(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022050951
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】デマンド制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20220324BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220324BHJP
F24F 11/47 20180101ALI20220324BHJP
F24F 140/60 20180101ALN20220324BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J13/00 311T
F24F11/47
F24F140:60
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157158
(22)【出願日】2020-09-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】518419530
【氏名又は名称】石井電気システム有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】石井 ▲隆▼夫
【テーマコード(参考)】
3L260
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
3L260BA42
3L260CB78
3L260FA09
5G064AC05
5G064CB21
5G064DA05
5G066KA01
5G066KA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】デマンド期間の最大消費電力を抑えることができるとともに、夏季又は冬季の消費電力のピーク時以外の期間における消費電力も少なく抑えることができるデマンド制御システム及び省エネ制御システムを提供する。
【解決手段】デマンド制御システム14において、固定電力負荷及び調整電力負荷にて消費される消費電力を計測するための消費電力計測手段26と、固定電力負荷及び調整電力負荷によって消費される消費電力を監視するためのデマンド電力監視装置24と、を備える。デマンド電力監視装置は、初期モード運転制御手段34と、初期消費電力演算手段38と、初期電力比較手段40と、運転モード設定手段42と、デマンドモード運転制御手段44と、省エネモード運転制御手段46と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電力負荷及び調整電力負荷にて消費される消費電力を計測するための消費電力計測手段と、前記固定電力負荷及び前記調整電力負荷によって消費される消費電力を監視するためのデマンド電力監視装置とを備えており、
前記デマンド電力監視装置は、前記デマンド電力測定期間の初期期間において前記調整電力負荷を初期モードでもって運転制御する初期モード運転制御手段と、前記初期期間の消費電力を演算する初期消費電力演算手段と、前記初期消費電力演算手段により演算された初期消費電力と運転モードの選択基準となる基準消費電力とを比較する初期電力比較手段と、運転モードを設定する運転モード設定手段と、前記調整電力負荷をデマンドモードでもって運転するためのデマンドモード運転制御手段と、前記調整電力負荷を省エネモードでもって運転するための省エネモード運転制御手段と、を含んでおり、
前記初期消費電力が前記基準消費電力以上であると、前記運転モード設定手段は前記デマンドモードを設定し、前記デマンドモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記デマンドモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力のピークを抑え、また前記初期消費電力が前記基準消費電力未満であると、前記運転モード設定手段は前記省エネモードを設定し、前記省エネモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記省エネモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力の使用量を抑えることを特徴とするデマンド制御システム。
【請求項2】
前記初期モード運転制御手段は、前記デマンド電力測定期間の前記初期期間における前記初期モードの運転においては、前記調整電力負荷をデマンド制御しない無制御運転状態でもって運転し、前記初期消費電力演算手段は、前記初期期間における前記調整電力負荷の無制御運転状態の消費電力を演算することを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御システム。
【請求項3】
前記省エネモード運転制御手段は、外気温度及び外気湿度に基づいて不快指数を演算する不快指数演算手段と、前記調整電力負荷の稼働状態を設定する稼働状態設定手段とを含み、前記稼働状態設定手段は、前記不快指数演算手段により演算された前記不快指数に基づいて前記調整電力負荷の稼働状態を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のデマンド制御システム。
【請求項4】
前記調整電力負荷は、建造物の第1層階に設置された第1空調装置と、前記建造物の前記第1層階より上層の第2層階に設置された第2空調装置とを含み、前記省エネモード運転制御手段の前記稼働状態設定手段は、前記不快指数演算手段により演算された前記不快指数に基づき、夏季においては前記第1空調装置の稼働出力を前記第2空調装置の稼働出力よりも強めに調整し、冬季においては前記第2空調装置の稼働出力を前記第1空調装置の稼働出力よりも強めに調整することを特徴とする請求項3に記載のデマンド制御システム。
【請求項5】
前記省エネモード運転制御手段は、更に、前記デマンド電力測定期間を分割した部分測定期間に対応する部分目標デマンド電力を演算する部分目標デマンド電力演算手段と、前記デマンド電力測定期間の初めから前記部分測定期間までの前記固定電力負荷及び前記調整電力負荷の部分消費電力を演算する部分消費電力演算手段と、前記部分目標デマンド電力と前記部分消費電力とを比較する部分電力比較手段とを含み、前記部分測定期間終了時において前記部分消費電力が前記部分目標デマンド電力以上になると、前記運転モード設定手段は前記省エネモードから前記デマンドモードに切り換えることを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御システム。
【請求項6】
調整電力負荷を省エネモードでもって運転制御するための省エネモード運転制御手段を備え、前記省エネモード運転制御手段は、外気温度及び外気湿度に基づいて不快指数を演算する不快指数演算手段と、前記調整電力負荷の稼働状態を設定する稼働状態設定手段とを含み、前記稼働状態設定手段は、前記不快指数演算手段により演算された前記不快指数に基づいて前記調整電力負荷の稼働状態を設定して消費電力の使用量を抑えることを特徴とする省エネ制御システム。
【請求項7】
前記調整電力負荷は、建造物の第1層階に設置された第1空調装置と、前記建造物の前記第1層階よりも上層の第2層階に設置された第2空調装置とを含み、前記省エネモード運転制御手段の前記稼働状態設定手段は、前記不快指数演算手段により演算された前記不快指数に基づき、夏季においては前記第1空調装置の稼働出力を前記第2空調装置の稼働出力よりも強めに調整し、冬季においては前記第2空調装置の稼働出力を前記第1空調装置の稼働出力よりも強めに調整することを特徴とする請求項6に記載の省エネ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力負荷の消費電力を所定の範囲に収まるように調整電力負荷をデマンド制御するデマンド制御システム及び消費電力を少なく抑える省エネ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力使用量のピークを抑制するために、電力供給会社と大口の電力需要家(例えば、工場、商業ビル、ホテル、病院、レストランなど)との間の電気料金契約は、デマンド電力(「最大デマンド電力」とも称する)」に基づいて電力料金の基本使用料が決まる内容になっている。この最大デマンド電力とは、デマンド電力測定期間(現状では30分)毎の平均使用電力(「デマンド電力」とも称する)を計測し、デマンド期間(現状では1年間)を通しての各デマンド電力測定期間の平均使用電力のうち最大のものをいい、このデマンド電力(デマンド電力測定期間の平均使用電力の最大値)を基礎として1年間の電力料金の基本使用料金が決定される。このようなことから、大口需要家にあっては、デマンド電力(最大デマンド電力)を低く抑えて、電力料金を安く抑えようとする取組みが行われている。
【0003】
一般に、四季がある日本では、夏季又は冬季に最大デマンド電力が発生する。これは、この季節に空調装置(エアコン、冷暖房装置など)を使用するためであり、この空調装置の一斉運転などによって消費電力が非常に大きくなり、これによって、デマンド電力が大きくなる傾向にある。
【0004】
このようなことから、最大デマンド電力を目標デマンド電力に収まるように監視するためのデマンド電力監視装置が提案され、このデマンド電力監視装置を備えたデマンド制御システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このデマンド制御システムは、
電力負荷(固定電力負荷及び調整電力負荷)に供給される電力を計測・監視するデマンド電力監視装置を備え、このデマンド電力監視装置は、デマンド電力測定期間の消費電力が目標デマンド電力を超えそうになると調整電力負荷を強制的に作動停止させて目標デマンド電力を超えないように制御している。
【0005】
また、デマンド電力監視装置は、電力負荷(固定電力負荷及び調整電力負荷)に供給される電力量に応じて発生される電力量パルス信号に基づいて消費電力を演算する消費電力演算手段と、デマンド電力測定期間(現状では30分)を分割した部分測定期間の部分デマンド電力(部分消費電力)とその部分測定期間に対応する部分目標デマンド電力とを比較する電力比較手段と、調整電力負荷を作動制御するための作動制御手段とを備え、部分測定期間の部分デマンド電力が部分測定期間に対応する部分目標デマンド電力を超えると、作動制御手段は調整電力負荷(全体又はその一部)を所定時間継続して作動停止し、このように調整電力負荷を制御することによって、固定電力負荷及び調整電力負荷の消費電力が目標デマンド電力を超えないように抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このデマンド制御システムでは、デマンド期間(現状では1年間)を通しての各デマンド電力測定期間の消費電力のうち最大消費電力を抑えることを目的としているために、このデマンド制御システムが機能するのは夏季又は冬季の消費電力のピーク時のみであり、従って、このピーク時の消費電力を抑えることはできるが、その他の大部分の期間においては機能せず、一年を通して消費電力を抑える効果、即ち年間を通しての省エネ効果は期待できない。
【0008】
本発明の目的は、デマンド期間の最大消費電力を抑えることができるとともに、夏季又は冬季の消費電力のピーク時以外の期間における消費電力も少なく抑えることができるデマンド制御システムを提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、消費電力を少なく抑えながら快適環境を維持することができる省エネ制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のデマンド制御システムは、固定電力負荷及び調整電力負荷にて消費される消費電力を計測するための消費電力計測手段と、前記固定電力負荷及び前記調整電力負荷によって消費される消費電力を監視するためのデマンド電力監視装置とを備えており、
前記デマンド電力監視装置は、前記デマンド電力測定期間の初期期間において前記調整電力負荷を初期モードでもって運転制御する初期モード運転制御手段と、前記初期期間の消費電力を演算する初期消費電力演算手段と、前記初期消費電力演算手段により演算された初期消費電力と運転モードの選択基準となる基準消費電力とを比較する初期電力比較手段と、運転モードを設定する運転モード設定手段と、前記調整電力負荷をデマンドモードでもって運転するためのデマンドモード運転制御手段と、前記調整電力負荷を省エネモードでもって運転するための省エネモード運転制御手段と、を含んでおり、
前記初期消費電力が前記基準消費電力以上であると、前記運転モード設定手段は前記デマンドモードを設定し、前記デマンドモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記デマンドモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力のピークを抑え、また前記初期消費電力が前記基準消費電力未満であると、前記運転モード設定手段は前記省エネモードを設定し、前記省エネモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記省エネモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力の使用量を抑えることを特徴とする。
【0011】
このデマンド制御システムにおいては、初期モードの運転においては、調整電力負荷をデマンド制御しない無制御運転状態でもって運転し(換言すると、デマンド制御するためのデマンド制御信号が調整電力負荷に送られていない運転状態でもって運転し)、この無制御運転状態の消費電力と基準消費電力と比較して運転モードを設定するのが好ましく、このようにすることによって、調整電力負荷の最大消費電力を予測して運転モードを設定することができる。また、省エネモード運転制御手段は、不快指数演算手段により演算された不快指数に基づいて調整電力負荷の稼働状態を設定するのが好ましく、このようにすることによって、環境の不快指数に応じて調整電力負荷の稼働状態を調整して環境な空間にすることができる。
【0012】
また、稼働状態設定手段は、不快指数演算手段により演算された不快指数に基づき、夏季においては第1空調装置の稼働出力を上層階の第2空調装置の稼働出力よりも強めに調整するのが好ましく、夏季においては高層階の方が暑くなる傾向になることから、上層階の暑さを和らげながら省エネを図ることができ、また冬季においては第2空調装置の稼働出力を第1空調装置の稼働出力よりも強めに調整することが好ましく、冬季においては低層階の方が寒くなる傾向になることから、下層階の寒さを和らげながら省エネを図ることができる。
【0013】
このデマンド制御システムでは、更に、省エネモードの運転において、デマンド電力測定期間を分割した部分測定期間終了時において部分消費電力が部分目標デマンド電力以上になると、省エネモードからデマンドモードに切り換えるのが好ましく、このように制御することによって、デマンド電力測定期間の終了の際に固定電力負荷及び調整電力負荷の消費電力が目標デマンド電力を超えることを確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明の省エネ制御システムは、調整電力負荷を省エネモードでもって運転制御するための省エネモード運転制御手段を備え、前記省エネモード運転制御手段は、外気温度及び外気湿度に基づいて不快指数を演算する不快指数演算手段と、前記調整電力負荷の稼働状態を設定する稼働状態設定手段とを含み、前記稼働状態設定手段は、前記不快指数演算手段により演算された前記不快指数に基づいて前記調整電力負荷の稼働状態を設定して消費電力の使用量を抑えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のデマンド制御システムによれば、初期消費電力が基準消費電力以上であるときには、デマンド電力測定期間が終了した時点において目標デマンド電力を超えるおそれがあり、このようなときには、運転モード設定手段はデマンドモードを設定し、デマンドモード運転制御手段は、調整電力負荷をデマンドモードでもって運転し、これによって、デマンド電力測定期間の消費電力のピークを抑えることができる。また、初期消費電力が基準消費電力未満であるときには、デマンド電力測定期間が終了した時点において目標デマンド電力を超えるおそれがなく、このようなときには、運転モード設定手段は省エネモードを設定し、省エネモード運転制御手段は、調整電力負荷を省エネモードでもって運転し、これによって、デマンド電力測定期間の消費電力の使用量を抑えることができる。
【0016】
また、本発明の省エネ制御システムによれば、省エネモード運転制御手段は、外気温度及び外気湿度に基づいて不快指数を演算し、稼働状態設定手段は、この不快指数演算手段により演算された不快指数に基づいて調整電力負荷の稼働状態を設定するので、外部の不快環境に応じて調整電力負荷の稼働状態を調整し、調整電力負荷の消費電力を抑えながら快適空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に従うデマンド制御システムの一実施形態を適用した電力供給系の一例を示す簡略図。
【
図2】
図1のデマンド制御システムを簡略的に示すブロック図。
【
図3】
図2のデマンド制御システムにおける初期モードの運転を説明するための説明図。
【
図4】
図2のデマンド制御システムの全体的な制御の流れを説明するためのフローチャート。
【
図5】
図2のデマンド制御システムにおけるデマンドモード運転制御手段及びこれに関連する構成を簡略的に示すブロック図。
【
図6】
図2のデマンド制御システムにおけるデマンドモードの運転の際の目標デマンド電力を説明するための説明図。
【
図7】
図5のデマンドモード運転制御手段によるデマンドモードの運転の流れを説明するためのフローチャート。
【
図8】
図2のデマンド制御システムにおける省エネモード運転制御手段及びこれに関連する構成を簡略的に示すブロック図。
【
図9】
図2のデマンド制御システムにおける調整電力負荷の構成を具体的に示すブロック図。
【
図10】外気温度及び外気湿度と不快指数との関係を示す図。
【
図11】不快指数と調整電力負荷の稼働状態との関係を示す図。
【
図12】
図8の省エネモード運転制御手段による省エネモードの運転の流れを説明するためのフローチャート。
【
図13】省エネモード運転制御手段の変形形態による省エネモードの運転の流れを説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うデマンド制御システム(及び省エネ制御システム)の一実施形態について説明する。
図1において、商用電力を供給するための電力供給系は、商用電源(例えば、三相交流電源)からの電力を引き込むための電力引込みライン2を備え、この電力引込みライン2にスマート電力メータ4及び引込みブレーカ6が接続されている。スマート電力メータ4及び引込みブレーカ6は、電力の供給を受ける事業所(例えば、工場、事務所、商業ビル、ホテル、病院など)ごとに設けられ、スマート電力メータ4は、電力引込みライン2を通して流れる供給電力(換言すると、消費電力)の電力量を計測し、引込みブレーカ6は、電力引込みライン2を通して過大電力が流れるのを防止する。
【0019】
事業所内には、電力を消費する多数の電力負荷(固定電力負荷8及び調整電力負荷10)が設けられており、この電力負荷(8,10)は、電力送給ライン12を介して引込みブレーカ6(スマート電力メータ4)に接続されている。この電力負荷は、後述するデマンド制御システム14によって作動制御されない固定電力負荷8と、デマンド制御システム14によって作動制御される調整電力負荷10とに分類される。この固定電力負荷に8は、デマンド電力の状態によって作動停止したときに問題が発生するおそれがある機器が該当し、例えば照明装置、事務機器、各種電子機器、各種生産機械などが含まれ、またこの調整電力負荷10には、デマンド電力の状態によって作動停止しても問題がない機器が該当し、この実施形態では、第1空調装置16、第2空調装置18、第3空調装置20及び第4空調装置22が含まれ、第1~第4空調装置16~22は、例えばエアコン、冷房装置などから構成される。固定電力負荷8及び調整電力負荷10は、デマンド電力システムを設置する事業者が事業所の事情に応じて適宜に設定される。尚、このようなデマンド制御システムは、工場のみならず、ホテル、病院、事務所ビル、マンション、一戸建て家屋などに広く用いることができる。
【0020】
図1とともに
図2を参照して、このような電力供給系に適用されるデマンド制御システム14は、デマンド電力監視装置24及び消費電力計測手段26を備えている。消費電力計測手段26は、例えば電力検知センサ、電流検知センサなどから構成され、電力引込みライン2を通して流れる電力の供給量(即ち、消費量)を計測する。
【0021】
この電力検知センサなどに代えて、電力の供給量に対応してパルス信号を生成するパルス信号生成手段から構成するようにしてもよく、この場合、パルス信号生成手段は、供給電力が多く(又は少なく)なるとそれに対応してパルス信号を多く(又は少なく)生成する。このパルス信号生成手段は、例えば、スマート電力メータ4からの信号を監視してパルス信号を生成するようにすることができる。
【0022】
図示のデマンド電力監視装置24は、システム全体を制御するためのコントローラ28、入力手段30及び表示手段32を備えている。入力手段30は、例えば、デマンド電力監視装置24の装置ハウジング(図示せず)の前面に設けられた各種操作ボタンなどから構成され、この入力手段30を入力操作して目標デマンド電力などが設定される。また、表示手段32は、例えば、液晶表示装置などから構成され、入力手段30により入力した各種情報(例えば、目標デマンド電力など)を表示するとともに、各種警告情報などを表示する。
【0023】
次に、コントローラ28について説明すると、このコントローラ28は、マイクロプロセッサなどから構成され、初期モード運転制御手段34、基準消費電力演算手段36、初期消費電力演算手段38、初期電力比較手段40、運転モード設定手段42、デマンドモード運転制御手段44及び省エネモード運転制御手段46を含んでいる。初期モード運転制御手段34は、調整電力負荷10、即ち第1~第4空調装置16~22を初期期間TSの間100%稼働出力でもって運転する。
【0024】
ここで第1~第4空調装置16~22について説明すると、これらの空調装置16~22が例えば4階建ての建築物に設置されたとして考えると、第1空調装置16は、例えば第1層階に設置された空調装置であり、第2空調装置18は、例えば第2層階に設置された空調装置であり、第3空調装置20は、例えば第3層階に設置された空調装置であり、第4空調装置22は、例えば第4階層に設置された空調装置となり、第1~第4空調装置16~22は、1台の空調装置から構成されることもあり、或いは複数台の空調装置から構成されることもある。尚、この形態では、説明の都合上、4台の空調装置16~22を用いて説明しているが、実際のデマンド制御システムでは、これよりも多い複数台の空調装置を制御することになる。
【0025】
基準消費電力演算手段36は、初期測定期間TSの基準消費電力を演算する。この実施形態では、デマンド電力測定期間(この実施形態では、30分間)の目標デマンド電力としてP0が設定され、この測定デマンド電力測定期間T0の1/10の期間(即ち、3分間)が初期測定期間TSとして設定されおり、基準消費電力演算手段36は、
図3に示すように、初期基準消費電力P1としてこの初期測定期間TSの部分目標消費電力、換言すると第1番目の部分測定期間T1の部分目標デマンド電力(P0/10)の0.9倍の電力を基準消費電力P1(P1=0.9×P0/10)として演算する。
【0026】
この実施形態では、デマンド電力測定時間T0の例えば1/10の期間の3分間を初期測定期間TS(TS=P0/10)としているが、2~5分間程度の適宜の時間を設定することができる。また、基準消費電力P1についても部分目標消費電力(即ち、第1番目の部分目標デマンド期間P1の消費電力)の0.9倍の電力としているが、この基準消費電力P1についても、部分目標消費電力(第1番目の部分目標デマンド電力)の1.0倍以下の適宜の電力値に設定することができ、例えば第1番目の部分目標デマンド電力(P0/10)を初期基準消費電力P1とするようにしてもよい。
【0027】
また、初期消費電力演算手段38は、消費電力計測手段26からの計測信号に基づいてこの初期測定期間TSの初期消費電力(固定電力負荷8及び調整電力負荷10での消費電力)を演算し、初期電力比較手段40は、基準消費電力P1と初期消費電力演算手段38により演算された初期消費電力とを比較する。
【0028】
そして、運転モード設定手段42は、後述するように、この初期消費電力が基準消費電力P1以上である場合、デマンド電力測定期間T0の経過時点において消費電力が目標デマンド電力を超えるおそれがあるとしてデマンドモードを設定し、デマンドモード運転制御手段44は調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)を後述するようにデマンドモードでもって運転し、また、この初期消費電力が基準消費電力P1未満である場合、デマンド電力測定期間T0の経過時点において消費電力が目標デマンド電力を超えるおそれがないとして省エネモードを設定し、省エネモード運転制御手段46は調整電力負荷10を後述するように省エネモードでもって運転する。
【0029】
このコントローラ28は、更に、メモリ手段48及び計時手段50を含んでいる。メモリ手段48には、デマンド電力測定期間T0(30分間)、初期運転期間TS(3分間)、部分測定期間の間隔時間(3分間隔)、基準消費電力P1などが登録される。また、計時手段48は、デマンド電力測定期間T0、初期運転期間TS、第1番目~第10番目までの部分測定期間などの時間を計時する。
【0030】
この実施形態では、後に詳述するように、省エネモードの運転においては、不快指数に基づき調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)を省エネモードで運転しており、このことに関連して、不快指数を計測するための外気温度検知手段52及び外気湿度検知手段54が設けられる。外気温度検知手段52は、例えば外気を計測する温度センサから構成され、外気湿度検知手段54は、例えば外気の湿度を計測する湿度センサから構成され、外気温度検知手段52及び外気湿度検知手段54からの検知信号は、デマンド電力監視装置24に送給され、コントローラ28は、これらからの検知信号に基づいて不快指数を演算する。
【0031】
次に、このデマンド制御システム14によるデマンド制御の流れについて説明する。主として
図2及び
図4を参照して、デマンド電力監視装置24を作動させてデマンド電力監視運転を行うと、まず、初期モード運転が開始される(ステップS1)。即ち、初期モード運転制御手段34は、調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)をデマンド制御いない無制御運転状態(換言すると、デマンド制御信号により制御されていない運転状態)でもって運転し(ステップS2)、コントローラ28の初期消費電力演算手段38は、消費電力計測手段26からの計測信号に基づいて初期消費電力を演算する。この無制御運転状態においては、調整電力負荷10は室内空間などの温度調整空間が設定温度に維持されるように調整電力負荷10側で制御され(即ち、デマンド電力監視装置24の制御を受けずに制御され)、夏季の猛暑時では例えば100%出力で稼働運転されるが、夏季の朝夕の温度の幾分低い時では例えば75%で稼働運転される。
【0032】
そして、初期モードの運転を行って初期運転期間TS(この実施形態では、3分間)が経過すると、ステップS4からステップS5に進み、初期運転期間TSの初期消費電力に基づき運転モードの設定が行われる。即ち、初期電力比較手段40は、この初期運転期間TSにて消費された初期消費電力と基準消費電力演算手段36により演算された基準消費電力Pとを比較する。
【0033】
そして、この初期消費電力が基準消費電力P以上であるときには、デマンド制御が必要であるとしてステップS6からステップS7に進み、運転モード設定手段42はデマンドモードを設定し、初期運転期間TSの経過後にデマンドモードの運転が行われる。このデマンドモードの運転においては、デマンドモード運転制御手段44は、デマンド制御信号により調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)を後述するようにデマンド制御する。このデマンド制御の運転は、デマンド電力測定期間T0に達するまで行われ、このデマンド制御測定期間T0に達すると、ステップS8からステップS9に進み、デマンド運転制御手段44によるデマンドモードの運転が終了し、その後ステップS1に戻り、次のデマンド電力測定期間T0に移って上述したと同様のデマンド制御が繰返し遂行される。
【0034】
また、この初期消費電力が基準消費電力P未満であるときには、デマンド制御が必要でないとしてステップS6からステップS10に進み、運転モード設定手段42は省エネモードを設定し、初期運転期間TSの経過後に省エネモードの運転が行われる。この省エネモードの運転においては、省エネモード運転制御手段46は、省エネ制御信号により調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)を後述するように省エネ制御する。この省エネ制御の運転は、デマンド電力測定期間T0に達するまで行われ、このデマンド制御測定期間T0に達すると、ステップS11からステップS12に進み、省エネ運転制御手段46による省エネモードの運転が終了し、その後、上述したと同様に、ステップS1に戻り、次のデマンド電力測定期間T0に移って上述したと同様のデマンド制御が繰返し遂行される。
【0035】
次に、
図5~
図7を参照して、上述したデマンドモード運転制御手段44によるデマンド制御運転について説明する。この実施形態では、後述するデマンド制御運転を行うためにデマンドモード運転制御手段44は、消費電力積算演算手段62、部分デマンド電力演算手段64、デマンド電力比較手段66、比較差演算手段68、停止装置選定手段70、再稼働装置選定手段72及びデマンド運転制御手段74を含んでいる。
【0036】
消費電力積算演算手段62は、第1番目の部分測定期間T1(この実施形態では、初期運転期間TSに対応する期間)に達したときには、第1番目の部分測定期間T1までの部分積算消費電力(初期運転期間TS及び第1番目の部分測定期間T1の消費電力)を演算し、第2番目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)に達したときには、第2番目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)までの部分積算消費電力を演算する。また、入力手段30によりデマンド制御測定期間T0における消費電力として目標デマンド電力P0が設定されるので、部分目標デマンド電力演算手段64は、第1番目の部分測定期間T1についてはこれに対応する部分目標デマンド電力(2×P0)/10を演算し、第2番目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)についてはこれに対応する部分目標デマンド電力(3×P0)/10〔(4×P0)/10・・・〕を演算する。この第1番目(第2番目・・・)の部分測定期間T1(T2・・・)の部分目標デマンド電力は、デマンド電力測定期間T0の最初に初期運転期間TSがあるために、上述した説明から理解されるように、初期運転期間TSに対応する部分目標デマンド電力を加えたものとなり、二つ(三つ・・・)の期間(初期運転期間及び部分測定期間)に対応する部分目標デマンド電力となる。
【0037】
また、デマンド電力比較手段66は、第1番目の部分測定期間T1に達したときには第1番目までの部分積算消費電力と第1番目の部分測定期間T1に対応する部分目標デマンド電力(2×P0)/10とを比較し、第2番目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)に達したときには第2番目(第3番目・・)の部分測定期間T2(T3・・・)に対応する部分目標デマンド電力(3×P0)/10〔(4×P0)/10・・・〕とを比較する。
【0038】
停止装置選択手段70は、第1番目(第2番目・・・)の部分測定期間T1(T2・・・)までの部分積算消費電力が第1番目(第2番目・・・)の部分測定期間T1(T2・・・)に対応する部分目標デマンド電力(2×P0)/10〔(3×p0)/10・・・以上のときにはデマンド電力測定期間T0の経過時点において目標デマンド電力P0を超えるおそれがあるとして、調整電力負荷10のうちの停止すべき空調装置16~22を選定し、この部分積算消費電力と部分目標デマンド電力との電力差の程度に応じて作動停止すべき調整電力負荷10(複数の空調装置16~22)の数を決定し、それらを作動停止させるためのデマンド制御信号が生成される。
【0039】
例えば、この実施形態では、この比較電力差の程度が大きい(例えば、部分目標デマンド電力よりも7%以上大きい)ときには、例えば第1~第4空調装置16~22のうちの3つを作動停止するように、この比較電力差の程度が中程度である(例えば、部分目標デマンド電力よりも3~7%大きい)ときには、例えば第1~第4空調装置16~22のうちの2つを作動停止するように、またこの比較電力差の程度が小さい(例えば、部分目標デマンド電力よりも0~3%大きい)ときには、例えば第1~第4空調装置16~22のうちの1つの空調装置を作動停止するよう選定される。尚、この比較電力差に基づく第1~第4空調装置16~22の停止順序については、例えば、メモリ手段48に登録し、この登録された順序に従って作動停止するように制御される。
【0040】
尚、この実施形態では、第1~第4空調装置16~22を作動停止させているが、必ずしも作動停止させる必要はなく、第1から第4空調装置16~22の稼働出力を絞る(例えば、稼働出力を例えば75%,40%などに下げる)ことによって対応することができるときには、そのように稼働出力を下げるように制御してもよい。
【0041】
また、再稼働装置選択手段72は、第1番目(第2番目・・・)の部分測定期間T1(T2・・・)までの部分積算消費電力が第1番目(第2番目・・・)の部分測定期間T1(T2・・・)に対応する部分目標デマンド電力(2×P0)/10〔(3×p0)/10・・・未満のときにはデマンド電力測定期間T0の経過時点において目標デマンド電力P0を超えるおそれがないとして、調整電力負荷10のうちの作動停止していた空調装置16~22を選定し、この部分積算消費電力と部分目標デマンド電力との電力差の程度に応じて再稼働すべき調整電力負荷10(再稼働すべき空調装置16~22)の再稼働数を決定し、それらを再稼働させるための再稼働制御信号が生成される。
【0042】
例えば、この実施形態では、この比較電力差の程度が大きい(例えば、部分目標デマンド電力よりも7%以上小さい)ときには、例えば第1~第4空調装置16~22のうちの3つを再稼働するように、この比較電力差の程度が中程度である(例えば、部分目標デマンド電力よりも3~7%小さい)ときには、例えば第1~第4空調装置16~22のうちの2つを再稼働するように、またこの比較電力差の程度が小さい(例えば、部分目標デマンド電力よりも0~3%小さい)ときには、例えば第1~第4空調装置16~22のうちの1つの空調装置を再稼働するように選定され、第1~第4空調装置16~22が作動停止していないときには、それらの稼働状態が継続され、再稼働されることはない。尚、この比較電力差に基づく第1~第4空調装置16~22の再稼働順序についても、例えば、メモリ手段48に登録し、この登録された順序に従って再稼働するように制御される。
【0043】
次に、このデマンドモード運転制御手段44によるデマンドモードの運転制御の流れについて説明する。主として、
図5及び
図7を参照して、デマンドモードの運転においては、消費電力計測手段26からの計測信号がデマンド電力監視装置24に送給され、デマンドモード運転制御手段44は、消費電力計測手段26からの計測信号に基づいて部分積算消費電力を演算する(ステップS7-1)。尚、この消費電力計測手段26は、デマンド電力測定期間T0の初めからの消費電力を積算している。
【0044】
このようにデマンドモードの運転が行われて第1番目の部分測定期間T1まで経過すると、ステップS7-2からステップS7-3に進み、部分目標デマンド電力演算手段64は、この第1部分測定期間T1に対応する部分目標デマンド電力(2×P0)/10を演算し、デマンド電力比較手段66は、消費電力積算演算手段62による積算消費電力と部分目標デマンド電力演算手段64による部分目標デマンド電力(2×P0)/10とを比較する(ステップS7-4)。
【0045】
そして、この積算消費電力がこの部分目標デマンド電力(2×P0)/10以上であるときには、ステップS7-5からステップS7-6に進み、デマンド電力測定期間T0の経過時点において目標デマンド電力を超えるおそれがあるとして、調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)の作動停止が行われる。この実施形態では、比較差演算手段68は、これら電力差の演算を行って比較差の程度を判定し(ステップS7-6)、停止装置選定手段70は、この比較差の結果に基づいて作動停止すべき調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)を選定する(ステップS7-7)。
【0046】
この実施形態では、上述したように、この比較電力差の程度が大きいときには、例えば3つの空調装置を作動停止するように、この比較電力差の程度が中程度であるときには、例えば2つの空調装置を作動停止するように、またこの比較電力差の程度が小さいときには、例えば1つの空調装置を作動停止するよう選定される。
【0047】
このように作動停止すべき空調装置が選定されると、デマンド運転制御手段34は、デマンド制御信号により選定された調整電力負荷10(空調装置)を作動停止し(ステップS7-8)、その後ステップS7-9を経てステップS7-1に戻り、次の部分測定期間、即ち第2回目の部分測定期間T2においては、一部の空調装置を作動停止させた状態でデマンド制御運転され、このように運転制御することによって、調整電力負荷10で消費される消費電力を抑えることができる。
【0048】
また、この積算消費電力がこの部分目標デマンド電力(2×P0)/10未満であるときには、ステップS7-5からステップS7-10に進み、調整電力負荷10の電力調整が行われている(換言すると、一部の空調装置が作動停止している)かが判断され、その電力調整が行われていない(即ち、全ての空調装置が作動状態にある)ときには、ステップS7-9を経てステップS7-1戻り、次の部分測定期間、即ち第2回目の部分測定期間T2については、そのままの作動状態でもって調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)が継続してデマンド制御運転される。
【0049】
このとき、調整電力負荷10の電力調整が行われている(換言すると、一部の空調装置が作動停止している)ときには、ステップS7-10からステップS7-11に移り、消費電力に余裕があるとして、調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)の再稼働が行われる。この実施形態では、比較差演算手段68は、これら電力差の演算を行って比較差の程度を判定し(ステップS7-11)、再稼働装置選定手段72は、この比較差の結果に基づいて再稼働すべき調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)を選定する(ステップS7-12)。
【0050】
この実施形態では、上述したように、この比較電力差の程度が大きいときには、例えば3つの空調装置を再稼働する(このときには、3つの空調装置が作動停止していることが前提となる)ように、この比較電力差の程度が中程度であるときには、例えば2つの空調装置を再稼働する(このときには、2つ以上の空調装置が作動停止していることが前提となる)するように、またこの比較電力差の程度が小さいときには、例えば1つの空調装置を再稼働する(このときには、1つ以上の空調装置が作動停止していることが前提となる)よう選定される。
【0051】
このように再稼働すべき空調装置が選定されると、デマンド運転制御手段34は、再稼働制御信号により選定された調整電力負荷10(空調装置)の再稼働を行い(S7-13)、ステップS7-9を経てステップS7-1に戻り、次の部分測定期間、即ち第2回目の部分測定期間T2においては、一部の空調装置を再稼働させた状態でデマンド制御運転され、このように運転制御することによって、消費電力のピークを抑えながらも快適空間が保たれるように制御される。
【0052】
第1番目の部分測定期間T1についての調整電力負荷10の上述した稼働運転(デマンド運転又は省エネ運転)が終了すると、次の部分測定期間、即ち第2番目の部分測定期間T2についての調整電力負荷10の運転が第1番目のときと同様に行われ、部分測定期間における調整電力負荷10のこのような稼働運転は、最後の第9番目の部分測定期間T9まで繰り返し行われる。
【0053】
次に、
図8~
図12を参照して、上述した省エネモード運転制御手段46による省エネ制御運転について説明する。この実施形態では、後述する省エネ制御運転を行うために省エネモード運転制御手段46は、不快指数演算手段82、稼働状態設定手段84及び省エネ運転制御手段86を含んでいる。不快指数演算手段82は、後述するように、外気温度検知手段52及び外気湿度検知手段54からの検知信号に基づいて不快指数を演算する。また、稼働状態設定手段84は、調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)の稼働状態を設定し、省エネ運転制御手段86は、稼働状態設定手段84により設定された稼働状態でもって調整電力負荷10を稼働運転する。このことに関連して、メモリ手段48には、調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)の稼働状態データ(不快指数と調整電力負荷10の稼働状態との関係を示すデータ)が登録されている。
【0054】
この実施形態では、調整電力負荷10は、例えば、
図9に示すような構成になっており、この調整電力負荷10は、更に、空調制御ユニット88を備え、デマンド電力監視装置24と第1~第4空調装置16~22とは、この空調制御ユニット88を介して電気的に接続されている。更に説明すると、空調制御ユニット88は、第1~第4空調装置16~22に対応する第1~第4端子部90~96を備えている。
【0055】
また、第1~第4空調装置16~22は、実質上同一の構成であり、空調制御される室内に設置される空調室内機98と、屋外に設置される空調室外機100とを備え、空調室外機100には、空調制御ユニット88の対応する端子部(第1~第4端子部90~96)に電気的に接続される制御アダプタ102が設けられている。例えば、第1空調装置16(第2空調装置18・・)においては、空調制御ユニット88の第1端子部90(第2端子部92・・)と第1空調装置16(第2空調装置18・・)の空調室外機100の制御アダプタ102とが電気的に接続され、この第1端子部90(第2端子部92・・)の端子Cとその制御アダプタ102の端子Cとが電気的に接続され、この第1端子部90(第2端子部92・・)の端子Y1,Y2,Y3とその制御アダプタ102の端子1,2,3とが電気的に接続される。
【0056】
ここで、空調制御ユニット88の端子部(第1~第4端子部90~96)と空調装置(第1及び第4空調装置16~22)の制御アダプタ102との接続関係について説明すると、空調制御ユニット88の端子部側の端子Cと空調装置の制御アダプタ102側の端子Cとは、空調室外機100のコンプレッサ(図示せず)の能力を100%稼働させる100%運転指令が送られる100%運転ライン104で接続され、この端子部側の端子Y1と制御アダプタ102側の端子1とは、空調室外機100のコンプレッサの能力を75%稼働させる75%運転指令が送られる75%運転ライン106で接続され、またこの端子部側の端子Y2と制御アダプタ102側の端子2とは、空調室外機100のコンプレッサの能力を40%稼働させる40%運転指令が送られる40%運転ライン108で接続され、更にこの端子部側の端子Y3と制御アダプタ102側の端子3とは、空調室外機100のコンプレッサを作動停止させる作動停止指令が送られる作動停止ライン110で接続されている。
【0057】
このように構成されているので、空調制御ユニット88の第1端子部90(第2~第4端子部92~96)の端子Cから第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)の制御アダプタ102の端子Cに100%運転指令が送られると、この第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)のコンプレッサ(図示せず)は100%の稼働出力で運転され、この第1端子部90(第2~第4端子部92~96)の端子Y1から第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)の制御アダプタ102の端子1に75%運転指令が送られると、この第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)のコンプレッサは75%の稼働出力で運転され、この第1端子部90(第2~第4端子部92~96)の端子Y2から第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)の制御アダプタ102の端子2に40%運転指令が送られると、この第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)のコンプレッサは40%の稼働出力で運転され、またこの第1端子部90(第2~第4端子部92~96)の端子Y3から第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)の制御アダプタ102の端子3に作動停止指令が送られると、この第1空調装置16(第2~第4空調装置18~22)のコンプレッサの作動が停止し、第1~第4空調装置16~22の運転状態をこのように変動させることによって省エネ運転を行うことが可能となる。
【0058】
この実施形態では、不快指数演算手段82は、外気温度検知手段52の検知信号(外気温度)及び外気湿度検知手段54の検知信号(外気湿度)に基づいて不快指数を演算し、この演算された不快指数を6のグループ領域に分類して調整電力負荷10を省エネ制御するようにしている。
図10及び
図11を参照して、第1グループ領域R1は、不快指数が90以上である範囲であって、全員が暑さでもって非常に不快を感じる領域であり、この第1グループ領域R1においては、調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)は、第1制御モードでもって省エネモード運転され、例えば、第1~第4空調装置16~22が100%稼働出力でもって運転される。
【0059】
第2グループ領域R2は、不快指数が78~90である範囲であって、暑さでもって不快を感じる領域であり、この第2グループ領域R2においては、調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)は、第2制御モードでもって省エネモード運転され、例えば、第1及び第2空調装置16,18が75%稼働出力でもって運転され、第3及び第4空調装置20,22が100%稼働出力でもって運転される。第3グループ領域R3は、不快指数が64~78である範囲であって、暑さでもって少し不快を感じ始める領域であり、この第3グループ領域R3においては、調整電力負荷10は、第3制御モードでもって省エネモード運転され、例えば、第1及び第4空調装置16,22が40%稼働出力でもって運転され、第2及び第3空調装置18,20が作動停止される。また、第4グループ領域R4は、不快指数が56~64である範囲であって、あまり不快を感じない領域であり、この第4グループ領域R4においては、調整電力負荷10は、第4制御モードでもって省エネモード運転され、例えば、第1空調装置16が40%稼働出力でもって運転され、第2~第4空調装置18~22が作動停止される。
【0060】
また、第5グループ領域R5は、不快指数が51~56である範囲であって、寒さでもって少し不快を感じ始める領域であり、この第5グループ領域R5においては、調整電力負荷10は、第5制御モードでもって省エネモード運転され、例えば、第1及び第2空調装置16,18が75%稼働出力でもって運転され、第3及び第4空調装置20,22が40%稼働出力でもって運転される。更に、第6グループ領域R6は、不快指数が51以下である範囲であって、寒さで不快を感じる領域であり、この第6グループ領域R6においては、調整電力負荷10は、第6制御モードでもって省エネモード運転され、例えば、第1及び第2空調装置16,18が100%稼働出力でもって運転され、第3及び第4空調装置20,22が75%稼働出力でもって運転される。
【0061】
この稼働状態設定手段84による調整電力負荷8(第1~第4空調装置16~22)の設定については、次のように構成するのが望ましい。例えば夏季(換言すると、冷房運転をする季節)においては、建造物の上層階の方が下層階よりも太陽の光が差し込み易く、これにより上層階の方が下層階よりも室内温度が高くなって暑さをより感じる傾向にあり、従って、この実施形態のように、建造物の下層階ほど、即ち第4階層の第4空調装置22側よりも第1階層の第1空調装置16側ほどより強めに調整する、即ち空調装置の稼働出力をより抑えるように制御するのが好ましい。
【0062】
また、例えば冬季(換言すると、暖房運転をする季節)においては、建造物の下層階の方が上層階よりも太陽の光が差し込み難く、これにより下層階の方が上層階よりも室内温度が低くより寒さを感じる傾向にあり、従って、上層階ほど、即ち第1階層の第1空調装置16側よりも第4階層の第4空調装置22側ほどより強めに調整する、即ち空調装置の稼働出力を抑えるのが好ましい。
【0063】
次いで、この省エネモード運転制御手段46による省エネモードの運転制御の流れについて説明する。主として、
図8及び
図12を参照して、省エネモードの運転においては、外気温度検知手段52及び外気湿度検知手段54からの検知信号がデマンド電力監視装置24に送られ、省エネモード運転制御手段46の不快指数演算手段82は、外気温度検知手段52及び外気湿度検知手段54からの検知信号に基づいて不快指数を演算し(ステップS10-1)、稼働状態設定手段84は、この演算された不快指数に基づき、
図10に示す不快指数領域のマップ及び
図11に示す制御モード表を用いて調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)の稼働状態、即ち第1~第6制御モードにおける第1~第4空調装置16~22の稼働状態のうち演算された不快指数に対応する稼働状態を設定する(ステップS10-2)。
【0064】
このような稼働状態が設定されると、省エネ運転制御手段86は、省エネ制御信号により設定された稼働状態でもって調整電力負荷10(第1~第4空調装置)を運転し(ステップS10-3)、このように運転制御することによって、空調すべき室内の快適環境を保ちながら調整電力負荷10の消費電力を抑えることができる。この省エネモードの運転は、デマンド電力測定期間T0が終了するまで行われ、このデマンド電力測定期間TOが経過すると、ステップS10-4からステップS12(
図4参照)に移る。
【0065】
上述した実施形態では、省エネモード運転が設定されると、デマンド電力測定期間T0が終了するまで省エネモード運転が継続されるように構成されているが、この省エネモード運転中においても固定電力負荷8の変動により消費電力が増大し、デマンド電力測定期間T0終了時に消費電力が目標デマンド電力P0を超えることも考えられ、このようなことを解消するために、例えば
図13に示すように運転制御するようにしてもよく、この省エネモードの運転においては、部分測定時間経過時に部分目標デマンド電力とその部分測定期間までの積算消費電力とを比較し、この積算消費電力が部分目標デマンド電力以上であると、省エネモード運転からデマンドモード運転に切り換えるように制御される。
【0066】
図13において、この省エネモードの運転においては、上述したと同様にして不快指数演算手段82が、外気温度検知手段52及び外気湿度検知手段54からの検知信号に基づいて不快指数を演算し(ステップS10-11)、稼働状態設定手段84は、上述したと同様にしてこの不快指数に対応する稼働状態を設定し(ステップS10-12)、省エネ運転制御手段86は、この設定された稼働状態でもって調整電力負荷10(第1~第4空調装置16~22)を稼働運転する(ステップS10-13)。この省エネモード運転中においては、デマンド制御測定期間T0の最初(初期運転期間TS)からの消費電力が積算され(ステップS10-14)、この消費電力の積算は、例えば消費電力積算演算手段62(
図5参照)により行われる。
【0067】
この省エネモード運転を開始して第1番目の部分測定期間T1が経過すると、ステップS10-15からステップS10-16に進み、第1番目の部分測定期間T1に対応する部分目標デマンド電力の演算が行われる。例えば、部分目標デマンド電力演算手段64(
図5参照)が上述したようにして部分目標デマンド電力(2×P0)/10を演算し、デマンド電力比較手段66(
図5参照)が、上述したようにして、消費電力積算演算手段62により演算された積算消費電力と部分目標デマンド電力演算手段64により演算された部分目標デマンド電力(2×p0)/10とを比較する(ステップS10-17)。
【0068】
そして、この積算消費電力が第1回目の部分測定期間T1に対応する部分目標デマンド電力(2×P0)/10未満であるときには、デマンド電力測定期間T0が経過した時点においてこの積算消費電力が目標デマンド電力を超えるおそれがないとして、ステップS10-18からステップS10-19を経てステップS10-13に戻り、上述した省エネモード運転が継続して行われる。このときには、第2番目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)が経過すると、第2番目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)に対応する部分目標デマンド電力(3×P0)/10〔(4×P0/10・・・〕の演算が行われるS10-16)。
【0069】
そして、この積算消費電力が第2回目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)に対応する部分目標デマンド電力(3×P0)/10〔(4×P0)/10・・・〕未満であるときには、上述したと同様に、ステップS10-18からステップS10-19を経てステップS10-13に戻り、この省エネモード運転がデマンド運転測定期間P0が経過するまで行われる。
【0070】
また、この積算消費電力が第1回目の部分測定期間T1に対応する部分目標デマンド電力(2×P0)/10以上であるときには、デマンド電力測定期間T0が経過した時点においてこの積算消費電力が目標デマンド電力を超えるおそれがあるとして、ステップS10-18からステップS10-20に移り、例えば運転モード設定手段42(
図2参照)が省エネモードの運転からデマンドモードの運転に切り換え、このときには、デマンド運転測定期間T0が経過するまでこのデマンドモードの運転が継続して行われる。
【0071】
尚、第2回目(第3番目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)の経過時に、この積算消費電力が第2回目(第3回目・・・)の部分測定期間T2(T3・・・)に対応する部分目標デマンド電力(3×P0)/10〔(4×P0)/10・・・〕以上であるときには、この時点において、省エネモードの運転からデマンドモードの運転に切り換えられる。
【0072】
以上、本発明に従うデマンド制御システム(及び省エネ制御システム)の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更乃至修正が可能である。
【0073】
例えば、上述した実施形態では、省エネ制御システムをデマンド制御システムの一部の制御に組み込んで適用しているが、この省エネ制御システムは、デマンド制御システムに組み込むことなく、単独の制御システムとして適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
4 スマート電力メータ
8 固定電力負荷
10 調整電力負荷
14 デマンド制御システム
16,18,20,22 空調装置
24 デマンド電力監視装置
26 消費電力計測手段
28 コントローラ
36 基準消費電力演算手段
38 初期消費電力演算手段
40 初期電力比較手段
42 運転モード設定手段
44 デマンドモード運転制御手段
46 省エネモード運転制御手段
52 外気温度検知手段
54 外気湿度検知手段
64 部分デマンド電力演算手段
66 デマンド電力比較手段
70 停止装置選定手段
72 再稼働装置選定手段
82 不快指数演算手段
86 稼働状態設定手段
【手続補正書】
【提出日】2021-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電力負荷及び調整電力負荷にて消費される消費電力を計測するための消費電力計測手段と、前記固定電力負荷及び前記調整電力負荷によって消費される消費電力を監視するためのデマンド電力監視装置とを備えており、
前記デマンド電力監視装置は、前記デマンド電力測定期間の初期期間において前記調整電力負荷を初期モードでもって運転制御する初期モード運転制御手段と、前記初期期間の消費電力を演算する初期消費電力演算手段と、前記初期消費電力演算手段により演算された初期消費電力と運転モードの選択基準となる基準消費電力とを比較する初期電力比較手段と、運転モードを設定する運転モード設定手段と、前記調整電力負荷をデマンドモードでもって運転するためのデマンドモード運転制御手段と、前記調整電力負荷を省エネモードでもって運転するための省エネモード運転制御手段と、を含んでおり、
前記デマンド電力測定期間の前記初期期間における前記初期モードの運転において、前記初期モード運転制御手段は、前記調整電力負荷をデマンド制御しない無制御運転状態でもって運転し、前記初期消費電力演算手段は、前記初期期間における前記調整電力負荷の無制御運転状態の消費電力を演算し、前記初期消費電力が前記基準消費電力以上であると、前記運転モード設定手段は前記デマンドモードを設定し、前記デマンドモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記デマンドモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力のピークを抑え、また前記初期消費電力が前記基準消費電力未満であると、前記運転モード設定手段は前記省エネモードを設定し、前記省エネモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記省エネモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力の使用量を抑えることを特徴とするデマンド制御システム。
【請求項2】
前記省エネモード運転制御手段は、外気温度及び外気湿度に基づいて不快指数を演算する不快指数演算手段と、前記調整電力負荷の稼働状態を設定する稼働状態設定手段とを含み、前記稼働状態設定手段は、前記不快指数演算手段により演算された前記不快指数に基づいて前記調整電力負荷の稼働状態を設定することを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御システム。
【請求項3】
前記調整電力負荷は、建造物の第1層階に設置された第1空調装置と、前記建造物の前記第1層階より上層の第2層階に設置された第2空調装置とを含み、前記省エネモード運転制御手段の前記稼働状態設定手段は、前記不快指数演算手段により演算された前記不快指数に基づき、夏季においては前記第1空調装置の稼働出力を前記第2空調装置の稼働出力よりも強めに調整し、冬季においては前記第2空調装置の稼働出力を前記第1空調装置の稼働出力よりも強めに調整することを特徴とする請求項2に記載のデマンド制御システム。
【請求項4】
前記省エネモード運転制御手段は、更に、前記デマンド電力測定期間を分割した部分測定期間に対応する部分目標デマンド電力を演算する部分目標デマンド電力演算手段と、前記デマンド電力測定期間の初めから前記部分測定期間までの前記固定電力負荷及び前記調整電力負荷の部分消費電力を演算する部分消費電力演算手段と、前記部分目標デマンド電力と前記部分消費電力とを比較する部分電力比較手段とを含み、前記部分測定期間終了時において前記部分消費電力が前記部分目標デマンド電力以上になると、前記運転モード設定手段は前記省エネモードから前記デマンドモードに切り換えることを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、電力負荷の消費電力を所定の範囲に収まるように調整電力負荷をデマンド制御するデマンド制御システムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明のデマンド制御システムは、固定電力負荷及び調整電力負荷にて消費される消費電力を計測するための消費電力計測手段と、前記固定電力負荷及び前記調整電力負荷によって消費される消費電力を監視するためのデマンド電力監視装置とを備えており、
前記デマンド電力監視装置は、前記デマンド電力測定期間の初期期間において前記調整電力負荷を初期モードでもって運転制御する初期モード運転制御手段と、前記初期期間の消費電力を演算する初期消費電力演算手段と、前記初期消費電力演算手段により演算された初期消費電力と運転モードの選択基準となる基準消費電力とを比較する初期電力比較手段と、運転モードを設定する運転モード設定手段と、前記調整電力負荷をデマンドモードでもって運転するためのデマンドモード運転制御手段と、前記調整電力負荷を省エネモードでもって運転するための省エネモード運転制御手段と、を含んでおり、
前記デマンド電力測定期間の前記初期期間における前記初期モードの運転において、前記初期モード運転制御手段は、前記調整電力負荷をデマンド制御しない無制御運転状態でもって運転し、前記初期消費電力演算手段は、前記初期期間における前記調整電力負荷の無制御運転状態の消費電力を演算し、前記初期消費電力が前記基準消費電力以上であると、前記運転モード設定手段は前記デマンドモードを設定し、前記デマンドモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記デマンドモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力のピークを抑え、また前記初期消費電力が前記基準消費電力未満であると、前記運転モード設定手段は前記省エネモードを設定し、前記省エネモード運転制御手段は、前記調整電力負荷を前記省エネモードでもって運転して前記デマンド電力測定期間の消費電力の使用量を抑えることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
このデマンド制御システムにおいては、省エネモード運転制御手段は、不快指数演算手段により演算された不快指数に基づいて調整電力負荷の稼働状態を設定するのが好ましく、このようにすることによって、環境の不快指数に応じて調整電力負荷の稼働状態を調整して環境な空間にすることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の請求項1に記載のデマンド制御システムによれば、初期消費電力が基準消費電力以上であるときには、デマンド電力測定期間が終了した時点において目標デマンド電力を超えるおそれがあり、このようなときには、運転モード設定手段はデマンドモードを設定し、デマンドモード運転制御手段は、調整電力負荷をデマンドモードでもって運転し、これによって、デマンド電力測定期間の消費電力のピークを抑えることができる。また、初期消費電力が基準消費電力未満であるときには、デマンド電力測定期間が終了した時点において目標デマンド電力を超えるおそれがなく、このようなときには、運転モード設定手段は省エネモードを設定し、省エネモード運転制御手段は、調整電力負荷を省エネモードでもって運転し、これによって、デマンド電力測定期間の消費電力の使用量を抑えることができる。また、初期モードの運転においては、調整電力負荷をデマンド制御しない無制御運転状態でもって運転し(換言すると、デマンド制御するためのデマンド制御信号が調整電力負荷に送られていない運転状態でもって運転し)、この無制御運転状態の消費電力と基準消費電力と比較して運転モードを設定するので、調整電力負荷の最大消費電力を予測して運転モードを設定することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う
デマンド制御システムの一実施形態について説明する。
図1において、商用電力を供給するための電力供給系は、商用電源(例えば、三相交流電源)からの電力を引き込むための電力引込みライン2を備え、この電力引込みライン2にスマート電力メータ4及び引込みブレーカ6が接続されている。スマート電力メータ4及び引込みブレーカ6は、電力の供給を受ける事業所(例えば、工場、事務所、商業ビル、ホテル、病院など)ごとに設けられ、スマート電力メータ4は、電力引込みライン2を通して流れる供給電力(換言すると、消費電力)の電力量を計測し、引込みブレーカ6は、電力引込みライン2を通して過大電力が流れるのを防止する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
以上、本発明に従うデマンド制御システムの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更乃至修正が可能である。