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特開2022-50815溶接用ケーブルの接続構造、および溶接用ケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050815
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】溶接用ケーブルの接続構造、および溶接用ケーブル
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/133 20060101AFI20220324BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
B23K9/133 504B
B23K9/133 502B
B25J19/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156948
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮原 寿朗
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS10
3C707CY12
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】複数のケーブル類の接続部の着脱時における作業性改善を図るのに適した溶接用ケーブルの接続構造を提供する。
【解決手段】溶接用ケーブル2の先端部に配置された第1コネクタ部22と、トーチユニットの基端部に配置され、第1コネクタ部22に着脱可能に接続される第2コネクタ部と、を備え、溶接用ケーブル2の内部には、パワーケーブル51と、冷媒流路52,53と、電力線54と、信号線55と、が配置されており、第1コネクタ部22は、接続面221と、当該接続面221に対して直角である軸線O1に沿う方向に見て接続面221の中央に配置され、パワーケーブル51に繋がる接続部24と、軸線O1に沿う方向に見て各々がパワーケーブル接続部24を中心とする同心円状の領域に配置され、冷媒流路52,53に繋がる接続部25,26、電力線54に繋がる接続部27、および信号線55に繋がる接続部28と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部が溶接ロボットのマニピュレータに支持される溶接用ケーブルの先端部に配置された第1コネクタ部と、
先端部に溶接トーチが配置されたトーチユニットの基端部に配置され、上記第1コネクタ部に着脱可能に接続される第2コネクタ部と、を備え、
上記トーチユニットには、電力供給を受けて駆動する駆動部が搭載されており、
上記溶接用ケーブルの内部には、溶接ワイヤが内挿されるとともに溶接用電力を供給するパワーケーブルと、冷却媒体を通す冷媒流路と、上記駆動部に電力を供給する電力線と、上記駆動部に係る信号を送る信号線と、が配置されており、
上記第1コネクタ部は、第1接続面と、当該第1接続面に対して直角である第1軸線に沿う方向に見て上記第1接続面の中央に配置され、上記パワーケーブルに繋がる第1パワーケーブル接続部と、上記第1軸線に沿う方向に見て各々が上記第1パワーケーブル接続部を中心とする同心円状の第1領域に配置され、上記冷媒流路に繋がる第1冷媒流路接続部、上記電力線に繋がる第1電力線接続部、および上記信号線に繋がる第1信号線接続部と、を有し、
上記第2コネクタ部は、上記第1コネクタ部への接続時に上記第1接続面に対向する第2接続面と、当該第1接続面に対して直角である第2軸線に沿う方向に見て上記第2接続面の中央に配置され、上記第1パワーケーブル接続部に接続され得る第2パワーケーブル接続部と、上記第2軸線に沿う方向に見て各々が上記第2パワーケーブル接続部を中心とする同心円状の第2領域に配置され、第1冷却ホース接続部に接続され得る第2冷媒流路接続部、上記第1電力線接続部に接続され得る第2電力線接続部、および上記第1信号線接続部に接続され得る第2信号線接続部と、を有する、溶接用ケーブルの接続構造。
【請求項2】
上記冷媒流路は、冷却エアを通すエアホースと、冷却水を流す水冷ホースと、を含み、
上記第1冷媒流路接続部は、上記エアホースに繋がる第1エアホース接続部と、上記水冷ホースに繋がる第1水冷ホース接続部と、を含み、
上記第2冷媒流路接続部は、上記第1エアホース接続部に接続され得る第2エアホース接続部と、上記第1水冷ホース接続部に接続され得る第2水冷ホース接続部と、を含む、請求項1に記載の溶接用ケーブルの接続構造。
【請求項3】
上記第1電力線接続部および上記第1信号線接続部は、上記第1軸線に沿う方向に見て上記第1パワーケーブル接続部を挟んで上記第1水冷ホース接続部とは反対側に配置されている、請求項2に記載の溶接用ケーブルの接続構造。
【請求項4】
上記第1コネクタ部は、上記第1支持面を含む第1支持体を含み、
上記第1支持体は、上記第1冷媒流路接続部が配置され、上記第1軸線に沿う方向の厚さが相対的に大きい第1厚肉部と、上記第1電力線接続部および上記第1信号線接続部が配置され、上記第1軸線に沿う方向の厚さが相対的に小さい第1薄肉部と、を有し、
上記第2コネクタ部は、上記第2支持面を含む第2支持体を含み、
上記第2支持体は、上記第2冷媒流路接続部が配置され、上記第2軸線に沿う方向の厚さが相対的に大きい第2厚肉部と、上記第2電力線接続部および上記第2信号線接続部が配置され、上記第2軸線に沿う方向の厚さが相対的に小さい第2薄肉部と、を有する、溶接用ケーブルの接続構造。
【請求項5】
上記溶接用ケーブルは、可撓性を有する円筒状のケーブル本体を有し、
上記パワーケーブル、上記冷媒流路、上記電力線および上記信号線は、上記ケーブル本体に内挿されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の溶接用ケーブルの接続構造。
【請求項6】
溶接ロボットのマニピュレータに基端が支持されるケーブル本体と、当該ケーブル本体の先端に設けられた第1コネクタ部と、を備え、
上記ケーブル本体には、パワーケーブル、冷媒流路、電力線および信号線が内挿されており、
上記第1コネクタ部は、第1接続面と、当該第1接続面に対して直角である第1軸線に沿う方向に見て上記第1接続面の中央に配置され、上記パワーケーブルに繋がる第1パワーケーブル接続部と、上記第1軸線に沿う方向に見て各々が上記第1パワーケーブル接続部を中心とする同心円状の第1領域に配置され、上記冷媒流路に繋がる第1冷媒流路接続部、上記電力線に繋がる第1電力線接続部、および上記信号線に繋がる第1信号線接続部と、を有する、溶接用ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニピュレータの先端に溶接トーチが支持された溶接ロボットに用いられる溶接用ケーブルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗電極式ガスシールドアーク溶接において、溶接ロボットを用いた自動溶接の手法が採用されている。多関節型ロボットなどのマニピュレータを備えた自動溶接を行うための溶接ロボットでは、溶接トーチはマニピュレータ先端の手首部に設けられる。溶接ロボットによる溶接作業時には、マニピュレータに搭載されたワイヤ送給装置により溶接トーチに溶接ワイヤが送り出され、また、溶接トーチには電力およびシールドガスが供給される。
【0003】
溶接トーチへの溶接ワイヤの送給は、たとえば一線式パワーケーブルを介して行われる。たとえば一線式パワーケーブルは、その基端が溶接ロボットのマニピュレータの適所に搭載されたワイヤ送給装置に接続されており、当該ワイヤ送給装置を介して一線式パワーケーブルの基端がマニピュレータに支持される。一線式パワーケーブルの先端は、溶接トーチ側に接続される。当該一線式パワーケーブルを介して、溶接ワイヤ、溶接用電力およびシールドガスが溶接トーチへ供給される。このような溶接ロボットに関する技術は、たとえば特許文献1に記載されている。
【0004】
上記の溶接ロボットにおいて、マニピュレータ先端に設けられた溶接トーチには、必要に応じて冷却エアなどの冷却媒体が冷媒流路を通じて送られる。この冷媒流路は、一線式パワーケーブル先端の溶接トーチ側の接続部分を迂回して、溶接トーチに近接する部位、あるいは溶接トーチに接続される。また、溶接トーチの近傍には、追加のワイヤ送給装置(プル側送給装置)が配置される場合がある。この場合、溶接トーチおよびワイヤ送給装置への電力供給を行うための電力線、およびワイヤ送給装置の制御等に係る信号線が、上記ワイヤ送給装置に繋がっている。当該ワイヤ送給装置(プル側送給装置)に繋がる電力線や信号線は、上記一線式パワーケーブルとは別途のケーブルを介して、一線式パワーケーブル先端の溶接トーチ側の接続部分を迂回して溶接トーチ近傍に接続される。
【0005】
上記の溶接トーチおよびその近傍に配置されたワイヤ送給装置(プル側送給装置)は、一体的に組み付けられてトーチユニットを構成する。メンテンナンス等により溶接トーチ(トーチユニット)を交換する際、一線式パワーケーブルの接続部分を分離するとともに、冷媒流路の接続部分や他のケーブル類の接続部分を分離する。このように、トーチユニットの交換時には、複数のケーブル類それぞれの接続部分を個々に分離し、また接続する作業が必要となるので、作業性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-306072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、複数のケーブル類の接続部の着脱時における作業性改善を図るのに適した溶接用ケーブルの接続構造を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0009】
本発明の第1の側面によって提供される溶接用ケーブルの接続構造は、基端部が溶接ロボットのマニピュレータに支持される溶接用ケーブルの先端部に配置された第1コネクタ部と、先端部に溶接トーチが配置されたトーチユニットの基端部に配置され、上記第1コネクタ部に着脱可能に接続される第2コネクタ部と、を備え、上記トーチユニットには、電力供給を受けて駆動する駆動部が搭載されており、上記溶接用ケーブルの内部には、溶接ワイヤが内挿されるとともに溶接用電力を供給するパワーケーブルと、冷却媒体を通す冷媒流路と、上記駆動部に電力を供給する電力線と、上記駆動部に係る信号を送る信号線と、が配置されており、上記第1コネクタ部は、第1接続面と、当該第1接続面に対して直角である第1軸線に沿う方向に見て上記第1接続面の中央に配置され、上記パワーケーブルに繋がる第1パワーケーブル接続部と、上記第1軸線に沿う方向に見て各々が上記第1パワーケーブル接続部を中心とする同心円状の第1領域に配置され、上記冷媒流路に繋がる第1冷媒流路接続部、上記電力線に繋がる第1電力線接続部、および上記信号線に繋がる第1信号線接続部と、を有し、上記第2コネクタ部は、上記第1コネクタ部への接続時に上記第1接続面に対向する第2接続面と、当該第1接続面に対して直角である第2軸線に沿う方向に見て上記第2接続面の中央に配置され、上記第1パワーケーブル接続部に接続され得る第2パワーケーブル接続部と、上記第2軸線に沿う方向に見て各々が上記第2パワーケーブル接続部を中心とする同心円状の第2領域に配置され、第1冷却ホース接続部に接続され得る第2冷媒流路接続部、上記第1電力線接続部に接続され得る第2電力線接続部、および上記第1信号線接続部に接続され得る第2信号線接続部と、を有する。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記冷媒流路は、冷却エアを通すエアホースと、冷却水を流す水冷ホースと、を含み、上記第1冷媒流路接続部は、上記エアホースに繋がる第1エアホース接続部と、上記水冷ホースに繋がる第1水冷ホース接続部と、を含み、上記第2冷媒流路接続部は、上記第1エアホース接続部に接続され得る第2エアホース接続部と、上記第1水冷ホース接続部に接続され得る第2水冷ホース接続部と、を含む。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記第1電力線接続部および上記第1信号線接続部は、上記第1軸線に沿う方向に見て上記第1パワーケーブル接続部を挟んで上記第1水冷ホース接続部とは反対側に配置されている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記第1コネクタ部は、上記第1支持面を含む第1支持体を含み、上記第1支持体は、上記第1冷媒流路接続部が配置され、上記第1軸線に沿う方向の厚さが相対的に大きい第1厚肉部と、上記第1電力線接続部および上記第1信号線接続部が配置され、上記第1軸線に沿う方向の厚さが相対的に小さい第1薄肉部と、を有し、上記第2コネクタ部は、上記第2支持面を含む第2支持体を含み、上記第2支持体は、上記第2冷媒流路接続部が配置され、上記第2軸線に沿う方向の厚さが相対的に大きい第2厚肉部と、上記第2電力線接続部および上記第2信号線接続部が配置され、上記第2軸線に沿う方向の厚さが相対的に小さい第2薄肉部と、を有する。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記溶接用ケーブルは、可撓性を有する円筒状のケーブル本体を有し、上記パワーケーブル、上記冷媒流路、上記電力線および上記信号線は、上記ケーブル本体に内挿されている。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される溶接ロボットにおける溶接用ケーブルは、溶接ロボットのマニピュレータに基端が支持されるケーブル本体と、当該ケーブル本体の先端に設けられた第1コネクタ部と、を備え、上記ケーブル本体には、パワーケーブル、冷媒流路、電力線および信号線が内挿されており、上記第1コネクタ部は、第1接続面と、当該第1接続面に対して直角である第1軸線に沿う方向に見て上記第1接続面の中央に配置され、上記パワーケーブルに繋がる第1パワーケーブル接続部と、上記第1軸線に沿う方向に見て各々が上記第1パワーケーブル接続部を中心とする同心円状の第1領域に配置され、上記冷媒流路に繋がる第1冷媒流路接続部、上記電力線に繋がる第1電力線接続部、および上記信号線に繋がる第1信号線接続部と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造によれば、メンテンナンス等により溶接トーチ(トーチユニット)を交換する際、第1コネクタ部と第2コネクタ部との着脱操作により、パワーケーブル、冷媒流路、電力線および信号線それぞれの接続部が一括して接続ないし分離される。このため、トーチユニットの交換時に上記パワーケーブル、冷媒流路、電力線および信号線等の複数のケーブル類それぞれの接続部分を個々に接続ないし分離する必要がない。したがって、本発明によれば、溶接用ケーブルの内部に配置された複数のケーブル類の接続部の着脱時における作業性の改善を図ることができる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造を備えた溶接ロボットの一例を示す全体図である。
図2】トーチユニットを溶接用ケーブルから分離した状態を示す要部斜視図である。
図3】溶接用ケーブルの先端部に配置された第1コネクタ部を示す要部斜視図である。
図4】第1コネクタ部を接続面の正面から見た拡大図である。
図5】トーチユニットの基端部に配置された第2コネクタ部を接続面の正面から見た拡大図である。
図6】第1コネクタ部とその周辺部を示す要部拡大斜視図である。
図7】第2コネクタ部とその周辺部を示す要部拡大斜視図である。
図8】第1コネクタ部と第2コネクタ部の接続状態を示す要部断面図である。
図9】第1コネクタ部と第2コネクタ部の接続状態を示す要部断面図である。
図10】本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第1変形例を示し、第1コネクタ部を接続面の正面から見た図である。
図11】本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第1変形例を示し、第2コネクタ部を接続面の正面から見た図である。
図12】本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第2変形例を示し、第1コネクタ部を接続面の正面から見た図である。
図13】本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第2変形例を示し、第2コネクタ部を接続面の正面から見た図である。
図14】本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第3変形例を示し、第1コネクタ部を接続面の正面から見た図である。
図15】本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第3変形例を示し、第2コネクタ部を接続面の正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造を備えた溶接ロボットの一例を示しており、溶接ロボットの全体図である。図1に示す溶接ロボットA1は、マニピュレータ1、溶接用ケーブル2およびトーチユニット3を備える。マニピュレータ1は、たとえば多関節ロボットである。トーチユニット3は、マニピュレータ1の先端にブラケット11を介して支持されている。マニピュレータ1が駆動することにより、所定の作業範囲内においてトーチユニット3が上下前後左右に自在に移動できる。また、トーチユニット3は、マニピュレータ1の先端に設けられた回動機構により、所定の軸線Ox周りに回動させられる。
【0020】
図2に示すように、トーチユニット3は、ワイヤ送給装置31、溶接トーチ32および第2コネクタ部33を備えている。溶接トーチ32は、トーチユニット3の先端部に配置されており、消耗電極ガスシールドアーク溶接等の自動溶接を行うのに用いられる。第2コネクタ部33の詳細については後述する。
【0021】
ワイヤ送給装置31は、マニピュレータ1と溶接トーチ32との間に介在しており、溶接用ケーブル2を介して供給される溶接ワイヤを溶接トーチ32の先端のノズル321内に設けられた給電チップ(図示せず)に向けて送給する。当該溶接ワイヤは、ノズル321先端の開口から外部に送り出される。また、溶接作業時において、溶接トーチ32には溶接用電力とシールドガスが供給される。
【0022】
図2に示すように、本実施形態のワイヤ送給装置31は、モータ311および図示しない送給ローラ等を含んで構成される。モータ311は、たとえばサーボモータであり、図示しない送給制御装置から電力供給を受けて上記送給ローラを回転駆動させるものである。また、上記送給ローラとの間に溶接ワイヤを挟む加圧ローラが配置されており、上記送給ローラが回転させられると、溶接ワイヤが溶接トーチ32側に送給される。図1図2に示すように、ワイヤ送給装置31は、普段はカバー312(図2においては仮想線で示し、カバー312を透過して表している)によって覆われており、メンテンス時にはカバー312を開くことが可能である。上記のモータ311は、本発明の駆動部の一例に相当する。詳細な図示説明は省略するが、トーチユニット3は、ワイヤ送給装置31および溶接トーチ32の他にも、たとえばショックセンサなどの必要な要素を具備する。なお、本実施形態のワイヤ送給装置31はいわゆるプル側送給装置である。溶接ロボットA1によりアーク溶接を行うシステムは、図示しない別のワイヤ送給装置(プッシュ側送給装置)を具備する。
【0023】
溶接用ケーブル2は、溶接ワイヤの他、各種ケーブル類を内部に収容するものであり、ケーブル本体21、第1コネクタ部22、接続用ナット231および端部カバー232を備えている。ケーブル本体21は、たとえば可撓性を有する合成樹脂製チューブからなる。図示説明は省略するが、ケーブル本体21(溶接用ケーブル2)の基端部は、たとえば接続金具等を介してマニピュレータ1の適所に支持されている。
【0024】
図6に表れているように、ケーブル本体21には、各種ケーブル等が内挿されている。同図において、ケーブル本体21は仮想線で示しており、ケーブル本体21を透過して表す。図8図9においては、ケーブル本体21は仮想線で示す。本実施形態では、ケーブル本体21には、パワーケーブル51、エアホース52、水冷ホース53、電力線54および信号線55が内挿されている。パワーケーブル51は、溶接トーチ32と電気的に接続されており、アーク溶接のための溶接用電力の供給経路である。当該溶接用電力は、上記溶接電源装置からパワーケーブル51を介して溶接トーチ32に供給される。本実施形態では、パワーケーブル51はいわゆる一線式パワーケーブルとして構成されており、このパワーケーブル51にコイルライナ56および溶接ワイヤが内挿されている。当該溶接ワイヤは、コイルライナ56に内挿されており、コイルライナ56によりガイドされつつ溶接トーチ32へ送られる。また、パワーケーブル51は、溶接トーチ32へシールドガスを供給するための流路の役割を担う。
【0025】
本実施形態において、エアホース52は、モータ311を冷却するための冷却エアを通す流路である。本実施形態では、エアホース52は2本配置され、1本はモータ311へ冷却エアを供給する流路であり、他の1本はモータ311から戻るエア(排気エア)を通す流路である。モータ311の外周部には図示しないモータ冷却用流路が形成されており、エアホース52を介して供給された冷却エアは上記モータ冷却用流路を通過し、他のエアホース52を通じて外部に排気される。水冷ホース53は、冷却水を流すための流路である。水冷ホース53は2本配置され(図6では1本のみが表れている)、1本は溶接トーチ32へ冷却水を送る送水用流路であり、他の1本は溶接トーチ32から戻る水を通す復水用流路である。なお、冷却エアや冷却水は、モータ311や溶接トーチ32を冷却するための冷却媒体の一例である。エアホース52および水冷ホース53は、それぞれ、本発明の冷媒流路の一例に相当する。
【0026】
電力線54は、ワイヤ送給装置31(モータ311)の駆動電力を伝送するものである。信号線55は、ワイヤ送給装置31(モータ311)に係る信号を送るものである。上記溶接電源装置は、信号線55を介してワイヤ送給装置31を含むトーチユニット3と通信を行う。上記溶接電源は、信号線55を介してトーチユニット3(ワイヤ送給装置31や溶接トーチ32)から入力される信号に応じて、溶接条件などを変更する。信号線55から入力される信号としては、モータ311のエンコーダ信号、溶接電圧検出信号やショックセンサによる検出信号などが挙げられる。ただし、信号線55からの入力信号は上記に限定されるものではない。
【0027】
第1コネクタ部22は、溶接用ケーブル2の先端部に配置されている。図3図4図6に示すように、第1コネクタ部22は、第1支持体220と、第1支持体220に各々が配置された第1パワーケーブル接続部24、第1エアホース接続部25、第1水冷ホース接続部26、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28と、を有する。
【0028】
第1支持体220は、たとえば銅、ステンレス、真鍮などの金属製である。図6図8図9に示すように、第1支持体220は、第1接続面221、第1厚肉部222、第1薄肉部223および円筒状突出部224を有する。第1接続面221は、第1支持体220の端部に位置する平坦面であり、円形状とされている。
【0029】
第1厚肉部222は、第1接続面221に対して直角である第1軸線O1に沿う方向の厚さが相対的に大きい部分である。本実施形態では、第1厚肉部222は、略半円柱状とされている。第1薄肉部223は、第1軸線O1に沿う方向の厚さが相対的に小さい部分である。第1薄肉部223は、第1支持体220において第1厚肉部222とは異なる残余の部分により構成されており、略半円柱状である。
【0030】
円筒状突出部224は、第1支持体220において第1接続面221とは反対側に突出しており、第1軸線O1に沿って見て第1接続面221の中央に位置する。この円筒状突出部224には、パワーケーブル51の端部が固定されている。
【0031】
図4図6図8図9に示すように、第1パワーケーブル接続部24は、第1軸線O1に沿う方向に見て第1接続面221の中央に配置されており、第1接続面221から凹んだ凹型接続部である。第1パワーケーブル接続部24は、パワーケーブル51に繋がっている。
【0032】
図4図6に示すように、第1エアホース接続部25、第1水冷ホース接続部26、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、第1軸線O1に沿う方向に見て各々が第1パワーケーブル接続部24を中心とする同心円状の第1領域225に配置されている。
【0033】
図6図9に示すように、第1エアホース接続部25は、エアホース52に繋がっており、第1接続面221から凹んだ凹型接続部である。本実施形態では、第1支持体220(第1コネクタ部22)には、2本のエアホース52それぞれに各別に繋がる一対の第1エアホース接続部25が配置されている。図6図8に示すように、第1水冷ホース接続部26は、水冷ホース53に繋がっており、第1接続面221から凹んだ凹型接続部である。本実施形態では、第1支持体220(第1コネクタ部22)には、2本の水冷ホース53それぞれに各別に繋がる一対の第1水冷ホース接続部26が配置されている。第1エアホース接続部25および第1水冷ホース接続部26は、それぞれ、本発明の第1冷媒流路接続部の一例に相当する。図6図8図9から理解されるように、一対の第1エアホース接続部25および一対の第1水冷ホース接続部26は、第1厚肉部222に配置されている。
【0034】
第1電力線接続部27は、電力線54に繋がっており、本実施形態では、たとえば汎用のコネクタ端子により構成されている。第1電力線接続部27は、合成樹脂製の絶縁部材に複数の金属ピンが立設された構成とされており、図6図8に示すように、第1接続面221から凹んだ収容凹部に配置される。
【0035】
第1信号線接続部28は、信号線55につながっており、本実施形態では、たとえば汎用のコネクタ端子により構成されている。第1信号線接続部28は、合成樹脂製の絶縁部材に複数の金属ピンが立設された構成とされており、図6図9に示すように、第1接続面221から凹んだ収容凹部に配置される。
【0036】
図6図8図9から理解されるように、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、第1薄肉部223に配置されている。また、図4図6に示すように、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、第1軸線O1に沿う方向に見て、第1パワーケーブル接続部24を挟んで一対の第1水冷ホース接続部26とは反対側に配置されている。第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、ねじ止め、接着等の適宜手段によって第1薄肉部223(第1支持体220)に固定されている。なお、本実施形態では、第1電力線接続部27の耐電圧は、第1信号線接続部28の耐電圧よりも高い。
【0037】
接続用ナット231は、第1支持体220に遊嵌状態で外嵌されており、第1支持体220の先端に係止される。詳細な図示説明は省略するが、接続用ナット231は、金属材料からなるねじ部と、絶縁材料からなり、かつ上記ねじ部に外装された外装部と、を有する。端部カバー232は、第1支持体220(第1コネクタ部22)とケーブル本体21の先端部との双方に跨って外嵌されたカバー部材であり、外装部が絶縁材料により構成される。図6においては、接続用ナット231を省略している。また、同図において、端部カバー232は仮想線で示しており、端部カバー232を透過して表している。図8図9においては、端部カバー232は仮想線で示す。
【0038】
図2に示すように、第2コネクタ部33は、トーチユニット3の基端部(溶接トーチ32とは反対側の端部)に配置されている。第2コネクタ部33は、溶接用ケーブル2の第1コネクタ部22に着脱可能に接続されるものである。図2図5図7に示すように、第2コネクタ部33は、第2支持体330と、第2支持体330に各々が配置された第2パワーケーブル接続部34、第2エアホース接続部35、第2水冷ホース接続部36、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38と、を有する。
【0039】
第2支持体330は、たとえば銅、ステンレス、真鍮などの金属製である。図7図8図9に示すように、第2支持体330は、第2接続面331、第2厚肉部332および第2薄肉部333を有する。第2接続面331は、第2支持体330の端部に位置する平坦面であり、円形状とされている。第2接続面331は、第2コネクタ部33を第1コネクタ部22に接続した際に第1接続面221に対向する面である。図2図7図8図9に示すように、第2支持体330の外周部には、ねじ部334が形成されている。このねじ部334には、第1コネクタ部22側の接続用ナット231が螺合可能である。
【0040】
第2厚肉部332は、第2接続面331に対して直角である第2軸線O2に沿う方向の厚さが相対的に大きい部分である。本実施形態では、第2厚肉部332は、略半円柱状とされている。第2薄肉部333は、第2軸線O2に沿う方向の厚さが相対的に小さい部分である。第2薄肉部333は、第2支持体330において第1厚肉部222とは異なる残余の部分により構成されており、略半円柱状である。
【0041】
図5図7図8図9に示すように、第2パワーケーブル接続部34は、第2軸線O2に沿う方向に見て第2接続面331の中央に配置されている。第2パワーケーブル接続部34は、第2接続面331から突出する凸型接続部であり、第1コネクタ部22の第1パワーケーブル接続部24に接続され得る。第2パワーケーブル接続部34は、溶接トーチ32の上記給電チップに電気的に接続されている。
【0042】
図5図7に示すように、第2エアホース接続部35、第2水冷ホース接続部36、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、第2軸線O2に沿う方向に見て各々が第2パワーケーブル接続部34を中心とする同心円状の第2領域335に配置されている。また、第2エアホース接続部35、第2水冷ホース接続部36、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、第1コネクタ部22の第1エアホース接続部25、第1水冷ホース接続部26、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28それぞれと個々に対応しており、対応するもの同士が互いに正対し得る。
【0043】
図7図9に示すように、第2エアホース接続部35は、第2接続面331から突出する凸型接続部である。本実施形態では、第2支持体330(第2コネクタ部33)には、第1コネクタ部22における一対の第1エアホース接続部25に対応した一対の第2エアホース接続部35が配置されている。これら第2エアホース接続部35は、モータ311外周部のモータ冷却用流路に通じている。第2エアホース接続部35は、第1コネクタ部22の第1エアホース接続部25に接続され得る。
【0044】
図7図8に示すように、第2水冷ホース接続部36は、第2接続面331から突出する凸型接続部である。本実施形態では、第2支持体330(第2コネクタ部33)には、第1コネクタ部22における一対の第1水冷ホース接続部26に対応した一対の第2水冷ホース接続部36が配置されている。これら第2エアホース接続部35は、溶接トーチ32の冷却水流路に通じている。第2水冷ホース接続部36は、第1コネクタ部22の第2水冷ホース接続部36に接続され得る。第2水冷ホース接続部36および第1水冷ホース接続部26は、たとえばプッシュオン式の継ぎ手により構成されており、互いに分離した状態において逆止機能を有する。これにより、第1コネクタ部22と第2コネクタ部33とを分離した際の水漏れは防止される。
【0045】
第2エアホース接続部35および第2水冷ホース接続部36は、それぞれ、本発明の第2冷媒流路接続部の一例に相当する。図7図8図9から理解されるように、一対の第2エアホース接続部35および一対の第2水冷ホース接続部36は、第2厚肉部332に配置されている。
【0046】
第2電力線接続部37は、本実施形態では、たとえば汎用のコネクタ端子により構成されている。第2電力線接続部37は、合成樹脂製の絶縁部材に複数の金属ピンが立設された構成とされており、図7図8に示すように、第2接続面331から凹んだ収容凹部に配置される。第2電力線接続部37は、第1コネクタ部22の第1電力線接続部27に接続され得る。
【0047】
第2信号線接続部38は、本実施形態では、たとえば汎用のコネクタ端子により構成されている。第2信号線接続部38は、合成樹脂製の絶縁部材に複数の金属ピンが立設された構成とされており、図7図9に示すように、第2接続面331から凹んだ収容凹部に配置される。第2信号線接続部38は、第1コネクタ部22の第1信号線接続部28に接続され得る。
【0048】
図7図8図9から理解されるように、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、第2薄肉部333に配置されている。また、図5図7に示すように、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、第2軸線O2に沿う方向に見て、第2パワーケーブル接続部34を挟んで一対の第2水冷ホース接続部36とは反対側に配置されている。第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、ねじ止め、接着等の適宜手段によって第2薄肉部333(第2支持体330)に固定されている。なお、本実施形態では、第2電力線接続部37の耐電圧は、第2信号線接続部38の耐電圧よりも高い。
【0049】
上記構成において、溶接用ケーブル2の第1コネクタ部22とトーチユニット3の第2コネクタ部33とを接続する際には、第1コネクタ部22の接続部24~28と第2コネクタ部33の接続部34~38を互いに正対させつつ、第1接続面221および第2接続面331を近接ないし当接させる。そして、第1コネクタ部22側の接続用ナット231を第2支持体330外周のねじ部334に螺合させて締め付ける。これにより、第1コネクタ部22と第2コネクタ部33とが接続される。このとき、接続部24~28と接続部34~38とは、互いに接続されている。
【0050】
第1コネクタ部22と第2コネクタ部33とを分離する際には、接続用ナット231を緩め、第1コネクタ部22および第2コネクタ部33を互いに引き離す。これにより、第1コネクタ部22と第2コネクタ部33とが分離される。このとき、接続部24~28と接続部34~38とは、互いに分離されている。
【0051】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0052】
本実施形態において、溶接ロボットA1に組み込まれる溶接用ケーブル2の先端部に第1コネクタ部22が配置されている。溶接トーチ32およびワイヤ送給装置31(モータ311)を含んで構成されたトーチユニット3の基端部に第2コネクタ部33が配置されている。溶接用ケーブル2の内部には、パワーケーブル51、エアホース52、水冷ホース53、電力線54および信号線55が配置されている。第1コネクタ部22は、パワーケーブル51、エアホース52、水冷ホース53、電力線54および信号線55にそれぞれ繋がる第1パワーケーブル接続部24、第1エアホース接続部25、第1水冷ホース接続部26、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28を有する。第2コネクタ部33は、第1パワーケーブル接続部24、第1エアホース接続部25、第1水冷ホース接続部26、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28にそれぞれ接続し得る第2パワーケーブル接続部34、第2エアホース接続部35、第2水冷ホース接続部36、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38を有し、当該第2コネクタ部33が第1コネクタ部22に対して着脱可能に接続される。このような構成によれば、メンテンナンス等により溶接トーチ32(トーチユニット3)を交換する際、第1コネクタ部22と第2コネクタ部33との着脱操作により、パワーケーブル51、エアホース52、水冷ホース53、電力線54および信号線55それぞれの接続部24~28と接続部34~38とが一括して接続ないし分離される。このため、トーチユニット3の交換時に上記パワーケーブル51、エアホース52、水冷ホース53、電力線54、信号線55等の複数のケーブル類それぞれの接続部分を個々に接続ないし分離する必要がない。したがって、本実施形態によれば、溶接用ケーブル2の内部に配置された複数のケーブル類の接続部の着脱時における作業性の改善を図ることができる。
【0053】
第1コネクタ部22において、第1パワーケーブル接続部24は第1接続面221の中央に配置されるとともに、第1エアホース接続部25、第1水冷ホース接続部26、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、第1パワーケーブル接続部24を中心とする同心円状の第1領域225に配置されている。第2コネクタ部33においても、第2パワーケーブル接続部34は第2接続面331の中央に配置されている。第2パワーケーブル接続部34、第2エアホース接続部35、第2水冷ホース接続部36、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、第2パワーケーブル接続部34を中心とする同心円状の第2領域335に配置され、第1コネクタ部22の第1エアホース接続部25、第1水冷ホース接続部26、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28それぞれに対応する配置である。このような構成によれば、第1コネクタ部22における複数の接続部24~28および第2コネクタ部33における複数の接続部34~38を省スペースで効率よく配置することができる。したがって、上記構成は、第1コネクタ部22および第2コネクタ部33の小型化を図るうえで好ましい。
【0054】
本実施形態では、溶接用ケーブル2の内部に配置される冷媒流路として、冷却エアを通すエアホース52と、冷却水を流す水冷ホース53と、を含む。このような構成によれば、本実施形態のように、たとえばモータ311(駆動部)に冷却エアを供給し、かつ溶接トーチ32に冷却水を供給することでモータ311および溶接トーチ32の双方を適切に冷却することが可能である。
【0055】
第1コネクタ部22において、第1電力線接続部27および第1電力線接続部27は、第1軸線O1に沿う方向に見て第1パワーケーブル接続部24を挟んで一対の第1水冷ホース接続部26とは反対側に配置されている。また、第2コネクタ部33において、2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、第2軸線O2に沿う方向に見て第2パワーケーブル接続部34を挟んで一対の第2水冷ホース接続部36とは反対側に配置されている。このような構成によれば、第1電力線接続部27および第1電力線接続部27(第2電力線接続部37および第2信号線接続部38)と一対の第1水冷ホース接続部26(一対の第2水冷ホース接続部36)とが相対的に離れた配置である。これにより、第1コネクタ部22および第2コネクタ部33の接続ないし分離の際に第1水冷ホース接続部26(第2水冷ホース接続部36)から水漏れが生じても、水漏れによる影響が抑制される。
【0056】
第1コネクタ部22は、第1支持体220を含む。第1支持体220は、第1厚肉部222および第1薄肉部223を有する。第1厚肉部222には各第1エアホース接続部25および各第1水冷ホース接続部26が配置され、第1薄肉部223には第1電力線接続部27および第1信号線接続部28が配置される。また、第2コネクタ部33は、第2支持体330を含む。第2支持体330は、第2厚肉部332および第2薄肉部333を有する。第2厚肉部332には各第2エアホース接続部35および各第2水冷ホース接続部36が配置され、第2薄肉部333には第2電力線接続部37および第2信号線接続部38が配置される。このように、第1支持体220(第1コネクタ部22)および第2支持体330(第2コネクタ部33)の双方において、各接続部25~28および各接続部35~38の性質に応じて厚さ寸法が部分的に小さくされている。このことは、第1コネクタ部22および第2コネクタ部33の小型化および軽量化に適する。
【0057】
溶接用ケーブル2は、可撓性を有するケーブル本体21を有する。パワーケーブル51、エアホース52、水冷ホース53、電力線54および信号線55は、ケーブル本体21に内挿されている。このような構成によれば、溶接ロボットA1に適用された溶接用ケーブル2について、当該溶接ロボットA1(マニピュレータ1)の高速動作にもスムーズに追従する。
【0058】
図10図11は、本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第1変形例を示している。なお、図10以降の図面において、上記実施形態1と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0059】
図10図11に示した例では、第1コネクタ部22および第2コネクタ部33の具体的構成が上記実施形態と異なっている。図示説明は省略するが、本変形例では、溶接用ケーブル2の内部に配置された冷媒流路について、エアホース52のみを含み、水冷ホース53は含まない。また、トーチユニット3においては、モータ311の外周部を経て溶接トーチ32に通じるガス流路が形成されており、エアホース52により供給される冷却エアにより、モータ311および溶接トーチ32の双方が冷却されるように構成されている。
【0060】
図10に示した第1コネクタ部22は、一対の第1水冷ホース接続部26を具備していない。第1コネクタ部22において、一対の第1エアホース接続部25、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、第1領域225に分散して配置されている。また、図11に示した第2コネクタ部33は、一対の第2水冷ホース接続部36を具備していない。第2コネクタ部33において、一対の第2エアホース接続部35、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、第2領域335に分散して配置されている。
【0061】
図10図11に示した構成においても、溶接用ケーブル2の内部に配置された複数のケーブル類の接続部の着脱時における作業性の改善を図ることができる。その他にも、図2図9等を参照して説明した上記実施形態と同様の構成の範囲において、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0062】
図12図13は、本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第2変形例を示している。図12図13に示した例では、第1コネクタ部22における第1電力線接続部27および第1信号線接続部28の構成と、第2コネクタ部33における第2電力線接続部37および第2信号線接続部38の構成とが、図10図11に示した例と異なっている。
【0063】
図12に示した第1コネクタ部22において、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、汎用のコネクタ端子ではなく、複数の金属ピンが第1支持体220の適所に形成された凹部に配置された構成である。上記凹部にはたとえば合成樹脂などの絶縁材料が充填されるとともに、各金属ピンの先端は上記絶縁材料から露出している。
【0064】
図13に示した第2コネクタ部33において、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、汎用のコネクタ端子ではなく、複数の金属ピンが第2支持体330の適所に形成された凹部に配置された構成である。上記凹部にはたとえば合成樹脂などの絶縁材料が充填されるとともに、各金属ピンの先端は上記絶縁材料から露出している。
【0065】
第1電力線接続部27の各金属ピンと第2電力線接続部37の各金属ピンのうち、一方が凸状ピンであり、他方が凹状ピンである。また、第1信号線接続部28の各金属ピンと第2信号線接続部38の各金属ピンのうち、一方が凸状ピンであり、他方が凹状ピンである。第1コネクタ部22と第2コネクタ部33との接続時には、上記凸状ピンと上記凹状ピンの先端どうしが凹凸嵌合し、これらピンどうしが互いに導通する。図12図13に示した例では、第1コネクタ部22の第1電力線接続部27および第1信号線接続部28における各金属ピンが凸状ピンであり、第2コネクタ部33の第2電力線接続部37および第2信号線接続部38における各金属ピンが凹状ピンである。
【0066】
図12図13に示した構成においても、溶接用ケーブル2の内部に配置された複数のケーブル類の接続部の着脱時における作業性の改善を図ることができる。その他にも、図2図9等を参照して説明した上記実施形態と同様の構成の範囲において、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。また、本変形例の構成によれば、第1コネクタ部22の第1電力線接続部27と第1信号線接続部28、および第2コネクタ部33の第2電力線接続部37と第2信号線接続部38のサイズを小さくすることができる。このことは、第1コネクタ部22および第2コネクタ部33の小型化および軽量化により適している。
【0067】
図14図15は、本発明に係る溶接用ケーブルの接続構造の第3変形例を示している。図14図15に示した例では、第1コネクタ部22における第1電力線接続部27および第1信号線接続部28の構成と、第2コネクタ部33における第2電力線接続部37および第2信号線接続部38の構成とが、図4図5等に示した上記実施形態と異なっている。
【0068】
図14に示した第1コネクタ部22において、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28は、汎用のコネクタ端子ではなく、複数の金属ピンが第1支持体220の適所に形成された凹部に配置された構成である。上記凹部にはたとえば合成樹脂などの絶縁材料が充填されるとともに、各金属ピンの先端は上記絶縁材料から露出している。また、本変形例では、第1電力線接続部27および第1信号線接続部28が1箇所にまとめて配置されている。したがって、上記凹部に配置された複数の金属ピンは、第1電力線接続部27に属するものと第1信号線接続部28に属するものを含む。
【0069】
図15に示した第2コネクタ部33において、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38は、汎用のコネクタ端子ではなく、複数の金属ピンが第2支持体330の適所に形成された凹部に配置された構成である。上記凹部にはたとえば合成樹脂などの絶縁材料が充填されるとともに、各金属ピンの先端は上記絶縁材料から露出している。また、本変形例では、第2電力線接続部37および第2信号線接続部38が1箇所にまとめて配置されている。したがって、上記凹部に配置された複数の金属ピンは、第2電力線接続部37に属するものと第2信号線接続部38に属するものを含む。
【0070】
第1電力線接続部27および第1信号線接続部28の各金属ピンと第2電力線接続部37および第2信号線接続部38の各金属ピンのうち、一方が凸状ピンであり、他方が凹状ピンである。第1コネクタ部22と第2コネクタ部33との接続時には、上記凸状ピンと上記凹状ピンの先端どうしが凹凸嵌合し、これらピンどうしが互いに導通する。図14図15に示した例では、第1コネクタ部22の第1電力線接続部27および第1信号線接続部28における各金属ピンが凸状ピンであり、第2コネクタ部33の第2電力線接続部37および第2信号線接続部38における各金属ピンが凹状ピンである。
【0071】
図14図15に示した構成においても、溶接用ケーブル2の内部に配置された複数のケーブル類の接続部の着脱時における作業性の改善を図ることができる。その他にも、図2図7等を参照して説明した上記実施形態と同様の構成の範囲において、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【符号の説明】
【0073】
A1:溶接ロボット、1:マニピュレータ、2:溶接用ケーブル、21:ケーブル本体、22:第1コネクタ部、220:第1支持体、221:ケーブル本体、222:第1厚肉部、223:第1薄肉部、225:第1領域、24:第1パワーケーブル接続部、25:第1エアホース接続部(第1冷媒流路接続部)、26:第1水冷ホース接続部(第1冷媒流路接続部)、27:第1電力線接続部、28:第1信号線接続部、3:トーチユニット、311:モータ(駆動部)、312:カバー、32:溶接トーチ、33:第2コネクタ部、330:第2支持体、331:第2接続面、332:第2厚肉部、333:第2薄肉部、335:第2領域、34:第2パワーケーブル接続部、35:第2エアホース接続部(第2冷媒流路接続部)、36:第2水冷ホース接続部(第2冷媒流路接続部)、37:第2電力線接続部、38:第2信号線接続部、51:パワーケーブル、52:エアホース(冷媒流路)、53:水冷ホース(冷媒流路)、54:電力線、55:信号線、O1:第1軸線、O2:第2軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15