(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050777
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】アバターの肌色調を調整する方法及びアバター肌色調調整システム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/20 20110101AFI20220324BHJP
【FI】
G06T19/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020156888
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】518427524
【氏名又は名称】未來市股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】胡 智偉
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050EA09
5B050EA27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アバターの肌色調を調整する方法及びアバター肌色調調整システムを提供する。
【解決手段】方法は、仮想環境光の入射角と、皮膚断片の第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とを取得することと、仮想環境光の入射角と、アバターの第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とに基づき、肌色調調整パラメータを決定することと、アバターを描画する前に、第1の皮膚断片の既定肌色調と、第1の皮膚断片の肌色調調整パラメータとに基づき、第1の皮膚断片の肌色調を調整することと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アバターが複数の皮膚断片を含み、
仮想環境光の入射角と、前記皮膚断片の第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とを取得することと、
前記仮想環境光の前記入射角と、前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応する前記皮膚厚値とに基づき、肌色調調整パラメータを決定することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の既定肌色調と、前記第1の皮膚断片の前記肌色調調整パラメータとに基づき、前記第1の皮膚断片の肌色調を調整することと
を含む、
アバターの肌色調を調整する方法。
【請求項2】
プログラムコードを含む、非一時的なメモリと、
前記メモリに連接され、
仮想環境光の入射角と、皮膚断片の第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値を取得することと、
前記仮想環境光の前記入射角と、アバターの前記第1の皮膚断片に対応する前記皮膚厚値とに基づき、肌色調調整パラメータを決定することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の既定肌色調と、前記第1の皮膚断片の前記肌色調調整パラメータとに基づき、前記第1の皮膚断片の肌色調を調整することと
を実行するため、前記プログラムコードをロードするプロセッサと
を含む、
アバター肌色調調整システム。
【請求項3】
前記皮膚厚値がグレースケール値であり、
前記肌色調調整パラメータを決定するステップが、
前記入射角を光角度パラメータとしてマッピングすることと、
所定の血液色と、血液色補正パラメータとを取得することと、
前記グレースケール値と、前記光角度パラメータと、前記所定の血液色と、前記血液色補正パラメータとに基づき、前記肌色調調整パラメータを決定することと
を含む、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記プロセッサが、
前記入射角を光角度パラメータとしてマッピングすることと、
所定の血液色と、血液色補正パラメータとを取得することと、
前記グレースケール値と、前記光角度パラメータと、前記所定の血液色と、前記血液色補正パラメータとに基づき、前記肌色調調整パラメータを決定することと
を行うよう構成される、
請求項2に記載のアバター肌色調調整システム。
【請求項4】
前記光角度パラメータが、45度である前記入射角に応じて最大値を有し、
前記光角度パラメータが、0又は90度である前記入射角に応じて最小値を有する、
請求項3に記載の方法、
又は、
前記光角度パラメータが、45度である前記入射角に応じて最大値を有し、
前記光角度パラメータが、0又は90度である前記入射角に応じて最小値を有する、
請求項3に記載のアバター肌色調調整システム。
【請求項5】
前記グレースケール値が、前記皮膚厚値に負に関連する、
請求項3に記載の方法、
又は、
前記グレースケール値が、前記皮膚厚値に負に関連する、
請求項3に記載のアバター肌色調調整システム。
【請求項6】
前記既定肌色調がN個の第1の色成分を含み、
前記肌色調調整パラメータが、それぞれ前記N個の第1の色成分に対応するN個の第2の色成分を含み、
前記第1の皮膚断片の前記肌色調を調整するステップが、前記既定肌色調の前記第1の色成分のそれぞれを、前記肌色調調整パラメータの対応する第2の色成分に加算することを含む、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記既定肌色調がN個の第1の色成分を含み、
前記肌色調調整パラメータが、それぞれ前記N個の第1の色成分に対応するN個の第2の色成分を含み、
前記プロセッサが、前記既定肌色調の前記第1の色成分のそれぞれを、前記肌色調調整パラメータの対応する第2の色成分に加算するよう構成される、
請求項2に記載のアバター肌色調調整システム。
【請求項7】
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応するアンビエント・オクルージョン値を取得することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の前記アンビエント・オクルージョン値に基づき、前記第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変すること
を更に含む、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記プロセッサが、
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応するアンビエント・オクルージョン値を取得することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の前記アンビエント・オクルージョン値に基づき、前記第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変することと
を行うよう更に構成される、
請求項2に記載のアバター肌色調調整システム。
【請求項8】
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応する自発光値を取得することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の前記自発光値に基づき、前記第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変することと
を更に含む、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記プロセッサが、
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応する自発光値を取得することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の前記自発光値に基づき、前記第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変することと
を行うよう更に構成される、
請求項2に記載のアバター肌色調調整システム。
【請求項9】
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応するアンビエント・オクルージョン値を取得することと、
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応する自発光値を取得することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の前記アンビエント・オクルージョン値と前記自発光値とに基づき、前記第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変することと
を更に含む、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記プロセッサが、
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応するアンビエント・オクルージョン値を取得することと、
前記アバターの前記第1の皮膚断片に対応する自発光値を取得することと、
前記アバターを描画する前に、前記第1の皮膚断片の前記アンビエント・オクルージョン値と前記自発光値とに基づき、前記第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変することと
を行うよう更に構成される、
請求項2に記載のアバター肌色調調整システム。
【請求項10】
調整済み肌色調で前記第1の皮膚断片を描画することを更に含む、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記プロセッサが、調整済み肌色調で前記第1の皮膚断片を描画するよう更に構成される、
請求項2に記載のアバター肌色調調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アバター最適化機構に関するものであり、特に、アバターの肌色調を調整する方法及びアバター肌色調調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、XR(Extended Reality)といった、感覚、知覚、及び/又は環境をシミュレートするための技術は、最近人気が高まっている。前記技術は、ゲーム、軍事訓練、医療、遠隔操作等といった、複数の分野に応用することができる。
【0003】
上記技術の仮想環境において、ユーザ又は他の非プレーヤーキャラクターを表す多くのアバターが存在しうる。しかし、これら仮想環境におけるアバターの肌色調は、通常、(例えば、プラスチックのような)非現実的、及び/又は不自然である。具体的には、実際の人間では、肌色調は、人間の肌の下を流れる血液を有するため、少々ピンク色であるべきである。アバターの肌色調が上記の状況を考慮せずに決定される場合、アバターにより提供される視覚効果は満足度が低い可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら仮想環境におけるアバターの肌色調は、通常、(例えば、プラスチックのような)非現実的、及び/又は不自然であり、本発明は、上記の技術的課題を解決するために用いることのできる、アバターの肌色調を調整する方法及びアバター肌色調調整システムを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下を含むアバターの肌色調を調整する方法を提供する。仮想環境光の入射角と、皮膚断片の第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とを取得する。仮想環境光の入射角と、アバターの第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とに基づき、肌色調調整パラメータを決定する。アバターを描画する前に、第1の皮膚断片の既定肌色調と、第1の皮膚断片の肌色調調整パラメータとに基づき、第1の皮膚断片の肌色調を調整する。
【0006】
本発明は、メモリと、プロセッサとを含む、アバター肌色調調整システムを提供する。メモリはプログラムコードを格納する。プロセッサはメモリに連接され、以下を実行するためプログラムコードをロードする。仮想環境光の入射角と、皮膚断片の第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とを取得する。仮想環境光の入射角と、アバターの第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とに基づき、肌色調調整パラメータを決定する。アバターを描画する前に、第1の皮膚断片の既定肌色調と、第1の皮膚断片の肌色調調整パラメータとに基づき、第1の皮膚断片の肌色調を調整する。
【発明の効果】
【0007】
従って、アバターの外観はより人間らしくなり、ユーザ体験が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の更なる理解のため添付図面が含まれ、本明細書に包含され、本明細書の一部を構成する。図面は本発明の実施形態を表し、明細書と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態の1つによるアバター肌色調調整システムを表すブロック図である。
【0010】
【
図2】
図2は、本発明の1つの実施形態によるアバター肌色調調整方法のフロー図である。
【0011】
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による、異なるタイミングでの仮想環境光の異なる入射角に対する同一のアバターの異なる肌色調を示す。
【0012】
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による、アバターの外観の視覚効果改善を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態の詳細を述べる。実施例は添付の図面に表される。可能な限り、図面と明細書において同一の符号が同一又は類似の部材に対し用いられる。
【0014】
図1は、本発明の例示的な実施形態の1つによるアバター肌色調調整システムを表すブロック図である。
図1を参照し、アバター肌色調調整システム100は、メモリ102と、プロセッサ104とを含むが、これに限定されない。アバター肌色調調整システム100は、VR、AR、MR、XR、又は他の現実シミュレーション関連技術に適合される。
【0015】
メモリ102は、固定又は取り外し可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、類似のデバイス、又は上記デバイスの組合せの如何なる類別であってもよい。メモリ102は、プログラムコード、デバイス構成、バッファデータ、又は、(ユーザデータ、訓練データ、感情識別子、感情判定、感情構成、重み付け関係、線形関係、感情グループといった)永続的データを記録し、これらデータについては後に紹介する。
【0016】
プロセッサ104は、メモリ102に連接される。プロセッサ104は、本発明の例示的な実施形態の手順を実行するため、メモリ102に格納されたプログラムデータをロードするよう構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、プロセッサ104は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号処理(DSP)チップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であってよい。プロセッサ104の機能は、独立した電子デバイス又は集積回路(IC)により実装されてもよく、プロセッサ104の動作はソフトウェアにより実装されてもよい。
【0018】
本発明の実施形態において、プロセッサ104は、以下に更に述べる、本発明にて提供されるアバター肌色調調整方法を実装するため、メモリ102に格納されたモジュールにアクセスしてよい。
【0019】
本発明の実施形態によるアバター肌色調調整方法のフロー図を示す、
図2を参照する。本実施形態の方法は、
図1のアバター肌色調調整システム100により実行されてよく、
図2の各ステップの詳細は、
図1に示される構成要素と共に以下に詳細に説明される。
【0020】
本発明の実施形態において、
図2の方法は、仮想環境(例えば、VR世界)における各アバターの各皮膚断片に適用される。このため、
図2のステップに関連する以下の記述は、1つのアバターの1つの皮膚断片(第1の皮膚断片と呼称)を基準として提供されるが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
ステップS210において、プロセッサ104は、仮想環境光の入射角と、皮膚断片の第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とを取得してよい。本発明のいくつかの実施形態において、仮想環境光は、太陽光、電球光、又はこれらの組合せといった、仮想環境における様々な仮想光源から射光されるが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
1つの実施形態において、第1の皮膚断片への仮想環境光の入射角は、仮想環境を構築する3Dエンジンから直接取得されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、アバターは、アバターの各皮膚断片の皮膚厚を表すために用いられる肌グレースケールマップを用いてデザインされてよい。具体的には、肌グレースケールマップは、アバターの皮膚断片に対応する複数のグレースケール領域を含み、各グレースケール領域のグレースケール値は、対応する皮膚断片の皮膚厚を特徴付ける。1つの実施形態において、特定のグレースケール領域のグレースケール値は、対応する皮膚断片の皮膚厚に負に関連する。即ち、グレースケール領域のグレースケール値が高いほど、対応する皮膚断片の皮膚厚は薄くなり、逆もまた同様であるが、本発明はこれに限定されない。
【0024】
このため、皮膚断片について、プロセッサ104は、第1の皮膚断片に対応する皮膚厚を特徴付ける、対応するグレースケール値も取得してよい。
【0025】
ステップS220において、プロセッサ104は、仮想環境光の入射角と、アバターの第1の皮膚断片に対応する皮膚厚値とに基づき、肌色調調整パラメータを決定してよい。1つの実施形態において、プロセッサ104は、入射角を光角度パラメータとしてマッピングする。いくつかの実施形態において、光角度パラメータは、入射角45度に応じた最大値を有してよい。他の実施形態において、光角度パラメータは、それぞれ仮想環境光が、到達不能である、及び、最大に反射する、と理解される、入射角0又は90度に応じた最小値を有してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
次に、プロセッサ104は、所定の血液色と、血液色補正パラメータとを取得してよい。いくつかの実施形態において、所定の血液色は、赤、又はデザイナーの要件に基づく他の血液のような色であってよく、血液色補正パラメータは、所定の血液色をより自然となるよう補正する値として決定されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0027】
その後、プロセッサ104は、グレースケール値と、光角度パラメータと、所定の血液色と、血液色補正パラメータとに基づき、肌色調調整パラメータを決定してよい。1つの実施形態において、肌色調調整パラメータは、皮膚厚値に対応するグレースケール値と、光角度パラメータと、所定の血液色と、血液色補正パラメータとの乗算値であってよい。他の実施形態において、肌色調調整パラメータは、デザイナーの要件に基づく、皮膚厚値に対応するグレースケール値と、光角度パラメータと、所定の血液色と、血液色補正パラメータとのうちの任意の組合せとして決定されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
ステップS230において、プロセッサ104は、アバターを描画する前に、第1の皮膚断片の既定肌色調と、第1の皮膚断片の肌色調調整パラメータとに基づき、第1の皮膚断片の肌色調を調整してよい。1つの実施形態において、第1の皮膚断片の既定肌色調は、第1の皮膚断片の原肌色調として理解されてよい。第1の皮膚断片の既定肌色調は、アバターの人種、(光強度及び/又は第1の皮膚断片の材料に関連する)第1の皮膚断片に対応する使用光モデル、第1の皮膚断片の化粧情報といった、様々な条件に基づき予め決定されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0029】
いくつかの実施形態において、第1の皮膚断片の既定肌色調はN個の第1の色成分(例えば、R、G、B)を含んでよく、肌色調調整パラメータは、それぞれが第1の色成分に対応するN個の第2の色成分を含んでよい。この場合、プロセッサ104は、第1の皮膚断片の調整済み肌色調を取得するため、既定肌色調の第1の色成分のそれぞれを、肌色調調整パラメータの対応する第2の色成分に加算してよい。例えば、第1の色成分の値が(R1、G1、B1)=(10、20、30)であり、第2の色成分の値が(R2、G2、B2)=(50、0、0)であると仮定し、プロセッサ104はこれに応じて調整済み肌色調を(Ro、Go、Bo)=(60、20、30)として得る。他の実施形態において、第1の皮膚断片の調整済み肌色調は、第1の色成分と第2の色成分との任意の(線形)結合として特徴付けられてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
他の実施形態において、プロセッサ104は更に、調整済み肌色調で第1の皮膚断片を描画してよい。即ち、第1の皮膚断片は、調整済み肌色調で現れるよう調整されてよい。従って、第1の皮膚断片は、より自然で、プラスチックのようでなく、第1の皮膚断片はより好ましい視覚効果を提供できる。
【0031】
本発明の実施形態において、肌色調調整パラメータは、調整済み肌色調を有する第1の皮膚断片をよりピンクに見せるために用いられる、血液色パラメータとして理解されてよく、これに応じて第1の皮膚断片をより自然で現実的(例えば、プラスチックのようでない)に見せる。更に、肌色調調整パラメータと調整済み肌色調とは低い演算量の計算を介して得られることから、本発明の方法は高効率でより好ましい視覚効果を達成できる。
【0032】
アバターの各皮膚断片について、対応する肌色調は上記教示に基づき改善されることができ、アバターの外観はより人間らしくなり、従ってユーザ体験を改善することができる。
【0033】
簡述すると、本発明の実施形態は、肌色調調整パラメータ(即ち、血液色パラメータ)を導入することにより、アバターの第1の皮膚断片により提供される視覚効果を改善するための機構を提供するものとして理解されてよい。肌色調調整パラメータが、対応するグレースケール値と、光角度パラメータと、所定の血液色と、血液色補正パラメータとに基づき決定されることから、肌色調調整パラメータは第1の皮膚断片の既定肌色調を、より自然で、プラスチックのようでない視覚効果を提供する調整済み肌色調として補正するために用いられてよい。従って、アバターの外観がより人間らしくなり、ユーザ体験が改善する。
【0034】
他の実施形態において、第1の皮膚断片により提供される視覚効果は、以下の記述に基づき、更に改善することができる。
【0035】
例えば、第1の実施形態において、プロセッサ104は、例えば、仮想環境の3Dエンジンから、第1の皮膚断片に対応するアンビエント・オクルージョン(AO)値を取得してよい。次に、プロセッサ104は、アバターを描画する前に、第1の皮膚断片のアンビエント・オクルージョン値に基づき、第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変してよい。1つの実施形態において、プロセッサ104は、調整済み肌色調を改変するため、調整済み肌色調をAO値で乗算してよいが、本発明はこれに限定されない。その後、プロセッサ104は、第1の皮膚断片を改変済み肌色調として調整してよい。即ち、第1の皮膚断片は、より好ましい視覚効果を提供するため、改変済み肌色調にて現れるよう調整されてよい。
【0036】
第2の実施形態において、プロセッサ104は、例えば、仮想環境の3Dエンジンから、第1の皮膚断片に対応する自発光値を取得してよい。次に、プロセッサ104は、アバターを描画する前に、第1の皮膚断片の自発光値に基づき、第1の皮膚断片の調整済み肌色調を改変してよい。1つの実施形態において、プロセッサ104は、調整済み肌色調を改変するため、自発光値を調整済み肌色調に加算し、第1の皮膚断片を改変済み肌色調として調整してよい。即ち、第1の皮膚断片は、より好ましい視覚効果を提供するため、改変済み肌色調にて現れるよう調整されてよい。
【0037】
第3の実施形態において、プロセッサ104は、第1の皮膚断片に対応するAO値と、第1の皮膚断片に対応する自発光値とを取得してよい。次いで、プロセッサ104は、アバターを描画する前に、第1の皮膚断片の調整済み肌色調を、第1の皮膚断片のアンビエント・オクルージョン値と自発光値とに基づき改変してよい。1つの実施形態において、プロセッサ104は、改変済み肌色調を取得するため、調整済み肌色調とアンビエント・オクルージョン値との乗算に自発光値を加算してよい。他の実施形態において、改変済み肌色調は、デザイナーの要件に基づき、調整済み肌色調と、アンビエント・オクルージョン値と、自発光値とを組み合わせることにより取得されてよいが、本発明はこれに限定されない。その後、プロセッサ104は、第1の皮膚断片を改変済み肌色調として調整してよい。即ち、第1の皮膚断片は、より好ましい視覚効果を提供するため、改変済み肌色調にて現れるよう調整されてよい。
【0038】
本発明の実施形態による、異なるタイミングでの仮想環境光の異なる入射角に対する同一のアバターの異なる肌色調を示す、
図3を参照する。具体的には、アバター301の外観は仮想環境光がアバター301の上方右方向から来る状況に対応し、アバター302の外観は仮想環境光がアバター302の上方正面方向から来る状況に対応し、アバター303の外観は仮想環境光がアバター303の上方左方向から来る状況に対応する。
図3に見られるように、アバター301~303の各皮膚断片の肌色調が、対応する肌色調調整パラメータに基づき改善されているため、仮想環境光の変化する入射角とともに、アバター301~303の外観は一貫して満足のいく視覚効果を提供できる。
【0039】
本発明の実施形態によるアバターの外観の視覚効果改善を示す、
図4を参照する。
図4において、アバター401は、アバター401の各皮膚断片の既定肌色調で現れていると理解されてよい。一方、アバター402は、アバター402の各皮膚断片の調整済み肌色調で現れていると理解されてよい。
図4に見られるように、アバター402により提供される視覚効果は、アバター401よりも自然で人間的であり、従ってユーザ体験を改善できる。
【0040】
まとめると、上記の本発明の実施形態は、肌色調調整パラメータ(即ち、血液色パラメータ)を導入することによる、アバターの第1の皮膚断片により提供される視覚効果を改善するための機構を提供する。肌色調調整パラメータがグレースケール値と、光角度パラメータと、所定の血液色と、血液色補正パラメータとに基づき決定されることから、肌色調調整パラメータは、第1の皮膚断片の既定肌色調を、より自然で、プラスチックのようでない視覚効果を提供する調整済み皮膚色調として補正するために用いられることができる。従って、アバターの外観はより人間的であり、ユーザ体験が改善する。
【0041】
当業者にとって、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明の構造に様々な改変と変形を行うことができることは明らかであろう。上記を鑑み、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、本発明の改変及び変形を網羅することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のアバターの肌色調を調整する方法及びアバター肌色調調整システムは、XR、MR、VR、AR技術に応用することができる。
【符号の説明】
【0043】
100:アバター肌色調調整システム
102:メモリ
104:プロセッサ
301、302、303、401、402:アバター
S210、S220、S230:ステップ
【外国語明細書】