(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051036
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】食器回収装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20220324BHJP
B65G 19/22 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
B65G19/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157285
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】小田 初義
【テーマコード(参考)】
3B115
3F013
【Fターム(参考)】
3B115CB07
3F013BA00
3F013BB05
3F013BB19
(57)【要約】
【課題】本願は、食器に残留していた飲食物が可動部に付着することによる動作への影響を可及的に抑制しつつ、多数の食器を効率よく客席から厨房へ搬送することが可能な食器回収装置を開示する。
【解決手段】本発明は、食器回収装置であって、客席エリア側の端部を始点とし、厨房エリア側の端部を終点とする搬送路と、始点の上部に配置される始点側回転軸と、終点の上部に配置される終点側回転軸と、始点側回転軸と終点側回転軸の両方に掛け渡される無端状の環状体に、一端を環状体に連結した柔軟なシートを離散的に複数設けたシート付き環状体と、非連結側の端部である自由端側が搬送路へ乗る状態で環状体から垂れ下がるシートが、搬送路において始点から終点へ向かって引かれるように環状体を駆動させる駆動部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客席エリア側の端部を始点とし、厨房エリア側の端部を終点とする搬送路と、
前記始点の上部に配置される始点側回転軸と、
前記終点の上部に配置される終点側回転軸と、
前記始点側回転軸と前記終点側回転軸の両方に掛け渡される無端状の環状体に、一端を前記環状体に連結した柔軟なシートを離散的に複数設けたシート付き環状体と、
非連結側の端部である自由端側が前記搬送路へ乗る状態で前記環状体から垂れ下がる前記シートが、前記搬送路において前記始点から前記終点へ向かって引かれるように前記環状体を駆動させる駆動部と、を備える、
食器回収装置。
【請求項2】
前記搬送路の側方に配置されており、前記搬送路に乗っている前記シートの上へ飲食物を載せるための開口部を有する壁部を更に備える、
請求項1に記載の食器回収装置。
【請求項3】
前記シートの自由端側には錘が設けられている、
請求項1又は2に記載の食器回収装置。
【請求項4】
前記始点には、前記搬送路上へ洗浄水を吐出する洗浄水口が設けられている、
請求項1から3の何れか一項に記載の食器回収装置。
【請求項5】
前記洗浄水は、前記終点に設けられた回収箱から前記洗浄水口へ送られる、
請求項4に記載の食器回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は労働者の確保が社会的に困難となってきており、飲食店においても、例えば、使用済みの食器を客席から厨房へ搬送する搬送機器等の自動機が普及している(例えば、特許文献1-3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-290623号公報
【特許文献2】特開2005-287651号公報
【特許文献3】特開平10-33446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用済みの食器を客席から厨房へ搬送する装置の形態としては、例えば、客席沿いに設けられた搬送用のベルトコンベアに食器を載せて搬送するもの、客席沿いに設けられた水路に食器を投入して水流で搬送するもの等の各種形態がある。しかし、前者のベルトコンベアを用いた形態の場合には、食器に残留していた飲食物がベルトコンベア等の可動部に付着し、搬送装置の動作に影響を及ぼす可能性がある。装置内の付着物を日常的な清掃で除去することは困難であるため、このような付着物の堆積は機器の故障を招く可能性もある。また、後者の場合には、水路が食器で詰まるのを防ぐために、水路に食器を少量ずつ投入する必要がある。
【0005】
そこで、本願は、食器に残留していた飲食物が装置の各部に付着することによる動作への影響を可及的に抑制しつつ、多数の食器を効率よく客席から厨房へ搬送することが可能な食器回収装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、環状体から垂れ下がる柔軟なシートに食器を載せて搬送することにした。
【0007】
詳細には、本発明は、食器回収装置であって、客席エリア側の端部を始点とし、厨房エリア側の端部を終点とする搬送路と、始点の上部に配置される始点側回転軸と、終点の上部に配置される終点側回転軸と、始点側回転軸と終点側回転軸の両方に掛け渡される無端状の環状体に、一端を環状体に連結した柔軟なシートを離散的に複数設けたシート付き環状体と、非連結側の端部である自由端側が搬送路へ乗る状態で環状体から垂れ下がるシートが、搬送路において始点から終点へ向かって引かれるように環状体を駆動させる駆動部と、を備える。
【0008】
これによれば、食器を搬送するための搬送路の上部に、一端を環状体に連結した柔軟なシートを離散的に複数設けたシート付き環状体が設置されているので、シートの非連結側の端部である自由端側が搬送路へ乗る状態で環状体から垂れ下がる。よって、搬送路に乗っている部分のシートに食器を搭載することが可能である。
【0009】
そして、当該シートは、環状体が駆動することにより、搬送路の始点から終点へ向かっ
て引かれる。よって、当該シートに搭載された食器は、環状体の駆動により、搬送路の始点から終点へ向かって移動することになる。そして、食器が搭載されていたシートは、搬送路の終点で搬送路の上部の環状体により上へ引き上げられるため、シートに搭載されていた食器は搬送路の終点でシートから落とされる。これにより、食器の移送が完了する。
【0010】
このような食器回収装置であれば、食器が搭載されたシートを搬送路の始点から終点へ向けて引くための駆動部が搬送路の上部に配置されるので、食器に残留していた飲食物が可動部に付着することによる動作への影響を可及的に抑制することができる。そして、環状体にはこのようなシートが離散的に複数設けられているため、多数の食器を効率よく客席から厨房へ搬送することが可能である。
【0011】
なお、上記の食器回収装置は、搬送路の側方に配置されており、搬送路に乗っているシートの上へ飲食物を載せるための開口部を有する壁部を更に備えるものであってもよい。これにより、開口部を通じて食器をシートへ容易に搭載することが可能である。
【0012】
また、シートの自由端側には錘が設けられていてもよい。これによれば、シートを環状体からスムーズに垂れ下げることができる。
【0013】
また、始点には、搬送路上へ洗浄水を吐出する洗浄水口が設けられていてもよい。これによれば、搬送路を洗浄水が流れるため、搬送路に垂れ下がったシートを環状体がスムーズに引くことができる。
【0014】
また、洗浄水は、終点に設けられた回収箱から洗浄水口へ送られてもよい。これによれば、洗浄水を搬送路に繰り返し循環させることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記の食器回収装置であれば、食器に残留していた飲食物が可動部に付着することによる動作への影響を可及的に抑制しつつ、多数の食器を効率よく客席から厨房へ搬送することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る下げ搬送装置の全体構成図である。
【
図2】
図2は、ベルトの自由端をめくり上げて筐体の内部の様子を示した図である。
【
図3】
図3は、店舗内のレイアウトの一例を示した図である。
【
図4】
図4は、下げ搬送装置の使用方法の一例を解説した第1の図である。
【
図5】
図5は、筐体における食器の搬送状態の一例を解説した図である。
【
図6】
図6は、下げ搬送装置の使用方法の一例を解説した第2の図である。
【
図7】
図7は、下げ搬送装置の使用方法の一例を解説した第3の図である。
【
図8】
図8は、搬送路の終端部分の位置関係を解説した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷら、焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0018】
図1は、実施形態に係る下げ搬送装置1の全体構成図である。下げ搬送装置1は、飲食店の客席で発生する使用済みの食器を厨房へ搬送する装置である。下げ搬送装置1は、
図1に示すように、筐体2の内部でベルト3が複数に垂れ下がっており、ベルト3が客席側
折り返し部7から厨房側折り返し部9の方へ移動することにより、ベルト3に載せられた食器を搬送する装置である。すなわち、下げ搬送装置1では、筐体2内に垂れ下がっているベルト3が筐体2の内部で客席側折り返し部7から厨房側折り返し部9へ移動し、厨房側折り返し部9でベルト3を筐体2内の上部へ引き上げて客席側折り返し部7へ移動させ、客席側折り返し部7でベルト3を筐体2内に再び垂れ下げるという循環動作が行われる。
【0019】
図2は、ベルト3の自由端をめくり上げて筐体2の内部の様子を示した図である。ベルト3は、矩形のシート材で形成されており、筐体2内に設けられた無端状の循環チェーン14に長手方向の一端が取り付けられている。循環チェーン14は、金属製でも樹脂製でもよい。
図1に示す符号5は、循環チェーン14を回動可能に支持するための回転軸5である。また、筐体2の厨房側折り返し部9付近の上部に示す符号6は、循環チェーン14を駆動するための電動モータ等を内蔵した駆動部6である。ベルト3は、筐体2内で循環チェーン14から垂れ下がるので、ベルト3の自由端側に錘4が取り付けられている。これにより、筐体2内に設けられた循環チェーン14が循環し、ベルト3が客席側折り返し部7において進行方向が逆方向へ転換される際、ベルト3の自由端が錘4の自重で筐体2内の下部へ落ちる。ベルト3の自由端は、客席側折り返し部7で筐体2内の下部へ落ちる際、筐体2の客席側折り返し部7付近の底面を曲面で構成する案内面8によってスムーズに案内される。
【0020】
そして、ベルト3は、筐体2内に設けられた循環チェーン14の循環によって引かれ、厨房側折り返し部9付近へ到達すると、厨房側折り返し部9付近で折り返す循環チェーン14と共に筐体2内の上部へ引き上げられ、筐体2内の上部で厨房側折り返し部9から客席側折り返し部7へ向かって移動する。ベルト3は、筐体2内の上部で厨房側折り返し部9から客席側折り返し部7へ向かって移動する際は、筐体2内に設けられた循環チェーン14に載った状態となるため、ベルト3の自由端が筐体2内で循環チェーン14から垂れ下がらない。すなわち、
図1に示すように、ベルト3は、略平坦な形態を保った状態で厨房側折り返し部9から客席側折り返し部7へ向けて移動する。
【0021】
ベルト3は、筐体2内の底面に垂れ下がって当該底面に一部が乗り、循環チェーン14に引かれることにより、筐体2内の底面上を摺動する。また、ベルト3は、比較的長尺である。よって、ベルト3は、長手方向においてベルト3の半分程度の部位が筐体2内の底面に接触して摺動する状態となる。したがって、ベルト3のうち、筐体2内の底面に載っている部分には、食器等の物品類を搭載することができる。このため、下げ搬送装置1には、ベルト3に食器等の物品類を搭載するための入口10(本願でいう「開口部」の一例である)が筐体2の側面(本願でいう「壁部」の一例である)に設けられており、また、厨房側折り返し部9の部分でベルト3からこれら物品類を落とすための出口11、筐体2を床から少し高い位置で支持するための架台12、出口11から落ちてくる物品類を受ける回収箱13が設けられている。
【0022】
このように構成される下げ搬送装置1においては、筐体2内の底面が客席エリアKから厨房エリアCへ至る搬送路を形成し、当該搬送路の客席エリアK側の端部を始点、当該搬送路の厨房エリアC側の端部を終点とする食器Dの搬送機構が実現されることになる。よって、下げ搬送装置1に備わる複数の回転軸5のうち、客席側折り返し部7側に最も近い部分の回転軸5が本願でいう「始点側回転軸」の一例に相当し、厨房側折り返し部9側に最も近い部分の回転軸5が本願でいう「終点側回転軸」の一例に相当することになる。そして、この2つの回転軸5の両方に掛け渡される循環チェーン14が、複数のベルト3の各一端が離散的に連結されているので、本願でいう「環状体」の一例に相当することになる。
【0023】
図3は、店舗内のレイアウトの一例を示した図である。下げ搬送装置1は、例えば、
図3に示されるように、飲食店の客席テーブルTが並ぶ客席エリアKと、店舗スタッフSが飲食物を用意する厨房エリアCとに跨って延在するように配置される。下げ搬送装置1は、
図3に示されるように、回収箱13が厨房エリアC内に位置するように配置される。これにより、客席エリアKの客席テーブルTに置かれていた使用済みの食器がベルト3に載せられ、回収箱13へ搬送されることになる。これにより、店舗スタッフSが客席エリアKから厨房エリアCへ食器Dを持って移動する場合に比べて、食器Dを効率的に客席エリアKから厨房エリアCへ移送することができる。
【0024】
また、下げ搬送装置1は、ベルト3を動かすための駆動部6が筐体2の上部に設けられているため、食器Dを搬送するための動力源を食器Dの搬送路の下部等に設ける場合に比べて、食器Dを運ぶための搬送路を比較的低い位置に設けることができる。このため、下げ搬送装置1は、食器Dを客席エリアKから厨房エリアCへ搬送するためのその他の形態の装置に比べると、下部の省スペース化が可能である。したがって、例えば、下げ搬送装置1の上部に飲食物搬送装置等のその他の機器類を設置することが可能である。また、店舗の床に水を撒いて清掃するような場合においても、水が下げ搬送装置1のモータ等の駆動部に飛散する可能性が低いため、駆動部の腐食等による下げ搬送装置1の故障を抑制し、下げ搬送装置1の長寿命化を図ることができる。
【0025】
図4は、下げ搬送装置1の使用方法の一例を解説した第1の図である。
図4では、下げ搬送装置1の長手方向が短く図示されているが、
図3に示したように、下げ搬送装置1は筐体2の部分が店舗の大きさに応じた適宜の長さを有している。そして、入口10が客席テーブルT付近の適宜の箇所に離散的あるいは連続的に設けられており、店舗スタッフS或いは客が食器Dを筐体2内のベルト3へ載せることが可能なようになっている。入口10は、自動または手動の適宜の扉で通常時は閉鎖されていてもよいし、或いは、常時開放されていてもよい。また、ベルト3を動かす循環チェーン14等の下げ搬送装置1の駆動部分は、店舗の営業中は常時作動してもよいし、或いは、搬送開始操作が行われると一定時間作動してもよい。
【0026】
図5は、筐体2における食器Dの搬送状態の一例を解説した図である。客席テーブルTで使用された食器Dは、
図5(A)に示すように、筐体2に設けられた入口10を通じて食器Dが筐体2内のベルト3に搭載される。筐体2に設けられた入口10を通じて食器Dが筐体2内のベルト3に搭載されると、食器Dは、
図5(B)に示すように、駆動部6に内蔵されるモータの動力で駆動する循環チェーン14に引かれるベルト3に載った状態で回収箱13の方へ移動する。そして、食器Dが回収箱13付近に到達すると、
図5(C)に示すように、厨房側折り返し部9付近で折り返す循環チェーン14と共に筐体2内の上部へベルト3が引き上げられ、当該ベルト3に搭載されていた食器Dが当該ベルト3から回収箱13へ落ちる。
【0027】
なお、
図5に示すように、回収箱13内には洗浄水Lが蓄えられており、下げ搬送装置1には回収箱13内の洗浄水Lを洗浄水配管15とポンプ16で筐体2内の客席側折り返し部7付近の吐出口(本願でいう「洗浄水口」の一例である)へ送る機構が設けられている。洗浄水Lは、水道水であってもよいし、或いは図示しない供給装置から供給される洗剤を混合した水であってもよい。洗浄水配管15とポンプ16によって回収箱13から筐体2内の客席側折り返し部7付近へ送られた洗浄水Lは、筐体2内の底部を通って回収箱13の方へ流れ落ちる。回収箱13の水位は、ボールタップ弁あるいは水位センサ等により一定量が保持されるようになっていてもよいし、或いは、常時給水されてオーバーフロー管から排水されることで水が常時置換されるようにしてもよい。
【0028】
筐体2内の底部を通って回収箱13の方へ流れる洗浄水Lは、筐体2内の底面を摺動す
るベルト3の摺動性を高めて循環チェーン14の駆動力を低減する効果や、ベルト3に付着する汚れを抑制する効果、筐体2内やベルト3を洗浄する効果を発揮する。循環チェーン14を駆動するモータ等の駆動部6は、循環チェーン14やベルト3よりも高い位置に設置されているため、食器Dに残留する飲食物等が汚物となって付着する可能性が低い。また、ベルト3が筐体2内の底部を流れる洗浄水Lに浸った状態で筐体2内の底面を摺動するので、食器Dに残留する飲食物等が汚物となってベルト3に付着しにくい。また、ベルト3の自由端に設けられた錘4は、進行方向に対して横方向に延在する棒状体であるため、錘4が筐体2内の底面を摺動する際、当該底面の付着物を除去したり、或いは、当該底面に留まった薄いトレーや皿を引っかけて回収箱13へ移動させる役割を果たしたりすることができる。このため、食器Dに残留する飲食物等が汚物となってベルト3から循環チェーン14へ付着する量も極めて少ない。
【0029】
本実施形態の下げ搬送装置1は、このように、食器Dを載せるためのベルト3を筐体2内で循環チェーン14から垂れ下げる構造となっているため、循環チェーン14や駆動部6内のモータ等の駆動部分に汚物が極めて付着しにくく、安定した動作を実現可能である。
【0030】
図6は、下げ搬送装置1の使用方法の一例を解説した第2の図である。下げ搬送装置1を使って食器Dを搬送することにより、回収箱13には食器Dが蓄積される。回収箱13に蓄積された食器Dは、店舗スタッフSによって食器洗浄機等へ移送される。回収箱13から食器洗浄機への移送は、店舗スタッフSの手作業で行われてもよいし、或いは、食器Dを自動的に移送する移送機によって行われてもよい。
【0031】
ところで、下げ搬送装置1は、厨房エリアCで用意された飲食物の食器Dを厨房エリアCから客席エリアKの客席テーブルTへ搬送することもできる。
図7は、下げ搬送装置1の使用方法の一例を解説した第3の図である。厨房側折り返し部9付近において進行方向が折り返され、筐体2内の上部で厨房側折り返し部9から客席側折り返し部7の方へ移動するベルト3は、循環チェーン14に載って略平坦な状態となるため、
図7に示されるように、飲食物の食器Dを載せることが可能である。このように、下げ搬送装置1は、食器Dを客席エリアKから厨房エリアCへ回収する装置としてのみならず、飲食物を厨房エリアCから客席エリアKへ搬送する飲食物搬送装置として捉えることもできる。下げ搬送装置1は、衛生上の理由等により、筐体2の上部の開放部分を閉鎖し、食器Dを客席エリアKから厨房エリアCへ回収するのみの装置としてもよいことは言うまでもない。
【0032】
また、筐体2はステンレス等の耐食性に優れる素材で構成されるが、ベルト3は、柔軟なシート状の材料で構成されることが好ましい。このような素材としては、例えば、ターポリン、塩化ビニール、その他各種の素材が挙げられる。ベルト3は、穴の無いシートであってもよいし、或いは、縦横に多数の穴が開けられたものであってもよい。ベルト3に穴が開いていれば、洗浄水Lがベルト3から流れ落ちやすい。また、下げ搬送装置1には、ベルト3の汚れをブラシ等で除去する清掃機構が設けられていてもよい。
【0033】
ところで、筐体2が形成する搬送路の終端部分は、厨房側折り返し部9にある回転軸5よりも搬送路の上流側に配置されていることが好ましい。
図8は、搬送路の終端部分の位置関係を解説した図である。
図8(C)において符号Zで示すように、筐体2が形成する搬送路の終端部分は、厨房側折り返し部9にある回転軸5よりも搬送路の上流側に配置されていると、トレーRを回収箱13へスムーズに落とすことができる。すなわち、
図8(A)に示すように、食器Dを載せたトレーRがベルト3に搭載されると、当該トレーRは、
図8(B)に示すように、駆動部6に内蔵されるモータの動力で駆動する循環チェーン14に引かれるベルト3に載った状態で回収箱13の方へ移動する。そして、トレーRが回収箱13付近に到達すると、
図8(C)に示すように、厨房側折り返し部9付近で折り
返す循環チェーン14と共に筐体2内の上部へベルト3が引き上げられ、当該ベルト3に搭載されていたトレーRが当該ベルト3と共に引き上げられる。しかし、筐体2が形成する搬送路の終端部分は、厨房側折り返し部9にある回転軸5よりも搬送路の上流側に長さL分だけ遡った位置にあるので、当該ベルト3は、筐体2内の上部へ引き上げられる初期の段階で筐体2内の底面からの支持を失う。ベルト3が筐体2内の底面からの支持を失うと、ベルト3の下端が回収箱13へ向かって垂れ下がるため、ベルト3に載っていたトレーRは、ベルト3と共に筐体2内の上部へ引き上げられるよりも前に、筐体2内へ落下する。符号Zが示す部分の長さ(「オフセット量」と捉えることもできる)は、長尺になるにしたがってより大きいトレーRへの対応を可能にする。しかし、符号Zが示す部分の長さは、使用が想定されるトレーRの大きさや、ベルト3の長さ、筐体2内の底面から回転軸5までの高さ、その他各種の条件を勘案して決定可能である。
【符号の説明】
【0034】
T・・客席テーブル:S・・店舗スタッフ:W・・壁:C・・厨房エリア:K・・客席エリア:D・・食器:L・・洗浄水:R・・トレー:1・・下げ搬送装置:2・・筐体:3・・ベルト:4・・錘:5・・回転軸:6・・駆動部:7・・客席側折り返し部:8・・案内面:9・・厨房側折り返し部:10・・入口:11・・出口:12・・架台:13・・回収箱:14・・循環チェーン:15・・洗浄水配管:16・・ポンプ