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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050785
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20220324BHJP
   F24F 6/16 20060101ALI20220324BHJP
   F24F 6/02 20060101ALI20220324BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/16
F24F6/02 B
F24F6/00 F
F24F13/22 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156898
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】井浦 真
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BB03
3L055BC10
3L055DA06
3L055DA14
3L055DA20
(57)【要約】
【課題】 加熱ヒータ制御手段の発熱による故障を防止すると共に、吹出口の結露を防止する加湿装置を提供する。
【解決手段】
加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替える加熱ヒータ制御手段48を放熱器56に取り付け、送風経路15から分岐して貯水室8をバイパスするバイパス経路54と、気水分離風路17の下流側に開口され、バイパス経路54から空気が流入可能なバイパス流入口51を設け、バイパス経路54のバイパス流入口51と対応する位置に放熱器56を配置したので、放熱器56による半導体スイッチング素子等の切替手段の冷却効果を高めることで発熱による故障を防止することができる。更に、バイパス流入口51から空気が流入する際に、放熱器56により暖められた空気が流入することで、加湿空気の温度低下を抑制することができ、送風口2付近で結露の発生を抑制することができる。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、前記器具本体外の空気を吸入する吸入口と、当該吸入口を通過した空気が流通する送風経路と、当該送風経路内の空気が流入する貯水室流入口が形成され水を貯水する貯水室と、当該貯水室の水を加熱する加熱ヒータと、前記貯水室内の水からミストを発生させるミスト発生手段と、前記貯水室に接続され前記貯水室内で発生したミストを含む加湿空気が流通する気水分離風路と、当該気水分離風路内に設置され前記加湿空気に含まれる大径のミストを分離回収する気水分離手段と、前記気水分離風路を通過した前記加湿空気を前記器具本体外へ送風する送風口と、前記加熱ヒータのON/OFF状態を切り替える切替手段を備えた加湿装置において、
前記切替手段が取り付けられた放熱器と、前記送風経路から分岐して前記貯水室をバイパスするバイパス経路と、前記気水分離風路の下流側に開口されたバイパス流入口とを設け、前記バイパス経路の前記バイパス流入口と対応する位置に前記放熱器を配置したことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記バイパス経路の前記バイパス流入口と対応する位置に、前記バイパス経路の流路断面積を縮小する縮小経路を設け、当該縮小経路に前記放熱器を配置したことを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記ミスト発生手段は、前記貯水室内の水を回転により汲み上げて外周方向へ飛散させる回転体と、当該回転体を回転可能となるように軸支した駆動軸と接続するミストモータと、前記回転体により飛散した水が衝突する衝突体とで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミストを含む加湿空気を室内へ供給する加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、貯水室内の水を加熱ヒータにより加熱し、加湿空気発生手段により加湿空気を発生させ、送風ファンを回転駆動させることで加熱された加湿空気を送風口から室内へ供給するものにおいて、室温と設定温度の差でヒータをON/OFF制御する加湿装置があった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-142670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、加熱ヒータのON/OFF状態を切り替える切替手段としてSSR(ソリッドステートリレー)を使用しており、当該SSRは半導体スイッチング素子のため冷却しながら使用する必要があるが、冷却が不十分の場合、許容温度を超えた発熱による素子故障が生じることで、加熱ヒータの使用ができなくなり、加湿量を出すことができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、器器具本体と、当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、前記器具本体外の空気を吸入する吸入口と、当該吸入口を通過した空気が流通する送風経路と、当該送風経路内の空気が流入する貯水室流入口が形成され水を貯水する貯水室と、当該貯水室の水を加熱する加熱ヒータと、前記貯水室内の水からミストを発生させるミスト発生手段と、前記貯水室に接続され前記貯水室内で発生したミストを含む加湿空気が流通する気水分離風路と、当該気水分離風路内に設置され前記加湿空気に含まれる大径のミストを分離回収する気水分離手段と、前記気水分離風路を通過した前記加湿空気を前記器具本体外へ送風する送風口と、前記加熱ヒータのON/OFF状態を切り替える切替手段を備えた加湿装置において、
前記切替手段が取り付けられた放熱器と、前記送風経路から分岐して前記貯水室をバイパスするバイパス経路と、前記気水分離風路の下流側に開口されたバイパス流入口とを設け、前記バイパス経路の前記バイパス流入口と対応する位置に前記放熱器を配置したことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2では、前記バイパス経路の前記バイパス流入口と対応する位置に、前記バイパス経路の流路断面積を縮小する縮小経路を設け、当該縮小経路に前記放熱器を配置したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3では、前記ミスト発生手段は、前記貯水室内の水を回転により汲み上げて外周方向へ飛散させる回転体と、当該回転体を回転可能となるように軸支した駆動軸と接続するミストモータと、前記回転体により飛散した水が衝突する衝突体とで構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、加熱ヒータのON/OFF状態を切り替える切替手段を放熱器に取り付け、送風経路から分岐して貯水室をバイパスするバイパス経路と、気水分離風路の下流側に開口され、バイパス経路から空気が流入可能なバイパス流入口を設け、バイパス経路のバイパス流入口と対応する位置に放熱器を配置したので、放熱器による半導体スイッチング素子等の切替手段の冷却効果を高めることで発熱による故障を防止することができる。更に、バイパス流入口から空気が流入する際に、放熱器により暖められた空気が流入することで、加湿空気の温度低下を抑制することができ、送風口付近で結露の発生を抑制することができる。
【0009】
また、バイパス経路の流路断面積を縮小する縮小経路を設け、当該縮小経路に放熱器を配置したので、バイパス流入口を通過する風路が狭められたことで、風速がより大きくなり、放熱器による冷却効果をより高めることができる。
【0010】
また、ミスト発生手段は、貯水室内の水を回転により汲み上げて外周方向へ飛散させる回転体と、当該回転体を回転可能となるように軸支した駆動軸と接続するミストモータと、回転体により飛散した水が衝突することで微細ミスト及び大径ミストを発生させる衝突体とで構成されているので、貯水室内の水を回転体で汲み上げて衝突体に衝突させる簡易な構成によってミストを含む加湿空気を多量に発生させることができるため、組付けが容易であり低コストでミスト発生手段を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態の外観を説明する斜視図
図2】同実施形態の概略構成図
図3】同実施形態の制御ブロック図
図4】同実施形態の操作部を説明する図
図5】同実施形態の運転開始から終了までの動作を説明するフローチャート
図6】同実施形態の加湿空気の流路を説明する斜視図
図7】同実施形態の加熱ヒータ周辺の電気回路を説明する斜視図
図8】同実施形態の放熱器周辺を説明する斜視図
図9】同実施形態の放熱器周辺の様子を説明する部分拡大図
図10】別の実施形態の放熱器周辺を説明する斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明の一実施形態における加湿装置を図に基づいて説明する。
1は器具本体、2は器具本体1上部に形成され複数のルーバー3が設置された送風口、4は器具本体1の正面上部を構成する上面パネル、5は器具本体1の正面下部を構成する下面パネル、6は複数のスイッチが備えられ各種操作指令を行う操作部、7は図示しないブレーカーを隠すブレーカーカバーである。
【0013】
8は器具本体1内の略中段高さ位置にあって所定量の水を貯水する貯水室であり、この貯水室8内には、水に下端を水没させ駆動軸9に軸支された筒状の回転体10が備えられている。
【0014】
前記回転体10は、中空逆円錐形で上方に向かって円周が徐々に拡大するものであり、駆動軸9に接続され回転体10を回転駆動させるミストモータ11を駆動させ、回転体10が回転することによる回転の遠心力で貯水室8の水を汲み上げ、回転体10の外壁および内壁を伝わせて水を押し上げて、回転体10の外壁を伝わせて押し上げた水を周囲に飛散させると共に、回転体10の内壁を伝わせて押し上げた水を回転体10の上端に形成された複数の図示しない飛散口から外周方向へ飛散させる。
【0015】
12は回転体10の上部外周に所定間隔を離間させて位置し、回転体10と共に回転する円筒状の多孔体で、該多孔体12には、その全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る衝突体としての多孔部13が設置されている。また、回転体10とミストモータ11と多孔部13とでミスト発生手段が構成されており、簡易な構成によってミストを含む加湿空気を多量に発生させることができ、ミストモータ11と駆動軸9を組み付けるだけであることから、組み付けが容易で低コストとなっている。
【0016】
前記ミスト発生手段を構成するミストモータ11を駆動させ、回転体10を回転させたことで発生する遠心力で貯水室8内の水を汲み上げると共に空気を飛散させ、多孔部13を通過した水滴が破砕されることで、水を微細化して粒径がナノメートル(nm)サイズのミスト(以下、微細ミスト)が多量に生成されると共に、比較的粒径の大きな水滴(以下、大径ミスト)とが生成され、水の微細化によるレナード効果によって微細ミストに負イオンが帯電し、大径ミストに正イオンが帯電した状態となる。
【0017】
14は下面パネル5内に設置され所定の回転数で駆動することで室内空気を吸引して器具本体1の上部方向へ送風する送風ファン、15は当該送風ファン14で送風された空気を貯水室8の上部の一端に形成されミストモータ11の側面を通過して貯水室8内へ空気が流入可能な貯水室流入口16まで案内する送風経路であり、器具本体1の下部から吸い込まれた空気が送風経路15を通過して器具本体1の上部へ案内され、貯水室8内へ流入する。
【0018】
17は貯水室8の上方の他端に流路が鉛直上向きとなるよう接続され貯水室8内で発生した微細ミスト及び大径ミストを含む加湿空気が内部を流通する気水分離風路、18は当該気水分離風路17内の途中に複数設置され鉛直上方へ傾斜する傾斜面Pを備えた気水分離手段としてのバッフル板であり、気水分離風路17内の上段に設置されたバッフル板18a、中段に設置されたバッフル板18b、下段に設置されたバッフル板18cで構成されている。
そして、気水分離風路17内に加湿空気が流入すると、各バッフル板18を蛇行するように加湿空気が流通することで加湿空気中の大径ミストが傾斜面Pにより分離され、分離された大径ミストが集まると重力の影響で傾斜面Pに沿ってバッフル板18の下端まで流動して貯水室8へ落下するため、送風口2へ案内される大径ミストの量を減少させると共に、微細ミストを多く含んだ加湿空気を送風口2へ案内する。
【0019】
また、前記バッフル板18a、18b、18cは前記気水分離風路17内の鉛直方向に対し互い違いとなるよう設置されており、貯水室8から上昇する加湿空気が各バッフル板18により塞がれた流路を避けるように蛇行して上昇し上端にまで至るので、各バッフル板18を加湿空気が十分に舐めて上昇することで、大径ミストを各バッフル板18で効果的に分離することができる。
【0020】
19は貯水室8内に設置され貯水を加熱する加熱ヒータであり、貯水室8の外壁に設置され貯水温度を検知する貯水温度センサ20で検知される温度が所定温度となるよう、ON/OFF状態が適宜切り替えられる。
【0021】
21は貯水室8内に設置されフロートが上下することで水位を検知する水位センサであり、貯水室8内の水位が低下して所定水位未満になったらOFF信号を出力し、水位が上昇して所定水位以上になったらON信号を出力し、更に水位が上昇して貯水室8内が満水となったら満水信号を出力する。
【0022】
22は貯水室8側面に接続され貯水室8内に市水を給水する給水管であり、該給水管22の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室8内への給水を制御する給水弁23と、給水圧を所定値まで減圧する減圧弁24とが備えられている。
【0023】
25は貯水室8底部に接続され貯水室8内の水を器具本体1外部に排水する硬質塩化ビニル管で構成された排水管であり、該排水管25の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室8内水の排水を制御する排水切り替え手段としての排水弁26が備えられている。
【0024】
27は送風口2の壁面に設置され送風口2から室内へ向けて送風される加湿空気の温度を検知する送風温度センサ、28は送風ファン14の近傍に設置され器具本体1の下部から吸い込まれた室内空気の温度を検知する吸気温度センサ、29は前記吸気温度センサ28の近傍に設置され器具本体1が設置された室内の湿度を検知する湿度センサであり、各センサで検知された温度や湿度に基づいて、ミストモータ11や送風ファン14の回転数を変化させ、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替える。
【0025】
操作部6には、ミスト運転の開始及び停止を指示する運転切り替え手段としての運転スイッチ30と、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替えることで貯水室8内の貯水温度を変化させ、送風口2から室内に送風される加湿空気に含有可能な水分量の割合を変化させた3段階の加湿レベルと、湿度センサ29で検知された湿度が予め設定された湿度となるよう前記加湿レベルを変化させるオートモードとから選択可能な加湿スイッチ31と、ミストモータ11と送風ファン14との回転数の大小を設定可能な三段階の風量レベルと、湿度センサ29で設定された湿度が予め設定された湿度となるよう前記風量レベルを変化させるオートモードとから選択可能な風量スイッチ32と、加湿空気を室内に供給するミスト運転の開始時間と停止時間とを設定するタイマー切替スイッチ33と、前記風量スイッチ32で設定された風量で送風ファン14のみを駆動させ室内の空気清浄を行う空清モードを実施する空清スイッチ34と、現在時刻を設定する時刻設定スイッチ35と、スイッチを操作することで運転停止以外の動作を禁止するチャイルドロックスイッチ36とが備えられている。
【0026】
また、操作部6の各スイッチ上部には各スイッチに対応したランプが備えられており、運転スイッチ30が操作されたら点灯する運転ランプ37と、ミスト運転が所定時間以上継続したら開始する除菌運転時に点灯する除菌ランプ38と、加湿スイッチ31で設定された加湿レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する加湿レベルランプ39と、風量スイッチ32で設定された風量レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する風量レベルランプ40と、タイマー切替スイッチ33でミスト運転の開始及び停止が設定されたら、それぞれのランプが点灯するタイマーランプ41と、空清スイッチ34が操作され空清モードが設定されたら点灯する空清モードランプ42と、時刻設定スイッチ35で設定された現在時刻を表示する時刻表示パネル43と、チャイルドロックスイッチ36が操作されたら点灯するチャイルドロックランプ44とが備えられている。
【0027】
45は各センサで検知された検知値や操作部6上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき、運転内容や弁の開閉を制御するマイコンで構成された制御部であり、ミストモータ11を所定の回転数で駆動させるミストモータ制御手段46と、送風ファン14を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段47と、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替えて貯水室8内の水温を制御する加熱ヒータ制御手段(切替手段)48とが備えられており、該加熱ヒータ制御手段48は、半導体スイッチング素子であるSSR(ソリッドステートリレー)で構成されている。
【0028】
49は器具本体1の底面及び前面下方に形成され室内空気を器具本体1内に取り込む吸入口である。
【0029】
50は貯水室8の下部外壁で所定水位に設けられたサーモスタットであり、貯水室8が異常過熱状態になった時、加熱ヒータ19と電源とを接続する配線を断線して安全を確保するものである。
【0030】
51は気水分離風路17の壁面を貫通し、送風経路15から分岐して貯水室をバイパスするバイパス経路54を流通する空気が流入可能なバイパス流入口であり、当該バイパス流入口51は、送風口2に最も近い位置にある気水分離風路17内の最上段に設置されたバッフル板18aの上方へ傾斜した傾斜面Pと対向し、かつ送風経路15と対面する気水分離風路17の壁面を貫通するように形成されており、バイパス流入口51から気水分離風路17内へ空気が流入することで、貯水室8から上昇してきた加湿空気の風量を増大させ、送風口2から室内へ送風される加湿空気の送風量を上昇させることができる。
【0031】
図8を参照する。55はバイパス経路54に設置され制御部45が収納されている電装ボックス、56は前記電装ボックス55の壁面に取り付けられ該加熱ヒータ制御手段48で発生した熱を放熱する放熱器である。
当該放熱器56は、空気の流通方向と平行に所定間隔を空けて複数枚配置した放熱フィン57と、加熱ヒータ制御手段48が当接して取り付けられるベース部58と、で構成されており、バイパス流入口51と対応する位置に配置されている。
【0032】
前記放熱フィン57は平板状のフィンで構成されており、放熱性を高めるために表面積を広くし、複数枚で構成されている。また、隣り合う放熱フィン57は、放熱フィン57を通過する空気との熱交換が効率よく行うことができるよう、所定間隔を空けて配置されている。
【0033】
放熱器56の具体的な配置について説明する。
図9を参照する。60は気水分離風路17の壁面と、バイパス流入口51と向かい合う電装ボックス55の壁面との間に形成された縮小経路である。電装ボックス55の壁面上で縮小経路60内に放熱フィン57が配置されている。
放熱フィン57と電装ボックス55の壁面とで挟み込むようにベース部58が配置されており、ベース部58の所定箇所が電装ボックス55の壁面と図示しない固定手段で固定されることで、放熱フィン57の位置を固定している。
ベース部58が当接する電装ボックス55の一部には、電装ボックス55の壁面を貫通する穴61が形成されており、穴61の範囲内でベース部58に当接するように加熱ヒータ制御手段48としてのSSRが取り付けられている。
【0034】
これにより、加熱ヒータ制御手段48で発生する熱について、ベース部58を介して放熱フィン57に伝えることができるので、効率よく加熱ヒータ制御手段48を冷却することができる。
【0035】
次に、この一実施形態での運転開始から終了までの動作について図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操作部6の運転スイッチ30が操作されたか、もしくはタイマー切替スイッチ33で設定された運転開始時刻になったら、制御部45は、排水弁26を開放して貯水室8内の水を排水し、水位センサ21でOFF信号が検知されたら、給水弁23を開放して貯水室8内を水で洗い流すクリーニング動作を行い、所定時間経過したら排水弁26を閉止することで給水弁23から流入する水を貯水室8内に供給し、水位センサ21でON信号が検知されたら、所定量の水が貯水室8内に供給されたとして給水弁23を閉止する水入替モードを行う(ステップS101)。
【0036】
ステップS101の水入替モードが終了したら、制御部45は、貯水温度センサ20で検知される貯水温度が室温と同値になるまで加熱ヒータ制御手段48で加熱ヒータ19をON状態にして、ミストモータ11及び送風ファン14が所定の回転数となるようミストモータ制御手段46及び送風ファン制御手段47で制御する立ち上げ動作を実行する立ち上げモードを行う(ステップS102)。
【0037】
ステップS102の立ち上げモードが終了したら、制御部45は、加湿スイッチ31及び風量スイッチ32で設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいて、ミストモータ11と送風ファン14とが所定の回転数で駆動するようミストモータ制御手段46と送風ファン制御手段47とで回転数を制御し、加熱ヒータ19のON/OFF状態を加熱ヒータ制御手段48で切り替えて制御して、加湿レベルと風量レベルとに合わせた所定の温度範囲内にするミスト運転を実行する通常運転モードを行う(ステップS103)。
【0038】
ステップS103の通常運転モード中に運転スイッチ30が操作され運転終了の指示があったと判断したら、制御部45は、ミストモータ11を停止させてから排水弁26を開弁して貯水室8内の水を排水し、所定時間経過したら給水弁23を開放して貯水室8内を洗浄してから排水弁26を閉止して貯水室8内に所定量だけ貯水する水入替運転を行い、その後、加熱ヒータ19をON状態にして水を加熱することで除菌を行う除菌運転を所定時間行い、その後、所定時間経過後に貯水室8内を冷却する冷却運転を実行し、貯水温度が所定温度以下になったら排水弁26を開放して排水するクリーニングモードを行う(ステップS104)。
【0039】
ステップS104のクリーニングモードが終了したら、制御部45は、送風ファン14が所定の回転数(例えば、800rpm)で駆動するよう送風ファン制御手段47で制御し、貯水室8や送風経路15に送風して乾燥させることで菌の増殖を防止する乾燥モードを行い(ステップS105)、送風ファン14の駆動時間が所定時間(例えば、3時間)をカウントしたか判断し、3時間カウントしたら、送風ファン14を停止させて運転を終了する。
【0040】
次に、ミスト運転時における加湿空気の流路、及び放熱器56をバイパス流入口51に対応する位置に設置することによる効果を説明する。まず、ミスト運転が開始されミストモータ11及び送風ファン14が所定の回転数で駆動すると、器具本体1の底面及び前面の吸入口49から室内の空気が吸い込まれる。
そして、吸い込まれた空気は送風経路15を上昇し、貯水室流入口16内へ流入する空気と、バイパス経路54を介してバイパス流入口51へ向かう空気とに分流する。
【0041】
貯水室流入口16から貯水室8内へ流入した空気は、回転体10により汲み上げられ多孔部13によって破砕されることで発生した微細ミスト、大径ミスト及びマイナスイオンを含んだ加湿空気として気水分離風路17を上昇する。また、当該加湿空気は加熱ヒータ19で貯水を加熱しているため、室温より温度が高い加湿空気となっている。
気水分離風路17を上昇する時、バッフル板18a、18b、18cによって流路が蛇行し、各バッフル板18の傾斜面Pを舐めるように流通することで加湿空気中の大径ミストが各バッフル板18の表面に付着し、傾斜した各バッフル板18の下端まで達すると、重力により水滴が貯水室8へ落下するため、送風口2まで運ばれる大径ミストの量を減少させることができる。
【0042】
一方で、バイパス経路54に分流した空気は、バイパス経路54を通過した後、気水分離風路17と電装ボックス55とで挟まれた縮小経路60を通過し、バイパス流入口51を介して気水分離風路17内へ流入する。
ここで、空気の流通方向に対するバイパス流入口51の開口面積は、バイパス経路54の流路断面積より小さいため、バイパス流入口51を通過する空気の風速はバイパス経路54を通過する空気の風速よりも速い。
よって、バイパス流入口51と対応し、バイパス流入口51と向かい合う電装ボックス55の壁面に放熱器56を配置することで、加熱ヒータ制御手段48で発生した熱を効率よく放熱器56で冷却することができる。
【0043】
また、電装ボックス55の壁面と向かい合う位置にバイパス流入口51が配置されているので、空気の流通方向に対してバイパス経路54よりも小さな流路断面積で形成された縮小経路60を通過した後、バイパス流入口51に到達する。
つまり、縮小経路60を通過する空気の風速はバイパス経路54を通過する空気の風速よりも速い。
よって、縮小経路60の途中に放熱器56を配置することにより、バイパス流入口51と対応する位置に放熱器56を配置することと相まって、加熱ヒータ制御手段48で発生した熱を効率よく放熱器56で冷却することができる。
【0044】
そして、貯水室8から気水分離風路17を上昇した加湿空気とバイパス経路54で分流しバイパス流入口51から流入した空気とが、気水分離風路17の下流側の端部と接続した上部空間52内で混合する。
このとき、加熱ヒータ19で貯水を加熱することで室温より高い温度となった加湿空気と、放熱器56からの吸熱で室温より温度が上昇した空気が混合することで、混合した加湿空気の温度低下を抑制し、送風口2付近における結露の発生を抑制することができる。
そして、当該上部空間52内に設置された側面視略L字形状の案内板(図示せず)によって送風口2方向へ加湿空気が案内され、微細ミストとマイナスイオンとを含む加湿空気が室内へ供給される。
【0045】
なお、貯水室8及び気水分離風路17へ流入するそれぞれの空気量については、貯水室流入口16とバイパス流入口51との開口面積によって変化し、開口面積の増大に比例して流入する空気量も増大する。したがって、貯水室8内で発生する微細ミストとマイナスイオンとを含んだ加湿空気を送風口2まで十分に案内可能な風量を確保しつつ、室内へ送風される風量が適度に増大するよう、貯水室流入口16及びバイパス流入口51の開口面積を設計する。
【0046】
以上のように、バイパス経路54において放熱器56をバイパス流入口51に対応する位置に設置したことで、放熱器56に取り付けられた加熱ヒータ制御手段48の冷却効果を高め、発熱による故障を防止することができる。
【0047】
また、貯水を加熱する加熱ヒータ19で加湿空気が室温より高い温度となった場合、加湿空気と、バイパス流入口51から流入した室温と同等の温度である空気が混合すると、加湿空気の温度が下がるため、送風口2付近での結露が発生する可能性があった。
【0048】
しかし、本実施形態のように、バイパス流入口51から空気が流入する際に、放熱器56により暖められた空気が流入することで、加湿空気の温度低下を抑制し結露の発生を防止することができるため、ミスト運転時に送風口2付近へ結露水が付着し、器具本体1の設置面を濡らす事態を未然に防止することができる。
【0049】
更に、電装ボックス55によってバイパス経路54の流路断面積を縮小することで、放熱器56を通過する空気は流路断面積が縮小する前に比べて風速が大きくなり、放熱器56による冷却効果をより高めることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、バイパス流入口51に対応する位置に放熱器56を設置する実施形態として、図6及び図8で示すようにバイパス流入口51に向かい合う電装ボックス55の壁面に放熱器56を配置した構成で説明したが、これに限られるものではない。
例えば、放熱器56の一部のみがバイパス流入口51と向かい合うように配置してもよいことから、縮小経路60の外に放熱器56の一部が位置したような構成であってもよい。
つまり、放熱器56の一部がバイパス流入口51と対応するような関係のものも、本発明の範疇に入る。
【0051】
また、本実施形態では、放熱器56は放熱フィン57の向きが下から上へ空気が通過する鉛直上向きとなるよう、電装ボックス55に取り付けられているが、放熱器56の向きはこれに限られるものではなく、バイパス流入口51へ向かう空気の流れに沿った放熱フィンの向きとなるよう放熱器56を配置すればよいものであり、例えば縮小経路60における空気の流れが水平方向となる場合、放熱フィン57を水平方向に対して平行に配置することで、空気の流れを阻害せず効率的に放熱することができる。
【0052】
また、本実施形態では気水分離風路17と電装ボックス55の壁面とで挟まれた縮小経路60で説明したが、これに限られるものではない。
例えば、図9で示すように、電装ボックス55の壁面に放熱器56を挟み込むよう風路ガイド62a、62bを配置したものであってもよい。
これにより、空気の流通方向に対し縮小経路60の流路断面積よりも風路ガイド62a、62bで囲まれた放熱器56が配置された位置の流路断面積の方が小さくなるため、放熱器56付近の風速が縮小経路60よりも速くなる。
よって、放熱器56を挟み込むように風路ガイド62a、62bを設置したことで、縮小経路60よりも放熱器56付近の風速が速まるため、加熱ヒータ制御手段48で発生した熱を効率よく放熱器56で冷却することができる。
【0053】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 器具本体
2 送風口
8 貯水室
10 回転体
11 ミストモータ
13 多孔部(衝突体)
14 送風ファン
15 送風経路
16 貯水室流入口
17 気水分離風路
18 バッフル板(気水分離手段)
19 加熱ヒータ
48 加熱ヒータ制御手段(切替手段)
49 吸入口
51 バイパス流入口
54 バイパス経路
56 放熱器
60 縮小経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10