーション500により保持される又はその内部に組み込まれる移動ユニット510は、各作動アセンブリ400a、b及びイメージング内視鏡アセンブリ450の長手方向/サージ変位を(たとえば個別に)可能にする。上述した実施形態では、移動ユニット510は、イメージング内視鏡アセンブリ450又は作動アセンブリ400a、bの外側スリーブ402a~cにより保持される対応するカラー430a~cと嵌め合い係合するべく構成された受容部もしくはクリップ530a~cを含む。また、前述の器具入力アダプター710及び画像入力アダプター750ならびに、モーターボックス600の器具出力アダプター610及び画像出力アダプター650は、ドッキングステーション500から離れて位置する。
【0079】
図13Aに、本開示に従うドッキングステーション500の他の実施形態を示し、ここでは、ドッキングステーション500及びその移動ユニット510は、器具出力アダプター610及び画像出力アダプター650のセットを保持するべく構成され、その上に、器具入力アダプター710及び画像入力アダプター750が取り付けられ又は設置され得る。そのような実施形態では、移動ユニット510の作動ステージは、各器具出力アダプター610を独立して近位側-遠位側に移動させ、それによってそれに連結された各器具入力アダプター710ならびに、画像出力アダプター650を移動させ、それによってそれに連結された画像入力アダプター750を移動させることができ、それにより、ロボットアーム/端部エフェクター410a、b、420a~b及びイメージング内視鏡460が、それに応じて長手方向に移動/サージされることができる。いくつかの実施形態では、各器具出力アダプター610及び画像出力アダプター650は、テザー502のセットによりモーターボックス600に連結されることができ、これは、たとえば、モーターボックス600により保持される追加又は二次出力アダプター構造680のセットに連結され又はそれと結合される。各テザー502は、ここでの説明を考慮すれば関連技術における当業者により容易に理解されるように、機械力を伝達するべく構成された腱のセットに含まれ又はその内部に保持される。
【0080】
図13Bに、本開示に従うドッキングステーション500のさらに他の実施形態を示し、ここでは、ドッキングステーション500は、モーターボックス600を保持するべく構成されており、移動ユニット510は、モーターボックス600内で、アクチュエータ/モーター620のセットの各々を、画像出力アダプター650及び画像入力アダプター750が存在する場合はそれに連結される各器具出力アダプター610及び器具入力アダプター710に沿って、近位側-遠位側に移動させる(特定の又は選択された個々の作動アセンブリ400に対応するアクチュエータ/モーター620を移動させる)べく構成され、それにより、各ロボットアーム/端部エフェクター410a、b、420a~b及びイメージング内視鏡460を独立して長手方向に移動/サージさせる。
【0081】
したがって、図13Bに示すもののような実施形態では、移動ユニット510は、各器具入力アダプター710及び画像入力アダプター750が連結可能な/連結されるアクチュエータ/モーター620を保持し、ここでは、そのようなアクチュエータ/モーター620は、内視鏡処置の間に、各ロボットアーム410a、b及びその対応する端部エフェクター420a~bの選択的な非サージ空間的配置/操作ならびに、それをサポートするそれらの実施形態ではイメージング内視鏡460の選択的な非サージ空間的配置/操作を可能にするよう構成される。移動ユニット510は、アクチュエータ/モーター620の特定のセットもしくはサブセット(及び、それに応じて、それに係合される画像入力アダプター750もしくは器具アダプター710)を選択的に移動させるべく構成され、それにより、最大サージ変位距離(たとえば、約10~15cmまで)内で又はその全域にわたって、所定のロボットアーム/端部エフェクター410a、b、420a~bを長手方向に移動/サージさせる。各ロボットアーム/端部エフェクター410a、b、420a~bに対応するアクチュエータ/モーター620は、移動ユニット510の関連する直線移動ステージ、機構又は装置、たとえば、ボールねじ又はリニアアクチュエータにより、ロボットアーム/端部エフェクターサージ変位を生じさせるように保持されるとともに、選択的に移動されることができる。同様に、イメージング内視鏡460に対応するアクチュエータ/モーター620は、移動ユニット510の他の直線移動ステージ、機構又は装置、たとえば、ボールねじ又はリニアアクチュエータにより、イメージング内視鏡サージ変位を生じさせるように保持されるとともに、選択的に移動されることができる。
【0082】
図13A~13Bに示すもののような実施形態は、腱バックラッシュの量を低減することができ、それにより、モーターボックス600内で、各腱の遠位端部とアクチュエータ/モーター620との間の距離を短縮させることにより、腱張力の意図された/予測可能なレベルもしくは範囲をより正確に維持することができる。図13Bに示すもののような実施形態は、高度に一貫した/予測可能な腱張力レベル/範囲及び、低減され又は最小化された/最小の腱バックラッシュを有するシステム10を与えることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、サージ変位/近位-遠位移動機構500のセットを保持することに加えて、ドッキングステーション500はまた、機構又は装置のセットを保持するべく構成され、これによって、いくつかの又は各々の作動アセンブリ400a、b及び/又はイメージング内視鏡460が、それらの長手方向もしくは中心軸の周りで個々に選択的に回転されることができ、それにより、作動アセンブリ400a、b及び/又はイメージング内視鏡460の選択的な個々のロール運動をそれぞれ可能にする。そのような実施形態では、作動アセンブリ400a、b及び/又はイメージング内視鏡アセンブリ450は、内部ロール運動機構それ自体(たとえば、一以上の内部ロールジョイント)を含む必要がない。むしろ、ロール運動は、それぞれ作動アセンブリ400a、b及び/又はイメージング内視鏡460の外部にある機構もしくは装置により、作動アセンブリ400a、b及び/又はイメージング内視鏡460に与えられることが可能であり/与えられる。
【0084】
典型的な例として、図13Cは、ドッキングステーション500の部分を通る正面断面図であり、これは、対応するロール運動アクチュエータ/モーター525a、c及び/又はそれと関連する精密ディスク、ローラーもしくはギヤに回転可能に連結され又は係合されるクレードルもしくはドラム構造520a~cのセットを保持するよう構成されており、それによって、ロール運動は、各作動アセンブリ400a、b及びイメージング内視鏡460に個々に与えられることが可能である。図示の実施形態では、第一クレードル520aは、図4Bに示すもののように、サージ変位/近位-遠位移動を第一作動アセンブリ400aに選択的に与えるべく構成された第一移動機構510a(たとえばリニアアクチュエータ)を保持し、これは、それに対応する第一器具アダプター710aを含む。より具体的には、先述したものと同様又は類似の態様で、第一移動機構510aは第一器具出力アダプター610a(及びそのアクチュエータ620)を保持し、それに、第一器具入力アダプター710a(及びその作動係合構造720)が係合可能であり/係合される。
【0085】
第一クレードル520aは、第一ロール運動アクチュエータ525aならびに、場合によっては関連するロール運動ディスク、ローラー及び/又はギヤのセットに回転可能に連結又は係合され、それによって、第一クレードル520aは、第一ロール運動アクチュエータ525aの作動に応じて、所定の角度範囲、たとえば+/-180度にわたって正確に回転されることができる。第一クレードル520aの回転軸は、サージ変位が第一作動アセンブリ400aに与えられ得る軸及び、第一作動アセンブリ400aの外側スリーブ402が第一器具アダプター710aと接続する軸と平行である。
【0086】
同様に、第二クレードル520bは、図4Cに示すもののような、第二作動アセンブリ400bにサージ変位/近位-遠位移動を選択的に与えるべく構成された第二移動機構520bを保持し、これは、それに対応する第二器具アダプター710bを含む。より具体的には、上述したものと同様又は類似の態様で、第二移動機構510bは、第二器具出力アダプター610b(及びそのアクチュエータ620)を保持し、それに、第二器具入力アダプター710b(及びその作動係合構造720)が係合可能であり/係合される。第二クレードル520bは、上述したものと同様又は類似の態様で、第二ロール運動アクチュエータ525bならびに、場合によっては関連するロール運動ディスク、ローラー及び/又はギヤに回転可能に連結又は係合され、それによって、第二クレードル520bは、所定の角度範囲(たとえば+/-180度)にわたって正確に回転されることができる。第二クレードル520bの回転軸は、サージ変位が第二作動アセンブリ400bに与えられ得る軸及び、第二作動アセンブリ400bの外側スリーブ402が第二器具アダプター710bと接続する軸と平行である。
【0087】
最後に、第三クレードル520cは、イメージング内視鏡460、たとえば、腱を省略/除外したイメージング内視鏡460又は、上下動、揺動及び/又はピッチ運動を制御もしくは与えるための他のタイプの内部制御要素に、サージ変位/近位-遠位移動を与えるべく構成された第三移動機構510cを保持する。イメージング内視鏡460の近位端部は、画像移動アダプター472に連結されることができ、これは、第三移動機構510Cと取外し可能に接続もしくは係合し、また、それによって、イメージング内視鏡460の電子的及び/又は光学的要素が、画像サブシステム210に連結可能であり/連結される。第三クレードル520cは、上述したものと同様または類似の態様にて、第三ロール運動アクチュエータ525cならびに、場合によっては関連するロール運動ディスク、ローラー及び/又はギヤに回転可能に連結又は係合され、それによって、第三クレードル520cが所定の角度範囲(たとえば+/-180度)にわたって正確に回転されることができる。第三クレードル520cの回転軸は、サージ変位がイメージング内視鏡460に与えられ得る軸及び、イメージング内視鏡460の外側スリーブ452が画像移動アダプター472と接続する軸に平行である。
【0088】
実施形態の詳細によっては、第一、第二及び第三ロール運動アクチュエータ525a~cは個別に、輸送内視鏡本体部310により保持される制御装置のセット及び/又は、マスターシステム100により生成される制御信号に応じて作動され得る。
【0089】
<腱プリテンション/リテンションの典型的側面>
図14Aに、DOF構造ごとの典型的なシングルアクチュエータ/モーター及び、それと関連する潜在的なバックラッシュのような作用を示す。図14Bに、本開示の実施形態に従うDOF構造ごとの典型的なデュアルアクチュエータ/モーターを示す。図14Bに示すように、二個のアクチュエータ/モーターが、各ロボットアーム/端部エフェクターDOFの制御に用いられるとき、好ましくない/望ましくない腱緩み及びバックラッシュのような作用が軽減され得る(たとえば著しく軽減され得る)。
【0090】
各腱は、対応するシース内に存在する。適切かつ精密な腱プリテンションは、腱が、内視鏡処置の間に、より正確で再現可能な態様で制御され得ることを確保する。様々な実施形態では、シースはコイル構造(たとえば螺旋コイル構造)を呈し、それ故に、シースは、スプリング又は、スプリングのような性質を有する。腱とそれに対応するシースとの間の(腱/シース摩擦の結果としての)相互作用は、腱及びそれを取り囲むシースが送られる経路のねじれの知見がなければ正確に予測することができない。それ故に、内視鏡処置の開始前にすぐにどの腱も晒される張力は、処置の実行のために腱及びそれに対応するシースが送られる経路のねじれに依存する。
【0091】
以前のマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステムとは異なり、本開示の実施形態に従うシステムは、作動アセンブリの製造時から正確な腱張力を設定及び維持することを要しない。むしろ、様々な実施形態では、アクチュエータアセンブリ400の製造の一環として、初期最小許容腱プリテンションレベルもしくは範囲が設定されることができ(たとえば腱長さに応じて、約1.0~30.0N)、内視鏡処置の動作に先立って、アクチュエータ/モーター位置及び/又はトルクの調整により正確な腱プリテンションもしくはリテンションが生じ得る。
【0092】
実施形態の詳細によっては、腱プリテンションは、一定もしくは所定のモーターパラメータ(たとえばトルクパラメータ)の適用を含む一定プリテンション技術、又は、モータートルクパラメータのオンザフライ決定を含むアクティブ/ダイナミックプリテンション技術により生じることができ、それにより、内視鏡処置の開始前に、又は、場合によっては内視鏡処置の間に、正確な又はほぼ正確な大きさの張力が腱に加えられ得る。
【0093】
図15は、本開示の実施形態に従う典型的なオフライン/オンラインの一定プリテンション技術、処置又はプロセスの部分を示す図である。この処置は、「オフライン」、すなわち臨床診断前でOT/ORの外部、又は、「オンライン」、すなわち、OT/OR内で、内視鏡検査の実行直前であって、作動アセンブリ400が軟性長尺シャフト312内に挿入されて、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bがその遠位端部に配置された後のいずれかで行われ得る。
【0094】
様々な実施形態では、一対の腱(アクチュエータAに対応する腱A及び、アクチュエータBに対応する腱B)により、選択されたロボットアーム410a/410b及びその端部エフェクター420a/420bの特定のDOFを制御するアクチュエータA及びアクチュエータBによって規定される所定の対のアクチュエータ620では、一定プリテンション技術は、以下の一連の動作、操作又はステップを含む。
1.アクチュエータBの機械的制限から脱して端部エフェクター420a/420bの遠位端を移動させる。
2.アクチュエータBを止めて、アクチュエータBに対応する位置センサー(アクチュエータBのエンコーダー)を監視し始める。
3.アクチュエータAにトルクを加えて、アクチュエータBの位置が変化していることをアクチュエータBの位置センサーが示すまで、アクチュエータAに加えるトルクを増加させる。
4.アクチュエータAに加えるトルクを記録し、必要であればアクチュエータBの静摩擦を差し引く。
5.両方の腱(つまり腱A及び腱B)上の張力を解放する。
6.ステップ1~5を一回以上(たとえば2~10回又はそれ以上)繰り返し、記録されたアクチュエータAに加える平均トルクの半分をとって、アクチュエータA用のプリテンショントルクパラメータを決定又は規定する。
7.それに応じて、アクチュエータAがオフの間、アクチュエータBについてステップ1~6を繰り返す。
8.アクチュエータA及びアクチュエータB用のプリテンショントルクパラメータを決定した後、両方の腱(つまり腱A及び腱B)上の張力を解放し、アクチュエータA用の算出プリテンショントルクパラメータを用いてアクチュエータAにトルクを加えるとともに、アクチュエータB用の算出プリテンショントルクパラメータを用いてアクチュエータBにトルクを加える。
【0095】
実施形態では、オフライン一定プリテンション技術は、様々な典型的なねじれ構造の下での予備実験を行うこと、そのような典型的な腱/シースねじれ構造に対応するアクチュエータ/モータートルク値を測定すること、一以上のねじれ構造に対応する測定トルク値を平均すること、ならびに、特定のねじれ構造に対応する平均トルク値の一以上のセットを(メモリ又はデータ記憶装置内に)保存することを含む。対象とする内視鏡処置の性質及び、それと関連する予期される腱/シースねじれによっては、平均トルク値の適切なセットは、(たとえばメモリ又はデータ記憶媒体から)引き出されて、内視鏡処置の開始直前に作動アセンブリ400が連結されるアクチュエータ/モーター620により、作動アセンブリ400内で腱に加えられることができる。そのような技術は、オンライン又はオンザフライ、すなわち内視鏡処置の直前で適用され得る。オンラインの場合、経路のねじれは既に設定されているので、プリテンションは、特定の経路のために最適化される。
【0096】
図16Aは、本開示の実施形態に従うアクティブプリテンション/リテンション技術、処置又はプロセスの部分の図であり、図16Bは、それに対応するトルクとアクチュエータ/モーター位置の典型的なグラフである。アクティブプリテンション技術は、たとえば、測定張力プロファイル又は曲線の第一及び/又は第二導関数を計算することにより、緩み無し遷移点を決定することを含む。所定の腱では、緩み無し遷移点は自動的にリアルタイムで特定されることができ、また、適切なプリテンション又はリテンションは腱に加えられ得る。作動アセンブリ400が軟性長尺シャフト312内に挿入されて、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bがその遠位端部に配置された後で、内視鏡検査の実行の直前又は、内視鏡検査の間、アクティブプリテンション/リテンション技術はOT/OR内で実行され得る。正確な大きさの張力を加えることは、効率よく近位側から遠位側への力の伝達を確保するために重要である。加えられた張力が小さすぎる場合、腱緩みが生じ、これはバックラッシュのような作用を引き起こし得る。加えられた張力が大きすぎる場合、腱とシースとの間の摩擦を増大させ、これもまたバックラッシュのような作用を引き起こし得る。
【0097】
様々な実施形態では、一対の腱(アクチュエータAに対応する腱A及び、アクチュエータBに対応する腱B)により、選択されたロボットアーム410a/410b及びその端部エフェクター420a/420bの特定のDOFを制御するアクチュエータA及びアクチュエータBにより規定される所定の対のアクチュエータ620では、アクティブプリテンション技術は、以下の一連の動作、操作又はステップを含む。
1.端部エフェクター420a/420bの遠位端を、その機械的制限から脱して移動させる。
2.両方の腱(すなわち腱A及びB)上の張力を解放し、その内部に緩みを生成する。
3.アクチュエータAの位置及びトルクならびに、アクチュエータBの位置及びトルクを監視する間、アクチュエータA及びアクチュエータBに同時にトルクを加えて、両方の腱(すなわち腱A及びB)を同じ速度で引く。
4.たとえば、アクチュエータA及びアクチュエータBの監視された位置及び/又はトルクの第一及び/又は第二導関数を計算することにより、各アクチュエータA及びアクチュエータBについて、センサーデータに基いて緩み無し遷移点を特定する。
5.同時に、(i)アクチュエータAについて決定された緩み無し遷移点に対応する又はそれによって規定されるトルクレベルで、アクチュエータAにトルクを加えることにより、腱Aのプリテンションを設定し、(ii)アクチュエータBについて決定された緩み無し遷移点に対応する又はそれによって規定されるトルクレベルで、アクチュエータBにトルクを加えることにより、腱Bのプリテンションを設定する。
【0098】
アクティブプリテンション処置は、多数の回数(たとえば2~10回又はそれ以上)で繰り返すことができ、それにより、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて、アクチュエータAについての平均緩み無し遷移点及び、アクチュエータBについての平均緩み無し遷移点を得ることができる。
【0099】
図16C~16Fは、図16Aのアクティブプリテンション技術を実行する間の時間に対する、特定のアクチュエータ/モーター対の第一アクチュエータ/モーター(たとえばモーターA)についての測定モーター位置、測定モーター速度、測定モータートルク及び、測定モータートルクの一次導関数をそれぞれ示すグラフ又はプロットである。図16G~16Jは、図16Aのアクティブプリテンション技術を実行する間の時間に対する、対象とするアクチュエータ/モーター対の第二アクチュエータ/モーター(たとえばモーターB)についての測定モーター位置、測定モーター速度、測定モータートルク及び、測定モータートルクの一次導関数をそれぞれ示すグラフ又はプロットである。
【0100】
モーターAでは緩み無し遷移点はT=2.0で生じ、これは、モーターAの速度の低下及び、対応する位置エラーの発生に対応する。このことは、測定モータートルク及び、測定モータートルクの一次導関数のプロットから明らかである。モーターBでは緩み無し遷移点はT=1.7で生じている。モーターA及びモーターBの両方で、その一連の測定値又はプロットから、類似又は同様の特徴を特定することができる。大きな遷移は、図16C~16FではT=3.9で生じ、図16G~16JではT=3.5で生じている。この大きな遷移は、飽和モータートルクに起因するものであり、各アクチュエータ/モーターの緩み無し遷移点に関係するものではない。各緩み無し遷移点は、たとえば、なかでも信号処理、統計分析及び/又は機械学習に関する一以上のアルゴリズム(たとえば、メモリ内に保存されたプログラム命令セット又は、他のコンピュータ可読媒体に対応する)の処理装置の実行により、プログラム命令制御の下で自動的に特定され得る。一以上のそのようなアルゴリズムは、より正確に緩み無し遷移点を特定するため、複数回実行することができる。
【0101】
<典型的なプーリーベースのロールジョイントプリミティブ及び圧着フリーの腱固定>
いくつかの実施形態では、ロボットアーム410は、ロールジョイント又はロールジョイント要素(プリミティブ)を含むことができ、これにより、ロボットアームの一以上の部分が、ロールジョイント/ロールジョイントプリミティブの中心もしくは長手方向軸の周りで回転され又は回ることができる。ロールジョイント/ロールジョイントプリミティブでは、ロールジョイント/ジョイントプリミティブの腱作動に関連する摩擦/すり減りに起因する腱摩耗を軽減もしくは最小化できることが望ましい。外科的処置に対応するもののような様々な実施形態では、さらに、ロールジョイント/ロールジョイントプリミティブにより占有されるスペースの大きさを最小化することが望ましい。
【0102】
ロボット外科用器具の特定の軸は、作動要素に腱を固定するための従来の/伝統的な腱圧着端部の使用を阻止又は防止することのできる寸法制約がある。いくつかの実施形態では、本開示に従い、ロールジョイント/ロールジョイントプリミティブは、ロールジョイント/ロールジョイントプリミティブに腱を固定するための従来の/伝統的な腱圧着端部を除外する。むしろ、本開示の実施形態に従うロールジョイント/ロールジョイントプリミティブの腱作動要素は、構造を固定する圧着フリー腱を含むことができ、これは、(a)腱が移動する巻回又は蛇行した経路又はチャンネル、及び/又は、(b)作動要素それ自体の厚みを通る腱経路(たとえば、作動要素の第一又は外側から、作動要素の厚みの内部又はそれを通って作動要素の第二又は内側を経て、作動要素の厚みを通って作動要素の第一/外側に戻る)に沿う摩擦力により、腱固定をもたらす。
【0103】
図17及び18は、本開示の実施形態に従う、圧着フリーでプーリーベースのロールジョイント又はロールジョイントプリミティブ900の部分を示す概略図であり、これは、摩擦/すり減りによる腱摩耗を軽減又は最小化することができるとともに、ロールジョイント/ロールジョイントプリミティブ900の作動に必要とされる空間体積を軽減/最小化することができる。実施形態では、ロールジョイントプリミティブ900は、それを通る中心又は長手方向軸を有するバレル、バレル構造、ドラム、ドラム構造910と、ドラム910を保持するよう構成されたカラー920a、bのセットと、時計回り作動プーリー930a及び反時計回り作動プーリー430bのような複数のプーリー930a、bであって、ドラム910の外面の上側に配置され、その周りで時計回り作動腱405a及び反時計回り作動腱405bがそれぞれ進行して、それに応じてロールジョイントプリミティブ900が、その中心/長手方向軸の周りで時計回り又は反時計回り方向に回転することのできる複数のプーリー930a、bとを含む。プーリー930は、各プーリー930に対応する中心シャフト932a、bを受容するアーム部材のセット(図示せず)により、ドラム910の外面から離れて支持されることができ、これは、関連技術における当業者に容易に理解される態様で、第一カラー920aと第二カラー920bとの間に延びる。ドラム910の外面は滑らかな、摩耗防止の、光沢の及び/又は潤滑面であり、各カラー920a、bの内面は低摩擦面である。
【0104】
図18に、本開示の実施形態に従う圧着フリー腱固定要素1000を示す。実施形態では、圧着フリー腱固定要素1000は、ロールジョイントドラム910のような所定の作動要素により支持され又はそれにより形成されることができるとともに、所定の腱405が送られ得る対応のオメガ状及び/又はU字状チャンネル、通路もしくは溝をもたらす少なくとも一のオメガ状又はU字状セグメントを含む。たとえば、図17に示すオメガ状圧着フリー腱固定要素1000のような、本開示の実施形態に従う圧着フリー腱固定要素1000は、複数の湾曲/複数の屈曲のある巻回及び/又は蛇行した腱経路を含み、これは、腱張力の増加もしくは変化に応じて、腱滑りを防止するための十分な摩擦点をもたらす。すなわち、本開示の実施形態に従う圧着フリー腱固定要素は、適用される腱作動力より十分に又は著しく大きな全静摩擦レベルを呈し、それにより、腱作動の間の腱滑りが避けられるとともに、従来の腱圧着要素なしで又はその非存在下で、腱405が適当な位置に効果的に固定される。所定の実施形態では、圧着フリー腱固定要素1000はさらに、一以上の領域、箇所又は長さを含むことができ、その内部で又はそれに沿って、接着剤が、腱固定要素の内面に腱405の外面を固定する。
【0105】
前述したところに加えて又はそれに代えて、圧着フリー腱固定要素は、作動要素を通る複数の開口部又は「アイレット」を含むことができ、その内部で且つそれを通って、所定の腱405が送られることができ、それにより、腱405が、作動要素の外面/サイド及び作動要素の内面の両方の上に配置され、又はそれに沿って/それにわたって延設される。
【0106】
本開示の特定の実施形態の側面は、既存のマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステム及び装置に関する少なくとも一の側面、問題、制限及び/又は不都合に対処する。本開示では、特定の実施形態に関する特徴、側面及び/又は利点について説明したが、他の実施形態もまた、そのような特徴、側面及び/又は利点を呈することがあり、そして全ての実施形態が、本開示の範囲内に含まれるために、そのような特徴、側面及び/又は利点を呈することは必要ではない。先に開示したシステム、コンポーネント、プロセス又はその代替手段のいくつかは、他の異なるシステム、コンポーネント、プロセス及び/又は適用内に望ましく組み合せられ得ることが当業者に理解される。また、様々な変更、修正及び/又は改良は、本開示の範囲内で、当業者によって開示される様々な実施形態になされ得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4A-D】
図5
図6A
図6B
図7A-C】
図8A-B】
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図14A-B】
図15
図16A
図16B
図16C-F】
図16G-J】
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタースレーブ内視鏡システムであり、
軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その内部で、作動アセンブリのセットが挿入可能なその長さに沿って配置されたチャンネルのセットを有し、当該複数のチャンネルが第一チャンネル及び第二チャンネルを含む当該内視鏡と、
前記チャンネルのセットにより保持される軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、ならびに、
前記ロボットアームに連結されるとともに、所定の自由度(DOF)の数に従って前記ロボットアーム及びその端部エフェクターの動きを制御するべく構成された複数の腱で、二個の腱が前記ロボットアームの各DOFを制御する当該複数の腱を含む当該軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットと、
各ロボット駆動作動アセンブリに対応するアクチュエータのセットであって、各アクチュエータが、外科医が接触することのできる入力装置のセットにより制御可能であり、各アクチュエータが、前記入力装置のセットに向けた外科医入力に応じて、それに対応するアクチュエータが、前記ロボットアームの各DOFを制御する当該アクチュエータのセットと、
腱プリテンションもしくはリテンション処置を行うべく構成された処理装置であって、それにより、前記ロボット駆動作動アセンブリについて、
前記腱に連結された前記アクチュエータのセットの各アクチュエータの位置及びトルクの少なくとも一つを監視することにより前記腱の緩み状態と緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定し、それにより決定されたトルク遷移点により規定されるトルクレベルで、前記腱に対応するアクチュエータにトルクを作用させること
により、各ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱に張力レベルを自動的に設定する当該処理装置と
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
【請求項2】
各腱について、その前記緩み状態と前記緩み無し状態との間の前記トルク遷移点を動的に決定することが、内視鏡処置の実行直前又はその間に生じる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱について、前記腱に連結された前記アクチュエータのセットの各アクチュエータのトルクを監視することは、軟性長尺シャフトの近位端部に配置された一以上のセンサーによりトルク遷移点を決定することを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱について、前記腱に連結された前記アクチュエータのセットの各アクチュエータの位置を監視することは、軟性長尺シャフトの近位端部に配置された一以上の位置センサーによりトルク遷移点を決定することを備える請求項に記載のシステム。
【請求項5】
各腱について、前記緩み状態と前記緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定することが、
前記腱に対応する腱張力プロファイルを測定すること、及び、
前記腱張力プロファイルの第一導関数及び/又は第二導関数を計算すること
を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
各ロボット駆動作動アセンブリに対応する器具アダプターをさらに備え、ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱を前記アクチュエータのセットに選択的に連結するため、前記器具アダプターが、前記アクチュエータのセットに取り外し可能に連結可能であり、前記器具アダプターが、前記アクチュエータのセットから分離される際に、前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱に作用される張力を維持するべく構成される請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
図1A及び1Bは、本開示の実施形態に従うマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステム10の概略図である。実施形態では、システム10は、関連するマスター側要素を有するマスターもしくはマスター側システム100と、関連するスレーブ側要素を有するスレーブもしくはスレーブ側システム200とを含む。さらに図5を参照すると、様々な実施形態では、マスターシステム100及びスレーブシステム200は、相互の単一の通信用に構成されており、それにより、マスターシステム100は、スレーブシステム200にコマンドを発行することができ、またスレーブシステム200は、(a)スレーブシステム200の内視鏡300(ここでは輸送内視鏡(transport endoscope)300ともいう)により保持ないし支持されるロボットアーム410a、b及び対応する端部エフェクター420a、bのセットと、(b)場合によってはマスターシステム入力に応じて、輸送内視鏡300により保持ないし支持されるイメージング内視鏡又は画像プローブ部材460とを、正確に制御、操縦、操作/配置及び/作動することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
手短に言えば、画像サブシステム210は、イメージング内視鏡460により捕捉される光信号の処理及び提示とともに、イメージング内視鏡460への照明の供給もしくは伝達を促進させる。画像サブシステム210は、関連技術における当業者により容易に理解される態様にて、イメージング内視鏡460により捕捉される画像を(たとえばリアルタイムベースで)提示するべく構成された調整可能なディスプレイ装置230を含む。内視鏡支援機能サブシステム250は、バルブ制御ユニット270と協同して、これもまた関連技術における当業者により容易に理解されるように、通気もしくは陽圧、吸気もしくは陰圧/吸引圧、及び、輸送内視鏡300への洗浄の選択的に制御された供給を促進させる。作動ユニット/モーターボックス600は、モーターコントローラのセットを含むメイン制御ユニット800の制御下で、ロボットアーム410a、b及び端部エフェクター420a~bを駆動するべく構成された複数のアクチュエータ及びモーターを与える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
その結果、器具入力アダプター710はそれに応じて、各ロボットアーム/端部エフェクターDOFに対応する一対の作動係合構造720を含む。ロボットアーム/端部エフェクター410、420が六つのDOFに関して配置可能/操作可能である典型的な実施においては、モーターボックス600は、このロボットアーム/端部エフェクター410、420を制御するための12個のアクチュエータ/モーター620a~lを含み、また、器具入力アダプター710は、12個の作動係合構造720a~lを含む。器具入力アダプター710はモーターボックス600を含み、それにより、特定のロボットアーム/端部エフェクターDOFに関して操作可能/配置可能なロボットアーム/端部エフェクターを与えるため、特定の対の作動係合構造720(たとえば、器具入力アダプター710の長さに沿って互いに隣り合う態様で配置される作動係合構造720)が、モーターボックス600内でアクチュエータ/モーター620a~lの対応の対に対応するとともに、それに機械的に連結される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
図11、また図12A~12Dに示すように、実施形態では、作動係合構造720は、(a)フレーム部材プラットフォーム724を支持する複数のアーム部材723を有するフレーム部材722であって、前記フレーム部材プラットフォーム724が、フレーム部材722の上側境界を画定し、前記フレーム部材プラットフォーム724が、そのようなアーム部材723と垂直又は直角であるフレーム部材722と、(b)フレーム部材のプラットフォーム724の中心もしくは中央領域を通って上方側に延びるとともに、モーターボックス出力アダプター610の出力ディスク628に向かって下方側に延び、それにより係合することのできる長尺入力シャフト726であって、(たとえば、その長さと平行な垂直方向で)長手方向軸に沿って移動可能な長尺入力シャフト726と、(c)入力シャフト726に取り付けられてその周囲に周方向に配置されるドラム構造730であって、(i)上面、外面及び底面を有するテーパードラム732及び、(ii)ドラム732の底面から離れた所定の距離で、入力シャフト726と垂直又は直角に保持される第一ラチェット要素734を含むドラム構造730と、(d)フレーム部材のプラットフォーム724の下側とドラム732の上面との間で、入力シャフト726の周囲に周方向に配置される弾性付勢要素もしくはスプリング728と、(e)入力シャフト726と垂直又は直角で、その周囲に周方向に配置されるとともに、フレーム部材のプラットフォーム724の下側から離れた所定の距離で、第一ラチェット要素734の下側に配置される第二ラチェット要素744とを含む。様々な実施形態では、第二ラチェット要素744は、入力シャフト726に対して位置固定され、不動であり又は移動できない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
ドラム構造は、ドラム732の底面と第一ラチェット要素734の上面との間の空間的間隔を画定するカラー部分733を含む。腱の近位端部は、ドラム構造730の部分(たとえば、第一ラチェット要素734の上面上に保持される圧着固定具/アバットメント)に連結され、結合され又は固定されることができ、また、腱は、ドラム構造のカラー部分733の周囲の周りに強固に巻き付けられることができ、それにより、カラー部分733は、その周りに複数もしくは多数の腱屈曲部を保持する。その反対/遠位端部に向く方向で、カラー部分733の周りに巻き付けられた腱は、アクチュエータアセンブリの外側スリーブ/コイル402の長さに向かって、その内部に且つそれに沿って、端部エフェクター420又は、アクチュエータアセンブリのロボットアーム410上の所定の位置(たとえば、ロボットアームジョイント又はジョイント要素に対する特定の位置)に到達するまで、ドラム構造730から離れて延びることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
より具体的には、各DOF用のデュアルモーター制御をもたらす実施形態では、対応のドラム構造730の同期回転による、特定のDOFに対応する対をなす腱の巻き付き/巻き戻しの同期は、このDOFに従い、ロボットアーム/端部エフェクター410、420の操作/配置をもたらす。そのような同期ドラム構造回転は、更なる詳細を後述するように、作動係合構造入力シャフト726が回転可能に連結される一対のアクチュエータ/モーター620及び対応する出力ディスク628により選択的に/選択可能に生じ得る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
上述したように、作動係合構造の入力シャフト726は、その長手方向軸と平行に又はそれに沿って移動可能である。器具入力アダプター710が、モーターボックス600の器具出力アダプター610上に取り付けられ又は設置されるので、第二ラチェット要素744の下側で入力シャフト726により保持される下側プレート728の底面は、特定のアクチュエータ/モーター620に関連する出力ディスク628の上面により保持される突起部のセットに接触する。それ故に、スプリング728は圧縮されるとともに、それにより保持される入力シャフト726及びドラム構造730は上側に配置されて、図12Bに示すように、ドラム732の上面とフレーム部材のプラットフォーム724との間の距離が減少する。ドラム構造730のそのような上側の移動は、第一ラチェット要素734が、第二ラチェット要素744から係合解除することを引き起こす。これは、器具入力アダプター710が、モーターボックス600の器具出力アダプター上に設置され又は取り付けられるが、入力シャフト726がまだ、アクチュエータ/モーター620の出力ディスク628と回転して、回転可能に/回転して連結されていない状況に対応するものとすることができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
図17及び18は、本開示の実施形態に従う、圧着フリーでプーリーベースのロールジョイント又はロールジョイントプリミティブ900の部分を示す概略図であり、これは、摩擦/すり減りによる腱摩耗を軽減又は最小化することができるとともに、ロールジョイント/ロールジョイントプリミティブ900の作動に必要とされる空間体積を軽減/最小化することができる。実施形態では、ロールジョイントプリミティブ900は、それを通る中心又は長手方向軸を有するバレル、バレル構造、ドラム、ドラム構造910と、ドラム910を保持するよう構成されたカラー920a、bのセットと、時計回り作動プーリー930a及び反時計回り作動プーリー930bのような複数のプーリー930a、bであって、ドラム910の外面の上側に配置され、その周りで時計回り作動腱405a及び反時計回り作動腱405bがそれぞれ進行して、それに応じてロールジョイントプリミティブ900が、その中心/長手方向軸の周りで時計回り又は反時計回り方向に回転することのできる複数のプーリー930a、bとを含む。プーリー930は、各プーリー930に対応する中心シャフト932a、bを受容するアーム部材のセット(図示せず)により、ドラム910の外面から離れて支持されることができ、これは、関連技術における当業者に容易に理解される態様で、第一カラー920aと第二カラー920bとの間に延びる。ドラム910の外面は滑らかな、摩耗防止の、光沢の及び/又は潤滑面であり、各カラー920a、bの内面は低摩擦面である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
本開示の特定の実施形態の側面は、既存のマスタースレーブ軟性内視鏡ロボットシステム及び装置に関する少なくとも一の側面、問題、制限及び/又は不都合に対処する。本開示では、特定の実施形態に関する特徴、側面及び/又は利点について説明したが、他の実施形態もまた、そのような特徴、側面及び/又は利点を呈することがあり、そして全ての実施形態が、本開示の範囲内に含まれるために、そのような特徴、側面及び/又は利点を呈することは必要ではない。先に開示したシステム、コンポーネント、プロセス又はその代替手段のいくつかは、他の異なるシステム、コンポーネント、プロセス及び/又は適用内に望ましく組み合せられ得ることが当業者に理解される。また、様々な変更、修正及び/又は改良は、本開示の範囲内で、当業者によって開示される様々な実施形態になされ得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]マスタースレーブ内視鏡システムであり、
軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その長さに沿ってその内部に配置された第一チャンネル、第二チャンネル及び第三チャンネルを含む複数のチャンネルを有する当該内視鏡と、
前記第一チャンネル内に取外し可能に挿入されるロボット駆動作動アセンブリであって、該ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、及び、
作用する力に応じて前記ロボットアーム及びその端部エフェクターを空間的に操作するべく作動可能な第二の複数の腱
を備える当該ロボット駆動作動アセンブリと、
前記第二チャンネル内に取外し可能に挿入されるイメージング内視鏡と、
前記第三チャンネル内に取外し可能に挿入されるマニュアル駆動作動アセンブリであって、それに連結されるマニュアル作動内視鏡器具を有するマニュアル駆動作動アセンブリと
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
[2]前記ロボット駆動作動アセンブリに連結可能で、その前記第二の複数の腱に力を作用させるべく構成されたアクチュエータの第一セットをさらに備える[1]のシステム。
[3]前記イメージング内視鏡が、前記イメージング内視鏡にサージ変位を与えるべく構成されたアクチュエータに前記イメージング内視鏡を連結可能にするアダプターを備えるイメージング内視鏡アセンブリの一部を備える[2]のシステム。
[4]前記イメージング内視鏡アセンブリがさらに、その内部に保持されて、上下動、揺動及びピッチ運動の少なくとも一つを前記イメージング内視鏡に与えるべく構成されたアクチュエータの第二セットに前記アダプターにより連結される複数の腱を備える[3]のシステム。
[5]前記ロボット駆動作動アセンブリがさらに、アクチュエータの第一セットに取外し可能に連結可能なアダプターを備える[2]のシステム。
[6]前記ロボット駆動作動アセンブリが、所定の自由度(DOF)の数に従って動作するべく構成されており、前記アクチュエータの第一セットが、少なくとも一のDOFに対応する二個のアクチュエータを含む[2]のシステム。
[7]マスタースレーブ内視鏡システムであり、
軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その内部で、作動アセンブリのセットが挿入可能なその長さに沿って配置されたチャンネルのセットを有し、当該複数のチャンネルが第一チャンネル及び第二チャンネルを含む当該内視鏡と、
前記チャンネルのセットにより保持される軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、ならびに、
前記ロボットアームに連結されるとともに、所定の自由度(DOF)の数に従って前記ロボットアーム及びその端部エフェクターの動きを制御するべく構成された複数の腱で、二個の腱が前記ロボットアームの各DOFを制御する当該複数の腱を含む当該軟性ロボット駆動作動アセンブリのセットと、
各ロボット駆動作動アセンブリに対応するアクチュエータのセットであって、各アクチュエータが、外科医が接触することのできる入力装置のセットにより制御可能であり、各アクチュエータが、前記入力装置のセットに向けた外科医入力に応じて、それに対応するロボット駆動作動アセンブリの腱にトルクを選択的に加えるべく構成されており、二個のアクチュエータが、前記ロボットアームの各DOFを制御する当該アクチュエータのセットと、
腱プリテンションもしくはリテンション処置を行うべく構成された処理装置であって、それにより、
(a)前記ロボット駆動作動アセンブリが送られる経路のねじれに対応すると予期される典型的なねじれ構造に関する蓄積トルクパラメータに従い、前記ロボット駆動作動アセンブリの各アクチュエータにトルクを作用させること、又は
(b)前記ロボット駆動作動アセンブリについて、前記腱の緩み状態と緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定し、それにより決定されたトルク遷移点により規定されるトルクレベルで、前記腱に対応するアクチュエータにトルクを作用させること
により、各ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱に張力レベルを自動的に設定する当該処理装置と
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
[8]典型的なねじれ構造に関連する蓄積トルクパラメータに従う前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱にトルクを作用させることが、内視鏡処置の実行前に、又は、前記軟性長尺シャフトのチャンネル内への各ロボット駆動作動アセンブリの挿入後に、作動域の外側で行われる[7]のシステム。
[9]各腱について、その前記緩み状態と前記緩み無し状態との間の前記トルク遷移点を動的に決定することが、内視鏡処置の実行直前又はその間に生じる[7]のシステム。
[10]各腱について、前記緩み状態と前記緩み無し状態との間のトルク遷移点を動的に決定することが、
前記腱に対応する腱張力プロファイルを測定すること、及び、
前記腱張力プロファイルの第一導関数及び/又は第二導関数を計算すること
を備える[7]のシステム。
[11]各ロボット駆動作動アセンブリに対応する器具アダプターをさらに備え、ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱を前記アクチュエータのセットに選択的に連結するため、前記器具アダプターが、前記アクチュエータのセットに取り外し可能に連結可能であり、前記器具アダプターが、前記アクチュエータのセットから分離される際に、前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱に作用される張力を維持するべく構成される[7]~[10]のいずれかのシステム。
[12]マスタースレーブ内視鏡システムであり、
ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、ならびに、
所定の自由度(DOF)の数に従い、前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するべく構成される複数の腱
を備える当該ロボット駆動作動アセンブリのセットと、
各ロボット駆動作動アセンブリに対応するとともにその前記腱に連結される器具アダプターであって、該器具アダプターが、前記ロボット駆動作動アセンブリの複数の腱をアクチュエータのセットに選択的に連結するための機械要素のセットに連結可能であり、該器具アダプターが、
前記ロボット駆動作動アセンブリの各腱に対応する回転シャフトで、該回転シャフトが長手方向軸を有し、前記長手方向軸の周りで周方向に前記腱が巻かれる回転シャフト、ならびに、
各回転シャフトに対応する第一張力維持要素および第二張力維持要素で、前記第一張力維持要素が、選択的な係合のため第二張力維持要素に対して移動可能であるとともに、第二ラチェット要素に対して取外し可能であり、前記器具アダプターが、前記シャフトの回転を防止するべく機械要素のセットから分離され、それによって前記腱の張力レベルが維持されるとき、第一張力維持要素が、第二張力維持要素と嵌め合い係合するべく構成される当該第一張力維持要素および第二張力維持要素
を備える当該器具アダプターと、
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
[13]前記器具アダプターがさらに、該器具アダプターが前記機械要素のセットから分離されるときに、前記第一張力維持要素及び前記第二張力維持要素を係合状態に維持する弾性付勢要素を備える[12]のシステム。
[14]前記器具アダプターが前記機械要素に連結されて、前記シャフトが回転可能であるとき、前記第一張力維持要素を前記第二張力維持要素から分離させるため、前記弾性付勢要素が、前記シャフトに対して移動可能である[12]又は[13]のシステム。
[15]前記第一張力維持要素及び前記第二張力維持要素がそれぞれ、ラチェット要及び摩擦板の一つを備える[12]又は[13]のシステム。
[16]前記アクチュエータのセットが、少なくとも一のDOFに対応する二個のアクチュエータを含み、前記ロボット駆動作動アセンブリの前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するため、各DOFについて、前記器具アダプターが、周囲に第一腱が周方向に巻き付けられる第一回転シャフトと、周囲に第二腱が周方向に巻き付けられる第二回転シャフトとを含む[12]又は[13]のシステム。
[17]マスタースレーブ内視鏡システムであり、
軟性長尺シャフトが延びる本体部を有する内視鏡であって、前記軟性長尺シャフトが、その近位端部と遠位端部との間の長さにわたり、前記軟性長尺シャフトが、その内部で、作動アセンブリのセットが挿入可能なその長さに沿って配置されたチャンネルのセットを有し、当該複数のチャンネルが第一チャンネル及び第二チャンネルを含む当該内視鏡と、
ロボット駆動作動アセンブリのセットであって、各ロボット駆動作動アセンブリが、
ロボットアームでそれに連結されるロボット駆動端部エフェクターを有する当該ロボットアーム、
前記ロボットアームに連結されて、所定の自由度(DOF)の数に従って前記ロボットアーム及び前記端部エフェクターの運動を制御するべく構成される複数の腱、ならびに、
前記複数の腱の周囲を取り囲む外側スリーブ
を備える当該ロボット駆動作動アセンブリのセットと、
各ロボット駆動作動アセンブリに対応し、その腱に連結される第一器具アダプターであって、前記第一器具アダプターが、前記ロボット駆動作動アセンブリの前記複数の腱を、ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに選択的に連結するための機械要素のセットに連結可能である当該第一器具アダプターと、
各ロボット駆動作動アセンブリを、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って独立して移動させ、それにより、前記ロボット駆動作動アセンブリのサージ変位をもたらすべく構成される移動機構であって、前記移動機構が、
(a)前記ロボット駆動作動アセンブリのセットの各外側スリーブにより保持されるカラー、ならびに、
ロボット駆動作動アセンブリの外側スリーブを嵌合状に受容するべく構成された受容部、及び、
各受容部に対応するとともに前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って前記受容部を選択的に移動させるべく構成されたリニアアクチュエータ
を備える移動ユニットと、
(b)前記第一器具アダプターに対応する前記ロボット駆動作動アセンブリの腱を、ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに連結するため、各第一器具アダプターが嵌め合い係合可能な第二器具アダプター、ならびに、
第一器具アダプター及び、それに嵌め合い係合可能な第二器具アダプターのそれぞれを保持するとともに、個々のロボット駆動作動アセンブリのサージ変位を生じさせるよう嵌め合い係合された各第一器具アダプター及び各第二器具アダプターを、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って移動させるべく構成された移動ユニットと、
(c)ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセット及び、個々のロボット駆動作動アセンブリのサージ変位を生じさせるべくそれに連結された第一器具アダプターを各々、前記軟性長尺シャフトの長さの所定部分に沿って移動させるべく構成された移動ユニットと
の一つを備える移動機構と
を備えるマスタースレーブ内視鏡システム。
[18]各第二器具アダプターが、内部に複数の腱を有するテザーにより、前記ロボットアーム/端部エフェクター操作アクチュエータのセットに連結される[17]のシステム。
[19]前記内視鏡の前記本体部の一部が取外し可能に係合可能なドッキングステーションをさらに備え、前記移動機構が前記ドッキングステーションにより保持される[17]又は[18]のシステム。
[20]ドッキングステーションを保持するペイシェント・サイド・カートをさらに備[18]又は[19]のシステム。
[21]前記移動機構を保持するクレードルのセットをさらに備え、前記クレードルのセットの各クレードルが個々のロボット駆動作動アセンブリに対応し、前記クレードルのセットの各クレードルが、ロール軸の周りに前記クレードル及びその対応するロボット駆動作動アセンブリを個別に回転させるべく構成されるロール運動アクチュエータに連結されて、前記ロボット駆動作動アセンブリの前記ロボットアーム及び端部エフェクターに、ロール運動を与える[17]のシステム。
[22]前記内視鏡の前記本体部の一部が取外し可能に係合可能なドッキングステーションをさらに備え、前記ドッキングステーションが、前記移動機構及び前記クレードルのセットを保持する[21]のシステム。
[23]ドラム構造を含むロールジョイントを備え、前記ドラム構造がそれを通る中心軸を有し、前記ロールジョイントが、それにより連結保持された腱の作動に応じて、前記中心軸の周りに前記ロボットアームの部分を回転させるべく構成されており、前記ロールジョイントは、その上の、ロールジョイントに腱を固定するための腱圧着端部を除く腱制御ロボットアーム。
[24]前記ドラム構造が外面を含み、前記ロールジョイントが、
前記外面により保持されて、前記ロールジョイントを時計回り方向に回転させるために時計回り作動腱が通って延びるチャンネルを有する時計回り作動プーリーと、
前記外面により保持されて、前記ロールジョイントを反時計回り方向に回転させるために反時計回り作動腱が通って延びるチャンネルを有する反時計回り作動プーリーと
を備える[23]のロボットアーム。
[25]前記ドラム構造が、前記ロールジョイントの回転を制御するための腱が送られることが可能な対応のオメガ状もしくはU字状チャンネル、通路もしくは溝をそれぞれ与える少なくとも一のオメガ状もしくはU字状セグメントを備える[23]のロボットアーム。
[26]前記ドラム内に形成されたアイレットのセットをさらに備え、それを通って前記腱が送られて、前記腱が、前記ドラムの外面上及び前記ドラムの内面上のそれぞれに配置される[25]のロボットアーム。
[27]前記腱の外面を前記ドラムの部分に固定する接着剤をさらに備える[26]のロボットアーム。
[28]前記ドラム構造が、腱を、前記ドラムの外側から前記ドラムの厚み内でそれを通って前記ドラムの内側へ至り、前記ドラムの前記厚みを通って前記ドラムの外側へ戻る腱選択経路に沿って保持する[23]のロボットアーム。
【外国語明細書】