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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050561
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】抵抗器を備えた電極構造体
(51)【国際特許分類】
   C25C 7/02 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
C25C7/02 302D
C25C7/02 305
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022001574
(22)【出願日】2022-01-07
(62)【分割の表示】P 2018547963の分割
【原出願日】2017-03-08
(31)【優先権主張番号】102016000024365
(32)【優先日】2016-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102016000083106
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】507128654
【氏名又は名称】インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】フィオルッチ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ペレゴ,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ペローネ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】モジャナ,コラード
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イオン溶液から銅及び他の非鉄金属を電解抽出するためのプラントのセルにおいて、対向する電極の間の可能性のある直接電気接続によって引き起こされる可能性がある損傷を減少させることができる電極、および上記の電極を用いる電解槽を提供する。
【解決手段】電極は、並列の複数の抵抗器400を介して少なくとも1つの電流のための分配構造体300に接続されている、酸素又は塩素を発生させる少なくとも1つのアノードパネル200を含む装置から構成される。このパネルは、任意に複数の電気的不連続の領域を示してよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアノードパネル及び少なくとも1つの電流分配構造体を含む、非鉄金属を電解精製又は電解抽出するためのアノード装置であって、該アノードパネルはアノードとして使用されかつ酸素または塩素を発生させることができる少なくとも1つの表面を有し、
該少なくとも1つのアノードパネルが、部分的又は完全に電気的に不連続の少なくとも1つの区域を備えており、該部分的電気的不連続の区域は少なくとも1つの方向にそって少なくとも1cmの寸法の電気的絶縁領域であり、この不連続区域はアノードパネル内に配されているが、任意に該アノードパネルの端部を含んでいてよく、そして該完全な電気的不連続の区域は少なくとも1つの方向にそって少なくとも1cmの寸法の電気的絶縁領域であり、該アノードパネルの全寸法に沿って伸長して、それによって該アノードパネルが幾つかのサブパネルに細分割されており、そして
該少なくとも1つの電流分配構造体は該少なくとも1つのアノードパネルに、互いに並列に配置されている複数の抵抗器を経由して電気的に接続されており、該複数の抵抗器のそれぞれの抵抗器は40℃で測定して5~100mΩの抵抗を有することを特徴とし、
該電流分配構造体が、チタン被覆を有する銅棒、あるいは鉛製又は鉛合金製のシート又はパネルを含む、
上記装置。
【請求項2】
該少なくとも1つのアノードパネルが、バルブメタル又はその合金で作られている基材、及び少なくとも1つの触媒被覆で構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該少なくとも1つのアノードパネルが、メッシュ、多孔板、又はルーバー構造体から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
それぞれのアノードパネルが、並列に配置されている15~600個の抵抗器を経由して少なくとも1つの電流分配構造体に電気的に接続されている、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
該複数の抵抗器が該パネル上に配されている複数の電気的接続領域を介して該少なくとも1つのアノードパネルに接続されており、該少なくとも1つの電気的不連続の区域が2つの隣接する電気的接続領域の間に配されている、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
該複数の抵抗器が複数の電気的接続領域を介して該少なくとも1つのアノードパネルに接続されており、該アノードパネルは複数の電気的不連続の区域を有し、該少なくとも1つのアノードパネルの基部に対してh1及びh2の高さ(h1<h2である)に配置されている電気的不連続の2つの隣接する区域ごとに関して、少なくとも1つの接続領域がh3の高さ(h1≦h3≦h2である)に配されている、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
該少なくとも1つのアノードパネルが、該複数の抵抗器と接続されている少なくともN1個の電気的接続領域、及び少なくともN2個の電気的不連続の区域を備えており、該N1個の接続領域は第1の垂直ストリップに沿って配列されており、該N2個の電気的不連続の区域は第2の垂直ストリップに沿って配列されており;N1は5~100の間の数であり、N2は0.5×N1より大きい、請求項1~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
該少なくとも1つのアノードパネルが、該複数の抵抗器に接続されている少なくともN3個の更なる電気的接続領域を備えており、該N3個の接続領域は第3の垂直ストリップに沿って配列されており、N3は5~100の間の数である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
該少なくとも1つのアノードパネルが、少なくともN4個の更なる電気的不連続の区域を備えており、N4は0.5×N3より大きく、該N4個の電気的不連続の区域は第4の垂直ストリップに沿って配列されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
該少なくとも1つの電気的不連続の区域が、切り込み、孔、又は電気絶縁材料のインサートである、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
該少なくとも1つの電気的不連続の区域が、少なくとも1つの寸法に沿って少なくとも長さ5cmである、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
該アノードパネルが、互いに分離している少なくとも2つのチタン製アノードサブパネル、及び少なくとも2つの電流分配構造体を含み、該少なくとも2つのサブパネルは、ルーバー、シート、及びエキスパンドメッシュ構造体から選択されており、
それぞれの電流分配構造体は互いと並列に配置されている複数の抵抗器を経由してサブパネルに接続されており、それぞれのサブパネルは第1の垂直ストリップに沿って配列されている5~100の接続領域を含み、それぞれの接続領域は少なくとも5cmの長さを有する水平の切り込みと交互に配置されており、それぞれの切り込みは該第1の垂直ストリップから0~10cmの距離に配置されている少なくとも1つの点を有する、請求項9~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
該アノードパネルが、少なくとも20の電気的不連続の区域、及び該少なくとも1つのアノードパネルを互いと並列に配置されている少なくとも20の抵抗器と接続することができる少なくとも20の接続領域を備えており、それぞれの電気的不連続の区域は、少なくとも1つの接続領域から15cm未満の距離に配置されている、請求項1~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
該並列に配置されている複数の抵抗器が10-5~10-3Ωの間の等価電気抵抗を有する、請求項1~13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
該複数の抵抗器のそれぞれの抵抗器が、プレート、ストリップ、メッシュ、ケーブル、布帛、及びパッドからなる群から選択される、請求項1~14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
該複数の抵抗器が、電気的不連続の区域を有するバルブメタルのシート、エキスパンドメッシュ、又は多孔板である、請求項1~15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
該少なくとも1つのアノードパネル及び該複数の抵抗器が、バルブメタルの折り曲げシート、エキスパンドメッシュ、又は多孔板の一体物である、請求項1~16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
該電流分配構造体が鉛製又は鉛合金製のシート又はパネルを含む、請求項1~17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載の少なくとも1つのアノード装置を含む、非鉄金属を電解抽出するための電解槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解精製及び電解採取プラントのための電解槽において有用に用いることができる電極に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば非鉄金属の電解抽出を目的とするプラントのような金属電着プラントは、一般にそれぞれが複数の基本セルを含む1以上の電解槽を用いる。基本セルは、一般に電解浴中に交互に且つ互いに並列の位置で配置されているアノード及びカソードを含む。アノード及びカソードには、それぞれアノード及びカソードに近接して配置されており、それらに電気的に接続されている少なくとも1つのアノードバスバー及び少なくとも1つのカソードバスバーを含む電流分配システムを通して電力が供給される。
【0003】
それぞれの電極は、導電性の支持部材を通して電力供給され、通常は導電性の支持部材を介して垂直位置で電解浴中でに支持されている。これらの部材は、電極をその独自のハンガーバーに接続する1以上の通電バスバー及び1以上の電流分配構造体に取り付けられているか又は接続されているハンガーバーを含む
銅、亜鉛、又はニッケルのような非鉄金属を電解採取するプロセスにおいては、カソードにおける金属の析出が不均一に起こってデンドライトが形成される可能性があり、これは電流の通過と共に増加する速度で対向するアノードに向かって成長する。デンドライトは、産出される金属の品質及び量に対して悪影響を与えるのに加えて、対向するアノードと接触すると電気的短絡を引き起こして、しばしば電極に損傷を与え、プラントの安全性を脅かし、電解槽全体における電流分配に対して大きな悪影響を与える可能性がある。チタン又は他のバルブメタルのメッシュ、ルーバー構造体、孔あけシート(多孔シート)、シート、又はエキスパンドメッシュ及びシートから作られた最新構造のアノード(従来の鉛アノードと比べて減少したエネルギー消費量で運転される有利性を有する)を用いる場合には、デンドライト形成物によって引き起こされる短絡は、電極に対して多大な不可逆的損傷をもたらし、プラントの要員による適時の行動が必要になる場合がある。しかしながら、かかる人間の介入の必要性は望ましくなく;非鉄金属の電解抽出のための殆どのプラントは、健康に良くなく、潜在的に危険な環境であり;プラントの要員が電解槽からの酸ミストに曝される時間は、可能な限り短く保たなければならない。
【0004】
しかしながら、電解槽を通って流れる電流を制御するための自動監視システムを用いてこの問題に対処する解決策は、現時点では実施するのが複雑且つ高価であり、及び/又は深刻な効率性及び信頼性の問題を有している。電解浴の酸雰囲気、高い電流密度、カソードのそれらの台座からの周期的な取り外し、及びプラントの高い運転温度は、当該技術において公知の制御及び監視システム内に存在する電子コンポーネントに関して、これらが好適な保護被覆を備えているか又は樹脂中に埋封されている場合であっても、望ましくない危険因子を構成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記の電着プラントにおけるデンドライト形成物の成長を遅延させて、いかなる場合においても対向する電極の間の可能性のある直接電気接続によって引き起こされる可能性がある損傷を、接続がデンドライトによって引き起こされる場合であっても、或いは電極の取付不良によって引き起こされる場合であっても減少させることができるシステムを提示することが望ましい。また、かかるシステムは、電解採取プラントの運転条件下で、その運転効率を認め得るほど減少させることなく強度、頑健性、及び信頼性が証
明されるコンポーネントを用いることも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の種々の形態は添付の特許請求の範囲に記載する。一形態においては、本発明は、非鉄金属を電解精製又は電解採取するためのアノード装置に関する。本アノード装置は、並列に配置されている複数の抵抗器によって電気的に接続されている少なくとも1つのアノードパネル及び少なくとも1つの電流分配構造体を含む。抵抗器とは、ここでは5×10-5Ω以上の電気抵抗を有するいずれかの抵抗素子を意味する。複数の抵抗器は、同じか又は異なる電気抵抗値を有していてよい。
【0007】
以下において、電気抵抗値は40℃において測定される値を指す。アノードパネルという用語は、アノードとして用いるのに好適などのような形状及び寸法であってよい、酸素又は塩素を発生させることができる少なくとも1つの表面を与える部材を意味している。この表面は、平坦又は波形の、中実表面、多孔表面、切り込み付き表面、エッチング表面、又は穿孔表面であってよい。アノードパネルは複合構造体であってよく、互いから物理的に分離している幾つかの部材(サブパネル)を含んでいてもよく、それぞれは少なくとも1つの抵抗器によって少なくとも1つの共通の電流分配構造体に接続されている。したがって、定格(nominal)運転条件下においては与えられたアノードパネルのサブパネルは
実質的に同じアノード電位であり、同じカソードに対向する。
【0008】
電流分配構造体には、チタン被覆が与えられている銅棒など(しかしながらこれに限定されない)の1以上の通電棒又はプレートを含ませることができる。電流分配構造体はまた、鉛又はその合金のシート又はパネル、例えば使用済みの鉛アノード(又は使用済みの鉛合金製のアノード)であってもよい。
【0009】
電流分配構造体は、1以上のアノードパネルをアノードハンガーバーに電気的に接続する。後者は、通常は次に電力を電極に供給する少なくとも1つのアノードバスバーに接続される。
【0010】
本発明者らは、本発明による装置は、デンドライト形成物の成長を24時間より長く遅延させることができ、電極間の短絡の場合には、それを通る最大電流を制限することによってアノードパネルに対する損傷を減少させ、それによって更なる効率損失を回避することができることを認めた。抵抗器を並列に接続することを特徴とする本発明による電気的構成は、セルを定格値で運転する場合にはプラントの運転条件に対して(例えば、電力の消散の観点で)大きな悪影響を与えない。
【0011】
実際に、並列に接続された複数の抵抗器は、個々の抵抗器のものよりも低い等価電気抵抗を有し、これはそれらの数が増加するにつれて減少する。特定の理論には縛られないが、本発明者らは、例えばデンドライト形成又は電極の取付不良の結果としてアノード装置とカソードの間に直接的な電気接触が形成されると、電流は、アノードパネルの電気抵抗、又はその更なる具体的な形態/電気特性(例えば、電流のための優先的経路を形成することができる電気的不連続の区域など)のために抵抗器の特定のサブセットを通って流れると思われる。この抵抗器のサブセットは、装置を定格条件下で運転する場合の等価回路のものよりも高い電気抵抗を有する。これにより、アノードパネルが1つ又は複数の電流分配構造体と直接電気的に接触している場合と比べてアノードパネルを通って放出される電流の減少が促進される。
【0012】
抵抗器の選択、数、及び抵抗値は、例えばアノードパネルの物理的及び化学的特性、並びに電解抽出プラントを運転する電流密度のような種々のファクターに応じて変動する。抵抗器は、有利には、一方では等価電流がプラント運転のために許容できる抵抗降下を有
し、他方ではデンドライト形成物と接触した場合にアノードに対する大きな損傷を制限する(即ち、2.5cm×2.5cm未満の寸法の表面損傷(これより高い値においては、金属析出物の品質が悪影響を受ける)を生成させる)のに十分な電気抵抗を個々の抵抗器が確保するように設計することができる。この趣旨で、抵抗器の抵抗値を設計する際には、当業者は、プラントを運転する電流密度を念頭に置き、セルの運転パラメーター及び電極材料を考慮し、その活性表面への大きな損傷を生起させることなくアノードパネルを通って放出させることができる最大電流の関数として抵抗器の値を計算するであろう。
【0013】
オーミック抵抗器又は線形抵抗器は、それらの運転中のアノード装置における温度変動に寄与する多くの制御不能なファクターのために、少なくとも20~65℃の間、好ましくは20~100℃の間の温度範囲においては、それらの設計をより容易にすることができ、それらの信頼性を更に確保することができる。したがって、これらの抵抗器は、非オーミック又は非線形抵抗器、並びにその抵抗値が極めて非線形的に温度及び/又は電流強度によって大きく変動し、電解採取プラントの運転条件において潜在的に危険な成分(例えば、プラスチック、微細ワイヤ)を含む、サーミスタ又はリセッタブルヒューズのような他の公知のデバイスよりも好ましい。抵抗器の保護機能を確保しながら、電流分配構造体に直接接続されているパネルを用いる従来の運転と比べてセル電圧の増加を最小にするためには、並列に配列されている複数の抵抗器を、それらが10-5~10-3Ωの等価電気抵抗を有するように選択することが有利である可能性がある。
【0014】
本発明による装置の一態様においては、それぞれのアノードパネルに関する抵抗器の合計数は、15~600、好ましくは20~300の間である。個々の抵抗器の抵抗値が等しい場合には、特定の閾値より少ない抵抗値の数によって、等価回路の抵抗の増加がもたらされ、その結果、エネルギーの観点での性能低下がもたらされる。他方において、過剰に多い数は、アノード装置の組立てが長時間の面倒なプロセスになる可能性がある。一態様においては、上記に記載するアノードパネルは2つ又は3つのサブパネルに細分割され、それぞれのサブパネルは、15~200の間、好ましくは20~100の間の数の抵抗器を介して電流分配構造体に接続される。本発明の更なる態様によれば、抵抗器を、シート、ストリップ、メッシュ、ケーブル、布帛、及びパッドから選択することが有利である可能性がある。抵抗器は、例えば、バルブメタルのプレスされたストリップ、エキスパンドメッシュ又は多孔メッシュ若しくはシートであってよい。このタイプの抵抗器は、対向するアノードとカソード装置の間の短絡の場合に腐食又は過度の過熱を起こさないという有利性を有することができる。過度の過熱とは、抵抗器の温度が定格運転条件と比べて50℃より高く上昇することを意味する。更に、アノード装置においてプラスチック、セラミック、及び/又は細線部材を含む従来の電子コンポーネントを用いる当該技術において記載されている解決策に対して、本態様による装置はかかる危険な材料が使用されておらず、アノードコンポーネントの安全性及び運転寿命の観点で有利な解決策を示すことができる。
【0015】
一態様においては、並列に配置されている複数の抵抗器のそれぞれの抵抗器は、1×10-4~1Ωの間の電気抵抗を有する。
更なる態様によれば、並列に配置されている複数の抵抗器のそれぞれの抵抗器は、5~100mΩの間の電気抵抗を有する。特に、それぞれの電気抵抗は10~50mΩの間であってよい。
【0016】
本発明の更なる態様によれば、アノードパネルは、バルブメタル又はそれらの合金の基材、及び少なくとも1つの触媒被覆を含む。パネルには、基材又は触媒被覆それ自体の保護のための他の被覆を与えることができる。
【0017】
バルブメタルの非排他的な例は、タングステン、タンタル、チタン、ジルコニウム、及
びニオブである。
この後者の態様は、従来の鉛アノードよりも少ない環境影響を有することができ、中でも酸素又は塩素を発生させる過電圧がより低いためにアノード反応が促進されるという有利性を与えることができる。
【0018】
本発明の更なる態様によれば、電流分配構造体には、例えば使用済み鉛アノードのような鉛で形成された少なくとも1つのシート又はパネルを含ませることができる。このようにすると、電流分配構造体としてバルブメタルアノードパネルをそれに取り付けた使用済のアノードを用いて、鉛アノードを用いる使用済の電解セルを改造することができる。このようにすると、既存のアノード材料を電解槽の内部で引き続き使用して、それによって鉛構造体の廃棄の問題を回避し、一方でバルブメタルが与えることができる製品のエネルギーコスト及び/又は量の観点で向上した性能をプラントが利用することができる。
【0019】
更なる態様によれば、本発明による装置は、エキスパンドメッシュ、シート、多孔シート、及びルーバー構造体から選択される少なくとも1つのアノードパネルを備える。ルーバー構造体とは、複数の互いに平行で、通常は水平の切り込み又はスロットが与えられたパネルを意味する。これらの構造体は波形の外形を有していてよく、例えば1つのスロットと他のスロットの間に曲線状の部分を有していてよく、又はベネチアンブラインド様であってよく、或いは垂直方向に対して傾斜している複数の平行のストリップを有することを特徴としていてもよい。
【0020】
本発明者らは、ルーバー、多孔シート、又はエキスパンドメッシュ構造を有し、任意に切り込みが与えられていてよいチタン製のアノードパネルは、本発明によるアノード装置において用いると有利である可能性があることを認めた。その形態的特徴によって、対向するカソードとの短絡の場合において、中実シートを用いる場合と比べて電流が本質的に優先して抵抗器の減少したサブセットを通って通過すると思われる。
【0021】
本発明による装置における単一のアノードパネルは、並列に配列された複数の抵抗器を介して1以上の電流分配構造体に電気的に接続することができる。同様に、個々の電流分配構造体は、複数の並列の抵抗器を介して1以上のアノードパネルに接続することができる。
【0022】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのアノードパネルは互いから分離している複数のサブパネルを含み、それぞれのサブパネルは、少なくとも1つの抵抗器を介して、好ましくは複数の抵抗器を介して少なくとも1つの共通の電流分配構造体に接続されている。実際には、個々のサブパネルに接続されている個々の抵抗器の組は、ここに記載するアノード装置を有する基本電解セルを表す電気回路の目的の並列の抵抗器の組としてみなすことができる。
【0023】
本発明者らは、アノード装置の組み立てを容易にするためには、それぞれのアノードパネルのサブパネルを、電流を分配する構造体の数と等しいか又はそれよりも少ない数に制限することが有利である可能性があることを認めた。それぞれのサブパネルは、有利には、10~200の間、好ましくは15~150の間、更に好ましくは20~100の間の数の抵抗器を介して対応する分配構造体に接続することができる。
【0024】
更なる態様によれば、本発明による装置は、部分的又は完全な電気的不連続の少なくとも1つの区域を備えた少なくとも1つのアノードパネルを有する。
「電気的不連続の区域」とは、少なくとも1つの方向にそって少なくとも1cmの寸法の電気的絶縁領域を意味する。この不連続区域はアノードパネル内(任意にその端部を含んでよい)に配されていてよく(この場合には、これは部分的と規定される);これはま
たパネルの全寸法に沿って伸長して、それによってパネルが幾つかのサブパネルに細分割されていてもよい(後者の場合には、不連続区域は完全と規定される)。
【0025】
1以上の電気的不連続の区域を存在させることによって、デンドライト形成物と接触した場合にアノードパネルの表面を横切る優先的な電気路を形成して、これにより、電流を優先的に限定された数の抵抗器を通って放出させることができる。
【0026】
本発明の一態様によれば、それぞれのアノードパネルに関する電気的不連続の区域の数は、10より多く、好ましくは50より多く、更により好ましくは65より多い。
本発明による装置において、それぞれの抵抗器は、その少なくとも1つの部分がパネル上又はその端部の上に配置されている電気的接続領域を介してアノードパネルに接続することができる。この電気的接続領域はまた、部分的に不連続にして、アノードパネルの1以上の表面に、及び/又はその厚さ全体に拡げることができる。これはまた、区分(segment)、又は点、或いはその不連続集合体であってもよい。
【0027】
幾つかの場合においては、この領域は抵抗器とアノードパネルの間の接合部に対応していてよい。幾つかの場合においては、この領域は、アノードパネルをパネル自体の上に配置されている抵抗器に直接接続している任意の伝導部材の部分であってよい。かかる伝導部材が並列に配置されている複数の抵抗器の幾つかの抵抗器に共通である場合には、個々の抵抗器に関する電気的接続領域は、個々の抵抗器とパネルの間の最も短い電気路に対応するパネル上に配置される伝導部材の部分によって特定される。
【0028】
幾つかの場合において、抵抗器及びアノードパネルは、例えばエキスパンドメッシュ又はシート或いは多孔板のような単一の部材から形成することができる。かかる単一の部材は、好適には、一方の側では対向するカソードとの電気化学的反応がその上で起こるアノード表面を与え、且つ他方の側ではアノード表面の後方に折り畳まれて電流分配構造体に並列に接続される複数の抵抗ストリップを与えるように折り畳まれて切断される。この場合には、接続領域とは、抵抗ストリップがカソードに向かい合うガス放出アノード表面に変化する位置に対応する幾何学領域又は区分を意味し、通常はかかるアノード表面の折り畳まれた端部上に配置される。
【0029】
以下において、電気的接続領域とは、パネルが直接か又は電気的接続を介して抵抗器に取り付けられている位置か、或いは別の形態として湾曲している位置(この場合には、湾曲部分によってカソードと対向するアノードパネルの表面が電流分配構造体に接続されている複数の抵抗器に接続される)に対応する幾何学領域又は区分を意味する。
【0030】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つの電気的不連続の区域は、2つの隣接する電気的接続領域の間に配置される。
本発明の更なる態様によれば、アノード装置には、少なくとも7つ、好ましくは少なくとも20、更により好ましくは少なくとも50の隣接する電気的接続領域の対が与えられ、少なくとも1つの電気的不連続の区域は、かかる隣接する電気的接続領域の対のそれぞれの間に配置される。隣接する電気的接続領域とは、その間に更なる接続領域が存在しない2つの接続領域を意味する。
【0031】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つのアノードパネルには、少なくとも10の電気的不連続の区域及び少なくとも10の接続領域が与えられ、それぞれの電気的不連続の区域は少なくとも1つの接続領域から20cm未満の距離に配置される。
【0032】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つのアノードパネルには、少なくとも20の電気的不連続の区域及び少なくとも20の接続領域が与えられ、それぞれの電気的不連
続の区域は少なくとも1つの接続領域から15cm未満の距離に配置される。
【0033】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つのアノードパネルには、少なくとも20の電気的不連続の区域及び少なくとも20の接続領域が与えられ、それぞれの電気的不連続の区域は少なくとも1つの接続領域から10cm未満の距離に配置される。
【0034】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つのアノードパネルには、少なくとも25の電気的不連続の区域及び少なくとも25の接続領域が与えられ、それぞれの電気的不連続の区域は少なくとも1つの接続領域から10cm未満の距離に配置される。
【0035】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つの予め定められた方向に沿って少なくとも1つの電気的不連続の区域が、かかる方向に沿った連続する電気的接続領域のそれぞれの対の間に配置されるアノードパネルの面内に存在する。
【0036】
この態様は、デンドライトとの接触によって引き起こされる基本セル内の短絡の場合に、電流が少数の抵抗器を通して流れるのを促進して、それによってパネルを通って放出される電流を制限し、その結果、パネルに対して引き起こされる損傷を減少させる有利性を与えることができる。
【0037】
本発明の他の態様によれば、隣接する電気的接続領域のそれぞれの対に関して少なくとも1つの電気的不連続の区域が存在する。例えば、2つの隣接する電気的接続領域がそれぞれh1及びh2(ここでh1<h2)の高さに位置する場合には、少なくとも1つの電気的不連続の区域は高さh3(ここで、h1はh3以下であり、h3はh2以下である)に配置される。この構成によって、デンドライトと直接接触することによって引き起こされる短絡の場合に電流が実質的に1つの抵抗器のみを通って流れるのを促進させることができる。
【0038】
不連続の区域及び接続領域の位置は、それらの幾何中心(重心)のそれぞれの位置によって特定される。
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つのアノードパネルには、アノードパネルを並列の複数の抵抗器に接続するN1個の電気的接続領域、及びN2個の電気的不連続の区域が与えられる(ここでN1及びN2は次の基準:N2はN1の半分よりも大きな整数であり、5≦N1≦100である;を満足する)。これらの接続領域は第1の垂直ストリップに沿って配置され;電気的不連続の区域は少なくとも第2の垂直ストリップに沿って配列されて、任意に第1の垂直ストリップと完全か又は部分的のいずれかで重なり合ってよい。
【0039】
与えられた垂直ストリップは仮想幾何表面であり、その高さはアノードパネルの高さと一致しており、その幅は全ての接続領域、或いは別の形態では全ての不連続の区域の水平投影面を含むようなものであり、その水平投影面は少なくとも1つの点で重なり合う。
【0040】
アノードパネルにはまた、第1の垂直ストリップと一致しない第3の垂直ストリップに沿って配置されているN3個(5≦N3≦100)の更なる電気的接続領域を与えることもできる。パネルはまた、N4個の更なる電気的不連続の区域を有していてもよく、ここでN4はN3の半分よりも大きな整数であり、これらの更なる電気的不連続の区域は第4の垂直ストリップに沿って配置され、任意に第3の垂直ストリップと完全か又は部分的のいずれかで重なり合ってよい。
【0041】
更なる態様によれば、N1(及び/又は存在する場合にはN3)は、10~100、20~100、又は20~80の間であってよい。
本発明の更なる態様によれば、アノードパネルは、1以上の更なる別の垂直ストリップに沿って配置されている複数の更なる電気的接続領域を有していてよく、任意に1以上の更なる垂直ストリップに沿って配置される複数の更なる電気的不連続の区域を有していてよい。
【0042】
更なる態様によれば、少なくとも1つの電気的不連続の区域は、切り込み、孔、又は電気絶縁材料のインサートである。孔とは、どのような種類の貫通開口を意味してもよい。切り込みとは、材料の除去を伴うか又は伴わないで形成することができるパネルの全厚さにわたる切り目を意味する。
【0043】
本発明者らは、デンドライトとの接触の場合において、電気的不連続の区域が5cm以上の少なくとも1つの寸法を有する場合、例えば上記に記載の種々の態様によるパネルの表面上に好適に配列されている切り込みの場合には、パネルを通って流れる電流は、部分的に少数の抵抗器に沿って誘導することができることを認めた。このようにすると、パネルを通過する最大電流を、アノード装置に対する潜在的な損傷を制限し、プラントの安全性を維持する閾値より低く有効に保持することができる。
【0044】
更なる態様によれば、本発明によるアノード装置は、2つの対向するカソードに面する、好ましくはチタン製で、触媒被覆を備えた少なくとも2つのアノードパネルを含む。これらの2つのパネルは、互いから分離されていて、ルーバー構造体、エキスパンドメッシュ、又はシートから選択される。この装置はまた、それぞれが互いに対して並列に配列されている複数の抵抗器を介して少なくとも1つのパネルに接続されている少なくとも2つの電流分配構造体も含む。それぞれのパネルは第1の垂直ストリップに沿って配置されている5~100の接続領域を含み、それぞれの接続領域は長さ5cm以上の水平の切り込みと交互に配置されている。それぞれの切り込みは、第1の垂直ストリップから0~10cmの距離に位置する少なくとも1つの点(point)を有する。接続領域に対して切り込み
を交互配列するということは、必ずしもこれらが2つの隣接する領域の間に配置されることを意味するものではなく、垂直方向に沿って、それぞれの切り込みの垂直位置が2つの隣接する接続領域の垂直投影面の間に位置することを意味する
或いは、切り込みは、垂直方向に対して20°~60°の間の角度で傾斜させることができる。切り込みは材料の除去を伴うか又は伴わないで形成することができ;前者の場合においては、これらはパネルの厚さを横切る貫通孔であってよい。
【0045】
他の形態によれば、本発明は、上記に記載した少なくとも1つのアノード装置を含む、非鉄金属を電解採取するための電解槽に関する。
下記において、例として添付の図面を参照して本発明の数多くの態様を記載するが、その目的は単に本発明のかかる態様に関する種々の構成要素の相互配置を示すことであり;特に、図面は当縮尺図であると理解すべきではない。図1~13は、本発明によるアノード装置の数多くの態様を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図2図2は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図3図3は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図4図4は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図5図5は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図6図6は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図7図7は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図8図8は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図9図9は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図10図10は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図11図11は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図12図12は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
図13図13は、本発明によるアノード装置の一態様を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明によるアノード装置の背面(I)、側面(II)、及び正面(III)の投影図を示す。本図は、電流を分配するための構造体(300)に接続されたアノードハンガーバー(100)を示す。構造体(300)は、電気的接続領域(500)を介してパネルに接続されている複数の抵抗器(400)を介してアノードパネル(200)に接続されている。アノードパネルの正面(図III)は、酸素又は塩素が放出される反応が起こる場所である。垂直方向は矢印(y)によって示し;これは通常は従来の電解採取セルの垂直方向と一致する。アノードパネル(200)の基部は、水平基準を特定するx軸によって示される高さに位置する。
【0048】
図2は、本発明によるアノード装置の一態様の背面(I)、側面(II)、及び底面(III)からの図を与える。この態様においては、抵抗器(400)は、電気的接続領域(500)に対応してアノードパネル(200)に接合されているチタンのエキスパンドメッシュである。パネル上において、接続領域のそれぞれの隣接する対の間に電気的不連続の区域(600)が配されている。これらの不連続の区域によって、アノードパネルが垂直方向に沿って部分的に細分化されている。デンドライト形成物と、2つの不連続の区域の間に位置するパネルの領域の間に接触が存在する場合には、電流は、好ましくは最も近い1つ又は複数の接続領域に近接している1つ又は複数の抵抗器を通って流すことができる。したがって、電極間の直接接触の場合に、電流に対抗する電気抵抗は、個々の抵抗器の抵抗Rに近接する。これは次に、プラントの運転条件下においてパネル上の接触点を通過する最大電流を、装置を保護するために予め定められた閾値より低く維持することが確保されるように、当業者によって好適に寸法調整される(dimensioned)。他方におい
て、プラントの定格運転条件下においては、アノード装置によって与えられる電気抵抗は、実質的に、複数の抵抗器によって形成される並列回路の等価電気抵抗:Req(ここで、Req<<R)に相当する。抵抗器が互いと同一であり、N個で存在する場合には、ReqはR/Nに相当する。したがって、抵抗器の好適な数及び適当な抵抗Rを選択することによって、同時に電極間の電気的接触の場合にアノードパネルが保護されることを確保しながら、基本セルにおける効率の小さな降下の両方を得ることができる。
【0049】
図2に示す態様においては、絶縁部材(700)を、アノードパネルと電流分配構造体(300)の間に配置する。この部材は、アノードパネルと分配構造体が非意図的に直接接触するのを阻止するのに寄与する。これはまた、パネルのための機械的支持部材も構成する。アノードパネル、絶縁部材、及び電流分配構造体は、締着手段(図においては示していない)によって一緒に固定することができる。
【0050】
図3は、本発明によるアノード装置の一態様の背面(I)、正面(II)、及び底面(III)からの図を示す。アノードパネル及び抵抗器は、垂直方向(050)に沿ってそれ自体の上に部分的に折り返されている単一の平坦な部材から製造される。この平坦な部材の折り返された端部には複数の水平の切り込み(900)が与えられており、電流分配構造体(300)と接触している。水平の切り込み(900)によって、部材の折り返された部分が並列の複数の抵抗器(400)に細分割されている。切り込みはアノードパネル(200)の前平面に拡がって、不連続の区域(600)を与えている。電気的接続領域(500)は、アノード反応が起こる前平面(即ちアノードパネル)と、抵抗器を構成する並列のストリップの間に仮想の分離を示す。絶縁部材(700)は、図において示されるように構成することができ、或いは有利には、異なる部材の間の非意図的な電気的接
触を阻止するために、アノードパネル(200)と複数の抵抗器(400)の間の空間内に伸長させることができる。
【0051】
図4は、本発明によるアノード装置の一態様の正面図(I)、側面図(II)、及び底面図(III)を与える。この態様は、並列の複数の抵抗器(400)を介して電流分配構造体に接続されている2つのアノードパネル(200)及び(250)を含む。それぞれのパネルは、2つの異なる垂直ストリップに沿って配置されている電気的接続領域(500)を介して複数の抵抗器に接続されている。図において示されているように、接続領域は互いと異なっていてよい。複数の電気的不連続の区域(600)が、接続領域の異なる対の間に配置されている。絶縁部材(700)及び絶縁部材(750)が、それぞれアノードパネル(200)及び(250)と電流分配構造体(300)の間に挿入されている。有利には、更なる絶縁部材(図においては示していない)を、アノードパネル(200)に接続されている抵抗器と、アノードパネル(250)に接続されている抵抗器の間に挿入することができる。
【0052】
図5は、2つの電流分配構造体(300)及び(350)、アノードパネル(200)、並びにアノードハンガーバー(100)を有することを特徴とする本発明の一態様の背面図を示す。
【0053】
アノードパネル(200)は、互いから物理的に分離されている複数のサブパネル(801、802、803、804、851、852、853、854)を含む。それぞれのサブパネルは、少なくとも1つの抵抗器(400)を介して電流分配構造体に接続されている。図6は、複数の抵抗器を介して2つのサブパネル(801、802)を含む1つのアノードパネル(200)に接続されている2つの電流分配構造体(300、350)を有することを特徴とする本発明による装置の一態様の背面投影図を示す。2つの電流分配構造体はまた、アノードハンガーバー(100)にも接続されている。後者は、ここでは断面で示すアノードバスバー(900)に電気的に接続されている。アノードパネルには、複数の電気的不連続の部分的区域、例えば水平の切り込み(600)及び貫通孔(650)、並びに完全に電気的不連続の区域(675)が与えられている。
【0054】
図7は、本発明によるアノード装置の一態様の正面図(I)、側面図(II)、及び底面図(III)を与える。この態様においては、抵抗器(400)は、接続領域(500)に対応して2つのアノードパネル(200、250)上に接合されているチタンのエキスパンドメッシュである。それぞれのパネル上において、隣接する接触領域のそれぞれの対の間に電気的不連続の区域(600)が配されている。これらの電気的不連続の区域によって、アノードパネルが垂直方向に沿って部分的に細分化されている。絶縁部材(700)が、アノードパネルと電流分配構造体(300)の間に配置されている。2つの更なる絶縁部材(710、720)によって、パネル(200、250)が互いに平行且つ平面状に保たれることが確保されて(時には、パネルの平面性は、その外側端部上の切り込み、及び/又は特にバルブメタルメッシュを用いる場合にはその構造体の可撓性によって低下する)、アノード装置に対する更なる機械的支持が与えられる。この部材(710、720)は、装置の他の部品の配列を図中において見ることができるように、側面図(II)からは省略されている。絶縁部材、電流分配構造体、及びアノードパネルは、例えば絶縁材料のクランプ及び/又はボルトのような締着手段(図においては示していない)によって結合されている。
【0055】
図8は、本発明によるアノード装置の一態様の正面図(I)、側面図(II)、及び底面図(III)を与える。この態様においては、抵抗器(400)は、アコーディオン様形状に折り曲げられ、電気的接続領域(500)に対応してアノードパネル(200)に接合されているチタンのストリップである。接続領域(500)のそれぞれの隣接する対
の間に貫通孔(600)が配置されている。
【0056】
図9(I)は、本発明によるアノード装置の一態様の正面図を与える。アノードパネル(200)は、接続領域(500)を介してパネルに接続されている複数の抵抗器(図中においては示していない)を介して電流分配構造体(300)に接続されている。パネルにはまた、複数の孔(650)及び絶縁部材(700)も与えられている。
【0057】
図9(II)は図9(I)のアノード装置の正面図を与え、ここでは第1の垂直ストリップ(001)及び第2の垂直ストリップ(002)が強調されている。電気的接続領域(500)はかかる第1の垂直ストリップに沿って配列されており、第2の垂直ストリップに沿って孔(650)が配列されている。孔は、電気的接触領域からの最小距離>0を維持しながら、垂直方向において隣接する電気的接続領域と交互に配置されている。
【0058】
図10は、本発明によるアノード装置の一態様の正面(I)、側面(II)、及び傾斜(III)投影図、並びに下方からの投影図(IV)を示す。アノードパネル(200)及び抵抗器(400)は、単一の平坦な部材から製造される。アノードパネル上の複数の水平の切り込みによって複数のストリップが形成されている。2つ毎に1つのストリップがアノードパネルに対して直角方向に押し込まれて、抵抗器(400)が形成されている。抵抗器は、並列に電流分配構造体(300)と電気的に接続されている。水平の切り込みはまた、抵抗器のストリップ(400)によって残された空間に対応して複数の電気的不連続の区域(600)も特定する。絶縁部材(700)が、抵抗器(400)とアノードパネル(200)の間に挿入されている。これによって、アノード装置が電解採取又は電解精製のための電解槽内で使用中である際に、抵抗器の表面がアノード装置のガス発生反応に関与しないことが確保される。明確にするために、絶縁部材(700)は図III及びIVからは省略している。電気的接続領域(500)は、アノードパネルの電気化学的に活性の表面と、抵抗器を構成する並列のストリップの間に仮想分離領域を示す。
【0059】
図11は、本発明のよるアノード装置の2つの部材:アノードパネル(200)及び複数の抵抗器(400);の正面図(I)及び下方からの図(II)を与える。この態様においては、アノードパネル及び抵抗器は両方ともチタンのエキスパンドメッシュから形成される。パネル(I)の四角で囲まれた拡大図において示されるように、アノードパネル(200)は、切り込み(600)(及び切り込み(650):外形は示していない)に対応して僅かに湾曲した外形を有する。好ましくは、アノード装置の組み立て中において、アノードパネルを、電気的不連続の区域(600、650)の湾曲した端部が抵抗器(及び電流分配構造体)の方向に内曲するように取り付ける。本発明者らは、かかる湾曲部は、これらをアノードパネルの表面上に存在する切り込み又は孔の周縁に突き当ててそれに付着するようにすると、デンドライト形成物の脱離に有利に働かせることができることを認めた。アノードパネルは折り曲げられた端部(210)を示し、これによってその機械的頑健性を向上させて、特にパネルがバルブメタルのエキスパンドメッシュ又は可撓性シートで形成されている場合にパネルが捩曲及び屈曲するのを抑止することができる。本態様においては、複数の抵抗器(400)は、孔を有する単一のエキスパンドチタンメッシュの抵抗パネル(1000)内に形成される。それらの数及び寸法に基づいて、孔によって予め定められた電気抵抗を示す複数の並列のストリップが特定される。抵抗パネルは、図IIの断面図において示されるように形成及び屈曲させることができる。抵抗パネルは、抵抗パネル(1000)をアノードパネル(200)内に配置した(即ちその折り曲げられた端部(210)内に封入した)際の2つのパネルの接触領域に対応して配置される複数の領域に沿って2つを接合することによってアノードパネルに接続される。この場合には、電気的接続領域(500)(明確にするためにその1つのみを選んでいる)は、アノードパネル上の抵抗器の接合点又は抵抗パネルの連続端部に対応してに配置される。抵抗パネル(1000)とアノードパネル(200)の間に絶縁部材を配置して、2つの
間の非意図的な接触を阻止することができる。かかる絶縁部材はまた、デンドライト形成物が孔(600)及び(650)を通って成長して、抵抗パネル(1000)上に直接突き当たることを阻止することもできる。抵抗パネルは、中央の垂直リブに沿って電流分配構造体に接続することができる。アノードパネル及び抵抗パネルの垂直の側端部は連続的であってよい。別の形態においては、アノードパネル上の切り込み(600)又は抵抗パネルのストリップを形成する切り込みは、抵抗パネルの端部に到達してそれを分割していてよい。
【0060】
2以上の電流分配構造体を有するアノード装置は、有利には、図11に示すシステムをそれぞれの分配構造体上に取り付けることができる。
図12は、本発明によるアノードパネル(200)の一態様の正面(I)及び底面(II)からの図を示す。本図面はまた、抵抗パネル(1000)内に組み込まれている対応する複数の抵抗器(400)の正面(III)及び底面(II)からの図も示す。アノードパネル(200)には、複数の電気的不連続の区域が与えられており、垂直の端部に沿って2つの折り曲げ部(210)が与えられていて、これによってその機械的安定性が向上する。抵抗パネル(1000)内に組み込まれている抵抗器(400)は、所定数の好適な寸法の孔がその中に形成されるように形成及び寸法付けられている。抵抗パネル(1000)は、例えば領域(550)に対応して配置されている複数の接合部を介してアノードパネル(200)に接続されている。この場合には、領域(550)は、アノードパネル(200)の折り曲げられた端部の一部の上に配置され、アノード表面(ここでガス発生反応が起こる)上に直接には配置されていない。接合領域(550)に対応する電気的接続領域(500)は、抵抗器と同じ高さのパネルの端部上に配置されていて、個々の抵抗器とパネルの間の最も短い電気路に対応してアノードパネル上に配置されている伝導部材の部分を表す(以下においてはそのように規定する)。一部の電気的接続領域(500)を例として図中に示す。
【0061】
図13は、本発明の一態様の正面(I)及び側面(II)投影図を示す。アノードパネル(200)、電流分配構造体(300)、及び抵抗器(400)が単一の連続構造体中に組み込まれていて、これは次にアノードハンガーバー(100)と一体化(又はそれに接続)することができる。電流分配構造体(300)は複数の抵抗器(400)と一致しており、これは、電流をアノード支持バー(100)からアノードパネル(200)に伝導して、5×10-5Ω以上の電気抵抗を与えることができる複数、好ましくは8つ以上のバーを含む。アノードパネルには、複数の電気的不連続の区域(600)が与えられている。
【実施例0062】
以下の実施例は本発明の特定の態様を示すために含めるものであり、その実施は特許請求されている値の範囲内で十分に実証されている。当業者であれば、以下の実施例において記載する組成及び技術は、本発明者らが発明の実施において良好に機能することを見出した組成及び技術を表すことを認識する。しかしながら、この記載を考慮すれば、当業者は、発明の範囲から逸脱することなく、同様又は類似の結果をなお達成しながら開示された具体的な態様に多くの変更を加えることができることを認識する。
【0063】
実施例1:
2つのカソード、及びそれらの間に配置されているアノード装置を含む170mm×170mmの全横断面及び1500mmの高さを有する単一の電着セル内で、1組の実験室試験を行った。カソードに関しては、厚さ3mm、幅150mm、及び高さ1100mm(その1000mmを電解溶液中に浸漬した)のAISI-316ステンレススチールのシートを用いた。アノード装置は、図7の概略図において単純化したものに類似の構成で配列したチタンの2つのパネルを含んでいた。それぞれのパネルは、外側表面の間に40
mmの距離で2つのカソードの1つに垂直に面していた。2つのアノードパネルは、同じ電流分配構造体の対向する側の上に配置した。それぞれのアノードパネルは、厚さ1mm、幅150mm、及び高さ1000mmのルーバー構造体であり、イリジウム及びタンタルの酸化物の混合被覆で活性化されていた。
【0064】
それぞれのパネルを、並列に配置した30個の抵抗器の接続部を介して電流分配構造体に接続した。それぞれの抵抗器は、2cm×10cmの寸法のエキスパンドチタンメッシュから構成され、それぞれ30mΩの電気抵抗を有することを特徴としていた。
【0065】
30個の抵抗器を、垂直ストリップに沿って配置されている30個の電気的接続領域(即ち接合部)を介してそれぞれのパネルに接続した。抵抗器はまた電流分配構造体にも接続し、これは次に伝導ハンガーバーによって支持した。それぞれのパネルの1つの垂直の側部上に長さ約10cmの水平の切り込みを形成した。それぞれの切り込みは、2つの隣接する電気的接続領域の間に配した。
【0066】
それぞれのパネルと電流分配構造体の間に絶縁部材を挿入した。2つの更なる絶縁部材によって2つのパネルの外側の垂直の端部を締着して、それらを平面状及び互いに対して平行に保持した。
【0067】
CuSOとして50g/Lの銅、及び200g/LのHSOを含む電解液を用いてセルを運転し、約455A/mの予測電流密度に対応して1800Vの定電圧の136.5Aの電流を供給した。アノードパネルにおいて酸素が放出され、カソード上に銅が析出した。成核中心として、2つのカソードの一方のステンレススチールシート内に、アノードパネルに対して直角にネジを挿入することによって、デンドライトを人工的に生成させた。ネジの先端はアノードパネルから5mmに配置した。運転36時間後において、デンドライト上で銅の成長が観察され、これによってデンドライトとパネルの間の接触がもたらされた。
【0068】
セルを、接触後更に40時間運転状態に維持した。運転を終了した時点で、カソードをセルから取り外した。デンドライト形成の影響を受けたカソードは、困難なしにセルから取り外された。それに対向するアノードパネルは、デンドライトと接触している領域に対応して約1cm×0.5cmの僅かな表面劣化を有していた。パネルの機能に影響を与えるであろう穴、変形、又はいかなる他の大きな損傷も観察されなかった。
【0069】
続いてセルを運転状態にすると、僅かな表面劣化を有するアノードパネルに対向するカソード上の銅の析出は均一であったことが観察された。
比較例1:
アノード装置を、イリジウム及びタンタルの酸化物の混合被覆で活性化された厚さ1mm、幅150mm、及び高さ1000mmのチタンの2つのパネルを含む装置によって置き換えた他は同じ条件下で、実施例1における試験を繰り返した。それぞれのパネルは、同じチタン被覆銅のバーに直接電気的に接続されていて、導電ハンガーバーによって支持されているルーバー構造体であった。
【0070】
成核のための中心として、2つのカソードの一方のステンレススチールシート内に、アノードパネルに対して直角にネジを挿入することによって、デンドライトを人工的に生成させた。ネジの先端はアノードパネルから5mmに配置した。運転8時間後において、銅の成長(これによってデンドライトとパネルの間の接触がもたらされた)がデンドライト上に見られた。
【0071】
セルを、接触後更に20時間運転状態に維持した。運転を終了した時点で、カソードを
セルから取り外した。デンドライト形成の影響を受けたカソードは、対向するアノードパネルから取り外すのが困難であった。対向するアノードパネルは、デンドライトと接触している領域に対応して直径約2.5cmの円形の穴を有していた。
【0072】
続いてセルを運転状態にすると、アノードパネル内の穴に対向するカソード上の銅の析出は不均一であったことが観察された。
上記の記載は発明を限定することを意図しておらず、これはそれによってその範囲から逸脱することなく種々の態様にしたがって用いることができ、その範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0073】
本出願における明細書及び特許請求の範囲において、「含む」という語句、並びに「含み」及び「包含する」のようなその変形は、他の更なる部材、部品、又は段階の存在を排除するものではない。
【0074】
文献、行為、材料、装置、物品などの議論は、単に本発明に関する背景を与える目的で
本明細書中に含めるものである。しかしながら、この材料又はその一部が、本出願に添付
される請求項のそれぞれの優先日の前に本発明に関係する分野における一般的知識を構成
していると理解すべきではない。
[発明の態様]
[1]
少なくとも1つのアノードパネル及び少なくとも1つの電流分配構造体を含む、非鉄金属を電解精製又は電解抽出するためのアノード装置であって、該少なくとも1つの電流分配構造体は該少なくとも1つのアノードパネルに、互いに並列に配置されている複数の抵抗器を経由して電気的に接続されており、該複数の抵抗器のそれぞれの抵抗器は5×10-5Ω以上の抵抗を有することを特徴とする、上記装置。
[2]
該少なくとも1つのアノードパネルが、バルブメタル又はその合金で作られている基材、及び少なくとも1つの触媒被覆で構成されている、1に記載の装置。
[3]
該少なくとも1つのアノードパネルが、メッシュ、多孔板、又はルーバー構造体から選択される、1に記載の装置。
[4]
それぞれのアノードパネルが、並列に配置されている15~600個の抵抗器を経由して少なくとも1つの電流分配構造体に電気的に接続されている、1~3のいずれかに記載の装置。
[5]
該少なくとも1つのアノードパネルが、部分的又は完全に電気的に不連続の少なくとも1つの区域を備えている、1に記載の装置。
[6]
該複数の抵抗器が該パネル上に配されている複数の電気的接続領域を介して該少なくとも1つのアノードパネルに接続されており、該少なくとも1つの電気的不連続の区域が2つの隣接する電気的接続領域の間に配されている、5に記載の装置。
[7]
該複数の抵抗器が複数の電気的接続領域を介して該少なくとも1つのアノードパネルに接続されており、該アノードパネルは複数の電気的不連続の区域を有し、該少なくとも1つのアノードパネルの基部に対してh1及びh2の高さ(h1<h2である)に配置されている電気的不連続の2つの隣接する区域ごとに関して、少なくとも1つの接続領域がh3の高さ(h1≦h3≦h2である)に配されている、5に記載の装置。
[8]
該少なくとも1つのアノードパネルが、該複数の抵抗器と接続されている少なくともN1個の電気的接続領域、及び少なくともN2個の電気的不連続の区域を備えており、該N1個の接続領域は第1の垂直ストリップに沿って配列されており、該N2個の電気的不連続の区域は第2の垂直ストリップに沿って配列されており;N1は5~100の間の数であり、N2は0.5×N1より大きい、5~7のいずれかに記載の装置。
[9]
該少なくとも1つのアノードパネルが、該複数の抵抗器に接続されている少なくともN3個の更なる電気的接続領域を備えており、該N3個の接続領域は第3の垂直ストリップに沿って配列されており、N3は5~100の間の数である、8に記載の装置。
[10]
該少なくとも1つのアノードパネルが、少なくともN4個の更なる電気的不連続の区域を備えており、N4は0.5×N3より大きく、該N4個の電気的不連続の区域は第4の垂直ストリップに沿って配列されている、9に記載の装置。
[11]
該少なくとも1つの電気的不連続の区域が、切り込み、孔、又は電気絶縁材料のインサートである、5~10のいずれかに記載の装置。
[12]
該少なくとも1つの電気的不連続の区域が、少なくとも1つの寸法に沿って少なくとも長さ5cmである、5~11のいずれかに記載の装置。
[13]
該アノードパネルが、互いに分離している少なくとも2つのチタン製アノードサブパネル、及び少なくとも2つの電流分配構造体を含み、該少なくとも2つのサブパネルは、ルーバー、シート、及びエキスパンドメッシュ構造体から選択されており、
それぞれの電流分配構造体は互いと並列に配置されている複数の抵抗器を経由してサブパネルに接続されており、それぞれのサブパネルは第1の垂直ストリップに沿って配列されている5~100の接続領域を含み、それぞれの接続領域は少なくとも5cmの長さを有する水平の切り込みと交互に配置されており、それぞれの切り込みは該第1の垂直ストリップから0~10cmの距離に配置されている少なくとも1つの点を有する、10~12のいずれかに記載の装置。
[14]
該アノードパネルが、少なくとも20の電気的不連続の区域、及び該少なくとも1つのアノードパネルを互いと並列に配置されている少なくとも20の抵抗器と接続することができる少なくとも20の接続領域を備えており、それぞれの電気的不連続の区域は、少なくとも1つの接続領域から15cm未満の距離に配置されている、1~13のいずれかに記載の装置。
[15]
該少なくとも1つの複数の抵抗器のそれぞれの抵抗器が、5×10-4~1Ωの間の電気抵抗を有する、1~14のいずれかに記載の装置。
[16]
該それぞれの抵抗器が5~100mΩの間の電気抵抗を有する、15に記載の装置。
[17]
該並列に配置されている複数の抵抗器が10-5~10-3Ωの間の等価電気抵抗を有する、1~16のいずれかに記載の装置。
[18]
該複数の抵抗器のそれぞれの抵抗器が、プレート、ストリップ、メッシュ、ケーブル、布帛、及びパッドからなる群から選択される、1~17のいずれかに記載の装置。
[19]
該複数の抵抗器が、電気的不連続の区域を有するバルブメタルのシート、エキスパンドメッシュ、又は多孔板である、1~18のいずれかに記載の装置。
[20]
該少なくとも1つのアノードパネル及び該複数の抵抗器が、バルブメタルの折り曲げシート、エキスパンドメッシュ、又は多孔板の一体物である、1~19のいずれかに記載の装置。
[21]
該電流分配構造体が鉛製又は鉛合金製のシート又はパネルを含む、1~20のいずれかに記載の装置。
[22]
1~21のいずれかに記載の少なくとも1つのアノード装置を含む、非鉄金属を電解抽出するための電解槽。
図1
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図3
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図5
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【外国語明細書】