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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050866
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】変調器、及び超指向性音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157035
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】特許業務法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安武 憲太郎
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA44
(57)【要約】
【課題】オーディオ信号と再生音とのリニアリティを向上する。
【解決手段】変調器1は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報の信号レベルの、オーディオ信号の信号レベルに対する変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなるように、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対して演算処理を行う包絡線情報処理部12を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ信号の包絡線を抽出することによって包絡線情報を生成する包絡線抽出部と、
前記包絡線抽出部が生成した包絡線情報の信号レベルの、前記オーディオ信号の信号レベルに対する変化率が、前記オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなるように、前記包絡線抽出部が生成した包絡線情報に対して演算処理を行う包絡線情報処理部と、
搬送波信号を生成する搬送波信号生成部と、
前記包絡線情報処理部が演算処理を行った包絡線情報に基づいて、前記搬送波信号生成部が生成した搬送波信号を振幅変調することによって、包絡線搬送波信号を生成する包絡線搬送波信号生成部と、
前記オーディオ信号に基づいて、前記搬送波信号生成部が生成した搬送波信号をSSB変調することによって、SSB変調信号を生成するSSB変調信号生成部と、を備えていることを特徴とする、変調器。
【請求項2】
前記包絡線情報処理部は、前記演算処理として累乗根処理を行う累乗根処理部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の変調器。
【請求項3】
前記包絡線情報処理部は、前記包絡線抽出部が生成した包絡線情報に対してノイズゲート処理を行うノイズゲート処理部をさらに備え、
前記累乗根処理部は、前記ノイズゲート処理部がノイズゲート処理を行った包絡線情報に対して前記累乗根処理を行うことを特徴とする、請求項2に記載の変調器。
【請求項4】
前記包絡線情報処理部は、前記包絡線抽出部が生成した包絡線情報に対してエクスパンダー処理を行うエクスパンダー処理部をさらに備え、
前記累乗根処理部は、前記エクスパンダー処理部がエクスパンダー処理を行った包絡線情報に対して前記累乗根処理を行うことを特徴とする、請求項2に記載の変調器。
【請求項5】
前記包絡線搬送波信号生成部が生成した包絡線搬送波信号と、前記SSB変調信号生成部が生成したSSB変調信号とを加算する加算部をさらに備えていることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の変調器。
【請求項6】
請求項5に記載の変調器と、
前記加算部が加算した信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器が増幅した信号に基づいて超音波を発生する超音波エミッタと、を備えていることを特徴とする、超指向性音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超指向性の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声の指向性を高める超指向性の技術では、超音波帯域の搬送波が用いられる。そのような技術の例として、特許文献1に記載の超指向性音響装置が挙げられる。当該超指向性音響装置は、オーディオ信号の包絡線情報に基づいて超音波帯域の搬送波信号を振幅変調することにより包絡線搬送波信号を生成する一方で、当該オーディオ信号に基づいて当該搬送波信号をSSB変調することによりSSB変調信号を生成する。当該超指向性音響装置は、生成した包絡線搬送波信号とSSB変調信号とを加算し、加算した信号を増幅器で増幅し、増幅した信号を超音波エミッタに供給することにより超音波を放射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-22347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の包絡線搬送波信号を用いた超指向性音響装置では、元となるオーディオ信号の信号レベルの変動に比べて、再生音に相当する、包絡線搬送波とSSB変調波との差音の音圧レベルの変動が大きくなり、オーディオ信号と再生音とのリニアリティに問題がある。
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、オーディオ信号と再生音とのリニアリティを向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る変調器は、オーディオ信号の包絡線を抽出することによって包絡線情報を生成する包絡線抽出部と、包絡線抽出部が生成した包絡線情報の信号レベルの、オーディオ信号の信号レベルに対する変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなるように、包絡線抽出部が生成した包絡線情報に対して演算処理を行う包絡線情報処理部と、搬送波信号を生成する搬送波信号生成部と、包絡線情報処理部が演算処理を行った包絡線情報に基づいて、搬送波信号生成部が生成した搬送波信号を振幅変調することによって、包絡線搬送波信号を生成する包絡線搬送波信号生成部と、オーディオ信号に基づいて、搬送波信号生成部が生成した搬送波信号をSSB変調することによって、SSB変調信号を生成するSSB変調信号生成部と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、オーディオ信号と再生音とのリニアリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る超指向性音響装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る超指向性音響装置の変調器による変調方法を示すフローチャートである。
図3】実施の形態1に係る変調器の包絡線情報処理部による包絡線情報処理の具体例を説明するためのグラフである。
図4】実施の形態1に係る変調器の包絡線情報処理部による包絡線情報処理の具体例を説明するためのグラフである。
図5】実施の形態1に係る累乗根処理部の累乗根処理による効果を説明するための両対数グラフである。
図6図6Aは、実施の形態1に係る超指向性音響装置の変調器の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Bは、実施の形態1に係る超指向性音響装置の変調器の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態2に係る超指向性音響装置の構成を示すブロック図である。
図8】実施の形態2に係る超指向性音響装置の変調器による変調方法を示すフローチャートである。
図9】実施の形態2に係る変調器の包絡線情報処理部による包絡線情報処理の具体例を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述の従来の地指向性音響装置において、超音波エミッタから放射される包絡線搬送波の音圧レベルと変調波の音圧レベルとは、それぞれ、オーディオ信号のレベルに比例して大きくなる。また、空気中で可聴帯域に自己復調した可聴帯域の、包絡線搬送波とSSB変調波との差音も、オーディオ信号のレベルに比例して大きくなる。しかし、オーディオ信号の信号レベルに対する、包絡線搬送波とSSB変調波との差音の変化率は、オーディオ信号の信号レベルに対する包絡線搬送波の音圧レベルの変化率、及びオーディオ信号の信号レベルに対する変調波の音圧レベルの変化率よりも大きくなるという問題がある。例えば、超音波である搬送波の音圧レベルと変調波の音圧レベルとがそれぞれ25dB上昇した場合、再生音となる可聴域の差音のレベルは、50dB上昇してしまう(「鎌倉友男、酒井新一、野村英之著 日本音響学会誌74巻 6 号 (2018),p345 352 パラメトリックアレイとその特徴」参照)。以下で説明する実施の形態1は、上記のような問題を解決するためになされたものである。
【0009】
以下、本開示をより詳細に説明するため、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る超指向性音響装置100の構成を示すブロック図である。図1が示すように、超指向性音響装置100は、変調器1、増幅器2、及び超音波エミッタ3を備えている。変調器1は、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15、及び加算部16を備えている。
ゲイン調整部10は、オーディオ信号に対してゲイン調整を行う。より詳細には、実施の形態1では、ゲイン調整部10は、オーディオ信号の信号レベルを、後述する包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12、包絡線搬送波信号生成部14及びSSB変調信号生成部15の各処理が可能なレベルに調整する。ゲイン調整部10は、ゲイン調整を行ったオーディオ信号を包絡線抽出部11及びSSB変調信号生成部15にそれぞれ出力する。
【0010】
包絡線抽出部11は、オーディオ信号の包絡線を抽出することによって包絡線情報を生成する。より詳細には、実施の形態1では、包絡線抽出部11は、ゲイン調整部10がゲイン調整を行ったオーディオ信号の包絡線を抽出することによって包絡線情報を生成する。包絡線抽出部11は、生成した包絡線情報を包絡線情報処理部12に出力する。より具体的には、例えば、包絡線抽出部11は、一定時間毎に上記のオーディオ信号のレベル値を検出し、順次検出した値を連続させたものを包絡線情報として出力する。なお、当該検出処理では、例えば、包絡線抽出部11は、オーディオ信号の可聴音声成分の変化を精度よく表すようにサンプリングし、オーディオ信号の包絡線を忠実に抽出する。また、包絡線は、後述する超音波エミッタ3から出力させる超音波帯域の搬送波を制御するものなので、例えば、包絡線抽出部11は、当該搬送波を可聴音声帯域で変調することにならないように、包絡線が高くても数十[Hz]程度までの周波数で変化するように抽出する。
【0011】
包絡線情報処理部12は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報の信号レベルの、オーディオ信号の信号レベルに対する変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなるように、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対して演算処理を行う。
【0012】
より詳細には、実施の形態1では、包絡線情報処理部12は、累乗根処理部20を備えている。累乗根処理部20は、上記の演算処理として、累乗根処理を行う。より具体的には、累乗根処理部20は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対して、上記の演算処理としてn乗根処理を行う(n>1)。
【0013】
さらに詳細には、実施の形態1では、包絡線情報処理部12は、ノイズゲート処理部21をさらに備えている。ノイズゲート処理部21は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対してノイズゲート処理を行う。そして、累乗根処理部20は、ノイズゲート処理部21がノイズゲート処理を行った包絡線情報に対して累乗根処理を行う。累乗根処理部20は、累乗根処理を行った包絡線情報を包絡線搬送波信号生成部14に出力する。
【0014】
なお、上記のように、実施の形態1では、包絡線情報処理部12の累乗根処理部20が包絡線情報に対して累乗根処理を行う構成について説明する。しかし、包絡線情報処理部12は、少なくとも、包絡線情報の信号レベルの変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなるように、包絡線情報に対して演算処理を行えばよく、当該構成に限定されない。
【0015】
搬送波信号生成部13は、搬送波信号を生成する。より詳細には、搬送波信号生成部13は、超音波帯域の搬送波信号を生成する。搬送波信号生成部13は、生成した搬送波信号を包絡線搬送波信号生成部14及びSSB変調信号生成部15にそれぞれ出力する。
【0016】
包絡線搬送波信号生成部14は、包絡線情報処理部12が演算処理を行った包絡線情報に基づいて、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号を振幅変調することによって、包絡線搬送波信号を生成する。換言すれば、包絡線搬送波信号生成部14は、累乗根処理部20が累乗根処理を行った包絡線情報と、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号とを掛算することによって包絡線搬送波信号を生成する。包絡線搬送波信号生成部14は、生成した包絡線搬送波信号を加算部16に出力する。
【0017】
SSB変調信号生成部15は、オーディオ信号に基づいて、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号をSSB変調することによって、SSB変調信号を生成する。より詳細には、実施の形態1では、SSB変調信号生成部15は、ゲイン調整部10がゲイン調整を行ったオーディオ信号に基づいて、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号をSSB変調することによって、SSB変調信号を生成する。なお、ここにおけるSSBは、Single Side Bandの略である。SSB変調信号生成部15は、生成したSSB変調信号を加算部16に出力する。
【0018】
加算部16は、包絡線搬送波信号生成部14が生成した包絡線搬送波信号と、SSB変調信号生成部15が生成したSSB変調信号とを加算する。加算部16は、加算した信号を増幅器2に出力する。
【0019】
増幅器2は、加算部16が加算した信号を増幅する。増幅器2は、増幅した信号を超音波エミッタ3に出力する。
超音波エミッタ3は、増幅器2が増幅した信号に基づいて超音波を出力する。超音波エミッタ3が出力した超音波は、空気中で可聴帯域に自己復調する。
【0020】
なお、実施の形態1では、変調器1が加算部16を備えている構成について説明するが、変調器1は、加算部16を備えていなくてもよい。その場合、増幅器2は、包絡線搬送波信号生成部14が生成した包絡線搬送波信号と、SSB変調信号生成部15が生成したSSB変調信号とをそれぞれ増幅し、超音波エミッタ3は、増幅器2が増幅した包絡線搬送波信号に基づいて超音波を出力し、また、増幅器2が増幅したSSB変調信号に基づいて別の超音波を出力する。これらの超音波は、空気中で混合され、可聴帯域に自己復調する。
【0021】
以下で、実施の形態1に係る超指向性音響装置100の変調器1の動作について図面を参照して説明する。図2は、実施の形態1に係る超指向性音響装置100の変調器1による変調方法を示すフローチャートである。なお、変調器1は、以下で説明する各ステップが実行する前に、超指向性音響装置100の外部からオーディオ信号を取得したものとする。
【0022】
図2が示すように、ゲイン調整部10は、オーディオ信号に対してゲイン調整を行う(ステップST1)。ゲイン調整部10は、ゲイン調整を行ったオーディオ信号を包絡線抽出部11及びSSB変調信号生成部15にそれぞれ出力する。
【0023】
次に、包絡線抽出部11は、ゲイン調整部10がゲイン調整を行ったオーディオ信号の包絡線を抽出することによって包絡線情報を生成する(ステップST2)。包絡線抽出部11は、生成した包絡線情報を包絡線情報処理部12に出力する。
【0024】
次に、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対してノイズゲート処理を行う(ステップST3)。ノイズゲート処理部21は、ノイズゲート処理を行った包絡線情報を累乗根処理部20に出力する。
【0025】
次に、包絡線情報処理部12の累乗根処理部20は、ノイズゲート処理部21がノイズゲート処理を行った包絡線情報に対して累乗根処理を行う(ステップST4)。累乗根処理部20は、累乗根処理を行った包絡線情報を包絡線搬送波信号生成部14に出力する。
【0026】
一方で、搬送波信号生成部13は、搬送波信号を生成する(ステップST5)。搬送波信号生成部13は、生成した搬送波信号を包絡線搬送波信号生成部14及びSSB変調信号生成部15にそれぞれ出力する。
【0027】
次に、包絡線搬送波信号生成部14は、包絡線情報処理部12が演算処理を行った包絡線情報に基づいて、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号を振幅変調することによって、包絡線搬送波信号を生成する(ステップST6)。包絡線搬送波信号生成部14は、生成した包絡線搬送波信号を加算部16に出力する。
【0028】
次に、SSB変調信号生成部15は、ゲイン調整部10がゲイン調整を行ったオーディオ信号に基づいて、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号をSSB変調することによって、SSB変調信号を生成する(ステップST7)。SSB変調信号生成部15は、生成したSSB変調信号を加算部16に出力する。
【0029】
次に、加算部16は、包絡線搬送波信号生成部14が生成した包絡線搬送波信号と、SSB変調信号生成部15が生成したSSB変調信号とを加算する(ステップST8)。加算部16は、加算した信号を増幅器2に出力する。
増幅器2は、加算部16がステップST8で加算した信号を増幅する。超音波エミッタ3は、増幅器2が増幅した信号に基づいて超音波を出力する。
【0030】
以下で、実施の形態1に係る超指向性音響装置100の変調器1による変調方法における包絡線情報処理の具体例について図面を参照して説明する。図3及び図4は、それぞれ、実施の形態1に係る変調器1の包絡線情報処理部12による包絡線情報処理の具体例を説明するためのグラフである。図3及び図4において、横軸は、オーディオ信号の信号レベルを示し、縦軸は、包絡線情報の信号レベルを示す。
【0031】
より詳細には、図3は、上述のステップST3においてノイズゲート処理部21が包絡線情報に対してノイズゲート処理を行わずに、上述のステップST4において累乗根処理部20が、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対して累乗根処理を行った場合における、オーディオ信号の信号レベルと包絡線情報の信号レベルとのグラフを示す。図4は、上述のステップST3においてノイズゲート処理部21が包絡線情報に対してノイズゲート処理を行い、上述のステップST4において累乗根処理部20が、ノイズゲート処理部21がノイズゲート処理を行った包絡線情報に対して累乗根処理を行った場合における、オーディオ信号の信号レベルと包絡線情報の信号レベルとのグラフを示す。
【0032】
図3が示すように、累乗根処理部20による累乗根処理によって、オーディオ信号の信号レベルに対する、包絡線情報の信号レベルの変化率(図3の各曲線の傾き)は、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなっている。また、図3が示すように、累乗根処理部20によるn乗根処理のnが大きくなればなるほど、図3の各曲線がなだらかになっている。つまり、累乗根処理部20によるn乗根処理のnが大きくなればなるほど、当該変化率が小さくなっていく割合が小さくなる。
【0033】
図3が示すグラフの例のように、包絡線情報に対してノイズゲート処理を行わない場合、nの値を大きくするとノイズなどの不要な小レベルの信号も増大する。しかし、図4が示すグラフの例のように、包絡線情報に対してノイズゲート処理を行った場合、不要な小レベルの信号を除去できる。
【0034】
より具体的には、例えば、ノイズゲート処理部21は、上述のステップST3において、元となったオーディオ信号の信号レベルが無音に対応する信号レベルである場合の包絡線情報の信号レベル(搬送波信号生成部13が搬送波を出力しない包絡線搬送波信号の信号レベル)を閾値(図4では0.2)とし、信号レベルが当該閾値以下の包絡線情報を除去する。これにより、図4が示すように、不要な小レベルの信号を除去でき、オーディオ信号の信号レベルが無音に対応する信号レベルなどの低い信号レベルまで小さくなった場合には、超音波を出力しないため、省電力化を実現する効果、及び超音波による暴露を低減する効果を奏することができる。
【0035】
以下で、当該具体例における累乗根処理による効果について説明する。図5は、累乗根処理による効果を説明するための両対数グラフである。図5において、横軸は、オーディオ信号の信号レベルを示し、縦軸は、超音波エミッタ3が出力した超音波の音圧レベルを示す。図5のAは、上述のステップST4において累乗根処理部20が包絡線情報に対して累乗根処理を行わなかった場合に、超音波エミッタ3が出力した包絡線搬送波とSSB変調波との差音の音圧レベルを示す。図5のBは、上述のステップST4において累乗根処理部20が包絡線情報に対して累乗根処理を行った場合に、超音波エミッタ3が出力した包絡線搬送波とSSB変調波との差音の音圧レベルを示す。図5のCは、超音波エミッタ3が包絡線搬送波信号に基づいて出力した包絡線搬送波の音圧レベル、及び超音波エミッタ3がSSB変調信号に基づいて出力したSSB変調波の音圧レベルを示す。
【0036】
図5のA及びBが示すように、図5のBが示す、オーディオ信号の信号レベルに対する差音の音圧レベルの変化率(図5のBの傾き)は、図5のAが示す、オーディオ信号の信号レベルに対する差音の音圧レベルの変化率(図5のAの傾き)よりも小さくなっている。つまり、上述のステップST4において累乗根処理部20が包絡線情報に対して累乗根処理を行うことにより、オーディオ信号の信号レベルの変動に対する差音の音圧レベルの変動が小さくなっている。これにより、図5のBが示す、オーディオ信号の信号レベルに対する差音の音圧レベルの変化率(図5のBの傾き)は、図5のCが示す、オーディオ信号の信号レベルに対する包絡線搬送波の音圧レベルの変化率及びSSB変調波の音圧レベルの変化率とそれぞれ同等になり、リニアリティが改善されている。
【0037】
上記の効果の理由は以下の通りである。つまり、累乗根処理が行われた包絡線情報は、オーディオ信号の信号レベルに対する信号レベルの変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなる。そのような包絡線情報に基づいて生成された包絡線搬送波信号も、オーディオ信号の信号レベルに対する信号レベルの変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなる。そして、そのような包絡線搬送波信号に基づいて出力された包絡線搬送波とSSB変調波との差音は、オーディオ信号の信号レベルの変動に対する音圧レベルの変動が小さくなるため、オーディオ信号に対するリニアリティが改善される。
【0038】
超指向性音響装置100の変調器1における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、超指向性音響装置100の変調器1は、図2に示した各ステップの処理を実行するための処理回路を備える。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0039】
図6Aは、超指向性音響装置100の変調器1の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Bは、超指向性音響装置100の変調器1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
【0040】
上記処理回路が図6Aに示す専用のハードウェアの処理回路30である場合、処理回路30は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0041】
超指向性音響装置100の変調器1における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16の各機能を別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0042】
上記処理回路が図6Bに示すプロセッサ31である場合、超指向性音響装置100の変調器1における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。
なお、ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ32に記憶される。
【0043】
プロセッサ31は、メモリ32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、超指向性音響装置100の変調器1における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16の各機能を実現する。すなわち、超指向性音響装置100の変調器1は、これらの各機能がプロセッサ31によって実行されるときに、図3及び図4に示した各ステップの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ32を備える。
【0044】
これらのプログラムは、超指向性音響装置100の変調器1における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16の各手順又は方法をコンピュータに実行させる。メモリ32は、コンピュータを、超指向性音響装置100の変調器1における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0045】
プロセッサ31には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
【0046】
メモリ32には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically-EPROM)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0047】
超指向性音響装置100の変調器1における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16の各機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。
【0048】
例えば、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11並びに包絡線情報処理部12のノイズゲート処理部21及び累乗根処理部20の各機能は、専用のハードウェアとしての処理回路で機能を実現する。搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15及び加算部16については、プロセッサ31がメモリ32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現してもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせにより上記機能のそれぞれを実現することができる。
【0049】
以上のように、実施の形態1に係る変調器1は、オーディオ信号の包絡線を抽出することによって包絡線情報を生成する包絡線抽出部11と、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報の信号レベルの、オーディオ信号の信号レベルに対する変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなるように、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対して演算処理を行う包絡線情報処理部12と、搬送波信号を生成する搬送波信号生成部13と、包絡線情報処理部12が演算処理を行った包絡線情報に基づいて、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号を振幅変調することによって、包絡線搬送波信号を生成する包絡線搬送波信号生成部14と、オーディオ信号に基づいて、搬送波信号生成部13が生成した搬送波信号をSSB変調することによって、SSB変調信号を生成するSSB変調信号生成部15と、を備えている。
【0050】
上記の構成によれば、演算処理が行われた包絡線情報は、オーディオ信号の信号レベルに対する信号レベルの変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなる。これにより、オーディオ信号の信号レベルの変動に対する、包絡線搬送波とSSB変調波との差音の音圧レベルの変動を抑制することができる。よって、オーディオ信号と再生音とのリニアリティを向上することができる。
【0051】
上述のように、従来の超指向性音響装置では、元となるオーディオ信号のレベル変動に比べて、包絡線搬送波とSSB変調波との差音の音圧レベルの変動が大きくなるというリニアリティの問題がある。これにより、例えば、小レベルのオーディオ信号が入力された場合、人間の聴感において、不自然な程小さい可聴音声として感じてしまうという問題が生じる。しかし、実施の形態1に係る変調器1の上記の構成によれば、オーディオ信号の信号レベルに対する、包絡線搬送波とSSB変調波との差音の音圧レベルの変動を抑制することができ、オーディオ信号と再生音とのリニアリティを向上することができるため、上記のような問題も解消することができる。
【0052】
実施の形態1に係る変調器1における包絡線情報処理部12は、上述の演算処理として累乗根処理を行う累乗根処理部20を備えている。
上記の構成によれば、累乗根処理が行われた包絡線情報は、オーディオ信号の信号レベルに対する信号レベルの変化率が、オーディオ信号の信号レベルが大きくなるに従って徐々に小さくなる。これにより、オーディオ信号の信号レベルに対する、包絡線搬送波とSSB変調波との差音の音圧レベルの変動を抑制することができる。よって、オーディオ信号と再生音とのリニアリティを向上することができる。
【0053】
実施の形態1に係る変調器1における包絡線情報処理部12は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対してノイズゲート処理を行うノイズゲート処理部21をさらに備え、累乗根処理部20は、ノイズゲート処理部21がノイズゲート処理を行った包絡線情報に対して累乗根処理を行う。
【0054】
上記の構成によれば、不要な小レベルの信号を除去できる。また、これにより、不要な超音波を発生しないことによって、省電力化を実現する効果、及び超音波による暴露を低減する効果を奏することができる。
【0055】
実施の形態1に係る変調器1は、包絡線搬送波信号生成部14が生成した包絡線搬送波信号と、SSB変調信号生成部15が生成したSSB変調信号とを加算する加算部16をさらに備えている。
【0056】
上記の構成によれば、包絡線搬送波信号とSSB変調信号とが加算された信号に基づいて超音波を適宜出力することにより、オーディオ信号に対するリニアリティに優れた包絡線搬送波とSSB変調波との差音を発生することができる。
【0057】
実施の形態1に係る超指向性音響装置100は、実施の形態1に係る変調器1と、加算部16が加算した信号を増幅する増幅器2と、増幅器2が増幅した信号に基づいて超音波を発生する超音波エミッタ3と、を備えている。
上記の構成によれば、超指向性音響装置100において、実施の形態1に係る変調器1が奏する上述の各効果を奏することができる。
【0058】
実施の形態2.
実施の形態1では、不要な小レベルの信号を除去するために、包絡線情報に対してノイズゲート処理を行う構成について説明した。実施の形態2では、ノイズゲート処理の代わりに、包絡線情報に対してエクスパンダー処理を行う構成について説明する。
【0059】
以下で、実施の形態2について図面を参照して説明する。なお、実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。図7は、実施の形態2に係る超指向性音響装置101の構成を示すブロック図である。図7が示すように、実施の形態1に係る超指向性音響装置100と比較して、超指向性音響装置101は、変調器40の包絡線情報処理部41がノイズゲート処理部21の代わりにエクスパンダー処理部42(伸長器)を備えている。
【0060】
エクスパンダー処理部42は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対してエクスパンダー処理を行う。なお、ここにおけるエクスパンダー処理とは、閾値以下の包絡線情報の信号レベルを小さくする処理を意味する。エクスパンダー処理部42は、エクスパンダー処理を行った包絡線情報を累乗根処理部20に出力する。
【0061】
実施の形態2に係る累乗根処理部20は、エクスパンダー処理部42がエクスパンダー処理を行った包絡線情報に対して累乗根処理を行う。累乗根処理部20は、累乗根処理を行った包絡線情報を包絡線搬送波信号生成部14に出力する。
【0062】
以下で、実施の形態2に係る超指向性音響装置101の変調器40の動作について図面を参照して説明する。図8は、実施の形態2に係る超指向性音響装置101の変調器40による変調方法を示すフローチャートである。なお、以下で説明する実施の形態2に係る変調方法のステップST10及びステップST11、並びにステップST14からステップST17までの各ステップは、実施の形態1に係る変調方法のステップST1及びステップST2、並びにステップST5からステップST8までの各ステップと同様である。そのため、実施の形態2に係る変調方法のステップST10及びステップST11、並びにステップST14からステップST17までの各ステップについての説明を省略する。
【0063】
図8が示すように、エクスパンダー処理部42は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対してエクスパンダー処理を行う(ステップST12)。エクスパンダー処理部42は、エクスパンダー処理を行った包絡線情報を累乗根処理部20に出力する。
【0064】
次に、累乗根処理部20は、エクスパンダー処理部42がエクスパンダー処理を行った包絡線情報に対して累乗根処理を行う(ステップST13)。累乗根処理部20は、累乗根処理を行った包絡線情報を包絡線搬送波信号生成部14に出力する。
【0065】
以下で、実施の形態2に係る超指向性音響装置101の変調器40による変調方法における包絡線情報処理の具体例について図面を参照して説明する。図9は、実施の形態2に係る変調器40の包絡線情報処理部41による包絡線情報処理の具体例を説明するためのグラフである。より詳細には、図9は、横軸がオーディオ信号の信号レベルであり、縦軸が上述のステップST13の処理後の包絡線情報の信号レベルであるグラフを示す。
【0066】
図9が示すように、当該具体例では、エクスパンダー処理部42は、上述のステップST12において、エクスパンダーが動作する閾値を任意のオーディオ信号レベル(図9では0.2)に合わせ、当該閾値以下の包絡線情報の信号レベルを小さくする。これにより、小レベルのオーディオ信号に基づいた音声が完全に無音とならず、滑らかに聴こえるようにしつつ、ノイズなどの不要な小レベル信号に基づいた超音波のレベルを小さくすることができ、省電力化を実現する効果、及び超音波による暴露を低減する効果を奏することができる。
【0067】
なお、実施の形態2に係る超指向性音響装置101の変調器40における、ゲイン調整部10、包絡線抽出部11、包絡線情報処理部41のエクスパンダー処理部42及び累乗根処理部20、搬送波信号生成部13、包絡線搬送波信号生成部14、SSB変調信号生成部15並びに加算部16の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、実施の形態2に係る超指向性音響装置101は、図8に示したステップST10からステップST17までの処理を実行するための処理回路を備える。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。実施の形態2に係る超指向性音響装置101の変調器40の機能を実現するハードウェア構成は、図6Aが示すハードウェア構成と同様である。また、実施の形態2に係る超指向性音響装置101の変調器40の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成は、図6Bが示すハードウェア構成と同様である。
【0068】
以上のように、実施の形態2に係る変調器40における包絡線情報処理部41は、包絡線抽出部11が生成した包絡線情報に対してエクスパンダー処理を行うエクスパンダー処理部42をさらに備え、累乗根処理部20は、エクスパンダー処理部42がエクスパンダー処理を行った包絡線情報に対して累乗根処理を行う。
【0069】
上記の構成によれば、小レベルの信号を適度に小さくすることができる。これにより、小レベルのオーディオ信号に基づいた音声を適度に発生することができる。また、これにより、不要な小レベルの信号に基づいた超音波のレベルを小さくすることができるため、省電力化を実現する効果、及び超音波による暴露を低減する効果を奏することができる。
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示に係る変調器は、オーディオ信号と再生音とのリニアリティを向上することができるため、超指向性の技術に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 変調器、2 増幅器、3 超音波エミッタ、10 ゲイン調整部、11 包絡線抽出部、12 包絡線情報処理部、13 搬送波信号生成部、14 包絡線搬送波信号生成部、15 SSB変調信号生成部、16 加算部、20 累乗根処理部、21 ノイズゲート処理部、30 処理回路、31 プロセッサ、32 メモリ、40 変調器、41 包絡線情報処理部、42 エクスパンダー処理部、100 超指向性音響装置、101 超指向性音響装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9