(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050506
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】空調システム、及び空調システムにおけるリーク検出法
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20220323BHJP
F25B 41/20 20210101ALI20220323BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20220323BHJP
F24F 11/50 20180101ALI20220323BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
F25B49/02 520H
F25B41/20 Z
F25B49/02 570Z
F24F11/36
F24F11/50
B60H1/32 624Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021213632
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2017109624の分割
【原出願日】2017-06-02
(31)【優先権主張番号】10 2016 110 585.6
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517194564
【氏名又は名称】トゥルマ・ゲレーテテッヒニク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Truma Geraetetechnik GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・マテ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・フンメル
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ヘルティヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・ヒラー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・グンプ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フェンショット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】微量の冷媒リークであっても、漏洩した冷媒を簡単かつ確実に検出可能である空調システムを提供する。
【解決手段】冷媒回路11を備える空調システム10が記述され、空調システム10は、リーク検出システム32を含む。リーク検出システム32は、室温センサ40、冷媒蒸発器15の冷媒インレット16における冷媒温度を検出するためのインレット温度センサ34、及び冷媒蒸発器15の冷媒アウトレット17における冷媒温度を検出するためのアウトレット温度センサ36を含む。センサ34、36、40は、演算ユニット38と連結している。加えて、空気調和される部屋18の室温が、冷媒蒸発器15の前のインレット側41で検出され、冷媒インレット温度が、冷媒蒸発器15の冷媒インレット16で検出され、冷媒アウトレット温度が、冷媒蒸発器15の冷媒アウトレット17で検出されるリーク検出法が記述される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システム(10)であって、特にレジャー車輌向けであり、冷媒回路(11)を有し、前記空調システム(10)は、冷媒の循環方向に沿って見たとき、周囲環境(14)と熱交換できる冷媒凝縮器(12)、冷媒スロットル(22)、空調される部屋(18)と熱交換できる冷媒蒸発器(15)、及び冷媒圧縮器(28)を含み、前記空調システム(10)が、空調される部屋(18)の前記冷媒蒸発器(15)から空気インレット側(41)に上流における室温(TR)を検出するように形成された室温センサ(40)、前記冷媒蒸発器(15)の冷媒インレット(16)における冷媒温度を検出するように形成されたインレット温度センサ(34)、前記冷媒蒸発器(15)の冷媒アウトレット(17)における冷媒温度を検出するように形成されたアウトレット温度センサ(36)、及び前記室温センサ(40)、前記インレット温度センサ(34)、及び前記アウトレット温度センサ(36)と接続された演算ユニット(38)、を備えたリーク検出システム(32)を含むことを特徴とする、システム。
【請求項2】
少なくとも部分的には冷媒回路(11)を空調される部屋(18)から遮断するための冷媒密封性の分離装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載の空調システム(10)。
【請求項3】
前記分離装置が、選択的に前記冷媒インレット(16)を遮断するように形成された冷媒インレットバルブ(25)、及び選択的に前記冷媒アウトレット(17)を遮断するように形成された冷媒アウトレットバルブ(31)を含むことを特徴とし、前記冷媒インレットバルブ(25)、及び前記冷媒アウトレットバルブ(31)がソレノイドバルブとして形成されることが望ましい、請求項2に記載の空調システム(10)。
【請求項4】
前記分離装置が、前記空調システム(10)を前記空調される部屋(18)から遮断するように形成された冷媒密封性のフラップ(48)を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の空調システム(10)。
【請求項5】
前記リーク検出システム(32)が、前記演算ユニット(38)と接続されている告知ユニット(42)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の空調システム(10)。
【請求項6】
前記冷媒蒸発器15が、ダブルチューブ熱交換器として設計されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の空調システム(10)。
【請求項7】
前記演算ユニットが、前記室温と前記冷媒アウトレットでの前記冷媒アウトレット温度との差としてアウトレット温度差を、そして、前記冷媒インレットと前記冷媒アウトレットとでの冷媒温度の差として蒸発器温度差を算出するように形成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の空調システム(10)。
【請求項8】
空調システム(10)においてリークを検出する方法であって、前記空調システム(10)は、特にレジャー車輌向けであり、冷媒回路(11)を有し、冷媒の循環方向に沿ってみると、周囲環境(14)と熱交換できる冷媒凝縮器(12)、冷媒スロットル(22)、空調される部屋(18)と熱交換できる冷媒蒸発器(15)、及び冷媒圧縮器(28)を含み、前記方法が、
a)空気インレット側(41)の前記冷媒蒸発器(15)の上流側で、前記空調される部屋(18)の室温(TR)を検出するステップと、
b)前記冷媒蒸発器(15)の冷媒インレット(16)で、冷媒インレット温度(TE)を検出するステップと、
c)前記冷媒蒸発器(15)の冷媒アウトレット(17)で、冷媒アウトレット温度(TA)を検出するステップと、
d)前記室温(TR)と前記冷媒アウトレット温度(TA)の差としてアウトレット温度差(TAD)を算出するステップと、
e)前記冷媒アウトレット温度(TA)と前記冷媒インレット温度(TE)との差として蒸発器温度差(TVD)を算出するステップと、
f)所定の値以上、前記アウトレット温度差(TAD)が減少し、かつ前記蒸発器温度差(TVD)が増大したとき、リークを検出するステップ、
を含む方法。
【請求項9】
リーク検出後、前記冷媒回路(11)を前記空調される部屋(18)から少なくとも部分的には遮断するために冷媒密封性の分離装置が起動することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
リーク検出後、前記冷媒蒸発器(15)の前記冷媒インレット(16)が前記冷媒インレットバルブ(25)によって遮断され、前記冷媒蒸発器(15)の前記冷媒アウトレット(17)が前記冷媒アウトレットバルブ(31)によって遮断されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
リーク検出後、冷媒密封性のフラップ(48)が閉じられ、それにより前記空調システム(10)が前記空調される部屋(18)から遮断されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
リーク検出後、リークの存在に関する情報を含むことが望ましい電子メッセージが発信されることを特徴とする、請求項8~11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、冷媒回路を備える空調システムに関し、空調システムは、冷媒の循環方向に沿って見たとき、周囲環境と熱交換が可能な冷媒凝縮器、冷媒スロットル、空気調和される部屋と熱交換が可能な冷媒蒸発器、及び冷媒圧縮器を含む。
【0002】
さらに、本願発明は、上述した空調システムにおけるリーク検出の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術において、空調システムは多様な分野で使用される。空調システムでは、それぞれの目的に適応した特性を有する冷媒が使用される。従来の空調システムでは、冷媒が、フッ素化温室効果ガス、特にフッ素化炭化水素を含む。
【0004】
環境問題への意識向上と、例えばフッ素化温室効果ガスに関するEU指令などの法的要求が厳しくなるにつれて、いわゆる自然冷媒にますます注目が集まっている。しかし、これらの冷媒は一般に可燃性、爆発性、及び/又は有毒である、すなわち広い意味で人の健康に有害である。
【0005】
従って、そのような冷媒を使用した空調システムの環境、特にそのシステムによって空調された部屋にいる人は、これらの冷媒から保護されなければならない。このことは、特に冷媒が漏れたときに最も重要である。
【0006】
自然冷媒を使った空調システムはまた、比較的小さい部屋の空調に使用される。例えば、これはレジャー用車輌、すなわちキャラバン、トレーラ、モービルホーム、仮設住居、住居用コンテナ等であり得る。そのような小さい空調空間にいる人は、ごく微量の流出冷媒からも保護されなければならない。そのために、リークによる冷媒の流出を防止又は少なくとも流出量を最小化するための効果的かつ強固なリーク検出システムが必要となる。これが、自然冷媒による空調システムの安全な運用を提供する唯一の道である。
【0007】
したがって、冷媒リークを、たとえ微量の冷媒リークであっても、漏洩した冷媒を簡単かつ確実に検出可能である空調システムを提供することが本願発明の目的である。
【発明の概要】
【0008】
その目的は、上述の空調システムによって解決され、システムは、冷媒蒸発器の上流側(空気インレット側)で、空調される部屋の室温を検出するように形成された室温センサ、冷媒蒸発器の冷媒インレットで冷媒温度を検出するように形成されたインレット温度センサ、冷媒蒸発器の冷媒アウトレットで冷媒温度を検出するように形成されたアウトレット温度センサ、及び室温センサ、インレット温度センサ、及びアウトレット温度センサと接続された演算ユニットからなるリーク検出システムを含む。演算ユニットは、冷媒アウトレットにおける室温と冷媒温度の差であるアウトレット温度差、及び、冷媒インレットにおける冷媒温度と冷媒アウトレットにおける冷媒温度との差である蒸発器温度差を算出するように形成される。これら2つの温度差の算出は単一の演算ユニットで実現可能である。代わりに、それぞれの差の算出は別個の演算ユニットで実現可能である。リークが発生した場合、冷媒回路は、ある量の冷媒を失う。しかし、例えばブローワを介して、なお同じ量の熱が空調される部屋から冷媒蒸発器へと導入される。同じことが冷媒凝縮器にも当てはまる。その結果、冷媒蒸発器の冷媒インレットにおける冷媒温度が降下し、冷媒蒸発器の冷媒アウトレットにおける冷媒温度が上昇する。したがってリークが発生した場合、アウトレット温度差が減少し、蒸発器温度差が増大する。これは演算ユニットによって検出可能であり、リーク発生として認識される。これは、冷媒回路の圧力センサも、空調される部屋のガスセンサも必要としない。したがって、リークの検出は簡単で信頼性が高い。加えて、温度センサの手段で、いわゆるクリーピングリーク(潜行性の漏れ)も検出可能である。クリープリークとは、空調システムから小さい質量及び/又は体積の冷媒流出が長期に亘って発生することである。
【0009】
1つの実施形態においては、リークの検出に応じて、少なくとも部分的には冷媒回路を空調される部屋から分離するために冷媒密封性のある分離装置が起動される。
【0010】
1つの実施形態においては、空調システムは、少なくとも部分的には冷媒回路を空調される部屋から分離するための冷媒密封性分離装置を含む。したがって、リークが発生した場合、空調システム及び/又は冷媒回路を人が中にいる空調される部屋から分離することが可能である。したがって、人は冷媒から効果的に保護される。分離装置は、停止状態すなわち空調システムが動作していない状態で遮蔽可能であることが望ましい。これにより空調システムの安全作動がもたらされる。
【0011】
リーク検出後に、冷媒インレットバルブを使って冷媒蒸発器の冷媒インレットが遮断され、さらに冷媒アウトレットバルブを使って冷媒蒸発器の冷媒アウトレットが遮断されるように設計変更ができる。
【0012】
冷媒インレットの遮断ができる冷媒インレットバルブ、及び冷媒アウトレットの遮断ができる冷媒アウトレットバルブは、ソレノイドバルブとして形成されることが望ましい。代わりに冷媒アウトレットバルブは、冷媒蒸発器に向けた冷媒の流れを止める方向に取り付けられる逆流防止弁でもよい。それにより、冷媒蒸発器が残りの冷媒回路から分離可能である。一般に冷媒蒸発器は空調される部屋の中に配置されるため、冷媒蒸発器を閉鎖することはまた、空調される部屋を残りの冷媒回路から分離することになる。したがって、この部屋にいる人は冷媒から効果的に保護される。バルブであるため、迅速な遮断が可能である。加えて、バルブは安全装置付きの設計が可能である。例えば、休止状態で常に閉じているように設計できる。このことで、確かに空調システムの安全作動がもたらされる。
【0013】
加えて、リーク検出後、冷媒密封性のフラップを閉じることができ、それは空調される部屋から空調システムを遮断する。
【0014】
冷媒密封性のフラップは、分離装置の一部であってもよい。フラップは、リーク発生の際、迅速に、かつ外部力を必要とすることなく閉じるようにプレテンションされている、すなわちばね仕掛けであることが望ましい。
【0015】
リークの検出後、リーク存在の情報を望ましくは含む電子メッセージが発信されることが望ましい。
【0016】
メッセージ発信のため、リーク検出システムは、演算ユニットと連結した告知ユニットを含み得る。告知ユニットは、冷媒回路中のリーク存在のメッセージを作成するように形成される。最も簡単な例において、告知ユニットは、ディスプレイ、スクリーン、又は、例えばLED等の表示ランプであり得る。代わりに、告知ユニットは、例えば電子メッセージ、及びSMS(ショートメッセージサービス)又は電子メールを作成、発信できてもよい。空調システムのオペレータ以外の受信者として、空調システムのサービス業者、ディーラ、又は製造者があり得る。したがって、リークに影響される人がリーク発生について知らされることが容易である。
【0017】
有利なことに、冷媒蒸発器は、ダブルチューブ熱交換器として設計される(ドイツ特許出願DE102015122681を参照)。したがって、空調される部屋の中に設置される冷媒蒸発器は、空調される部屋への冷媒の流出に関して安全性が高い。その結果、冷媒回路中にリークが発生した際、空調される部屋の中の人に及ぶ危険性は少なくとも軽減される。
【0018】
本願発明の他の目的は、上述のように空調システムの冷媒回路中のリークが簡単かつ確かに検出される方法を示すことである。特に、少量のリークであっても検出されるべきである。
【0019】
その目的は下記のステップを含む上述の方法で達成される。
a)空気インレット側の冷媒蒸発器の上流側で、空調される部屋の室温を検出する、
b)冷媒蒸発器の冷媒インレットで、冷媒インレット温度を検出する、
c)冷媒蒸発器の冷媒アウトレットで、冷媒アウトレット温度を検出する、
d)室温と冷媒アウトレット温度の差としてアウトレット温度差を算出する、
e)冷媒アウトレット温度と冷媒インレット温度の差として蒸発器温度差を算出する、
f)所定の値以上、アウトレット温度差が減少し、蒸発器温度差が増大したとき、リークを検出する。
【0020】
アウトレット温度差及び/又は蒸発器温度差について、空調システムの応用法に依存して制限値が固定され得る。例えば、制限値として温度数値の変化速度を参照することができる。この制限値は毎分2度であることが望ましい。代わりに、制限値は温度数値であってもよい。
【0021】
ステップf)の代わりに、又はそれに加えて、アウトレット温度差が、例えば10度等の所定の値を下回ったとき、及び/又は蒸発器温度差が、例えば15度等の所定の値を上回ったときに、リークが検出されるようにもできる。
【0022】
リークが検出されると、空調システムは自動的に停止する。空調システムの全ての制御部品及び電気部品もまた停止することが望ましい。加えて、空調システムの回路関係のロックが起動して、ユーザによって回路のスイッチが再び入れられないようになることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願発明は、添付図面に示されている種々の実施形態例を参照して説明される。
【0024】
【
図1】本願発明に係る空調システムの模式的概観図を示す。
【
図2】本願発明に係る空調システムの別の実施形態の部分図を示す。
【
図3】本願発明に係る空調システムにおける温度推移例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、空調システム10の概観を示す。空調システム10は、例えばレジャー用車輌に設置される。
【0026】
空調システム10は、周囲環境14と熱交換をする冷媒凝縮器12を備えた冷媒回路11、及び、冷媒インレット16と冷媒アウトレット17を備え、空調される部屋18と熱交換をする冷媒蒸発器15を含む。
【0027】
冷媒は、冷媒ライン20を通って冷媒凝縮器12から冷媒スロットル22へ、そしてそこから冷媒ライン24を通って冷媒蒸発器15に循環する。冷媒ライン24はまた、冷媒インレットバルブ25を含み、それによって冷媒インレット16を残りの冷媒回路11から選択的に分離可能である。
【0028】
冷媒蒸発器15から進むと、冷媒は、冷媒ライン26を通って冷媒圧縮器28に回り、冷媒圧縮器28は冷媒ライン30を介して冷媒凝縮器12と接続されている。冷媒ライン26の中に、例えば逆流防止弁である冷媒アウトレットバルブ31が設置され、それにより冷媒蒸発器15の冷媒アウトレット17が、残りの冷媒回路から分離可能である。
【0029】
冷媒インレットバルブ25及び冷媒アウトレットバルブ31の両方が閉じた場合、冷媒蒸発器15は、残りの冷媒回路11から遮断される。
【0030】
空調システム10は、加えて、冷媒蒸発器15の冷媒インレット16における冷媒のインレット温度TEを検出可能なインレット温度センサ34を備えたリーク検出システム32を含む。リーク検出システム32は、加えて、冷媒蒸発器15の冷媒アウトレット17における冷媒のアウトレット温度TAを検出可能なアウトレット温度センサ36を含む。
【0031】
インレット温度センサ34及びアウトレット温度センサ36の両方は、演算ユニット38と接続されている。
【0032】
リーク検出システム32は、加えて、空調される部屋18の室温TRを検出可能な室温センサ40を、冷媒蒸発器15の上流側(空気インレット側41)に含む。室温センサ40はまた、演算ユニット38と接続されている。
【0033】
加えて、演算ユニット38には、告知ユニット42が接続されている。
【0034】
代わりに、演算及び告知を組み合わせたユニットを提供することもできる。
【0035】
残りの冷媒回路11から冷媒蒸発器15を遮断する別の実施形態が
図2に示されている。ここで、冷媒蒸発器15は、模式的に示され、冷媒回路11の残りの部分は省略されている。空調される部屋18も一部を取り除いて示されている。
【0036】
冷媒回路11及び/又は冷媒蒸発器15を、空調される部屋18から遮断するために、
図2の実施形態では、冷媒密封性のフラップ48が提供され、フラップ48は(破線で示されている)閉じた位置では、空調システム10を空調される部屋18から遮断できる。
【0037】
例えば、フラップ48は、その閉じた位置を保つようにプレテンションされてもよい。
【0038】
代わりに、フラップ48は、スライドとして設計され得る。
【0039】
空調システム10の作動形態を、ここから
図3に示されているダイヤグラムを参照して説明する。このダイヤグラムで、時間tがx軸に、そして温度Tがy軸にプロットされている。
【0040】
第1の曲線は、冷媒蒸発器15から空気インレット側41に上流での空調される部屋18の室温TRの推移を示す。第2の曲線は、冷媒蒸発器15の冷媒インレット16における冷媒の冷媒インレット温度TEの推移を示す。第3の曲線は、冷媒蒸発器15の冷媒アウトレット17における冷媒の冷媒アウトレット温度TAの推移を示す。
【0041】
空調システム10の作動中、インレット温度センサ34は、冷媒インレット温度TEを検出し、それを演算ユニット38に伝える。アウトレット温度センサ36は、冷媒アウトレット温度TAを検出し、測定された温度値を演算ユニット38に送る。
【0042】
同様に、室温センサ40は、冷媒蒸発器15から空気インレット側41に上流で空調される部屋18の室温TRを検出して、その温度値を演算ユニット38に提供する。
【0043】
提供を受けた温度値により、演算ユニット38は、室温TRと冷媒アウトレット温度TAとの差としてアウトレット温度差TADを、そして、冷媒アウトレット温度TAと冷媒インレット温度TEとの差として蒸発器温度差TVDを算出する。
【0044】
空調システム10にリークが存在しない場合、空調システム10の安定した作動中、温度TR、TA、およびTEは、実質的に不変である。それに応じて、蒸発器温度差TVD及びアウトレット温度差TADもまた、実質的に不変である。冷媒が冷媒回路11内を循環し、冷媒量は実質的に不変である。
【0045】
ここで、時間tLにおいて冷媒ライン20においてリークが発生したと仮定する。例えば、リークは冷媒ライン20の亀裂が原因かもしれない。
【0046】
説明をすすめていくと分かるとおり、冷媒回路11のいずれのポイントでリークが発生するかは、重要ではない。
【0047】
リークにより、ある量の冷媒が冷媒回路11から失われる。
【0048】
しかし、冷媒蒸発器15においてブローワによって冷媒回路11に供給される熱量は実質的に不変である。加えて、冷媒凝縮器12において、実質的に一定の熱量がブローワを介して冷媒から引き出される。
【0049】
空調される部屋18の温度TRも同様に、実質的に不変である。
【0050】
次に、冷媒凝縮器12において、量が減少してゆく冷媒から一定の熱量が引き出されるため、インレット温度TEが降下する。冷媒蒸発器15において、量が減少した冷媒に対して一定の熱量が加えられるため、アウトレット温度TAが上昇する。
【0051】
次に、アウトレット温度差TADが減少し、蒸発器温度差TVDが増大する。
【0052】
加えて、冷媒回路11の圧力が減少する。
【0053】
演算ユニット38は、蒸発器温度差TVDの変化を、演算ユニット38に記憶された所定の値と比較する。この限界値は、例えば毎分2度であってもよい。
【0054】
ここでアウトレット温度差TADが毎分2度以上の速度で減少し、蒸発器温度差TVDが毎分2度以上のレートで増加した場合、演算ユニット38は、リークを検出する。
【0055】
TAD及びTVDの限界値は、具体的な応用法に依存して固定され、それらはまた異なる値でもよい。
【0056】
アウトレット温度差TADが例えば10度の固定値を下回った場合、及び/又は蒸発器温度差TVDが例えば15度の固定値を上回った場合、演算ユニットは同様にリークを検出する。
【0057】
リーク検出への対応として、最初に演算ユニット38が、告知ユニット42を介してメッセージを作成してもよい。例えば、告知ユニットは、空調システムの修理業者に向けてSMS又は電子メールを発信してもよい。
【0058】
加えて、演算ユニット38は、空調される部屋にいる人を保護する手段を開始する。
図1に示されている第1の実施形態では、冷媒インレットバルブ25及び冷媒アウトレットバルブ31が、この目的で閉じられる。したがって、冷媒蒸発器15は、残りの冷媒回路11から遮断される。
【0059】
代わりに、
図2に示されている実施形態において演算ユニット38は、フラップ48を開いた位置(実線)から閉じた位置(破線)に移してもよい。
【0060】
つまり両方の選択肢において、空調される部屋18は、空調システム10から、特に冷媒回路11から、遮断される。したがって、空調される部屋18にいる人は、ごく少量の漏れた冷媒に晒されるだけであるか、もしくは全く晒されない。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システム(10)においてリークを検出する方法であって、前記空調システム(10)は、特にレクリエーション用車輌向けであり、冷媒回路(11)を有し、冷媒の循環方向に沿ってみると、周囲環境(14)と熱交換できる冷媒凝縮器(12)、冷媒スロットル(22)、空調される部屋(18)と熱交換できる冷媒蒸発器(15)、及び冷媒圧縮器(28)を含み、前記方法が、
a)空気インレット側(41)の前記冷媒蒸発器(15)の上流側で、前記空調される部屋(18)の室温(TR)を検出するステップと、
b)前記冷媒蒸発器(15)の冷媒インレット(16)で、冷媒インレット温度(TE)を検出するステップと、
c)前記冷媒蒸発器(15)の冷媒アウトレット(17)で、冷媒アウトレット温度(TA)を検出するステップと、
d)前記室温(TR)と前記冷媒アウトレット温度(TA)の差としてアウトレット温度差(TAD)を算出するステップと、
e)前記冷媒アウトレット温度(TA)と前記冷媒インレット温度(TE)との差として蒸発器温度差(TVD)を算出するステップと、
f)前記アウトレット温度差(TAD)がある固定値より小さい値になるとき、および/または前記蒸発器温度差(TVD)がある固定値を超えたとき、リークを検出するステップと、を含む方法。
【請求項2】
リーク検出後、前記冷媒回路(11)を前記空調される部屋(18)から少なくとも部分的には遮断するために冷媒密封性の分離装置が起動することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リーク検出後、前記冷媒蒸発器(15)の前記冷媒インレット(16)が冷媒インレットバルブ(25)によって遮断され、前記冷媒蒸発器(15)の前記冷媒アウトレット(17)が冷媒アウトレットバルブ(31)によって遮断されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
リーク検出後、冷媒密封性のフラップ(48)が閉じられ、それにより前記空調システム(10)が前記空調される部屋(18)から遮断されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
リーク検出後、リークの存在に関する情報を含む電子メッセージが発信されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
空調システム(10)であって、特にレクリエーション用車輌向けであり、冷媒回路(11)を含み、
前記空調システム(10)は、冷媒の循環方向に沿って見たとき、周囲環境(14)と熱交換できる冷媒凝縮器(12)、冷媒スロットル(22)、空調される部屋(18)と熱交換できる冷媒蒸発器(15)、及び冷媒圧縮器(28)を含み、
前記空調システム(10)は、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法を実行するように適合された演算ユニットを含む、空調システム。
【外国語明細書】