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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050835
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】バキュームポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/12 20060101AFI20220324BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20220324BHJP
   F04B 37/16 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
F04C29/12 D
F04C29/00 B
F04B37/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156980
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石井 俊裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 雄佑
【テーマコード(参考)】
3H076
3H129
【Fターム(参考)】
3H076AA16
3H076AA36
3H076BB10
3H076BB40
3H076CC92
3H129AA01
3H129AA17
3H129AB06
3H129BB16
3H129BB32
3H129CC06
3H129CC22
(57)【要約】
【課題】エンジンから取り外す際に、給油パイプがエンジン側に残ることを抑制する。
【解決手段】バキュームポンプ1は、一端部10に潤滑油の入口12が形成され、他端部18に潤滑油の出口20が形成された給油パイプ2と、給油パイプ2の他端部18が挿入される凹部26が形成されたシャフト部28を含むロータ4と、給油パイプ2の他端部18の外周面22に保持された第1弾性体6と、を備え、凹部26の内周面30には、第1弾性体6に係合可能な溝部32が形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に潤滑油の入口が形成され、他端部に前記潤滑油の出口が形成された給油パイプと、
前記給油パイプの前記他端部が挿入される凹部が形成されたシャフト部を含むロータと、
前記給油パイプの前記他端部の外周面に保持された第1弾性体と、を備え、
前記凹部の内周面には、前記第1弾性体に係合可能な溝部が形成された、
バキュームポンプ。
【請求項2】
前記第1弾性体は、環状に構成された、
請求項1に記載のバキュームポンプ。
【請求項3】
前記第1弾性体の外周面は、前記給油パイプの前記一端部側に向かうにつれて前記ロータの回転軸線との距離が大きくなるように傾斜した傾斜面を含む、
請求項1又は2に記載のバキュームポンプ。
【請求項4】
前記ロータの回転軸線に沿った断面において、前記第1弾性体の輪郭は三角形に沿って規定された、
請求項3に記載のバキュームポンプ。
【請求項5】
前記給油パイプの前記他端部の外周面は、前記第1弾性体と前記一端部との間の位置に、前記第1弾性体と隣り合う凸部を含む、
請求項1から4の何れか1項に記載のバキュームポンプ。
【請求項6】
前記凹部の内周面は、
前記凹部の開口端を形成する大径部と、
前記大径部よりも前記凹部の深い位置に形成され、前記大径部よりも直径が小さい小径部と、
前記大径部と前記小径部との間に位置し、前記小径部に近づくにつれて直径が小さくなるように傾斜した傾斜部と、
を含み、
前記溝部は、前記凹部の深さ方向において前記小径部の一部の範囲に形成された、
請求項1から5の何れか1項に記載のバキュームポンプ。
【請求項7】
前記凹部の深さ方向において前記第1弾性体及び前記溝部の各々とは異なる位置に、前記給油パイプの前記他端部の外周面に保持された第2弾性体を更に備える、
請求項1から6の何れか1項に記載のバキュームポンプ。
【請求項8】
前記第1弾性体及び前記溝部は、前記凹部の深さ方向において、前記第2弾性体よりも深い位置に位置する、
請求項7に記載のバキュームポンプ。
【請求項9】
前記ロータの回転軸線に沿った断面において、前記第2弾性体の輪郭はオーバル形状に沿って規定される、
請求項7又は8に記載のバキュームポンプ。
【請求項10】
前記内周面における前記第2弾性体に対向する位置には溝部が形成されていない、
請求項7から9の何れか1項に記載のバキュームポンプ。
【請求項11】
前記シャフト部に係合するカップリングと、
前記カップリングを押えるとともに前記給油パイプの外周側で前記凹部に嵌合するブッシュと、を更に備え、
前記ブッシュは、
前記カップリングを押えるカップリング押え部と、
前記カップリング押え部に接続し、前記凹部の内周面に嵌合する筒状の第1部分と、
前記第1部分における前記カップリング押え部と反対側に接続し、前記第1部分から離れるにつれて前記ロータの径方向における内側に向かうように延在する第2部分と、を含み、
前記径方向における前記第2部分の内側端と前記給油パイプの前記外周面との距離は、前記第1弾性体が圧縮されていない自然状態にあるときの前記径方向における前記第1弾性体の厚さよりも小さい、
請求項1から10の何れか1項に記載のバキュームポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用のバキュームポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のバキュームポンプは、外部から潤滑油が供給されるように、エンジンに取り付けられていることがある。特許文献1に記載のバキュームポンプは、エンジンのカムシャフトに連結されるロータのシャフト部と、一端がシャフト部の凹部にポンプ側のOリングを介して嵌合され、他端がカムシャフトの凹部にエンジン側のOリングを介して嵌合される給油パイプと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-118424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、エンジンに取り付けられているバキュームポンプをエンジンから取り外す際に、給油パイプがシャフト部から抜けて、カムシャフトによって保持されたままとなる虞がある。つまり、給油パイプがエンジン側に残ってしまう虞がある。給油パイプがエンジン側に残ってしまうと、バキュームポンプをエンジンに再び取り付ける(再組立)際の作業性が悪化する。
【0005】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、エンジンから取り外す際に、給油パイプがエンジン側に残ることを抑制できるバキュームポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るバキュームポンプは、一端部に潤滑油の入口が形成され、他端部に潤滑油の出口が形成された給油パイプと、給油パイプの他端部が挿入される凹部が形成されたシャフト部を含むロータと、給油パイプの他端部の外周面に保持された第1弾性体と、を備え、凹部の内周面には、第1弾性体に係合可能な溝部が形成された。
【0007】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、第1弾性体は、環状に構成されてもよい。
【0008】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、第1弾性体の外周面は、給油パイプの一端部側に向かうにつれてロータの回転軸線との距離が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んでもよい。
【0009】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の構成において、ロータの回転軸線に沿った断面において、第1弾性体の輪郭は三角形に沿って規定されてもよい。
【0010】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)の何れか1つに記載の構成において、給油パイプの他端部の外周面は、第1弾性体と一端部との間の位置に、第1弾性体と隣り合う凸部を含んでもよい。
【0011】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)の何れか1つに記載の構成において、凹部の内周面は、凹部の開口端を形成する大径部と、大径部よりも凹部の深い位置に形成され、大径部よりも直径が小さい小径部と、大径部と小径部との間に位置し、小径部に近づくにつれて直径が小さくなるように傾斜した傾斜部と、を含み、溝部は、凹部の深さ方向において小径部の一部の範囲に形成されてもよい。
【0012】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)から(6)の何れか1つに記載の構成において、凹部の深さ方向において第1弾性体及び溝部の各々とは異なる位置に、給油パイプの他端部の外周面に保持された第2弾性体を更に備えてもよい。
【0013】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)に記載の構成において、第1弾性体及び溝部は、凹部の深さ方向において、第2弾性体よりも深い位置に位置してもよい。
【0014】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)又は(8)に記載の構成において、ロータの回転軸線に沿った断面において、第2弾性体の輪郭はオーバル形状に沿って規定されてもよい。
【0015】
(10)幾つかの実施形態では、上記(7)から(9)の何れか1つに記載の構成において、内周面における第2弾性体に対向する位置には溝部が形成されていなくてもよい。
【0016】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)から(10)の何れか1つに記載の構成において、シャフト部に係合するカップリングと、カップリングを押えるとともに給油パイプの外周側で凹部に嵌合するブッシュと、を更に備え、ブッシュは、カップリングを押えるカップリング押え部と、カップリング押え部に接続し、凹部の内周面に嵌合する筒状の第1部分と、第1部分におけるカップリング押え部と反対側に接続し、第1部分から離れるにつれてロータの径方向における内側に向かうように延在する第2部分と、を含み、径方向における第2部分の内側端と給油パイプの外周面との距離は、第1弾性体が圧縮されていない自然状態にあるときの径方向における第1弾性体の厚さよりも小さくてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示のバキュームポンプによれば、エンジンから取り外す際に、給油パイプがエンジン側に残ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係るバキュームポンプの構成を示す断面図である。
図2】本開示の一実施形態に係るバキュームポンプの斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係るシャフト部の凹部及び給油パイプの他端部の構成をより具体的に説明するための図であって、図1の一部を拡大した断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係るシャフト部の凹部及び給油パイプの他端部の構成を示す図である。
図5】本開示の一実施形態に係る第1弾性体の斜視図である。
図6】本開示の一実施形態に係るブッシュの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0020】
本開示の一実施形態に係るバキュームポンプは、例えば、自動車等の車両におけるブレーキブースター(マスターバック)の負圧室内を負圧にするためのポンプである。このようなバキュームポンプは、例えば、エンジンの駆動力でバキュームポンプのロータを回転させるようになっている。また、このようなバキュームポンプは、例えば、バキュームポンプのロータを滑らかに回転させるために、エンジンからバキュームポンプの給油パイプを介して潤滑油が供給されるようになっている。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係るバキュームポンプ1の構成を示す断面図である。図1には、エンジン100にバキュームポンプ1が取り付けられている状態が図示されている。図1に示すように、バキュームポンプ1は、給油パイプ2と、ロータ4と、第1弾性体6と、を含む。
【0022】
以下において、バキュームポンプ1におけるロータ4の回転軸線Oが延びる軸方向を単に「軸方向」とし、ロータ4の周方向を単に「周方向」とし、ロータ4の径方向を単に「径方向」とする。
【0023】
給油パイプ2は、筒形状を有し、内部に潤滑油が流れる給油通路8が形成されている。給油パイプ2の一端部10には、潤滑油の入口12が形成されている。この給油パイプ2の一端部10は、エンジン100のカムシャフト102の内部に形成される潤滑油が流れる流路104の出口を形成する出口部106に挿入されている。つまり、給油パイプ2の給油通路8は、カムシャフト102の流路104と連通している。給油パイプ2の一端部10は、潤滑油の漏れを防止するため、外周面14にOリング16を保持している。より具体的には、給油パイプ2の一端部10の外周面14には環状の溝17が形成されており、Oリング16はこの溝17に装着されている。
【0024】
他方、給油パイプ2の他端部18には、潤滑油の出口20が形成されている。出口20を通過した潤滑油は、ロータ4の内部に形成された潤滑油流路25を通って、不図示のバキュームポンプ1のポンプ室内に供給される。給油パイプ2の他端部18は、潤滑油の漏れを防止するため、外周面22にOリング24(第2弾性体)を保持している。より具体的には、給油パイプ2の他端部18の外周面22には環状の溝27が形成されており、Oリング24はこの溝27に装着されている。
【0025】
ロータ4は、ロータ4を駆動させるエンジン100のカムシャフト102に連結されるシャフト部28を含む。図1に例示する形態では、シャフト部28は、カップリング44を介して、カムシャフト102に連結されているが、具体的な説明は後述する。尚、図1には、ロータ4の一部であるシャフト部28が図示されているが、残りの一部は不図示である。
【0026】
シャフト部28には、給油パイプ2の他端部18が挿入される凹部26が形成されている。図1に例示する形態では、シャフト部28は、バキュームポンプ1のハウジング31内に配置される基部34、及び基部34の軸方向の一端36から突出する係合部38を含む。シャフト部28の凹部26の開口端40は、係合部38の突出面42に形成されている。シャフト部28の凹部26は、この開口端40から軸方向に沿ってシャフト部28の基部34まで延在している。
【0027】
シャフト部28の凹部26の内周面30には、第1弾性体6に係合可能な環状の溝部32が形成されている。図1に例示する形態では、エンジン100にバキュームポンプ1が取り付けられている状態において、第1弾性体6の少なくとも一部が溝部32の内部に位置している。言い換えると、エンジン100からバキュームポンプ1を抜き取る際に、溝部32の軸方向のエンジン100側の側面33に第1弾性体6が引っ掛かるようになっている、あるいは当接するようになっている。この溝部32の側面33は、軸方向と直交するように構成されてもよいが、第1弾性体6と係合可能であるならば、軸方向と直交する断面に対して傾斜するように構成されてもよい。
【0028】
第1弾性体6は、例えば、環状に構成されており、給油パイプ2の他端部18の外周面22に嵌合している。このような構成によれば、環状の第1弾性体6を給油パイプ2の他端部18の外周面22に簡単に保持させることができる。尚、第1弾性体6は、環状に限定されるものではない。別の一実施形態では、第1弾性体6は、給油パイプ2の他端部18の外周面22の周方向の一部に保持される。また、別の一実施形態では、複数の第1弾性体6のそれぞれが、周方向に沿って互いに離間するように給油パイプ2の他端部18の外周面22の一部に保持される。
【0029】
図1に例示する形態では、バキュームポンプ1は、ロータ4のシャフト部28に係合するカップリング44をさらに備える。カップリング44は、筒形状を有しており、カップリング44内にシャフト部28の係合部38が位置するように、シャフト部28の係合部38に嵌合している。シャフト部28は、このカップリング44を介してエンジン100のカムシャフト102に連結されている。つまり、ロータ4を駆動する駆動力は、エンジン100のカムシャフト102からカップリング44を介してロータ4のシャフト部28に伝達されるようになっている。
【0030】
図1に例示する形態では、バキュームポンプ1はブッシュ45をさらに備える。図2は、本開示の一実施形態に係るバキュームポンプ1の斜視図であって、ブッシュ45の構成を説明するための図である。図1及び図2に示すように、ブッシュ45は、筒形状を有し、上述したカップリング44を押えるとともに、給油パイプ2の外周側(径方向における外側)でシャフト部28の凹部26に嵌合する。このようなブッシュ45は、カップリング44を押えるカップリング押え部47と、カップリング押え部47に接続し、シャフト部28の凹部26の内周面30に嵌合する筒状の第1部分49と、を含む。カップリング押え部47の一部47aは係合部38よりも径方向外側に位置しており、筒形状を有するカップリング44の抜け止めとして機能するようになっている。
【0031】
本開示の一実施形態に係るバキュームポンプ1の作用・効果について説明する。図1に例示する形態によれば、給油パイプ2の他端部18の外周面22には第1弾性体6が保持されている。この第1弾性体6はシャフト部28の凹部26の内周面30に形成された溝部32と係合可能となっている。このため、エンジン100に取り付けられているバキュームポンプ1をエンジン100から取り外す際に、給油パイプ2の第1弾性体6をシャフト部28の溝部32に係合させ、シャフト部28とともに給油パイプ2をエンジン100から抜き取ることができる。よって、エンジン100から取り外す際に、給油パイプ2がエンジン100側に残ることを抑制できる。
【0032】
シャフト部28の凹部26及び給油パイプ2の他端部18の構成について、より具体的に説明する。図3は、本開示の一実施形態に係るシャフト部28の凹部26及び給油パイプ2の他端部18の構成をより具体的に説明するための図であって、図1の一部を拡大した断面図である。
【0033】
図3に例示する形態では、シャフト部28の凹部26の内周面30は、大径部46と、小径部48と、傾斜部50と、を含む。大径部46及び小径部48のそれぞれは、軸方向に沿ってストレート状に延在している。大径部46は、シャフト部28の凹部26の開口端40を形成している。小径部48は、大径部46よりもシャフト部28の凹部26の深い位置に形成され、大径部46よりも直径が小さい。傾斜部50は、大径部46と小径部48との間に位置し、小径部48に近づくにつれて直径が小さくなるように傾斜している。このような構成によれば、シャフト部28の凹部26は、シャフト部28の凹部26の深さが浅い位置から順に大径部46、傾斜部50、及び小径部48を含むので、給油パイプ2を凹部26の奥まで簡単に挿入することができる。
【0034】
図3に例示する形態では、溝部32は、シャフト部28の凹部26の深さ方向において小径部48の一部の範囲に形成されており、第1弾性体6と係合可能に形成されている。このような構成によれば、大径部46や傾斜部50に溝部32を形成する場合と比較して、容易に第1弾性体6を係合させることができる。また、エンジン100にバキュームポンプ1が取り付けられている状態において、小径部48におけるOリング24に対向する位置には溝部が形成されていない。つまり、小径部48におけるOリング24の軸方向の一方端から他方端までの範囲Aに含まれる位置には溝部が形成されていない。このような構成によれば、Oリング24を小径部48に強固に密着させ、該Oリング24による潤滑油の漏れ防止の効果をより高めることができる。
【0035】
図3に例示する形態では、Oリング24(第2弾性体)は、シャフト部28の凹部26の深さ方向において第1弾性体6及び溝部32の各々とは異なる位置に設けられている。より具体的には、Oリング24は、シャフト部28の凹部26の深さ方向において第1弾性体6及び溝部32の各々よりも深い位置に設けられている。このような構成によれば、エンジン100に再組立てする際の作業性の悪化を抑制するとともに、Oリング24で潤滑油の漏れを防止することができる。つまり、エンジン100に再組立てする際の作業性の悪化の抑制と潤滑油の漏れ防止とを両立することができる。
【0036】
尚、本開示は、Oリング24が、シャフト部28の凹部26の深さ方向において第1弾性体6及び溝部32の各々よりも深い位置に設けられることに限定しない。図4に示すように、別の一実施形態では、第1弾性体6及び溝部32は、シャフト部28の凹部26の深さ方向において、Oリング24よりも深い位置に設けられる。このような構成によれば、エンジン100から取り外す際に、給油パイプ2がエンジン100側に残ることを抑制できるとともに、給油パイプ2をシャフト部28の凹部26に挿入する際におけるOリング24の破損を抑制することができる。
【0037】
図3に例示する形態では、Oリング24(第2弾性体)は、ロータ4の回転軸線Oに沿った断面の断面形状において、円形状を有している。このような構成によれば、給油パイプ2をシャフト部28の凹部26に挿入する際に、Oリング24によって給油パイプ2の挿入が阻害されない。
【0038】
尚、本開示は、Oリング24の断面形状を円形状に限定するものではない。Oリング24(第2弾性体)は、ロータの回転軸線Oに沿った断面において、卵形、長円形、楕円形、又は角丸長方形などのオーバル形状に沿って規定されてもよい。このオーバル形状は、径方向外側に凸となる滑らかな曲線のみによって規定される閉曲線、又は、径方向外側に凸となる滑らかな曲線と直線とによって規定される閉じた線である。
【0039】
図3に例示する形態では、第1弾性体6の外周面は、給油パイプ2の他端部18側に向かうにつれてロータ4の回転軸線Oとの距離が小さく(一端部10側に向かうにつれてロータ4の回転軸線Oとの距離が大きく)なるように傾斜した傾斜面52を含む。このような構成によれば、第1弾性体6は給油パイプ2の他端部18側に向かうにつれて先細りとなるので、給油パイプ2をシャフト部28の溝部32までスムーズに挿入することができる。
【0040】
第1弾性体6が上述した傾斜面52を含む場合、ロータ4の回転軸線Oに沿った断面において、第1弾性体6の輪郭は三角形に沿って規定されてもよい。図3に例示する実施形態では、第1弾性体6の輪郭は直角三角形であり、傾斜面52が直角三角形の斜辺に相当している。このような構成によれば、給油パイプ2をシャフト部28の溝部32までスムーズに挿入することができる。さらに、一旦、給油パイプ2をシャフト部28の溝部32まで挿入すると、エンジン100に取り付けられているバキュームポンプ1を取り外す際に、第1弾性体6を溝部32に係合させ、シャフト部28から給油パイプ2を抜けにくくすることができる。
【0041】
尚、第1弾性体6が上述した傾斜面52を含む場合、第1弾性体6の輪郭は三角形に沿って規定されることに限定されない。例えば、図5に示すように、第1弾性体6は錐台状に構成されてもよい。また、図3に例示する形態では、第1弾性体6の輪郭は直角三角形であったが、本開示は、この実施形態に限定されない。例えば、三角形の各角が丸みを帯びていてもよい。
【0042】
図3に例示する形態では、給油パイプ2の他端部18の外周面22は、第1弾性体6と一端部10との間の位置に、第1弾性体6と隣り合う凸部54を含む。この凸部54は径方向における外側に向けて突出している。このような構成によれば、給油パイプ2の他端部18の外周面22に保持されている第1弾性体6が、例えば、給油パイプ2をシャフト部28の凹部26に挿入する際に、給油パイプ2の一端部10側に移動することを抑止できる。
【0043】
図6は、本開示の一実施形態に係るブッシュ45の構成を示す断面図である。図6に示すように、ブッシュ45は、第2部分56をさらに含んでもよい。この第2部分56は、第1部分49におけるカップリング押え部47と反対側に接続し、第1部分49から離れるにつれて径方向における内側に向かうように延在している。そして、径方向における第2部分56の内側端58と給油パイプ2の他端部18の外周面22との距離d1は、第1弾性体6が圧縮されていない自然状態にあるときの径方向における第1弾性体6の厚さxよりも小さい。
【0044】
このような構成によれば、エンジン100に取り付けられているバキュームポンプ1をエンジン100から取り外す際に、給油パイプ2の他端部18の外周面22に保持されている第1弾性体6をブッシュ45に係合させ、シャフト部28とともに給油パイプ2を抜き取ることができる。このため、エンジン100から取り外す際に、給油パイプ2がエンジン100側に残ることを抑制できる。
【0045】
以上、本開示の一実施形態に係るバキュームポンプについて説明したが、本開示は上記の形態に限定されるものではなく、本開示の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 バキュームポンプ
2 給油パイプ
4 ロータ
6 第1弾性体
10 給油パイプの一端部
12 給油パイプの入口
18 給油パイプの他端部
20 給油パイプの出口
22 給油パイプの他端部の外周面
24 Oリング(第2弾性体)
26 シャフト部の凹部
28 シャフト部
30 凹部の内周面
32 溝部
40 凹部の開口端
44 カップリング
45 ブッシュ
46 大径部
47 カップリング押え部
48 小径部
49 第1部分
50 傾斜部
52 傾斜面
54 凸部
56 第2部分
58 内側端

O 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6