(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050673
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】液体ポンピング装置
(51)【国際特許分類】
F04B 13/00 20060101AFI20220323BHJP
F04B 53/14 20060101ALI20220323BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
F04B13/00 A
F04B53/14
F04B53/16
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008696
(22)【出願日】2022-01-24
(62)【分割の表示】P 2020501542の分割
【原出願日】2018-07-25
(31)【優先権主張番号】201710616433.3
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520007695
【氏名又は名称】施 育秧
【氏名又は名称原語表記】SHI, Yuyang
【住所又は居所原語表記】No.148, Houdatou, Shangren Village, Tangxian Town Yongkang, Zhejiang 321314 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】施 育秧
(57)【要約】 (修正有)
【課題】凹溝による液体の定量が可能で、出力精度の制御が好適に行える液体ポンピング装置を提供する。
【解決手段】液体ポンピング装置は、第1部品2、第2部品4及び第3部品8を含み、第2部品が第1部品に対して所定の方式で運動する。第1部品の、第2部品と液密に滑り嵌めされる接触面上には互いに連通しない媒体入口12及び媒体出口13が設けられ、第2部品の液密に滑り嵌められる接触面上には凹溝10が設けられる。第3部品は、媒体出口の、凹溝正方向運動側に設けられる。凹溝は、液密に滑り嵌めされる接触面の範囲で所定の経路に沿って運動し、凹溝の運動経路がそれぞれ媒体入口、媒体出口、第3部品を通過する。凹溝が正方向運動して第3部品を経過すると、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体出口へ押し出す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品、第2部品及び第3部品を含み、第2部品が第1部品に対して運動し、第1部品と第2部品との接触面のうち、少なくとも一部が液密に滑り嵌めされた液体ポンピング装置であって、
第1部品の、第2部品と液密に滑り嵌めされる接触面上には媒体入口及び媒体出口が設けられ、前記媒体入口と媒体出口が互いに連通せず、第2部品の、第1部品と液密に滑り嵌めされる接触面上には少なくとも1つの凹溝が設けられ、前記第3部品は媒体出口の、凹溝正方向運動側に設置されており、
前記凹溝が第2部品の運動に伴い、液密に滑り嵌めされる接触面の範囲で所定の経路に沿って運動し、前記凹溝の運動経路がそれぞれ第1部品上の媒体入口、媒体出口及び第3部品を通過し、前記凹溝が第3部品を通過すると、第3部品の少なくとも一部が凹溝内に入って凹溝を横方向に埋め、凹溝が正方向運動して第3部品を通過し、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体出口へ押し出すように構成された、液体ポンピング装置。
【請求項2】
第3部品の凹溝逆方向運動側は、媒体出口と常時連通するか、通過する凹溝によって瞬時連通することを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項3】
前記第3部品は、媒体入口の、凹溝逆方向運動側に位置し、凹溝が逆方向運動して第3部品を通過すると、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体入口へ押し出すように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項4】
第3部品の凹溝正方向運動側が媒体入口と常時連通するか、通過する凹溝によって瞬時連通することを特徴とする、請求項3に記載の液体ポンピング装置。
【請求項5】
前記第2部品の運動は回転運動であり、第1部品と第2部品とが液密に滑り嵌めされる接触面は、第2部品の回転軸心と垂直な平面であるか、第2部品の回転軸心を軸心とする回転曲面であることを特徴とする、請求項1又は3に記載の液体ポンピング装置。
【請求項6】
前記凹溝は少なくとも1グループを含み、各グループが少なくとも1つの凹溝を含み、各グループの凹溝の運動経路は同一で他のグループの凹溝の運動経路と異なり、各グループの複数の凹溝が運動経路に沿って均一に配列されていることを特徴とする、請求項1又は3に記載の液体ポンピング装置。
【請求項7】
媒体入口、媒体出口及び第3部品を有する複数グループが設けられ、各グループは、1つの媒体入口、1つの媒体出口、及び媒体入口と媒体出口との間に設置される1つの第3部品を含み、各グループの媒体入口及び媒体出口は、凹溝の運動経路に沿って交互に設置されることを特徴とする、請求項1又は3に記載の液体ポンピング装置。
【請求項8】
前記凹溝の内表面は、円滑曲面であり、前記凹溝の前後端エッジは、円滑に連結することを特徴とする、請求項1又は3に記載の液体ポンピング装置。
【請求項9】
前記第3部品上には前記凹溝と嵌合する弾性凸部が設置されることを特徴とする、請求項1又は3に記載の液体ポンピング装置。
【請求項10】
前記第2部品は回転体構造のコアであり、前記第1部品はコアの外部をカバーするシリンダーブシュであり、コアがシリンダーブシュ内でシリンダーブシュに対して回転運動し、シリンダーブシュの内側面とコアの側面とは少なくとも軸方向に1セグメントが液密に滑り嵌めされ、前記媒体入口及び媒体出口がコアの側面と液密に滑り嵌めされる1セグメントのシリンダーブシュの内側面上に設置され、前記凹溝がシリンダーブシュの内側面と液密に滑り嵌めされる1セグメントのコアの側面上に設置され、 前記第3部品が媒体出口のコア順回転方向側に設置され、凹溝がコア順回転につれて運動して第3部品を通過すると、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体出口へ押し出すように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項11】
前記第3部品が媒体入口のコア逆回転方向側に位置し、凹溝がコア逆回転につれて運動して第3部品を通過すると、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体入口へ押し出すように構成されたことを特徴とする、請求項10に記載の液体ポンピング装置。
【請求項12】
前記コアは柱体構造であり、前記シリンダーブシュは柱状スリーブ構造であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の液体ポンピング装置。
【請求項13】
前記第2部品の、第1部品に対する運動は、回転、又は移動、又は回転と移動の組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学技術分野に属し、液体を搬送するための機械装置に関し、具体的には、ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用されている計量能力を有する小型及びマイクロポンプの種類は、ギアポンプ、電磁ポンプ、ダイアフラムポンプ、ペリスタルティックポンプ、スクリューポンプ、シリンジポンプ、プランジャポンプ等の複数の種類がある。これらの構造及び動作方式は異なり、各種性能指標に応じてそれぞれ独自の特徴がある。ギアポンプの特徴は高流量、高揚力であるが、小流量の作業では計量精度が低下する。電磁ポンプでは、高周波パルスジェットにより微小流量及び高精度を保証できるが、対応可能な流量が比較的低く、高粘度媒体に適用することもできない。ダイアフラムポンプの流量は電磁ポンプよりも高いが、高粘度媒体に適用することができない。ペリスタルティックポンプは計量が精確であり、流量の制御範囲が広いが、高粘度媒体の作業では計量精度が低下し、ひいては適用できなくなる。スクリューポンプは高粘度媒体に適用可能であり、微小流量の作業状況で精度を保証することができる。しかし、そのエラストマーステータ部品が破損しやすく、構造が複雑であり、製造コスト及び使用コストが高い。さらに、入力と出力の両端の媒体圧力強さの変化が流量に影響を与える。シリンジポンプの特徴は高精度、微量制御能力であり、高粘度媒体にも適用可能であるが、連続動作性能に欠ける。プランジャポンプは、低速運転の場合、シリンジポンプと類似して媒体を連続搬送することができない。高周波高速運転の場合、高粘度媒体に適用できない。従来の各種類のポンプのうち、微量搬送、高精度、高粘度、簡単な構造、小さい体積、低い製造コスト、低い使用コストなどの様々な要求を同時に満足できるものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58-195091号公報
【特許文献2】国際公開第2007/129403号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする技術課題】
【0004】
本発明の目的は、従来のポンプに存在する課題を総合的に考量して、ポンプの定量出力精度の向上、微量出力機能の実現、液状媒体の適用範囲の拡大に資する新規なポンプ形式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明が用いる技術的解決手段は、以下のとおりである。液体ポンピング装置は、第1部品、第2部品及び第3部品を含み、第2部品は、第1部品に対して運動し、第1部品と第2部品との接触面のうち、少なくとも一部が液密に滑り嵌めされ、
第1部品の、第2部品と液密に滑り嵌めされる接触面上には媒体入口及び媒体出口が設けられており、前記媒体入口と媒体出口が互いに連通せず、第2部品の、第1部品と液密に滑り嵌めされる接触面上には少なくとも1つの凹溝が設けられており、前記第3部品が媒体出口の、凹溝正方向運動側に設置されており、前記凹溝が第2部品の運動に連動して、液密に滑り嵌めされる接触面の範囲で所定の経路に沿って運動し、前記凹溝の運動経路がそれぞれ第1部品上の媒体入口、媒体出口及び第3部品を通過し、前記凹溝が第3部品を経過すると、第3部品の少なくとも一部が凹溝内に入って凹溝を横方向に埋める。なお、ここで、前記横方向とは、凹溝の運動方向と垂直な方向を指す。
【0006】
凹溝が正方向運動して第3部品を通過し、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体出口へ押し出す。
【0007】
前記第2部品の、第1部品に対する運動は、第1部品が固定されて第2部品が運動するという設置方式によって実現されてもよいし、第2部品が固定されて第1部品が運動するという設置方式によって実現されてもよい。その運動方式は、回転、又は移動、又は回転と移動の組み合わせであってもよい。
【0008】
さらに、逆回転再吸引機能を実現するために、前記第3部品は、同時に媒体入口の、凹溝逆方向運動側に位置し、凹溝が逆方向運動して第3部品を通過すると、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体入口へ押し出す。
【0009】
前記第3部品は、媒体出口/媒体入口と間隔を設けずに設置されてもよく、第3部品の凹溝逆方向/正方向運動側を媒体出口/媒体入口エッジの一部として媒体出口/媒体入口と自然に(常時)連通し、第3部品によって凹溝内から押し出された媒体が直接媒体出口/媒体入口に入る。
【0010】
あるいは、前記第3部品は、媒体出口/媒体入口と間隔を設けて設置されるが、仕切りが薄く、凹溝が通過しない場合、第3部品の凹溝逆方向/正方向運動側が媒体出口/媒体入口と互いに連通せず、凹溝が媒体出口/媒体入口及び第3部品を通過すると、第3部品の凹溝逆方向/正方向運動側と媒体出口/媒体入口とが、通過する凹溝によって瞬時連通する。この場合、第3部品の押圧作用により、凹溝内の媒体が凹溝と媒体出口/媒体入口とが連通する部分から媒体出口/媒体入口に入る。
【0011】
前記媒体入口/媒体出口は2つの部分で構成されてもよく、第1部分は外部と連通し、第2部分は第1部分と第3部品の凹溝逆方向/正方向運動側とを連通するチャンネルとして機能する。例えば、第1部品の、第2部品と液密に滑り嵌めされる接触面上において媒体出口/媒体入口としての第2部分の溝状チャンネルでは、溝状チャンネルが媒体出口/媒体入口の第1部分と第3部品の凹溝逆方向/正方向運動側とを連通する。
【0012】
前記媒体入口及び媒体出口は、第1部品上に形成された1つの開口の2つの部分であり、第3部品によって隔離されて互いに連通しない媒体入口及び媒体出口を形成してもよい。
【0013】
また、前記凹溝は少なくとも1グループを含み、各グループが少なくとも1つの凹溝を含み、各グループの凹溝の運動経路は同一で他のグループの凹溝の運動経路とは異なり、各グループの複数の凹溝は運動経路に沿って均一に配列されていてもよい。
【0014】
前記媒体入口、媒体出口、及び第3部品を含む複数グループが設けられ、各グループは、1つの媒体入口、1つの媒体出口、及び媒体入口と媒体出口との間に設置されている1つの第3部品を含み、各グループの媒体入口及び媒体出口が凹溝の運動経路に沿って交互に設置されていてもよい。
前記凹溝の内表面が円滑曲面であり、前記凹溝の前後端エッジが円滑に連結してもよい。
【0015】
前記第3部品上には、前記凹溝と嵌合する弾性凸部が設けられている。少なくとも弾性凸部の媒体出口側が媒体出口と連通してもよい。さらに、第3部品の弾性凸部の媒体入口側も媒体入口と連通してもよい。
【0016】
好ましくは、前記凹溝の横断面が円弧形であり、前記第3部品の弾性凸部の横断面も円弧形である。
前記第1部品と第2部品との接触面は平面であり、第2部品が接触面と垂直な軸線を回って回転運動するか、第2部品が接触面に沿って所定の経路で平面摺動してもよい。
【0017】
前記第2部品の運動は回転運動であり、第1部品と第2部品とが液密に滑り嵌めされる接触面は第2部品の回転軸心と垂直な平面であるか、第2部品の回転軸心を軸心とする回転曲面であってもよい。
【0018】
前記第1部品がシリンダーブシュであり、第2部品が回転体コアであり、コアがシリンダーブシュ内でシリンダーブシュに対して回転運動し、前記シリンダーブシュの内側面の輪郭がコアの側面の輪郭に一致し、シリンダーブシュの内側面とコアの側面とが液密に滑り嵌められてもよい。
【0019】
前記媒体入口及び媒体出口がコアの側面と液密に滑り嵌めされる1セグメントのシリンダーブシュの内側面上に設置されており、前記凹溝がシリンダーブシュの内側面と液密に滑り嵌められる1セグメントのコアの側面上に設置されていてもよい。
【0020】
前記第3部品が媒体出口のコア順回転方向の側に設置されており、コアが順方向回転する場合、コアの側面の凹溝がコアの順回転につれて運動して第3部品を通過すると、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体出口へ押し出し、凹溝内から押し出された媒体が媒体出口に入った後、後に媒体出口に入る媒体の押圧作用により媒体出口から送出されるように構成してもよい。
【0021】
さらに、前記第3部品が媒体入口のコア逆回転方向の側に位置し、コアが逆方向回転する場合、コアの側面凹溝がコアの逆回転につれて運動して第3部品を通過すると、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体入口へ押し出すように構成してもよい。
【0022】
1つの凹溝を例とした動作原理は以下のとおりである。凹溝がコアの回転につれて、媒体入口を通通すると、媒体入口内の媒体が凹溝に入り、コアがさらに回転し、凹溝が入口端と分離した後、シリンダーブシュの内側面と締め嵌めされ、密閉チャンバを構成して媒体がチャンバ内を埋める。コアがさらに回転し、凹溝はまず媒体出口と連通し、その後、第3部品を経過し、第3部品の端面がコアの側面に密着し、コアの側面の凹溝が第3部品を通過すると、第3部品自体が弾性変形するか、あるいは外力の押圧作用により、一部が凹溝へ押し込まれ、凹溝内に満たされていた媒体が押し出され、媒体出口へ流れてさらに出力され、第3部品が横方向に凹溝を埋めるよう保持され、後ろに位置する媒体が第3部品を介して凹溝の前面に到達できなくなる。コアが回転を続け、凹溝が第3部品と分離し、かつ、再度媒体入口と連通し、周期的動作を繰り返す。
【0023】
1つの形態として、前記第3部品として柔軟性材質を選択する。例えば柔軟で十分な弾性を持つゴムを用い、第3部品を閉鎖空間内に設置する。コアの方向へ第3部品を押し出し、凹溝がコアの回転につれて第3部品を通過すると、柔軟で十分な弾性を持つ第3部品の一部が凹溝へ押し込まれる。そして、少なくとも1つの軸方向断面上に凹溝を埋め、凹溝がさらに回転し、その中の媒体が回転の逆方向側に押し出される。
【0024】
前記凹溝の前後端がコア表面と円滑に連結し、さらに、前記凹溝曲面がコア曲面の交差曲線と円滑に連結する。
前記シリンダーブシュ上には第3部品取付孔が設けられ、前記第3部品の側面と第3部品取付孔との間が弾性的に封止される。
【0025】
前記第3部品の弾性凸部が設けられる前端面は、コアの側面の円弧度と一致する円弧面であり、前記第3部品の前端面とコアの側面とが常に密着封止するよう保持される。
さらに、前記第3部品はキャビティ構造であり、その後端が開口しており、第3部品のキャビティ内にはバネが設けられており、前記バネが前方及び周囲に向かい前端壁及び側壁をそれぞれ押圧する。
【0026】
1つの選択として、前記凹溝が周方向に沿って均一に配列され、さらに、前記凹溝は複数列で、各列の凹溝が周方向に沿って均一に配列されてもよい。また、任意2列の凹溝がコア回転方向上に前後にずれて設置され、前記第3部品の弾性凸部は各列の凹溝と対応して複数含まれていてもよい。
【0027】
好ましくは、前記コアが柱体構造であり、前記シリンダーブシュが柱状スリーブである。前記柱体構造のコアは円柱であってもよく、シリンダーブシュが円柱状スリーブであってもよい。あるいはコアは小さいテーパー度を有するテーパー状柱であってもよく、それに対応して、前記シリンダーブシュがコアと同じテーパー度のテーパー状柱状スリーブであってもよい。小さいテーパー度を設置することにより、部品の加工誤差により良く適応して、接触面との組立液密性を保証することができる。
【0028】
さらに、コア軸心に主軸が設けられ、コアと固定的に接続されていてもよい。駆動装置は主軸によってコアの回転を駆動する。前記コアの上下2つの端面にそれぞれシールリング及びシールリング押え輪が設けられ、媒体の漏れを防止する。両端のシールリング押え輪の外部にガーターバネが設けられてもよい。シリンダーブシュの内側面の両端に、ガーターバネを取り付けるためのガーターバネ溝が設けられてもよい。
【0029】
前記シリンダーブシュがポンプのハウジングである。1つの変形例では、前記シリンダーブシュは、ポンプのハウジング内に設置されている独立部品である。前記シリンダーブシュの外側面がハウジングと締め嵌め固定されている。前記ハウジング上の、シリンダーブシュ上の媒体入口、媒体出口、第3部品取付孔に対応する箇所に、同様に媒体入口、媒体出口、第3部品取付孔が設けられており、ポンプのハウジング状の媒体入口及び媒体出口がポンプの出入管路に接続し、ポンプハウジング上の第3部品取付孔の外側にはカバー板が設置されてもよい。シリンダーブシュとコアとが互いに摩擦するため、シリンダーブシュを、ハウジングに対して独立な部品に設計することは、シリンダーブシュの機能に対して材料を別個に選択できる点で有利である。
前記シリンダーブシュ及びコアはいずれもセラミックス材質であってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の有益な効果は、剛性コア上に、液体を入口から出口へ搬送する容器として、回転時に前後して入口及び出口を通過できる凹溝を設置することにより、液体の入口端から出口端へのさらに効果的な搬送を実現する。1回当たりに搬送する液体の量は凹溝の容積により決められ、液体の定量が弾性部品の影響を受けることがないため、弾性部材の弾性変形による定量の不正確性を回避できる。本発明にかかる液体ポンプは、その原理がポンプの出力計量精度の制御に非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る液体ポンピング装置の構造形式の一例を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す液体ポンピング装置の横方向断面構造模式図である。
【
図3】
図1に示す液体ポンピング装置の縦方向断面構造模式図である。
【
図4】
図1に示す液体ポンピング装置のコアの表面の構造模式図である。
【
図5】本発明に係る液体ポンピング装置の構造形式の他の例を示す模式図である。
【
図6】
図5に示す液体ポンピング装置のA-o-o-A方向断面図である。
【
図7】媒体出口と第3部品の凹溝逆方向運動方向の側とが溝状チャンネルによって常態連通する構造を示す模式図である。
【
図8】媒体出口と第3部品の凹溝逆方向運動方向の側とが、経過する凹溝によって瞬時連通する構造を示す模式図である。
【
図9】第3部品の凹溝逆方向運動方向の側と媒体出口とが直接に常態連通する構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る液体ポンピング装置の原理及び基本構造をさらに説明する。
【0033】
図1~4は、本発明に係る液体ポンピング装置の選択可能な構造形式を示す。全体は柱状構造であり、筒状の第1部品と、柱状の第2部品を同一軸心で組み立て、第2部品は回転運動する。
【0034】
図1に示すように、本実施例において、装置は、ハウジング1、シリンダーブシュ2、コア4、及び第3部品8の4つの主要構成部分を含む。シリンダーブシュ2はハウジング1と独立させ、ハウジングより硬度が高く、より耐摩耗性が良い材料を選択することができる。シリンダーブシュ2は、円柱状スリーブであり、ハウジング1と締まり嵌めで固定されている。コア4は円柱体構造であり、シリンダーブシュ2内に組み立てられており、シリンダーブシュ2の内側面とコア4の側表面とが液密となるよう滑り嵌めする。シリンダーブシュ2がハウジング1とともにポンプ本体を構成し、ポンプ本体の両側にそれぞれ媒体入口12及び媒体出口13が設けられる。前記媒体入口12及び媒体出口13の内端開口がシリンダーブシュ2の内側面上に位置し、外端開口がハウジング1の外表面に位置する。媒体入口12と媒体出口13との間に第3部品取付孔が設けられ、前記第3部品8が第3部品取付孔内に設置される。コア4の側面に凹溝10が設けられ、コアの回転過程において、前記凹溝10は媒体入口12の内端開口及び媒体出口13の内端開口を通過する。第3部品8が媒体出口13のコア順回転方向側に設置される。第3部品8の前端面に弾性凸部14が設けられる。
【0035】
図2に示すように、コア4の側面に周方向に沿って4つの凹溝10が均一に配列される。各凹溝の大きさは等しく形状は同じであり、前記凹溝の、コア円周方向上の長さは、媒体入口の内端開口と媒体出口の内端開口との間の最小円弧長さよりも小さい。各々の凹溝の周辺はコア輪郭の表面と円滑に過渡し、凹溝の任意箇所の断面はいずれも同じ円弧度の弓形である。弾性凸部のヘッド部輪郭は同じ円弧度を有する。前記弾性凸部の後側空間はチャンネルを介して媒体出口と連通する。
【0036】
第3部品8の側面と第3部品取付孔との間は封止される。第3部品はキャビティ構造であり、その後端は開口し、第3部品のキャビティ内にバネ9が設けられており、前記バネは前方及び周囲に向かって前端壁及び側壁を押圧する。第3部品の前端面はコアの側面と同一の円弧度の円弧面であり、第3部品の前端面はコアの側面と常に密着封止するよう保持されている。第3部品の取付孔の外側にはカバー板5が設けられ、カバー板5はネジ又は係合方式でハウジング1上に取り付けられる。
【0037】
図3に示すように、コア4の軸心に主軸6が設けられ、主軸6はコア4と固定的に接続される。駆動装置は、主軸6によってコア4の回転を駆動する。前記コア4の上下両端面にそれぞれシールリング7及びシールリング押え輪3が設けられ、媒体の漏れを防止する。両端のシールリング押え輪3の外部にガーターバネ11が設けられる。シリンダーブシュ2の内側面の両端に、ガーターバネ11を取り付けるためのガーターバネ溝が設けられる。
【0038】
図4に示すように、前記凹溝10は複数列であってもよく、本実施例では2列であり、各列は6つの凹溝を含み、各列の6つの凹溝がコア表面に沿って円周方向に均一に配置されている。前記第3部品の弾性凸部は、各列の凹溝とそれぞれ対応して複数個設けられる。2列の凹溝は円周方向に互いに30度の間隔で設置されている。
【0039】
図5、6は、本発明に係る液体ポンピング装置の選択可能な他の構造形式を示す。装置全体が円盤状構造となり、第1部品21及び第2部品22はいずれも円形平面構造体である。両者を液密に滑り嵌める接触面は1つの平面である。第2部品22は円心を回って回転運動し、時計回りの回転を順方向回転とする。第2部品22上には、2本の凹溝の運動経路101、102に沿ってそれぞれ2グループの凹溝10が設置される。1グループ当たりに6つ設けられ、2グループの凹溝が径方向に交互に配列される。第1部品21上に円周方向時計回りに第1媒体入口121、第2媒体出口131、第1、第3部品81、第2媒体入口122、第2媒体出口132、第2、第3部品82が順次設置されている。そのうち、第1媒体出口131は第1第3部品81に近接して設置され、第2媒体出口132は第2、第3部品82に近接して設置される。第1媒体入口121、第1媒体出口131、第1、第3部品81、第2媒体入口122、第2媒体出口132、第2、第3部品82の径方向幅は2グループの凹溝の径方向幅の総和よりも大きい。
【0040】
図7~9には、媒体出口13と第3部品8の媒体出口側での連通を実現する3種類の典型的な形式を具体的に示す。そのうち、
図7には、媒体出口と第3部品8の媒体出口側が溝状チャンネル1301によって常態連通される構造を示す模式図を示す。媒体出口は、第1部分1302と第2部分としての溝状チャンネル1301とからなる。第2部品の正方向の運動方向を矢印に示す。凹溝10は第2部品22の正方向運動に伴い、媒体入口12、媒体出口、第3部品8を順次通過する。凹溝10が運動して媒体入口12を通過すると、凹溝10内の負圧作用により、媒体入口内の媒体が凹溝に入ってそこを満たす。凹溝10が第3部品8を通過すると、第3部品の下端が凹溝に押し込まれ、凹溝内の媒体が外部へ押し出され、媒体出口の溝状チャンネル1301内に入る。溝状チャンネル1301内の元の媒体が、新しく入った媒体の押圧作用により媒体出口の第1部分1302内に押し込まれる。
【0041】
図8は、媒体出口と第3部品の凹溝逆方向運動側が、通過する凹溝によって瞬時連通する構造を示す模式図である。媒体出口13と第3部品との間は1セグメントの薄い仕切りで隔離されている。凹溝が通過しない場合、媒体出口13と第3部品の凹溝逆方向運動側は連通しない。凹溝が通過する場合、第3部品の凹溝逆方向運動側と媒体出口13が凹溝によって瞬時連通する。この時、第3部品の押圧作用により、凹溝内の媒体が凹溝10の媒体出口と連通する部分から媒体出口13に入る。
【0042】
図9は、第3部品の凹溝逆方向運動側が媒体出口と直接常態連通する構造を示す模式図である。前記媒体出口13は溝状チャンネル部分を含まない。凹溝が媒体出口13及び第3部品を通過する場合、第3部品によって凹溝内から押し出された媒体が直接に媒体出口13に入る。
【符号の説明】
【0043】
1 ハウジング
2 シリンダーブシュ
3 シールリング押え輪
4 コア
5 カバー板
6 主軸
7 シールリング
8 第3部品
9 バネ
10 凹溝
11 ガーターバネ
12 媒体入口
13 媒体出口
14 弾性凸部
21 第1部品
22 第2部品
【手続補正書】
【提出日】2022-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品(21)、第2部品(22)及び第3部品(8、81、82)を含み、第2部品が第1部品に対して運動し、第1部品と第2部品との接触面のうち、少なくとも一部が液密に滑り嵌めされた液体ポンピング装置であって、
第1部品の、第2部品と液密に滑り嵌めされる接触面上には媒体入口(12、121、122)及び媒体出口(13、131、132)が設けられ、前記媒体入口と媒体出口が互いに連通せず、第2部品の、第1部品と液密に滑り嵌めされる接触面上には少なくとも1つの凹溝(10)が設けられ、
前記凹溝が第2部品の運動に伴い、液密に滑り嵌めされる接触面の範囲で所定の経路に沿って運動し、前記凹溝の運動経路がそれぞれ第1部品上の媒体入口、媒体出口及び第3部品を通過し、
前記凹溝が第3部品を通過すると、第3部品の少なくとも一部が凹溝内に入って凹溝を、凹溝の運動方向と垂直な方向に埋め、
前記第3部品は媒体出口の、凹溝正方向運動側に設置されており、
前記凹溝が正方向運動して第3部品を通過し、第3部品の凹溝に入った部分が凹溝内の媒体を媒体出口へ押し出すように構成され、
前記第2部品の運動は回転運動であり、
前記第1部品と前記第2部品とが液密に滑り嵌めされる接触面は、前記第2部品の回転軸心と垂直な平面であることを特徴とする、液体ポンピング装置。
【請求項2】
第3部品(8)の凹溝逆方向運動側は、媒体出口(13)と常時連通するか、通過する凹溝(10)によって瞬時連通することを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項3】
前記凹溝(10)は少なくとも1グループを含み、
各グループが少なくとも1つの凹溝を含み、
一つグループに2つ以上の凹溝が含まれる場合、当該グループ内の各凹溝の運動経路は同一で、各凹溝が運動経路に沿って均一に配列され、
2つ以上のグループの凹溝が存在する場合、各グループの凹溝の運動経路は同一で他のグループの凹溝の運動経路と異なることを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項4】
媒体入口(121、122)、媒体出口(131、132)及び第3部品(81、82)を有する複数グループが設けられ、各グループは、1つの媒体入口、1つの媒体出口、及び媒体入口と媒体出口との間に設置される1つの第3部品を含み、各グループの媒体入口及び媒体出口は、前記凹溝(10)の運動経路に沿って交互に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項5】
前記凹溝(10)の内表面は、円滑曲面であり、前記凹溝の前後端エッジは、円滑に連結することを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項6】
前記第3部品(8)上には前記凹溝(10)と嵌合する弾性凸部(14)が設置されることを特徴とする、請求項1に記載の液体ポンピング装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液体ポンピング装置であって、
前記凹溝(10)の、前記第2部品の周方向上のサイズは、前記媒体入口と前記媒体出口の前記周方向における間隔よりも小さいことを特徴とする液体ポンピング装置。