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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050708
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】平行パターンを投射する距離センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011648
(22)【出願日】2022-01-28
(62)【分割の表示】P 2019530764の分割
【原出願日】2017-12-05
(31)【優先権主張番号】62/430,998
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517145315
【氏名又は名称】マジック アイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭輝
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、空間内の物体または点までの距離を測定することである。
【解決手段】一実施形態では、物体までの距離を計算するための方法は、光源から複数の光線を同時に投射するステップであって、複数の光線によって、複数のドット線が物体上に投射され、複数のドット線が互いに平行に向けられる、ステップと、視野の画像を取得するステップであって、物体が画像内で可視であり、複数のドット線も画像内で可視である、ステップと、画像内の情報を使用して物体までの距離を計算するステップとを含む。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体までの距離を計算するための方法であって、
光源から複数の光線を同時に投射するステップであって、前記複数の光線によって、複数のドット線が前記物体上に投射され、前記複数のドット線が互いに平行に向けられる、ステップと、
視野の画像を取得するステップであって、前記物体が前記画像内で可視であり、前記複数のドット線も前記画像内で可視である、ステップと、
前記画像内の情報を使用して前記物体までの前記距離を計算するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記複数のドット線は、前記複数のドット線の中心線に関して対称であるパターンを形成する、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記光源は複数の光源の1つであり、前記複数の光源の各光源は、それぞれの複数の光線を投射し、前記それぞれの複数の光線は、それぞれの複数のドット線を前記視野内に投射させる、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記複数の光源は、偶数の光源を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記偶数は4である、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、前記複数の光源は、それらのそれぞれの複数の光線を順番に投射する、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記順番は、
前記複数の光源の第1の対による、それぞれの複数の光線の第1の投射と、
前記第1の投射に続く、前記複数の光源の第2の対による、それぞれの複数の光線の第2の投射と
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法であって、前記複数の光源の各光源は、そのそれぞれの複数の光線を、前記画像を取得する画像センサの光軸に対して共通の角度で前記物体の方向に投射する、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法であって、前記複数の光源の各光源は、前記画像を取得する画像センサから共通の距離に配置され、前記共通の距離は、前記画像センサの光軸に沿って測定される、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項3に記載の方法であって、前記複数の光源の各光源は、それぞれの複数の光線の投射の方向と、前記画像を取得する画像センサの光軸に垂直な線との間の角度を生成するように配置される、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記角度は、前記複数の光源の各光源に関して同じである、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記角度は、前記複数の光源の少なくとも2つの光源に関して異なる、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、前記角度は、少なくとも30度である、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項3に記載の方法であって、前記複数の光源の少なくとも2つの光源は、異なる強度の光を放射する、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項3に記載の方法であって、前記複数の光源の第1の光源は、第1の複数の光線を投射し、前記複数の光源の第2の光源は、第2の複数の光線を投射し、前記物体上への入射の際に前記第1の複数の光線によって生成された第1のパターンは、前記物体上への入射の際に前記第2の複数の光線によって生成された第2のパターンとは異なる、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記複数のドット線は、前記光源の平面に垂直な線に対して傾いている、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記画像は、広角レンズを使用して取得される、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記視野の前記画像は、前記視野の複数の画像の1つであり、前記複数の画像内の各画像は、前記光源に対して異なる位置関係を有する異なる画像センサによって取得される、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記各々の異なる画像センサは、異なる光学仕様を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されるとき、物体までの距離を計算するための動作を前記プロセッサに実行させる複数の命令を記憶する、コンピュータ読取り可能記憶デバイスであって、前記動作は、
光源から複数の光線を同時に投射することであって、前記複数の光線によって、複数のドット線が前記物体上に投射され、前記複数のドット線が互いに平行に向けられる、ことと、
視野の画像を取得することであって、前記物体が前記画像内で可視であり、前記複数のドット線も前記画像内で可視である、ことと、
前記画像内の情報を使用して前記物体までの前記距離を計算することと
を含む、ことを特徴とするデバイス。
【請求項21】
複数の光線を同時に投射するための光源であって、前記複数の光線によって、複数のドット線が物体上に投射され、前記複数のドット線が互いに平行に向けられる、光源と、
視野の画像を取得するための画像センサであって、前記物体が前記画像内で可視であり、前記複数のドット線も前記画像内で可視である、画像センサと、
前記画像内の情報を使用して前記物体までの距離を計算するための回路と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、前記光源は複数の光源の1つであり、前記複数の光源の各光源は、それぞれの複数の光線を投射し、前記それぞれの複数の光線は、それぞれの複数のドット線を前記視野内に投射させる、ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、コンピュータ視覚システムに関し、より具体的には、空間内の物体または点までの距離を測定するためのセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2015年5月10日に出願した米国仮特許出願第62/159,286号の利益を主張する、2016年5月9日に出願した米国特許出願第15/149,323号の一部継続出願である。本出願はまた、2016年12月7日に出願した米国仮特許出願第62/430,998号の利益を主張する。これらの出願のすべては、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
ロボット車両およびドローンなどの無人車両は、通常、周囲の環境における障害物検出およびナビゲーションのためのコンピュータ視覚システムに依存する。これらのコンピュータ視覚システムは、同様に、通常、周囲の環境から視覚データを取得する様々なセンサに依存し、周囲の環境に関する情報を集めるためにコンピュータ視覚システムがそれらのデータを処理する。たとえば、1つ以上の画像センサを介して取得されたデータは、周囲の環境において車両から特定の物体または点までの距離を特定するために使用される場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、物体までの距離を計算するための方法は、光源から複数の光線を同時に投射するステップであって、複数の光線によって、複数のドット線が物体上に投射され、複数のドット線が互いに平行に向けられる、ステップと、視野の画像を取得するステップであって、物体が画像内で可視であり、複数のドット線も画像内で可視である、ステップと、画像内の情報を使用して物体までの距離を計算するステップとを含む。
【0005】
別の実施形態では、コンピュータ読取り可能記憶デバイスは、プロセッサによって実行されるとき、物体までの距離を計算するための動作をプロセッサに実行させる複数の命令を記憶する。これらの動作は、光源から複数の光線を同時に投射することであって、複数の光線によって、複数のドット線が物体上に投射され、複数のドット線が互いに平行に向けられる、ことと、視野の画像を取得することであって、物体が画像内で可視であり、複数のドット線も画像内で可視である、ことと、画像内の情報を使用して物体までの距離を計算することとを含む。
【0006】
別の例では、装置は、複数の光線を同時に投射するための光源であって、複数の光線によって、複数のドット線が物体上に投射され、複数のドット線が互いに平行に向けられる、光源と、視野の画像を取得するための画像センサであって、物体が画像内で可視であり、複数のドット線も画像内で可視である、画像センサと、画像内の情報を使用して物体までの距離を計算するための回路とを含む。
【0007】
本開示の教示は、添付の図面と併せて次の発明を実施するための形態を検討することによって容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の光学的構成を生成するために使用することができる距離センサの一実施形態の断面図である。
図1B図1Aの距離センサの上面図である。
図1C図1Aおよび図1Bの距離センサの光源の1つによって投射することができるパターンの第1の例を示す図である。
図2A】表面上に投射された、図1Cに示した平行線の例示的なパターンを示す図である。
図2B図2Aの光源によって投射された光線の「扇形」の正面図である。
図2C図2Bの光線の扇形の側面図である。
図3】図の半球領域内に投射された、図1Cに示した平行線の例示的なパターンの別の側面図である。
図4】光源の各々が扇形の複数の光線を放射するように示した、図1A図1Cの距離センサの上面図である。
図5A】複数の光線を同時に放射しながら図4の光源のすべてによって生成することができるパターンの上面図である。
図5B図5Aに示したパターンの半分の上面図である。
図6A】距離センサが2つの画像センサを含むことを除けば、図1Bに示した距離センサと同様の距離センサの上面図である。
図6B】光源によって投射されたパターンを示す図である。
図7A】本開示の距離センサによって投射することができる投射パターンのより詳細な例を示す図である。
図7B】本開示の距離センサによって投射することができる投射パターンのより詳細な例を示す図である。
図8A】複数の平行線の投射によって生成することができる例示的な球面(または半球面)座標構造を示す図である。
図8B】平面投射において図8Aのパターンを示す図である。
図8C】ドットの軌跡が物体までの距離によって変化する、図8Bのパターンを示す図である。
図9A】本開示の距離センサによって投射することができる投射パターンのより詳細な例を示す図である。
図9B】本開示の距離センサによって投射することができる投射パターンのより詳細な例を示す図である。
図10A】平行線の各々が一連のドットを含む、平行線の対を使用して物体までの距離を計算するための関連のパラメータを示す図である。
図10B図10Aの画像センサから図10Aの物体までの距離Dを計算するためのアルゴリズムの一例を示す図である。
図11A】本明細書に開示された距離センサを使用して物体までの距離を計算するための単純なアルゴリズムを導出することができる概念を示す図である。
図11B】本明細書に開示された距離センサを使用して物体までの距離を計算するための単純なアルゴリズムを導出することができる概念を示す図である。
図12】例示的な距離センサに拡張された図11Aおよび図11Bの概念を示す図である。
図13】空間内のセンサから物体または点までの距離を計算するための方法のフローチャートである。
図14】本明細書に説明された機能を実行する際の使用に適した汎用コンピュータのハイレベルブロック図である。
図15】同時に投射された2つの異なる例示的な投射パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするために、可能であれば、図に共通の同一の要素を指定するのに同一の参照番号が使用される。
【0010】
一実施形態では、本開示は、距離センサに関する。距離センサは、コンピュータ視覚システムが周囲の環境において車両から特定の物体または点までの距離を特定するのを助けるために無人車両において使用することができる。たとえば、距離センサは、物体または点の上に1つ以上の光線を投射し、次いで、飛行時間(TOF:time of flight)、反射光の分析(たとえば、ライダー)、または他の方法によって距離を計算することができる。しかし、このタイプの従来の距離センサは、かさばる傾向があり、したがって、小型の車両に使用するには適さない場合がある。さらに、これらのセンサは、製作するには非常に高額であり、限られた視野を有する傾向がある可能性がある。たとえば、複数の従来の画像センサの構成を使用しても、360度未満の視野を提供するだけである。開示されたタイプの距離センサは、3次元(3D)画像処理を含む他の用途に使用することもできる。
【0011】
本開示の例は、2015年10月22日に出願した米国特許出願第14/920,246号に開示された距離センサのいずれかなどの小型距離センサのための光学的構成の改良を提供する。1つ以上の光源は、物体上への入射の際に線のパターンを集合的に形成する複数の光線を投射する。次いで、1つ以上の画像センサは、物体およびパターンの2次元画像を取得し、画像内の物体上のパターンの外観に基づいて、物体までの距離を計算する。本開示の文脈においては、「光線」または「投射光線」は、開示された距離センサの光源によって放射された光の形態を指す。「線」または「パターン」は、光源によって放射された光線が表面または物体の上に入射するとき、その表面または物体の上に作られた画像を指す。
【0012】
たとえば、図1Aおよび図1Bは、本開示の光学的構成を生成するために使用することができる距離センサ100の一例を示す。具体的には、図1Aは、距離センサ100の断面図を示すが、図1Bは、図1Aの距離センサ100の上面図を示す。距離センサ100は、たとえば、無人車両に取り付けることができる。
【0013】
図1Aに示すように、距離センサ100は、小型ハウジング102内に配置された複数の構成要素を含む。一例では、これらの構成要素は、広角レンズ112を含む画像センサ110の周りに配置された複数の光源108~108(以下、まとめて「光源108」と呼ぶか、または個別に「光源108」と呼ぶ)を含む。一例では、複数の光源108は、偶数の光源を含む。たとえば、図1Aに示した例では、複数の光源108は、4つの光源108を含む。一例では、これらの構成要素は、中心軸A-A’に関して実質的に対称に配置される。たとえば、一例では、中心軸A-A’は、画像センサ110の光軸と一致し、光源108は、図1Bに示したように、画像センサ110の周りのリングにおいて一定の間隔(たとえば、30度ごと、90度ごとなど)で離間される。しかし、他の例では、単一の光源108だけが使用される場合がある。
【0014】
一例では、光源108の各々は、複数の光線を放射するレーザ光源であり、複数の光線は、複数の光線が入射する表面上にドット(または、x、ダッシュなどの他の印)の複数の線を投射することができる。したがって、各光源108は、距離センサ100のための投射点、すなわち複数の光線が視野内に投射される、距離センサ100上の点と見なすことができる。この目的で、各投射点は、光源108によって放射された単一の光線を複数の光線に分割する、それぞれの回折光学素子114~114(以下、まとめて「回折光学素子114」と呼ぶか、または個別に「回折光学素子114」と呼ぶ)を含むことができる。複数の光線の各個別の光線は、同様に、表面上にドットまたは点を投射することができ、複数の光線は、対応するドットが一連の平行線を集合的に形成するように配列される。これらの線は、矩形ドット行列を集合的に形成するように、ドットから形成することができる。代替として、線は、連続的であるか、またはダッシュ、xなどから形成されてもよい。
【0015】
各光源108の投射方向は、画像センサ110に対して固定することができる。一例では、各光源108は、表面上に異なる視覚パターンを形成する複数の光線を投射するように構成される。たとえば、光源108は、ドットのパターンを投射することができるが、光源108は、ダッシュまたはxなどのパターンを投射することができる。さらなる例では、複数の光源108の少なくとも1つの光源108は、投射するパターンを変化させるように構成可能である。加えて、光源108の1つ以上によって投射された光の強度は、変化する場合がある。たとえば、光源108は、第1の強度の光を投射することができるが、光源108は、異なる第2の強度の光を投射することができる、などである。代替として、各光源108は、強度がある範囲内で変化することができる光を投射することができる場合がある。
【0016】
各光源108から放射された光は、人間の視覚に対して比較的安全であることが知られている波長(たとえば、赤外線)を有する。さらなる例では、各光源108は、その出力の強度を調整するための回路を含むことができる。さらなる例では、各光源108は、画像取得時に周囲の光の効果を緩和するために光をパルスで放射することができる。
【0017】
一例では、複数の光源108は、図1Aに示したように、複数の光源108によって放射された光が伝搬する方向に対して、画像センサ110の主点(すなわち、光軸A-A’が画像平面と交差する点)の「背後に」配置される。一例では、複数の光源108の少なくとも1つの光源108は、距離センサ100から取り外し可能である。
【0018】
上に論じたように、画像センサ110は、複数の光源108の中央の中心軸A-A’に沿って配置することができる。一例では、画像センサ110は、スチルカメラまたはビデオカメラなどの画像取得デバイスである。1つの特定の例では、画像取得デバイスは、赤、緑、青、赤外線(RGB-IR)センサを含む。上にも論じたように、画像センサ110は、半球状の視野を生成する魚眼レンズなどの広角レンズ112を含む。一例では、レンズ112は、中央投射光学レンズまたは自由曲面光学レンズ以外のいずれかのタイプのレンズを含む。一例では、画像センサ110は、距離センサ100から物体または点までの距離を計算するための回路を含む。別の例では、画像センサは、ネットワークを介して取得された画像をプロセッサに通信するためのネットワークインターフェースを含み、プロセッサは、距離センサ100から物体または点までの距離を計算し、次いで、計算された距離を再び距離センサ100に通信する。
【0019】
別の例では、距離センサ100は、光源108の光線を第1の複数の光線に分割するために回折光学素子を使用する単一の光源108を使用することができる。次いで、第1の複数の光線の各々は、上に論じたように、距離センサ100の各投射点から放射された第2の複数の光線に(たとえば、回折光学素子114によって)さらに分割される。この例は、米国特許出願第14/920,246号にさらに詳細に論じられている。
【0020】
したがって、一例では、距離センサ100は、複数の投射光線を生成するために、複数の光源または投射点を使用し、複数の投射光線によって生成された複数の線(たとえば、ドットまたはダッシュのパターンを含むことができる)は、光線が投射された表面上に互いに平行に向けられる場合がある。したがって、距離センサ100によって表面上に投射されたパターンは、複数の平行線を含むことができ、これらの線の各々は、ドット、ダッシュ、xなどの線を含む。次いで、距離センサ100から物体までの距離は、(たとえば、2015年10月22日に出願した米国特許出願第14/920,246号に説明したように)視野内の複数の平行線の外観から(たとえば、ドットの位置によって)計算することができる。たとえば、物体までの距離は、平行線を形成するドットの横方向の運動を通して検出することができるが、それは、距離が変化しても、これらの線が常に連続的に線形であるからである。物体のサイズおよび寸法は、直接計算することもできる。
【0021】
光源108の各々が異なるパターン(たとえば、ドット、x、ダッシュなど)の複数の線を投射するとき、画像センサ110内の回路は、取得された画像のどの線が光源108のどれによって生成されたかを容易に特定することができる。このことは、下により詳細に論じるように、距離計算を容易にすることができる。一例では、異なる距離計算技法は、光源108の各々によって投射されたパターンと併せて使用することができる。
【0022】
上に論じたように、距離センサ100は、視野内に平行パターンを形成する投射光線を生成するように構成することができる。たとえば、図1Cは、図1Aまたは図1Bの距離センサ100の光源108の1つによって投射することができるパターン102の第1の例を示す。図1Cはまた、画像センサ110、レンズ112、ならびに光源108、108、および108の3つを含む、図1Aおよび図1Bの距離センサ100の構成要素のいくつかを分解図で示す。
【0023】
図示したように、パターン102は、複数の平行線104~104(以下、まとめて「線104」と呼ぶか、または個別に「線104」と呼ぶ)を含み、各線104は、一連のドットをさらに含む。複数の平行線104は、重複することも、交差することもない。複数の線104は、集合的に、中心線(すなわち、図1Cの線104)に関して対称的なパターンを形成することができ、ドットの分布は、(盲点、すなわちパターン102が投射されない領域が最小限の)視野内で高度に均一である。
【0024】
一例では、複数の線104内の各線104は、角度αに対する巻き方向を補うために、光源108の平面に垂直な線に対して回転角度εだけ傾いているか、または傾斜しているが、角度αは画像センサの光軸方向の上面図(すなわち、視野内の物体からの図)から定義され、回転角εは投射方向の図(すなわち、投射軸の周りの投射点から視野内の物体までの図)から定義される。一例では、角度αは少なくとも30度であり、角度εは0度よりも大きい。図1Bでは、回転角度αの巻き方向は時計回りであるが、角度εの巻き方向は反時計回りである。角度αが各光源108において同じである場合があるか、または、光源の2つ以上が異なる角度αを有する場合がある。
【0025】
各光源108は、光源108の平面に対して角度θだけ傾いているか、または傾斜している場合があり、光源108によって投射された複数の線104が広がる扇形角度を生成する。さらに、各光源108は、画像センサ110の光軸A-A’に沿って測定されるように、光源108から画像センサ110までの距離を定義するシフト値bに関連付けられる。
【0026】
ドットの平行な非重複の線104のパターン102を投射することによって、距離センサ100は、下により詳細に論じるように、画像センサの視野内の物体までの3次元の距離を計算することができる。この距離は、物体が動いていても、反射しても、形状が曲がっていても、測定することができる。この距離は、画像センサ110のレンズ112が広角レンズでなくても測定することができるが、魚眼レンズなどの広角レンズの使用によって、距離センサ100は、より広い(たとえば、半球状の)視野を網羅することが可能になる。
【0027】
図2Aは、たとえば、表面200上に投射された、図1Cに示した平行線の例示的なパターン102の別の図を示す。図示したように、パターン102は、中心線104に関して実質的に対称である。さらに図示したように、距離センサの視野204は、実質的に半球状である。図2Aは、表面200上の平行な非重複の線のパターン102を生成するために、1つの光源108から投射された複数の光線が、光源108から扇形配置でどのように広がることができるかも示す。図2Bは、図2Aの光源108によって投射された光線の「扇形」の正面図を示すが、図2Cは、図2Bの光線の扇形の側面図を示す。図示した例では、光源108によって投射された各光線間の間隔は、θに指定されるが、パターン102内の各線間の間隔は、ηに指定される。一例では、光線間の間隔および線間の間隔は、均一である。
【0028】
図3は、半球状の視野204内に投射された、図1Cに示した平行線の例示的なパターン102の別の側面図を示す。矢印300は、視野204内の物体302までの距離Rを示す。さらに、矢印304および306は、光源108から放射された光線の角度と、光線によって投射されたパターンの画像が画像センサ110によって取得された角度との間の位置関係を示す。
【0029】
図4は、光源108の各々が複数の光線を扇形で放射するように示した、図1A図1Cの距離センサ100の上面図を示す。各々の複数の光線は、図1Cおよび図2Aに示したパターン102などの平行線のそれぞれのパターンを生成する。
【0030】
さらに、一例では、光源の各々は、光源の投射点を画像センサ110の光軸A-A’に接続する線に対して同じ角度αでその複数の光線を放射するために配置される。上に論じたように、一例では、角度αは少なくとも30度である。角度αが小さくなるほど、視野内に投射された集合的パターンはより小さく広がる(すなわち、投射された平行線のドットは、表面上に入射するとき、互いに近くなるように見える)。言い換えれば、物体距離に対するドット運動は、非常に小さくなるので、特により長い距離に関しては、距離を効果的に特定することができない。角度αが大きくなるほど、視野内に投射された集合的パターンはより大きく広がる(すなわち、投射された平行線のドットは、表面上に入射するとき、さらに離れるように見える)。
【0031】
光源の各々が複数の光線を同時に放射するとき、視野は、平行線のパターンで均一に網羅することができ、平行線の各々は、一連のドット、ダッシュ、xなどによって形成される。この場合、異なる複数の光線によって形成されたそれぞれの平行線は重複しない。このことによって、距離センサ100は、半球状の視野内に存在する任意の物体までの距離を計算することが可能になる。
【0032】
図5Aは、たとえば、複数の光線を同時に放射しながら図4の光源のすべてによって生成することができるパターンの上面図を示す。特に、図5Aのリングは、共通の光源によって投射された光線間の様々な間隔θに関する(たとえば、θ=0度、θ=30度、θ=60度、およびθ=90度に関する)例示的なパターンの外観を示す。この場合、4つの光源が存在し、各光源は、距離センサの視野内の表面上に7つの平行線を生成する7つの光線の扇形を投射する。図示したように、4つの光源は、集合的に、半球状の視野のすべてまたはほぼすべてを網羅するパターンを投射することができる。したがって、約180度の視野は、比較的小さい数の光源および単一の画像センサを使用して測定される場合がある。図5Aに示したパターンの半分の上面図を示す図5Bに示したように、互いに180度離間した光源によって生成されたそれぞれのパターンは、互いにずれている。このことは、投射されたパターンの重複を最小化するのを助けるが、半球状の視野のすべてまたはほぼすべてが網羅されるのを確実にする。
【0033】
図5は、図4の光源のすべてがそれらのそれぞれの複数の光線を同時に放射する例を示すが、他の例では、光源は、それらのそれぞれの複数の光線を順番に放射するようにタイミング調整される場合がある。一例では、たとえば、少なくとも2対の光源(すなわち、トータルで少なくとも4つの光源)が存在する場合、光源の第1の対(たとえば、図5Bに示すように、互いに180度離間している)は、それらのそれぞれの複数の光線を同時に放射するようにタイミング調整される。次いで、光源の第1の対は、それらのそれぞれの複数の光線を投射するのを中止し、光源の第2の対(たとえば、同様に、互いに180度離間している)は、それらのそれぞれの複数の光線を同時に放射する。したがって、2対の光源は、それらのそれぞれの複数の光線を交互に放射する。この例は、各パルス放射間の多少の時間間隔を用いた光源によるパルス放射を含む。
【0034】
いくつかの例では、本開示の距離センサは、2つ以上の画像センサを含む場合がある。たとえば、図6Aは、図6Aの距離センサ600が2つの画像センサ610Aおよび610Bを含むことを除けば、図1Bに示した距離センサ100と同様の距離センサ600の上面図を示す。一例では、異なる画像センサ610Aおよび610Bは、異なる光学仕様(たとえば、解像度、光感度、視野など)を有することができる。
【0035】
この場合、複数の光源608~608(以下、まとめて「光源608」と呼ぶか、または個別に「光源608」と呼ぶ)は、画像センサ610Aおよび610Bの対の周りのリングに配置される。図示したように、画像センサ610Aおよび610Bの光軸A-A’とB-B’は、(光源608の異なる角度αおよびαによって示したように)画像センサ610Aおよび610Bの各々に対する個々の光源608の位置関係が存在するように、それぞれ異なる。
【0036】
図6Bに示したように、複数の光源608によって投射されたパターン602は、複数の平行線604~604(以下、まとめて「線604」と呼ぶか、または個別に「線604」と呼ぶ)をさらに含み、各線604は、一連のドットをさらに含む。複数の平行線604は、重複することも、交差することもない。複数の線604は、集合的に、中心線(すなわち、図6Bの線604)に関して対称的なパターンを形成することができ、ドットの分布は、(盲点、すなわちパターン602が投射されない領域が最小限の)視野内で極めて均一である。各画像センサ610Aおよび610Bは、同じパターン602の画像を取得するが、パターン602の位置は、(たとえば、それぞれの光学的位置、軸方向、および光学的視心位置に基づく)それぞれの画像センサ自体の座標系に固有のものである。
【0037】
図7Aおよび図7Bは、本開示の距離センサによって投射することができる投射パターンのより詳細な例を示す。具体的には、図7Aは、ドットの中心線を含む、ドットから形成された複数の平行線を含む、第1の例示的なパターン700Aを示すが、図7Bは、ドットの中心線を有しない、ドットから形成された複数の平行線を含む、第2の例示的なパターン700Bを示す。
【0038】
より詳細には、図7Aにおいて、パターン700Aは、複数の平行線702Aを含み、各線は、一連のドット704Aから形成される。一例では、隣接する平行線702Aの間に位相差φが存在し、その結果、隣接する平行線702Aのドット704A間のxおよび/またはy方向の多少の変位が存在する。一例では、位相は、1つの線702Aおきに(たとえば、1つの線702Aおきに同じ位相を有するように)、3つの線702Aごとなどに(たとえば、3つの線702Aごとに同じ位相を有するように)変化させることができる。
【0039】
複数の平行線702Aは、集合的に、ドット704Aの矩形行列を形成し、角度Δφだけ回転させ、角度Δθだけ上昇させることができる。ドットのこの矩形行列は、パターン700Aのx軸に平行に向けられた第1の中心線706Aに関して対称であり、パターンのy軸に平行な第2の中心線708Aに関しても対称である。したがって、ドットの矩形行列は、投射中心710Aに関して対称である。第2の中心線708Aは、画像センサのレンズ712Aの法線と見なすこともできる。一例では、少なくとも第1の中心線706Aは、画像センサの光軸の円の接線方向に配置される。第1の中心線706Aと第2の中心線708Aの両方は、ドット704Aから形成される。パターン700Aの投射中心710Aは、パターン700Aが投射される光源の投射軸を示す。図示したように、第1の中心線706Aと第2の中心線708Aの両方は、光源の投射中心710Aを通過することができる。
【0040】
この例では、物体距離を変化させることによるパターン700Aの軌跡は、第2の中心線708Aに平行またはほぼ平行になる。ドット704Aの線702Aは、等しいドット間隔(たとえば、Δθ)で、または何らかの他の規則性で第2の中心線708Aに平行に配置することができる。これらの平行線702Aは、ドット間隔における位相シフト(φ)を除いて同じ構成を有する。
【0041】
図7Bでは、パターン700Bは、複数の平行線702Bを含み、各線は、一連のドット704Bから形成される。一例では、隣接する平行線702Bの間に位相差φが存在し、その結果、隣接する平行線702Bのドット704B間のxおよび/またはy方向の多少の変位が存在する。一例では、位相は、1つの線702Bおきに(たとえば、1つの線702Bおきに同じ位相を有するように)、3つの線702Bごとなどに(たとえば、3つの線702Bごとに同じ位相を有するように)変化させることができる。
【0042】
複数の平行線702Bは、集合的に、ドット704Bの矩形行列を形成し、角度Δφだけ回転させ、角度Δθだけ上昇させることができる。ドットのこの矩形行列は、パターン700Bのx軸に平行に向けられた第1の中心線706Bに関して対称であり、パターンのy軸に平行な第2の中心線708Bに関しても対称である。したがって、ドットの矩形行列は、投射中心710Bに関して対称である。第2の中心線708Bは、画像センサのレンズ712Bの法線と見なすこともできる。一例では、少なくとも第1の中心線706Bは、画像センサの光軸の円の接線方向に配置される。図7Aのパターン700Aとは対照的に、第1の中心線706Bは、ドット704Bから形成されない。したがって、図7Bの平行線702B間の間隔は、図7Aの平行線702A間の間隔よりも大きい可能性がある。パターン700Bの投射中心710Bは、パターン700Bが投射される光源の投射軸を示す。図示したように、第1の中心線706Bと第2の中心線708Bの両方は、光源の投射中心710Bを通過することができる。
【0043】
図8Aは、上に説明したように、複数の平行線の投射によって生成することができる例示的な球状の(または半球状の)座標構造800を示す。具体的には、図8Aは、仮想球802として構成される視野を示す。
【0044】
図示したように、距離センサは、光源804と、光源804によって放射された光線を複数の光線に分割するための回折光学素子とを含む。複数の光線の中心808(たとえば、1つの光線が複数の光線に分割される点)は、パターンの投射点と見なすことができ、パターン812の投射中心810(この投射中心810の座標は(φ,θ)=(0,0)である)に対応する。投射点808から投射中心810まで延びる線は、光源804の投射軸(放射方向)と見なすことができる。
【0045】
パターン812の第1の中心線814は、θ=0に対応する(すなわち、上昇角度θが0である)。第1の中心線814に平行な線は、θ=0pに対応する(すなわち、上昇角度θが0pであり、平行線ごとに一定である)。したがって、パターン812は、図8Bに示したように、針差し型形状をとることができ、平面投射における図8Aのパターンを示す。y方向における各ドットの位置は、φと記載される場合がある。したがって、第2の中心線816は、φ=0に対応する。
【0046】
各ドットの取得された画像は、物体距離を変化させることによって第2の中心線816に平行な方向に運動する場合がある。しかし、位相シフトがドットの隣接線間に導入されたとき、ドットの運動領域(軌跡)は、重複すべきでない。図8Cに示したように、ドットの軌跡818が物体までの距離とともに変化する、図8Bのパターン812を示す図8Cに示したように、ドットの隣接する線間の位相差は、個々のドット軌跡の重複を最小化するのを助ける。このことによって、パターン812のドット密度を増加させることが可能になる。
【0047】
図9Aおよび図9Bは、本開示の距離センサによって投射することができる投射パターンのより詳細な例を示す。具体的には、図9Aは、ドットの中心線を含む、ドットから形成された複数の平行線を含む、第1の例示的なパターン900Aを示すが、図9Bは、ドットの中心線を有しない、ドットから形成された複数の平行線を含む、第2の例示的なパターン900Bを示す。パターン900Aおよび900Bは、図7Aおよび図7Bに示したパターン700Aおよび700Bと同様であるが、パターン900Aおよび900Bの第1の中心線906Aおよび906Bは、それぞれ、画像センサのそれぞれのレンズ912Aおよび912B光軸の円の接線方向に対して角度γだけ傾いている。
【0048】
より具体的には、図9Aにおいて、パターン900Aは、複数の平行線902Aを含み、各線は、一連のドット904Aから形成される。複数の平行線902Aは、集合的に、ドット904Aの矩形行列を形成し、角度Δφだけ回転させ、角度Δθだけ上昇させることができる。ドットのこの矩形行列は、パターン900Aのx軸に平行に向けられた第1の中心線906Aに関して対称であり、パターンのy軸に平行な第2の中心線908Aに関しても対称である。したがって、ドットの矩形行列は、投射中心910Aに関して対称である。第2の中心線908Aは、画像センサのレンズ912Aの法線と見なすこともできる。一例では、少なくとも第1の中心線906Aは、レンズ912Aの光軸の円の接線方向に対して角度γだけ傾いている。
【0049】
第1の中心線906Aと第2の中心線908Aの両方は、ドット904Aから形成される。パターン900Aの投射中心910Aは、パターン900Aが投射される光源の投射軸を示す。図示したように、第1の中心線906Aと第2の中心線908Aの両方は、光源の投射中心910Aを通過することができる。
【0050】
この例では、物体距離を変化させることによるパターン900Aの軌跡は、第2の中心線908Aに平行またはほぼ平行になる。ドット904Aの線902Aは、等しいドット間隔(たとえば、Δθ)で、または何らかの他の規則性で第2の中心線908Aに平行に配置することができる。これらの平行線902Aは、ドット間隔における位相シフト(φ)を除いて同じ構成を有する。
【0051】
図9Bでは、パターン900Bは、複数の平行線902Bを含み、各線は、一連のドット904Bから形成される。複数の平行線902Bは、集合的に、ドット904Bの矩形行列を形成し、角度Δφだけ回転させ、角度Δθだけ上昇させることができる。ドットのこの矩形行列は、パターン900Bのx軸に平行に向けられた第1の中心線906Bに関して対称であり、パターンのy軸に平行な第2の中心線908Bに関しても対称である。したがって、ドットの矩形行列は、投射中心910Bに関して対称である。第2の中心線908Bは、画像センサのレンズ912Bの法線と見なすこともできる。
【0052】
一例では、少なくとも第1の中心線906Bは、レンズ912Bの光軸の円の接線方向に対して角度γだけ傾いている。図9Aのパターン900Aとは対照的に、第1の中心線906Bは、ドット904Bから形成されない。したがって、図9Bの平行線902B間の間隔は、図9Aの平行線902A間の間隔よりも大きい可能性がある。パターン900Bの投射中心910Bは、パターン900Bが投射される光源の投射軸を示す。図示したように、第1の中心線906Bと第2の中心線908Bの両方は、光源の投射中心910Bを通過することができる。
【0053】
したがって、本明細書に開示された線の様々なパターンは、投射の領域をシフトさせることができる。画像センサの周りに複数の光源を使用し、適切な角度および位置で複数の光源を配置することによって、3次元において広角および高密度で物体までの距離を検出することができるパターンを投射することが可能である。このパターンは、上に説明したように傾いていても、傾いていなくてもよい。後者の場合に、複数の光源は、より高い密度を有する特定の領域に集中するように構成することができる。
【0054】
加えて、光源の構成(および場合により関連の回折光学素子)は、たとえば、投射領域、ドットパターン、光強度、ドットスポット焦点などを変化させることによって、または、広い領域および狭い領域を高強度投射と組み合わせることによって変化させることができる。画像センサの構成は、複数の画像センサを使用することによって、または、焦点距離、焦点位置などを変化させることによって変化させることもできる。たとえば、図15は、同時に投射された2つの異なる例示的な投射パターンを示す。第1の投射パターン1500は、第1の光源から投射することができるが、第2の投射パターン1502は、第2の光源から投射することができる。図示したように、第2の投射パターン1502の線間の間隔は、第1の投射パターン1500の線間の間隔よりも小さい。加えて、第2の投射パターン1502のドット間の間隔は、第1の投射パターン1500のドット間の間隔よりも小さい。その結果、第2の投射パターン1502の全投射領域は、第1の投射パターン1500の全投射領域よりも小さい。パターン生成に関するそのような柔軟性により、距離センサは、画像センサの変化(たとえば、焦点距離調整、焦点位置調整など)の存在下で距離をより効果的に測定することが可能になる場合がある。
【0055】
図10Aは、1対の平行線1000および1000(以下、まとめて「線1000」と呼ぶか、または個別に「線1000」と呼ぶ)を使用して物体までの距離を計算するための関連のパラメータを示す図であり、線1000の各々は、一連のドットを含む。図10Aは単純化された例を示し、実際には、3つ以上の平行線(たとえば、一例では、7つの平行線)が投射される場合があることに留意されたい。図示したように、平行線1000は、距離センサの画像センサ1004からの距離Dに配置された物体1002上に投射される。平行線1000は、投射間隔αだけ離間され、間隔の中点(または投射中心)は、軸B-B’によって定義される。距離φは、距離センサ1004の軸B-B’と中心軸A-A’との間に存在する。光源1006~1006(以下、まとめて「光源1006」と呼ぶか、または個別に「光源1006」と呼ぶ)は、画像センサ1004の前の距離bに設定される。
【0056】
図10Bは、図10Aの画像センサ1004から図10Aの物体1002までの距離Dを計算するためのアルゴリズムの一例を示す。図10Aに示したパラメータに加えて、図10Bは、光源1006によって放射された光(すなわち、投射間隔αだけ分離したドットの平行線)の一部が物体1002によって反射され、戻り光として画像センサ1004に戻ることを示す。戻り光の光線は、画像センサ1004によって取得された画像によって与えられる距離θだけ分離される。
【0057】
距離センサ1004の軸B-B’と中心軸A-A’との間の距離φが0であることがわかった場合、(α/2)/D=tan(θ/2)である。したがって、画像センサ1004から物体1002までの距離Dは、D=(α/2)/tan(θ/2)として計算することができる。また、α<<Dのとき、D≒α/tan(θ)である。
【0058】
距離センサ1004の軸B-B’と中心軸A-A’との間の距離φが非0の数であることがわかった場合、θ=(θ/2+φ)-(-θ/2+φ)のとき、D≒α/tan(θ)である。
【0059】
図11Aおよび図11Bは、本明細書に開示された距離センサを使用して物体までの距離を計算するための簡単なアルゴリズムを導出することができる概念を示す。図11Aを参照すれば、OからDまでのベクトルrの高さz、深さy、および長さxを次のように計算することができる。
z=rsinθ (方程式1)
y=rcosθsinα (方程式2)
x=rcosθcosα (方程式3)
したがって、
=x+y+z (方程式4)
【0060】
方程式1~4は、距離センサによって放射された傾斜した投射光線の複数のパラメータの位置関係を説明する。
【0061】
図11Bを参照すれば、高さがbだけ減少し、長さがaだけ増加したとき、寸法は、次のように計算することができる。
z-b=Rsinφ (方程式5)
y=Rcosφsinβ (方程式6)
x+a=Rcosφcosβ (方程式7)
したがって、
=(x+a)+y+(z-b) (方程式8)
【0062】
方程式1および方程式5から、次の方程式を導出することができる。
sinφ+b=rsinθ (方程式9)
【0063】
方程式2および方程式6から、次の方程式を導出することができる。
cosφsinβ=rcosθsinα (方程式10)
【0064】
方程式3および方程式7から、次の方程式を導出することができる。
cosφcosβ-a=rcosθcosα (方程式11)
【0065】
したがって、
【数1】
【0066】
βおよびαは、画像センサによって取得された画像から測定され、a、b、およびαは、画像センサ/投射設定からわかり、θは、投射パターンからわかる。
【0067】
図12は、例示的な距離センサ1200に拡張された図11Aおよび図11Bの概念を示す。例示的な距離センサ1200は、光源1202を含む光源のリング状のアレイと、各光源(および場合により回折光学素子または他の光線分割手段を含む)に対応する投射点1204などの投射点と、画像センサ1206(広角レンズを含む)とを含む。例示的な距離センサ1200は、仮想球1208を集合的に形成するドットの複数の平行線を投射するように構成される。
【0068】
図示したように、投射点1206などの、距離センサ1200の投射点は、画像センサ1206から距離D離間して配置された物体1210上のドットの複数の平行線を形成する複数の光線を投射する。中心軸から外側に放射状に延びる軸B-B’に対する光線の中心の角度は、αによって定義される。投射点によって放射された光の一部分は、戻り光の光線として画像センサ1206に再び反射される。
【0069】
図13は、空間内のセンサから物体または点までの距離を計算するための方法1300のフローチャートを示す。一実施形態では、方法1300は、図14に示され下に論じられるように、画像センサ(図1Aおよび図1Bに示した画像センサ110など)に一体化されたプロセッサ、または汎用コンピューティングデバイスによって実行することができる。
【0070】
方法1300は、ステップ1302において開始する。ステップ1304では、光源は、光線を生成するために起動される。一例では、光源は、同時に起動される複数の光源の1つである。一例では、光源は、レーザ光源を含む。
【0071】
ステップ1306では、光線は、たとえば、回折光学素子、またはステップ1304で生成された光線が伝搬する経路に配置される他の光線分割手段を使用して複数の光線に分割される。得られた複数の光線は、投射点から視野内に放射され、視野内の表面および物体の上にパターンを投射する。一例では、パターンは、複数の平行線を含み、これらの線の各々が一連のドットから形成される。複数の平行線が中心点の周りに対称に配置されるとき、これによって、パターンは、ドットの矩形行列のように見える場合がある。
【0072】
ステップ1308では、視野の画像が取得される。この画像は、視野内の物体、およびステップ1306において視野内に投射されたパターンの少なくとも一部分を示す。
【0073】
ステップ1310では、センサから物体までの距離は、ステップ1308において取得された画像からの情報を使用して計算される。一例では、距離を計算するために、三角測量技法が使用される。たとえば、光源によって投射されたパターンの一部分(たとえば、個々のドット)の間の位置関係は、計算のための基礎として使用することができる。
【0074】
方法1300は、ステップ1312において終了する。したがって、方法1300は、図1Aおよび図1Bに示したセンサと併せて、または同様の機能を有するセンサとともに、画像取得および計算の単一のサイクルにおいて、センサから空間内の物体または点までの距離を測定することができる。
【0075】
図14は、本明細書に説明された機能を実行する際の使用に適した汎用コンピュータのハイレベルブロック図を示す。図14に示したように、システム1400は、1つ以上のハードウェアプロセッサ要素1402(たとえば、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、またはマルチコアプロセッサ)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/またはリードオンリーメモリ(ROM)などのメモリ1404と、距離を計算するためのモジュール1405と、様々な入力/出力デバイス1406(たとえば、限定はしないが、テープドライブ、フロッピードライブ、ハードディスクドライブもしくはコンパクトディスクドライブ、受信機、送信機、レンズおよび光学素子、出力ポート、入力ポートおよびユーザ入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウス、マイクロフォンなど)を含む記憶デバイス)とを含む。1つのプロセッサ要素のみが示されているが、汎用コンピュータは、複数のプロセッサ要素を使用することができることに留意されたい。さらに、図には1つの汎用コンピュータのみが示されているが、上に論じた方法が特定の説明に役立つ例に関して分散した方法でまたは並列的な方法で実施される場合、すなわち、上の方法のステップまたは方法全体が複数または並列の汎用コンピュータのいたる所で実施される場合、この図の汎用コンピュータは、これらの複数の汎用コンピュータの各々を表すことが意図される。さらに、1つ以上のハードウェアプロセッサは、仮想化されたまたは共用のコンピューティング環境をサポートする際に利用することができる。仮想化されたコンピューティング環境は、コンピュータ、サーバ、または他のコンピューティングデバイスを表す1つ以上の仮想マシンをサポートすることができる。そのような仮想化された仮想マシンでは、ハードウェアプロセッサおよびコンピュータ読取り可能記憶デバイスなどのハードウェア構成要素は、仮想化されるか、または論理的に表される場合がある。
【0076】
本開示は、ソフトウェアにおいて、および/または、たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むプログラマブルロジックアレイ(PLA)、もしくはハードウェアデバイス上に展開される状態機械、汎用コンピュータ、もしくは任意の他のハードウェア均等物を使用して、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実施することができ、たとえば、上で論じた方法に関連するコンピュータ読取り可能命令は、上で開示された方法のステップ、機能、および/または動作を実行するようにハードウェアプロセッサを構成するために使用することができることに留意されたい。一実施形態では、距離を計算するための本モジュールまたはプロセス1405のための命令およびデータ(たとえば、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアプログラム)は、メモリ1404にロードされ、例示的な方法1300と併せて上に論じたステップ、機能、または動作を実施するためにハードウェアプロセッサ要素1402によって実行されることが可能である。さらに、ハードウェアプロセッサが「動作」を実行するために命令を実行するとき、このハードウェアプロセッサは、動作を直接実行し、および/または、容易にし、指示を出し、または動作を実行するために別のハードウェアデバイスもしくは構成要素(たとえば、コプロセッサなど)と協働する、ハードウェアプロセッサを含むことができる。
【0077】
上に説明した方法に関するコンピュータ読取り可能命令またはソフトウェア命令を実行するプロセッサは、プログラムされたプロセッサまたは特殊なプロセッサと考えることができる。したがって、本開示の距離(関連のデータ構造を含む)を計算するための本モジュール1405は、有形のまたは物理的な(広くは、非一時的な)コンピュータ読取り可能記憶デバイス、または揮発性メモリ、非揮発性メモリ、ROMメモリ、RAMメモリ、磁気ドライブもしくは光学ドライブ、デバイスもしくはディスケットなどの媒体に記憶することができる。より具体的には、コンピュータ読取り可能記憶デバイスは、プロセッサ、またはコンピュータもしくはアプリケーションサーバなどのコンピューティングデバイスによってアクセスされるデータおよび/または命令などの情報を記憶する機能を提供する任意の物理的なデバイスを含むことができる。
【0078】
様々な実施形態を上に説明してきたが、これらの実施形態は例のみによって提示され、限定はされないことを理解されたい。したがって、好ましい実施形態の広さおよび範囲は、上に説明した例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、むしろ、次の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離センサから物体までの距離を計算するための方法であって、
前記距離センサの光源から複数の光線を同時に投射するステップであって、前記複数の光線によって、複数のドット線が前記物体上に投射され、前記複数のドット線が互いに平行に向けられ、前記物体上の前記複数のドット線を構成する各ドット線は、前記光源の平面に垂直な線に対して、マイナス45度からプラス45度までの角度εで傾斜して顕現し、前記角度εは、0度より大きい角度αに対する巻き方向を補う角度であり、前記光源は複数の光源のうちの1つであり、前記複数の光源の各光源が、それぞれの複数の光線を投射し、前記それぞれの複数の光線が、それぞれの複数のドット線を視野内に投射させる、ステップと、
前記距離センサの画像センサを使用して視野の画像を取得するステップであって、前記物体が前記画像内で可視であり、前記複数のドット線も前記画像内で可視であり、前記複数の光源が、前記複数の光線が伝搬する方向において前記画像センサの主点の背後に配置されている、ステップと、
前記画像内の情報を使用して前記物体までの前記距離を計算するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記複数のドット線は、前記複数のドット線の中心線に関して対称であるパターンを形成する、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法であって、前記複数の光源は、偶数の光源を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法であって、前記偶数は4である、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、前記複数の光源は、それらのそれぞれの複数の光線を順番に投射する、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、前記順番は、
前記複数の光源の第1の対による、それぞれの複数の光線の第1の投射と、
前記第1の投射に続く、前記複数の光源の第2の対による、それぞれの複数の光線の第2の投射と
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、前記複数の光源の各光源は、そのそれぞれの複数の光線を、前記画像センサの光軸に対して共通の角度で前記物体の方向に投射する、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、前記複数の光源の各光源は、前記画像センサから共通の距離に配置され、前記共通の距離は、前記画像センサの光軸に沿って測定される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、前記複数の光源の各光源は、それぞれの複数の光線の投射の方向と、前記画像センサの光軸に垂直な線との間の角度αを生成するように配置される、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、前記角度αは、前記複数の光源の各光源に関して同じである、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法であって、前記角度αは、前記複数の光源の少なくとも2つの光源に関して異なる、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項に記載の方法であって、前記角度αは、少なくとも30度である、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項に記載の方法であって、前記複数の光源の少なくとも2つの光源は、異なる強度の光を放射する、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項に記載の方法であって、前記複数の光源の第1の光源は、第1の複数の光線を投射し、前記複数の光源の第2の光源は、第2の複数の光線を投射し、前記物体上への入射の際に前記第1の複数の光線によって生成された第1のパターンは、前記物体上への入射の際に前記第2の複数の光線によって生成された第2のパターンとは異なる、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記画像センサは、広角レンズを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記視野の前記画像は、前記視野の複数の画像の1つであり、前記複数の画像内の各画像は、前記光源に対して異なる位置関係を有する異なる画像センサによって取得される、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、それぞれ異なる前記画像センサは、異なる光学仕様を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記角度εは、前記複数の光線が前記物体に投射される点からの図から定義され、前記角度αは、前記物体からの図から定義される、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記角度αの巻き方向は時計回りであり、前記角度εの巻き方向は反時計回りである、ことを特徴とする方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されるとき、距離センサから物体までの距離を計算するための動作を前記プロセッサに実行させる複数の命令を記憶する、コンピュータ読取り可能記憶デバイスであって、前記動作は、
前記距離センサの光源から複数の光線を同時に投射することであって、前記複数の光線によって、複数のドット線が前記物体上に投射され、前記複数のドット線が互いに平行に向けられ、前記物体上の複数のドット線を構成する各ドット線は、前記光源の平面に垂直な線に対して、マイナス45度からプラス45度までの角度εで傾斜して顕現し、前記角度εは、0度より大きい角度αに対する巻き方向を補う角度であり、前記光源は複数の光源のうちの1つであり、前記複数の光源の各光源が、それぞれの複数の光線を投射し、前記それぞれの複数の光線が、それぞれの複数のドット線を視野内に投射させるように前記複数の光線を同時に投射する、ことと、
前記距離センサの画像センサを利用して視野の画像を取得することであって、前記物体が前記画像内で可視であり、前記複数のドット線も前記画像内で可視であり、前記複数の光源は、前記複数の光線が伝搬する方向において前記画像センサの主点の背後に配置されている、ことと、
前記画像内の情報を使用して前記物体までの前記距離を計算することと
を含む、ことを特徴とするデバイス。
【請求項21】
物体までの距離を計算する距離センサであって、
複数の光線を同時に投射する、前記距離センサの光源であって、前記複数の光線によって、複数のドット線が物体上に投射され、前記複数のドット線が互いに平行に向けられ、前記物体上の複数のドット線を構成する各ドット線は、前記光源の平面に垂直な線に対して、マイナス45度からプラス45度までの角度εで傾斜して顕現し、前記角度εは、0度より大きい角度αに対する巻き方向を補う角度であり、前記光源は複数の光源のうちの1つであり、前記複数の光源の各光源が、それぞれの複数の光線を投射し、前記それぞれの複数の光線が、それぞれの複数のドット線を視野内に投射させる、光源と、
視野の画像を取得するための前記距離センサの画像センサであって、前記物体が前記画像内で可視であり、前記複数のドット線も前記画像内で可視であり、前記複数の光源は、前記複数の光線が伝搬する方向において前記画像センサの主点の背後に配置されている、画像センサと、
前記画像内の情報を使用して前記物体までの距離を計算するための回路と
を含むことを特徴とする装置。