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特開2022-50936ガスコック姿勢変更制限機構、及びそれを備えたガス調理器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050936
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】ガスコック姿勢変更制限機構、及びそれを備えたガス調理器
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/26 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
F23N5/26 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157135
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】市川 惠
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068LA01
3K068MA01
(57)【要約】
【課題】非使用状態にあるガス調理器のガスコックの操作部が意図せず閉止姿勢から開放姿勢へ変更することを防止する。
【解決手段】ガス本管Gの直管部位G1の管軸P周りで回動自在な回動部材本体80を有し、回動部材本体80の管軸P周りでの回動を介して、ガスコックKの操作部K1を閉止姿勢に維持する閉止維持状態と操作部K1の開放姿勢を許容する開放許容状態とを切り換え可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス調理器本体に対し使用状態で使用者側の側面の外側に沿う状態で設けられる直管部位を有するガス本管と、当該ガス本管からガス使用部へガスを供給するガス供給支管を通流するガスの流量を調整するガスコックとを備えたガス調理器のガスコック姿勢変更制限機構であって、
前記ガス本管の前記直管部位の管軸周りで回動自在な回動部材本体を有し、前記回動部材本体が前記管軸周りでの回動を介して、前記ガスコックの操作部を閉止姿勢に維持する閉止維持状態と前記操作部の開放姿勢を許容する開放許容状態とに切り換え可能に構成されているガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項2】
前記回動部材本体と一体的に回動すると共に前記閉止維持状態において前記閉止姿勢にある前記操作部に対し前記操作部の前記閉止姿勢から前記開放姿勢への姿勢変更方向と逆方向である当接方向から当接する当接部と、当該当接部の前記操作部への当接状態を維持する当接状態維持部とを有する請求項1に記載のガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項3】
前記当接部は、前記回動部材本体の前記管軸周りで且つ前記当接方向で先端側に設けられると共に、前記閉止維持状態において前記閉止姿勢の前記操作部の外形に沿う凹欠形状を有し、
前記当接状態維持部は、前記回動部材本体の前記管軸周りで且つ前記当接方向において前記当接部よりも先端側で、前記閉止維持状態において前記操作部に係止する係止部であり、
前記管軸に沿った方向から視る管軸方向視において、前記管軸と前記係止部との距離は、前記管軸と前記閉止姿勢にある前記操作部との距離よりも長く構成されている請求項2に記載のガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項4】
前記当接状態維持部は、前記回動部材本体を前記当接方向へ付勢する付勢部材である請求項2又は3に記載のガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項5】
前記回動部材本体は、前記閉止維持状態において前記使用者から視認可能な表面部位と、前記開放許容状態において前記使用者から視認可能で且つ当該表面部位の裏側の裏面部位とを有し、前記表面部位と前記裏面部位とは前記回動部材本体の前記管軸周りの回動に伴って各別に前記使用者側へ向けることが可能に設けられ、
前記表面部位及び前記裏面部位の何れか一方には、視覚強調効果のある視覚強調部が設けられている請求項1~4の何れか一項に記載のガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項6】
前記回動部材本体は、前記閉止維持状態における前記管軸周りでの角度位置と、前記開放許容状態における前記管軸周りでの角度位置とが異なる角度位置に設定されている請求項1~5の何れか一項に記載のガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項7】
前記回動部材本体は、前記閉止維持状態と前記開放許容状態との双方において、前記操作部の前記閉止姿勢と前記開放姿勢との間での移動平面に沿う平板部を備え、
当該平板部には、前記閉止姿勢の前記操作部を収納する閉止収納開孔部と、すべての前記開放姿勢の前記操作部を収納可能な開放収納開孔部とが設けられている請求項1に記載のガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項8】
前記閉止収納開孔部と前記開放収納開孔部とは連続した一の開孔として形成され、
前記閉止収納開孔部と前記開放収納開孔部の間には、前記回動部材本体の平板部が前記操作部の前記移動平面に沿う位置での前記操作部の移動を規制する移動規制突起部が設けられている請求項7に記載のガスコック姿勢変更制限機構。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のガスコック姿勢変更制限機構を備えたガス調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス調理器本体に対し使用状態で使用者側の側面の外側に沿う状態で設けられる直管部位を有するガス本管と、当該ガス本管からガス使用部へガスを供給するガス供給支管を通流するガスの流量を調整するガスコックとを備えたガス調理器のガスコック姿勢変更制限機構、及びそれを備えたガス調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、調理施設にて使用されるガス調理器は、例えば、当該ガス調理器のガス調理器本体に対し、使用状態で使用者側の側面の外側に沿って設けられるガス本管と、当該ガス本管からバーナ等のガス使用部へガスを供給するガス供給支管を通流するガスの流量を調整するガスコックとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
当該ガス調理器は、ガスコックをひとつずつ開放姿勢とし、当該開放したガスコックに対応するバーナ等のガス使用部を火移り用の点火棒にて着火し、着火後は、使用者の手動により、状況においてガスコックを操作することでガス使用部での火炎の大きさを調整する形で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-82105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなガス調理器では、例えば経済性の観点から、立ち消え安全装置が搭載されていないものが使用されており、当該ガス調理器では、ガスコックが閉止姿勢にありガス使用部が非使用状態にあるときに、使用者等の身体の一部や衣服等がガスコックに接触し、ガスコックが回動して開放姿勢へ変化する場合がある。この場合、ガス使用部がコンロのバーナであるときには、当該バーナからガスが調理室内へ漏洩してしまうことになる。また、ガス使用部がガスオーブン内部のバーナであるときには、ガスオーブンの庫内にガスが充満し、次の点火時に、庫内に充満したガスに引火し、ガスオーブンの蓋部が勢いよく開いて使用者が怪我をする恐れもある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、非使用状態にあるガス調理器のガスコックの操作部が意図せず閉止姿勢から開放姿勢へ変更することを防止できるガスコック姿勢変更制限機構、及びそれを備えたガス調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのガスコック姿勢変更制限機構は、ガス調理器本体に対し使用状態で使用者側の側面の外側に沿う状態で設けられる直管部位を有するガス本管と、当該ガス本管からガス使用部へガスを供給するガス供給支管を通流するガスの流量を調整するガスコックとを備えたガス調理器のガスコック姿勢変更制限機構であって、その特徴構成は、
前記ガス本管の前記直管部位の管軸周りで回動自在な回動部材本体を有し、前記回動部材本体が前記管軸周りでの回動を介して、前記ガスコックの操作部を閉止姿勢に維持する閉止維持状態と前記操作部の開放姿勢を許容する開放許容状態とに切り換え可能に構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、一般的に、ガス調理器本体に対し使用状態で使用者側の側面に沿う状態で設けられるガス本管の直管部位に対して、回動部材本体を当該直管部位の管軸周りで回動自在に設けるから、当該回動部材本体を管軸周りで回動することにより、ガス管の直管部位に対して所定の距離に設けられるガスコックの操作部に対して、当接して閉止姿勢に維持する閉止維持状態と、当接せずに開放状態を許容する開放許容状態とを容易に切り替えることができるガスコック姿勢変更制限機構を実現できる。
即ち、当該作用効果は、回動部材本体と一体的に回動すると共に閉止維持状態において閉止姿勢にある操作部に対し操作部の閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更方向と逆方向である当接方向から当接する当接部を有することで、より良好に実現できる。
特に、上記構成を採用すれば、ガスコックがガス管の直管部位に沿って複数設けられる場合にも、ガスコック姿勢変更制限機構の一の操作により、複数のガスコックのすべてを、閉止維持状態と開放許容状態との何れかの状態とすることができ、高い操作性を実現できる。
以上より、非使用状態にあるガス調理器のガスコックの操作部が意図せず閉止姿勢から開放姿勢へ変更することを防止できるガスコック姿勢変更制限機構を実現できる。
【0008】
ガスコック姿勢変更制限機構の更なる特徴構成は、
前記回動部材本体と一体的に回動すると共に前記閉止維持状態において前記閉止姿勢にある前記操作部に対し前記操作部の前記閉止姿勢から前記開放姿勢への姿勢変更方向と逆方向である当接方向から当接する当接部と、当該当接部の前記操作部への当接状態を維持する当接状態維持部とを有する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、当接部が、回動部材本体と一体的に回動すると共に閉止維持状態において閉止姿勢にあるガスコックの操作部に対し当該操作部の閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更方向と逆方向である当接方向から当接すると共に、当接状態維持部が、当接部の操作部への当接状態を維持するから、閉止姿勢にある操作部への当接部の当接状態が当接状態維持部により維持されることになるので、ガスコック姿勢変更制限機構による閉止姿勢維持状態を良好に維持することができる。
【0010】
ガスコック姿勢変更制限機構の更なる特徴構成は、
前記当接部は、前記回動部材本体の前記管軸周りで且つ前記当接方向で先端側に設けられると共に、前記閉止維持状態において前記閉止姿勢の前記操作部の外形に沿う凹欠形状を有し、
前記当接状態維持部は、前記回動部材本体の前記管軸周りで且つ前記当接方向において前記当接部よりも先端側で、前記閉止維持状態において前記操作部に係止する係止部であり、
前記管軸に沿った方向から視る管軸方向視において、前記管軸と前記係止部との距離は、前記管軸と前記閉止姿勢にある前記操作部との距離よりも長く構成されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、凹欠形状を有する当接部は、回動部材本体の管軸周りで当接方向で先端側に設けられると共に、閉止維持状態において閉止姿勢のガスコックの操作部の外形に沿う形状を有するから、当接部がガスコックの操作部の形状に沿う状態で良好に当接することができる。
更に、当接状態維持部としての係止部が、回動部材本体の管軸周りで当接方向において当接部よりも先端側で、閉止維持状態においてガスコックの操作部に係止するものであり、且つ管軸に沿った方向から視る管軸方向視において、管軸と係止部との距離が、管軸と閉止姿勢にある操作部との距離よりも長く構成されているから、回動部材本体が管軸周りで回転したときに、当該回動部材本体が係止部と管軸との距離を縮める方向へ弾性変形する形態で、管軸周りで係止部が操作部を超えると共に、超えた後は超える時点に比べ、回動部材本体が係止部と管軸との距離を伸ばす方向へ弾性変形するから、操作部に係止する状態を良好に維持できる。
【0012】
ガスコック姿勢変更制限機構の更なる特徴構成は、
前記当接状態維持部は、前記回動部材本体を前記当接方向へ付勢する付勢部材である点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、当接状態維持部として、回動部材本体を当接方向へ付勢する付勢部材を備えるから、当該付勢部材の当接方向への付勢力を適切に設定することで、当接部の操作部への当接状態を良好に維持して、閉止維持状態を良好に持続できる。
【0014】
ガスコック姿勢変更制限機構の更なる特徴構成は、
前記回動部材本体は、前記閉止維持状態において前記使用者から視認可能な表面部位と、前記開放許容状態において前記使用者から視認可能で且つ当該表面部位の裏側の裏面部位とを有し、前記表面部位と前記裏面部位とは前記回動部材本体の前記管軸周りの回動に伴って各別に前記使用者側へ向けることが可能に設けられ、
前記表面部位及び前記裏面部位の何れか一方には、視覚強調効果のある視覚強調部が設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、回動部材本体を管軸周りで回動させるだけで、ガスコック姿勢変更制限機構が開放許容状態又は閉止維持状態の何れにあるかを視覚強調部の有無で視認できるから、比較的離れた場所等からでも、開放許容状態にあるか閉止維持状態にあるかが容易に視認できる。
【0016】
ガスコック姿勢変更制限機構の更なる特徴構成は、
前記回動部材本体は、前記閉止維持状態における前記管軸周りでの角度位置と、前記開放許容状態における前記管軸周りでの角度位置とが異なる角度位置に設定されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、回動部材本体は、閉止維持状態における管軸周りでの角度位置と、開放許容状態における管軸周りでの角度位置とが異なる角度位置に設定されているから、使用者が回転部材本体を視るだけでその角度位置から、閉止維持状態か開放許容状態かを容易に視認できる。
【0018】
ガスコック姿勢変更制限機構の更なる特徴構成は、
前記回動部材本体は、前記閉止維持状態と前記開放許容状態との双方において、前記操作部の前記閉止姿勢と前記開放姿勢との間での移動平面に沿う平板部を備え、
当該平板部には、前記閉止姿勢の前記操作部を収納する閉止収納開孔部と、すべての前記開放姿勢の前記操作部を収納可能な開放収納開孔部とが設けられている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、回動部材本体の平板部に形成される閉止収納開孔部又は開放収納開孔部の何れかにガスコックの操作部を収納するという簡単な操作により、操作部を閉止維持状態と開放許容状態との何れかの状態とすることができる。
また、開放許容状態にあっては、開放収納開孔部に収納されている操作部を操作するだけで、火炎の強弱を切り換えられ、回動部材本体を回動させる必要がないから高い操作性も維持できる。
【0020】
ガスコック姿勢変更制限機構の更なる特徴構成は、
前記閉止収納開孔部と前記開放収納開孔部とは連続した一の開孔として形成され、
前記閉止収納開孔部と前記開放収納開孔部の間には、前記回動部材本体の平板部が前記操作部の前記移動平面に沿う位置での前記操作部の移動を規制する移動規制突起部が設けられている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、閉止収納開孔部と開放収納開孔部とを連続した一の開孔として形成できるから、夫々を各別の開孔として形成する場合に比べ、比較的容易に製造でき、経済性を向上できる。
【0022】
上記目的を達成するためのガス調理器は、上述したガスコック姿勢変更制限機構を備える点にある。
【0023】
上記特徴構成を有するガス調理器によれば、これまで説明してきたガスコック姿勢変更制限機構と同様の作用効果を奏することができ、非使用状態にあるガス調理器のガスコックの操作部が意図せず閉止姿勢から開放姿勢へ変更することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構を備えたガス調理器の概略構成図である。
図2】管軸方向視におけるガスコック姿勢変更制限機構の閉止維持状態と開放許容状態とを示す図である。
図3】第2実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構の平面図である。
図4】第2実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構の管軸方向視での一部断面図である。
図5】別実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構であって、視覚強調部を備えた構成を示す管軸方向視での一部断面図である。
図6】別実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構の斜視図である。
図7】別実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構100及びそれを備えたガス調理器50は、非使用状態にあるガス調理器50のガスコックKの操作部K1が意図せず閉止姿勢から開放姿勢へ変更することを防止できるものに関する。
以下、図面に基づいてガス調理器50及びガスコック姿勢変更制限機構100について説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
当該実施形態に係るガス調理器50は、図1に示すように、天板40上に第1バーナ51aと第2バーナ51bとを有するガスコンロ51が設けられると共に、当該ガスコンロ51の下方に、内部に第3バーナ(図示せず)を備えると共に使用者側に開孔62及び蓋部61を備えたガスオーブン60が設けられている。
尚、天板40には、使用者側と反対側である奥側(使用者を基準としてガスコンロ51の奥側)に、ガスオーブン60からの燃焼排ガスを排出する排気口52が設けられている。
当該ガス調理器50は、ガス調理器本体70に対し、ガスコンロ51又はガスオーブン60の使用状態で使用者(図示せず)の側の側面70s(図1で矢印Yの先端側の側面)の外側に沿う状態で設けられる直管部位G1、G2を有するガス本管Gと、当該ガス本管Gから第1、2バーナ51a、51b及び第3バーナ(ガス使用部の一例)へガス(例えば、都市ガス13A)を供給するガス供給支管G3(図2に図示)を通流するガスの流量を調整するガスコックKを備えている。当該ガスコックKは、ガス供給支管G3の管軸に直交する軸周りで回動する操作部K1を備え、当該操作部K1が回動して閉止姿勢となったときにガス供給支管G3を閉止し、開放姿勢となったときにガス供給支管G3を開放する。
ここで、当該第1実施形態にあっては、ガス本管Gとして、図1に示すように、ガス調理器本体70の上方に水平方向(図1で矢印X方向)に沿って第1直管部位G1が設けられると共に、ガス調理器本体70の下方に水平方向(図1で矢印X方向)に沿って第2直管部位G2が設けられる。
更に、第1直管部位G1には、4つのガス供給支管G3(図2に図示)が連通接続されると共に、一のガス供給支管G3に一のガスコックKが対応する形で、すべてのガス供給支管G3に対してガスコックKが備えられている。第2直管部位G2には、1つのガス供給支管G3(図2に図示)が連通接続されると共に、当該ガス供給支管G3に対して一のガスコックKが備えられている。
【0027】
さて、上述したガス調理器50にあっては、使用者が意図せず閉止姿勢にあるガスコックKの操作部K1に触れて、ガスコックKが閉止姿勢から開放姿勢へ姿勢変更され、ガスコンロ51の第1、2バーナ51a、51b又はガスオーブン60の庫内に設けられる第3バーナ(図示せず)等からガスが漏洩する虞がある。特に、立ち消え防止機能が設けられていないガス調理器50にあっては、当該ガス漏洩が比較的長時間に亘って継続する虞もある。
このような状態となることを回避するべく、第1実施形態に係るガス調理器50は、以下の如くガスコック姿勢変更制限機構100を備えている。
【0028】
ガスコック姿勢変更制限機構100は、図1、2に示すように、ガス本管Gの直管部位G1、G2の管軸P周りで回動自在な回動部材本体80を有し、当該回動部材本体80が管軸P周りでの回動を介して、ガスコックKの操作部K1を閉止姿勢に維持する閉止維持状態(図2左に示す状態)と、ガスコックKの操作部K1の開放姿勢を許容する開放許容状態(図2右に示す状態)とに切り換え可能に構成されている。
ここで、ガスコックKの操作部K1の閉止姿勢とは、ガスコックKのガスの通流を禁止する姿勢であり、ガスコックKの操作部K1の開放姿勢とは、ガスコックKのガスの通流を許容する姿勢である。
【0029】
説明を追加すると、回動部材本体80は、図1、2に示すように、管軸方向に延びる長尺状の一枚の金属から成る薄板材料を成型したものから成り、ガス本管Gの直管部位G1、G2の外周に沿う形状を有する巻回部位84と、管軸Pに沿った方向から視る管軸方向視(図1、2で矢印Xに沿う方向視)で、当該巻回部位84に連続して直管部位G1の管の接線方向へ延設される接線部位89と、当該接線部位89に連続して設けられると共に接線部位89と直交する第1平板部81と、当該第1平板部81に連続して設けられると共に上述の閉止維持状態においてガスコックKの操作部K1に当接する当接部82と、当接部82の操作部K1への当接状態を維持する係止部83(当接状態維持部の一例)とを、管軸P周りで記載の順に連続して設けられている。
【0030】
即ち、当該第1実施形態においては、当接部82は、回動部材本体80と一体的に回動すると共に閉止維持状態において閉止姿勢にある操作部K1に対し操作部K1の閉止姿勢から開放姿勢への姿勢変更方向(図2で矢印Yの矢示方向)と逆方向である当接方向(図2で矢印Yの矢示逆方向)から当接するものであり、回動部材本体80の管軸P周りで且つ当接方向で先端側に設けられると共に、閉止維持状態(図2左に示す状態)において閉止姿勢の操作部K1の外形に沿う凹欠形状を有する。
【0031】
ここで、上述の如く、当接部82がガスコックKの操作部K1に当接しているだけでは、ガスコック姿勢変更制限機構100が閉止維持状態をとっている場合に、操作部K1が操作されたときには、回動部材本体80が管軸P周りで当接方向と逆回りに回動してしまうため、操作部K1の閉止姿勢を維持できない。
そこで、当該第1実施形態にあっては、当接状態維持部として、回動部材本体80の管軸P回りで且つ当接方向において当接部82よりも先端側で、閉止維持状態において操作部K1に係止する係止部83が設けられており、弾性変形していない自然状態の回動部材本体80に関し、管軸方向視において、管軸Pと係止部83との距離(図2左でL1)は、管軸Pと閉止姿勢にある操作部K1(管軸Pの軸径方向で管軸Pに最も近い操作部K1の部位)との距離(図2左でL2)よりも長く構成されている。当該係止部83が操作部K1に係止することにより、回動部材本体80についても管軸P回りで固定される。
【0032】
尚、回動部材本体80は、その材料としては、真鍮等の合金で銀メッキを施したものが好適に用いられており、開放許容状態(図2右に示す状態)から閉止維持状態(図2左に示す状態)へ状態変化するときには、弾性変形を経過して変化することになる。
【0033】
さて、図2に示すように、回動部材本体80は、閉止維持状態における管軸P周りでの角度位置と、開放許容状態における管軸P周りでの角度位置とが異なる角度位置に設定されており、図2に示す構成例では、閉止維持状態における管軸P周りでの角度位置は、図2左に示す角度位置で第1平板部81が略水平となる角度位置(平板部81が矢印Yに沿う角度位置)であり、開放許容状態における管軸P周りでの角度位置は、図2右に示す角度位置で第1平板部81が水平から傾斜した角度位置である。これにより、使用者は、ガスコックKが開放姿勢にあるか閉止姿勢にあるかを容易に視認できる。
【0034】
〔第2実施形態〕
当該第2実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構100は、第1実施形態と比較して、ガスコックKの操作部K1の姿勢変更の制限に係る構成が異なる。以下、図3、4に基づいて、当該第2実施形態に係るガスコック姿勢変更制限機構100を説明する。
当該第2実施形態においても、回動部材本体80は、図3、4に示すように、管軸方向に延びる長尺状の一枚の金属から成る薄板材料を成型したものから成る。当該回動部材本体80は、ガス本管Gの直管部位G1、G2の外周に沿う形状を有する巻回部位84と、管軸方向視(図4で矢印Xに沿う方向視)で、巻回部位84に連続して設けられる第2平板部85(平板部の一例)とを、管軸P周りで記載の順に連続して設けられている。
当該第2平板部85は、図3に示すように、閉止維持状態と開放許容状態との双方において、操作部K1の閉止姿勢と開放姿勢との間での移動平面に沿う平面形状であり、閉止姿勢の操作部K1を収納する閉止収納開孔部91と、すべての開放姿勢の操作部K1を収納可能な開放収納開孔部92とが設けられている。
因みに、当該第2実施形態に係る回動部材本体80は、図4に示すように、管軸P周りの先端側端部に、閉止維持状態と開放許容状態との双方において、操作部K1の閉止姿勢と開放姿勢との間での移動平面に、第2平板部85を位置決めする位置決め当接部86が設けられており、当該位置決め当接部86は、ガス供給支管G3に当接する形態で、第2平板部85を位置決めする。
【0035】
更に、当該第2実施形態では、閉止収納開孔部91と開放収納開孔部92とは連続した一の開孔90として形成され、閉止収納開孔部91と開放収納開孔部92の間には、回動部材本体80の第2平板部85が操作部K1の移動平面に沿う位置での操作部K1の移動を規制する移動規制突起部93が設けられている。
即ち、閉止収納開孔部91に収納される操作部K1(図3でα)と開放収納開孔部92に収納される操作部K1(図3でβ)とは、移動規制突起部93により互いの間での移動を制限されることになる。操作部K1が閉止収納開孔部91から開放収納開孔部92へ移動する、あるいは開放収納開孔部92から閉止収納開孔部91へ移動するには、回動部材本体80の管軸P回りでの角度位置を、操作部K1の閉止姿勢と開放姿勢との間での移動平面に第2平板部85を位置する角度位置(図4でγ)から、操作部K1の閉止姿勢と開放姿勢との間での移動平面から第2平板部85が外れる角度位置(例えば、図4でδ)へ回動させている間に、移動することになる。
尚、当該第2実施形態に係る一の回動部材本体80は、閉止収納開孔部91及び開放収納開孔部92とから成る開孔90を複数(当該第2実施形態では2つ)有する。
【0036】
〔別実施形態〕
【0037】
(1)上記実施形態では、一のガス調理器50に対して、複数(二つ)のガスコック姿勢変更制限機構100が設けられる構成例を示した。
他の構成例として、当該ガスコック姿勢変更制限機構100は、一のガス調理器50に対し、一つ設ける構成や、3つ以上設ける構成を採用しても構わない。
【0038】
(2)上記第1実施形態では、回動部材本体80の直管部位G1の管軸P周りの角度により、ガスコックKの操作部K1が開放姿勢と閉止姿勢との何れにあるかを判定した。
他の構成例としては、図5に示すように、回動部材本体80は、閉止維持状態において使用者から視認可能な表面部位Haと、開放許容状態において使用者から視認可能で且つ当該表面部位Haの裏側の裏面部位Hbとを有し、表面部位Haと裏面部位Hbとは回動部材本体80の管軸P周りの回動に伴って各別に使用者側へ向けることが可能に設けられ、表面部位Haと裏面部位Hbの何れか一方(図5では裏面部位Hb)には、視覚強調効果のある視覚強調部Hを設ける構成を採用しても構わない。図5に示す例では、第1平板部81の一方側面が表面部位Haであり、他方側面が裏面部位Hbとなっており、当該第1平板部81に対して、視覚強調部Hを接着剤等により付着させている。当該視覚強調部Hの例としては、蛍光反射板等が挙げられるが、蛍光塗料等を採用することもできる。
【0039】
(3)上記第1実施形態では、当接状態維持部として、回動部材本体80の管軸P回りで当接方向において当接部82よりも先端側で、閉止維持状態において操作部K1に係止する係止部83が設けられており、弾性変形していない自然状態の回動部材本体80に関し、管軸Pに沿った方向から視る管軸方向視において、管軸Pと係止部83との距離(図2左でL1)は、管軸Pと閉止姿勢にある操作部K1(管軸Pの軸径方向で管軸Pに最も近い操作部K1)との距離(図2左でL2)よりも長く構成されている例を示した。
当該当接状態維持部の他の構成例としては、図6に示すように、回動部材本体80がガスコックKの操作部K1に当接している状態で、操作部K1が閉止姿勢から開放姿勢へ移行する開放方向へ移動する際に、ガス本管Gの直管部位G1周りで当該開放方向と逆方向へ回動部材本体80を付勢するコイルバネS(付勢部材の一例)を設ける構成を採用しても構わない。当該コイルバネSは、一端が直管部位G1に固定されると共に、他端が回動部材本体80に当接する形で設けられることが好ましい。
尚、回動部材本体80は、第1実施形態に示す如く、一枚の平板を切削加工及び曲げ加工を施して作成したものの他、図6に示すように、直管部位G1の周りに沿う形状に曲げ加工される棒状部材88と、当該棒状部材88の先端に溶接等により接続されガスコックKの操作部K1に当接する平板部材87とから構成する等、種々の構成を採用することが可能である。
【0040】
(4)これまで説明してきた実施形態では、ガスコックKの操作部K1の回転操作方向は、紙面で矢印Y及び矢印Xに沿う水平面に沿う方向であるものについて説明してきたが、例えば、図7に示すように、ガスコックKの操作部K1の回転操作方向は、紙面で矢印Zに沿う垂直平面に沿う方向であっても、その姿勢変更を良好に制限できる。
当該別実施形態(4)にあっては、例えば、図7に示すように、回動部材本体80の当接部82は、直管部位G1の管軸P回りで、ガスコックKの操作部K1が閉止姿勢から開放姿勢への開放方向へ移行するときに、鉛直方向で下方へ押圧されることになるから、別実施形態(3)と同様に、ガス本管Gの直管部位G1周りで当該開放方向と逆方向へ回動部材本体80を付勢するコイルバネSを設ける構成を採用することが好ましい。
【0041】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のガスコック姿勢変更制限機構、及びそれを備えたガス調理器は、非使用状態にあるガス調理器のガスコックの操作部が意図せず閉止姿勢から開放姿勢へ変更することを防止できるガスコック姿勢変更制限機構、及びそれを備えたガス調理器として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
50 :ガス調理器
51a :第1バーナ
51b :第2バーナ
70 :ガス調理器本体
70s :側面
80 :回動部材本体
82 :当接部
83 :係止部
85 :第2平板部
90 :開孔
91 :閉止収納開孔部
92 :開放収納開孔部
93 :移動規制突起部
100 :ガスコック姿勢変更制限機構
G :ガス本管
G1 :第1直管部位
G2 :第2直管部位
G3 :ガス供給支管
H :視覚強調部
Ha :表面部位
Hb :裏面部位
K :ガスコック
K1 :操作部
P :管軸
S :コイルバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7