(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050834
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】広告情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220324BHJP
【FI】
G06Q30/02 438
G06Q30/02 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156977
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和宏
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告情報を出力するタイミングに基づいて広告料金の設定を行うことにより、広告効果について考慮したより適切な広告料金の設定を行うことを可能にした広告情報提供システムを提供する。
【解決手段】ユーザが移動することを希望する目的地を取得するとともに、ユーザの目的地までの移動を行う移動行程に対して、出力対象とする広告情報と広告情報を出力する出力タイミングを夫々設定し、ユーザの現在位置と出力タイミングに従って出力対象とする広告情報をユーザに対して出力する。その一方で、目的地と出力タイミングとの位置関係に基づいて広告情報の広告料金を設定するように構成する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが移動することを希望する目的地を取得する目的地取得手段と、
ユーザの前記目的地までの移動を行う移動行程に対して、出力対象とする広告情報と前記広告情報を出力する出力タイミングを夫々設定する広告出力設定手段と、
ユーザの現在位置と前記出力タイミングに従って出力対象とする前記広告情報をユーザに対して出力する広告情報出力手段と、
目的地と前記出力タイミングとの位置関係に基づいて前記広告情報の広告料金を設定する広告料金設定手段と、を有する広告情報提供システム。
【請求項2】
前記広告料金設定手段は、広告情報を出力する前記出力タイミングが目的地に近い程、より高額の広告料金を設定する請求項1に記載の広告情報提供システム。
【請求項3】
目的地におけるユーザの行動予定を取得する行動予定取得手段を有し、
前記広告料金設定手段は、前記ユーザの行動予定の具体性が高い程、出力する広告情報の広告料金をより高額に設定する請求項1又は請求項2に記載の広告情報提供システム。
【請求項4】
前記移動行程を目的地までの距離又は目的地までの所要時間に基づいて複数の区間に区分する区分手段を有し、
前記広告出力設定手段は、区分された各区間の内、少なくとも一の区間に対して出力対象とする広告情報と前記広告情報を出力する出力タイミングを設定する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の広告情報提供システム。
【請求項5】
前記広告出力設定手段は、区分された区間毎に出力対象となる前記広告情報を設定する請求項4に記載の広告情報提供システム。
【請求項6】
ユーザが興味のある商品を特定する商品特定手段を有し、
前記広告出力設定手段は、目的地から遠い区間程、ユーザが興味のある商品の広告情報を優先的に出力対象に設定する請求項5に記載の広告情報提供システム。
【請求項7】
ユーザが興味のある商品を特定する商品特定手段を有し、
前記広告出力設定手段は、移動開始地点と目的地の中間に近い区間程、ユーザが興味のある商品と同じグレードで異なる種類の商品の広告情報を優先的に出力対象に設定する請求項5に記載の広告情報提供システム。
【請求項8】
ユーザが興味のある商品を特定する商品特定手段を有し、
前記広告出力設定手段は、目的地に近い区間程、ユーザが興味のある商品と同じ種類でグレードの高い商品に関する広告情報を優先的に出力対象に設定する請求項5に記載の広告情報提供システム。
【請求項9】
前記広告料金設定手段は、前記区間単位で該区間において出力する前記広告情報の広告料金を設定する請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の広告情報提供システム。
【請求項10】
前記目的地は、仮想空間上の目的地であって、
前記広告出力設定手段は、前記仮想空間上で目的地へとアバターを移動させる場合に、アバターの前記目的地までの移動を行う移動行程に対して、出力対象とする広告情報と前記広告情報を出力する出力タイミングを夫々設定し、
前記広告情報出力手段は、前記仮想空間上で目的地へとアバターを移動させるユーザに対して広告情報を出力する請求項1に記載の広告情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地へ移動することを希望するユーザに広告情報を提供する広告情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの移動案内を行い、ユーザが所望の目的地に容易に到着できるようにした各種端末について提供されている。このような端末としては、車両に搭載されたナビゲーション装置に加えて、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。また、これらの端末ではユーザが移動を開始する前に、予め機会があれば行きたいと考えている場所や行くことを予定している場所をスケジュールのように登録しておく機能もある。
【0003】
更に上記端末では、単にユーザの移動案内やスケジュールの登録管理を行うだけではなく、目的地への移動を考えているユーザや移動を開始したユーザを支援する為の情報として広告情報を提供することも行われている。例えば特開2002-131065号公報には、ユーザがナビゲーション装置において目的地を入力すると、目的地までの経路に加えて目的地の営業時間、目的地で取り扱っている商品、商品の価格、営業時間等の広告情報をサーバから取得し、提供する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-131065号公報(第4-6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1のように目的地へと移動するユーザに対して広告情報を提供する場合には、広告情報を出力するタイミングによって広告効果が大きく異なることが予想される。例えば目的地への移動開始直後では目的地を変更する可能性も高く、提供した広告情報が無駄になる可能性がある。また、広告の内容が目的地への到着までにユーザの記憶から薄れてしまう可能性もある。一方で、目的地への到着直前では目的地を変更する可能性は低く、提供した広告情報が無駄になる可能性は少ない。また、広告の内容が目的地への到着までユーザの記憶に残りやすい。尚、広告内容によっては逆に目的地への移動開始直後に出力したほうが広告効果の高い場合もある。以上のように、広告情報を出力するタイミングによって広告効果は大きく異なることから、それを考慮した広告料金の設定を行うのが望ましい。しかしながら、従来では広告情報を出力するタイミングを考慮した広告料金の設定を行っていなかった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、目的地へ移動するユーザに対して広告情報を提供する場合において、広告情報を出力するタイミングに基づいて広告料金の設定を行うことにより、広告効果について考慮したより適切な広告料金の設定を行うことを可能にした広告情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る広告情報提供システムは、ユーザが移動することを希望する目的地を取得する目的地取得手段と、ユーザの前記目的地までの移動を行う移動行程に対して、出力対象とする広告情報と前記広告情報を出力する出力タイミングを夫々設定する広告出力設定手段と、ユーザの現在位置と前記出力タイミングに従って出力対象とする前記広告情報をユーザに対して出力する広告情報出力手段と、目的地と前記出力タイミングとの位置関係に基づいて前記広告情報の広告料金を設定する広告料金設定手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る広告情報提供システムによれば、目的地へ移動するユーザに対して広告情報を提供する場合において、目的地と広告情報の出力タイミングとの位置関係に基づいて広告情報の広告料金を設定するので、広告効果について考慮したより適切な広告料金の設定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る広告情報提供システムを示した概略構成図である。
【
図2】移動することを希望する目的地を設定してから目的地への移動を完了するまでのユーザの行程を示した図である。
【
図3】本実施形態に係る広告情報提供システムの構成を示したブロック図である。
【
図4】広告情報DBに記憶される広告情報の一例を示した図である。
【
図5】配信状況DBに記憶される広告情報の配信状況の一例を示した図である。
【
図6】本実施形態に係る通信端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る準備期間広告情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【
図8】通信端末のディスプレイに対して表示されるスケジュール入力画面を示した図である。
【
図9】通信端末のディスプレイに対して表示されるスケジュール案内画面を示した図である。
【
図10】広告情報の出力態様の一例を示した図である。
【
図11】準備期間におけるユーザの行動の推移と出力対象として設定される広告情報の一例を示した図である。
【
図12】本実施形態に係る移動期間広告情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【
図13】広告情報の出力態様の一例を示した図である。
【
図14】移動期間におけるユーザの行動の推移と出力対象として設定される広告情報の一例を示した図である。
【
図15】クロスセルとアップセルとダウンセルを用いた広告情報の選択方法を説明した図である。
【
図16】本実施形態に係る広告料金設定処理プログラムのフローチャートである。
【
図17】広告料金と計画の具体性の関係を示した図である。
【
図18】広告料金と目的地までの距離又は時間の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る広告情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る広告情報提供システム1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る広告情報提供システム1を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る広告情報提供システム1は、広告情報提供センタ2が有する広告情報サーバ(広告情報提供装置)3と、広告対象となる広告対象施設4と、ユーザ5が所持する通信端末6と、を基本的に有する。また、広告情報サーバ3と通信端末6及び広告情報サーバ3と広告対象施設4は通信ネットワーク網7を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末6としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、以下の説明ではユーザ5が移動する場合には車両で移動することを前提とするが、車両以外の移動手段で移動しても良いし、徒歩で移動しても良い。
【0012】
ここで、広告情報サーバ3は、全国各地の広告対象となる施設である広告対象施設4に関する広告情報を広告情報DB8に記憶する。そして、広告情報サーバ3は通信ネットワーク網7を介してDBに記憶された広告情報を、通信端末6(ユーザ)に対して提供(配信)する。尚、広告情報サーバ3は広告対象施設毎に存在しても良いし、一のサーバが複数の広告対象施設に関する広告情報を配信するようにしても良い。
【0013】
また、広告情報サーバ3は、広告情報を通信端末6で出力するタイミングに応じて広告情報の広告料金を設定することについても行う。但し、広告情報の配信と広告料金の設定は同じサーバで行わずに異なるサーバで行うようにしても良い。
【0014】
また、広告対象施設4は、本実施形態の広告情報提供システム1において広告対象となる施設である。施設のジャンルや規模については限定されないが、本実施形態では特に商品やサービスを顧客に対して有料で提供する施設とする。広告対象施設4は、自らの施設の新たな広告情報を生成したり、広告情報の更新を行う場合には、必要な情報を広告情報サーバ3に対して配信し、広告情報サーバ3が備える広告情報DB8を更新する。
【0015】
一方、通信端末6は、ユーザ5が所持し、ユーザ5がスケジュールを入力することによってスケジュールを登録及び管理する機能やナビ機能等を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末6がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとして上記スケジュールを登録及び管理する機能やナビ機能を実行するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。尚、スケジュールを登録及び管理する機能とナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良いし、1のアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0016】
ここで、スケジュールを登録及び管理する機能は、ユーザが今後に移動することを希望する目的地を移動開始前に予め登録する機能や、その目的地に対して目的地への出発日時、目的地への到着日時、目的地の場所、同行する他のユーザ等の具体的な移動計画を付加して登録する機能や、目的地への移動を準備するユーザに対して上述した広告情報を提供する機能等を有する。尚、上記機能の全てを通信端末6が備えている必要はない。また、広告情報をユーザに提供する機能はスケジュールを登録及び管理するアプリ以外の専用のアプリケーションで実施される機能としても良い。
【0017】
一方、ナビ機能は、目的地までの推奨経路を探索したり、サーバから取得したりメモリに格納された地図データに基づいてユーザ5の現在位置周辺や任意のエリアの地図画像を所定の縮尺で表示したり、表示された地図画像中においてユーザ5の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行ったり、目的地への移動に応じて上述した広告情報をユーザに提供する機能を有する。尚、上記ナビ機能の全てを通信端末6が備えている必要はない。また、広告情報をユーザに提供する機能はナビゲーションアプリ以外の専用のアプリケーションで実施される機能としても良い。
【0018】
また、通信ネットワーク網7は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末6との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網7の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末6の通信を広告情報サーバ3との間で中継する役割を持つ。
【0019】
そして、上記構成を有する広告情報提供システム1での基本的な広告情報提供の流れとして、広告情報サーバ3は目的地を登録したユーザのその後の行動の推移に従い、ユーザの行動内容に対応した広告情報の提供を行う。例えば
図2は目的地を登録したユーザのその後の行動の推移を時系列に沿って示した図である。
図2に示すように目的地を登録したユーザのその後の行動は大きく2つに分けることが可能であり、先ずユーザ5が通信端末6において移動することを希望する目的地を登録した後から実際に移動を開始するまでの期間は、ユーザ5が目的地への移動を行うための準備期間(準備行程)となる。準備期間においてユーザ5は、例えば目的地に関する情報を収集したり、目的地となり得る他の候補を検索したり、目的地へ持っていく持ち物を用意すると推定される。従って、準備期間においては目的地に該当する広告対象施設4の広告情報や目的地となり得る他の広告対象施設4の広告情報や目的地への移動に所持する商品を扱う広告対象施設4の広告情報を該ユーザ5の通信端末6へと配信する。そして、配信された広告情報は通信端末6において出力され、ユーザに提供される。
【0020】
次に
図2に示すようにユーザが目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの期間は、ユーザ5が目的地への移動を実際に行う移動期間(移動行程)となる。移動期間においてユーザ5は、例えば目的地へまでの道のりを運転しつつ、寄り道を考えたり、休憩や食事をする場所に関する情報を収集すると推定される。従って、移動期間においては目的地に該当する広告対象施設4の広告情報や経路周辺に位置する広告対象施設4の広告情報を該ユーザ5の通信端末6へと配信する。そして、配信された広告情報は通信端末6において出力され、ユーザに提供される。
【0021】
尚、上記準備期間や移動期間については、後述のように時系列に従って更に複数の区間に区分され、区間毎に出力対象となる広告情報がより詳細に設定される。また、出力対象となる広告情報の内容は、目的地のジャンルについても考慮して設定される。詳細については後述する。
【0022】
続いて、広告情報提供システム1における広告情報サーバ3の構成について
図3を用いてより詳細に説明する。広告情報サーバ3は、
図3に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての広告情報DB8と、配信状況DB12と、ユーザ行程DB13と、地図情報DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
【0023】
サーバ制御部11は、広告情報サーバ3の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の準備期間広告情報提供処理プログラム(
図7)、移動期間広告情報提供処理プログラム(
図12)、広告料金設定処理プログラム(
図16)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は、後述の通信端末6の制御部とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、目的地取得手段は、ユーザが移動することを希望する目的地を取得する。広告出力設定手段は、ユーザの目的地までの移動を行う移動行程に対して、出力対象とする広告情報と広告情報を出力する出力タイミングを夫々設定する。広告情報出力手段は、ユーザの現在位置と出力タイミングに従って出力対象とする広告情報をユーザに対して出力する。広告料金設定手段は、目的地と出力タイミングとの位置関係に基づいて広告情報の広告料金を設定する。
【0024】
また、広告情報DB8は、前述したように全国各地の広告対象となる施設である広告対象施設4に関する広告情報を格納した記憶手段である。広告情報としては、通信端末6において広告として出力される音声、画像、動画等のデータ(内容としては取り扱う商品の情報、イベントに関する情報、購入商品のサポートやアフターサービスの情報等)に加えて、広告対象施設4(広告主)を特定する為の情報(地図上の広告対象施設の位置座標、ジャンル、ID等)についても含む。更に広告情報には、広告情報毎に該広告情報により広告の対象となっている商品又はサービスを特定する情報について付加されている。但し、商品に関する広告以外(例えばセールの情報、施設紹介等)の広告情報については商品やサービスを特定する情報については付加されない。
【0025】
例えば
図4は広告情報DB8に記憶される広告情報の一例を示した図である。
図4に示す例では、広告対象施設4の一つである施設Aが提供する広告情報として”2233”の広告情報があり、”2233”は『商品A』の広告であることを示す。また、施設Bが提供する広告情報として”2234”の広告情報があり、”2234”は『商品B』の広告であることを示す。また、施設Cが提供する広告情報として”2235”の広告情報があり、”2235”は『商品C』の広告であることを示す。尚、通信端末6において広告を出力する形態としては様々な形態があるが、以下の実施例では広告として通信端末6において音声を出力する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
また、広告情報の配信手段としては、上述したように予め収録及び生成して広告情報DB8に格納しておいた音声データや映像データを所定の出力タイミングで通信端末6へ配信することも可能であるが、リアルタイムで人が話す内容を配信しても良い。即ち、広告情報を出力するタイミングで通信端末6とオンラインで接続し、施設や商品を説明する人の音声や映像を配信しても良い。
【0027】
一方、配信状況DB12は、各広告対象施設4について、現時点までの広告情報の配信状況を記録した記憶手段である。広告情報の配信状況は広告対象施設4毎に記録され、具体的には“月単位(広告料金が月払いである場合、以下同じ)の現時点までのトータルの広告情報の配信回数”と実施された広告情報の配信に基づいて算出された“現時点までのトータルの広告料金”について含む。例えば
図5は配信状況DB12に記憶される広告情報の配信状況の一例を示した図である。
【0028】
図5に示す例では『施設A』では現時点までに広告情報の配信が1100回行われており、現時点での広告料金の合計が10000円であることを示す。『施設B』では現時点までに広告情報の配信が1500回行われており、現時点での広告料金の合計が11400円であることを示す。『施設C』では現時点までに広告情報の配信が1350回行われており、現時点での広告料金の合計が13000円であることを示す。尚、広告情報の配信1回当たりの広告料金の金額は固定金額としても良いが、本実施形態では後述のように広告情報を出力するタイミングによって配信毎に決定される。
【0029】
また、
図5に示す配信状況DB12は通信端末6に対して広告情報の配信が行われるタイミングで適宜更新される。また、“現時点までのトータルの広告情報の配信回数”、“現時点までのトータルの広告料金”については広告料金が月払いである場合には月毎にリセットされる。
【0030】
一方、ユーザ行程DB13は、通信端末6において登録したユーザのスケジュールを記憶する記憶手段である。ユーザのスケジュールは後述のように通信端末6のディスプレイに表示されたスケジュール入力画面51(
図8参照)において必要事項を入力することによって登録することが可能であり、登録された内容は通信端末6から広告情報サーバ3へと適宜送信され、更にユーザに紐づけられてユーザ行程DB13に格納される。具体的にスケジュールには、ユーザが移動することを希望する目的地に加えて、目的地への出発日時、目的地への到着日時、目的地の場所、同行する他のユーザ等の具体的な移動計画についても含まれる。また、通信端末6において目的地までの移動経路が設定された場合には、設定された移動経路についても今後のユーザの行動を示すものとしてユーザに紐づけられてユーザ行程DB13に格納される。
【0031】
そして、ユーザ行程DB13に記憶されたユーザのスケジュールは、ユーザに対して提供する広告情報を上述の広告情報DB8から選択したり、広告情報を出力するタイミングを設定するのに用いられる。
【0032】
また、地図情報DB14は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0033】
そして、サーバ制御部11は、通信端末6から経路探索要求を受信した場合には、上記地図情報DB14に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。具体的には、通信端末6において目的地が設定された場合に、通信端末6から広告情報サーバ3へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した広告情報サーバ3は、広告情報サーバ3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末6へと送信する。そして、通信端末6は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末6が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、通信端末6が地図情報自体を有さない場合であっても、広告情報サーバ3が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0034】
但し、通信端末6が地図情報を有する場合には上記経路探索処理を広告情報サーバ3でなく通信端末6で行うことも可能である。また、上記経路探索処理は広告情報サーバ3ではなく、地図情報を備える他のサーバで行うようにしても良い。その場合には広告情報サーバ3において地図情報DB14は必ずしも必要でない。
【0035】
一方、サーバ側通信装置15は情報の送受信対象となる通信端末6と通信ネットワーク網7を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末6以外にインターネット網等に対する通信も可能である。
【0036】
次に、ユーザ5が所有する通信端末6の概略構成について
図6を用いて説明する。
図6は本実施形態に係る通信端末6の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末6がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0037】
図6に示すように通信端末6はデータバスBUSに、CPU31と、通信端末6を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)やウェブの閲覧履歴やユーザの移動履歴等が記憶されたメモリ32と、通信ネットワーク網7の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)33と、送受信回路部33において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部34と、マイクロホン35及びスピーカ36等とのインターフェイスである入出力部37と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ38と、タッチパネルやハードボタン等から構成される入力操作部39と、GPS40と、カメラ41とが接続されることにより構成されている。
【0038】
ここで、通信端末6に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末6の制御手段であり、メモリ32とともに通信端末制御部42を構成する。また、通信端末制御部42の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ38に表示される。
【0039】
また、メモリ32は通信端末6を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)、ユーザによるウェブの閲覧履歴、GPS40やその他のセンサに基づいて検出された位置情報の履歴であるユーザの移動履歴、スケジュール情報等が記憶された記憶媒体である。また、後述の準備期間広告情報提供処理プログラム(
図7)及び移動期間広告情報提供処理プログラム(
図12)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0040】
また、スピーカ36は、通話の音声出力以外に、通信端末制御部42からの指示に基づいて案内経路(ユーザの移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。特に本実施形態では後述のように広告情報サーバ3から取得した広告情報を出力する際にも用いられる。
【0041】
また、ディスプレイ38は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末6にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面、ナビ画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。
【0042】
また、入力操作部39は、ディスプレイ38の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、通信端末制御部42は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、本実施形態では、ユーザのスケジュールの登録や目的地を入力する際にも操作される。尚、入力操作部39は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0043】
また、GPS40は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末6(即ちユーザ5)の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS40以外にも通信端末6の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0044】
また、カメラ41は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、通信端末6の背面側に内蔵される。そして、専用のアプリケーションプログラムが起動された状態で、ユーザが入力操作部39を操作することによって周辺を撮像することが可能となる。尚、カメラ41で撮像された撮像画像は、メモリ32に格納される。
【0045】
続いて、前記構成を有する広告情報提供システム1において、広告情報サーバ3及び通信端末6が実行する準備期間広告情報提供処理プログラムについて
図7に基づき説明する。
図7は本実施形態に係る準備期間広告情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、準備期間広告情報提供処理プログラムは、通信端末6において広告情報をユーザに提供する為の所定のアプリケーションプログラム(例えばスケジュール管理アプリ或いは広告情報提供のための専用のアプリ)が起動された後に実行され、ユーザが移動することを希望する目的地を登録してから実際に移動を開始するまでの準備期間(準備行程)において広告情報をユーザに提供するプログラムである。尚、以下の
図7及び
図12にフローチャートで示されるプログラムは、広告情報サーバ3や通信端末6が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21或いはCPU31により実行される。
【0046】
先ず、
図7に基づいて通信端末6のCPU31が実行する準備期間広告情報提供処理プログラムについて説明する。ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、通信端末6において“ユーザが移動することを希望する目的地”を登録する操作が行われたか否かを判定する。尚、“ユーザが移動することを希望する目的地”を登録する操作は例えば以下のように行われる。
【0047】
ここで、
図8は通信端末6のディスプレイ38に対して表示されるスケジュール入力画面51を示した図である。本実施形態では“ユーザが移動することを希望する目的地”の登録は基本的にスケジュール管理アプリの起動後に表示されるスケジュール入力画面51においてスケジュールを入力することにより行う。
図5に示すように、スケジュール入力画面51には、スケジュールに関する各種ステータスの入力を行う入力スペースが表示される。具体的には、『登録画像』の入力を行う入力スペース52と、『タイトル』の入力を行う入力スペース53と、『タグ』の入力を行う入力スペース54、『地点情報』の入力を行う入力スペース55と、『時期情報』の入力を行う入力スペース56と、『同行者』の入力を行う入力スペース57とを含む。
【0048】
例えば『登録画像』の入力を行う入力スペース52では、カメラ41により撮像した画像や、インターネット上でダウンロードした画像等からユーザが任意に画像を選択することによって、選択された画像が現在の『登録画像』として表示される。
また、『タイトル』の入力を行う入力スペース53では、ユーザが入力した文字列が現在の『タイトル』として表示される。尚、予め通信端末6側でタイトルとして用いることが可能な初期文字列を入力することも可能である。
また、『タグ』の入力を行う入力スペース54では、ユーザが現在までに選択したタグが現在の『タグ』として表示される。例えば、ディスプレイ38に別途表示されたタグの一覧からユーザが希望する一又は複数のタグを任意に選択する。尚、予め通信端末6側で候補となるタグを選択することも可能である。
また、『地点情報』の入力を行う入力スペース55では、ユーザが入力した地点(地点名以外に、住所や座標でも良い)が現在の『地点情報』として表示される。尚、『地点情報』は直接文字列を入力しても良いし、ディスプレイ38に別途表示した地図画面上で地点を選択させることも可能である。『地点情報』として入力された地点が、“ユーザが移動を予定している目的地”に該当する。
また、『時期情報』の入力を行う入力スペース56では、ユーザが入力した日時(日付のみ、時刻のみでも良い)が現在の『時期情報』として表示される。尚、『時期情報』は直接数字列を入力しても良いし、ディスプレイ38に別途表示したカレンダー上で日付を選択させることも可能である。『時期情報』はユーザが『地点情報』として入力された目的地への移動を予定している日時(基本的には出発日時であるが到着日時でも良い)となる。
また、『同行者』の入力を行う入力スペース57では、ユーザが入力した他のユーザ(氏名でも良いし、ユーザを識別するIDやニックネームでも良い)が現在の『同行者』として表示される。尚、『同行者』は直接文字を入力しても良いし、アドレス帳で選択させることも可能である。『同行者』はユーザが『地点情報』として入力された目的地への移動で同行することを予定している他のユーザとなる。
【0049】
このスケジュール入力画面51では、ユーザが今後に機会があれば行きたい場所について、移動を開始する前に“ユーザが移動することを希望する目的地”として事前に登録することが可能である。更に、その目的地に対して目的地への出発日時、目的地への到着日時、目的地の場所、同行する他のユーザ等の具体的な移動計画を付加して登録することも可能である。また、スケジュール入力画面51では既に登録された登録内容の追加、変更についても行うことが可能である。例えば、最初にスケジュールを入力する時点で移動予定日について決まっていなければ、『時期情報』は空欄にしておき、移動予定日が決まった時点で入力することが可能である。同じく、最初にスケジュールを入力する時点で同行者について決まっていなければ、『同行者』は空欄にしておき、同行者が決まった時点で入力することが可能である。
【0050】
そして、CPU31は、スケジュール入力画面51において入力を受け付けた『登録画像』、『タイトル』、『タグ』、『地点情報』、『時期情報』、『同行者』を紐付けてユーザのスケジュールとして登録し、通信端末6のメモリ32に格納される。また、登録されたスケジュールに関する情報ついては後述のように広告情報サーバ3に対しても送信される(S3)。
【0051】
また、通信端末6において現時点までに登録されたスケジュールの内容については、
図9に示すスケジュール案内画面61によりユーザが確認することが可能である。スケジュール案内画面61では、現時点で登録されている各スケジュールに紐付けられた登録画像62が一覧に表示される。尚、特定のタグが紐付けられたスケジュールのみ、或いは特定の日付や地点が紐付けられたスケジュールのみを表示対象とすることも可能である。そして、ユーザがスケジュール案内画面61に表示されたいずれかの登録画像62をクリックすると、クリックした登録画像62に対応するスケジュールの詳細を示す詳細画面63がディスプレイ38に表示される。尚、詳細画面63では表示されたスケジュールの内容の修正についても行うことが可能である。また、スケジュール案内画面61において登録画像62が表示される順序は、優先順位が高い順(例えば時期情報に入力された日時が近い順)とする。尚、通信端末6において現時点までに登録されたスケジュールを案内する方法としては他に、地図画像やカレンダーと組み合わせて案内する方法などが考えられる。
【0052】
そして、前記S1において通信端末6において“ユーザが移動することを希望する目的地”を登録する操作が行われたと判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、“ユーザが移動することを希望する目的地”を登録する操作が行われていないと判定された場合(S1:NO)には、広告情報の提供を行うことなく当該準備期間広告情報提供処理プログラムを終了する。
【0053】
S2においてCPU31は、上述したスケジュール入力画面51において受け付けたユーザの操作に基づいて、“ユーザが移動することを希望する目的地”について登録する。また、その目的地に対して目的地への出発日時、目的地への到着日時、目的地の場所、同行する他のユーザ等の具体的な移動計画が入力された場合には、それらの移動計画についても付加して登録する。
【0054】
続いてS3においてCPU31は、“ユーザが移動することを希望する目的地”を特定する目的地情報を広告情報サーバ3へと送信する。ここで、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、前記S1で入力された“ユーザが移動することを希望する目的地”を特定する情報(例えば座標、ID、施設名など)と、が含まれている。更に、前述のスケジュール入力画面51において目的地に加えて目的地への出発日時、目的地への到着日時、目的地の場所、同行する他のユーザ等の具体的な移動計画についても入力された場合には、それらの情報についても送信する。また、予め登録されていたスケジュールに対してそれらの移動計画が追加して入力された場合においても同様に送信する。
【0055】
その後、S4においてCPU31は、広告情報サーバ3から配信された広告情報を受信する。ここで、前記S4で受信する広告情報は、広告情報サーバ3が有する広告情報DB8から抽出された広告情報であり、広告情報サーバ3によって出力タイミングを満たしたと判定された広告情報である。また、出力タイミングを満たしたか否かの判定は、広告情報サーバ3で生成された後述の出力パターン情報と、現在の日時とに基づいて判定される。尚、出力タイミングを満たしたか否かの判定は広告情報サーバ3ではなく通信端末6で行っても良い。その場合には、広告情報サーバ3で生成された出力パターン情報を通信端末6が予め取得するようにする。
【0056】
続いてS5においてCPU31は、スピーカ36を用いて広告情報サーバ3から配信された広告情報を出力する。例えば、
図10に示す例ではインターネットブラウザによる情報案内が行われている状態での広告情報の出力例を示す。
図10に示すようにディスプレイ38においてブラウザ画面65が表示されている状態で、提供タイミングになるとスピーカ36から広告情報の音声が出力される。尚、広告情報としては音声以外に動画や静止画をディスプレイ38に表示することにより行うことも可能である。
【0057】
また、広告情報の出力態様としては、上述したように予め収録及び生成して広告情報サーバ3に格納しておいた音声データや映像データを出力することも可能であるが、リアルタイムで人が話す内容を出力しても良い。即ち、広告情報を出力する出力タイミングを満たした場合に通信端末6と広告情報サーバ3とをオンラインで接続し、施設や商品を説明する人の音声や映像を通信端末6へと配信しても良い。
【0058】
その後、S6においてCPU31は、ユーザが目的地への移動を実際に開始したか否かを判定する。具体的には、通信端末6においてナビゲーションアプリが起動され、目的地までの経路が設定された場合にユーザが目的地への移動を開始したと判定する。また、上述したスケジュール入力画面51において目的地への出発日時が予めユーザによって入力されている場合には、現在の日時が該出発日時となった時点でユーザが目的地への移動を開始したと判定しても良い。
【0059】
そして、ユーザが目的地への移動を開始したと判定された場合(S6:YES)には、当該準備期間広告情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、ユーザが目的地への移動を開始していないと判定された場合(S6:NO)にはS4へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。
【0060】
次に、広告情報サーバ3のCPU21が実行する準備期間広告情報提供処理プログラムについて説明する。尚、以下のS11~S17の各処理は、通信端末6からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0061】
先ず、S11においてCPU21は、通信端末6から送信される目的地情報を受信する。尚、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、前記S1で入力された“ユーザが移動することを希望する目的地”を特定する情報(例えば座標、ID、施設名など)とが含まれている。更に、通信端末6において目的地に加えて目的地への出発日時、目的地への到着日時、目的地の場所、同行する他のユーザ等の具体的な移動計画についても入力された場合には、それらの情報についても受信する。また、予め登録されていたスケジュールに対してそれらの移動計画が追加して入力された場合においては、追加された内容について同様に受信する。尚、受信した情報はユーザ行程DB13に格納される。
【0062】
次に、S12においてCPU21は、“ユーザが移動することを希望する目的地”を登録した現時点から実際に目的地の移動を開始するまでの準備期間(準備行程)について時系列に沿って複数の区間に区分する。尚、区分する際には前記S11で受信した“ユーザが移動することを希望する目的地”のジャンル毎に設定された境界に基づいて区分する。尚、ユーザが実際に目的地の移動を開始する時期については、前記S11において目的地情報とともに通信端末6から受信するが、取得できない場合(即ちユーザが移動開始日時を現時点でスケジュールとして登録していない場合)については、現時点から所定日数後(例えば30日後)に仮設定して“出力パターン情報”を生成しておき、その後にユーザが移動開始日時をスケジュールに登録した時点で改めて“出力パターン情報”を生成しても良い。
【0063】
また、本実施形態では特に
図11に示すように目的地の登録時点から順に3つの区間A~Cに区分する。準備期間を区間A~Cに区分する際には、準備期間におけるユーザの行動の推移を時系列に沿って推定し、ユーザの行動が切り替わる地点を境界として区分する。ここで、準備期間におけるユーザの行動の推移は目的地のジャンルによって異なるので、区分する境界はジャンル毎に設定されることとなる。例えば目的地のジャンルが『キャンプ場』である場合には区間A:20%(全体に対する区間の割合、以下同じ)、区間B:50%、区間C:30%とし、目的地のジャンルが『レストラン』である場合には区間A:30%、区間B:20%、区間C:50%とする。また、ジャンル毎に過去の広告効果から学習することによって割合を設定することも可能である。
【0064】
その後、S13においてCPU21は、前記S12で区分した各区間に対して出力対象となる広告情報を設定した“出力パターン情報”を生成する。ここで、“出力パターン情報”は、ユーザが通信端末6において移動することを希望する目的地を登録した後から実際に移動を開始するまでの期間である準備期間(準備行程)において、出力対象となる広告情報の内容と広告情報を出力するタイミングを夫々設定した情報となる。
【0065】
以下に上記S13の“出力パターン情報”の生成処理についてより詳細に説明する。
前記S13でCPU21は、目的地のジャンルに基づいて区分した各区間でのユーザの行動を予測し、予測されたユーザの行動を支援する為の広告情報を、該区間において出力対象とする広告情報に設定する。以下では目的地のジャンルが『キャンプ場』、『商業施設』、『レストラン』である場合を例に挙げて説明する。
【0066】
例えば目的地のジャンルが『キャンプ場』である場合には、先ず最初の区間Aでは、ユーザはキャンプの計画を練るために目的地であるキャンプ場に関するより詳細な情報を収集したり、周辺の他のキャンプ場の候補を検索したり、周辺の食事や観光ができる場所の情報収集や予約を行うと推定される。従って、区間Aに対しては「目的地(キャンプ場)を紹介する広告情報と目的地の周辺にある宿泊施設や食事施設に関する広告情報」を出力対象に設定する。次の区間Bでは、ユーザはキャンプの計画を完了し、具体的なキャンプに行くための用品の準備を行うと推定される。従って、区間Bに対しては「ユーザの自宅周辺でキャンプ用品を扱う施設の広告情報」を出力対象に設定する。最後の区間Cでは、ユーザはキャンプに行くための用品の準備は完了し、キャンプとは直接関係しない(キャンプに必須ではない)用品(例えば服、靴、装飾品など)の準備を行うと推定される。従って、区間Cに対しては「ユーザの自宅周辺でアパレル、日用品を扱う施設の広告情報」を出力対象に設定する。
【0067】
また、目的地のジャンルが『商業施設』である場合には、先ず最初の区間Aでは、ユーザは商業施設にどのようなテナントがあるかについて情報を収集したり、周辺の他の商業施設の候補を検索すると推定される。従って、区間Aに対しては「目的地(商業施設)を紹介する広告情報と目的地の周辺にある他の商業施設に関する広告情報」を出力対象に設定する。次の区間Bでは、ユーザは商業施設でどのテナントで商品を購入するかについて検討すると推定される。従って、区間Bに対しては「目的地にあるテナントを紹介する広告情報」を出力対象に設定する。最後の区間Cでは、ユーザはより具体的にどの商品を購入するかについて検討すると推定される。従って、区間Cに対しては「目的地(商業施設)の広告情報の内、特にユーザが興味のある商品(購入を考えていると予想される商品)に関する広告情報」を出力対象に設定する。尚、ユーザが興味のある商品については、ユーザ情報(年齢、性別、過去の購入履歴等)を通信端末6や店舗のサーバから取得することによって判定することが可能である。
【0068】
また、目的地のジャンルが『レストラン』である場合には、先ず最初の区間Aでは、ユーザはレストランの予約をするためにレストランに関するより詳細な情報を収集したり、周辺の他のレストランの候補を検索すると推定される。従って、区間Aに対しては「目的地(レストラン)を紹介する広告情報と目的地の周辺にある他の商業施設に関する広告情報」を出力対象に設定する。次の区間Bでは、ユーザはレストランに行くための服装や装飾品の準備を行うと推定される。従って、区間Bに対しては「ユーザの自宅周辺でアパレル、日用品を扱う施設の広告情報」を出力対象に設定する。最後の区間Cでは、ユーザはより具体的にレストランでどのメニューを注文するかについて検討すると推定される。従って、区間Cに対しては「目的地で扱う商品(メニュー)に関する広告情報」を出力対象に設定する。
【0069】
続いて、S14においてCPU21は、現在の日時と前記S13で生成した“出力パターン情報”とに基づいて、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたか否かを判定する。例えば、区間A内の午後0時を区間Aに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。同じく区間B内の午後0時と午後6時を区間Bに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。同じく区間C内の午前8時と午後0時と午後6時を区間Cに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。区間A~Cで一日当たりの広告情報を出力するタイミングを同一としても良いが、目的地への移動開始が近い区間では出力機会がより多くなるように設定するのが望ましい。
【0070】
そして、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたと判定された場合(S14:YES)には、S15へと移行する。それに対して、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしていないと判定された場合(S14:NO)には、S17へと移行する。
【0071】
S15においてCPU21は、前記S13で生成した“出力パターン情報”に基づいて目的地情報の送信元の通信端末6が出力タイミングを満たしたと判定した広告情報を、広告情報DB8から抽出する。例えば目的地のジャンルが『キャンプ場』であって、現在の日時が区間Bの午後0時又は午後6時である場合には、
図11に示すように「ユーザの自宅周辺でキャンプ用品を扱う施設の広告情報」を広告情報DB8から抽出する。尚、該当する広告情報が複数ある場合には、複数の広告情報を抽出しても良いし、例えばユーザ情報(年齢、性別、過去の購入履歴等)を考慮して、ユーザに最も効果的な広告情報を抽出しても良い。
【0072】
続いて、S16においてCPU21は、前記S15で抽出した広告情報を、目的地情報の送信元の通信端末6に対して送信する。その結果、通信端末6において広告情報が出力されることとなる(
図10)。
【0073】
その後、S17においてCPU31は、ユーザが目的地への移動を実際に開始したか否かを判定する。具体的には、目的地情報の送信元の通信端末6においてナビゲーションアプリが起動され、目的地までの経路が設定された場合にユーザが目的地への移動を開始したと判定する。また、目的地への出発日時が予めユーザによって入力されている場合には、現在の日時が該出発日時となった時点でユーザが目的地への移動を開始したと判定しても良い。
【0074】
そして、ユーザが目的地への移動を開始したと判定された場合(S17:YES)には、当該準備期間広告情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、ユーザが目的地への移動を開始していないと判定された場合(S17:NO)にはS14へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。
【0075】
続いて、前記構成を有する広告情報提供システム1において、広告情報サーバ3及び通信端末6が実行する移動期間広告情報提供処理プログラムについて
図12に基づき説明する。
図12は本実施形態に係る移動期間広告情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、移動期間広告情報提供処理プログラムは、通信端末6において広告情報をユーザに提供する為の所定のアプリケーションプログラム(例えばナビゲーションアプリ或いは広告情報提供のための専用のアプリ)が起動された後に実行され、ユーザが目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの移動期間(移動行程)において広告情報をユーザに提供するプログラムである。但し、通信端末6が車載器のナビゲーション装置である場合には、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行する。
【0076】
先ず、
図12に基づいて通信端末6のCPU31が実行する移動期間広告情報提供処理プログラムについて説明する。S21においてCPU31は、ユーザが目的地への移動を実際に開始したか否かを判定する。具体的には、通信端末6においてナビゲーションアプリが起動され、目的地までの経路が設定された場合にユーザが目的地への移動を開始したと判定する。また、前述したスケジュール入力画面51(
図8)において目的地への出発日時が予めユーザによって入力され、スケジュールとして登録されている場合には、現在の日時が該出発日時となった時点でユーザが目的地への移動を開始したと判定しても良い。
【0077】
そして、ユーザが目的地への移動を開始したと判定された場合(S21:YES)には、S22へと移行する。それに対して、ユーザが目的地への移動を開始していないと判定された場合(S21:NO)には、当該移動期間広告情報提供処理プログラムを終了する。
【0078】
S22においてCPU31は、ユーザが移動を開始した目的地を特定する目的地情報を広告情報サーバ3へと送信する。ここで、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、目的地を特定する情報(例えば座標、ID、施設名など)と、が含まれている。尚、ユーザが移動を開始した目的地は、例えばナビゲーションアプリが起動されている場合にはナビゲーションアプリにおいて目的地に設定されている地点となる。また、ナビゲーションアプリが起動されていない場合であっても、前述したスケジュール入力画面51(
図8)において登録されたスケジュールから判断することも可能である。
【0079】
その後、S23においてCPU31は、広告情報サーバ3から配信された広告情報を受信する。ここで、前記S23で受信する広告情報は、広告情報サーバ3が有する広告情報DB8から抽出された広告情報であり、広告情報サーバ3によって出力タイミングを満たしたと判定された広告情報である。また、出力タイミングを満たしたか否かの判定は、広告情報サーバ3で生成された後述の出力パターン情報と、通信端末6から定期的に広告情報サーバ3へと配信される通信端末6の現在位置情報とに基づいて判定される。尚、出力タイミングを満たしたか否かの判定は広告情報サーバ3ではなく通信端末6で行っても良い。その場合には、広告情報サーバ3で生成された出力パターン情報を通信端末6が予め取得するようにする。
【0080】
続いてS24においてCPU31は、スピーカ36を用いて広告情報サーバ3から配信された広告情報を出力する。例えば、
図13に示す例ではナビ機能によりユーザの移動案内が行われている状態での広告情報の出力例を示す。
図13に示すようにディスプレイ38において移動案内画面66が表示されている状態で、提供タイミングになるとスピーカ36から広告情報の音声が出力される。尚、広告情報としては音声以外に動画や静止画をディスプレイ38に表示することにより行うことも可能であるが、移動案内中においてはできる限り移動案内を妨げない態様で出力するのが望ましい。尚、広告情報が出力されていない間においては、例えば音楽等をスピーカ36から出力するようにしても良い。
【0081】
また、広告情報の出力態様としては、上述したように予め収録及び生成して広告情報サーバ3に格納しておいた音声データや映像データを出力することも可能であるが、リアルタイムで人が話す内容を出力しても良い。即ち、広告情報を出力する出力タイミングを満たした場合に通信端末6と広告情報サーバ3とをオンラインで接続し、施設や商品を説明する人の音声や映像を通信端末6へと配信しても良い。
【0082】
尚、特にユーザが目的地までの移動案内を希望する場合には、広告情報サーバ3が有する地図情報を用いて探索した出発地から目的地までの推奨経路(以下、センタールートという)を特定する情報(例えばセンタールートに含まれるリンク列)について広告情報サーバ3から受信するようにする。そして、目的地までの移動中においてナビ機能を実行して
図13に示すような移動案内画面66を表示し、センタールートに基づいて設定された案内経路に沿った移動案内が行われる。しかしながら、ユーザが目的地までの移動案内を希望しない場合については、基本的に移動案内画面66は表示されない。その場合においても広告情報の出力タイミングを満たした際には広告情報の音声を出力する。
【0083】
その後、S25においてCPU31は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。但し、例外的に目的地への到着前に目的地を変更した場合についてはS22へと戻る。
【0084】
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S25:YES)には、当該移動期間広告情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S25:NO)にはS23へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。
【0085】
次に、広告情報サーバ3のCPU21が実行する移動期間広告情報提供処理プログラムについて説明する。尚、以下のS31~S37の各処理は、通信端末6からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0086】
先ず、S31においてCPU21は、通信端末6から送信される目的地情報を受信する。尚、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、ユーザを開始した目的地を特定する情報(例えば座標、ID、施設名など)とが含まれている。更に、通信端末6において既に目的地までの移動経路が設定されている場合には、移動経路についても受信する。尚、受信した情報はユーザ行程DB13に格納される。
【0087】
次に、S32においてCPU21は、先ずユーザが目的地への移動を開始した後の移動開始地点から目的地までのユーザが移動する移動経路を取得する。通信端末6において既に目的地までの経路が設定されている場合には、その経路をユーザが移動する移動経路とする。また、通信端末6(即ちユーザ)の現在位置情報は通信端末6から定期的に広告情報サーバ3へと配信されており、広告情報サーバ3が有する地図情報を用いてユーザの移動開始地点から目的地までの経路(センタールート)を探索することも可能である。広告情報サーバ3によって探索された目的地までの経路は通信端末6に対しても送信されユーザに示される。従って、探索された経路はユーザが目的地への移動を開始した後のユーザが移動する移動経路となる。そして、ユーザが移動する移動経路に基づいて、ユーザが目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの移動期間(移動行程)が特定される。尚、移動期間は移動経路そのものであっても良いし、移動経路に基づいて特定される移動のスケジュールであっても良い。
【0088】
その後に、CPU21はユーザが目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの移動期間(移動行程)について時系列に沿って複数の区間に区分する。尚、区分する際には前記S31で受信した目的地のジャンル毎に設定された境界に基づいて区分する。
【0089】
また、本実施形態では特に
図14に示すように移動開始時点から順に3つの区間A~Cに区分する。移動期間を区間A~Cに区分する際には、移動期間におけるユーザの行動の推移を時系列に沿って推定し、ユーザの行動が切り替わる地点を境界として区分する。ここで、移動期間におけるユーザの行動の推移は目的地のジャンルによって異なるので、区分する境界はジャンル毎に設定されることとなる。例えば目的地のジャンルが『キャンプ場』である場合には区間A:20%(全体に対する区間の割合、以下同じ)、区間B:50%、区間C:30%とし、目的地のジャンルが『レストラン』である場合には区間A:30%、区間B:20%、区間C:50%とする。また、ジャンル毎に過去の広告効果から学習することによって割合を設定することも可能である。
【0090】
尚、区間A~Cの区分は距離に基づいて行っても良いし、時間に基づいて行っても良い。距離に基づいて区分する場合には、例えばユーザの移動経路に基づいて目的地までの距離或いは移動開始地点からの距離を算出し、算出した距離に基づいて区分する。時間に基づいて区分する場合には、例えばユーザの移動経路に基づいて目的地までの所要時間或いは移動を開始してからの経過時間を算出し、算出した時間に基づいて区分する。
【0091】
その後、S33においてCPU21は、前記S32で区分した各区間に対して出力対象となる広告情報を設定した“出力パターン情報”を生成する。ここで、“出力パターン情報”は、ユーザが目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの移動期間(移動行程)において、出力対象となる広告情報の内容と広告情報を出力するタイミングを夫々設定した情報となる。
【0092】
以下に上記S33の“出力パターン情報”の生成処理についてより詳細に説明する。
前記S33でCPU21は、目的地のジャンルに基づいて区分した各区間でのユーザの行動を予測し、予測されたユーザの行動を支援する為の広告情報を、該区間において出力対象とする広告情報に設定する。以下では目的地のジャンルが『キャンプ場』、『商業施設』、『レストラン』である場合を例に挙げて説明する。
【0093】
例えば目的地のジャンルが『キャンプ場』である場合には、先ず最初の区間Aでは、ユーザは目的地にはそれほど大きな関心は無く、寄り道や飲食する場所を探すと推定される。従って、区間Aに対しては「移動経路の周辺にある観光施設や食事施設に関する広告情報」を出力対象に設定する。次の区間Bでは、ユーザは目的地であるキャンプ場に対する関心が徐々に大きくなる一方で休憩する場所を探すと推定される。従って、区間Bに対しては「移動経路の周辺にある休憩施設(道の駅やSAPA)の広告情報や目的地に関する広告情報(例えばプランのアップグレードの案内)」を出力対象に設定する。最後の区間Cでは、ユーザは目的地であるキャンプ場に到着した後に何をするかを考えていると推定される。従って、区間Cに対しては「目的地でのアクティビティや追加オプションを紹介する広告情報」を出力対象に設定する。
【0094】
また、目的地のジャンルが『商業施設』である場合には、先ず最初の区間Aでは、ユーザは目的地の商業施設に向かいつつ、周辺の他の商業施設の候補へ行くことも考えていると推定される。従って、区間Aに対しては目的地を変更させない為に「目的地(商業施設)の広告情報の内、特にユーザが興味のある商品(購入を考えていると予想される商品)に関する広告情報」を出力対象に設定する。尚、ユーザが興味のある商品については、ユーザ情報(年齢、性別、過去の購入履歴等)を通信端末6や店舗のサーバから取得することによって判定することが可能である。次の区間Bでは、ユーザが周辺の他の商業施設の候補へ行く考えは徐々に薄れ、目的地となる商業施設でどのような商品を購入するかについて検討すると推定される。従って、区間Bに対しては「目的地(商業施設)の広告情報の内、特にユーザが興味のある商品(購入を考えていると予想される商品)と同程度のグレードで異なる分野の商品に関する広告情報」を出力対象に設定する。この広告はクロスセルを狙う効果があり、ユーザの購買意欲を高める(より多種の商品を購入させる)広告効果が期待できる。最後の区間Cでは、ユーザが周辺の他の商業施設の候補へ行く考えはなく、目的地となる商業施設で具体的にどのような商品を購入するかについて検討すると推定される。従って、区間Cに対しては「目的地(商業施設)の広告情報の内、特にユーザが興味のある商品(購入を考えていると予想される商品)と同じ分野でよりグレードの高い商品に関する広告情報」を出力対象に設定する。この広告はアップセルを狙う効果があり、ユーザの購買意欲を高める(より利益の高い商品を購入させる)広告効果が期待できる。
【0095】
また、目的地のジャンルが『レストラン』である場合には、先ず最初の区間Aでは、ユーザは目的地のレストランに向かいつつ、周辺の他のレストランの候補へ行くことも考えていると推定される。従って、区間Aに対しては目的地を変更させない為に「目的地(レストラン)の広告情報の内、特にユーザが興味のあるメニュー(注文を考えていると予想されるメニュー)に関する広告情報」を出力対象に設定する。尚、ユーザが興味のあるメニューについては、ユーザ情報(年齢、性別、過去の購入履歴等)を通信端末6や店舗のサーバから取得することによって判定することが可能である。次の区間Bでは、ユーザが周辺の他のレストランの候補へ行く考えは徐々に薄れ、目的地となるレストランでどのようなメニューを注文するかについて検討すると推定される。従って、区間Bに対しては「目的地(レストラン)の広告情報の内、特にユーザが興味のあるメニュー(注文を考えていると予想されるメニュー)と同程度のグレードで異なる分野のメニューに関する広告情報」を出力対象に設定する。この広告はクロスセルを狙う効果があり、ユーザの購買意欲を高める(より多種のメニューを注文させる)広告効果が期待できる。最後の区間Cでは、ユーザが周辺の他のレストランの候補へ行く考えはなく、目的地となるレストランで具体的にどのようなメニューを注文するかについて検討すると推定される。従って、区間Cに対しては「目的地(レストラン)の広告情報の内、特にユーザが興味のあるメニュー(注文を考えていると予想されるメニュー)と同じ分野でよりグレードの高いメニューに関する広告情報」を出力対象に設定する。この広告はアップセルを狙う効果があり、ユーザの購買意欲を高める(より利益の高いメニューを注文させる)広告効果が期待できる。
【0096】
上述したように本実施形態では特に移動期間においてはクロスセル、アップセルを用いた広告情報の選択を用いる。以下ではクロスセル、アップセルについてより詳細に説明する。クロスセル、アップセルは“ユーザが興味のある商品(これからユーザが購入しようと考えている商品)”を基準にして、商品のグレードや種類を変えてユーザにとって広告効果が高いと推定される広告情報を選択する手法である。尚、“ユーザが興味のある商品(これからユーザが購入しようと考えている商品)”の特定については、目的地に該当する施設におけるユーザの購買履歴があれば、その購買履歴を優先して用いて特定する。目的地に該当する施設の購買履歴が存在しない場合には、同じユーザの他の施設での購買履歴を用いる。また、ユーザの購買履歴に加えてユーザのプロファイルデータ等についても参照して“ユーザが興味のある商品(これからユーザが購入しようと考えている商品)”を推定するようにしても良い。プロファイルデータは、ユーザのウェブの閲覧履歴、行動履歴(移動履歴、スケジュール)等を通信端末6から収集することによって、ユーザの“性別”、“年代”、“家族構成”、“職業”、“興味のある事項”等を特定したデータである。
【0097】
そして、
図15に示すように横軸に商品の種類、縦軸にグレード(価格帯)を規定したグラフにおいて、“ユーザが興味のある商品(これからユーザが購入しようと考えている商品)”を基準にして同じグレードで異なる種類の商品を選択することを『クロスセル』という。尚、クロスセルによる商品の選択ではユーザが現時点でどの種類の商品に関心を持っているかについて購買履歴とプロファイルデータを用いることによって推定して選択するのが望ましい。また、“ユーザが興味のある商品(これからユーザが購入しようと考えている商品)”を基準にして同じ種類でよりグレードの高い商品を選択することを『アップセル』という。更に、“ユーザが興味のある商品(これからユーザが購入しようと考えている商品)”を基準にして同じ種類でよりグレードの低い商品を選択することを『ダウンセル』という。尚、本実施形態ではダウンセルに該当する商品に関する広告情報は用いていないが、例えば目的地から遠い区間Aにおいて確実に目的地へと移動させる(目的地を他に変更させない)目的で、金銭的にユーザにメリットを感じさせるダウンセルに該当する商品に関する広告情報を出力するようにしても良い。
【0098】
本実施形態では、目的地から遠い区間(即ち区間A)程、ユーザが興味のある商品の広告情報を優先的に出力対象に設定し、移動開始地点と目的地の中間に近い区間(即ち区間B)程、ユーザが興味のある商品と同じグレードで異なる種類の商品(クロスセル)の広告情報を優先的に出力対象に設定し、目的地に近い区間(即ち区間C)程、ユーザが興味のある商品と同じ種類でグレードの高い商品(アップセル)に関する広告情報を優先的に出力対象に設定する。それによって、リピート率の向上、並びに顧客単価の上昇を図り、LTVを向上させる効果も期待できる。
【0099】
続いて、S34においてCPU21は、目的地情報の送信元の通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置と前記S33で生成した“出力パターン情報”に基づいて、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたか否かを判定する。例えば、区間A内において運転者の運転負担が小さいと予想される区間に車両が位置するタイミングを、区間Aに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。同じく区間B内において運転者の運転負担が小さいと予想される区間に車両が位置するタイミングを、区間Bに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。同じく区間C内において運転者の運転負担が小さいと予想される区間に車両が位置するタイミングを、区間Cに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。尚、運転者の運転負担が小さいと予想される区間とは例えば道なりに所定距離以上走行する区間が該当し、目的地までの移動経路に基づいて判定される。尚、運転負荷ではなく目的地までの所要時間や目的地までの距離に基づいて出力タイミングを決定しても良い。例えば目的地まで1kmの地点に到達したタイミングや目的地までの所要時間が10分の地点に到達したタイミングを出力タイミングとしても良い。更に、車両が信号待ちなどで停車したタイミングを出力タイミングとしても良い。
【0100】
そして、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたと判定された場合(S34:YES)には、S35へと移行する。それに対して、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしていないと判定された場合(S34:NO)には、S37へと移行する。
【0101】
S35においてCPU21は、前記S33で生成した“出力パターン情報”に基づいて目的地情報の送信元の通信端末6が出力タイミングを満たしたと判定した広告情報を、広告情報DB8から抽出する。例えば目的地のジャンルが『商業施設』であって、現在のユーザの位置が区間Bの運転負荷の小さい区間に位置する場合には、
図14に示すように「目的地(商業施設)の広告情報の内、特にユーザが興味のある商品(購入を考えていると予想される商品)と同程度のグレードで異なる分野の商品に関する広告情報」を広告情報DB8から抽出する。尚、該当する広告情報が複数ある場合には、複数の広告情報を抽出しても良いし、例えばユーザ情報(年齢、性別、過去の購入履歴等)を考慮して、ユーザに最も効果的な広告情報を抽出しても良い。
【0102】
続いて、S36においてCPU21は、前記S35で抽出した広告情報を、目的地情報の送信元の通信端末6に対して送信する。その結果、通信端末6において広告情報が出力されることとなる(
図13)。
【0103】
その後、S37においてCPU21は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、目的地情報の送信元の通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置と目的地の座標とを比較し、目的地情報の送信元の通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
【0104】
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S37:YES)には、当該移動期間広告情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S37:NO)にはS34へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。
【0105】
続いて、広告情報提供システム1において、広告情報サーバ3が実行する広告料金設定処理プログラムについて
図16に基づき説明する。
図16は本実施形態に係る広告料金設定処理プログラムのフローチャートである。ここで、広告料金設定処理プログラムは、広告情報サーバ3から通信端末6へと広告情報を配信したタイミングで実行され、配信した広告情報の広告料金を設定するプログラムである。尚、以下の
図16にフローチャートで示されるプログラムは、広告情報サーバ3が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21により実行される。
【0106】
先ず、S41においてCPU21は、現時点(即ち広告情報を通信端末6に対して配信したタイミング)が準備期間か移動期間かを判定する。尚、準備期間はユーザが通信端末6において移動することを希望する目的地を登録した後から実際に移動を開始するまでの期間(行程)であり、移動期間はユーザが目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの期間(行程)である。
【0107】
そして、現時点(即ち広告情報を通信端末6に対して配信したタイミング)が準備期間であると判定された場合(S41:YES)には、S42へと移行する。それに対して、現時点(即ち広告情報を通信端末6に対して配信したタイミング)が移動期間であると判定された場合(S41:NO)には、S44へと移行する。
【0108】
S42においてCPU21は、現時点(即ち広告情報を通信端末6に対して配信したタイミング)でのユーザ(広告情報を配信した通信端末6のユーザ)の目的地へ移動する計画に対する計画の具体性を特定する。ここで、目的地へ移動する計画に対する計画の具体性は、目的地への移動開始日時、目的地への到着日時、同行する他のユーザ等の各要素がユーザによって登録されているか否かによって判定する。そして、計画に関する情報量が多い程、計画の具体性が高いと判定される。
【0109】
例えば
図17に示すように“ユーザが移動することを希望する目的地”のみが前述したスケジュール入力画面51(
図8)においてユーザにより入力され、スケジュールとして登録されている場合には、目的地へ移動する計画に対する計画の具体性は低いと判定される。一方で、目的地に加えて目的地への出発日時や到着日時についても入力され、スケジュールとして登録されていれば、目的地へ移動する計画に対する計画の具体性もある程度高いと判定される。更に、目的地への出発日時や到着日時に加えて同行者についても入力され、スケジュールとして登録されていれば、目的地へ移動する計画に対する計画の具体性も極めて高いと判定される。
【0110】
次に、S43においてCPU21は、前記S42で取得された計画の具体性に基づいて今回配信された広告情報の広告料金を設定する。即ち計画の具体性が高い程、その後にユーザが目的地へと実際に移動する可能性も高く、広告の効果も高い(無駄な広告にならない)と推測されるので、広告情報の広告料金をより高額に設定する。例えば、“ユーザが移動することを希望する目的地”のみがスケジュールとして登録されている場合には1配信当たり1円とし、目的地に加えて目的地への出発日時や到着日時がスケジュールとして登録されている場合には1配信当たり3円とし、更に目的地への出発日時や到着日時に加えて同行者もスケジュールとして登録されている場合には1配信当たり5円とする。その後、S46へと移行する。
【0111】
一方、S44においてCPU21は、現時点(即ち広告情報を通信端末6に対して配信したタイミング)が前記S32で区分された区間A~Cのいずれに該当するかを取得する。
【0112】
次に、S45においてCPU21は、前記S44で取得された区間に基づいて今回配信された広告情報の広告料金を設定する。具体的には、目的地と広告情報の出力タイミングとの位置関係を考慮して広告情報の広告料金を設定する。即ち、広告情報を出力する出力タイミングが目的地に近い程、その後にユーザが目的地へと実際に移動する可能性も高く、記憶にも残りやすいことから、広告の効果が高い(無駄な広告にならない)と推測されるので、広告情報の広告料金をより高額に設定する。ここで、移動期間の区間A~Cは前述したように移動開始時点から時系列に沿って区分されており(
図14参照)、
図18に示すようにユーザの現在位置から目的地までの距離又は目的地までの所要時間が多い区間Aでは、目的地を他に変更する可能性も高く、その後にユーザが目的地へと実際に移動する可能性は高いとはいえない。また、目的地に到着するまでに広告内容が記憶から薄れることとなる。従って、広告料金は最も安い1配信当たり7円とする。また、ユーザの現在位置から目的地までの距離又は目的地までの所要時間が比較的少ない区間Bでは、目的地を他に変更する可能性が低くなり、その後にユーザが目的地へと実際に移動する可能性も比較的高いと考える。また、広告の内容が比較的ユーザの記憶に残りやすい。従って、広告料金は2番目に高い1配信当たり10円とする。また、ユーザの現在位置から目的地までの距離又は目的地までの所要時間が最も少ない区間Cでは、目的地を他に変更する可能性はほとんどなく、その後にユーザが目的地へと実際に移動する可能性も極めて高いと考える。また、目的地に直前であることから広告の内容がユーザの記憶に残りやすい。従って、広告料金は最も高い1配信当たり12円とする。その後、S46へと移行する。
【0113】
尚、前記S43で設定する準備期間の広告料金と前記S45で設定する移動期間の広告料金とを比較した場合には、広告情報を出力するタイミングが準備期間である場合よりも移動期間である場合に、より高額の広告料金を設定するようにする。準備期間はその後に実際に移動を開始しない可能性もあり、移動期間の方がその後にユーザが目的地へと実際に移動する可能性も高く、広告の効果も高い(無駄な広告にならない)と推測されるからである。また、移動開始前に行った広告の内容はユーザの記憶に残りにくく、移動開始後に比べると広告効果が小さいとも推測される。
【0114】
次に、S46においてCPU21は、広告情報の配信に基づいて配信状況DB12を更新する。ここで、配信状況DB12は前述したように各広告対象施設4について、現時点までの広告情報の配信状況を記録したDBである(
図5)。前記S46でCPU21は、配信状況DB12の内、広告情報を配信した広告対象施設4の“現時点までのトータルの広告情報の配信回数”、“現時点までのトータルの広告料金”を夫々更新する。例えば、“現時点までのトータルの広告情報の配信回数”については「+1」加算する。“現時点までのトータルの広告料金”については、前記S43又はS45において設定された広告料金を加算する。
【0115】
その後、S47においてCPU21は、必要に応じて広告対象施設4に対して“現時点までのトータルの広告情報の配信回数”や“現時点までのトータルの広告料金”を通知する。例えば、予め決められた間隔(例えば1週間毎)で通知をしても良いし、“現時点までのトータルの広告料金”が予め設定された金額を超えたり、予め設定された金額に近づいた時点で通知をしても良い。
【0116】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る広告情報提供システム1、広告情報サーバ3及び広告情報サーバ3で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザが移動することを希望する目的地を取得する(S31)とともに、ユーザの目的地までの移動を行う移動行程に対して、出力対象とする広告情報と広告情報を出力する出力タイミングを夫々設定し(S32、S33)、ユーザの現在位置と出力タイミングに従って出力対象とする広告情報をユーザに対して出力する(S36)。その一方で、目的地と出力タイミングとの位置関係に基づいて広告情報の広告料金を設定する(S44、S45)ので、広告効果について考慮したより適切な広告料金の設定を行うことが可能となる。
また、広告情報を出力する出力タイミングが目的地に近い程、より高額の広告料金を設定する(S44、S45)ので、その後に目的地へと実際に移動する可能性が高く、ユーザの記憶にも残り易い広告効果の高い出力タイミングに対して、より高額の広告料金を設定することが可能になるので、広告効果について考慮したより適切な広告料金の設定を行うことが可能となる。
また、移動行程を目的地までの距離又は目的地までの所要時間に基づいて複数の区間に区分し(S32)、区分された各区間の内、少なくとも一の区間に対して出力対象とする広告情報と広告情報を出力する出力タイミングを設定する(S33)ので、目的地へ移動するユーザの行動内容に応じた適切なタイミングで広告情報の提供を行うことが可能となる。
また、区分された区間毎に出力対象となる広告情報を設定する(S33)ので、目的地へ移動するユーザの行動の推移に従い、ユーザの行動内容に対応した広告情報の提供を行うことが可能となる。その結果、目的地への移動を開始したユーザにとって適切な広告情報の提供を行うことを可能にする。
また、ユーザが興味のある商品を特定し、目的地から遠い区間程、ユーザが興味のある商品の広告情報を優先的に出力対象に設定する(S33)ので、ユーザが目的地へ実際に移動する可能性が高くない状態において、広告情報によって目的地を変更させない効果を与えることが可能となる。
また、ユーザが興味のある商品を特定し、移動開始地点と目的地の中間に近い区間程、ユーザが興味のある商品と同じグレードで異なる種類の商品の広告情報を優先的に出力対象に設定する(S33)ので、ユーザが目的地へ実際に移動する可能性がある程度高くなった段階で、ユーザが興味のある商品以外のより多種の広告情報を提供することによって、ユーザの購買意欲を高め、LTVを向上させる効果が期待できる。
また、ユーザが興味のある商品を特定し、目的地に近い区間程、ユーザが興味のある商品と同じ種類でグレードの高い商品に関する広告情報を優先的に出力対象に設定する(S33)ので、ユーザが目的地へ実際に移動する可能性が極めて高くなった段階で、ユーザが興味のある商品よりもグレードの高い(価値の高い)商品の広告情報を提供することによって、顧客単価を上げて、LTVを向上させる効果が期待できる。
また、区間単位で該区間において出力する広告情報の広告料金を設定するので、広告料金の設定処理に係る処理負担を軽減することが可能となる。
【0117】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本実施形態では、実際にユーザ自身が車等の移動手段を用いて目的地へ移動する場合においてユーザに対して広告情報を提供することを前提としているが、ユーザの移動は現実世界の移動ではなく仮想空間上での仮想の移動を対象としても良い。即ち、VR(Virtual Reality)を使って仮想空間上を移動するユーザのアバターが仮想空間の目的地へ移動する場合においてアバターを操作するユーザに対して広告情報を提供するようにしても良い。その場合には通信端末6はVRシステムを構成可能な専用のVRヘッドセット、スマートフォン、PCが該当する。尚、仮想空間上のアバターの操作はVRヘッドセットを使う場合にはリモコンやゲームパッドで行う。PCの場合には、マウスやキーボードで行う。スマートフォンの場合には、タッチパネルで行う。そして、このようなVRに本発明を適用する場合には、前記S11及びS31ではユーザのアバターが移動することを希望する仮想空間上の目的地を通信端末6から取得するようにする。また、ユーザの現在位置はユーザのアバターの仮想空間内での現在位置とする。また、S42では、広告情報を出力するタイミングでのユーザがアバターを目的地へ移動させる計画に対する計画の具体性を特定するようにする。尚、計画の具体性を判断する要素の一つである同行する他のユーザの登録有無については、同行する他のユーザのアバターの登録有無となる。
【0118】
例えば具体例として、VRによる仮想空間が企業の展示会である場合には、目的地は仮想空間上にある企業の出展ブースであっても良いし、出展ブース内にある具体的な展示物であっても良い。また、例えば目的地が企業の出展ブースである場合に、アバターを操作するユーザに対して提供される広告情報は、目的地である企業ブースまでの移動を行うアバターの移動行程に対して、出力対象とする広告情報と広告情報を出力する出力タイミングが夫々設定される(S32、S33)。例えば目的地までの距離が遠い区間A(
図14参照)では会場全体に関する広告情報とし、目的地までの距離が比較的近い区間Bでは目的地の企業ブースと関連する企業の広告情報とし、目的地への到着間近の区間Cでは目的地の企業ブースの広告情報とする。また、準備期間は例えばユーザ展示会への参加申請をした後であって、仮想空間上でユーザがアバターの移動を開始する前の期間が相当し、この準備期間に対しても出力対象とする広告情報と広告情報を出力する出力タイミングが夫々設定される(S12、S13)。例えばアバターの移動を開始するまでの期間が長い区間A(
図11参照)では会場に出展する各企業の広告情報とし、アバターの移動を開始するまでの期間が比較的短い区間Bでは目的地の企業ブースと関連する企業の広告情報とし、アバターの移動を開始する間近の区間Cでは目的地の企業ブースの広告情報とする。尚、アバターの移動を開始する前の準備期間とアバターの移動を開始した後の移動行程とでは広告料金の設定を変えるようにする(S41~S45と同様)。例えば、広告情報を出力するタイミングが準備期間である場合よりも移動期間である場合に、より高額の広告料金を設定するようにする。また、移動行程では、広告情報を出力する出力タイミングが目的地に近い程、より高額の広告料金を設定する。
【0119】
また、本実施形態では前述したように前記S33において出力対象とする広告情報を選択する場合に、広告情報を出力する対象となるユーザのウェブの閲覧履歴、行動履歴(移動履歴、スケジュール)等に基づいてプロファイリングされたユーザのプロファイルデータを用いている。ここで、プロファイルデータの情報量が多ければ、これからユーザが購入しようと考えている商品やユーザが興味のある商品をより正確に推定できる。即ち、ユーザにとってより効果の高い広告情報を選択することが可能となるので、広告料金を設定する際には、プロファイルデータの情報量が多い程、広告料金についてより高額な広告料金を設定するようにしても良い。
【0120】
また、前記S13や前記S33において出力対象とする広告情報を選択する場合に、目的地におけるユーザの行動予定を取得し、行動予定に応じた広告情報を出力するようにしても良い。例えば目的地がキャンプ場であってユーザがアクティビティを行う予定である場合には、行う予定のアクティビティに関する広告情報を出力する。また、目的地がレストランであってユーザがAというメニューを食べる予定である場合には、メニューAに関する広告情報を出力する。更に広告料金を設定する際には、行動予定の具体性について特定し、具体性が高ければ目的地でのユーザの行動に応じた広告情報を選択できる、即ち、ユーザにとってより効果の高い広告情報を選択することが可能となるので、行動予定の具体性が高い程、広告料金についてより高額な広告料金を設定するようにしても良い。尚、目的地におけるユーザの行動予定については、例えば通信端末6に登録したユーザのスケジュール情報から取得したり、ウェブの閲覧履歴に基づいて推定することが可能である。また、ウェブの閲覧履歴に基づいて推定するよりも通信端末6に登録したユーザのスケジュール情報から取得する方が具体性が高いこととなる。また、通信端末6に登録したユーザのスケジュール情報から取得する場合であっても、登録内容が詳細である場合(例えば日時や場所が正確に記載されている場合)には、登録内容が不明確である場合よりも具体性が高いこととなる。
【0121】
また、本実施形態では、前記S45において広告情報を出力するタイミングによって広告料金を設定しているが、広告情報の内容によって広告料金を設定しても良い。例えば、ユーザの目的地に関する広告情報を出力する場合と目的地以外に目的地の候補となる地点に関する広告情報を出力する場合とでは広告料金を変えても良い。ここで、目的地以外に目的地の候補となる地点に関する広告情報は、ユーザに目的地の変更を促す(今後のユーザの行動を大きく変化させる)強い影響のある広告となるので、より高額の広告料金を設定するのが望ましい。
【0122】
また、本実施形態では準備期間及び移動期間を夫々区間A~Cの3つの区間に区分し、各区間に対して出力対象とする広告情報を設定しているが、区分する区間の数は2以下あるいは4以上としても良い。また、必ずしもすべての区間に対して出力対象とする広告情報を設定する必要はなく、一部の区間に対してのみ出力対象とする広告情報を設定しても良い。
【0123】
また、本実施形態では移動期間において出力タイミングが区間A~Cのいずれに該当するかによって広告料金を設定しているが、目的地と出力タイミングとの位置関係に基づいて広告料金を設定できるのであれば、必ずしも区間単位で広告料金を設定する必要はない。例えば、広告情報を出力したタイミングが目的地までの10km以上であれば1配信当たり7円とし、目的地まで10km未満5km以上であれば1配信当たり10円とし、目的地まで5km未満であれば1配信当たり12円としても良い。
【0124】
また、本実施形態では移動期間に対して広告情報の出力タイミングを設定しているが、移動期間は目的地までの移動経路であっても良い。即ち、目的地までの移動経路に対して広告情報の出力タイミングを設定しても良い。
【0125】
また、本実施形態では目的地へ移動する計画に対する計画の具体性は、目的地への移動開始日時、目的地への到着日時、同行する他のユーザの各要素がユーザによって登録されているか否かによって判定しているが、他の要素に基づいて判定しても良い。例えば目的地が宿泊施設である場合には予約の内容によって計画の具体性を判定することも可能である。一例として部屋のみを予約している場合よりも部屋と食事を予約している方が具体性が高いと判定する。また、スケジュールの登録日が新しい目的地への移動計画程、計画の具体性が高いと判定することも可能である
【0126】
また、ユーザが目的地への移動計画を登録する際には、具体的な目的地を登録せず、“ユーザが移動することを希望する目的地のジャンル”のみを初期段階で登録することも可能である。そのような状況であっても登録されたジャンルに該当する広告情報を出力する等の広告情報の出力を行うことは可能であるが、目的地へ移動する計画に対する計画の具体性は極めて低いので広告料金は最も安く設定し(例えば1配信当たり0.5円)、その後に具体的な目的地の場所が登録された段階でより高い広告料金を設定するようにしても良い。
【0127】
また、本実施形態では移動期間において広告情報を出力する出力タイミングが目的地に近い程、広告情報の広告料金をより高額に設定しているが、広告情報の内容によっては目的地に遠い程、広告情報の広告料金をより高額に設定しても良い。例えば、経路周辺にあるコンビニやガソリンスタンドなどの寄り道の対象となる施設の広告情報は、目的地に近い段階よりも遠い段階で出力した方が広告効果が高いと推定されるので、目的地に遠い程、広告情報の広告料金をより高額に設定する。
【0128】
また、本実施形態では広告情報を出力するタイミングが準備期間である場合よりも移動期間である場合に、より高額の広告料金を設定するようにしているが、広告情報の内容によっては移動期間である場合よりも準備期間である場合に、より高額の広告料金を設定するようにしても良い。例えば、旅行用品に関する広告情報は、ユーザがいずれかに旅行する為の準備段階で出力するのが特に効果が高いと推定されるので、準備期間での広告情報の広告料金を特に高額に設定することが可能である。
【0129】
また、本実施形態では広告情報を出力した後に出力したタイミングによって出力した広告情報の広告料金を設定しているが、広告料金は広告情報を出力する前に広告情報毎に設定しておくことも可能である。その場合には、広告料金を安くする出力タイミング(例えば計画の具体性が低い、目的地から遠い)では広告料金が安く設定された広告情報を出力対象とし、広告料金を高くする出力タイミング(例えば計画の具体性が高い、目的地から近い)では広告料金が高く設定された広告情報を出力対象とすることが可能である。
【0130】
また、本実施形態ではユーザに対して出力対象としているのは、広告主である広告対象施設4が商品や興行物などを広く知らせ、人の関心を引きつけること目的として発する広告情報であるが、ユーザの行動を支援できるのであれば広告情報以外の情報を出力しても良い。例えば広告目的でなく施設の場所を案内する情報であっても良い。
【0131】
また、本実施形態では、ユーザの目的地の入力操作に基づいて今回の移動におけるユーザの目的地を設定しているが、ユーザの過去の行動履歴等に基づいてユーザの目的地を推測して設定しても良い。例えば、過去に同じ曜日の同じ時間帯にユーザが頻繁に同一の施設を訪れている場合には、今回の移動の目的地についても同施設であると推測できる。また、夕方以降にショッピングモール等の自宅以外の施設から移動を開始する場合には自宅を目的地と推測することも可能である。
【0132】
また、本実施形態では、ユーザが車両に乗車している状態であることを前提とするが、車両以外の移動手段に乗車している状態であっても良いし、徒歩で移動している状態であっても良い。
【0133】
また、本実施形態では、通信端末6をスマートフォンに適用した例について説明したが、広告情報を表示する機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等に適用することが可能である。また、ナビゲーション装置以外に適用する場合には、ユーザが車で移動する以外の状況、例えば徒歩で移動する状況においても実施可能である。
【0134】
また、本実施形態では、広告情報の配信を行う主体と広告料金を設定する主体はいずれも広告情報サーバ3としているが、広告情報の配信と広告料金の設定は異なるサーバで行うようにしても良い。
【0135】
また、本実施形態では、S12~S15、S32~S35の広告情報の抽出に関する処理とS41~S45の広告料金の設定にかかる処理を広告情報サーバ3が行う構成としているが、通信端末6が行っても良い。即ち、本発明の広告情報提供装置は広告情報サーバ3であっても良いし、通信端末6であっても良い。
【符号の説明】
【0136】
1…広告情報提供システム、3…広告情報サーバ、4…広告対象施設、5…ユーザ、6…通信端末、8…広告情報DB、11…サーバ制御部、21…CPU、22…RAM、23…ROM