(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050500
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】超音波キャビテーションを使用した除染デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/22 20060101AFI20220323BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20220323BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20220323BHJP
A61L 9/04 20060101ALI20220323BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A61L2/22
A61L9/01 E
A61L9/16 Z
A61L9/04
A61L9/01 F
A61L9/01 M
A61L2/18 102
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213217
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2020533627の分割
【原出願日】2017-12-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519142734
【氏名又は名称】トミー エンバイロンメンタル ソリューションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TOMI Environmental Solutions,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】シェイン ホルダン ステュアート
(72)【発明者】
【氏名】ケイトウ ジョニー サリヴァン
(72)【発明者】
【氏名】リウ チャールズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高密閉状態で囲まれた環境において、より容易に使用可能であるとともに、より強い致死力をもち、機械の保守をより簡単としながら、大きい空間における開放された表面での使用に対する能力を保った除染デバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】洗浄流体の超音波キャビテーションを使用して、非熱的プラズマアクチュエータにより活性化され得る低圧低空気流量のミストを生成し、細菌および他の病原微生物を含む病原体のいる物品、開放された表面、または実質的に囲まれた空間を除染する能力のある活性化ヒドロキシル種の雲を生成することにより、実質的に囲まれた環境を除染するための方法および装置。自動システムおよび関連する非一時的コンピュータ媒体がさらに開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、前記方法が、
漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴を含むミストへと、洗浄流体を剪断するステップであって、前記洗浄流体が超音波キャビテーションにより剪断され、前記洗浄流体が、前記物品または前記実質的に囲まれた空間の除染のための活性種の源として0.3%から9%の過酸化水素を含み、前記活性種が、ヒドロキシルイオンである、剪断するステップと、
前記ミストの前記エアロゾル液滴により運ばれるプラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータによる影響下に前記ミストをさらすステップであって、前記プラズマ活性化イオン粒子が、ヒドロキシルイオンである、さらすステップと、
高電圧の作用により前記ミストを散布するステップと、
前記物品または前記実質的に囲まれた空間を前記プラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップと、
を含み、
前記プラズマ活性化イオン粒子が前記物品、表面、または前記実質的に囲まれた空間に接触した後、前記プラズマ活性化イオン粒子が再結合して二原子酸素または水を形成する、
方法。
【請求項2】
前記プラズマ活性化イオン粒子の粒子寸法が、使用される超音波周波数または超音波キャビテーターの数に応じて変えられることが可能な、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エアロゾル液滴が、0.5から20ml/分の間の流量で流出管を通る、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エアロゾル液滴が、1から4ml/分の間の流量で流出管を通る、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ミストが、0.07インチから1インチの間の直径をもつ集束する噴霧パターンに形成された、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ミストが、2インチから6インチの間の直径をもつ錐形噴霧パターンに形成された、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ミストが、最大12インチ幅のファン形噴霧パターンに形成された、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
接触させる前記ステップが、前記実質的に囲まれた空間において発生する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
使用される超音波キャビテーターの数が、前記実質的に囲まれた空間の寸法に基づいて調節されることが可能であり、前記エアロゾル液滴が、1から4ml/分の間の流量で、前記実質的に囲まれた空間内にポンプ搬送される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記物品が、除染される前記実質的に囲まれた空間に位置する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記物品が、二酸化塩素、エチレンオキシド、オゾン、プロピレンオキシド、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、または、それらの組み合わせを含む除菌剤ガスにさらにさらされる、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記物品が、医療デバイスまたは動物組織材料である、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記実質的に囲まれた空間が、部屋またはテントを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記部屋または前記テントが、5から5000立方フィートの間の容積をもつ、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、物品、囲まれた空間、および、囲まれていない空間を除染するための装置および方法に関し、より具体的には、このような場所の微生物学的除染に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物学的な種が人々のいる環境に広く分布している。ほとんどの微生物学的な種は他の生きている生物に危害を加えないので、ほとんどの微生物学的な種はほとんど懸念がない。しかし、他の微生物学的な種は、人間または動物に感染し、人間または動物に危害を及ぼし得る。有害な微生物学的生物を除去または無力化することは長く注目を集めてきた。薬剤および医療デバイスは除菌されて、除菌容器にパッケージ化される。有害な微生物学的生物が、ある患者から別の患者に広がることができないように、例えば手術室、病棟、および検査室といった医療環境が様々な洗浄工程により除染される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
微生物学的生物を制御するための多くの利用可能な技術は、生物戦争およびバイオテロリズムの公衆衛生状況における有用性に限界がある。さらに、これらの事例を解決する現在の技術は、高密閉状態で囲まれた環境におけるそれらの有効性に限界がある。高密閉状態で囲まれた環境において、より容易に使用可能であるとともに、より強い致死力をもち、機械の保守をより簡単としながら、大きい空間における開放された表面での使用に対する能力を保った新しいアプローチが必要とされる。本発明はこの要求を満たし、関連する利点をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の一態様は、物品、表面、または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴を含むミストへと、洗浄流体を剪断するステップであって、洗浄流体が超音波キャビテーションにより剪断される、剪断するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;物品、表面、または実質的に囲まれた空間をプラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップとを含む方法に関する。
【0005】
本出願の1つの他の態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、洗浄流体を含む実質的に閉じたチャンバ内に沈められた超音波キャビテーターを使用して洗浄流体にキャビテーションを起こさせることによりエアロゾル液滴を含むミストへと、洗浄流体を剪断するステップと;実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部における開口から延びた流出管内において非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップであって、流出管が、プラズマ活性化イオン粒子を形成するようにエアロゾル液滴を吐出するための上部チャンバ部の上方の遠位開口を含む中空管腔を備える、さらすステップと;物品または実質的に囲まれた空間をプラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップとを含む方法に関する。
【0006】
本出願の別の一態様は、漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバと;近位端と遠位端とを備える超音波キャビテーターであって、近位端が、底部チャンバ部に接続されており、遠位端が、チャンバ内部に延びており、キャビテーターが、共鳴周波数において材料を振動させることにより複数の剪断された流体粒子を生成する圧電トランスデューサーを備える、超音波キャビテーターと;側部チャンバ部に供給する流入管であって、剪断された流体粒子が洗浄流体を通って、および液体・空気界面を越えて上向きに流れて、上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴のミストを形成するように、洗浄流体が底部チャンバ部内に受動的に位置して超音波キャビテーターの遠位端を沈め得るように、管が構成された、流入管と;上部チャンバ部における開口から延びた流出管であって、流出管が、エアロゾル液滴を吐出するための上部チャンバ部の上方の遠位開口を含む中空管腔を備える、流出管と;遠位開口に近接した1つまたは複数の電極を備える非熱的プラズマアクチュエータであって、電極が、物品、表面、または実質的に閉じた空間を除染するためのプラズマ活性化イオン粒子を形成するようにエアロゾル液滴を活性化させる高電圧パルスを生成するように構成された、非熱的プラズマアクチュエータとを備える、除染装置に関する。
【0007】
本出願のさらなる態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、洗浄流体の容器内に超音波キャビテーターを沈めるステップと;超音波キャビテーターにより生成された超音波振動を使用して洗浄流体にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体がキャビテーションを起こさせられながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;プラズマ活性化イオン粒子を病原体に接触させるステップとを含む、方法である。
【0008】
本出願の1つの他の態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;プラズマ活性化イオン粒子を病原体に接触させるステップとを含む、方法である。
【0009】
本出願の追加的な態様は、洗浄流体の容器と;超音波キャビテーターであって、超音波キャビテーターが、容器内に沈められる、超音波キャビテーターと;非熱的プラズマアクチュエータであって、アクチュエータが、容器から生成されたミストを活性化する、非熱的プラズマアクチュエータと;非熱的プラズマアクティベーターを容器に接続する経路と;外部管であって、外部管が、非熱的アクチュエータを外部雰囲気に接続する、外部管と;を備え、容器から生成されたミストが漏斗を通ってアクチュエータまで通り得、さらに、ミストがアクチュエータにより活性化された後に、ミストが外部管を通って外部雰囲気まで通り得る、物品または実質的に囲まれた空間を除染するための装置である。
【0010】
本出願のさらなる態様は、実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、方法が、センサーを使用して実質的に囲まれた空間の雰囲気中における空気で運ばれる病原体の存在を検出するステップと;センサーからネットワーク接続されたコンピュータプロセッサに空気で運ばれる病原体の存在を通信するステップと;空気で運ばれる病原体が実質的に囲まれた空間に存在することを、ネットワーク接続されたコンピュータプロセッサから除染装置に通信するステップと;除染装置の除染サイクルを有効化するステップとを含み;除染サイクルが、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;空気で運ばれる病原体にプラズマ活性化イオン粒子を接触させるステップと;を含む、方法である。
【0011】
本出願の追加的な態様は、実質的に囲まれた空間を除染するためのシステムであって、システムが、空気で運ばれる病原体に対するセンサーであって、センサーが、コンピュータプロセッサとネットワーク通信する、センサーと;コンピュータプロセッサであって、コンピュータプロセッサが、センサーおよび除染装置とネットワーク通信する、コンピュータプロセッサと;除染装置と;を備え、除染装置が、コンピュータプロセッサとネットワーク通信し、さらに、除染装置が、洗浄流体の容器と、超音波キャビテーターであって、超音波キャビテーターが、容器内に沈められた、超音波キャビテーターと、非熱的プラズマアクチュエータであって、アクチュエータが、容器から生成されたミストを活性化する、非熱的プラズマアクチュエータと、非熱的プラズマアクティベーターを容器に接続する経路と、外部管であって、外部管が、非熱的アクチュエータを外部雰囲気に接続する、外部管と;を備え、容器から生成されたミストが、漏斗を通ってアクチュエータまで通り得、さらに、ミストがアクチュエータにより活性化された後に、ミストが、外部管を通って外部雰囲気まで通り得る、システムである。
【0012】
本出願のさらに違うさらなる態様は、除染装置の除染サイクルを繰り返すための命令を提供する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令が、実質的に囲まれた空間における病原体の存在を検出することと;コンピュータデータベースに病原体の存在を通信することと;コンピュータデータベースを使用して実質的に囲まれた空間において検出された病原体を同定することと;病原体の同定結果に基づいてコンピュータデータベースから除染サイクルのプログラムを選択することと;選択されたプログラムを除染装置に通信することであって、除染装置が、プログラムに自動的に従うようにネットワーク接続された、通信することと;プログラムに従って除染サイクルを実施することと;を含み、各除染サイクルが、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;空気で運ばれる病原体にプラズマ活性化イオン粒子を接触させるステップと;を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【0013】
本出願のさらなる態様は、実質的に囲まれた空間を、二酸化塩素、エチレンオキシド、オゾン、プロピレンオキシド、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、または、それらの組み合わせを含む除菌剤ガスにさらすステップを含む方法である。いくつかの実施形態において、洗浄流体は、6%から9%の間の濃度における過酸化水素を含む。特定の実施形態において、洗浄流体は、約7.8%の濃度における過酸化水素を含む。いくつかの実施形態において、物品または実質的に閉じた空間は、未処置のコントロールに比べて、生存可能な細菌または生存可能な細菌胞子の6-log10より多くの低減を提供するのに十分な量のプラズマ活性化イオン粒子にさらされる。特定の実施形態において、物品、表面、または実質的に閉じた空間は、未処置のコントロールに比べて7-log10より多くの細菌または細菌胞子を殺すのに十分な量のプラズマ活性化イオン粒子にさらされる。他の実施形態において、物品、表面、または実質的に閉じた空間は、未処置のコントロールに比べて8-log10より多くの細菌または細菌胞子を殺すのに十分な量のプラズマ活性化イオン粒子にさらされる。別の実施形態において、物品、表面、または実質的に閉じた空間は、未処置のコントロールに比べて9-log10より多くの細菌または細菌胞子を殺すのに十分な量のプラズマ活性化イオン粒子にさらされる。
【0014】
本出願の別の一態様は、漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバと;近位端と遠位端とを備える超音波キャビテーターであって、近位端が、底部チャンバ部に接続されており、遠位端が、チャンバ内部に延びており、キャビテーターが、共鳴周波数において材料を振動させることにより複数の剪断された流体粒子を生成する圧電トランスデューサーを備える、超音波キャビテーターと;側部チャンバ部に供給する流入管であって、剪断された流体粒子が洗浄流体を通って、および液体・空気界面を越えて上向きに流れて、上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴のミストを形成するように、洗浄流体が底部チャンバ部内に受動的に位置して超音波キャビテーターの遠位端を沈め得るように、管が構成された、流入管と;上部チャンバ部における開口から延びた流出管であって、流出管が、エアロゾル液滴を吐出するための上部チャンバ部の上方の遠位開口を含む中空管腔を備え、中空管腔の寸法が、液滴の流れを制御するように制限された、または、シャッターが、液滴の流れを制御するために使用される、流出管と;遠位開口に近接した1つまたは複数の電極を備える非熱的プラズマアクチュエータであって、電極が、物品、表面、または実質的に閉じた空間を除染するためのプラズマ活性化イオン粒子を形成するようにエアロゾル液滴を活性化させる高電圧パルスを生成するように構成された、非熱的プラズマアクチュエータとを備える、除染装置である。特定の実施形態において、超音波キャビテーターは、超音波信号生成器に接続的にリンクされている。特定の実施形態において、超音波キャビテーターは、直径が5μmから50μmの間のエアロゾル液滴を生成するように構成されている。
【0015】
別の実施形態において、超音波キャビテーターの遠位端は、圧電ディスクを備え、圧電トランスデューサーは、洗浄流体を剪断する表面として圧電ディスクの表面を振動させるように構成されている。さらなる一実施形態において、超音波キャビテーターの遠位端は、噴霧ノズルを備え、圧電トランスデューサーは、洗浄流体を剪断する表面としてノズルの金属表面を振動させるように構成されている。特定の実施形態において、管が、洗浄流体を含む容器を支持するハウジングに接続される。特定の実施形態において、共鳴周波数は、25kHzから200kHzの間である。他の実施形態において、噴霧ノズルは、直径が0.07インチから1インチ(1インチ=25.4ミリメートル)の間の噴霧パターンをもつ集束する噴霧パターンを生成する。特定の実施形態において、噴霧ノズルは、直径が2インチから6インチの間の錐形噴霧パターンを生成する。さらなる実施形態において、噴霧ノズルは、最大12インチ幅のファン形噴霧パターンを生成する。別の実施形態において、複数の超音波噴霧ノズルが内部チャンバ部内に位置する。他の実施形態において、非熱的プラズマアクチュエータは、誘電体バリア放電(DBD:dielectric barrier discharge)、カスケード誘電体バリア放電、容量放電、グライディングアーク放電、抵抗バリア放電、プラズマジェット、パルススパーク放電、グロー放電、または、それらの組み合わせを備える。特定の実施形態において、非熱的プラズマ生成器は、ボリュメトリックDBD(VDBD:volumetric DBD)または表面DBD(SDBD:surface DBD)である。
【0016】
特定の実施形態において、電源として、DC電源、高周波AC電源、RF電源、マイクロ波電源、パルス状DC電源、および、パルス状AC電源が挙げられる。特定の実施形態において、洗浄流体は、液体を含む。さらなる実施形態において、洗浄流体は、過酸化水素、過酢酸、過炭酸ナトリウム、または、それらの組み合わせを含み、任意選択的にさらに、洗浄流体は、オゾン、アルケン、アルデヒド、または、ハロゲンを含むフリーラジカルプロテクションを高める成分を含む。追加的な実施形態において、チャンバは、より大きいチャンバ内に位置し、非熱的プラズマアクチュエータの周囲に延びた管状壁により、より大きいチャンバに接続されており、およびプラズマ活性化イオン粒子がより大きいチャンバの上部におけるサブチャンバ内に吐出されて、その中に位置する少なくとも1つの物品を除染することを可能にするように構造的に構成される。特定の実施形態において、少なくとも1つの物品として、医療デバイスまたは動物組織材料が挙げられる。特定の実施形態において、サブチャンバは、除菌剤ガスに少なくとも1つの物品をさらすための除菌剤ガス源をさらに備える。他の実施形態において、除菌剤ガスは、二酸化塩素、エチレンオキシド、オゾン、プロピレンオキシド、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、または、それらの組み合わせを含む。別の実施形態において、サブチャンバは、紫外光に少なくとも1つの物品をさらす手段をさらに備える。
【0017】
別の実施形態において、ハウジングは、可動カートをさらに備え、管状壁、噴霧ノズル、および、電極は、可動カートの外面から延びている。特定の実施形態において、可動カートは、二酸化塩素、エチレンオキシド、オゾン、プロピレンオキシド、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、または、それらの組み合わせからなる群から選択された除菌剤ガスを生成する手段をさらに備える。さらなる実施形態において、可動カートは、金属スクラバーボックス、ブロワ、および、炭素活性化フィルタをさらに含み、金属スクラバーボックスは、ブロワが、炭素活性化フィルタを通して空気を引き込むように構造的に構成されており、スクラバーは、調和して作用するハウジング、ブロワ、およびフィルタにより形成されている。特定の実施形態において、可動カートは、フィルタに蓄積したプラズマ活性化イオン粒子を壊すために炭素活性化フィルタに紫外光を当てる手段をさらに備える。
【0018】
本出願のさらなる態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、洗浄流体の容器内に超音波キャビテーターを沈めるステップと;超音波キャビテーターにより生成された超音波振動を使用して洗浄流体にキャビテーションを起こさせるステップと、エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体がキャビテーションを起こさせられながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;プラズマ活性化イオン粒子を病原体に接触させるステップとを含む方法である。特定の実施形態において、病原体は細菌である。
【0019】
本出願の別の一態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;プラズマ活性化イオン粒子を病原体に接触させるステップとを含む方法である。特定の実施形態において、力は超音波振動を使用して印加される。特定の実施形態において、超音波振動は、超音波ウエハにより生成される。
【0020】
本出願の別の一態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染するための装置であって、洗浄流体の容器と;超音波キャビテーターであって、超音波キャビテーターが、容器内に沈められた、超音波キャビテーターと;非熱的プラズマアクチュエータであって、アクチュエータが、容器から生成されたミストを活性化する、非熱的プラズマアクチュエータと;漏斗であって、漏斗が、非熱的プラズマアクティベーターを容器に接続する、漏斗と;外部管であって、外部管が非熱的アクチュエータを外部雰囲気に接続する、外部管と;を備え、容器から生成されたミストが漏斗を通ってアクチュエータまで通り得、さらに、ミストがアクチュエータにより活性化された後に、ミストが外部管を通って外部雰囲気まで通り得る、装置である。
【0021】
本出願のさらなる態様は、実質的に囲まれた空間を除染するための方法であって、方法が、センサーを使用して実質的に囲まれた空間の雰囲気中における空気で運ばれる病原体の存在を検出するステップと;センサーからネットワーク接続されたコンピュータプロセッサに空気で運ばれる病原体の存在を通信するステップと;空気で運ばれる病原体が実質的に囲まれた空間に存在することをネットワーク接続されたコンピュータプロセッサから除染装置に通信するステップと;除染装置の除染サイクルを有効化するステップと;を含み、除染サイクルが、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと、空気で運ばれる病原体にプラズマ活性化イオン粒子を接触させるステップと;を含む、方法である。
【0022】
本出願のさらなる態様は、実質的に囲まれた空間を除染するためのシステムであって、システムが、空気で運ばれる病原体に対するセンサーであって、センサーが、コンピュータプロセッサとネットワーク通信する、センサーと;コンピュータプロセッサであって、コンピュータプロセッサが、センサーおよび除染装置とネットワーク通信する、コンピュータプロセッサと;除染装置と;を備え、除染装置が、コンピュータプロセッサとネットワーク通信し、さらに、除染装置が、洗浄流体の容器と;超音波キャビテーターであって、超音波キャビテーターが、容器内に沈められた、超音波キャビテーターと;非熱的プラズマアクチュエータであって、アクチュエータが、容器から生成されたミストを活性化する、非熱的プラズマアクチュエータと;漏斗であって、漏斗が、非熱的プラズマアクティベーターを容器に接続する、漏斗と;外部管であって、外部管が非熱的アクチュエータを外部雰囲気に接続する、外部管と;を備え、容器から生成されたミストが漏斗を通ってアクチュエータまで通り得、さらにミストがアクチュエータにより活性化された後にミストが外部管を通って外部雰囲気まで通り得る、システムである。
【0023】
本出願の別の一態様は、除染装置の除染サイクルを繰り返すための命令を提供する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令が、実質的に囲まれた空間における病原体の存在を検出することと;コンピュータデータベースに病原体の存在を通信することと;コンピュータデータベースを使用して実質的に囲まれた空間において検出された病原体を同定することと;病原体の同定結果に基づいてコンピュータデータベースから除染サイクルのプログラムを選択することと;選択されたプログラムを除染装置に通信することであって、除染装置が、プログラムに自動的に従うようにネットワーク接続された、通信することと;プログラムに従って除染サイクルを実施することと;を含み、各除染サイクルが、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;空気で運ばれる病原体にプラズマ活性化イオン粒子を接触させるステップと;を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【0024】
本出願のさらなる態様は、より適切なイオン化を提供するように規定の速度におけるパルスを使用するアークコンバーターを含むデバイスである。
【0025】
本出願のこれらの態様および実施形態ならびに他の態様および実施形態は、以下の詳細な記述を添付の図面および請求項と関連させて考慮しながら参照することでより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】活性化洗浄流体ミストを使用して生化学的エージェントを変性させるための概括的なアプローチのブロックフロー図である。
【
図2】アクティベーターがミスト生成器の近位に位置する状態における、生物学的エージェントを変性させるための装置の第1の実施形態の概略図である。
【
図3】アクティベーターがミスト生成器から離れて位置する状態における、生物学的エージェントを変性させるための装置の第2の実施形態の概略図である。
【
図4】近接したアクティベーターと離れたアクティベーターとの両方を含む、生物学的エージェントを変性させるための装置の第3の実施形態の概略図である。
【
図8】加熱、通気、および空調ダクトシステムのための除染装置を示す。
【
図9】人により呼吸される空気のための除染装置を示す。
【
図10A】洗浄流体源40とミスト生成器42とが最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70を介してリンクされている、デバイス要素の構成を示す。
【
図10B】洗浄流体源40がミスト生成器42に接続されており、続いてミスト生成器42が、最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70を介してミスト搬送ユニット72にリンクされている、デバイス要素の構成を示す。
【
図10C】ミスト生成器42が最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70に搭載された、デバイス要素の構成を示す。
【
図10D】ミスト生成器42が最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70に搭載されたミスト搬送ユニット72に供給する、デバイス要素の別の構成を示す。
【
図11A】少なくともミスト生成器42と電圧源52とがポータブルハウジング内に収容された一実施形態を示す。ハウジングに搭載され得るか、または遠隔ユニットであるミスト搬送ユニット72に、ミスト生成器が機能的に接続されている。
【
図11B】ポータブル容器内に収容されたミスト生成器42および電圧源52を示し、ユニット全体が、手持ち式である、別の装置に搭載されている、または、別の機械またはロボットにより保持されている/別の機械またはロボットに搭載されているものであり得る。
【
図11C】ミスト生成器42と電圧源52とが例えばバックパックといった装着型容器内に収容された例示的な実施形態を示す。
【
図12A】ミスト生成器として超音波ウエハ78または超音波噴霧器を備える除染デバイスを示す。
【
図12B】モバイル/無線/遠隔制御デバイス84が例えば噴霧器82といった本開示の除染デバイスに機能的に接続されたシステムを図示している。
【
図12C】システムの実施形態を図示しており、システムは、制御デバイス84により制御される、および、有線または無線手段により噴霧器82間においてさらに通信する例えば噴霧器といった複数の除染デバイスを備える。個々の噴霧器82からの情報は、一緒に、または個々に制御デバイス84にフィードバックされ得る。例えば、2つの異なる噴霧器82により放出される適用量が、異なる時点において開始または完了し得、データは独立して報告され得る。
【
図13A】
図13A~
図13Bは、制御デバイス84により制御される1つのミスト生成器42を含む(
図13A)、または複数の(
図13B)ミスト生成器42を含む同様のシステムを示し、制御デバイス84は、エリアまたは表面の処置に関連した外部源にデータ94をさらに提供する。
【
図13B】
図13A~
図13Bは、制御デバイス84により制御される1つのミスト生成器42を含む(
図13A)、または複数の(
図13B)ミスト生成器42を含む同様のシステムを示し、制御デバイス84は、エリアまたは表面の処置に関連した外部源にデータ94をさらに提供する。
【
図14】ミスト生成器42、洗浄流体源40、およびミスト搬送ユニット72がセンサー98にさらに接続されたシステムを示す。
【
図15】電圧源52と、プラズマアクチュエータ76に接続された少なくとも1つのダイオード/コンデンサ102とを備える、フリーラジカルを形成するための例示的な整流器を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
複数の図面にわたって、同じ参照符号および文字は、別段の記載がない限り、示される実施形態の類似した特徴、要素、コンポーネント、または部分を表すために使用される。さらに、本開示が図を参照しながら以下で詳細に説明されるが、本開示は例示的な実施形態に関連してそのように説明されており、図面および添付の特許請求の範囲に示される特定の実施形態により限定されない。
【0028】
添付の構造および図に例を示しながら、本出願の特定の態様および例示的な実施形態が詳細に参照される。本出願の態様は、方法、材料、および例を含む例示的な実施形態と組み合わされて説明され、このような説明は限定するものではなく、本出願の範囲は概して知られた、または、本明細書に組み込まれたすべての同等なもの、代替例、および修正例を包含することを意図したものである。本出願における教示に関連して、本出願で説明されている任意の発効された特許、係属中の特許出願、または特許出願の公開公報が本明細書に参照により明示的に組み込まれる。
【0029】
別段の定めがない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語および科学用語は、開示される方法および構成物が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味をもつ。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、英語の「a(不定冠詞)」、「an(不定冠詞)」、および「the(定冠詞)」という単数形に対応した表現は、文脈上、他の意味に明示的に規定される場合を除いて複数形による言及を含むことに留意されなければならない。したがって、例えば、英語の「a(不定冠詞)」の付いた「ペプチド」に対応した表現への言及は、「1つまたは複数の」ペプチドまたは「複数」のこのようなペプチドを含む。
【0030】
本明細書において「おおむね(約)」ある特定の値から、および/または、「おおむね(約)」別の特定の値までとして範囲が表記される場合がある。このような範囲が記載されている場合、別の実施形態は、そのようなある特定の値から、および/または、そのような他の特定の値までを含む。同様に、値が近似として記載されている場合、「おおむね(約)」という先行詞の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。範囲のうちの各々のものの端点が両方とも他方の端点に関連して、および、他方の端点とは無関係に有意であることがさらに理解される。本明細書において開示されている多くの値が存在すること、および、各値がその値自体に加えて「おおむね(約)」その特定の値としても本明細書に開示されていることがさらに理解される。例えば、「10」という値が開示されている場合、結果的に「約10」も開示されている。ある値が「その値以下」と開示されている場合、当業者により適切に理解されるように、「その値以上」および、値間の取り得る範囲も開示されていることがさらに理解される。例えば、「10」という値が開示されている場合「10以下」および「10以上」も開示されている。
【0031】
本明細書において使用されるとき、「除染」という用語は、病原体を無力化し、またはエリアまたは物品から病原体を除去するように機能することを意味する。本明細書において使用されるとき、「病原体」という用語は、細菌、酵母、原生動物、または他の病原微生物を含むが、これらに限定されない。「病原体」という用語は、標的バイオテロ病原体も包含する。
【0032】
本明細書において使用されるとき、「細菌」という用語は、細胞壁をもつが細胞小器官および構成された核を含まない単細胞微生物の大きいグループのメンバーを意味することとする。細菌の同義語として、「微生物」、「マイクローブ」、「ジャーム」、「バシラス」、および「原核生物」という用語が挙げられ得る。例示的な細菌として、マイコバクテリウム属の種(Mycobacterium species)、例えば、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(結核菌、M.tuberculosis);スタフィロコッカス属(ブドウ球菌属)の種(Staphylococcus species)、例えば、スタフィロコッカス・エピデルミディス(表皮ブドウ球菌、S.epidermidis)、スタフィロコッカス・アウレウス(黄色ブドウ球菌、Staphylococcus aureus)、およびメチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、methicillin-resistant Staphylococcus aureus);ストレプトコッカス属(レンサ球菌属)の種(Streptococcus species)、例えば、ストレプトコッカス・ニューモニエ(肺炎球菌、S.pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(化膿レンサ球菌、S.pyogenes)、ストレプトコッカス・ミュータンス(ミュータンスレンサ球菌、S.mutans)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(S.agalactiae)、ストレプトコッカス・エクウィ(S.equi)、ストレプトコッカス・カニス(S.canis)、ストレプトコッカス・ボビス(S.bovis)、ストレプトコッカス・エクウィヌス(S.equinus)、ストレプトコッカス・アンギノーサス(S.anginosus)、ストレプトコッカス・サングイス(S.sanguis)、ストレプトコッカス・サリバリウス(S.salivarius)、ストレプトコッカス・ミティス(S.mitis);他の病原性レンサ球菌性の種(pathogenic Streptococcal species)、例えば、エンテロコッカス属の種(Enterococcus species)、例えば、エンテロコッカス・フェカーリス(E.faecalis)、およびエンテロコッカス・フェシウム(E.faecium);ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、シュードモナス属の種(Pseudomonas species)、例えば、シュードモナス・エルギノーサ(緑膿菌、P.aeruginosa)、シュードモナス・シュードマレイ(類鼻疽菌、P.pseudomallei)、シュードモナス・マレイ(鼻疽菌、P.mallei);サルモネラ属の種(Salmonella species)、例えば、サルモネラ・エンテロコリティス(S.enterocolitis)、サルモネラ・チフィリウム(ネズミチフス菌、S.typhimurium)、サルモネラ・エンテリティディス(腸炎菌、S.enteritidis)、サルモネラ・ボンゴリ(S.bongori)、サルモネラ・コレレスイス(ブタコレラ菌、S.choleraesuis);シゲラ属の種(Shigella species)、例えば、シゲラ・フレックスネリ(S.flexneri)、シゲラ・ソネイ(S.sonnei)、シゲラ・ディゼンテリエ(志賀赤痢菌、S.dysenteriae)、シゲラ・ボイディ(S.boydii);ブルセラ属の種(Brucella species)、例えば、ブルセラ・メリテンシス(マルタ熱菌、B.melitensis)ブルセラ・スイス(ブタ流産菌、B.suis)ブルセラ・アボルタス(ウシ流産菌、B.abortus)ブルセラ・パータシス(B.pertussis);ナイセリア属の種(Neisseria species)、例えば、髄膜炎菌(N.meningitidis)、淋菌(N.gonorrhoeae);エシェリキア・コリ(大腸菌、Escherichia coli)、例えば、エンテロトキシジェニック・エシェリキア・コリ(毒素原性大腸菌、enterotoxigenic E. coli)(ETEC);ビブリオ・コレラエ(コレラ菌、Vibrio cholerae)、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌、Helicobacter pylori)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クロストリジウム・デフィシレ(Clostridium difficile)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、モラクセラ属の種(Moraxella species)、例えば、モラクセラ・カタラーリス(M.catarrhalis)、カンピロバクター属の種(Campylobacter species)、例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni);コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium species)、例えば、コリネバクテリウム・ジフテリエ(ジフテリア菌、C.diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(C.ulcerans)、コリネバクテリウム・シュードツベルクロシス(ヒツジ偽結核菌、C.pseudotuberculosis)、C.pseudotuberculosis)、コリネバクテリウム・シュードジフテリティクム(偽ジフテリア菌、C.pseudodiphtheriticum)、コリネバクテリウム・ウレアリティクム(C.urealyticum)、コリネバクテリウム・ヘモリティクム(C.hemolyticum)、コリネバクテリウム・エクイ(C.equi);リステリア・モノサイトゲネス(リステリア菌、Listeria monocytogenes)、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、バクテロイデス属の種(Bacteroides species)、アクチノミセス属の種(Actinomycetes species)、トレポネーマ・パリダム(梅毒トレポネーマ、Treponema pallidum)、レプトスピロサ属の種(Leptospirosa species)、クレブシエラ・ニューモニエ(肺炎桿菌、Klebsiella pneumoniae);プロテウス属の種(Proteus sp.)、例えば、プロテウス・ヴルガリス(Proteus vulgaris);セラチア属の種(Serratia species)、アシネトバクター(Acinetobacter)、エルシニア属の種(Yersinia species)、例えば、エルシニア・ペスチス(ペスト菌、Y.pestis)、および、 エルシニア・シュードツベルクロシス(偽結核菌、Y.pseudotuberculosis);フランシセラ・ツラレンシス(野兎病菌、Francisella tularensis)、エンテロバクター属の種(Enterobacter species)、バクテロイデス属の種(Bacteriodes species)、レジオネラ属の種(Legionella species)、ボレリア・ブルグドルフェリ(ライム病ボレリア、Borrelia burgdorferi)などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において使用されるとき、「標的バイオテロ病原体」という用語は、炭疽菌(anthrax)(バシラス・アントラシス(Bacillus antracis))、ペスト(plague)(エルシニア・ペスチス(ペスト菌、Yersinia pestis))、および、野兎病(フランシセラ・ツラレンシス(野兎病菌、Franciscella tularensis)を含むが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において使用されるとき、「ウイルス」という用語は、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、ノロウイルス、およびレトロウイルスを含み得るが、これらに限定されない。ウイルスの例としてヒト免疫不全ウイルス1型および2型(HIV-1およびHIV-2)、ヒトT細胞白血病ウイルスI型およびII型(HTLV-IとHTLV-II)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、G型肝炎ウイルス(HGV)、パルボウイルスB19ウイルス、A型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、輸血伝達性ウイルス(TTV)、エプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス1型(HCMV-1)、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)、ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)、A型インフルエンザウイルス、例えば、H1N1亜型およびH5N1、ヒトメタニューモウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス、ハンタウイルス属のウイルス、および、アレナウイルス科のRNAウイルス(例えばラッサ熱ウイルス(LFV))、ニューモウイルス科(例えばヒトメタニューモウイルス)、フィロウイルス科(例えばエボラウイルス(EBOV)、マールブルグウイルス(MBGV)、およびジカウイルス);ブニヤウイルス科(例えばリフトバレー熱ウイルス(RVFV)、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV)、およびハンタウイルス属のウイルス);フラビウイルス科(西ナイルウイルス(WNV)、デング熱ウイルス(DENV)、黄熱ウイルス(YFV)、GBウイルスC(GBV-C;正式にはG型肝炎ウイルス(HGV)として知られる);ロタウイルス科(例えばロタウイルス属のウイルス)、および、それらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、対象者は、HIV-1またはHIV-2に感染している。本明細書において使用されるとき、「菌類」という用語は、正式には葉緑素を含まない植物に分類される、腐生の、および寄生の、胞子を作る、真核生物の、典型的には線維状の生物の群の任意のメンバーを意味することとし、例えば、カビ、サビ菌、ウドンコ病菌、黒穂病菌、マッシュルーム、および酵母である。例示的な菌類として、アスペルギルス属の種(Aspergillus species)、皮膚糸状菌(Dermatophytes)、ブラストミセス・デリナティティディス(Blastomyces derinatitidis)、カンジダ属の種(Candida species)、例えば、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)、および、カンジダ・クルーセイ(C.krusei);癜風菌(Malassezia furfur)、エクソフィアラ・ウェルネキイ(Exophiala werneckii)、ピエドライア・ホルタイ(Piedraia hortai)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、シュードアレシェリア・ボイジイ(Pseudallescheria boydii)、マズレラ・グリセア(Madurella grisea)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、スポロトリクス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、白癬の種(Tinea species)、例えば、癜風(T.versicolor)、足白癬(T.pedis)、爪白癬(T.unguium)、股部白癬(T.cruris)、頭部白癬(T.capitus)、体幹白癬(T.corporis)、須毛白癬(T.barbae);トリコフィトン属の種(白癬菌属の種、Trichophyton species)、例えば、トリコフィトン・ルブルム(T.rubrum)、トリコフィトン・インターディジタル(T.interdigitale)、トリコフィトン・トンスランス(T.tonsurans)、トリコフィトン・ビオラセウム(T.violaceum)、トリコフィトン・ヤウンデイ(T.yaoundei)、トリコフィトン・シェーンライニイ(T.schoenleinii)、トリコフィトン・メグニニイ(T.megninii)、トリコフィトン・ソウダネンセ(T.soudanense)、トリコフィトン・エクイヌム(T.equinum)、トリコフィトン・エリナセイ(T.erinacei)、および、トリコフィトン・ベルコースム(T.verrucosum);マイコプラズマ・ジェニタリア(Mycoplasma genitalia); ミクロスポルム属の種(小胞子菌属の種、Microsporum species)、例えば、ミクロスポルム・オーズイニイ(M.audouini)、ミクロスポルム・フェルルギネウム(M.ferrugineum)、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、ミクロスポルム・ナヌム(M.nanum)、ミクロスポルム・ディストルタム(M.distortum)、ミクロスポルム・ギプセウム(M.gypseum)、ミクロスポルム・フルブム(M.fulvum)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において使用されるとき、「原生動物」という用語は、主に単細胞である、単独で存在する、または、コロニーに集合する、通常光合成をしない、および、多くの場合、例えば、仮足をもつ原生動物、鞭毛、または繊毛によるといった、それらの能力および運動性の手段に従って門にさらに分類される、真核生物の多様な群の任意のメンバーを意味することとする。例示的な原生動物として、プラスモジウム属の種(Plasmodium species)、例えば、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、プラスモディウム・ビバックス(三日熱マラリア原虫、P.vivax)、卵形マラリア原虫(P.ovale)、および、四日熱マラリア原虫(P.malariae);リーシュマニア属の種(Leishmania species)、例えば、森林型熱帯リーシュマニア(L.major)、熱帯リーシュマニア(L.tropica)、ドノバン・リーシュマニア(L.donovani)、リーシュマニア・インファンタム(小児リーシュマニア、L.infantum)、リーシュマニア・シャガシ(L.chagasi)、メキシコ・リーシュマニア(L.mexicana)、リーシュマニア・パナメンシス(L.panamensis)、ブラジル・リーシュマニア(L.braziliensis)、および、リーシュマニア・ギアネンシ(L.guyanensi);クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)、イソスポーラ・ベリ(戦争イソスポーラ、Isospora belli)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、および、サイクロスポーラ属の種(Cyclospora species)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書において使用されるとき、「物品」という用語は、病原体による汚染にさらされ得る任意の固体のアイテムまたは物体を意味する。本明細書において使用されるとき、「実質的に囲まれた空間」という用語は、実質的に囲まれた、および、病原体による汚染にさらされ得る部屋、テント、建物、または任意の人工の構造物を意味する。「実質的に囲まれた空間」という用語は、本明細書において示されている実施形態が、好ましくは人工の構造物の除染を対象とし得る場合であっても、人工の構造物に限定されない。
【0036】
本明細書において使用されるとき、「センサー」という用語は、装置または表面における、または実質的に閉じた空間における汚染を検出することに適した任意の種類のセンサーを表し得る。センサーの例として、光センサー、ボルタイックセンサー、重量センサー、湿度センサー、圧力センサー、または、任意の種類のバイオセンサーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書において使用されるとき、「剪断」という用語は、粒子のグループが流体相においてミストに転移するまで、液体粒子を、剪断された粒子の活性化した独立したサブグループとして動く、および流れる離散したグループに断片化するように力を使用した処理を表す。本明細書において使用されるとき、「ミスト」という用語は、エアロゾル液滴の雲を意味する。本明細書において使用されるとき、「エアロゾル」という用語は、約1マイクロメートルから約20マイクロメートルの直径をもつ微細な液滴のコロイドである。
【0038】
本明細書において使用されるとき、「洗浄流体」という用語は、物品または実質的に囲まれた空間を除染するために使用される活性種の源を表す。好ましい活性種は、ヒドロキシルイオンであり、好ましい源は過酸化水素である。源は、代替的に、反応または分解時にヒドロキシルイオンを生成するより複雑な種であってよい。このようなより複雑な種の例として、過酢酸(CH2COO--OH+H2O)、過炭酸ナトリウム(2Na2CO3+3H2O2)、および、グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)(CH8O2)が挙げられる。洗浄流体は、生物学的微生物に対するその攻撃を達成することにおいて活性種を補助する促進種をさらに含んでよい。このような促進種の例として、エチレンジアミン四酢酸塩、イソプロピルアルコール、酵素、脂肪酸、および酸が挙げられる。洗浄流体は、任意の使用可能なタイプのものである。洗浄流体は、活性化可能な種を含有しなければならない。好ましい洗浄流体は、後の活性化のためのヒドロキシルイオン(OH-)の源を含む。このような源は、過酸化水素(H2O2)またはヒドロキシルイオンを生成する前駆体種であってよい。ヒドロキシルイオンの他の源が必要に応じて使用されてよい。ヒドロキシルイオンの他の使用可能な源の例として、過酢酸(CH2COO--OH+H2O)、過炭酸ナトリウム(2Na2CO3+3H2O2)、およびグルテルアルデヒド(CH8O2)が挙げられる。他の活性化可能な種、および、このような他の活性化可能な種の源が使用されてよい。
【0039】
洗浄流体は、例えばヒドロキシルイオンといった、それら自体が活性化可能な種の源ではないが、代わりに、何らかの有益な手法により除染反応を変える促進種をさらに含んでよい。例として、金属イオンを結合し、および、活性化された種が細胞壁をより容易に破壊することを可能にするエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA:ethylenediaminetetraacetate);細胞に対するミストの濡らしを改善する、例えばイソプロピルアルコールといったアルコール;活性化された種が細胞壁を攻撃する酸化還元反応を高速化または強化する酵素;補助抗菌物質として機能し、およびフリーラジカルと結び付いて残留した抗菌作用を引き起こし得る脂肪酸;および、酸化還元反応を高速化または強化し、およびpH感応生物に対する補助抗菌種として機能し得る、例えばクエン酸、乳酸、またはシュウ酸といった酸が挙げられる。様々な活性化可能な種と様々な促進種との混合物も同様に使用されてよい。洗浄流体は、好ましくは水溶液であるが、例えばアルコールといった有機化合物における溶液であってよい。洗浄流体源は、洗浄流体自体の源、または、化学的に反応または分解して洗浄流体を生成する洗浄流体前駆体の源であってよい。
【0040】
本明細書において使用されるとき、「非熱的プラズマアクチュエータ」という用語は、時間の経過とともに非活性化状態に戻る(「再結合」と呼ばれる過程)活性化状態、例えばイオン化、プラズマ、またはフリーラジカル状態に洗浄流体を活性化するアクチュエータを意味する。活性化を達成するために、アクティベーターは、例えば電気エネルギーまたはフォトニックエネルギーといった活性化エネルギーを生成する。フォトニックエネルギーは、レーザーにより生成され得る。アクティベーターの例として、AC電界、ACアーク、DC電界、パルス状DC電界、DCアーク、電子ビーム、イオンビーム、マイクロ波ビーム、ラジオ周波ビーム、および紫外光ビームが挙げられる。アクティベーターは、所望の、通常は最大の、活性化洗浄流体ミストの再結合時間を達成するように活性化エネルギーの振幅、周波数、波形、または他の特性を調整する調整器を含んでよい。本明細書において使用されるとき、「プラズマ活性化イオン粒子」という用語は、活性化されたOH-イオンを意味する。
【0041】
本明細書において使用されるとき、「超音波キャビテーション」という用語は、例えば洗浄流体といった流体にキャビテーションを起こさせる超音波音の使用を意味する。超音波キャビテーションは、高圧超音波噴霧器、超音波ノズル、または超音波ウエハが挙げられる当業者に知られた範囲の方法およびデバイスにより流体に適用され得る。本明細書において使用されるとき、「超音波」という用語は、20kHzより高い任意の周波数を含む、可聴範囲より高い音の周波数を意味する。
【0042】
本明細書において使用されるとき、「超音波キャビテーター」という用語は、洗浄流体における超音波キャビテーションを実施するために使用されるデバイスを意味する。超音波キャビテーターの例として、高圧超音波噴霧器、超音波ノズル、または超音波ウエハが挙げられる。例えば、高圧超音波噴霧器は、50barから400barの圧力において液体粒子をミスト状にしてエアロゾル液滴を生成する。超音波ノズルは、圧電トランスデューサーにより生成された高周波振動を使用して液体にキャビテーションを起こさせる噴霧ノズルである。好ましい実施形態は超音波ウエハを使用する。一実施形態において、超音波ウエハは、超音波周波数において振動して水滴を生成するセラミックス振動板である。別の実施形態において、超音波ウエハは、高周波において振動して液体にキャビテーションを起こさせる小さい金属プレートである。当業者は、超音波キャビテーターの選択は、本出願の範囲に対する限定ではないことを理解する。
【0043】
活性化洗浄流体ミストを使用して除染するための方法および装置
【0044】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,969,487号に開示されているように、除染を実施する方法は、活性化洗浄流体ミストを生成するステップであって、洗浄流体ミストの少なくとも一部が活性化状態にある、生成するステップと、活性化洗浄流体ミストを除染される位置に接触させるステップとを含む。
【0045】
図1は、除染を実施する好ましい方法を示す。活性化洗浄流体ミストが生成される(符号20)。任意の使用可能なアプローチが使用されてよく、好ましいアプローチが
図1のステップ20内に示されている。洗浄流体の源が提供される(符号22)。洗浄流体は、好ましくは、環境気圧の空気中において力またはエネルギーの任意の手段により気化されてミストを形成し得る液体である。液体洗浄流体が1気圧またはわずかに高い圧力において貯蔵され得るのに対し、気体状態の洗浄流体は、通常、加圧状態での貯蔵を必要とする。洗浄流体の源は、反応する、分解する、または、洗浄流体を別様に生成する洗浄流体の前駆体、例えば、固体、液体、または気体であってもよい。
【0046】
活性化可能な種および促進種(存在する場合)を含有した洗浄流体ミストが生成される(符号24)。洗浄流体ミストを生成するミスト生成器は、任意の使用可能なタイプのものであってよい。好ましい例において、洗浄ミストまたは蒸気は、気化した洗浄流体の微細な液滴である。液滴は、好ましくは、約1マイクロメートルから約20マイクロメートル程度の直径をもつようにおおよそ一様に寸法決めされる。試作品の研究において様々な種類のミスト生成器が使用されてきた。
【0047】
活性化洗浄流体ミストを生成するように洗浄流体ミストが活性化される(符号26)。活性化は、例えば、イオン化、プラズマ、またはフリーラジカル状態における洗浄流体材料といった、ミストの中における洗浄流体材料の活性化された種を生成する。活性化可能な種の少なくとも一部が活性化され、いくつかの場合において、促進種(存在する場合)のうちのいくつかが活性化される。除染工程の効率を高めるために、活性化された種の高い収率が所望されるが、活性化可能な種のすべて、または、さらには大部分が活性化状態に達することが必要なわけではない。任意の使用可能なアクティベーターが使用されてよい。アクティベーターの場またはビームが、電気的であり、またはフォトニックであってよい。例として、AC電界、ACアーク、DC電界、パルス状DC電界、DCアーク、電子ビーム、イオンビーム、マイクロ波ビーム、ラジオ周波ビーム、およびレーザーまたは他の源により生成される紫外光ビームが挙げられる。アクティベーターは、洗浄流体ミストにおける洗浄流体の活性化可能な種のうちの少なくともいくつかがイオン、プラズマ、またはフリーラジカル状態に励起されることをもたらし、それにより「活性化」を達成する。これらの活性化された種は微生物学的生物の細胞壁との酸化還元反応に入り、それにより、細胞を破壊し、または、少なくともそれらの増殖および成長を防ぐ。好ましい過酸化水素の場合、H2O2分子のうちの少なくともいくつかが解離して、ヒドロキシル(OH-)、および、単原子酸素(O-)イオン的に活性化された種を生成する。これらの活性化された種は、ある期間、典型的には数秒以上にわたって解離した状態に留まり、その間にそれらが生物学的微生物を攻撃および破壊する。アクティベーターは好ましくは、活性化場またはビームの周波数、波形、振幅、または他の特徴について調整可能であり、したがって、それは、生物学的微生物に対する作用のための最大再結合時間を達成するために最適化され得る。過酸化水素の場合、解離された活性化された種が再結合して、二原子酸素および水といった無害な分子を形成する。
【0048】
ミスト生成器とアクティベーターとの物理的な関連性は、
図2~
図4において3種類の除染装置38に対して概略的に示されるいくつかのタイプであってよい。各場合において、洗浄流体40の源は、ミスト生成器42に洗浄流体の流れを提供する。ミスト生成器は、洗浄流体の洗浄流体ミスト44を形成する。洗浄流体ミスト44は、活性化可能な種および促進種(存在する場合)を含む。
図2の実施形態において、放電プレートのペアであって、そのペアの間を洗浄流体ミスト44が通る放電プレートのペアとして概略的に示されているアクティベーター46は、ミスト生成器42の近くに位置しており、好ましくは直接隣接している。ミスト生成器42およびアクティベーター46は、この場合、典型的には、1つのハウジングに便宜上一緒にパッケージ化される。ミスト生成器42を去る洗浄流体ミスト44は、活性化洗浄流体ミスト48を生成するように、アクティベーター46によりすぐに活性化される。
図3の実施形態において、マイクロ波源の集合として本例において概略的に示されているアクティベーター46は、ミスト生成器42から離れて位置する。洗浄流体ミスト44はミスト生成器42から流れて、洗浄流体ミスト44がアクティベーター46の影響を受けてアクティベーター46により活性化される領域内を通る前に、ある期間にわたって非活性化洗浄流体ミストとして留まる。これら2つの実施形態は、
図4に示されるように組み合わされてよく、まず、ミスト生成器42に近いアクティベーター46aにより洗浄流体ミスト44が活性化洗浄流体ミスト48を形成するように活性化され、次に、ミスト生成器42から遠くにあるアクティベーター46bにより活性化状態に維持され、または、必要に応じて再活性化される。この場合において、アクティベーター46bは紫外光源であるとして示される。
図4の装置は、洗浄流体が、まず活性化され、次に、より長い期間にわたって活性化状態に維持されて、長期の効果的な状態を実現するという利点をもつ。これらの様々な種類の装置38が異なる状況において、各状況の物理的な制約に従って使用され、いくつかの例示的な状況が後で説明される。適切な場合は微生物学的生物に対するキャリアである粒子状物質を除去するように、さらには、残留した洗浄ミストおよびその反応生成物を除去するように、粒子および/またはガスフィルタが提供されてよい。
【0049】
活性化洗浄流体ミスト48が、除染される位置に接触させられる(符号28)。位置のタイプおよび接触の手法が、次に説明されるように、前述の概括的なアプローチの多くの特定の実施形態を導く。
【0050】
図5は、ストリーミング形態の除染装置38を示す。このタイプの装置は、通常、アクティベーター46がミスト生成器42の近位に位置する
図2に示される概括的な構成を使用する。それはエンクロージャ(筐体、囲われた領域)を必要としないが、それは、エンクロージャ内において使用されてよい。装置の特定の実施形態を示す
図5および他の図において、構造物の共通の要素は、別の場合において使用される参照符号と同じ参照符号が付され、他方の説明が各実施形態の説明に組み込まれる。洗浄流体源40からの洗浄流体がミスト生成器42に供給され、ミスト生成器42から洗浄流体ミスト44が流れる。洗浄流体ミスト44の流れを導く、および方向付けする管50の内部を通って洗浄流体ミスト44が流れる。洗浄流体ミスト44が管50の内部を通って流れるとき、電圧源52により給電されるアクティベーター46が洗浄流体ミスト44を活性化し、したがって、活性化洗浄流体ミスト48がストリームとして管50から流れる。ストリームは、除染されるボリューム内に、または、除染される物体に向けられる。
【0051】
図5のこの基本構成は、広範囲の寸法にわたってスケール調整され得る。一例において、洗浄流体源40は流体またはガスを出すために一般的に使用されるタイプの手持ち式圧力式缶である。電圧源52は、圧力式缶内に貯蔵された洗浄流体のその量を活性化するために十分な期間にわたって活性化源46に高電圧を供給する電池および回路である。管50は圧力式缶のノズルである。別の例において、管50は、より大きい容積の洗浄流体源40から操作する手持ち式杖状体であって、プラグインまたは電池式電圧源52を含む手持ち式杖状体である。洗浄流体源40は、管50を通る洗浄流体の流れを駆動するように加圧されてよく、または、洗浄流体を大きい力によりミスト生成器42を通して、および管50から外に出す任意選択的なポンプ54が提供されてよい。
【0052】
他の形態の装置38が、除染処理、または、物体、または、流れを囲むために、または、エンクロージャの内部の除染を達成するために、主にエンクロージャと組み合わされて使用される。
図6は、チャンバであって、そのチャンバにおいて物体58が除染されるチャンバとして機能するエンクロージャ56を含む装置38を示す。物体58は、静止したものであってよく、または物体58はコンベヤー上においてエンクロージャ56を通って動いてよい。この実施形態は、活性化洗浄流体ミスト48が別のガス流60に加えられる、および混合される本装置の形態をさらに示す。活性化洗浄流体ミスト48がガス流60と混合し、混合されたガス流が物体58に接触する。この実施形態は、図示されるように連続流システムとして実装されてよく、または、エンクロージャ56はバッチワイズ手法により活性化洗浄流体ミスト48により、または、活性化洗浄流体ミスト48とガス60との混合物により充填されるバッチシステムとして実装されてよい。
【0053】
図7の実施形態において、エンクロージャ56は、部屋の、または、例えば乗り物といった他の構造物の壁、床、および天井により形成される。活性化洗浄流体ミストは、ミスト生成器42とアクティベーター46aとが1つのユニットとして一緒にパッケージ化された
図4に示されるタイプの統合された装置により生成される。任意選択的な第2のアクティベーター46bが、
図4に関連して説明される手法により提供および使用され、その開示はここに組み込まれる。第2のアクティベーター46bは、部屋の除染を完了することを可能にするために、より長い期間にわたって活性化洗浄流体ミストを活性化状態に維持する。第2のアクティベーター46bは、エンクロージャ56の壁、床、または天井に組み込まれてよく、または、それらは、除染処理中にだけエンクロージャ56内に位置するポータブルユニットとして提供されてよい。
図7の除染装置38は、部屋、乗り物、または他の構造物の内壁、および、その中の物体および人を除染する。
図7に示されるタイプの装置38は、静止した家、オフィス、または他の施設における部屋(または複数の部屋)、または可動な乗り物、例えば、航空機、自動車、船、または軍用の乗り物の内部を除染するために使用され得る。エンクロージャ56は、正常動作のために、または、保護服に漏れが発生した場合に、その内部の連続した除染を提供するために除染者により身に着けられる保護服であってもよい。
【0054】
図8は、ミスト生成器42とアクティベーター46とがHVACシステムのダクトの形態をとるエンクロージャ56に組み込まれた、または、一時的に挿入された一実施形態を示す。ダクト62は、HVACシステムの主ダクトの一部であってよく、または、ダクト62は、除染装置38を収容するためにHVACシステムに追加された補助ダクトであってよい。フィルタ64が粒子および任意の残りのミストを除去するために、ミスト生成器42およびアクティベーター46の下流に提供される。フィルタ64は、例えば、知られたタイプの多孔質炭素、低制約合体フィルタであってよい。
【0055】
図8の実施形態に示されるように、除染装置38は、固体の物体に加えて、空気流および他のガス流を除染するために使用され得る。
図9は、除染装置38が人のための除染された呼吸用空気を提供するガスマスクの形態により使用される一実施形態を示す。エンクロージャ56は、空気吸気部と、人の顔を覆うように位置したフェイスマスク66に空気を提供する出口とを含むキャニスターとして構成されている。洗浄流体ミストは、ミスト生成器42により入来空気に注入される。アクティベーター46は、
図2の手法により洗浄流体ミストを活性化するように位置し得る。代替的に、この場合において、アクティベーター46が空気吸気部の下流に位置しており、結果として、洗浄流体ミストがまず入来空気と完全に混合され、続いてアクティベーター46により活性化される。フィルタ64は、上述のようにミストの粒子および任意の液体残部を除去するように提供される。
【0056】
図2~
図9におけるこれらの実施形態のすべてが、約1気圧、または、1気圧よりわずかに高い環境気圧において動作し、そのすべてが「実質的に1気圧の環境気圧」の範囲内にある。ここまでに説明されているように、ほとんどの除染状況が、真空チャンバまたは圧力チャンバを構築せずに、除染を達成する能力を必要とするので、この能力は重要である。ミスト生成器は、ミストが1気圧の環境に入るとき、小さい過大圧力のミストを生成するが、真空チャンバも圧力チャンバも必要としない。特に、例えば
図3、
図4、
図6、
図8、および
図9の実施形態といった実施形態において、粒子状物質が、汚染された領域または汚染されたガス流から除去され、フィルタにおいて収集され得、それにより、微生物学的生物のキャリア媒体を除去し、さらされた微生物学的生物自体を破壊する。
【0057】
除染方法
【0058】
本出願の一態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、方法が、漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴を含むミストへと、洗浄流体を剪断するステップであって、洗浄流体が超音波キャビテーションにより剪断される、剪断するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;物品または実質的に囲まれた空間をプラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップと;を含む、方法に関する。例えば漏斗形上部チャンバといった形態、または、プラズマ活性化イオン粒子を適用するエアロライズド方法の因子が本発明に対する限定ではないことを当業者は理解する。
【0059】
本出願の別の一態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、洗浄流体を含む実質的に閉じたチャンバ内に沈められた超音波キャビテーターを使用して洗浄流体にキャビテーションを起こさせることにより、エアロゾル液滴を含むミストへと、洗浄流体を剪断するステップと;実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部における開口から延びた流出管内において非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップであって、流出管が、プラズマ活性化イオン粒子を形成するようにエアロゾル液滴を吐出するための上部チャンバ部の上方の遠位開口を含む中空管腔を備える、さらすステップと;物品または実質的に囲まれた空間をプラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップと;を含む方法に関する。
【0060】
本出願のさらなる態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、方法が、洗浄流体の容器内に超音波キャビテーターを沈めるステップと;超音波キャビテーターにより生成された超音波振動を使用して洗浄流体にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体がキャビテーションを起こさせられながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;プラズマ活性化イオン粒子を病原体に接触させるステップと;を含む、方法である。
【0061】
本出願の別の一態様は、物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、方法が、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータの影響下にミストをさらすステップと;プラズマ活性化イオン粒子を病原体に接触させるステップと;を含む、方法に関する。
【0062】
本開示は、超音波キャビテーションにより物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法を提供する。本発明者らは、洗浄流体内における超音波キャビテーションの使用が、致死性能を大幅に高める低圧、低流量のミスト、および、ミストが活性化された後に高密閉状態で囲まれた環境を除染する能力を想定外にもたらすことを見出した。本方法は、さらに、有益なことに、空気圧縮が必要とされないので、除染工程において使用される機械の複雑さを減らす。
【0063】
除染デバイス
【0064】
本出願の別の一態様は、電力需要、およびデバイスの全体的な重量および寸法を小さくするDCV小型変圧器および/またはDCV小型圧縮器を備える小型除染デバイスに関する。いくつかの実施形態において、小型除染デバイスは、ランチボックスサイズからバックパックサイズであり得、および/または、10~40lb(1lb=0.45359237kg)の範囲内の重量をもつ。いくつかの実施形態において、小型除染デバイスは、バックパック内、軽量ポータブルケース内、または、車輪付きカート上に位置している。特定の実施形態において、本デバイスは、アークシステムを通る前に蒸発をもたらすように除染溶液を加熱する小さいチャンバシステムを備える。特定の実施形態において、本デバイスは、(形態においてIVスタンドタイプシステムと同様の)充電式電池動作型ポータブル車輪付きシステムを備える。
【0065】
いくつかの実施形態において、DCV小型変圧器は、6V~36Vの範囲内の入力DC電圧をとり、12kV~22.5kVの出力を生成する。いくつかの実施形態において、DCV小型変圧器は、24Vの入力DC電圧をとり、17.5kVの出力を生成する。
【0066】
いくつかの実施形態において、DCV小型圧縮器は、10psi~60psi(1psi=6894.76Pa)の範囲内の圧力を提供し、6V~36Vの範囲内の入力DC電圧をとる。いくつかの実施形態において、DCV小型圧縮器は、30psi~40psiの範囲内の圧力を提供し、24Vの入力DC電圧をとる。
【0067】
いくつかの実施形態において、小型除染デバイスは、ダイオード/コンデンサ整流器をさらに備えるアーク変換工程をスムーズにし、ACの変換効率を高める。
【0068】
いくつかの実施形態において、小型除染デバイス4~40ml/分の範囲内の流量をとる、および6VDC~36VDCの範囲内の動作電圧をとる低流量ポンプをさらに備える。
【0069】
いくつかの実施形態において、小型除染デバイスは、タブレットまたは電話などの遠隔デバイスからの小型除染デバイスの制御(例えばデバイスを開始および/または停止すること)および監視を可能にする制御モジュールをさらに含む。いくつかの実施形態において、制御モジュールは、データの記憶、伝達、および印刷をさらに制御する。
【0070】
本出願の別の一態様は、小型変圧器と、ミスト生成器としての超音波ウエハまたは超音波噴霧器とを備える小型除染デバイスに関する。いくつかの実施形態において、ミスト生成器は、漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じた超音波処理チャンバを備え、洗浄流体が超音波処理チャンバ内において超音波キャビテーションにより剪断される。いくつかの実施形態において、本デバイスは、1つより多い超音波ウエハを備える。いくつかのさらなる実施形態において、本デバイスは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の超音波ウエハを備える。
【0071】
本出願の別の一態様は、アーク変換工程をスムーズにする、および変換効率を高めるダイオード/コンデンサ整流器を備える除染デバイスに関する。
図15は、電圧源52、非熱的プラズマアクチュエータ76に接続された少なくとも1つのダイオード/コンデンサ102を備える例示的な整流器を図示する。
【0072】
いくつかの実施形態において、除染デバイスは、デバイスの占有領域を減らし、異なるデバイス間のモジュールの交換を可能にするモジュール式構造物を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、除染デバイスは、4~40ml/分の範囲内の流量をとる、および、6VDC~36VDCまたは10VDC~28VDCの範囲内の動作電圧をとる低流量ポンプをさらに備える。
【0074】
いくつかの実施形態において、除染デバイスは、タブレットまたは電話などの遠隔デバイスからの小型除染デバイスの制御(例えばデバイスを開始および/または停止すること)および監視を可能にする制御モジュールをさらに含む。いくつかの実施形態において、制御モジュールは、データの記憶、伝達、および印刷をさらに制御する。いくつかの実施形態において、制御モジュールは、遠隔サービスおよび接続を可能にし、ビデオまたはデータを記録することを可能にし、および、使用中に、または使用後に製造者にフィードバックを提供することを可能にする。
【0075】
いくつかの実施形態において、除染デバイスは、
図10A~
図10Dの図に示されるように、除染されるエリアに対する、より適切なカバーを可能にする回転基部に搭載されている。いくつかの実施形態において、回転基部は、180度回転基部である。いくつかの実施形態において、回転基部は360度回転基部である。いくつかの実施形態において、回転基部は、60度~360度の回転範囲をもつ調節可能回転基部である。いくつかの実施形態において、回転は1つの軸の周りでなされる。他の実施形態において、回転は、複数の軸の周りでなされる。さらに違う他の実施形態において、回転は、すべての方向におけるものであり、または、完全に球形の運動である。
図10Aは、洗浄流体源40とミスト生成器42とが最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70を介してリンクされた、デバイス要素の構成を示す。
図10Bは、デバイス要素の構成を示す。洗浄流体源40がミスト生成器42に接続されており、ミスト生成器42が、続いて、最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70を介してミスト搬送ユニット72にリンクされている。
図10Cは、ミスト生成器42が最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70に搭載された、デバイス要素の構成を示す。
図10Dは、ミスト生成器42が、最大360度の調節可能な回転範囲をもつ作動デバイス70に搭載されたミスト搬送ユニット72に供給する、デバイス要素の別の構成を示す。
【0076】
図11A~
図11Cは、モバイルまたはポータブルである除染デバイスの例示的な実施形態を示す。描写は、ポータブルユニット内における固定位置にデバイスの要素を示すことを意図したものではなく、むしろ、示される個々のコンポーネントの配置は例示にすぎず、要素の位置は、特定の用途に適するように再配置され得る。
図11Aは、少なくともミスト生成器42と電圧源52とがポータブルハウジング内に収容された一実施形態を示す。いくつかの実施形態において、電圧源52はACである。他の実施形態において、電圧源52はDCである。さらに違う他の実施形態において、電圧源52は、ACとDCとの間において切り替えられ得る。ミスト生成器42はミスト搬送ユニット72に機能的に接続されており、ミスト搬送ユニット72はハウジングに搭載されてよく、または、遠隔ユニットである。いくつかの実施形態において、ミスト搬送ユニット72は、手持ち式である、別の装置に搭載されている、または、別の機械またはロボットにより保持された/別の機械またはロボットに搭載されている。いくつかのさらなる実施形態において、ロボットは自己ナビゲート型であり、エリアをパトロールする。
図11Bは、ポータブル容器内に収容されたミスト生成器42および電圧源52を示し、ユニット全体が、手持ち式であり得る、別の装置に搭載され得る、または、別の機械またはロボットにより保持されている/別の機械またはロボットに搭載されているものであり得る。いくつかの実施形態において、電圧源はACである。他の実施形態において、電圧源52はDCである。さらに違う他の実施形態において、電圧源は、ACとDCとの間において切り替えられ得る。特定の実施形態において、ミストが高電圧作動100を介してユニットから散布される。いくつかの実施形態において、高電圧作動は永続的である。他の実施形態において、高電圧作動は断続的である。特定の実施形態において、高電圧作動は、ミストを帯電させ、さらに液滴をミスト状にする。
図11Cは、ミスト生成器42と電圧源52とが例えばバックパックといった装着型容器内に収容された例示的な実施形態を示す。ミスト生成器42は、コンテナに搭載されてよい、または遠隔ユニットであるミスト搬送ユニット72に機能的に接続されている。いくつかの実施形態において、ミスト搬送ユニット72手持ち式である、別の装置に搭載されている、または別の機械またはロボットにより保持された/別の機械またはロボットに搭載されている。
【0077】
図12Aに例示されているように、いくつかの実施形態において、除染デバイスは、ミスト生成器として超音波ウエハまたは超音波噴霧器82を備える。いくつかの実施形態において、ミスト生成器42は実質的に閉じた超音波処理チャンバを備え、超音波処理チャンバは、底部チャンバ部または容器と、底部チャンバ部とプラズマアクチュエータ76との間の経路を形成する上部チャンバ部74と、電圧源52と、洗浄流体源40を含む側部チャンバ部と、内部チャンバ部とを備え、噴霧器82内に出された洗浄流体80が、超音波処理チャンバ内において超音波キャビテーションデバイス78により生成された超音波キャビテーションにより剪断される。洗浄流体80は、洗浄流体80が超音波キャビテーター78を沈めるまで流体チャンバまたは容器内に導入される。超音波キャビテーター78は、洗浄流体にキャビテーションを起こさせるように機能する共鳴超音波を生成し、このことが、経路74を通って流体から上昇するエアロゾル液滴のミストを生成する。ミストはアプリケータヘッドおよびプラズマアクチュエータまたは電極76を通り、そこで外部雰囲気に入る前に粒子が活性化される。いくつかの実施形態において、ミストの流れを方向付けするためにファンが使用され得る。特定の実施形態において、本デバイスは、小さい循環ファンを含んで基礎となる回転アプリケータを備える。他の実施形態において、本デバイスは、空気圧縮器、流体ポンプ、および変圧器を含む内蔵アプリケータを備える。いくつかの実施形態において、加熱要素は、噴霧化されたミストを広げるように、内部の空間を加熱する。いくつかの実施形態において、本デバイスは、回転ヘッドまたはノズルを備える。
【0078】
経路は、容器からプラズマアクチュエータ76にエアロゾル液滴を方向付けすることに適した任意の形態を取り得る。いくつかの実施形態において、経路は、漏斗の形態をとる。他の実施形態において、経路は、パイプ、管、エルボー、またはシリンダーの形態をとってよいが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態において、プラズマアクチュエータは非熱的である。他の実施形態において、プラズマアクチュエータは熱的である。
【0080】
図12Bは、モバイル/無線/遠隔制御デバイス84が例えば噴霧器82といった本開示の除染デバイスに機能的に接続されたシステムを図示している。機能的な接続は、有線または無線であり得る。いくつかの実施形態において、無線接続としてラジオ周波、赤外線、Wi-Fi、BLUETOOTH、または無線通信の任意の他の適切な手段が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、制御デバイス84は、機能的な接続を介して制御命令86を噴霧器82に送信し、噴霧器82は、機能的な接続を介してフィードバックデータ88を制御デバイス84に送信する。
図12Cはシステムの実施形態を図示しており、本システムにおいて、システムは制御デバイス84により制御される、例えば噴霧器82といった複数の除染デバイスと、有線または無線手段による噴霧器82間におけるさらなる2方向通信90とを備える。いくつかの実施形態において、システムは、部屋の異なるエリアおよび/または異なる部屋に位置する、および/または、除菌/除染される必要のある例えばフローフードといった異なる機器部分に装着された、または向けられた、複数の噴霧器82を制御する1つの制御ユニット84を含み得る。
【0081】
図13A~
図13Bは、制御デバイス84により制御される、2方向通信92、96をする1つの(
図13A)、または複数の(
図13B)ミスト生成器42を含む同様のシステムを示し、制御デバイス84は、エリアまたは表面の処置に関連した外部源にデータ94をさらに提供する。
【0082】
図14は、ミスト生成器42、洗浄流体源40、およびミスト搬送ユニット72がセンサー98にさらに接続されたシステムを図示している。いくつかの実施形態において、センサー98は、空気で運ばれる、または表面を汚染するマイクローブ(例えば、細菌、原生動物、寄生生物、アメーバ、またはウイルス粒子)を検出する。いくつかの実施形態において、センサー98は、汚染物質の検出時にシステムの作動を自動的にトリガーする。
【0083】
本出願の別の一態様は、漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバと;近位端と遠位端とを備える超音波キャビテーターであって、近位端が底部チャンバ部に接続されており、遠位端がチャンバ内部に延びており、キャビテーターが、共鳴周波数において材料を振動させることにより複数の剪断された流体粒子を生成する圧電トランスデューサーを備える、超音波キャビテーターと;側部チャンバ部に供給する流入管であって、剪断された流体粒子が洗浄流体を通って、および液体・空気界面を越えて上向きに流れて、上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴のミストを形成するように、洗浄流体が底部チャンバ部内に受動的に位置して超音波キャビテーターの遠位端を沈め得るように、管が構成された、流入管と;上部チャンバ部における開口から延びた流出管であって、流出管が、エアロゾル液滴を吐出するための上部チャンバ部の上方の遠位開口を含む中空管腔を備える、流出管と;遠位開口に近接した1つまたは複数の電極を備える非熱的プラズマアクチュエータであって、電極が、物品、表面、または実質的に閉じた空間を除染するためのプラズマ活性化イオン粒子を形成するようにエアロゾル液滴を活性化させる高電圧パルスを生成するように構成された、非熱的プラズマアクチュエータと;を備える、除染装置に関する。
【0084】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態のうちのいくつかの例は、輸送容器を含む。例えば、輸送容器は、容器内における、または容器の表面における病原体の付着を検出し得る除染システムを備え得る。例示的なシステムは、データを受信するように具備されたパーティーに病原体の付着に関する情報を供給し得る。いくつかの実施形態において、システムは、データを印刷または記録し得る。
【0085】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態の他の例は、として、輸入、輸出、旅行者検疫エリアまたは検問所が挙げられる。いくつかの実施形態において、システムは、除染システムにより生成されたミストを通して人または物体を動かすための、歩き抜ける空間またはトンネル、コンベヤーシステム、動く歩道、または任意の他の適切な手段を含む。
【0086】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態のさらに違う他の例として、乗り物が挙げられる。いくつかの実施形態において、乗り物は、品物または乗客の動きを目的とした、自動車、トラック、バス、訓練、航空機、または任意の他の形態の移送手段である。さらなる実施形態において、乗り物は、自律的な乗り物である。
【0087】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態のさらに異なる他の例として、宇宙旅行、宇宙検疫、または惑星としての地球上に存在しない構造物が挙げられる。
【0088】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態のうちのいくつかの例として、食品加工/調理システムが挙げられる。いくつかの実施形態において、本システムは、装置を有効化するためのセンサー、例えば光ディテクターを含む。いくつかの実施形態において、本システムは、病原体の付着を検出するためのセンサーを含む。
【0089】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態のさらに違う他の例として、自己案内ロボットが挙げられる。例えば、除染システムを備える自己案内ロボットは、空間または施設を動き回り、同じまたは異なるタイプの1つまたは複数のセンサーを介して汚染を検出し得る。除染システムを備える自己案内ロボットは、汚染微生物数が低減されるまで、汚染された表面または空間を処置し得る。
【0090】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態のさらに異なる他の例として、イマージェンシー生物学的汚染物ラピッドデプロイメントチャンバが挙げられる。
【0091】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態の他の例として、農場、牧場、家畜施設、または食肉処理場が挙げられる。非限定的な例として、除染装置またはシステムは、家禽施設、例えば、鶏舎、または乳製品収集施設に設置され得る。
【0092】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態のさらに違う他の例として、ジム、スタジオ、訓練施設、またはバスルームが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本開示の除染装置、システム、または方法を使用した実施形態の他の例として、建物全体または建物の特定のエリアを除染するために建物システムに統合された除染システムを含む建物が挙げられる。いくつかの実施形態において、システムは新しい構築物に統合される。他の実施形態において、システムは、既存の建物の自動化、または換気システムに統合される。いくつかの実施形態において、本開示の除染システムまたは装置は、プログラム可能であるか、または自動化されている。
【0094】
空気で運ばれる病原体の実質的に囲まれた空間を除染する方法
【0095】
本出願のさらなる態様は、実質的に囲まれた空間を除染するための方法であって、方法が、センサーを使用して実質的に囲まれた空間の雰囲気中における空気で運ばれる病原体の存在を検出するステップと;センサーからネットワーク接続されたコンピュータプロセッサに空気で運ばれる病原体の存在を通信するステップと;空気で運ばれる病原体が実質的に囲まれた空間に存在することをネットワーク接続されたコンピュータプロセッサから除染装置に通信するステップと;除染装置の除染サイクルを有効化するステップと;を含み、除染サイクルが、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータによる影響下にミストをさらすステップと;空気で運ばれる病原体にプラズマ活性化イオン粒子を接触させるステップと;を含む、方法である。
【0096】
空気で運ばれる病原体の実質的に囲まれた空間を除染するためのシステム
【0097】
本出願の追加的な態様は、実質的に囲まれた空間を除染するためのシステムであって、システムが、空気で運ばれる病原体に対するセンサーであって、センサーがコンピュータプロセッサとネットワーク通信する、センサーと;コンピュータプロセッサであって、コンピュータプロセッサがセンサーおよび除染装置とネットワーク通信する、コンピュータプロセッサと;除染装置と;を備え、除染装置がコンピュータプロセッサとネットワーク通信し、さらに、除染装置が、洗浄流体の容器と;超音波キャビテーターであって、超音波キャビテーターが容器内に沈められた、超音波キャビテーターと;非熱的プラズマアクチュエータであって、アクチュエータが容器から生成されたミストを活性化する、非熱的プラズマアクチュエータと;漏斗であって、漏斗が非熱的プラズマアクティベーターを容器に接続する、漏斗と;外部管であって、外部管が非熱的アクチュエータを外部雰囲気に接続する、外部管と;を備え、容器から生成されたミストが漏斗を通ってアクチュエータまで通り得、さらにミストがアクチュエータにより活性化された後にミストが外部管を通って外部雰囲気まで通り得る、システムである。
【0098】
例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、メモリ、プロセッサ、および、任意選択的に二次記憶デバイスを含む。いくつかの実施形態において、コンピュータシステムは、複数のプロセッサを含み、複数の、例えばブレードサーバー、または他の知られたサーバー構成体として構成される。特定の実施形態において、コンピュータシステムは、入力デバイス、ディスプレイデバイス、および出力デバイスをさらに含む。いくつかの実施形態において、メモリとして、RAMまたは同様の種類のメモリが挙げられる。特定の実施形態において、メモリは、プロセッサによる実行のための1つまたは複数のアプリケーションを記憶する。いくつかの実施形態において、二次記憶デバイスとして、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、CD-ROM、またはDVDドライブ、または他の種類の不揮発性データ記憶装置が挙げられる。特定の実施形態において、プロセッサは、メモリまたは二次記憶装置に記憶された、または、インターネットまたは他のネットワークから受信されたアプリケーションを実行する。いくつかの実施形態において、プロセッサによる処理は、コンピュータまたは他の機械による実行のための、例えばソフトウェアモジュールといったソフトウェアにより実装されてよい。これらのアプリケーションは、好ましくは、上述の、および本明細書の図中に示される機能および方法を実施するように実行可能な命令を含む。アプリケーションは、好ましくはGUIを提供し、GUIを通してユーザーが見ることを行い、アプリケーションと対話し得る。他の実施形態において、システムは、システムを制御し、および/または見るために遠隔アクセス可能である。
【0099】
病原体の実質的に囲まれた空間を除染するための非一時的なコンピュータ可読媒体
【0100】
本出願のさらに違うさらなる態様は、除染装置の除染サイクルを繰り返すための命令を提供する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令が、実質的に囲まれた空間における病原体の存在を検出することと;コンピュータデータベースに病原体の存在を通信することと;コンピュータデータベースを使用して実質的に囲まれた空間において検出された病原体を同定することと;病原体の同定結果に基づいてコンピュータデータベースから除染サイクルのプログラムを選択することと;選択されたプログラムを除染装置に通信することであって、除染装置がプログラムに自動的に従うようにネットワーク接続された、通信することと;プログラムに従って除染サイクルを実施することと;を含み、各除染サイクルが、洗浄流体の容器を提供するステップと;洗浄流体に力を印加することにより洗浄流体の容器にキャビテーションを起こさせるステップと;エアロゾル液滴を含むミストを生成するステップであって、洗浄流体が力によるキャビテーションにさらされながら洗浄流体からミストが生成される、生成するステップと;プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータによる影響下にミストをさらすステップと;空気で運ばれる病原体にプラズマ活性化イオン粒子を接触させるステップと;を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【0101】
以下の例は、例示のためのものにすぎず、用途の態様または実施形態に対する限定とみなされてはならない。
【0102】
実施例1
【0103】
第1の試験シリーズにおいて、セラチア・マルセンセンスの同一の培養物がフィルタ紙上にプレーティングすることにより用意された。1つの標本は、コントロールとして空気中で30℃において24時間にわたって培養された。細菌培養物の大幅な成長が観測された。第2の標本は、1気圧の圧力において空気中で60秒間、(活性化されていない)3容量パーセントの過酸化水素の水溶液のミストにさらされ、その後、空気中で30℃において24時間にわたって培養された。細菌培養物の大幅な成長が観測された。第3の標本は、1気圧の圧力において空気中で60秒間、10.5キロボルトACアークを通ることにより活性化された3容量パーセントの過酸化水素の水溶液のミストにさらされ、その後、1気圧の圧力において空気中で30℃において24時間にわたって培養された。この標本は、処置により殺された細菌培養物の成長を示さなかった。3パーセントの過酸化水素のミストが成長を防ぐことが可能であることを活性化処置が示したこの実演の後に、追加的なそれぞれの標本が、1気圧の圧力における空気中での60秒の露出のために、1.5パーセント、0.75パーセント、0.3パーセント、および、0パーセントの(「活性化された」水蒸気のみの)濃度の過酸化水素のミストを使用して試験され、説明されるように培養された。1.5パーセントおよび0.75パーセントの過酸化水素のミストにより接触を受けた標本は成長を示さなかった。0.3パーセントの過酸化水素のミストによる接触を受けた標本は、非常にわずかな成長を示した。0パーセントの過酸化水素のミストによる接触を受けた標本は、細菌培養物の大幅な成長を示した。
【0104】
実施例2
【0105】
第2の試験シリーズおよび第3の試験シリーズのために、ダクトシミュレーション構造物が構築された。ダクトシミュレーション構造物は、垂直に配向された、約10インチの直径をもつ、および、10フィート(1フィート=0.3048m)の長さをもつパイプとした。ミスト生成器およびアクティベーターがパイプの上部に配置され、約350~400立方フィート毎分のガス流において動作するファンが、パイプを通して下向きにガス流を誘導するように、パイプの底部に配置された。試験ポートは、パイプの上部から1フィート、2フィート、4フィート、および6フィートに配置され、試験される標本は様々なポートに挿入された。
【0106】
第2の試験シリーズでは、ストリップ当たり約106個のバシラス・ステアロサーモフィルスの胞子を含浸された細菌胞子ストリップ(各々が約3/4インチの長さおよび1/4インチの幅をもつ)が、ダクトシミュレーション構造物の試験ポートの各々に配置された。試験後、標本は、7日にわたって50℃において培養された。第1の試験標本シリーズでは、(過酸化水素を含まない)空気のみが15秒間、標本上に流された。全ての試験ポートにおいて細菌培養物の大幅な成長が培養後に観測された。第2の標本シリーズでは、6容量パーセントの過酸化水素のミストが生成されたが、活性化されておらず、および15秒間、標本上に流された。第1の試験標本シリーズについて、全ての試験ポートにおいて細菌培養物の同じ大幅な成長が観測された。第3の標本シリーズでは、この手順が繰り返されたが、6パーセントの過酸化水素のミストが15キロボルトACアークにより活性化された。試験ポートのいずれにおいても細菌培養物の成長は観測されなかった。この細菌は、従来の非活性化過酸化水素処置を使用した成長制御に耐性のあることが知られているので、バシラス・ステアロサーモフィルスに対するこれらの結果は重要である。
【0107】
実施例3
【0108】
第3の試験シリーズでは、細菌がバシラス・サブティリス・バー・ナイガー(Bacillus subtilis var. niger)であったことを除いて、上述のものに類似した細菌胞子ストリップが使用された。Bacillus subtilis var. nigerは、同じ属にある、および炭疽病をもたらすバシラス・アンスラシスの知られた代用物である。バシラス・アンスラシスへのその類似性を理由として、Bacillus subtilis var. nigerは、炭疽菌に罹患する、または炭疽菌を広げるリスクを伴わずに、実験室試験において炭疽菌およびそのコントロールの成長を観察するために使用される。第1の試験標本シリーズでは、(過酸化水素を含まない)空気のみが15秒間、標本上に流された。細菌培養物の大幅な成長がすべてのポートから標本の培養後に観測された。第2の標本シリーズでは、6容量パーセントの過酸化水素のミストが生成されたが、活性化されておらず、15秒間、標本上に流された。第1の試験標本シリーズについてすべてのポートにおいて、細菌培養物の同じ大幅な成長が観測された。第3の標本シリーズでは、この手順が繰り返されたが、6パーセントの過酸化水素のミストが、15キロボルトACアークを通ることにより活性化された。ポートのいずれにおいても細菌培養物の成長は観測されなかった。この試験は、このアプローチがダクトシミュレーション構造物における炭疽菌代用物の成長を制御することを立証した。
【0109】
実施例4
【0110】
さらなる試験において、低圧低空気流量のミストを生成する洗浄流体の超音波キャビテーションが、優れた致死力をもたらした。
【0111】
この試験のために、除染装置のノズルが底部パネルの中心において箱の底部を貫通した、16×16×16インチの箱が構築された。
【0112】
6-Logのバイオロジカルインジケーター(ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilu))およびケミカルインジケーター(ヨウ素H2O2)が、垂直パネルのうちのすべてのものの中心に配置された。バイオロジカルインジケーターおよびケミカルインジケーターは、さらにノズルに直接近接して箱の底部パネル上に配置された。
【0113】
活性化されたミストが1分間にわたって箱に注入され、5分間にわたって残留することを可能にされた。
【0114】
次に、バイオロジカルインジケーターが箱から除去されて、7日にわたって培養された。培養後、バイオロジカルインジケーターが検査され、6logの細菌を殺すことを示した。
【0115】
本発明の特定の実施形態が例示を目的として詳細に説明されてきたが、様々な変形および改善が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされてよい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって限定される場合を除いて限定されない。
【0116】
上述の説明は、本発明をどのように実施するかを当業者に教示することを目的としており、本説明を読むことで当業者に明らかとなるそれらの明らかな変更例および変形例のすべてを詳細に説明することが意図されているわけではない。しかし、そのような明白な変更例および変形例のすべてが後述の請求項により規定される本発明の範囲に含まれることが意図されている。特許請求の範囲は、そうではないことが文脈中に明示的に記載されていない限り、請求項に記載されたコンポーネントおよびステップを、請求項において意図されている目的を達成するのに効果的な任意の順序で包含することを意図したものである。
[付記項1]
物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、前記方法が、
漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴を含むミストへと、洗浄流体を剪断するステップであって、前記洗浄流体が超音波キャビテーションにより剪断される、剪断するステップと、
プラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータによる影響下に前記ミストをさらすステップと、
前記物品または前記実質的に囲まれた空間を前記プラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップと、
を含む、方法。
[付記項2]
物品、表面、または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、前記方法が、
洗浄流体を含む実質的に閉じたチャンバ内に沈められた超音波キャビテーターを使用して前記洗浄流体にキャビテーションを起こさせることにより、エアロゾル液滴を含むミストへと、前記洗浄流体を剪断するステップと、
前記実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部における開口から延びた流出管内において非熱的プラズマアクチュエータによる影響下に前記ミストをさらすステップであって、前記流出管が、プラズマ活性化イオン粒子を形成するように前記エアロゾル液滴を吐出するための前記上部チャンバ部の上方の遠位開口を含む中空管腔を備える、さらすステップと、
前記物品、前記表面、または前記実質的に囲まれた空間を前記プラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップと、
を含む、方法。
[付記項3]
前記プラズマ活性化イオン粒子が、複数の活性酸素種、複数の活性窒素種、複数の活性ハロゲン種、またはそれらの組み合わせを含む、
付記項2に記載の方法。
[付記項4]
前記プラズマ活性化イオン粒子が、1μmから10μmの間の直径をもち、前記プラズマ活性化イオン粒子の粒子寸法が、使用される超音波周波数または前記超音波キャビテーターの数に応じて変えられることが可能な、
付記項2に記載の方法。
[付記項5]
前記エアロゾル液滴が、0.5から20ml/分の間の流量で前記流出管を通る、
付記項2に記載の方法。
[付記項6]
前記エアロゾル液滴が、1から4ml/分の間の流量で前記流出管を通る、
付記項2に記載の方法。
[付記項7]
前記ミストが、0.07インチから1インチの間の直径をもつ集束する噴霧パターンに形成された、
付記項2に記載の方法。
[付記項8]
前記ミストが、2インチから6インチの間の直径をもつ錐形噴霧パターンに形成された、
付記項2に記載の方法。
[付記項9]
前記ミストが、最大12インチ幅のファン形噴霧パターンに形成された、
付記項2に記載の方法。
[付記項10]
接触させる前記ステップが、前記実質的に囲まれた空間において発生する、
付記項2に記載の方法。
[付記項11]
使用される前記超音波キャビテーターの数が、前記実質的に囲まれた空間の寸法に基づいて調節されることが可能であり、前記エアロゾル液滴が、1から4ml/分の間の流量で、前記実質的に囲まれた空間内にポンプ搬送される、
付記項2に記載の方法。
[付記項12]
前記物品が、除染される前記実質的に囲まれた空間に位置する、
付記項10に記載の方法。
[付記項13]
前記物品が、紫外光にさらにさらされる、
付記項12に記載の方法。
[付記項14]
前記物品が、二酸化塩素、エチレンオキシド、オゾン、プロピレンオキシド、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、または、それらの組み合わせを含む除菌剤ガスにさらにさらされる、
付記項12に記載の方法。
[付記項15]
前記物品が、医療デバイスまたは動物組織材料である、
付記項12に記載の方法。
[付記項16]
前記実質的に囲まれた空間が、部屋またはテントを含む、
付記項12に記載の方法。
[付記項17]
前記部屋または前記テントが、5から5000立方フィートの間の容積をもつ、
付記項16に記載の方法。
[付記項18]
炭素活性化フィルタを通して空気を引き込んで前記炭素活性化フィルタ上に流体粒子を収集するステップをさらに含む、
付記項2に記載の方法。
[付記項19]
前記炭素活性化フィルタと前記炭素活性化フィルタ上に収集された前記流体粒子とを紫外光にさらすステップをさらに含む、
付記項18に記載の方法。
[付記項20]
前記実質的に囲まれた空間を紫外光にさらすステップをさらに含む、
付記項2に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品または実質的に囲まれた空間を除染する方法であって、前記方法が、
漏斗形上部チャンバ部と底部チャンバ部と側部チャンバ部と内部チャンバ部とを備える実質的に閉じたチャンバの上部チャンバ部に蓄積するエアロゾル液滴を含むミストへと、洗浄流体を剪断するステップであって、前記洗浄流体が超音波キャビテーションにより剪断され、前記洗浄流体の剪断が、空気粒子にエネルギー供給する他の力および手段の使用を伴わずに前記ミストの流体の流れをもたらし、前記洗浄流体が、前記物品または前記実質的に囲まれた空間の除染のための活性種の源として0.3%から9%の過酸化水素を含み、前記活性種が、ヒドロキシルイオンである、剪断するステップと、
前記ミストの前記エアロゾル液滴により運ばれるプラズマ活性化イオン粒子を形成するように非熱的プラズマアクチュエータによる影響下に前記ミストをさらすステップであって、前記プラズマ活性化イオン粒子が、ヒドロキシルイオンである、さらすステップと、
高電圧の作用により前記ミストを散布するステップであって、前記ミストが散布されたとき過大な圧力にさらされない、散布するステップと、
前記物品または前記実質的に囲まれた空間を前記プラズマ活性化イオン粒子に接触させるステップであって、前記物品、表面、または前記実質的に囲まれた空間を前記プラズマ活性化イオン粒子に接触させた後、前記プラズマ活性化イオン粒子が再結合して二原子酸素または水を形成する、接触させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記プラズマ活性化イオン粒子の粒子寸法が、使用される超音波周波数または超音波キャビテーターの数に応じて変えられることが可能な、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エアロゾル液滴が、0.5から20ml/分の間の流量で流出管を通る、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エアロゾル液滴が、1から4ml/分の間の流量で流出管を通る、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ミストが、0.07インチから1インチの間の直径をもつ集束する噴霧パターンに形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ミストが、2インチから6インチの間の直径をもつ錐形噴霧パターンに形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ミストが、最大12インチ幅のファン形噴霧パターンに形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
接触させる前記ステップが、実質的に囲まれた空間において発生する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
使用される超音波キャビテーターの数が、前記実質的に囲まれた空間の寸法
に基づいて調節されることが可能であり、前記エアロゾル液滴が、1から4ml/分の間の流量で、前記実質的に囲まれた空間内にポンプ搬送される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
除染される前記実質的に囲まれた空間に物品が配置される、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記物品が、二酸化塩素、エチレンオキシド、オゾン、プロピレンオキシド、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、または、それらの組み合わせを含む除菌剤ガスにさらにさらされる、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記物品が、医療デバイスまたは動物組織材料である、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記実質的に囲まれた空間が、部屋またはテントを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記部屋または前記テントが、5から5000立方フィートの間の容積をもつ、
請求項13に記載の方法。