(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050847
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】濃淡バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/62 20060101AFI20220324BHJP
F23D 14/08 20060101ALI20220324BHJP
F23C 99/00 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
F23D14/62
F23D14/08 H
F23C99/00 329
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157000
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴大
【テーマコード(参考)】
3K017
3K065
【Fターム(参考)】
3K017AA10
3K017AC01
3K017AD04
3K017AD11
3K017CA10
3K017CB09
3K017CE03
3K065TA14
3K065TC02
(57)【要約】
【課題】淡炎口1とその両側に位置する一対の濃炎口2とを有する濃淡バーナであって、淡混合気用のガスノズルを設けずに済み、且つ、高さ寸法を短縮できるようにしたものを提供する。
【解決手段】バーナ本体3を覆うバーナキャップ4の下部に、前端の流入口51から後方にのびる濃混合管部5が設けられ、この濃混合管部5からの濃混合気がバーナキャップ4とバーナ本体3との間の流路を介して濃炎口2に供給される。また、バーナ本体3の下部に、濃混合管部5の後部52の横方向内側に重なる淡混合管部と、後端の流入口81から淡混合管部に向けて前方にのびる空気管部とが設けられる。濃混合管部5からの濃混合気が淡混合管部に合致するバーナ本体3の部分に形成した連通孔を介して淡混合管部内に流入して、淡混合管部内に空気管部から流入する一次空気と混合して淡混合気が生成され、この淡混合気がバーナ本体内の流路を介して淡炎口1に供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の横方向両側に位置し、淡混合気よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する一対の濃炎口とを有する濃淡バーナであって、
バーナ構成部材として、横方向に対峙する一対の側板を有し、これら両側板の上端部間に淡炎口が画成されるバーナ本体と、バーナ本体を横方向両側から覆う一対の側板を有し、この側板の上端部とバーナ本体の側板の上端部との間に濃炎口が画成されるバーナキャップとを備えるものにおいて、
バーナキャップの両側板の下部に、燃料ガスと一次空気とが流入する前端の流入口から後方にのびる濃混合気用の濃混合管部が設けられ、この濃混合管部からの濃混合気がバーナキャップの各側板とバーナ本体の各側板との間に画成される濃混合気用流路を介して濃炎口に供給されると共に、
バーナ本体の両側板の下部に、濃混合管部の後部の横方向内側に重なる淡混合管部と、一次空気のみが流入する後端の流入口から淡混合管部に向けて前方にのびる空気管部とが設けられ、バーナ本体の両側板の淡混合管部に合致する部分に複数の連通孔が形成され、濃混合管部からの濃混合気が連通孔を介して淡混合管部内に流入して、淡混合管部内に空気管部から流入する一次空気と混合して淡混合気が生成され、この淡混合気がバーナ本体の両側板間に画成される淡混合気用流路を介して淡炎口に供給されることを特徴とする濃淡バーナ。
【請求項2】
前記濃混合管部の前記濃混合気用流路との接続部分に、断面積を前記連通孔の総開口面積よりも所定割合狭くした狭窄部が設けられることを特徴とする請求項1記載の濃淡バーナ。
【請求項3】
前記淡混合管部は、前記空気管部よりも横幅が狭いことを特徴とする請求項1又は2記載の濃淡バーナ。
【請求項4】
前記淡混合管部の前後方向中心位置は、前記濃混合管部の前記流入口と前記空気管部の前記流入口との間の前後方向中心位置と同等又はそれより後方に位置することを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の濃淡バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端部に、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の横方向両側に位置し、淡混合気よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する一対の濃炎口とを有する濃淡バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の濃淡バーナでは、一般的に、バーナ下部に、前端の流入口から後方にのびる淡混合気用の淡混合管部と、この淡混合管部の上方に位置させて、前端の流入口から後方にのびる濃混合気用の濃混合管部とを備えており、淡混合管部の流入口にこれに臨ませた淡混合気用のガスノズルから燃料ガスを供給すると共に、濃混合管部の流入口にこれに臨ませた濃混合気用のガスノズルから燃料ガスを供給している(例えば、特許文献1参照)。このものでは、淡混合気用と濃混合気用の2つのガスノズルが必要となり、コストが高くなる。
【0003】
そこで、従来、淡混合気用のガスノズルが不要な濃淡バーナとして、特許文献2に記載のものが知られている。このものは、バーナ構成部材として、横方向に対峙する一対の側板を有し、これら両側板の上端部間に淡炎口が画成されるバーナ本体と、バーナ本体を横方向両側から覆う一対の側板を有し、この側板の上端部とバーナ本体の側板の上端部との間に濃炎口が画成されるバーナキャップとを備えている。また、バーナキャップの両側板の下部に、燃料ガスと一次空気とが流入する前端の流入口から若干後方にのびる濃混合気用の濃混合管部が設けられ、この濃混合管部からの濃混合気がバーナキャップの各側板とバーナ本体の各側板との間に画成される濃混合気用流路を介して濃炎口に供給されるようにしている。更に、バーナ本体の両側板の下部に濃混合管部の下方に位置させて、一次空気のみが流入する前端の流入口から後方にのびる空気管部が設けられると共に、空気管部の流入口寄り部分に設けられた淡混合部に合致するバーナ本体の両側板の部分に複数の連通孔が形成され、濃混合管部の後部を下方に屈曲させて淡混合部の横方向外側に重ねている。そして、濃混合気が濃混合管部の後部から連通孔を介して淡混合部内に流入し、淡混合部内で濃混合気と一次空気とが混合して淡混合気が生成され、この淡混合気が淡混合部より後方に位置する空気管部の後端からバーナ本体の両側板間に画成される淡混合気用流路を介して淡炎口に供給されるようにしている。
【0004】
特許文献2に記載のものでは、濃混合管部の流入口に臨ませて濃混合気用のガスノズルを設けるだけで、淡混合気用のガスノズルを設けずに済み、コストダウンを図ることができる利点がある。然し、このものは、濃混合管部の下方に空気管部を設ける関係で、濃混合管部の下方に淡混合管部を設ける上記前者の従来例のものと同様に、バーナの高さ寸法が大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-120805号公報
【特許文献2】特開2003-240212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、淡混合気用のガスノズルを設けずに済み、且つ、高さ寸法を短縮できるようにした濃淡バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、上端部に、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の横方向両側に位置し、淡混合気よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する一対の濃炎口とを有する濃淡バーナであって、バーナ構成部材として、横方向に対峙する一対の側板を有し、これら両側板の上端部間に淡炎口が画成されるバーナ本体と、バーナ本体を横方向両側から覆う一対の側板を有し、この側板の上端部とバーナ本体の側板の上端部との間に濃炎口が画成されるバーナキャップとを備えるものにおいて、バーナキャップの両側板の下部に、燃料ガスと一次空気とが流入する前端の流入口から後方にのびる濃混合気用の濃混合管部が設けられ、この濃混合管部からの濃混合気がバーナキャップの各側板とバーナ本体の各側板との間に画成される濃混合気用流路を介して濃炎口に供給されると共に、バーナ本体の両側板の下部に、濃混合管部の後部の横方向内側に重なる淡混合管部と、一次空気のみが流入する後端の流入口から淡混合管部に向けて前方にのびる空気管部とが設けられ、バーナ本体の両側板の淡混合管部に合致する部分に複数の連通孔が形成され、濃混合管部からの濃混合気が連通孔を介して淡混合管部内に流入して、淡混合管部内に空気管部から流入する一次空気と混合して淡混合気が生成され、この淡混合気がバーナ本体の両側板間に画成される淡混合気用流路を介して淡炎口に供給されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、上記従来例と同様に、濃混合管部の流入口に臨ませて濃混合気用のガスノズルを設けるだけで、淡混合気用のガスノズルを設けずに済む。更に、空気管部を濃混合管部と上下方向同等位置に設けることができ、濃混合管部の下方に空気管部を設ける上記従来例のものに比し、バーナの高さ寸法を短縮することができる。
【0009】
ところで、濃淡バーナでは、淡炎口から噴出する淡混合気の燃焼で主炎を形成し、濃炎口から噴出する濃混合気の燃焼で主炎を保炎する袖火を形成するため、濃混合管部の下流端から濃混合気用流路に供給される濃混合気の量よりも連通孔を介して淡混合管部内に供給される濃混合気の量を多くする必要がある。
【0010】
そこで、本発明においては、濃混合管部の濃混合気用流路との接続部分に、断面積を連通孔の総開口面積よりも所定割合狭くした狭窄部を設けることが望ましい。これによれば、濃混合気用流路に供給される濃混合気の量が狭窄部で絞られ、連通孔を介して淡混合管部内に供給される濃混合気の量が多くなる。
【0011】
更に、淡混合管部は、空気管部よりも横幅が狭いことが望ましい。これによれば、淡混合管部内に流れる一次空気の流速が上がり、淡混合管部の外側に重なる濃混合管部の部分との圧力差が大きくなって、淡混合管部内に連通孔を介して供給される濃混合気の量が多くなり、適正な量の淡混合気を生成することができる。
【0012】
また、本発明において、淡混合管部の前後方向中心位置は、濃混合管部の流入口と空気管部の流入口との間の前後方向中心位置と同等又はそれより後方に位置することが望ましい。これによれば、濃混合管部の前端の流入口から淡混合管部に重なる濃混合管部の後部までの距離を比較的長く確保できる。その結果、燃料ガスと一次空気との混合が十分な状態で濃混合気が淡混合管部内に流入し、淡混合気の空燃比にバラツキを生ずることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図1のIII-III線で切断した切断平面図。
【
図4】実施形態の濃淡バーナの構成部材であるバーナ本体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1、
図2を参照して、本発明の実施形態の濃淡バーナは、上端部に、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口1と、淡炎口1の横方向両側に位置し、淡混合気よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する一対の濃炎口2,2とを有する。
【0015】
濃淡バーナは、その構成部材として、横方向に対峙する一対の側板31,31を有し、これら両側板31,31の上端部間に淡炎口1が画成されるバーナ本体3と、バーナ本体5を横方向両側から覆う一対の側板41,41を有し、この側板41の上端部とバーナ本体3の側板31の上端部との間に濃炎口2が画成されるバーナキャップ4とを備える。また、淡炎口1には、淡炎口1を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板11aを有する整流部材11が装着されている。整流部材11の前後複数箇所には、複数の整流板11aを横方向に密着させて淡炎口1を前後複数のブロックに区画する絞り部11bが設けられている。更に、
図4に示す如く、バーナ本体3の各側板31の上部に、整流部材11の横方向最外側の整流板11aに接するように横方向内方に窪む凹部31aを形成し、この凹部31aより上方の各側板31の部分と横方向最外側の整流板11aとの間に、混合気が噴出しない、淡炎口1の横方向外側に隣接する還流域用の空隙12を画成している。
【0016】
バーナキャップ4の両側板41,41の下部には、これらをプレス加工することで形成した、燃料ガスと一次空気とが流入する前端の流入口51から後方にのびる濃混合気用の濃混合管部5が設けられている。そして、この濃混合管部5からの濃混合気がバーナキャップ4の各側板41とバーナ本体3の各側板31との間に画成される濃混合気用流路6を介して濃炎口2に供給されるようにしている。
【0017】
図3、
図4に明示されているように、バーナ本体3の両側板31,31の下部には、これらをプレス加工することで形成した、濃混合管部5の後部52の横方向内側に重なる淡混合管部7と、一次空気のみが流入する後端の流入口81から淡混合管部7に向けて前方にのびる空気管部8とが設けられている。尚、バーナキャップ4の各側板41の下部の空気管部8に合致する部分には、空気管部8の外面に密着する絞り部41aが形成されている。
【0018】
バーナ本体3の両側板31,31の淡混合管部7に合致する部分には、複数の連通孔71が形成されている。そのため、濃混合管部5からの濃混合気が連通孔71を介して淡混合管部7内に流入し、この濃混合気が淡混合管部7内に空気管部8から流入する一次空気と混合して淡混合気が生成される。そして、この淡混合気がバーナ本体3の両側板31,31間に画成される淡混合気用流路9を介して淡炎口1に供給される。
【0019】
ここで、本実施形態の濃淡バーナでは、上記従来例と同様に、濃混合管部5の流入口51に臨ませて濃混合気用のガスノズルを設けるだけで、淡混合気用のガスノズルを設けずに済む。更に、空気管部8を濃混合管部5と上下方向同等位置に設けることができ、濃混合管部の下方に空気管部を設ける上記従来例のものに比し、バーナの高さ寸法を短縮することができる。
【0020】
ところで、上記従来例では、前端の流入口から後方にのびる空気管部の流入口寄りの部分に淡混合部が設けられているため、濃混合管部の前端の流入口から淡混合部に重なる濃混合管部の部分までの距離が短い。その結果、燃料ガスと一次空気との混合が不十分な状態で濃混合気が淡混合部に流入してしまい、この濃混合気と一次空気との混合で生成される淡混合気の空燃比にバラツキを生じてしまう。
【0021】
そこで、本実施形態では、
図3に明示する如く、淡混合管部7の前後方向中心位置O
1を、濃混合管部5の流入口51と空気管部8の流入口81との間の前後方向中心位置O
2と同等にしている。これによれば、混合管部5の流入口51から淡混合管部7に重なる濃混合管部5の後部52までの距離を比較的長く確保できる。その結果、燃料ガスと一次空気との混合が十分な状態で濃混合気が淡混合管部7内に流入し、淡混合気の空燃比にバラツキを生ずることを防止できる。
【0022】
また、濃混合管部5は、その後部52の淡混合管部7に重なる部分から上方にのびて濃混合気用流路6に接続されている。そして、濃混合管部5の濃混合気用流路6との接続部分に、前後方向幅を小さくして断面積を連通孔71の総開口面積の所定割合に狭めた狭窄部53を設けている。
【0023】
ここで、濃淡バーナでは、淡炎口1から噴出する淡混合気の燃焼で主炎を形成し、濃炎口2から噴出する濃混合気の燃焼で主炎を保炎する袖火を形成するため、濃混合管部5の下流端から濃混合気用流路6に供給される濃混合気の量よりも連通孔71を介して淡混合管部7内に供給される濃混合気の量を多くする必要がある。本実施形態では、濃混合気用流路6に供給される濃混合気の量を濃混合管部5の濃混合気用流路6との接続部分に設けた狭窄部53で絞ることにより、連通孔71を介して淡混合管部7内に供給される濃混合気の量を多くすることができる。
【0024】
更に、本実施形態では、淡混合管部7の横幅を空気管部8の横幅よりも狭くしている。これによれば、淡混合管部7内に流れる一次空気の流速が上がり、淡混合管部7の外側に重なる濃混合管部5の部分との圧力差が大きくなる。そのため、淡混合管部7内に連通孔71を介して供給される濃混合気の量が多くなり、適正な量の淡混合気を生成することができる。尚、狭窄部53の断面積の連通孔71の総開口面積に対する割合である上記所定割合は、淡炎口1から噴出する淡混合気の空燃比が所定の設定値になり、且つ、濃混合気噴出量と淡混合気噴出量との比が所定の設定比になるように決定される。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、淡混合管部7の前後方向中心位置O1が濃混合管部5の流入口51と空気管部8の流入口81との間の前後方向中心位置O2と同等であるが、淡混合管部7の前後方向中心位置O1を、濃混合管部5の流入口51と空気管部8の流入口81との間の前後方向中心位置O2より後方に位置させてもよい。また、濃混合管部5を淡混合管部7に重なる後部52よりも手前で上方に分岐させて濃混合気用流路6に接続することも可能である。この場合は、濃混合気流路6との接続部分となる濃混合管部5の分岐管部分に狭窄部53を設ければよい。
【符号の説明】
【0026】
1…淡炎口、2…濃炎口、3…バーナ本体、31…バーナ本体の側板、4…バーナキャップ、41…バーナキャップの側板、5…濃混合管部、51…流入口、52…濃混合管部の後部、53…狭窄部、6…濃混合気用流路、7…淡混合管部、71…連通孔、8…空気管部、81…流入口、9…淡混合気用流路、O1…淡混合管部の前後方向中心位置、O2…濃混合管部の流入口と空気管部の流入口との間の前後方向中心位置。